「C.R.A.C.WEST」ITOKENは、なぜこれほど平然と嘘をつけるのか?〈後〉

 
 

  
ツイッターアカウントITOKENこと伊藤健一郎。この春、立命館大学国際関係研究科を修了し、見事博士の学位を習得した人物である。取材班は2016年8月23日伊藤への電話取材を行った。昨日に続き、そのやり取りの後編を公開する。

写真は伊藤健一郎本人のフェイスブックより

◆「あなたの別のものであるという見立て自体が現実離れしていて」

伊藤 田所さんはフリーライターとして、これ全然関係ない質問なんですが、在特会とかカウンターによる街頭活動の取材とかなさってなかったんですか?

田所 しています。

伊藤 C.R.A.C.のことを知らなかったということだから。

田所 私は読んでいただこうとは思いませんが、反在特会、反橋下については数十本コラムを書いてます。

伊藤 そうなんですか。
(中略)
伊藤 取材不足と言うか、ジャーナリストとしてカウンターの活動を在特会に対する反対運動だと認識したらカウンターの参加者の一部の話を聞きながら……。

田所 お言葉ですが、「カウンター」という言葉ができたのはここ十年も経っていないですよね。一方、反差別活動には長い歴史があるわけですよね。私は30年ぐらい反差別活動に関わっております。「カウンター」登場以前から何十年も反差別を研究していらっしゃる方もいるわけですよね。私はそういった方と昔からお付き合いがあって、在特会の現象についてもそういう方々にたくさんご意見や見解を伺うということはしました。その方々は高齢の方々が多いので、中にはいらっしゃいましたが、「カウンター」という言葉はほとんど使われないのですよね。「反差別活動」や「反民族差別」言われましたね。

伊藤 カウンターはだから反民族差別の市民運動。

田所 ですね、新しく出てきた。街頭での反差別活動に冠された名前ですよね。

伊藤 そのカウンター活動には何十年も反差別運動に取り組んできた方がたくさん参加しておられます。ですから反差別運動に関心がおありで、というのであれば、カウンターって2013年ぐらいからワイワイやってるわけで、今2016年で2年、3年あったわけで。

田所 私、関わり出したの1980年代くらいからですから。

伊藤 だからそれはすごく立派なことをなさって。

田所 いえいえ、立派なことなんて全然思っていません。私は古いんですよ。昔から地道に反差別の研究をなさってる研究者の方とか、その活動をしてる方には知り合いが結構いるんですね。

伊藤 すごく貴重な話を聞いてると思うし、当時の古くから運動なさってる方々とかの話を聞いたりして勉強させてもらってる立場なんです。このような「カウンター」っていう新しい、そして反差別運動は昔からやってる人たちもいて、その二つの間であなたの別のものであるという見立て自体が現実離れしていて。

田所 私、一言もそんなこと申し上げてないです。別のものだと一言も申し上げてないじゃないですか。新しく出てきた、さっきおっしゃた2013年くらいから街頭に出てきたのがカウンターだとおっしゃったのは伊藤さんですよね。

 
 

  
◆「カウンターのこと知らなさ過ぎるんじゃないのかなと」

伊藤 カウンターのこと知らなさ過ぎるんじゃないのかなと。反差別運動のことを書いているのにもかかわらず、カウンター組織じゃないのかなっていうのがあって、おそらく今回の私になんか聞こうとしたっていうのも、組織だって思ってらっしゃるんじゃ。C.R.A.C.WESTが一つの集団か何かと思っていらっしゃるのかなと思って。

田所 C.R.A.C.WESTというのは集団ではないんですか?

伊藤 集団じゃないです。それツイッターのアカウントの名前です。

田所 集団というのはいろいろな定義があると思うんですけれども。

伊藤 集合的な意思決定をしていないっていうことです。

田所 伊藤さんの定義では集合的な意思決定をしていないという意味においての集団ではない。

伊藤 連絡網的な物を持ってないです。名簿もないです。これはツイッターのアカウントだからです。

田所 ツイッターのアカウントがあるだけで、名簿もなければ連絡網もない。

伊藤 ツイッターのC.R.A.C.WEST、私が動かしていますが、それは単純に何処でカウンター行動がありますよということを告知するアカウントなんです(取材班注:これも嘘である関西に限らず全国に連絡網を持っていたことは「声掛けリスト」で証明されている)。

田所 ツイッターのアカウントがあるだけであって、そこでは告知をするだけがC.R.A.C.WESTの役割だと。

伊藤 メンバーシップとかないです。

田所 名簿とかそういうもが一切ないわけですよね?
 
(中略)
 
伊藤 全然わからない。

田所 その時誰が来たかもわからない。

伊藤 もちろん何度かやってますから顔見知りはいます。

◆「連絡網に類する物はあるんじゃないですか」

田所 そうですね。知り合いになることはあるとは思いますけれど、いろんなことで制約を設けて、「こういう人は来ないでください」とか、「こういう人は来てください」とかいう様な事は別になさっているわけではないということですよね。出入り自由だということですよね。私はお電話で教えていただいて初めて分かった。ある人からは取材した時に「C.R.A.C.は連絡網あるよ」ということを聞いたことはあるんです。「C.R.A.C.とはどういうところですか?」とたまたま話題になった時に、それはC.R.A.C.の方ではなくてもっと年配の方だったけれども、「一応の連絡網は設けてるみたいだよ」という話は聞いたことがあるんです。それは誤報なんですね。

伊藤 それはあるんじゃないですか。

田所 伊藤さん、ないとおっしゃったじゃないですか。

伊藤 僕はC.R.A.C.WESTの話をしてるんです。

田所 C.R.A.C.にはあって、C.R.A.C.WESTには連絡網はないと。

伊藤 WESTの話しかしてなかったんで。

田所 じゃあ、C.R.A.C.WESTには連絡網がないけども、C.R.A.C.には連絡網がある。私がC.R.A.C.に強い興味を持って、勉強しようと思えば取材します。しかし今C.R.A.C.の組織体とかC.R.A.C.の本体とか、それとWESTの違いとか、そういったことは私の興味の中にないわけですね。ですから細かい種類の違い、性質の違いとかようないうあたりのことも、それは別に大きな問題ではなくて、私に話してくださったこと、お伝えいただいたことが事実ではあるわけですね。だからC.R.A.C.には連絡網はあるわけですね。

伊藤 連絡網に類する物はあるんじゃないですか。

田所 C.R.A.C.WESTにはないわけですね。だから私が聞いたことは間違いではなかったということですね。伊藤さんがおっしゃっていることも間違いではないということですね。

 
 

  
伊藤 反差別運動の取材をしながらC.R.A.C.に関する、C.R.A.C.系の新しいカウンタームーブメントに対する反差別ムーブメントに対する取材がこれはされてないんじゃないのかなという印象は僕は持ちます。そしてそれは田所さんがとかそういうことじゃなくて、情報の制約がちょっと大きいんじゃないかなということを感じます。ツイッターで見てないということがかなり大きな原因になってるかとは思いますが(取材班注:田所は「余計なお世話だ!」と言うのを我慢して伊藤からさらなる情報をとろうとしたという)。

田所 それは今後の私の課題として有難いアドバイスとして承っておきます。

◆「知らないですね。被害者、あいつですか」

伊藤 最近カウンターも下火になってきてましたから、あまり現場でカウンターの取材をする機会もないかと思いますが、現場に来てみればいろいろ新しい発見もあると思いますが。

田所 はい、それも私に対する伊藤さんからのアドバイスとして、現場の方からのアドバイスとして、有難く承っておきます。ということで、累々お尋ねいたしましたが、伊藤さんからは私が要するに「現場を知らない」ということを今後の課題ということで最後に頂きましたが、私を「誹謗中傷」したと、私は「嘘つき」だということについては撤回していただけるということはご確認いただけますか。

伊藤 はい。

田所 では、ツイッター消してくださいね。

伊藤 探してみます。

田所 名誉毀損ですよ。あなたが撤回すると認めていただいたんですから。私を嘘つき呼ばわりしてツイッターまだ残っているでしょう。出てこないんだったら教えてあげますよこちらから。

伊藤 対応します。誹謗中傷の件について。

田所 何月何日のものかご検索いただけませんか? 今お手元にあるわけですよね。それから伊藤さんはご存知かどうかわかりませんが、野間氏はツイッターで被害者のことを誹謗中傷してその本名なり所属なりを公にするということで今提訴されてますよ。

伊藤 そうですか。

田所 ご存知ないですか?

伊藤 知らないですね。被害者、あいつですか。「M」か(取材班注:伊藤は「M君」の本名を語り「あいつ」と表現した。ここに伊藤の本心が現れている)。

田所 そうですね。

伊藤 M君の取材はなさってるんですよね?

田所 してますよ。情報が入ってきたからは、加害者、被害者両方から話聞かないことには記事書けませんから。

伊藤 加害者の人たちに取材とかなさっているんですか?

田所 ええ、私すぐ李さんに電話しました。だから李さんが書いてるツイッターを見て、あなたは私に対して「嘘つきだ」ということを言ってるわけでしょ。他にどこにもそんな発信ないですよ。

伊藤 李さん以外に取材は?

田所 していますよ、安田浩一さんとか。

伊藤 安田浩一さんは加害者じゃないじゃないですか。

田所 周辺の方にいろいろ取材しないとわからないでしょ。他の加害者の方はどこにいるかわかんないんですから。もしご存知だったら教えてくださいよ。ご存知なんですか、伊藤さんは?

伊藤 知らないですよ。知らないっていうかそれあの……(取材班注:伊藤は少なくとも加害者「エル金」とは連絡を取っていたのであるからこの回答も虚偽である)。

◆「そうですね、これ間違ってるので消します」

田所 私探してるけれども取材する連絡先がつかないのでね、取材できればぜひ取材したいと思ってますけれども、連絡先を探しても出てきませんから。
  
  

 
 

  
伊藤 あ、あった。僕が一つツイートしてるケースで、李信恵さんからC.R.A.C.関西のイトウからって、4月30日のツイートですね、今年の。李さんが「鹿砦社のライター、田所さんのことですね、C.R.A.C.関西のイトウの連絡先を教えろと言ったら東京から非通知だったので連絡先はわからない」て。

田所 だからそれが嘘なんですよ。

伊藤 そういうふうに李信恵さんが書いてるツイートがあるんですね。

田所 私「東京」からなんて一言も言ってませんよ。どうして非通知でかかってきたのにどこからかかってきたかわかるんですか。「かけてきた人間がC.R.A.C.関西のイトウと名乗ったんですが、その人がどこからかけてきたかはわかりません」と申し上げたんです。それ以外に私申し上げ方ありますか?

伊藤 それでいいんじゃないですか。

田所 そのことをもって、あなた問題にしてるわけでしょ。

伊藤 僕が言ってるのは、C.R.A.C.関西のイトウって、もしかして私? ていう反応を僕が書いてるだけですよ。これに関して。

田所 それが最初ですね。

伊藤 これは別におかしくないですね。C.R.A.C.関西のイトウから電話かかってきたって言ってるんだから。

田所 それが最初ですね。4月。

伊藤 あと、田所さんのことを書いた記事で発言してそうなのは……。7月……。1個ありますね、野間さんとのやり取りで、7月11日野間さんが「Mが私を訴えている裁判の原告側代理人も浅野健一さんの支持者らしい」浅野さんって「週刊金曜日」に書いてる方ですよね。そのやり取りがあって、「C.R.A.C.関西のイトウを名乗って、あちこちに電話かけていた不届き者」これは僕の事実誤認ですね。

田所 C.R.A.C.関西のイトウを私が名乗る必要がどこにあるんですか?

伊藤 これは事実誤認です。これは間違ってる。

田所 それいつですか?

伊藤 7月11日、だいぶ前です。

田所 事実誤認ですね、全くの。

伊藤 そうですね、これ間違ってるので消します。ツイッターのアカウントはお持ちじゃないんですか。

田所 私はツイッターはやりませんので持ってないです。

伊藤 じゃあ検索だけですか。

◆「むしろ相手の失言などの揚げ足をとる方早いかと」

田所 人が書かれたのを見ることはありますけど、自分のアカウントは持っていません。ちなみにこれもしご存知であればで結構なんですが、「男組」というのはまだ今でも存在してるんでしょうか?

伊藤 よくわかんないんです。「男組」はいるんじゃないですか。この前また再結成しましたと言っていたので、いると思いますよ。男組アカウントもありますし。

田所 男組はまだ活動なさってるんですね?

伊藤 沖縄行ってると思いますよ(取材班注:伊藤は「よくわかんないです」と言いながら「沖縄にいってる」ことを知っている)。

田所 C.R.A.C.も関西だけじゃなくて同じようにずっと活動なさってるんですね。中央のC.R.A.C.も活動なさってますよね。最近はさっきもおっしゃように在特会側がおとなしくなったから、あんまり街頭活動は関西ではそんなになさってないと。

伊藤 法律できたんで、その法律で引っ掛けるのが一番早いということで、過激なカウンターというよりはむしろ相手の失言などの揚げ足をとる方早いかと。

田所 戦術が変わったわけですね、法律ができたから。なるほど。

伊藤 安田浩一さんとはどれくらいの取材をしたんですか?

田所 30分位ですかね、電話でお話しさせていただいたのは。今回伊藤さんにお送りさせていただいたのと同じような質問状を送らせていただきまして、それについてのご回答は頂いてます。
 

 
 

 
伊藤 関西であとカウンターを取材なさってると言ったら、李信恵さんぐらいですか。西岡研介さんとかとも。

田所 西岡研介さんには質問状を送らせていただきました。

伊藤 お返事は頂きましたか?

田所 頂きました。

伊藤 その返事というのは、鹿砦社のホームページに公開されるんでしょうか?

◆「田所さんの論評というものも当然的外れなものになりますね」

田所 伊藤さんは公人ではありません。今大学院生でいらっしゃるんですよね。ですから今やり取りさせていただいたことは、活字にすることは致しません。公人やみなし公人、ジャーナリスト、研究者とか政治家とかそういう公人の方の見解は文字にさせて頂こうと思ってますけど。伊藤さんはあくまでも私のことをツイッターで言及されていらっしゃったのでね。ですからどうお考えなのかなということをお尋ねしたくて、質問状を送らせていただいたということです。(取材班注:取材文中では「伊藤は大学院生だから活字にしない」と田所は述べている。取材班も最初はそのつもりであった。しかし「説明テンプレ」や「声掛けリスト」を作成するなど組織的隠ぺいと、「M君リンチ事件」の正当化を図ろうと動き回った伊藤は、重大な責めを負うべき人間であるし、「#安寧通信」には実名で寄稿しているのでこの際やり取りの主要な部分すべてを公開する。伊藤健一郎博士! なにか文句があればいつでも鹿砦社へ連絡を寄こされよ。)

伊藤 さっき消しました。

田所 もうすでに消されました?

伊藤 はい。

田所 じゃあもう見られませんね。わかりました。ありがとうございました。では最後に確認ですけど、私が「嘘つきだ」ということを発信されたということについては、今はもう消していただいたこと、そのご認識も改めていただけたと。

伊藤 もちろんそれはもうあれは嘘つきではなかった。

田所 それから最初おっしゃった、原稿を書くにあたっては伊藤さんが過去『NO NUKES voice』に寄稿されたということを私が調べていなかったのは「私の取材不足だ」ということについても、それはそういうことではないとご認識いただけたと。

伊藤 それに関しては、私は仕方がないであろうと。田所さんは現時点での反差別運動に対する取材が不足しているのではという認識は変わりない。

田所 ご意見ですね。ただし私は敵対してるというふうにお考えですか?

伊藤 それは思いませんけど、あまりにも知らなさ過ぎるので、田所さんの論評というものも当然的外れなものになりますね。そうすれば書かれてる方としては、こいつはどういう意図でこういうことを書くのかというふうに類推するのはやむを得ないというふうに思います。

田所 おっしゃることのご意見は、伊藤さんがそういうふうにお感じになってるということを私も受け止めました。ありがとうございました。それでは大変長い時間かかって恐縮だったんですが、こちらが確認させていただきたいこと、それから伊藤さんもこちらからお尋ねしたことによって認識を改めていただいたこともあると思いますんで。

伊藤 特に改まってない。

田所 え? じゃあ私が嘘つきだとまだ思ってらっしゃるんですか?

伊藤 今、改めます。

田所 あなたのところに私が一時間も電話しているのは、あなたが私を「嘘つき」だということをツイッターで発信してるからですよ。

伊藤 それはもう認識を改めました。

田所 あなた改まってないと言うじゃないですか。

伊藤 改まってないというのは、田所さんがカウンターのことであったり反差別の現時点のことをあまりご存知ではないという認識は変わらないと。

田所 そのことを聞いてるんじゃない! あなたは私が「嘘つき」だという認識は改めましたねと聞いてるんですよ。

伊藤 それは改めました。同時に無知であるなというのは認識を新たにしました。

 
 

◆「言ってもないことを言ったと言われるのもすごい嫌ですよ」

田所 無知だとね。無知と今度はおっしゃるわけですね?

伊藤 先程から言ってることです。

田所 十分に知らないのではなくて、無知だということですね?

伊藤 十分に知らないということで、無知というふうに。

田所 十分に知らない。少し知っている。全く知らない。の中の、あなたは私を無知とおっしゃたわけですね。

伊藤 十分に知らないという意味で。

田所 いやいやあなた無知と言ったでしょ、私を。私は現在の反差別運動に対して無知だと明言されましたね。無知というのは何も知らないという意味ですね?

伊藤 それは私の言葉の誤りでした。

田所 どう改められるんですか?

伊藤 あまり知らない。あまり知らないままに書いているということです。

田所 伊藤さんの認識の中では、私は現在の反差別運動についてあまり知らないままに書いているという認識だということですね。

伊藤 はい。

田所 でも本音では無知だと思ってるから、そういう言葉が口に出るんじゃないですか?

伊藤 別にそれはどうでもいいんじゃないですか?

田所 どうでもよくないですよ。あなた無知って呼ばれて気分悪くなりませんか?

伊藤 私も気分悪くなってる。

田所 「嘘つき」と言われたら気分悪くなりませんか?

伊藤 なりますよ、そりゃ。

田所 あなた、私に対して2回も3回もやってるわけじゃないですか。

伊藤 言ってもないことを言ったと言われるのもすごい嫌ですよ。

田所 「嘘つき」とあなたずっと残してたじゃないですか。今日まで。

伊藤 それは本当に申し訳なかったです。

田所 その上にあなたさっき私のこと無知だって言った。 おい! まだ残ってるじゃないか! 「あ、間違えた。この電話番号はC.R.A.C.関西のイトウから聞いたとか言いながらリンダさんに電話してきた嘘つきですわ」って、消してないじゃないか、お前これ! おい。消したって言ったじゃないですか、あなた、私にさっき。

伊藤 7月11日のやつですよね。

田所 消したものがなぜ見られるんだ!

伊藤 7月11日の何時のやつですか?

田所 時間まで出るかい、そんなもん。いちいち私がそんなことなんで申告せなあかんの。君は消したって言うたやろ、私に対して。

伊藤 「この電話番号はC.R.A.C.関西のイトウから聞いたとか言いながら……」これあれや、2通あったみたいです。

田所 「これ、あれや」で済みませんよ、あなた。消したというふうにちゃんと申告したでしょう。

伊藤 申し訳ないです。

田所 私はあなたを信頼して、無いんだろうなと思って見たら残ってるじゃないですか、これ。

伊藤 申し訳ないです。

田所 あなた最初から私を「嘘つき」呼ばわりしておいて、消したといった書き込みを残しておいて、笑って、野間が笑って、挙句の果てに私は無知ですか。

伊藤 それはまた別の話なんで。

田所 別の話じゃない! 君は言ったこと誠実に履行してないじゃないか!

伊藤 申し訳なかった、このことに関しては。田所さんの名前は……

 
 

  
田所 おまけに最後にオマエ無知と言っただろう、俺のことを!

伊藤 ツイートに引っかからなかった。申し訳ない。もう少ししっかり見てみますね。

田所 注意してくださいよ、こういう表現を。あなた大学院生だからね、先程申し上げた通り記事にしないけれども。人を誹謗中傷、罵倒するのは、それなりの覚悟がなかったらダメですよ、あなた。

伊藤 情報に対してはすごく誠実にならないといけないと。

田所 迂闊すぎますよ、あなた。

伊藤 そうあろうと思っています。アドバイスありがとうございます。

田所 アドバイスじゃない、被害者からの申告ですよ。あなたによって「嘘つき」だと書かれたのが、4月に一番初めにあるわけだよね。7月だって一月以上ほったらかしにされてるわけでしょ、あなたのツイッターの中では。もうちょっと注意深くなるべきですよ、学徒としては。

伊藤 ありがとうございます。

田所 最後に私に対しての「嘘つき」だということを書き込んだということ明確に言葉でいいですから謝罪してください。

伊藤 嘘つきと書き込んで申し訳ありませんでした。

田所 それから、書き込みを消すと言いながら消していなかった事実についても再度謝罪してください。

伊藤 これは私は私が意図的に消し忘れたのではないですけれど。

田所 ミスにしたって残ってたわけでしょう。結果責任じゃないですか。

伊藤 ミスを犯してしまって申し訳ありませんでした。

田所 もう一回探しといて下さい、あなた、スクリーニングして。他にないかどうか。もう一度見直ししておいて下さいね。よろしいですか。

伊藤 はい。田所さんもよくカウンターのこと調べてから書いてくださいね。

田所 それは全然別のこと。私はあなたからさっき頂いたアドバイスは私についてのアドバイスだと受け取りましたと申し上げましたよね。私がこれからの課題ですから、受け取りましたと申し上げました。私はあなたに具体的にこれを削除してくださいとお願いしたことを、あなたは履行しなかった。

伊藤 履行しなかったからというか、ちゃんと、ね、はい。

田所 結果履行しなかったろう、オマエは!

伊藤 怒鳴らないで下さい。

田所 怒鳴るわ! こういうふうに怒鳴られながら、殴られながら、顔蹴飛ばされながら、病院送りになったわけですよ、被害者は。怖いでしょ、怒鳴られたら。嫌でしょ。

伊藤 嫌ですね。嫌だと思います。

田所 そういう目にあったんですよ、M君は。あなた電話越しだから私が何もすることないけれども、60発顔殴られたらどんな気持ちになりますか、あなた。あなた顔を蹴飛ばされたことありますか。

伊藤 無いですね。

田所 それをあなた何とも思わないんでしょ。

伊藤 何とも思いようもないですね。

田所 何とも思いようもないんでしょ。それが君の人間性だ。

伊藤 そりゃ嫌でしょうね。

田所 ありがとうございました。今後もしそのような書き込みがあった場合は、今回は口頭でお願いしましたけど、今後は口頭では済みませんからね。伊藤さんがツイッターにいろんなことを書くのは自由ですけれども、私について事実に反することを書かれた場合は一度は電話でご連絡差し上げましたけれど、二度目は口頭注意では済みませんよ。

伊藤 わかりました。

田所 では、失礼いたします。

 
 

 
と電話を切ったが、後日さらに田所に対する虚偽事実の書き込みが残っていたことが協力者から伝えられる。田所は再び伊藤に抗議し当該書き込みを削除させたが、伊藤の軽率さは修正されないようである。

(鹿砦社特別取材班)
最新刊『人権と暴力の深層』カウンター内大学院生リンチ事件真相究明、偽善者との闘い(紙の爆弾2017年6月号増刊)
AmazonでKindle版販売開始!『反差別と暴力の正体――暴力カルト化したカウンター-しばき隊の実態』(紙の爆弾2016年12月号増刊)
重版出来!『ヘイトと暴力の連鎖 反原連―SEALDs―しばき隊―カウンター 』(紙の爆弾2016年7月号増刊)

「C.R.A.C.WEST」ITOKENは、なぜこれほど平然と嘘をつけるのか?〈前〉

 
 

  
ツイッターアカウントITOKENこと伊藤健一郎。この春、立命館大学国際関係研究科を修了し、見事博士の学位を習得した人物である。取材班は2016年8月23日伊藤への電話取材を行った。その際のやり取りは詳細には明かさなかったが、のちに、伊藤は元鹿砦社社員の藤井正美へ「M君リンチ事件」を歪曲しながら、隠蔽を組織立って指示するメールを2015年3月31日に送信していたことが判明する(『反差別と暴力の正体』参照)。

写真は伊藤健一郎本人のフェイスブックより

電話取材を行った時点では伊藤のこのような関与は明らかではなく、以下ご紹介するようなやり取りが、1時間以上にわたり行われたが、この中でも伊藤は明白な虚偽をいくつも述べている。それだけでなく、お読みいただければお分かりだろうが、伊藤は極めて軽率な人間であり、記憶力にも疑問が生じる。

かつては「末は博士か大臣か」と言われたほどに博士号の取得は困難を極めた。いくぶんそのハードルが下がったとはいえ、博士の学位を手に入れるのは容易なことではない。ここにご紹介するように、伊藤は直前に自分が述べたこととまったく矛盾する内容で「駄々をこねる」。このような人間が書いた博士学位取得論文には実に興味があるが、先日の李信恵のツイッターでの虚偽に続き、いかに「しばき隊」の連中は平然と嘘を吐けるのか。ここで読者に新たにその証拠を提示しておく。

なお、取材文中では「伊藤は大学院生だから活字にしない」と田所は述べている。取材班も最初はそのつもりであった。しかし「説明テンプレ」や「声掛けリスト」を作成するなど組織的隠ぺいと、「M君リンチ事件」の正当化を図ろうと動き回った伊藤は、重大な責めを負うべき人間であるし、「#安寧通信」には実名で寄稿しているのでこの際やり取りの主要な部分すべてを公開する。伊藤健一郎博士! なにか文句があればいつでも鹿砦社へ連絡を寄こされよ。

◆「僕の名前出てきてましたよね」

田所 お邪魔いたします。伊藤健一郎様でいらっしゃいますか。私、鹿砦社の田所と申しますがお世話になります。

伊藤 こんにちは。

田所 お邪魔いたします。先だって私どもの代表取締役のほうから伊藤様へ「ご質問」と言う文書を送らせていただいたのですが、お手元に届いておりますでしょうか?

伊藤 いつ頃送られたものですか?

田所 8月5日です。

伊藤 ちょっと見てないですね。

田所 郵便で送らさせて頂いたのですが。

伊藤 ちょっと見てないですね。

田所 届いていないということですか。

伊藤 どう言った内容のものを送っていただいたんですか?

田所 私ども『ヘイトと暴力の連鎖』と言う本を出版いたしまして、それについて伊藤様がツイッターで発言をなさっていらっしゃいましたので、そのことについてお尋ねのご質問を送らせて頂きました。

 
 

  
伊藤 そうですか。その記事の方って言うか、一部は人に見せてもらったんですけど。

田所 記事とおっしゃいますと、その書籍のことでしょうか?

伊藤 ええ、そうです。あの本は田所さんが執筆されたんですか? 

田所 部分的に私が書いてるところもございますし、取材班ですので複数の人間が取材しております。

伊藤 僕の名前出てきてましたよね。

田所 私が出したのではなくて、李信恵さんが出されてるわけです。

伊藤 いえ、そうじゃなくて。取材班に「関西のイトウ」という者が電話してきたっていうふうに。

田所 はい、あれは私にです。

伊藤 田所さんは僕から電話受けたんですか?

田所 違います。李さんがツイッターに書かれたことは少し事実と違います。私が李さんに申し上げたのは、「非通知で電話がかかって来てその中で男性の方がC.R.A.C.関西のイトウという名前で話をされた」です。ですから李さんにお話を差し上げた時も最初に申し上げたんですが、果たしてそう人が本当に存在するのか、あるいはそういう団体があるのかもわからなかったわけです。ましてや伊藤健一郎さんを私は全然存じ上げてなかった。私に電話がかかってきたことは事実です。その内容が衝撃的でしたので、本当かどうかということを確認する必要があろうということで、李さんには取材のお電話をさせて頂いたのです。その時に李さんが、「C.R.A.C.関西のイトウと言うのはイトケンのことやろう」というふうにおっしゃったけども、イトケンと言われても私にはわからない。

伊藤 鹿砦社の方で執筆されてるんですよね。

田所 私はフリーです。フリーのライターです。

◆「僕に対する名誉毀損でしょ、それ」

伊藤 僕は鹿砦社に「C.R.A.C.WESTのイトケン」という名義で記事書いてるんですけど。

田所 鹿砦社のどこに書かれてるんですか?

伊藤 紙の爆弾です。じゃなくて、間違いました。ノーニュークスマガジン(取材班注:『NO NUKES voice』のことだと思わる)ていうのに一度記事書いてるんですけど。鹿砦社の方からなかったですか? イトケンっていうのはこの記事を書いてる人だよって。

田所 伊藤さんがお書きになってるわけですか? そこに。

伊藤 ええ、そうです。

田所 伊藤さんが『NO NUKES voice』に記事をお書きになってるんですか?

伊藤 そうです。

田所 伊藤さん、何号でしょう、『NO NUKES voice』。

伊藤 えっと、だいぶ前なんで、2004年とかなんで(取材班注:2014年の間違いと思われる。2004年に『NO NUKES voice』は存在しない)。

田所 2004年頃、その時に執筆いただいてるわけですね。

伊藤 そうです。そこでもカウンターの運動と差別運動に対する妨害をどうやってカウンターが、妨害に関する記事を書いているので、僕としては不可解だった。

田所 それでしたらそう思われるの無理ないですね。先程申し上げましたように私フリーで仕事しておりまして、ここ2、3号は『NO NUKES voice』にかなり関わっていますが、それ以前は数回寄稿した程度の人間です。

伊藤 それは田所さんの取材不足でしょ。「C.R.A.C.WESTのイトウを名乗る者」っていうふうに電話かかってきたんだったら、私の方に確認するべきでしょ、書く前に。

田所 どうやってですか?

伊藤 C.R.A.C.関西のイトウと名乗る者からって、僕に対する名誉毀損でしょ、それ。

田所 何が名誉毀損なんですか?

 
 

伊藤 読んだ人そう思いません? 読んだ人はC.R.A.C.関西の伊藤が垂れ込んだのかなって思うじゃないですか。

田所 非通知でかかってきたということを私は李さんに伝えましたよ。

伊藤 そういうことを僕に確認もせずに書くっていうことはどうなんですか?

田所 全ての媒体を全て読めということを私に要求されても世の中にある全てに目を通すことできませんよ。

伊藤 それは単純に田所さんの取材不足っていうことで、それ誰にでもあることですからいいですし、特に責めようとは思いません(取材班注:と言いながらのちに何度も同じ内容で伊藤は田所に絡んでいる)。

田所 鹿砦社の出してる媒体もたくさんありますし、私、鹿砦社だけで仕事してるわけではないので、今ご指摘いただいてそのこと初めて知りました。

伊藤 C.R.A.C.関西のイトウを名乗る者ですよね。

田所 連絡先を教えて下さらないわけですから、非通知で。私に言われたことの内容には事実誤認もあったわけです。正しいこともありました。どうして知ったのかということは記事上で明かしておかなければ、逆にそれはなぜかとなりますね。李さんに取材をさせて頂く際に「どこからこの話は出てきたのか」ということでご説明は申し上げた次第です。それで「お尋ね」は届いていないわけですね、伊藤さんのもとには。

伊藤 いえ、届いていないです。

◆「そもそもこの事件に全く関心がないです。関心だけでなく全く関係もないですね」

田所 では、そんなに大量ではないのでそこでお尋ねしたかったことを今教えていただきたいと思うのですが。

伊藤 大まかな内容を聞いていただければ。

田所 大雑把にお尋ねいたします。暴力事件があったということはご存知だと思うのですが、伊藤さんはいつ頃この事件についてお知りになりましたか?

伊藤 覚えてないです。そもそもこの事件に全く関心がないです。関心だけでなく全く関係もないですね(取材班注:完全な虚偽である、前述の通り2015年3月31日に伊藤は事件隠蔽と歪曲を指示するメールを鹿砦社元社員藤井正美へ送っている)。

田所 ご関係のないのはそうだと思うんですけど。

伊藤 C.R.A.C.関西のイトウって名乗ってる奴が何が言いたかったか知りませんけど。

田所 ご存知ではあるけどご関心はないわけですね、わかりました。

伊藤 個人の喧嘩でしょ。

田所 我々はそういうふうには捉えておりません。加害者の人たちも喧嘩だとは述べられておりませんね。加害三名の方はいずれも加害行為を認めていらっしゃいますので、喧嘩ではないですね。

伊藤 加害者の人はそう言って謝ったんですか?

田所 加害者の人は暴力を認めてるわけです。

伊藤 僕は加害者じゃないわ。

田所 伊藤さんが加害者だと私は一言も申し上げてない。「喧嘩でしょ」とおっしゃったので、喧嘩ではないと我々は理解してると申し上げてるだけです。

伊藤 わかりました。

◆「どうも思わない」

田所 このことについてご関心がないということですね。引き続き。李信恵さんはご存知ではございませんか?

伊藤 知ってますよ。

田所 李信恵さんは今在特会の元会長を相手取って裁判をなさってらっしゃいまして、もうすぐ判決だと聞いています。李信恵さんに刑事罰は下されなかったんですね。残りの二人の方が刑事罰を受けるということになりました。李信恵さんは「コリアNGOセンター」で事件の聞き取りを受けた時に、ご自身の口から「私が殴った」ということを明言されているんですね。このことについてはどうお考えになりますか?

 
 

伊藤 どうも思わない(取材班注:この「どうも思わない」は安田浩一、西岡研介らからも聞かれた言葉で、不都合な質問には「どうも思わない」と答えるように意思統一がなされているかのようだ。)。

田所 人に暴力を振るうことについて、伊藤さんは別にどうとも思われない、そういう理解でよろしいですか?

伊藤 それがどう状況で振るわれた暴力であるか、暴力と言うに至るものであるか、僕は知らないのでどうも言えないと思います。

田所 詳細が分からないので評価ができないと。

伊藤 暴力を振るうことに関して良い訳がないじゃないですか。暴力を肯定するのかという話かもしれませんけど、するわけない(取材班注:伊藤は「説明テンプレ」の中で必ずしも暴力を否定していない。「M君」には暴力が振るわれても仕方ない、と言わんばかりの主張を展開している)。

田所 暴力は肯定しないけれども暴力がどういう状況で振るわれたかわからないのでその答えについては……?

伊藤 どのような状況で振るわれた暴力かわからないし、暴力に至るかどうかわからないので何とも言えないと申し上げたんです。

田所 ですから判断保留ということですね。

伊藤 そうです。なので、もしどっかに書くんだとしたらそういうふうに書いてください。

◆「それは刑事罰が下ったんじゃなかったでしたっけ」

田所 わかりました。それではもう一名の方は一時間以上60発以上顔面を殴ったり、顔面を蹴飛ばしたりという暴行を加えてるんですね。被害者の方は一切抵抗していない中でです。この暴力についての伊藤さんの評価はいかがですか?

伊藤 それは刑事罰が下ったんじゃなかったでしたっけ。もうそれで終わりじゃないですか。

田所 このような暴力を伊藤さんはやはり是認しないと。

伊藤 ダメに決まってるでしょ。だから刑事罰を与えられたんじゃないですか。

田所 そういったことは許されないことだとお考えになると。

伊藤 もちろんです。

田所 許されないということですね。この時に刑事罰が下った方、2名いらっしゃるんですけれども、1時間以上にわたる暴力行為が行われている時にそれを横で制止をせずに見ていらっしゃった方が居るんですね。この行為についてはいかがお考えですか?

伊藤 どうも思わないですね。

田所 伊藤さんが仮にそこにいらっしゃっても別にお止めにはならない?

伊藤 私はそこに居たわけじゃないんで、どうも言えない。

田所 どうも思わないんじゃなくて、どうも言えない。

伊藤 何とも言えないですね。

田所 不自然とも思わない?

伊藤 何とも思わない。なんのこっちゃわからない。

◆「田所さんについて僕が書いたことってありましたっけ?」

田所 何のことかよくわからない。わかりました。最後にお尋ねなんですが、伊藤さんがツイッターで私に関する書き込みを行われたことがございますよね。

伊藤 同志社の大学事務で働いていて……。

田所 というようなことを含めてお書きになったことありますよね。

伊藤 田所さんについて僕が書いたことってありましたっけ?

田所 ありますね。

伊藤 田所さんの名前出してました?

田所 ええ。明示されてますね。

伊藤 あれ以降ですね、田所さん取材とかなさってて、李信恵さんの取材とか。

田所 その後ですね。「私が嘘つきである」という様なニュアンスの書き込みもなさっています。

 
 

 
伊藤 はい。一つリツイートですね。「東京から非通知の電話がありましたということを鹿砦社の田所さんが言ってるんです」それだけじゃないですか? 田所さん出したの。

田所 私の人物についての評価はそこに書かれていませんでしょうか?

伊藤 ないですね。ないと思いますけど。僕が一つ書いてるのは全く別の件で、SEALDs叩き、「SEALDsごときに選挙運動を頼れば」、みたいなことをと書いてある記事に関して、「その文章がヘタクソ」みたいなことを書いてるんですね。以上ですね。今過去のツイートを見てみましたが。

田所 SEALDs叩きは私の文章に対する評価ですのでいろいろな方がいろいろお感じになるんだろうと思いますので、そのことは別に構わないんですけれども。「嘘をついた」というような表現はありませんか?

伊藤 ないですね。……ちょっとお待ちくださいね。

田所 正確にご覧いただけますでしょうか。

伊藤 田所さん、下のお名前は?

田所 田所敏夫です。

伊藤 本名が○○○○さん。

田所 不思議ですね、それをなぜご存知なんですか?

伊藤 そのようにツイッターに書かれてるからです。

田所 誰がですか?

伊藤 野間さんが書いてます。

田所 私、野間氏にそのこと伝えた記憶ないんですけれど。

伊藤 わからない。どのような経緯があったかは。

田所 これは伊藤さんには関係ないことなので、別に伊藤さんにお伺いしようとは思わないのですが。

伊藤 あまりバレるとまずいことなんですか?

田所 いいえ、まずくないです。そうではなく、野間さんが書かれたことと今私が伊藤さんにお尋ねしてるのは別のことです。ただし、彼が私の本名を晒した元になるものは著作権違反のところから取ってきてるんですね。私の個人のプライバシーの問題もありますが、他者が著作権を持っているところから持ってきて書いているわけですね。著作権を持っている方に確認をしましたが「使用許諾は出していない」と。でもそれは伊藤さんには関係ないことで、そこからお知りになったということはわかりました。そのことで私について言及していただいたところで、私の人物についての評価をお書きになってませんか?

伊藤 僕、自分では確認できなかったんですけど、そうおっしゃるんであればどっかで書いたんでしょう。

田所 あったわけです。嘘つきというような形のことが書かれているのですが、そうであれば伊藤さんこそ私の方に事実確認を何故なさらなかったんでしょうか。

伊藤 だって私あなたを知らない。電話番号も連絡先も知らない。

田所 私は「デジタル鹿砦社通信」に寄稿する際メールアドレスを明示しています。あなたは先程ご自身が『NO NUKES voice』に寄稿したことを私が知らなかったことを「取材不足」だとおっしゃいましたが、そういうことをおっしゃるのであれば私はコラムにメールアドレスを明示してるわけですから、それをお調べにならずに一方的にお書きになるのはバランスを欠くのではないですか。

伊藤 僕、嘘をつかれてる方なんで。

田所 嘘をつかれている?

伊藤 それを書く方が言ったらダメなんじゃないですか。

田所 私の何が嘘なんですか?

伊藤 東京から非通知の電話があったというのは、そのC.R.A.C.関西のイトウなんですよね。

田所 私は「東京から」とは言ってません。どこからかかってきてるかわからない、と李さんには言いました。非通知ですから。

伊藤 イトウを名乗る者から電話があったと。

 
 

田所 それはありましたよ。あったから知ってるわけですからこういうことを。

伊藤 その記述っていうのは僕を指してる。

田所 なにをいっているんですか。イトウさんてのは山ほどいるじゃないですか。「伊藤さん」、「佐藤さん」なんてその辺に転がってるじゃないですか。あなたのお名前が特段のわかりにくい、あるいは特徴的なお名前だったら別ですよ。伊藤って言われてあなた個人、伊藤健一郎さんを私が特定することがそんなに容易なことですか?

伊藤 「C.R.A.C.関西」って特定されてますよね?

田所 わたしが「C.R.A.C.関西」といったわけではないです。

伊藤 あなたが知らないだけでしょ。

田所 だから私が知らないことを責められてどうするんですか?

伊藤 「C.R.A.C.関西のイトウ」っていうのを読む人が読んだら、「C.R.A.C.関西」っていう団体はないけど。

田所 「C.R.A.C.関西」という団体がないんだったら別に誤解も何もないでしょう。あなた私が嘘つきだということを主張してるわけですよ。撤回しませんね。撤回するんだったら今すぐに撤回しなさい。

伊藤 嘘つきって言ったのは申し訳なかったですね。

田所 じゃあ、嘘つきは撤回しますね?

伊藤 嘘つきじゃないけど……。

田所 いやいや明解に答えてください。嘘つきだというのは撤回なさいますね?

伊藤 撤回します。

田所 撤回なさいますね?

伊藤 はい。

田所 わかりました。では嘘つきと言われたことは忘れます。

伊藤 はい。ただ不誠実な人だなと思いましたよ。

田所 不誠実。どのような点で

伊藤 いい加減なことを書くなと思いました。ジャーナリストとして。

田所 いい加減なこと。具体的にどのようなことでしょうか?

伊藤 さっき言ったことです。C.R.A.C.関西のイトウと呼ばれる人物からっていうところです。

田所 事実だから事実を書いたわけですよ。

伊藤 そういうふうに書くと、それは読む人が読めば、ああ、C.R.A.C.WESTのイトケンだなというふうに判断します、というふうに僕は考えます。これは別に他の方に聞いてもらえばいいんですけど

田所 お言葉ですが、C.R.A.C.WESTを知ってる人間は伊藤さんが思ってるほど世の中たくさんいませんよ。

伊藤 だからさっきも言った通り、読む人が読めばって言ったじゃないですか。

田所 読む人が読めばっていう狭い世界でしかわかりませんよ。

伊藤 ええ。それ何人ぐらい狭い世界って判断されるわけですか?

田所 数値化してそれが多いか少ないかっていう無駄な議論をしても意味はないです。事実を書いたまでですから。

伊藤 でもこれを読んだ人の中にはきっといますよ。僕が裏切ったと考える人が。

田所 それはその方の勝手でしょう。

伊藤 いや、あなたがそういうことをやったんでしょ。

田所 私はあなたに確認すべきだったということがあなたの主張なわけですか?

伊藤 というかむしろそれって要するに一つの人権侵害ですね。僕が言ってもないことを言ったようにされてるんだから。

田所 どこにもあなただという特定はしてないでしょ。伊藤健一郎とどこにも書いてないじゃないですか。

 
 

  
伊藤 うんうん、苦しい言い訳ですね。

田所 どこが苦しいんですか? 伊藤健一郎さんのお名前を知ったのはそのずっと後ですよ。

伊藤 別にあなたが僕の名前を知ってないのは当たり前で、そのことを言おうとは思いませんよ(取材班注:このあたりから伊藤の論理は支離滅裂である)。

田所 ん? 逆のことおっしゃった。あなたは「取材不足だ」とおっしゃったじゃないですか、私に対して。『NO NUKES voice』にあなたが寄稿されたことがあるんだからそれを調べればわかる、とあなたさっきおっしゃいませんでしたか?

伊藤 言いましたよ。

田所 私、知りませんでした、そのこと。

伊藤 鹿砦社から出版されているものですからね。

田所 私、鹿砦社の社員じゃないですから。

伊藤 私はあなたのことをフリージャーナリストだとは知らなかったし。

田所 ご存じないでしょ。私もあなたを存じ上げない、あなたも私をご存じない。同じじゃないですか。

伊藤 興奮しないでください。

田所 興奮してないです。私は確認をしてるだけです。あなた私のことご存じなかったですね、今おっしゃったように。

伊藤 あなたが鹿砦社で執筆しているということは知っていました。

田所 でも私は伊藤さんが『NO NUKES voice』に過去書かれたということは知りませんでした。

伊藤 そのことは何も言ってないじゃないですか。

田所 いや、おっしゃいました、「取材不足、それを調べた上で私に確認をしてから書くべきだ」と。

伊藤 それは今も思ってますよ。

田所 あなた、言ってることが二転三転してますね。

伊藤 あなたが知らないことは仕方がないというふうに言ってます。知らなかったら調べればいいというだけのことを。

田所 知らなかったら仕方がないと今おっしゃったでしょ。知らなかったら仕方がないのに調べればいいって、それが矛盾してるじゃないですか。

伊藤 鹿砦社に居るんだから、鹿砦社の人に。

田所 違います。何度も言いますが私、鹿砦社の社員じゃありません。鹿砦社が年に何冊出してるか知りませんけど、フリーのライターがいちいち全部読みませんよ。

伊藤 鹿砦社の編集者の人って知らないんですか?

田所 編集をしてる人は知ってますもちろん。だけど編集してる人にいちいち一から十まで全部聞きませんよ、そんなもの。

伊藤 一から十まで聞かなくていいです。カウンターみたいなことをやってるC.R.A.C.関西のイトウみたいな名前のやつ人知ってる? みたいなこと言ったらわかるんじゃないですか?

田所 そういう人はいたようですけれども、就業時間中にツイッターばかりやっていた、あるいは人の悪口を書くというというようなことで解雇になったようなことを聞きました。過去そういう方がいらっしゃったということは聞いてます、噂として。ただそれ以上の社内の事情を私は社員ではないので知りません。ですから伊藤さんもおわかりになると思いますけれど、いわゆる非正規雇用の労働者と私は一緒です。正社員の方と同じようにいろいろなことを知ってるとか、裁量があるとかいうことは全く違うわけですよね。請負みたいなものですから、フリーライターは。ですから正社員と同じように全てのことを把握してるべきだという前提は、それはフリーライターに対して要求されても現実的に無理です。

伊藤 僕はその辺ちょっとわかってなかったですね。
  
  

 
 

田所 ですから先程ご指摘いただいたように、私が編集長であれば、ご批判は当たりますが、最初おっしゃったように「ここに前書いてあるのにあなたが知らないのはあなたの取材不足だ」と言われても。私のような立場の人間にそれを求められても、それは無茶です。(後編につづく)

(鹿砦社特別取材班)
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大学院生リンチ事件加害者・李信恵氏による「鹿砦社はクソ」発言を糾す![株式会社鹿砦社 代表取締役 松岡利康]

 
 

 
私は小なりと雖も、会社の経営者です。私の経営する出版会社「鹿砦社」には私以外に7人の正社員が日々一所懸命働いてくれています。また、取引先や、ライター、デザイナーさんらが私たちの会社の活動を支えてくれています。感謝に絶えません。特に、12年前の「名誉毀損」に名を借りた出版弾圧で壊滅的打撃を蒙った状態から奇跡的に再興できましたが、これもご支援を賜った皆様方の賜物です。

私たちは会社を芯から愛しています。7人の正社員も、私以上に会社を愛し、在籍している社員の勤続年数も長く、特段の事情がない限り転職・退社する者はいません(例外的に、M君リンチ事件隠蔽工作に関与したり就業時間に業務と無関係のツイッターやメールを行ったりして「特段の事情」で退社を余儀なくされた者が1人いますが)。

◆リンチ事件の処理・解決は正当に、社会的に全うになされなければなりません

また、私たちは、「カウンター」-「しばき隊」と自他称される人たちによる大学院生M君に対してなされた集団リンチ事件について被害者M君支援と真相究明に取り組んでいます。昨年春、偶然にM君と出会い、集団リンチ事件を知るに至りました。あまりにも酷い話であるうえ、この隠蔽工作に当社の元社員も絡んでいたり、それに気づかなかったという反省もあり、私たちは被害者支援・真相究明に取り組み始めたのです。このことについては、本「通信」6月10日号(私はなぜ「カウンター」-「しばき隊」による大学院生リンチ事件の真相究明に関わり、被害者M君を支援するのか)を参照してください。

まず、はっきり申し述べておかねばならないことは、私たちは決して加害者や、「カウンター」-「しばき隊」と称される人たちに私怨も遺恨もないことです。加害者5人には一度も会ったこともありませんし、私怨や遺恨が発生する原因がありません。ただ、実際に酷いリンチを受けた被害者M君の立場や気持ちが私たちとは違うことは当たり前です。いったん受け取った謝罪文を反故にされたM君の想いはいかばかりでしょうか。願わくば、M君の気持ちが悪い方向に行かないよう微力ながら寄り添うのが、年長者としての私たちの役割だと考えて日々彼と接しています。幸いに彼は、俊才な学徒ですから、怒りや憎悪の念を押し殺し前向きに自己の将来を考えているようです。

しかし、リンチ事件の処理・解決は正当に、社会的に全うになされなければなりませんし、きちんとすべきところはきちんとしなくてはなりません。常識的に見て、いくらなんでも、あれだけ酷いリンチを行って、謝罪文を反故にしたり、開き直り「リンチはなかった」などと吹聴したり、事件を隠蔽したりすることは絶対に許されることではありません。そうではないですか!? リンチ直後のM君の顔写真に象徴されるように現実にリンチは間違いなくあったのです。いずれ公開されるやもしれませんが、リンチの一部始終を録音した音声データもあります。それなのに、開き直れる感性が私には理解できません。

リンチ事件直後のM君の顔(『人権と暴力の深層』より)

昨年春から私たちは、裁判闘争を含めた被害者M君支援、事件の真相究明に取り組んできましたが、調べれば調べるほど、酷い話ですし、名のある著名人(国会議員、弁護士、学者、ジャーナリストら)が隠蔽工作に走っているのには驚くばかりです。

◆ここまで言われると私たちも黙っているわけにはいきません

私たちは、事件の真相究明の一環として、李信恵氏の裁判を支援する目的で発行されている『♯安寧通信』の分析を開始し、7月27日の「デジタル鹿砦社通信」(以下「デジ鹿通信」と略称)からコメントを出し始めました。評論、言論活動、表現行為として正当なものです。執筆者の性格で激しい表現も散見されますが、概ね的は射ているものと思います。

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[※上記◇箇所の文字は、裁判所の命で削除しました。(鹿砦社)]

李氏の言葉が汚いことは、この1年余りの取材や調査の過程で感じていて、「反差別」や「人権」を語る人がこんな言葉遣いをしていいのか違和感がありましたが、これは多くの方々も指摘されるところで、「鹿砦社はクソ」発言に極まった感があります。

李信恵氏の2017年7月27日付けツイッター書き込み

取材班の1人が怒りに任せ反論(「デジ鹿通信」7月29日号)を掲載いたしました。これに対して、またもや李氏は30日、酒の勢いと思われますが(同日はカウンター活動の後に仲間内で飲み屋に行ったことが確認されており、この後にツイートされています)、記事と写真の「削除」と「謝罪」を求めるツィートを発信しています。詳しくは、李氏のツイッターと「デジ鹿通信」の両方をご覧いただきたいと思います。

◆「人権」を蔑ろにする発言を軽々に行うことは厳に慎むべきです

私は会社の経営責任者として、「鹿砦社はクソ」とまで誹謗されて黙過することはできません。李氏は記事の「削除」と「謝罪」を求めておられますが、常識的に見て、ツイッターの「削除」と「謝罪」を求められるのは李氏のほうではないでしょうか。リンチ事件について、いったんは謝罪しながら、それを反故にした人ですから、これぐらいのことは屁とも思わないのでしょう。

李氏らは殊更、「反差別」「人権」という言葉を錦の御旗にしているわけですから、少なからずの社員やライターさんらが働き、これで生活の糧を得、また多くの取引先と商取引している会社を名指しして「クソ」発言はいかがなものでしょうか。「人権」を大事にすべき人が、「人権」を蔑ろにする発言を軽々に行うことは厳に慎むべきです。「鹿砦社はクソ」発言は、私たちや会社の存在を否定する言辞であり、私は会社の代表者として断固として抗議いたします。私の言っていることが間違っているのなら指摘していただきたい。

さらに李氏は警察に相談に行く(行ったと思われる表現もあります)ということですが、もし警察が李氏の話に耳を傾けるのなら、その前にリンチ事件についてまともに調べ直すべきでしょう。

◆「私はあなたの意見に反対だ。しかし、それを言う権利は死んでも守る」

なにかといえばすぐに警察や公権力に頼ろうとする姿勢は(それが重大事件であれば別ですが)、李氏も自称「フリーライター」ということですから、出版界やジャーナリズムに在る者としては失格です。「釈迦に説法」かもしれませんが、「私はあなたの意見に反対だ。しかし、それを言う権利は死んでも守る」というヴォルテールの有名な言葉をご存知ですよね? 

 
 

李氏らが時に用いる「仲良くしようぜ」とか「共生」などは空語としか聞こえません。なぜならば、「仲良くしよう」としても「共生」を求めても、彼女・彼らは、自分らと反対の意見の人には攻撃と排除しかしないからです。

さらに、李氏とその周辺の人たちは、自らに異を唱える人たちに集団で攻撃することは今更ここで挙げるまでもありません。その行為の中には人権侵害と思われる事例も少なくありません(証拠資料は多過ぎて整理できないぐらいです)。障害者の息子さんを持つ四国の自動車販売会社社長に対する攻撃は、国会議員の宣伝カーを使った自宅訪問までなされ、さらには最大の取引先のメーカーへの凄まじい電凸攻撃にまで発展しました。勤務する公立病院まで電凸攻撃された医者もいました。とても「人権」を大切にする者がやることではありません。

◆背後に度し難い〈タブー〉が存在している

私たちの出版社・鹿砦社は、1969年に創業して以来一貫して巨悪とタブーには断固たる姿勢で対峙してまいりました。そうした中で、出版社としてのスタンスを固めてきました。

くだんの大学院生集団リンチ事件には、背後に度し難い〈タブー〉が存在していることを、この1年余りの取材・調査で感じています。偽善者らも跋扈しています。偽善者――私たちが最も唾棄する徒輩です。口では「反差別」とか「人権」とか言いながら、その裏では、平気でリンチをやったり、それを隠蔽したりする人たちのことです。

私は「棺桶に片足突っ込んだ」(李氏の裁判を支持する鹿砦社の元社員のツイート)一老出版人であり鹿砦社は一小出版社にすぎませんが、私たちには私たちなりの矜持があります。間違ったことに「ノン!」と言えなくなったら、その時は、私が出版の仕事を辞め鹿砦社がただの出版社に堕す時です。

李信恵氏には、私たちへの謝罪はあえて求めません。謝罪は、李氏らが集団でリンチを加えたM君に行ってください。

大学院生M君リンチ事件加害者・李氏による「鹿砦社はクソ」発言をはじめとする鹿砦社に対する度々の誹謗中傷について鹿砦社の代表者として断固抗議し、李氏に対し重々な反省を求めます。

『人権と暴力の深層』カウンター内大学院生リンチ事件真相究明、偽善者との闘い(紙の爆弾2017年6月号増刊)
『反差別と暴力の正体――暴力カルト化したカウンター-しばき隊の実態』(紙の爆弾2016年12月号増刊)
『ヘイトと暴力の連鎖 反原連―SEALDs―しばき隊―カウンター 』(紙の爆弾2016年7月号増刊)

《鹿砦社特別取材班座談会》「M君リンチ事件」真相究明取材で見えてきたもの

 
 

  
過日鹿砦社特別取材班の編集会議のあと座談会が行われた。取材に当たって来たスタッフが顔を合わせ、これまでの取材と今後の展望などについて語り合った。

松岡 ご苦労様です。きょうはこれまでの取材成果や課題と今後の展望などについて気楽に話してください。

  正直、骨が折れています。新聞、テレビ関係者の間で「M君リンチ事件」は、もうみんな知っている状態になってるんですが、なぜかうちの後追いがないのが不思議ですね。

  今まで接触したメディアってどこがあったっけ?

  朝日新聞、産経新聞、共同通信、朝日放送……。あと週刊誌なんかからは結構こちらに問い合わせはありますね。

  朴順梨は早い段階で「共同通信の記者から聞いた」って藤井とのメールに書いてたよね。

  ええ、共同通信内では東京の社会部を含めて、ほとんど浸透しています。

  だけど記事にしたのは『週刊実話』だけやったね。

  それも発売当日にネットで謝罪・訂正が出され大騒ぎになった。あの訂正劇はなんだったんだろう?

  当日に西岡研介からクレームが入ったと『週刊実話』の編集部からはリークがありました。編集長判断の前に訂正を出したという説もあります。

  西岡ってそんな力があるんだ。

  みたいですね。でも先鞭をつけた『週刊実話』の記事は一定の評価に値するんじゃないですか。

  いや、あんな折れ方してほしくなかったね。おかげでその後、ネットでの空中戦凄かったじゃない。

  あの頃は夜も眠れんかった(笑)。僕ら参戦してないけど、しばき隊とアンチしばき隊のある意味での天王山やった。しばき隊は「嘘つきども」と勢いづいたけど、「世に倦む日々」高島章弁護士の応戦に結局軍配ですわ。

◆「M君リンチ事件」の現場音声と写真の衝撃、書籍出版の意義

  決定的だったのは高島弁護士が事件を録音した音声の書き起こしと、事件直後の腫れあがった「M君」の写真を発表したことですね。

リンチ事件直後のM君の顔
 
 

  あれは効いたな。あの写真出されたら、さすがに「リンチはなかった」とは言えない。そのあともしばき隊からは散発的に攻撃はあったようだけど、一気にトーンは下がったもんな。

松岡 このかんの展開を振り返ると、初期は主戦場がネット、とくにツイッターだったけれども『ヘイトと暴力の連鎖』を昨年7月14日に出してからはしばき隊がかなりおとなしくなった印象がありますね。

  やっぱり紙媒体でまとめたものが出る意味が大きいことを再確認しましたね。SNSで100回書かれてもやがて忘れられていくし、モノは残らない。その点書籍には書籍の強みがあると。

  それを実感したのは『反差別と暴力の正体』を出した後の反響ですわ。あの取材には(いつもそうやけど)力入ったし、こっちも驚くような事実が山ほど出てきたもんなー。

◆強烈だった沖縄地裁前の顔ぶれ

  龍谷大学に岸政彦の「直撃」に行った時は、ドキドキもんでしたよ。

  なに言ってるんだよ。大学教員なんか「直撃」の対象としては簡単なもんじゃないか。

  すいません……。

岸政彦=龍谷大学教授(当時)

  重要なのは事実を掘り下げることはもちろんだけど、当事者に直接当たるってことだね。

  それはそうなんやけど、『人権と暴力の深層』取材で沖縄地裁前は、すさまじかったですわ。しばき隊幹部勢ぞろいやから。野間なんか僕のすぐ横でビデオ回してた。安田浩一と香山リカのツーショット抑えた時は嬉しくて、松岡社長に電話したら「安田と香山と野間のスリーショットも撮れ!」って……。褒めてもらえると思ったらさらにエゲツない命令が来て冷や汗もんでしたわ。スリーショットはさすがに無理やったけど。

安田浩一と香山リカ
 
 
野間易通

  沖縄地裁前の顔ぶれは強烈でしたね。安田浩一、香山リカ、野間易通、伊藤大介……。あとしばき隊の裏幹部みたいなのも居たんですよね?

  それはまだオフレコやん! 今追ってるところです。

  あっ失礼しました。

◆有田芳生の「鹿砦社ヘイト」と増える編集部への激励

松岡 『人権と暴力の深層』では有田芳生参議院議員と中沢けいの突撃も掲載できました。経費は大幅に予算オーバーでしたが(笑)。

  東京の突撃部隊は今回も大活躍でしたね。

  それにしても有田のあの態度は酷いよね。

  「鹿砦社ヘイト」ですわ。

有田芳生参議院議員

  

 

  

 
 

  言うまでもないことなんだけど、もう一回確認しておきたいのは、われわれは「M君リンチ事件」を追ってるんだけど、決して差別を容認する立場ではないということ。「デジタル鹿砦社通信」の記事なんかは、けっこう右寄りの読者にも読まれてるみたいだけど、それはそれでいい。でもわれわれは原則的に「差別」や「暴力」に反対の立場だということはもう一回再確認しておきたい。

  右、左は関係ないんですよ。取材班の中だって、A君なんか保守じゃない? Bさんはどうかわからないけど、私は原則反自公だし、いろいろな意見の相違はある。でも「差別」と「暴力」を認めないことではしっかり一致できてるんじゃないかな。

  それがあらへんかったら「突撃」なんてでけへんわ。

  あと取材班の外で協力して下さる人が増えているのはありがたいですね。

  いま、ネット監視してくれている人どのくらいいるの?

  詳しくは言えませんが相当な数になりました。ターゲットの発信は全員を24時間監視していますから、何かあれば即座に情報が入手できるようになりました。無償でのボランティアの方には感謝ですね。

  ネットと言えば、最近李信恵がまた暴れてるな。鹿砦社やライターにさんざん噛みついている。まあそれはともかく、事実無根の書き込みはやめてほしいね。

  それは無理な注文だよ。しばき隊は「ないこと」を「あること」にして燃え盛り、気に入らない相手を潰そうとする。常套手段だね。だから李信恵だって記事内容自体には、一切具体的な反論ができていないじゃない。安倍が言った「印象操作」と同じだよな。でも「鹿砦社はクソ」っていくらなんでも下品すぎる。気に入らないのは分かるけど「反差別」の「旗頭」なんだから、もう少しましな表現はないものかとは思うね。

松岡 「鹿砦社はクソ」は酷すぎます。Cさん、「もう少しマシな表現」というレベルではないですよ。鹿砦社には、私以外に7人の正社員がおり、みんな真面目に一所懸命に働いてくれています。また多くの取引先や、ライター、デザイナーらが支えてくれています。いくら温厚な私でも(苦笑)、絶対に許せませんね。そりゃそうでしょう、曲りなりにも「反差別」とか「人権」とかを口にする人が、まともに一所懸命に働いている者らに「クソ」とか、私たちの人権を蔑ろにする汚い言葉を浴びせたり……呆れてものが言えません。私もそろそろ本気で怒らないといけないかもしれません。ところで、名前は出せませんがマスコミ関係者だけでなく、結構な大物からも最近は激励が増えています。私を含めて知らなかったから何とも思わなかったけれども、くだんの「M君リンチ事件」を知ったら常識的な人が驚き、怒るのは当然でしょう。

◆松岡代表による鈴木邦男さん義絶表明の波紋

  社長の怖いところは私たちにも内緒で「隠し玉」を持っているところだね。まだなんかあるんじゃないですか?

松岡 ありませんよ(苦笑)。どこに「隠し玉」があるんですか?

  これが怖いんだよね。鹿砦社。

  何言ってるんですかCさん。Cさんだって鹿砦社一派って散々ネットで書かれてるじゃないですか。

  え! そうなの? 俺あんまりネット見ないし、2ちゃんねるなんか見る方法も知らないから。でもそんなレッテル貼られたら『月刊HANADA』や『諸君』で仕事できなくなっちゃうぜ。

  そんな仕事してへんくせにCさん!

  やかましいわい!

  冗談はともかく、3冊を出したこと影響はさまざま出ているね。今焦点なのは鈴木邦男氏と松岡さんの今後の関係だな。松岡さん本当は、『人権と暴力の深層』の中で書くはずだったんだけど、逡巡して書けなかった。それで僕が背中を押す意味で「デジタル鹿砦社通信」に「鈴木邦男への引退勧告」を先に書いたのが内幕なんだ。

 
 

  自分は鈴木先生の本の出版も手掛けていたので正直複雑ではあります。

  厳しい選択だったと思うよ。横からちょろちょろ香山リカがちょっかい出したりしてきてるけど、30年の濃密な付き合いを真剣に思慮している人に、他人が口出すなと言いたい。

  週刊誌や新聞でごっつい扱いになることは今のところあらへんけど、松岡社長の鈴木邦男さんへの意思表明は、業界では相当な話題になってます。自分のところにも「どうなってんねん」と、問い合わせが結構あります。「松岡社長に直接取材しなはれ」言うてますけど。

 

  いずれにしてもわれわれに夏休みはないようだね。例のミッションみんな進んでるかな?

一同 ……。

  絶対に8月末までにあげること! でしょ社長?

松岡 そうだね。次はこれまでの3冊を超える「爆弾本」になるから、皆さんしっかり頼みます。

  夏休みなしか……。

(鹿砦社特別取材班)

◎[参考記事]私はなぜ「カウンター」-「しばき隊」による大学院生リンチ事件の真相究明に関わり、被害者M君を支援するのか[松岡利康=鹿砦社代表]
 

最新刊『人権と暴力の深層』カウンター内大学院生リンチ事件真相究明、偽善者との闘い(紙の爆弾2017年6月号増刊)
AmazonでKindle版販売開始!『反差別と暴力の正体――暴力カルト化したカウンター-しばき隊の実態』(紙の爆弾2016年12月号増刊)
重版出来!『ヘイトと暴力の連鎖 反原連―SEALDs―しばき隊―カウンター 』(紙の爆弾2016年7月号増刊)

台湾〈いま、ここ〉を見つめ直す旅 ── 台東の先住民文化圏を訪ねて

前回に引き続き台湾ネタで恐縮だが、予告通り(?)、6月29日から7月2日・3泊4日の訪台レポをお届けする。

◆1日目は、日本料理と、ノスタルジックな街並みや人々に惚れこむ

羽田・台北間の移動に用いた台湾の航空会社「エバー航空」は、サンリオと提携しており、機体も機内もサンリオ三昧。鹿児島上空あたりで他の旅客機や船も見えた。台北松山空港にて「エバー航空」の子会社である「ユニー航空」のプロペラ機に乗り換え、台東空港へ。私は台湾を訪問するのは初めてだが、台北で空港の外に出ることはなかった。その後、バスで「台東富野渡假酒店(HOYA RESORT HOTEL)」に向かい、シングルルームと聞いていたが、ツインのベッドの片方に荷物を置く。夕食は「台東大車輪日本料理店(DCL Japanese Food House)」。店員さんは若い方が多く、日本語も話す。日本料理に台東の食材を用い、台湾流のアレンジが加えられているが、癖がなくおいしい。ただし、店頭ののぼりに書かれたカタカナの縦書き文字を見ると、「サーモンイクラ」の音引き(ー)が漢字の「一」のように横向きになっていたりする……。

台東縣は台湾の東南端に位置し、細長くて海岸線も長い。台湾総面積の10%弱を占める。自然にあふれ、原住民族の人口が3分の1に及ぶ。

南国風の空気、わずかに吹く心地よい風、ノスタルジックな風景、親しみを感じる人々、ゆるい世界……。渋いおじいさんたちが集まり、路上でテレビを観る風景も。わたしはいっぺんに、ここが好きになった。台東縣は台北よりも田舎だと想像していたが、本当に東京からタイムマシンに乗ったようだ。でも、日本、北京、ソウル、平壌、タイ、シンガポールなどの風景とも似たところがある。他は行ったことがないのでわからないが、やはり東アジアや東南アジアの文化はつながっているのだろう。

◆2日目は、ブヌン(布農)部落でコミュニティの文化を守る様子を知る

ブヌン(布農)部落の織物芸術センターにて

翌日は、まず、前回に酒井充子監督インタビューを寄稿させていただいたドキュメンタリー『台湾萬歳』(http://taiwan-banzai.com/)の舞台、台東縣での完成披露試写会・記者会見。この時には、社会派と人の魅力の相乗効果で、作品が深い魅力を湛えていると感じた。昼食は、娜路彎大酒店(Formosan Naruwan Hotel)にて会食。

その後、ブヌン(布農)部落で園内見学とアーチェリー体験。日本語の案内もある。園内にあるのは、手作り体験教室、織物芸術センター、射的場、シイタケの栽培場、部落劇場、キャンプ場、夏のみ営業している温泉プール、竹炭工房など。時間の都合でショーを見逃した。

台湾原住民は総人口の約2%で、2016年現在、狭義では16の民族が政府に認定されている。

「布農(ブヌン)文教基金会」について途中までまとめながら調べ物をしていたら、ネット上に日本語の資料がアップされていたので、こちらをご覧ください(なんと便利な時代だろう)。

「布農(ブヌン)文教基金会」を設立した牧師・白光勝さんにもお会いできた。彼はお金のない場所だと繰り返し語っていたが、支援のシステムをつくって「原住民」を守り、十分な教育が受けられるように子どもたちにもお金を与える。ほかにもいただいた『Asia Echo(アジアエコー)』2002年8月号の資料には山田智美さんによって、「台北から汽車で東回りに約6時間、飛行機なら約40分の台東県延平郷の山間にある小さな村、桃源村に『布農部落』はある。観光宿泊施設と住民の福祉教育の場を兼ねた小さな先住民族文化園である。」と書かれている。また別の資料によれば、ブヌンには、「軍功(たたかいの手柄)を讃える」精神があるそうだ。

「東京に住んでいる」といったら「お金がある」といわれたので「そんなことはない」と答えたが、農村から日本を見ると、まだまだそのように見えるのだと感じた。原住民のコミュニティを訪れることにより、私たちはさまざまなことを感じたり学んだりすることができ、彼らの支援にもつながる。私も次回は宿泊施設なども利用させてもらいながら、ショーや食事、アーティストさんの作品などをゆっくりと楽しみたいと思う。

夕食は米巴奈-原住民山地美食坊(Mibanai)にて原住民料理を満喫。個人的には、一般の台湾料理よりもクセがなく、味つけが和食に近いようにも感じた。スズランの食器が美しく、帰国後に調べたら「烤春筍」というヤングコーンをバラ肉で包んだものなど、味わい深く、特においしかった。

そして「ライトショー」に行くも、雨で開催されず。それでも同行者いわく台湾の方々は夜に集まることを好むそうで、大道芸などの小さなショーをみんなで楽しんでいる。あたかも大家族のよう。若々しい台東縣の知事はカリスマ性があってスピーチがうまく、彼の話にみんな熱心に耳を傾けているように見えた。

宿泊は鹿鳴溫泉酒店。客室の風呂も温泉だといわれたが、駈けこみで大浴場の温泉に入った。ドライのサウナに加えてミストサウナもあり、客室はベッドルームが階段を上がった階にあり、そこはロフトのような感じだ。

◆3日目は、熱気球フェス、漁港の雰囲気、歴史建造物を「体感」

さらに次の日には、お茶の産地として知られる鹿野高台で、「台湾国際熱気球フェスティバル」を見学。2011年より毎年6~8月頃に開催されているそうで、想定外の迫力やデザインのバリエーションがあり、楽しませてもらった。アミ族が多い地域で、スタッフもアミ族が担当していると聞いた。

海鮮中心の東海岸海景渡假飯店(East Coast Sea View Hotel)で昼食をとり、成功漁市では市場が休みの日だったにもかかわらず風情ある佇まいの漁師さんたちとインパクト溢れる魚たちに出会えた。成功漁港では10月になるとカジキ漁がおこなわれる。このカジキの「突きん棒漁」は日本の千葉県出身者らが伝えたものとのこと。わたしは千葉県出身なので、このあたりの風景や人に大きな親しみを感じる理由かもしれないとも考えた。その後、展示室で「突きん棒漁」などについてのレクチャーも受け、広場で実体験をおこなう仲間の姿も撮影。

そして、「成功鎮プチ旅行」として、新港教会歴史建築も見学。ここには、1932年に新港支庁長の菅宮勝太郎によって建てられた木造建築と、46年に医師の高端立と父の篤行が開業した高安診療所と彼らが建て直した新港教会が保存されている。95年に医院が休業した後には、そこも新港教会が買い上げて研修会館(霊修会館)となった。これらを保存し続けようと、現在、「新港教会歴史建築 夢のプロジェクト」が立ち上がり、訪問を受けたり、さまざまな活動を手がけたり、リフォーム経費を募ったりしているのだ。小芝居を観て、牧師さんの話もお聴きした。その後、1人ぷらぷらと、海岸などを散歩し、将棋だか囲碁だか(邪魔したくないのであまり近づけなかった)に興じる人や海の様子、そこを通る人々の様子をながめていた。

夜は、揚げ物が印象的だった三禾聚台菜食堂での夕食、国立成功商業水産高校活動中心・成功鎮での、観た3回とも印象が異なる『台湾萬歳』特別上映。上映では、町中の人々が集まってきたかのごとく盛り上がり、子どもから大人まで笑って楽しむ姿が印象的だった。東海岸海景渡假飯店(East Coast Sea View Hotel)に宿泊。ベッドはなんと天蓋つき! おろさなかったが。

コミュニティと歴史について、「自分の順番を生きる」ということとその不思議などについて、改めて考えさせてくれた1日だった。また、東京暮らしの幸福と不幸についても思い及んだ。

新港教会歴史建築

◆現在、成功鎮では映画とのコラボで割引サービスも実施中

最終日も朝食後、東海岸プチ旅行。まずは、エメラルドグリーンの海や橋を建設する労働者の姿を眺める。次に、日本統治時代の製糖工場である「台東製糖文化創意産業園区」を見学。資料によれば、「製糖工場の文化資産を再利用し工業地の景観を芸術へ置き換え、彫刻工房、手作り創作工房、原社手作り生活感など、芸術と人文の特色を組み合わせた芸術の領域が広がっています。」とのこと。実際、工場とアート、カフェ(茶屋)などが組み合わさっており、ユニークな場所だ。

台東製糖文化創意産業園区

最後に、交差点にバイクで届けてくれた台湾式お弁当を台東空港にて昼食としていただき、台北松山空港に移動。ホテルなどで買い損ねたお菓子などのお土産を購入して帰国。

今回の旅を経て、台湾、台東、成功鎮を体感することができた。案内の方によれば、「お好みでツアーを組むことができるし、これから1~2年で日本からの観光客にもっと対応できるよう準備を進める予定」とのこと。しかも成功鎮では、現在上映中の酒井充子監督ドキュメンタリー『台湾萬歳』のチケット半券か映画パンフレット持参でホテルや飲食店などでのさまざまなサービスが割引となるキャンペーンを実地中だという。わたしも帰国後の日本台湾祭りや上映の際に台東で出会った方々と再会し、改めて関心が高まっている。成功鎮で出会った林哲次先生の幼少期や戦時中に関する文章を日本で書籍化したい(鹿砦社さん、どうです?)とか、台東のガイドブックを制作したいなど、妄想(?)もふくらんでいる。台東にご関心ある方のご質問などあれば、どうぞ。


◎[参考動画]3部作最終章『台湾萬歳』ポレポレ東中野にて公開中ほか全国順次公開予定!(CINRA NET 2017年6月2日公開)

▼小林蓮実(こばやし・はすみ)[撮影・文]
1972年、千葉県生まれ。フリーライター、エディター。『紙の爆弾』『現代用語の基礎知識』『週刊金曜日』『現代の理論』『neoneo』『救援』『教育と文化』『労働情報』などに寄稿。労働や女性などに関する社会運動に携わる。ちなみに、定住に興味がなく旅を愛するが、それぞれの土地の文化には関心がある。小林蓮実Facebook 

愚直に直球 タブーなし!最新刊『紙の爆弾』8月号! 安倍晋三 問われる「首相の資質」【特集】共謀罪を成立させた者たち
『NO NUKES voice』12号【特集】暗い時代の脱原発──知事抹殺、不当逮捕、共謀罪 ファシズムの足音が聞こえる!

ムエタイ1976年名勝負の両雄、シリモンコンさんと藤原敏男さんが感動再会!

藤原敏男さん(左)とシリモンコン・ルークシリパットさん(右)。両者のチャンピオンベルトはすべて御本人の名前入り、本物です。アマチュアボクシングのメダルはシリモンコンさんの物

名勝負を展開した名チャンピオン同士の戦い。シリモンコン・ルークシリパット(タイ)vs 藤原敏男(黒崎)戦はムエタイの後世に語り継がれる激闘でした。ムエタイ殿堂チャンピオンの名勝負の中に日本人が絡む試合はごくわずかな中でも、ベストファイトはこの試合しかないでしょう。

◆7月17日「ムエタイの日」、41年ぶりの両雄再会

昨年から始まり、今回で8回目となる、月刊ゴング誌・元編集長の舟木昭太郎(現・株式会社アッパー代表取締役)氏が主催する「キックボクシングを語るトークショー」のひとつ、「ムエタイの日」が7月17日(月・祝)に銀座セントポールズサロンにて開催されました。

参加者には、藤原敏男氏と対戦経験ある二人である佐藤正信氏と増沢潔氏、重量級では猪狩元秀氏、軽量級ではアトム鈴木氏、ミッキー鈴木氏のツインズ、若い世代では土屋ジョー氏、ソムチャーイ高津氏も列席されました。

ムエタイを重視する意味で催されたワイクルーを舞う土屋ジョーさん

◆伝説のムエタイボクサー、シリモンコン・ルークシリパットさん

特別ゲストで来日された伝説のムエタイボクサー、シリモンコン・ルークシリパット氏は、藤原敏男氏との再会を祝し、乾杯の音頭をとり「ムエタイの日」は開幕。
両者は1976年(昭和51年)3月8日にラジャダムナンスタジアムで、ノンタイトルで対戦。当時、シリモンコン氏はルンピニースタジアム・ライト級チャンピオン(ラジャダムナン系同級2位)、藤原敏男氏は全日本ライト級チャンピオンで、激しい攻防の末、僅差でシリモンコン氏が勝利しました。その映像もこの“ムエタイの日イベント”で上映されました。

この試合の採点は後々タイでも話題になり、「どちらが勝っていたか」の意見が盛り上がった大接戦の展開で、「引分けが妥当だったのではないか」という意見も多かった激闘でした。

引分けの少ないムエタイにおいて、珍しく引分けとなった試合は、月間ベストバウトや年間ベストバウトに選ばれる可能性が高いと言われます。それは公式記録の同点とは違う意味で“両者とも勝者”という評価の表れということです。

シリモンコン氏は「もしこの試合結果が、引分けだったとしたら、ムエタイ界において藤原もシリモンコンも、もっと高く評価されていたのではないかな。引分けだったら、この試合が私のベストバウトだったかも知れない」と話されたようです。

シリモンコン氏は現役当時に、プミポン国王からムエタイ国民栄誉賞を直々に授かっており、タイ国のスポーツ殿堂入りをも果たし、藤原敏男氏も1997年頃、ムエタイを世界に広めた功績により、タイ国のスポーツ殿堂入りしています。

シリモンコン氏はこの以前に、ルンピニー系フェザー級王座も奪取している2階級制覇チャンピオンで、藤原敏男氏はこの試合の2年後の1978年3月18日に、ラジャダムナンスタジアム・ライト級王座を奪取し、外国人初のムエタイ殿堂チャンピオンに上り詰めています。

左から藤原敏男さん、ソムチャーイ高津さん、シリモンコンさん。通訳のソムチャーイ高津さんは藤原さんの愛おしい弟分であり、シリモンコンさんともお友達、羨ましい!

◆1977年元旦の佐藤正信 vs シリモンコン戦

このイベントに参加された中の一人に第8代全日本ウェルター級チャンピオン.佐藤正信氏がいらっしゃいましたが、この二人の再会も興味深い因縁がありました。

藤原敏男戦の翌年の1977年元旦、後楽園ホールでシリモンコン・ルークシリパット(タイ)は、佐藤正信(山田)にノンタイトル戦でKO負けしており、その意外な敗北にファンも関係者も驚いた様子だったと言われます。寒い日本で体調を崩されたことが敗因と言われますが、タイでの制裁は厳しいもので、シリモンコンは王座剥奪の運命を辿ってしまいました。

続く土佐源(山田)戦にも判定負けしたシリモンコンは、これで後に控えていた藤原敏男との再戦は無くなりましたが、後々の引退後来日し、東金ジムでトレーナーを務め、越川豊選手や山崎通明選手を日本チャンピオンまで育てた功績は有名です。

佐藤正信さん、シリモンコンさん、佐藤夫人。佐藤さんへの敬意を表して最初に握手を求めたのはシリモンコンさん
藤原さん(右)は佐藤正信(左)さん、増沢潔(中央)とも対戦した戦友

またトレーナーや通訳、日本選手のタイ遠征やムエタイツアーなどの世話役で、タイと日本の関係者のパイプ役も果たし、両国の多くの関係者から尊敬されているという名誉挽回した話題もあり、シリモンコン氏の人懐っこい性格から、世代を越えて若いファンからの声援も多いようです。

ウェルター級では猪狩元秀さん(右)も現地で現役チャンピオンを倒したことがあります。毎度「荒くれ者多いキック界には珍しい人格・品格・性格No.1の猪狩元秀さん」と主催者の舟木昭太郎さんに紹介され、毎度“ひがむ”藤原さんがいます(笑)

◆藤原敏男氏のような日本人ムエタイ選手はいつ現れるのか?

こんな名勝負が行なわれていたことに当時、地方に住んでいては観れないファンも多かったでしょう。後々語り継がれる“激闘の名勝負”は、名選手同士がぶつかってこそ出来上がる名勝負となります。何十年後かに、このようなイベントが開催されて再会が出来るような感動の試合を、タイの殿堂スタジアムで展開できるか、今後そんな選手が日本で何人現れるかが、日本のキックボクシング系競技の重要な鍵となるでしょう。

ムエタイ選手に於いて、戦うのは対戦相手だけではない、レフェリーとプロモーターと、ギャンブラー(賭け屋)に好印象を与えていかわねばならないプレッシャーとの戦いが多くの名選手を生む土壌が出来上がっているタイ国です。

日本に於いて、国民栄誉賞を受けられるのはメジャー競技のスーパースター級選手でなければ有り得ないことで、日本人選手としては、タイ国のムエタイ殿堂入りを、藤原敏男氏に次ぐ選手が現れることを期待したいものです。

舟木昭太郎さん(中央)のインタビューに応じ、最後は握手する盟友

[撮影・文]堀田春樹
※以上での一部はソムチャーイ高津氏の通訳によるシリモンコン氏のコメントを引用しています。

▼堀田春樹(ほった・はるき)
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

一水会代表 木村三浩=編著『スゴイぞ!プーチン 一日も早く日露平和条約の締結を!』

鹿砦社に対する李信恵「嘘つき」ツイッター言論への反論

 
 

  
7月27日、本コラムに「リンダの会『#安寧通信』解析〈1〉 0号執筆陣に見る李信恵絶対擁護の人々」を掲載したら、予想通りであったが、さっそく李信恵がツイッターで反応してきた。しかしながら、例によってその内容には明確な虚偽と悪意が込められているので、この際しっかり反論しておく。まず下記を見て頂こう。

李信恵のツイッターより

昨日の「リンダの会『#安寧通信』解析〈1〉 0号執筆陣に見る李信恵絶対擁護の人々」では、李信恵が在特会元会長と保守速報を訴えたことに何の異議も唱えていない。それどころか、

《繰り返すが編集班はいかなる「差別」も「排除」も肯定する立場にない。断じて「差別」も「排除」も「リンチ」も肯定しない》

と立場を明確にしたうえでさらに、

《『#安寧通信』、vol.0は李信恵が、在特会元会長の桜井誠と保守速報を相手に2014年8月18日に損害賠償を求める裁判を起こしたことを紹介する李自身の「反ヘイトスピーチ裁判に向けて」から始まる。この文章に書かれている訴えには虚偽はなく、李自身かなりの被害を受け訴訟に踏み切ったことが窺い知れる。相手は狂気の差別集団「在特会」なのだから。》

と李信恵が起こしている裁判へは基本的に理解を示し、批判などは微塵も展開していない。課題として述べているのは李信恵が、

「日本には差別を裁く法律はありません。名誉棄損や侮辱にしても、刑事事件での告発はハードルが非常に高い」

と述べている部分の「日本には差別を裁く法律はありません」である。詳細は27日の本コラムをご覧いただきたい。取材班はこの裁判自体に一切ケチをつけてはいないのであり、「#安寧通信」に登場する顔ぶれと、そこに書かれている内容が「M君リンチ事件」と極めて深い関連を持つので、それを明らかにしようとしているのだ。

しかし、李信恵にとっては「#安寧通信」が鹿砦社に取り上げられたことだけで、気に入らなかったのだろう。おそらくは、もっと汚い言葉で罵りたいのであろうが、
「偏見や私怨のある人たちは、そういうことは見えないんだと思った」

と決めつけている。「偏見や私怨」? 取材班には李信恵に「偏見や私怨」などない。直接会ったこともない、接触したこともない対象にどうして「偏見や私怨」を抱く必要があるのだ。李信恵がここで述べている「そういうこと」とはその前の書き込みから推測するに、「#安寧通信」の文章にはすべてひらがなでルビがふってあることを指しているのだろう。「そういうことは見えないんだ」ではない。見ればわかるが、この連載の目的は「#安寧通信」の称賛や李信恵が起こしている裁判への批判ではなく、あくまで「M君リンチ事件」を読み解くための側面からの解析である。何をどう評論しようと自由じゃないのか。

さらに、断じて容認できない嘘は、

「まあ、撮影禁止の裁判所内での写真、Facebookで友達までの公開の写真をTwitterでアップしちゃうようなリテラシーのない人たちだし。」

である。鹿砦社は裁判所内での写真撮影は行っていない。「M君」が李信恵を訴えた裁判の前回期日に社長松岡が傍聴に出かけた際の写真を撮影してTwitterに掲載した方はいるが、その人は鹿砦社の人間ではない。そして鹿砦社はその写真をリツイートも「いいね」もしていない。また「Facebookで友達までの公開の写真をTwitterでアップ」など鹿砦社はしていない。この2点は完全な虚偽である。

「というわけで猫田と鹿砦社に関しては週明けぐらいに全部まとめて警察に行ってきます。」
  

 
 

そうだ。どうぞご勝手に。週明けと言わず、それほど気になるのであれば110番通報をしたらどうだ。李信恵は「猫田と鹿砦社」とワンセットにしているが、猫田氏の言動と鹿砦社の言動は全く別のものだ。それくらいは理解できないか? 

ついでに助言しておくと「リテラシーのない人たち」は言葉の使い方が間違いだ。「リテラシー」とは文章、文脈、文意を読み解く力のことであり、ネットに写真を掲載する行為に用いるのは不適切だ。噂によると李信恵は国語の非常勤講師をしている、とのことだが、カタカナ言葉とはいえ教員であるのであれば、正しい言葉遣いを心掛けるべきだ。

「猫田と鹿砦社のライターとか関係者に個人情報をばら撒かれたり、本当に迷惑しているし普段の生活に支障が出てるので。」

繰り返すが猫田氏と鹿砦社は、まったくの別人格である。われわれは偽善者どもの仮面を剥ぐために、時に直撃取材も厭わないが、よほど悪質な公人でない限り、住所や個人情報を公開することはない。例外的に香山リカがツイッターで「どこに送ったのかちょっと書いてみれば……」と書き込みを要求してきた際には送付先を明示したが、あれは本人の要請によるものだ(にもかかわらず、翌日神原元弁護士から「削除要請」のメールが来る不思議な展開だった)。

それ以外にわれわれ(鹿砦社)がどのような「個人情報をばら撒いている」というのだ? はっきりと事例を挙げて指摘していただきたい。もし具体的事例を適示できないのであれば、それこそ李信恵の言う「名誉棄損や侮辱」である。

李信恵のツイッターより

と李信恵は寺澤有に噛みついたあと、

李信恵のツイッターより

上記のように興奮している。が、この中にも嘘がある。「鹿砦社と名乗らずに自宅に電話してきた田所敏夫は」とあるが、田所敏夫は鹿砦社の社員ではない。フリーの物書きだ。「辛淑玉オンニの友人だと最初に云った」は田所に確認したところ事実だ。田所は李信恵に電話取材をするにあたり、自己紹介もかねて辛淑玉の知り合いだと切り出しているがそのどこが問題なのだ。田所は辛淑玉の携帯電話番号を知っていたし、それ故その後に直接辛淑玉本人にも取材をして、辛淑玉が「M君」攻撃に転じたので『辛淑玉さんへの決別状』を本コラムと『反差別と暴力の正体』に著しているではないか。

「おいらに取材するなら、根性入れてやれ。ちゃんとしてたら受けるけど、ちゃんとしてなかったら受けないだけ。」

これも嘘だ。自分に都合が悪ければ李信恵は絶対に取材など受け付けない。「根性を入れてやれ」!? おう、そこまで言うのであれば、われわれもさらに本気で「根性を入れて」やってやろうじゃないか! ちなみにあれこれ鹿砦社に言いがかりをする李信恵は鹿砦社のツイッターアカウントをブロックしている。何かやましいことがあるのか?

李信恵のツイッターより
 
 

「友人のFacebookの写真とか使うなよクソが。」

繰り返すが取材班は李信恵の言う「友人のFacebookの写真」など全く使っていない。

これは明確な虚偽であるだけでなく「クソ」とまで表現している。明白な虚偽を堂々と発信する覚悟はあるのだろうな、李信恵。「鹿砦社はクソ」なのだな。一度書いたものは取り消すことができない。上記に挙げた虚言といい、「クソ」呼ばわりといい、明確な名誉毀損だ。われわれは、名誉毀損だからといって、なにかといえばすぐに公権力、警察力に頼ろうとする輩とは違う。〝違う形〟で反論、反撃する。

鹿砦社社長の松岡は、ここまで言われても、まだニッコリ笑ってはいるが、彼が〝本気〟を出した時の怖さをわれわれは知っている。

松岡が若い頃、好んで使った言葉に、「彼ら反革命がわれわれに鉄を用いるならば、これに対しわれわれは鋼鉄でもって答えるであろう」(トロツキー)というフレーズがあるという。松岡が「鋼鉄」を使う時はいつだろうか。エセリベラル、エセ人権派、エセ反差別主義者の蠢動には「鋼鉄」でもって粉砕しなければならない。

(鹿砦社特別取材班)
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《殺人現場探訪09》 奈良小1女児殺害事件「隠す意欲」が窺えない死体遺棄現場

2004年に奈良市で起きた小1女児殺害事件は、犯人の男の異常性が社会を震撼させた。下校中に失踪した少女は、通っていた小学校から遠く離れた町の側溝で見つかったが、歯が数本抜かれた状態だった。さらに犯人から親族の携帯電話に「娘はもらった」「次は妹を狙う」などというメールが届いたが、メールには被害者の画像が添付されていた。

検挙された犯人の小林薫は、毎日新聞の販売員として働いていた男だが、幼女ポルノや女児の下着を多数所持していた小児性愛者で、小さな女の子に対する性犯罪の前科もあったという。

小林は奈良地裁で2006年9月、わいせつ目的で女児を誘拐し、自宅の浴室の湯船で溺死させたとして求刑通り死刑判決を受けたのち、自ら控訴を取り下げて死刑が確定。2013年2月に収容先の大阪拘置所において、44歳で死刑執行されている。

手前が小林の住んでいた部屋。ここで女児は命を奪われた

◆小林が住んでいたマンションは今……

私がそんな事件の関係現場を訪ね歩いたのは、昨年5月のことだった。

最初に訪ねたのは、JR王寺駅から徒歩7、8分の場所にある小林が住んでいたマンションだった。その3階建てのマンションは、小林が働いていた毎日新聞の販売所と隣接していたが、人が住んでいる気配はほとんど感じられなかった。小さな女の子が殺害された現場ということもあって入居者が集まらず、今は空き室が多いのかもしれない。

周囲の様子を見て回ると、マンションの近くには、〈不審者を!! 見たらその場で110番〉と書かれた、のぼり旗がはためいていた。過去に痛ましい殺人事件があった現場を歩いていると、こういう防犯を促すものをよく見かけるが、近所の人たちも2度とあのような悲劇があってはいけないとナーバスになっているのだろう。

小林が住んでいたマンション(奥)の近くには、防犯を促すのぼり旗

◆一体なぜ、こんな場所に……

小林が被害者の遺体を遺棄した平群町菊美台という町の側溝は、小林宅から北に5キロの場所にある。その側溝は、住宅街のかたわらに広がる田んぼ沿いの坂道にあったが、私はその場所を見て、少々違和感を覚えた。側溝は周囲から遮るものが何もなく、小さな女の子の遺体などを遺棄すれば、すぐに見つかってしまうことは明白な場所だったためだ。

小林はなぜ、こんな場所に遺体を遺棄したのか。犯行の発覚を防ぐために遺体は山の中に捨てようとか、埋めてしまおうとかという発想はなかったのだろうか。小林は親族に犯行を誇示するようなメールを送りつけるなど劇場犯的なところがあったから、あるいは遺体もあえて見つかりやすいように捨てたのだろうか・・・。私は色々考えさせられた。

小林は、控訴を取り下げて死刑が確定したが、その後、控訴の取下げは無効だと訴えたり、確定死刑判決には事実誤認があるとして再審請求を行ったりしている。再審請求では、「確定判決では、被害者を湯船に沈めて殺害したように認定されたが、本当は、わいせつ行為をしようと睡眠薬を飲ませて入浴させていたら、気づいた時には被害者が溺死していた」と訴えていたという。しかし、その主張が司法に認められることはなかった。

私は事件当時や裁判中、小林に直接取材する機会に恵まれなかった。もしも、そのような機会があれば、「なぜ、あんな場所に遺体を捨てたのか」ということを聞いてみたかった。

被害女児の遺体が遺棄されていた側溝

▼片岡健(かたおか けん)
1971年生まれ、広島市在住。全国各地で新旧様々な事件を取材している。

「絶望の牢獄から無実を叫ぶ ―冤罪死刑囚八人の書画集―」(片岡健編/鹿砦社)
愚直に直球 タブーなし!最新刊『紙の爆弾』8月号! 安倍晋三 問われる「首相の資質」【特集】共謀罪を成立させた者たち

リンダの会『#安寧通信』解析〈1〉 0号執筆陣に見る李信恵絶対擁護の人々

 
 

  
「李信恵さんの裁判を支援する会(リンダの会)」が2014年10月7日に発行した『#安寧通信』vol.0が手元にある。「M君」が集団リンチを受ける2月ほど前に発行された『#安寧通信』。10号までは、誰でも手に取れる場所に置かれていたので入手可能であったが、本来なら街角に置かれていたはずの11号の姿は見つからない。『#安寧通信』自体の発行が休止されたとは考えにくいので、何らかの事情で、一般への公表を控えるようになったのではないか、とも推測される。

「李信恵さんの裁判を支援する会(リンダの会)」が2014年10月7日に発行した『#安寧通信』vol.0の表紙

vol.0はご覧の通り表紙はカラー印刷で、次号以降は白黒の簡易印刷だ。『#安寧通信』は李信恵(リ・シネ)の裁判を支援するために発行されている媒体であるが、同時に詳細にこの冊子を読み解くと「M君リンチ事件」と李信恵、あるいは周辺人物の関連を読み解くことができる。これから数回にわたり『#安寧通信』の解読を試みる。

なお、このような作業を安田浩一などは「運動に分断を持ち込むもの」などと批判するやもしれないが、われわれの目的はあくまでも「M君リンチ事件」の真相や背景解明にある。「結果としてだれが喜ぶか」(安田)などは関係ないことをあらかじめお断りしておく。繰り返すが編集班はいかなる「差別」も「排除」も肯定する立場にない。断じて「差別」も「排除」も「リンチ」も肯定しない。

◆「差別を裁く法律」があれば問題は起きなかったか?

『#安寧通信』、vol.0は李信恵が、在特会元会長の桜井誠と保守速報を相手に2014年8月18日に損害賠償を求める裁判を起こしたことを紹介する李自身の「反ヘイトスピーチ裁判に向けて」から始まる。この文章に書かれている訴えには虚偽はなく、李自身かなりの被害を受け訴訟に踏み切ったことが窺い知れる。相手は狂気の差別集団「在特会」なのだから。

しかしながら、すでにこの文章の中には李信恵自身の問題ではないにしても、この「運動体」が指向する方向性の危険性の萌芽がある。

「日本には差別を裁く法律はありません。名誉棄損や侮辱にしても、刑事事件での告発はハードルが非常に高い」

李が述べていることは事実だろう。しかし「差別を裁く法律」があれば問題は起きなかったであろうか。そもそも差別とはなんだろう。同様な形で人々に共有され言語や行動で表現されることもあるけれども、もとは個々人の心の中に住処を持つ「こころのありよう」ではないだろうか。どんなに卑劣なことを考えていても表現しなければ相手を傷つけることはない。心の中で悪質極まりない大量殺人を夢想していても、それを発言したり、行為に移さない限り、その人が指弾の対象になることはない。「内心の自由」はどんな犯罪や不幸行為、道徳的に非難される行為であろうが、心の中に留め置いておく限り批判の対象とされることはないし、あってはならない。

◆裁くための概念が曖昧すぎる「ヘイトスピーチ対策法」

よって「差別を裁く法律」などという概念は、それ自他が「表現の自由」どころか「内心の自由」にまで踏み込んで個人の思考や思想を制限する性質を有することを必然的に併せ持つ「規制」や「弾圧」に利用される恐れが高い。ある国が犯した罪を永遠に赦免しないとするのであれば、欧州のように「ナチス禁止法」(俗称)を設け、対象を限定して二度と過ちを犯さないような法律を制定することには意味があるだろうが、「差別」一般を裁く法律では概念が曖昧すぎ、恣意的な乱用がなされる危険性が高い。

 
 

その証拠に、制定されてしまった「ヘイトスピーチ対策法」はすでに現行法の定める範囲を超えた作用を及ぼしている。昨年川崎市で差別者が主催したデモの際、取り囲んだ大勢の反対者との衝突を懸念したのか、現場の警察官は「これ以上は無理だ、これが国民の意思だ」と語った。差別に反対する人の中にはこの警察官の発言に大喜びをした人が大勢いた。そこにこそ「ヘイトスピーチ対策法」の最大の危険が在るのだ。あの光景を目にしながら私は背筋が寒くなった。当該警察官の「これが国民の意思だ」という言葉が、「安倍政権反対デモ」、「戦争反対デモ」、なかんずく「東京オリンピック反対デモ」で発せられたらデモ参加者はどう感じるだろうか。法律などなくとも警察はデモ弾圧の際には散々な暴言をこれまでも発してきたが、それに「お墨付き」を与える法律を作ってしまえば、どんな惨禍が引き起こされるかの想像ができないのだろうか。

◆伊藤健一郎(C.R.A.C.WEST)と伊藤大介(C.R.A.C.)

李信恵の2頁にわたる「反ヘイトスピーチ裁判に向けて」に続くのは、ITOKENこと伊藤健一郎(C.R.A.C.WEST)の「差別を扇動する在特会、桜井誠そして保守速報」である。ITOKENこと伊藤健一郎は「M君リンチ事件」後、元鹿砦社社員藤井正美へのメールで「M君リンチ事件」の加害者を擁護し、あたかも「M君」に非があったかの如く「口裏合わせ」を企図する「説明テンプレ」とそれを伝える「声掛けリスト」を作成した人物である。噂によればこの春大学院を修了し学位を修得したとのことだ。伊藤はその文章の中で、

「街頭で繰り広げられているヘイトスピーチは人目を引きやすく一部では報道もされていますが、彼らの活動の中心はインターネットであり、路上の活動は氷山の一角にすぎません。ネットでは『在日』を主なターゲットにした差別的書き込みが多く見られます」

と分析をしている。主語を「M君」に置き換えてみよう。

「街頭で繰り広げられている『カウンター』の活動は人目を引きやすく一部では報道もされていますが、彼らの活動の中心はインターネットであり、路上の活動は氷山の一角にすぎません。ネットでは『M君』を主なターゲットにした攻撃的な書き込みが多く見られます」

ほとんどの部分を直さなくとも文章が合致してしまう。これが何を示すのかは、読者に考えていただこう。ちなみに『#安寧通信』の#(一般的には「いげた」と呼ぶが、ツイッターでは「ハッシュタグ」と呼ばれる)もツイッター上で用いられる符号である。ツイッターを使わない人には意味が分からないだろうし、意味を持たないが、彼らはそれほどにインターネットを重視していることの表れであろう。

次いで登場は、肩書が「旧しばき隊(現在解散)、現反レイシズム行動集団「C.R.A.C.」の伊藤大介による「『#安寧通信』創刊に向けて」である。
内容は取り立てて言及する必要はない、凡庸なものだ。

反レイシズム行動集団「C.R.A.C.」伊藤大介のツイッターより

◆金光敏(コリアNGOセンター)と金明秀(関西学院大学社会学部教授)

そして、金光敏(特定非営利活動法人コリアNGOセンター)の登場だ。『反差別と暴力の正体』で電話取材にあいまいな返答に終始しながら、実は「M君」が李信恵、エル金、凡、伊藤大介、松本英一を訴えた裁判で「被告」側に「M君」との私信を証拠として提供しているのがコリアNGOセンターだ。

金光敏は幾分詩的な文章を寄せている。全文を掲載するのは馬鹿らしいので割愛するが、ナルシシズムにすぎる文章は、金が「M君」に対した暴虐とはずいぶんバランスが悪い。

関西学院大学社会学部教授、金明秀のツイッターより
 
 

さらに金光敏同様、『反差別と暴力の正体』で、在外研究で1年間韓国にいるはずなのに、不思議なことに日本国内にいて電話が繋がった、関西学院大学社会学部教授の金明秀も登場する。「ぼくは、この裁判を最後まで支援します」と金は宣言し文章を結んでいる。ツイッターに「泥酔して」(本人談)上記書き込みを行った金明秀は「M君」を一貫して「支援しない」ようである。(つづく)

(鹿砦社特別取材班)
最新刊『人権と暴力の深層』カウンター内大学院生リンチ事件真相究明、偽善者との闘い(紙の爆弾2017年6月号増刊)
AmazonでKindle版販売開始!『反差別と暴力の正体――暴力カルト化したカウンター-しばき隊の実態』(紙の爆弾2016年12月号増刊)
重版出来!『ヘイトと暴力の連鎖 反原連―SEALDs―しばき隊―カウンター 』(紙の爆弾2016年7月号増刊)

「警察庁長官を撃った男」中村泰からの手紙──深刻さ増す高齢獄中闘病生活

1995年3月に國松孝次警察庁長官が自宅マンション前で何者かに狙撃され、瀕死の重傷を負った事件から22年の月日が流れた。事件はすでに2010年に公訴時効が成立して迷宮入りしているが、その犯人である説が根強い中村泰(ひろし)という80代の老受刑者の存在は有名だ。中村は獄中にいながらメディアの取材を次々にうけ、「長官狙撃事件の犯人は私だ」と訴え続けてきたが、一昨年に直腸ガンの手術を受けていたことは当欄で既報の通りだ。そんな中村がこのたびまた新たな重病に冒されたことがわかった――。

◆震えていた手紙の文字

2002年に名古屋市で銀行の現金輸送車の警備員を狙撃し、現行犯逮捕されたのをきっかけに長官狙撃事件の捜査線上に浮上した中村泰(87)。現在は岐阜刑務所で無期懲役刑に服しているが、東大を中退したインテリでありながら高度な射撃能力を有し、20代の頃には警察官を射殺する事件も起こした特異な経歴の持ち主だ。結局、逮捕も起訴もされなかったが、警察の取り調べに対し、長官狙撃事件の犯行を詳細に自白していたと伝えられている。

私はこの中村と4年以上、手紙のやりとりを続けてきたが、中村が一昨年初めに直腸ガンの手術を受けて以降は手紙をやりとりする回数が少なくなっていた。そんな中村から今年初めに年賀状をもらって以来、約半年ぶりに手紙が届いたのだが――。

パーキンソン症のため、文字が震えていた中村の手紙

手紙の文字が震えていたので、一体なぜかと思いきや、次のように説明されていた(以下、〈〉内は引用)。

〈謹啓 とりあえず最近の体調について申し上げます。

開腹手術によって患部は完全に切除されまして、現在に至るまで再発の兆候は見られないのですが、やはり八〇歳を過ぎてからの大手術の負担は大きいようでして、以後少なからず体力の低下を自覚させられています。

それに加えまして近頃は手首の震戦(ふるえ)が高じてきて神経科の医師による二度の診察ではパーキンソン症と診断されています。回復の見込みは薄いとのことでした。齢が齢だけに諦めるほかなさそうです〉

「Yahoo!ヘルスケア」によると、パーキンソン症(病)とは、手足が震えたり、筋肉がこわばったり、動作が遅くなるなどの症状が徐々に進行する病気で、10数年後には寝たきりになる患者もいるという。有病率は、人口10万人に対し100人程度というから珍しい病気と言えるが、中村は直腸ガンの手術後に闘病生活を送る中、また新たな重病に陥ってしまったわけである。

大丈夫だろうか……。私は最悪の事態まで想像し、少し重たい気持ちになってしまった。

中村のことを長官狙撃事件の犯人であるかのように伝えたフジTV「奇跡体験アンビリバボー」(2017年6月29日放送)のHP

◆元気だった頃と変わらない様子も

だが、手紙を読み進めると、元気だった頃と変わらない中村らしいことも書かれていた。

〈このほどテレビ番組制作会社から「奇跡体験アンビリバボー」なる番組で長官狙撃事件を取り上げる旨、通知を受けました〉

これまでも中村はテレビで自分のことを長官狙撃事件の犯人として取り上げる番組の放送が決まるたび、私に連絡してくれていた。今回も闘病中にも関わらず、義理堅く番組情報を伝えてくれたのだ。

6月末に放送されたこの番組は中村が長官狙撃事件の犯人である可能性を強く示唆する内容だった。そのためか、番組放送以来、ツイッターなどネット上では中村泰のことを長官狙撃事件の犯人であるかのように言う声を多く見かけるようになった

「警察庁長官を撃った犯人は自分」と世の人々に知らしめることを目標に闘病生活を送る中村にとっては、病と闘う活力になったことだろう。取材を通じて中村のことを長官狙撃事件の犯人だと思うようになった私としても、中村が少しでも多くの人に長官狙撃事件の犯人だと認識されることを願っている。

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▼片岡健(かたおか けん)
1971年生まれ、広島市在住。全国各地で新旧様々な事件を取材している。

「絶望の牢獄から無実を叫ぶ ―冤罪死刑囚八人の書画集―」(片岡健編/鹿砦社)
愚直に直球 タブーなし!『紙の爆弾』8月号! 安倍晋三 問われる「首相の資質」【特集】共謀罪を成立させた者たち