東京電力は6月26日、実質国有化された“新生東電”として初めての株主総会を、国立代々木競技場第一体育館で開いた。脱原発派の株主から柏崎刈羽原発(新潟県)など所有する原発の廃止を求める提案を受けたが、広瀬直己社長は「運転再開に向け、一層の安全性向上の対策を確実に実施したい」と早期再稼働を目指す方針に固執した。
株主提案は、脱原発を求める内容など過去最高となる15件が事前に寄せられたが、東電側は全てに反対し、総会でも否決された。

「とりわけ、東電本社を売却して本社機能を現・信濃町にある東電病院に移せ、という株主提案がなされたが、否決された。現在の本社を売却すれば400億円近くになる。こんないいアイデアをなぜ採用しないんだ」(株主)
東電病院は、昨年の株主総会で「今どき、一般に開放していない社員病院がありますか」と猪瀬直樹・東京都副都知事(当時)に指摘されて無駄金が露呈された。東電病院は 診療科は9つ(内科、神経科、外科、整形外科、皮膚科、泌尿器科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科)あるものの、外来患者数が1日あたり316人と、医師の数は17.09人のため、前出の医師は「医師一人あたりが診察する人数としては少ない」と指摘されている。
「東電病院の赤字の垂れ流しはいまだに解決されていない。福島県への医療支援をしているということだったが、週末に医師がひとり行っているにすぎないことが分かった。どうして存続が許されているのか」(全国紙社会部記者)

今年の株主総会は昨年よりも落ち着いたムードで、紛糾した様子は見られなかったが、株主からは「壇上の役員は自給1000円にすべきだ」など厳しい意見も聞かれた。
「それにしても関西電力の株主総会でもそうだったが、脱原発の株主提案などは、しれっとして否決されてしまう。資本の場そのものである株主総会だから、そんなもんだろうと、諦めなければいけないのだろうか。福島の人々の悲痛の声に耳を傾ける、心ある株主が、もっといてもいいような気がする」(株主)
まったく体質が変わらないままの馴れ合いの儀式、株主総会が終わった。

(鹿砦丸)