左ミドルキックを繰り出す高橋亮

左ローキックをヒットさせる高橋亮、上下の打ち分けが上手い

◎出陣シリーズvol.4 / 6月15日(土)後楽園ホール 17:15~21:20 
主催:日本キックボクシング連盟 / 認定:NKB実行委員会

◆第14試合 メインイベント 第16代NKBフェザー級王座決定戦 5回戦

NKBフェザー級1位.ひろあき(=安田浩昭/プラスα/57.0kg)
   VS
NKBフェザー級3位.髙橋亮(真門/57.0kg)
勝者:高橋亮 / 判定0-3 / 主審:前田仁
副審:竹村光一47-50. 鈴木義和46-50. 佐藤友章46-50

ハイキックは狙い過ぎたが、圧力掛け続けた高橋亮

蹴りの鋭さや試合運びは高橋亮が上手だが、ひろあきは強い右クロスカウンターがあり、一発当たればそれだけで勝利を導く怖さがある。高橋三男・聖人との初戦(2017年12月16日)はこれで倒したこともあり、緊張感ある対峙となった。

ひろあきの強打を警戒しつつも、高橋亮もパンチの強打は無くても的確さは十分あり、先に当たるジャブやストレート、当たれば痛そうな素早いローキック、ミドルキックが炸裂。ひろあきは左瞼が腫れ、鼻血を出すほど高橋亮のパンチがコツコツ当たっていた。

第4ラウンド、高橋亮は一発KOを狙うハイキックを出すのはちょっと早過ぎたか、聖人との2戦目(2018年6月16日)で倒されたハイキックが教訓となっていたひろあきにはヒットしても浅く、ノックアウトには結び付けられなかった。やや不完全燃焼となるも、各ラウンドを抑えた大差判定勝利で王座獲得。高橋亮は「倒す技は幾つも考えていた」と言うが、「力み過ぎました」と反省点を述べていた。

パンチでも負けてはいない左ストレートを打ち込む高橋亮

左ヒジ打ちを打ち込む高橋亮、細かい技が冴える

◆第13試合 PRIMA GOLD杯ミドル級トーナメント準決勝3回戦

右ストレートカウンターで今野を倒すイレズミの田村聖

NKBミドル級1位.田村聖(前・C/拳心館/72.2kg)
   VS
ジャパンキック協会ミドル級1位.今野顕彰(市原/72.5kg)
勝者:田村聖 / KO 2R 2:24 / テンカウント / 主審:佐藤友章

トーナメント初戦(4月13日/準々決勝)で、吉野健太郎をKOした田村聖。井原浩之をヒジ打ちでカットし、ダウンを奪う判定勝利した今野顕彰。

距離を取った蹴りとパンチを打ち込むタイミングは今野が先手を打つペースで始まるも、田村が一気に距離を詰めパンチを打ち込むと今野はやや貰って効いてしまい、ロープ際へフラつくように下がってしまう。

これで出難くなった今野、第2ラウンドにはパンチの交錯が見られるも、田村のパンチで切られたか、今野の左目尻から出血。終始冷静に距離を見計らっていたのは田村。今野の右ストレートで出るところへ逆に右ストレートをカウンターで打ち込んだ田村がノックアウトで倒し切った。

あっさり倒した田村聖と見上げる今野顕彰

決勝戦は清水武vs田村聖に決定

◆第12試合 PRIMA GOLD杯ミドル級トーナメント準決勝3回戦

清水武の左ローキックが小原俊之にヒット

清水武(元・WPMF日本SW級C/sbm TVT KICK LAB/72.5kg)
   VS
J-NETWORKミドル級3位.小原俊之(キングムエ/72.25kg)
勝者:清水武 / ヒジ打ちによる瞼のカットでドクターの勧告を受入れレフェリーストップ
主審:鈴木義和

トーナメント初戦(準々決勝)、郷野聡寛をヒジ打ちで終わらせた清水武。西村清吾を左縦ヒジ打ちでノックダウンを奪取し終わらせた小原俊之。

第1ラウンドはローキック中心に静かな展開からパンチに繋ぐ交錯が続き、第2ラウンドに、清水がここでもヒジ打ちで小原の右眉尻辺りと額をカット、2ヶ所とも傷は小さいが、第2ラウンドに入っての打ち合いで清水のパンチとヒジ打ちが何度か小原の顔面をかすめていたが、今度はヒジ打ちで右目瞼を深く切り、これがストップの直接的原因となって試合を終わらせた。

やがて接近戦になり、清水武のパンチが当たりだす

◆第11試合 64.0kg契約3回戦

NKBライト級1位.棚橋賢二郎(拳心館/63.85kg)
   VS
セーンアーティット・ワイズディー(タイ/63.6kg)
勝者:セーンアーティット / 判定0-3 / 主審:竹村光一
副審:佐藤28-30. 鈴木28-30. 前田28-30

(セーンアーティットはフェザー級で元・ルンピニー系6位、元・ラジャダムナン系5位)

棚橋はローキックのけん制から強打を狙っていくが、セーンアーティットが柔軟なかわしと距離感を上手く利用したキレ味ある蹴りとヒジ打ちの返し技で大きく上回る判定勝利。

棚橋のパンチは貰わず、ムエタイ技が冴えるセーンアーティット

◆第10試合 ウェルター級3回戦

NKBウェルター級2位.稲葉裕哉(大塚/66.6kg)vs蛇鬼将矢(テツ/66.3kg)
引分け 0-1 / 主審:前田仁
副審:佐藤29-29. 鈴木29-29. 竹村28-29

◆第9試合 55.0kg契約3回戦

NKBバンタム級2位.高嶺幸良(真門/54.6kg)
     VS
NJKFバンタム級6位.鰤鰤左衛門(CORE/54.5kg)
勝者:鰤鰤左衛門 / 判定1-2 / 主審:竹村光一
副審:佐藤29-30. 前田30-29. 鈴木29-30

◆第8試合 スーパーライト級3回戦

NKBライト級3位.野村怜央(TEAM-KOK/63.4kg)
   VS
ジャパンキック協会ライト級7位.大月慎也(治政館/63.15kg)
勝者:大月慎也 / 判定0-3 / 主審:鈴木義和
副審:佐藤27-30. 前田27-30. 竹村27-30

◆第7試合 バンタム級3回戦

古瀬翔(ケーアクティブ/53.45kg)vs TOMO(K-CRONY/53.52kg)
勝者:TOMO / 判定0-2 / 主審:佐藤友章
副審:前田29-29. 鈴木28-29. 竹村28-29

◆第6試合 女子キック(ミネルヴァ)スーパーフライ級3回戦(2分制

TAMA(ReBORN経堂/51.9kg)vs sasori(テツ/52.16kg)
勝者:sasori / 判定0-3 / 主審:竹村光一
副審:前田25-30. 鈴木25-30. 佐藤25-30

◆第5試合 フライ級3回戦

山野英慶(市原/51.06kg)vs則武知宏(テツ/50.8kg)
勝者:則武知宏 / TKO 3R 1:48 / レフェリーストップ
主審:鈴木義和
山野英慶はリミット超オーバーウェイトにより減点1

◆第4試合 フェザー級3回戦

森田勇志(真門/56.4kg)vs渉生(アント/57.15kg)
勝者:森田勇志 / 判定3-0 / 主審:前田仁
副審:鈴木30-28. 竹村29-28. 佐藤30-28

◆第3試合 フェザー級3回戦

山本太一(ケーアクティブ/57.1kg)vs藤平泰地(花澤/56.1kg)
引分け 0-1 / 主審:佐藤友章
副審:鈴木28-28. 竹村28-29. 前田28-28

◆第2試合 バンタム級3回戦

五嶋龍太郎(真門/52.9kg)vs剣汰(アウルスポーツ/53.52kg)
勝者:五嶋龍太郎 / TKO 2R 2:39 / カウント中のレフェリーストップ
主審:鈴木義和

◆第1試合 ライト級3回戦

小笠原裕史(TEAM-KOK/61.1kg)vs哲太(Team S.A.C/60.6kg)
勝者:哲太 / 判定0-3 / 主審:前田仁
副審:佐藤24-30. 竹村24-30. 鈴木24-30

バンタム級に続き、フェザー級を制覇した高橋亮。次は兄が持つライト級王座?

《取材戦記》

高橋三男・聖人が返上したNKBフェザー級王座を次男・亮が獲得し、いずれはライト級も目指し3階級制覇すると言う。現在、ライト級は長男・一眞が王座に君臨する

「三兄弟でリーグ戦やれよ!」という身内間のジョークには3人とも笑って否定したが、兄弟対決は本当はやるべきではない。だが、王座の譲り合いとなる返上も望ましくはない。

他団体に見られる、“後輩に道を譲る”という選択肢が幾度かありましたが、個人競技たるもの、同門であっても上がってくる後輩は本来、返り討ちにすべきもの。下克上が起こればそれは世代交代の時。一概に選手を攻められず、本人の意思に関係なく、返上させられたという話も聞くが、王座たる頂点をビジネス優先に進め、好カードの面白さを奪ってはならないだろう。

PRIMA GOLD杯ミドル級トーナメントは10月12日に決勝戦を迎えます。この4ヶ月の期間が空くのは勿体無いところ。調整試合でも挟めそうなほど間が空くが、他のイベントの陰に隠れ、ファンが忘れそうになるほど熱が冷めないことを願いたい。

高橋兄弟2人のチャンピオンがそれぞれ王座を防衛し続けたら、現在無冠の三男・聖人はどうなるか。まさかウェルター級王座を狙うなんてことは有り得ないが、「KNOCK OUT」をはじめとする国内ビッグイベントに進出するでしょうか。

仮に、ライト級辺りでPRIMA GOLD杯トーナメントが大人数参加で行なえば盛り上がることでしょう。それこそ兄弟対決もトーナメント制なら仕方無いところです。

出陣シリーズvol.5は9月29日(日)大阪・すみのえ舞昆ホールに於いて開催。出陣シリーズvol.6は10月12日(土)後楽園ホールに於いて開催。出陣シリーズvol.7(ファイナル)は12月14日(土)後楽園ホールに於いて開催されます。

数年前から交流戦で盛り上がって来た日本キックボクシング連盟とNKB、高橋三兄弟をメインに何が行なわれるでしょうか。

PRIMA GOLD杯トーナメントに登場したラウンドガール

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]

フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

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