パレスチナ・ガザ地区では、イスラエルの総理・ベンヤミン・ネタニヤフ被告人※による攻撃で子どもを中心に多数の犠牲者が出ています。こうした中、広島でもネタニヤフ被告人に対してガザでの虐殺を止めるよう要求する行動が行われています。

(※イスラエルの現総理のベンヤミン・ネタニヤフ被告人は、日本の総理だった故・安倍晋三さんとほぼ同じようなことをやって、イスラエル警察に送検され、検察に起訴され、現職総理のまま被告人になっています。妻のサラ被告人も日本の安倍昭恵さんとほぼ同じことをやったとして罰金刑が確定しています。ネタニヤフ被告人は安倍さんと違い、野党共闘に打倒されましたがすぐに返り咲き、イスラエルの司法を日本の司法のように総理=行政府に忖度する司法に改悪しようとしています。)

このうち、11月3日の文化の日=日本国憲法公布記念日には原爆ドーム前でNO WAR NO KISHIDA 11・3ヒロシマ憲法集会2023が行われました。

 

広島市立大学准教授の田浪亜央江さん

各界のアピールの中では、広島市立大学准教授の田浪亜央江さんが中東研究者として発言。

「なんでこれまでもっとガザについて発信してこなかったのか? 後悔している」と振り返りました。

「かろうじてアメリカとは一線を画して中東アラブ諸国との関係を維持してきた日本が安倍政権下で特にイスラエルとの関係強化を図り軍事協力を進めてきた。その日本の責任は本当に大きい。日本のこの間のイスラエルとの軍事協力強化その動きは世界的に見ても突出している。」

「安倍政権で武器輸出3原則が変更され、原則自由、紛争当時国のみは除外するということで日本政府はイスラエルを紛争当事国と認めなかった。しかし今少なくとも、日本政府の立場に立っても今こうやって日々ガザの虐殺を進行しているイスラエルが紛争当事国でないわけはない。」と指摘。

「今私たちがすぐできることとしてイスラエルと日本の軍事協力をすぐに辞めさせることだ。自衛隊とイスラエルはもうすでに軍事協力共同研究を進めてきている。是非この場を借りてこのことを訴えたい。」と強調しました。

田浪さんたちは、毎日17時半、原爆ドーム前でガザ虐殺を止めろとスタンディングを行っておられます。じっと立ってくださるのでも構わないということです。夕方、広島市都心部に来られる方はちょっとでも良いのでのぞいてくださると幸いです。連絡先 tanami1012@yahoo.co.jp 

◆イスラエル=侵略者という原点

たしかに、ハマス政権(2006年のパレスチナ総選挙で勝利している)が、10月7日、ガザに対しては主に封鎖・武力行使、ヨルダン川西岸に対しては主にユダヤ人の入植という形で侵略を続けているイスラエルへの「反撃」を行いました。ただ、この「反撃」は民間人の拉致などを含むもので、国際人道法違反です。東京裁判に当てはめればいわゆるC級戦犯です。国際人道法は、侵略・攻撃側だけでなく、防衛側も守らなければならないものです。例えば、第二次世界大戦において、先に手を出した日本への米国の自衛権はあるが、東京大空襲や原爆投下は国際人道法に反します。ただ、世界最強の国・米国を裁けるような力を持った主体がないというだけです。

ところで、イスラエル自体が1948年の第一次中東戦争以降、とくに1967年のヨルダン川西岸やガザも含めた広範囲を侵略した第三次中東戦争以降、ずっとパレスチナ人を侵略してきました。そして、米国の仲介でパレスチナにおけるイスラエルとパレスチナの「二国家並立」で合意した1993年のオスロ合意以降も、イスラエルは約束を守りませんでした。特に、シャロン元首相が聖地訪問を強行してムスリムを挑発した2000年以降のイスラエルのやったことは酷すぎた。ヨルダン川西岸にはユダヤ人入植を続け、ガザは天井のない監獄状態に置かれてきた。そして、断続的に戦闘が行われ、多くの場合はイスラエルによるパレスチナ人への一方的な殺戮となった。上記の状況がある中で、ハマス政権による反撃が行われたわけです。

イスラエルがこの75年間ないし56年間やってきたことはいわば「平和に対する罪」であり「戦争犯罪」です。もちろん国際人道法にも反しています。東京裁判に当てはめれば、いわゆるA級戦犯、B級戦犯、C級戦犯すべてを含んでいるのが、これまでにイスラエル政府がやってきたことです。

◆G7広島、イスラエル全面支持の「こんな人たち」を集めた黒歴史だった

にもかかわらず、特にハマス政権による「反撃」当初は、米英仏独伊加といった日本以外のG7首脳は一致団結して一方的にイスラエルに与しました。言うなれば旧白人帝国主義国家の醜悪な面を嫌というほど見せつけられました。

ウクライナのゼレンスキー大統領もイスラエルを全面支持してしまいました。ウクライナについていえば、残念の一言です。侵略者イスラエルを一方的に支持したことに一片の正義もない。そして、ロシアに対する「ウクライナ防衛」という大義名分を自ら投げ捨ててしまいました。ゼレンスキー大統領は調子に乗ったのか、最近の「反転攻勢」が上手くいかずに焦っているのか、どちらかわかりませんが、ともかく、自分で自分の首を絞めてしまいました。これで、グローバルサウス諸国の中には、ウクライナーロシア戦争について「白人同士で勝手にやっておけ」という本音になってしまった国も多いのではないかと思います。ゼレンスキー大統領が支持を失うのは自業自得としても、巻き添えを食うウクライナ国民にとってはこのことは悲劇ではないでしょうか。

筆者は改めて「こんな人たち」(米英仏独伊加首脳+ゼレンスキー)を広島に集めたG7広島サミットは、広島にとって「黒歴史」だった、ということを改めて強く確信しました。

さらにこんなサミットの誘致を「評価」したり「期待」したりしてしまった、特に左派野党の政治家たちには反省していただきたいものです。

◆日本も米国の「最初は煽って後から梯子外し」にご注意!

さて、当初、米国は「ハマスは純粋な悪」(バイデン大統領)などと言ってイスラエルを煽りました。それにも支えられてネタニヤフ被告人が調子に乗って虐殺しまくっている面は否定できません。だがその後、国際的なイスラエル批判の世論を見て、だんだん、米国も一時戦闘停止などを言いだすようになりました。これをイスラエル側から見ればある種の梯子外しとも言えます。もちろん、米国でさえも距離を置かざるをえないこんな大虐殺を引き起こしたネタニヤフの自業自得ではあります。それでも、日本にとってはこれを他山の石としなければなりません。

米国の高官やマスコミは、2022年ころから2023年の前半くらいに、特に「台湾有事」を煽り立てました。それに呼応して麻生太郎さんらが「台湾(中華民国)とともに戦う覚悟」などと勢いづきました。

だが、そもそも、米国も日本も中華人民共和国が中国を代表する政府だ、と認めています。台湾を中華人民共和国軍が武力攻撃するような事態は絶対に避けなければならない。中華人民共和国とて、台湾=中華民国=の半導体には大きく依存しています。

しかし、万が一起きたとしても、日本に少なくとも武力で手出しをする権利は全くありません。「日本の安全保障に関わるから」程度で出兵したのならロシアのプーチン大統領によるウクライナへの自称「特別軍事作戦」と変わりません。日本はプーチンに対するのと同様の非難を米国以外のほとんどの国から浴びかねません。そして、「侵略者」の汚名を着た日本は中華人民共和国軍に「侵略への反撃」と称した攻撃の口実を与えてしまいます。そうなると、米国は米国で「俺たちは知らない」と米軍をグアムあたりに退避させることもあり得ます。下手をすれば南西諸島は中国軍の「日本による侵略への反撃」と称したミサイル攻撃にさらされます。またも沖縄は中央政府の捨て石にされる。本土に住む我々も、食料やエネルギーが止まり、下手をすれば日本が経済制裁の対象にでもなったら餓死よりほかなくなります。

今回のガザ戦争拡大における米国によるイスラエルを「最初は煽って後から梯子外し」について、日本人は刮目しておく必要があります。

日本国憲法9条とはまさに手を出して自滅しないようにする安全装置である。9条がありながら、台湾有事という名の中国の内戦にのめりこみ滅亡、などというバカげたことにならないよう、日本政府をチェックしなければなりません。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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