インターネットを利用して買い物が出来たり、カードの利用額の確認や銀行口座の確認まで出来る便利な時代だが、不都合も大分増えてきた。最も感じるのがパスワード入力の多さだ。

私がブラウザにパスワードを記録している数を見たら、60を超えている。ネットショッピングやネットサービスを存分に使っているのもあるが、異常な数だ。やたらあちこちに登録していると、その分個人情報が流出する危険性も増えるため、不要なアカウントは一斉に削除した。よく利用するAmazonやYahoo、楽天などの他に、一度しか買い物をしていないショップの登録が数十店舗ある。今やどこで買い物しようとしても、まず会員登録を要求され、IDをパスワードを設定してから、という流れになる。当然セキュリティのためなのだが、各ショップにしてみれば会員登録数がそのまま顧客の数として対外的にアピールできる。うちはこれだけ会員数がいるんですよ、と繁盛しているのを示せるというわけだ。リピーターの買い物客も一度限りの客でも関係が無い。さらにメールマガジンを一斉配布すれば宣伝効果も高く、そこに広告を載せれば広告収入も上げられるというわけだ。

ショップだけではない。銀行のネットバンキングもあれば、ネットで保険や年金の公的記録を確認するためには、やはりIDとパスワードが必要になる。重要な個人情報を扱うのだから仕方ないのだが、便利に利用しようと思うほどパスワードの数が増えていく。最近はニュース記事を読んでいて、続きを読むには会員登録が必要ですと言われ、登録しなければならないところもある。

当然パスワードは他者に知られてはならない。一つのパスワードが流出してしまうとすべてのパスワードが知られてしまう恐れがあるので、パスワードは全部違うものにしてください、などと呼び掛けられることもある。しかし60もあるパスワードを全部違うものにして、覚えきれる人などいるだろうか。でもパスワードを書いたテキストをPCに保存して、なんてことをしたら本末転倒だ。PCに侵入された時点で、すべてのパスワードが知られてしまう。

私はこれまで一度もパスワードが割れて、個人情報が流出したりクラッカーに侵入されたことはない。しかし第三者に侵入を許してしまう事件は後を絶たない。驚いたのが、未だにセキュリティソフトを入れていない人も多いのだ。更新期限の切れたソフトを入れたままにしている人もいるが、これが全く無駄ということもわかっていない。以前銀行のキャッシュカードを紛失していないのに勝手に利用された、と言っていた知人がいたが、やはりセキュリティソフトを入れていなかった。PCに疎い私の父も期限の切れたセキュリティソフトを入れていた。1年更新ものを入れると、1年後にはまた切れたままにするだろうと思い、無料無期限のソフトを入れることにした。

セキュリティ対策を万全にするために、高度な方法も模索されている。しかし例えば指紋認証装置の場合、セキュリティ面では高い安全率を誇るが、指紋読取機が故障したら誰もログインできなくなってしまう。今ではワンタイムパスというのが普及しつつあるが、これも毎回パスワードを呼び出して、毎回違う数字を入れるという手間がかかる。

可能な限り万全なセキュリティ対策をすると、すべての登録パスワードは違う文字列にして、それをPC等には保存せず自分で記憶しておく。セキュリティソフトは常に最新の状態にする、さらにワンタイムパスのようなものでパスワードを二重にかける、とここまでやらないとならない。それでも、登録しているショップや公的機関の不手際であっさり流出する恐れもある。不要な登録アカウントは定期的に削除していく必要もある。全部やろうとすると便利なんだか不便なんだか、わからない世の中になってきた。

(戸次義継)