芽が出始めたムエタイ新時代──タイで通用する若手選手が続々出現!

2016年の展望の追記のような、近未来の展望ですが、ちょっと昔の日本のキックボクサーが漏らした名言が思い出されるこの頃であります。

「俺らは毎日働いて疲れ引きずって、夕方ジムに行って練習しているけど、俺ら日本人も子供の頃から朝練習して昼寝して、夕方も練習するような、タイ人と同じような環境で練習こなせば、日本人だってタイ人なんかに負けねえんだ。」

25年も前、タイで修行中のある日本人キックボクサーとジム近くの屋台で飯食いながら、彼はジムでタイ選手に何か面白くないことでも言われたか、酔いながらそんな愚痴をこぼしていました。

◆2007年頃から日本で始まった“ジュニアキック”の普及

タイでは地方に行けば野外の広場で、夜の試合ではリングの上に100ワットの裸電球が十数個あっても薄暗い中で、その土地のお祭り的なムエタイ試合が多くあります。5歳ぐらいの子供の試合から10代~20代前半が中心の試合もあれば、稀に40歳超えで“オヤジファイト”のような素人っぽい試合もあり、そんな中でも有力な選手がまた上のステージへ進みます。こういう幼いうちから試合に出される環境があるのもタイならではの話です。

対して当時の日本では、そんな環境には程遠く、プロの試合も少なく、アマチュアにおいては空手が普及しているものの、キックボクシングとは違ったカテゴリー。アマチュアキックボクシング団体は、大学生中心の「学生キックボクシング連盟」など古くからあるものもあり、他にも新空手やグローブ空手というアマチュア競技もありましたが、低年齢層までの出場はごく少数でした。

「WindySuperFight」アマチュア大会のワンシーン、これもプロへの通過点(2015.8.16)
「MuayThaiSuperFight」アマチュア大会42.38.34kg級各チャンピオン、これもプロへの通過点(2014.8.2)

そんな時代を経て、2007年頃から、プロ団体の乱立とは直接関係ないものの、幾つかの団体がアマチュア枠でも低年齢層を対象とした“ジュニアキック”に力を入れ、普及し始めました。

「ムエタイでトップに立つ選手に育てるなら遅くとも中学に入る頃までに、タイに連れて来なさい。」そんな助言をするムエタイのトレーナーが何人もいたのも事実で、そういう認識を持ち始めた頃だったのかもしれません。

◆2009年末、タイで通用する選手の育成を目指して「WINDY SUPER FIGHT」が設立

「WindySuperFight」最高顧問CHAI.TOKYO氏(左)、B-FamilyNeoジム大田原光俊代表(右)

股関節の柔らかさから放たれるムエタイボクサーのしなやかな蹴りや、首相撲のバランスを覚えるには幼い頃からの鍛練が重要になると言われていますが、2009年12月には「タイで通用する選手の育成を目的とした団体」としてタイのWINDYスポーツ社の協賛で「WINDY SUPER FIGHT」というの団体を立ち上げたのが、ビーファミリーネオジム代表の大田原光俊氏でした。

ムエタイとして最高峰となる二大殿堂王座に挑むなら、タイで現地ランカーと戦い勝ち上がって名を売り、殿堂チャンピオンの座を掴むことが本筋と言われています。また小学生のうちから戦いの場が与えられる WINDY SUPER FIGHTに於いてのジュニアキックの最軽量級は20kg級から始まり、55kg級までの複数階級でトーナメント制によるチャンピオンを決定。そして15歳で中学を卒業すると、その後は一般部門かプロに進むことになります。

子供のうちからプロ選手と同じく、タイのジムに行かせたり、日本に於いてもタイ人トレーナーの指導を受け、身体作りが出来る環境の下、大田原代表の二人の息子さんである大田原友亮と虎仁兄弟はこのWINDYジュニアキックや、本場タイの二大殿堂を拠点として実績を積み、また日本の試合にも積極的に出場しています。

◆日本で続々登場してきた高校生ムエタイ戦士たち

同じように、タイのプロのリングで活躍した選手や日本で注目を浴びた選手は他にも那須川天心、福田海斗、佐々木雄汰、石井一成、伊藤勇真、溝口達也、岩尾力、平本蓮、伊藤紗弥(女子)という高校生のムエタイ戦士の活躍により、ジュニアキック競技そのものが6年を経て大きく評価を上げ、タイ殿堂スタジアムのランキングに名前を連ねる選手もいるほどまで成長しました。

“タイ人と同じ環境で練習をこなせばタイ人には負けない”その幼いうちから育ててやれば本当に強くなるんだという今の結果。更に今活躍する中学・高校生キック、ムエタイボクサーは先人の願いに叶う活躍を見せてくれるか、そんな選手たちがもし近未来に、次々とムエタイ殿堂王座を奪取するようなことになれば、タイ国民も古くからルーズな気質でありながら、反面プライド高い国民だけにやっと重い腰を上げ、そこから本気で日本人(外国人)潰しに躍起になり、そこからの戦いは新たなムエタイの進化をもたらすかもしれません。

25年前のバンコクの屋台でキックボクサーが愚痴ってた日から、こんな時代がやってくるとは、信じられないほどの低年齢化した選手の成長に驚くばかりです。

ジュニアキック黎明期を支えた大田原兄弟の次男.虎仁
天才ムエタイ少女WPMF女子世界ピン級チャンピオン伊藤紗弥。テレビ番組にも登場
ジュニアキック8冠王の岩尾力。プロでも頭角が現れ始めている

[撮影・文]堀田春樹

▼堀田春樹(ほった・はるき)
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない。」

◎ティーンズチャンプがキック界を刷新する?──2015年回顧と2016年展望
◎強くなるためにタイへ行く!日本キックボクサー「ムエタイ修行」今昔物語
◎ルール変更の紆余曲折から辿る日本キックボクシング界の栄枯盛衰クロニクル
◎キック新時代を牽引するRIKIXジムの「NO KICK NO LIFE」

タブーなきスキャンダルマガジン『紙の爆弾』2月号!【特集】安倍政権を支える者たち!

《脱法芸能52》本連載開始直後から私の周辺で起き始めた奇妙な出来事

当サイト『デジタル鹿砦社通信』で「脱法芸能」の連載が始まったのは、2014年8月からだが、これまで筆者である私の周辺で様々な異変が起きている。

◆ビートたけし独立事件に触れた直後に起こった異変

その電話はビートたけしの独立事件について触れた記事が2014年10月20日に掲載された直後、非通知でかかってきた。電話の主の男は広島弁で、いかにも暴力団員風だったので、私が「組織の方ですか?」と聞くと反応はなかった。

「お前、昔、(暴力団の)S会から追い込みをかけられて、ワシに頼ってきただろう? 京王プラザで会ったじゃないか? お前、ぶっとんじゃったんじゃないの?」と言うのだが、筆者はS会に追われたことはないし、京王プラザホテルに行った記憶もないのである。

「覚えてないです」と私が聞くと、「何かのパーティーで知り合ったんだ。君の名刺をワシは持っている」と言ってきた。脅しのつもりであろう。

電話の主が、「今、どんな仕事をしているのか?」というので「鹿砦社という出版社のウェブサイトで芸能界の連載をやっていますが……」と答えると、「そんな仕事、1本数千円だろう?」とした上で、しきりに私の収入や付き合いのある週刊誌などについて尋ねてきた。それで私がある週刊誌について言及したところ、その直後にその週刊誌に所属する私の知人のデスクから電話があった。

その週刊誌デスクは、開口一番「FXの仕事を依頼したい」と言ってきたが、私は「FXについては詳しくない」と答え、この申し出を断った。その週刊誌デスクは、私とあまり話をしたくないようで、すぐに会話を打ち切った。

なお、そのデスクが所属する週刊誌はバーニングプロダクションやケイダッシュと関係が深いという指摘があり、そのデスクも、バーニングプロダクションの周防郁雄社長と昵懇だと言われる。また、このデスクと親しいフリージャーナリストが、現在、周防社長と敵対関係にある大日本新政會総裁の笠岡和雄氏に熱心に取材をしていたことがあったが、私が「どこで記事を書いたんですか?」と尋ねたところ、「記事は書いたことはない」と言っていた。記事にしないのに、どうして取材をするのか、不思議に思ったものである。

◆非通知の電話主は「連載は本にするのか?」と聞いてきた

その後も妙な電話が続いた。次に非通知で電話をかけた来た人物は、先に述べた広島弁の男よりも声色は若く、言葉遣いは明らかに不良っぽい。この人物も「パーティーで知り合った。アンタの名刺を持っている。名刺なんかこれまでに何千、何万枚と配っただろう?」と言うが、私には記憶がない。

この人物は、先の広島弁の男に私が話した情報を知っており、それを前提に質問をしているようで、やはり私の収入や付き合いのある週刊誌について知りたがっていた。また、「連載は本にするのか?」とも言い、当連載について関心を持っているようだった。
「東京駅周辺の喫茶店で会いたい」とも言われたが、私は素性の知れない人物と会うつもりはなく断った。

この人物は、私を安心させる意図があったのか、暴力団について記事を執筆しているフリーライターの名前を何人か挙げていたが、その中に私の知人のフリーライターの名前を挙げ、「あいつは今、関東連合について取材している」と言っていた。
その後、このフリーライターの知人に確認してみると、関東連合の関係者が「星野君と電話で話した」と言っていたという。先に述べた広島弁の男とのやり取りで私はこの関東連合関係者について言及している。また、この関東連合関係者はかつて芸能プロダクションの仕事をしており、過去にバーニングプロダクションの周防社長と関係が深い格闘技プロデューサーの石井和義氏の下で働いていたことがあるが分かっている。

◆『芸能人はなぜ干されるのか?』の読者と名乗る芸能関係者による奇妙な接触

その後も、おかしな出来事は続いた。先の週刊誌の別の記者から、タレントの独立問題について取材依頼があり、これに応じたところ、記事ではまったく使われず、私とは立場がまったく異なる芸能評論家のコメントが掲載されていた。

その直後に拙著『芸能人はなぜ干されるのか?』の読者だという芸能関係者からメールで連絡があった。メールに記載されている内容は私が先の週刊誌の取材で話した内容に合致していた。いろいろと人脈があるというので会ったところ、逆に私の情報源を探るような質問をしてきたため、関係を遮断した。

▼星野陽平(ほしの ようへい)
フリーライター。1976年生まれ、東京都出身。早稻田大学商学部卒業。著書に『芸能人はなぜ干されるのか?』(鹿砦社)、編著に『実録!株式市場のカラクリ』(イースト・プレス)などがある。

◎事実の衝撃!星野陽平の《脱法芸能》

芸能界の歪んだ「仕組み」を解き明かす!『芸能人はなぜ干されるのか?』
『紙の爆弾』!タブーなきラディカル・スキャンダル・マガジン

秋葉原に跋扈──ヤクザが去って韓国ローティーン「JKK」勧誘の嵐

「今やヤクザは山口組の分裂騒動からというもの、警察のマークがきつく、おいそれとスナックやキャバクラに足を運べなくなった。秋葉原もかつてはヤクザがケツを持っている『JKお散歩』や『JK耳かき』という名の「JK本番」サービスが大流行していたが、警察のチェックがきつく、ヤクザもJKビジネスの後ろにいて、かすりをもうけるのは難しい。その隙間を縫って、韓国マフィアが韓国人のローティーンを使ってJK本番サービスを仕掛けています」(秋葉原の性風俗業者)

秋葉原を深夜11時過ぎに歩いていると「お兄さん、お兄さん、ひとつだけ教えてください。未成年に興味はありますか?」と中年の男性が声をかけてくる。

「ついていくと、上野のラブホテルに連れて行かれ、5万円前後で韓国人の十代前半の女の子がフェラを上手にしてくれる。プラス2万円にて、『ゴムつき本番』になだれ込みます。もちろん地元のヤクザに話は通していますよ」(同)

そして、12月に入って「写真を撮られて十数万円もぼったくられた」という被害者が続出、地元警察も、キャッチに目を光らせ始めた。

「コスプレ喫茶のようなスタイルで『喫茶いかがでしょうか』と声をかけてくる女の子たちも、たどたどしい日本語の場合葉『JKK』、つまり韓国嬢の女子高校生バージョンでのエッチプレイである可能性が高い。まあ日本の風俗サービスがエアポケットに入ったような状態なので、そこにスーッとアングラなJKKサービスが入ってきたのです。午後11時すぎて『未成年に興味ありますか』と聞いてくるキャッチの出没時間は、わずか5、6分にすぎない。警察に通報されて駆けつけても、もう影も形もないというわけです」(同)

秋葉原や上野あたりの繁華街でも新宿の歌舞伎町ばりに「キャッチは違法です。ついていかないようにしましょう」というアナウンスが流れるが、やはり「ローティーン好き」にはたまらない魅力のある街となった。

「まあ山口組の分裂騒動が続くかぎり、韓国風俗は儲かるでしょうね」(同)
秋葉原の2016年が始まった。今年もロリコン好きの男がわんさかと集まりそうだ。

▼ハイセーヤスダ(編集者&ライター)
テレビ製作会社、編集プロダクション、出版社勤務を経て、現在に至る。週刊誌のデータマン、コンテンツ制作、著述業、落語の原作、官能小説、AV寸評、広告製作とマルチに活躍。座右の銘は「思いたったが吉日」。格闘技通信ブログ「拳論!」の管理人。

◎メールストーカーの心理状態を推察し、挑戦状を出す!
◎川崎中1殺害事件の基層──関東連合を彷彿させる首都圏郊外「半グレ」文化
◎国勢調査の裏で跋扈する名簿屋ビジネス──芸能人の個人情報を高値で売買?

月刊『紙の爆弾』2月号!総力特集─安倍政権を支える者たち

家族3人の命が奪われたのに──広島県警が放置する「ある重大未解決事件」

昨年末、世田谷一家殺害事件や「餃子の王将」社長射殺事件など12月に起きた「未解決事件」に関する報道をよく見かけたが、1月に起きた事件の中にも未解決の重大事件は少なくない。筆者が居住する広島市にも該当する事件が2つある。

1つは2000年1月20日、市の中心部に程近い西白島町の地下道で起きた少女殺害事件。当時16歳の被害少女は深夜3時50分頃、帰宅中に地下道で何者かに刃物で刺され、死亡した。事件後、市内の11の地下道に防犯カメラが設置されたが、事件は発生から16年も未解決。そのため、広島県警は今もホームページで事件に関する情報を募っている(http://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/police-hiroshimachuo/16sai.html)。

火災で家族3人が亡くなった事件の現場。しばらく空き地だったが、今は家が建っている

もう1つの事件は2001年1月17日、広島市西区の住宅街で起きた。深夜3時半頃、中村小夜子さん(事件発生当時53)宅が火事になり、焼け跡から小夜子さんと孫の姉妹・彩華ちゃん(同8歳)、ありすちゃん(同6歳)の計3人の焼死体が見つかった。小夜子さんの遺体に首を絞められた痕跡があったため、「放火殺人事件」と断定した県警は本格的な捜査に乗り出した。ところが――。

発生から15年経っても「未解決」であるにも関わらず、今、県警がこの事件を捜査している様子はまったく窺えない。県警のホームページを見ても、この事件の情報は募っておらず、3人の命が奪われた重大未解決事件を完全無視状態なのである。

◆捜査しない理由

なぜ、県警は捜査しないのか。それは一度、無実の男性を犯人だと誤認し、検挙してしまったことによる。

冤罪被害に遭ったその男性は中村国治さん(同30)。小夜子さんの長男で、彩華ちゃん、ありすちゃんの父親だ。中村さんは事件の前年に離婚し、事件発生当時は2人の娘と共に実家である小夜子さん宅で暮らしていた。しかし火災があった時は家におらず、家族の中で1人だけ難を逃れていた。県警はそこに疑いの目を向けたのだ。

実際には、中村さんが夜間に家にいないのは事件の日に限った話ではなかった。家には夜間、自分の車を駐車するスペースがないため、中村さんは毎夜、小夜子さんの経営する喫茶店で過ごしていただけだ。

しかし、県警は事件発生の5時間後から早くも中村さんを長時間取り調べるなど、犯人扱いだった。中村さんが当時乗っていた車も隅々まで捜索。その結果、犯行の痕跡は何も出てこなかったのに、なおも中村さんに執着し続けた。そして5年半も経ってから中村さんを詐欺の容疑で別件逮捕すると、過酷な取り調べで殺人や放火の容疑を自白させ、再逮捕したのだ。

その挙句、裁判が始まると、有罪証拠は事実上、捜査段階の自白調書のみだったことが明るみに。そして裁判で自白を撤回し、無実を訴えた中村さんは第一審から上告審まで3度、検察官に死刑を求刑されながら、いずれも無罪と判断されるという異例の事態となったのだ。

◆「被害者や遺族のために」と口では言うが・・・・・・

ただ、そんな重大な冤罪でありながら、この事件はマスコミであまり冤罪として扱われてこなかった。むしろ、最高裁で無罪が確定した際には、〈3人の死 真相は闇の中〉(中国新聞2月25日朝刊)などという無罪確定に懐疑的な報道が目立った。それは、広島地裁の第一審で無罪判決が出た際、裁判長が「シロではなく灰色かもと思うが、クロと断言はできなかった」などと異例の付言をしたことなどが原因だ。

実際には、この事件はクロの証拠が乏しいのみならず、中村さんがシロだと示す事実がいくつも明るみになっていた。たとえば、検察官は中村さんが保険金目的で犯行に及んだと主張したが、裁判ではそもそも中村さんは小夜子さんが保険に入っていたこと自体をよく知らなかったことが明らかに。娘2人にかけていた保険については、3か月も掛け金を滞納しているなど、およそ保険金殺人犯らしからぬ事実も浮き彫りになっていた。

また、自白調書では、中村さんは小夜子さんの部屋のあちこちに5・5リットルの灯油をまいたうえ、ライターで灰皿の吸い殻に点火し、放火したことになっていた。しかし事件発生の直後、県警の捜査員は中村さんの体や車を隅々まで調べながら、凶器の灯油を一切検出できなかったばかりか、灯油の匂いすら感じ取れていなかったのだ。

重大な未解決事件に関する報道では、警察幹部が被害者や遺族のために事件解決を誓うようなコメントを発するのが常である。しかし実際には、この広島の事件に限らず、警察が被告人の無罪判決確定後、真犯人検挙のために捜査を再開したためしはない。警察が犯人検挙にこだわるのは必ずしも被害者や遺族のためではないことがここによく現れている。

▼片岡健(かたおか けん)
1971年、広島市生まれ。早稲田大学商学部卒業後、フリーのライターに。新旧様々な事件の知られざる事実や冤罪、捜査機関の不正を独自取材で発掘している。広島市在住。

◎ガンから生還!「国松警察庁長官を撃った男」から届いた決意表明の手紙
◎10月はなぜ未解決の重大事件が多いのか? 刺殺、放火、バラバラ殺人も迷宮入り
◎再審取り消し決定文書にもパクリ疑惑!──冤罪説が根強い鹿児島「大崎事件」
◎発生から15年、語られてこなかった関東連合「トーヨーボール事件」凄惨な全容
◎3月に引退した和歌山カレー被害者支援の元刑事、「美談」の裏の疑惑

タブーなきスキャンダルマガジン『紙の爆弾』2月号!【特集】安倍政権を支える者たち!

《脱法芸能51》吉松育美VS谷口元一裁判(11)戸田泉弁護士らによる反対尋問

戸田弁護士からの質問が続く。

戸田泉弁護士 先ほど、あなたは谷口さんが殺人をしたらしいということをおっしゃいましたが、その根拠としてインターネットや友人とおっしゃられましたが、他には?

吉松育美 あります。

戸田泉弁護士 何が根拠でしょう?

日本外国特派員協会での吉松育美さん記者会見(FCCJ公式チャンネル2013年12月16日公開)

吉松育美 2008年に川田亜子さんが亡くなった一番最後の恋人と言われているのがマット・テイラーさんであり、その彼女が亡くなった日の時系列に関してなんですけど、谷口さんは川田亜子さんに直接電話をかけて、「今から練炭を買ってこい、練炭を買って来い」と言われて、その日、川田亜子さんは谷口さんと会うアポイントを取って、その日に……翌日ですね、次の日に、練炭自殺をして遺体で発見された、ということですね。

戸田泉弁護士 マットさんから聞いたんですね?

吉松育美 はい。

戸田泉弁護士 マットさんに洗脳されているとは思いますか?

吉松育美 思いません。

戸田泉弁護士 他にありますか?

吉松育美 ここで言う必要があるんでしょうか?

戸田泉弁護士 あの、あなたは名誉毀損をしたということで、この裁判所にいるので、根拠は他にはないですか? 他にはないという理解でいいですか?

日本外国特派員協会での吉松育美さん記者会見(FCCJ公式チャンネル2013年12月16日公開)

吉松育美 他にもありますが、彼女たちの了承を得ない上でここで発言することはできません。というのも私が、彼女たちもここで発言することによって谷口さん側に名前が分かって彼女たちも業務妨害が発生したら、私の責任は取れませんので。

戸田泉弁護士 なるほど、彼女たちというのは、谷口さんが殺人するところを見られたのですか?

吉松育美 違います。パワハラ、セクハラをした話です。

戸田泉弁護士 殺人のことについて伺いたいんです。

吉松育美 殺人については知りません。

戸田泉弁護士 では、殺人のことはあなたはインターネットとテイラーさん以外からの誰からも聞いたことはないんですか?

吉松育美 はい。

戸田泉弁護士 以上です。

角地山宗行弁護士 日テレの事件についてお聞きしたんですが、スタッフの方は谷口さんが後ろから追いかけてきたことについて、気付かなかったとおっしゃっていましたが、その前にスタジオの方であなたにおっしゃったことだと谷口さんは別のマネージャーを連れてきたとか、金返せとかといったことを大声で叫んでいたとおっしゃっていましたね。そういうことであれば、スタッフの方は十分、谷口さんに注意を払っていてもよかったのではないでしょうか?

吉松育美 注意していました。

角地山宗行弁護士 先ほどの話だと気づかなかったと……。

吉松育美 ただ、スタッフといってもバンキシャのスタッフは1人じゃないので、他にもたくさんスタッフが周りにいて、その他の方たちは注意をしているのは見ました。でも、私を誘導する係のスタッフというのは、番組内でもまあ多分、そこまで上の方ではない、権限のない女性の方だったので、彼女は私を吉松さんの控室に誘導しなくてはいけないという任務だけを持って、吉松さんこっちに来てくださいっていう風に誘導してくれたので、彼女は気づいていなかったのですが、その他のスタッフは気づいていました。

西川洋司弁護士 CBSラジオの発言で、今、被告代理人の方から質問で人殺しとか殺人とかという話をしたんですけど、あの吉松さんの発言として日本語で発言したわけではない?

吉松育美 はい。すべて英語です。

西川洋司弁護士 人殺しとか、殺人とか断言したわけではない?

吉松育美 はい。ありません。

西川洋司弁護士 今回、人を殺しているとかっていう話が出てきているっていうのは、吉松さんが(日本語)訳をしたものでもない?

吉松育美 はい。

西川洋司弁護士 吉松さんとしては、その訳文のような意味合いでの発言をしたつもりなのか、そうではないのか?

吉松育美 その訳文は第三者が勝手にやったものなので、私の意思とはまったく違うものです。

裁判官 乙17号証の3に……こういう発言をされたということでいいのでしょうか?

吉松育美 結構です。

裁判官 この発言自体はこの通りでいいということですね?

吉松育美 英文はそうです。

裁判官 訳が自分の考え方とは違う?

吉松育美 はい。

裁判官 ご自分としては、どういうつもりで言ったのか? 教えて下さい。

吉松育美 ええ、私は谷口さんは殺人犯だというような断言をするような言い方ではなく、people sayと言っているように、人々、人々というのは、直訳すると人々ということになりますが、ネットだったり、そういった第三者によるとという言い方をしました。そういうつもりです。

裁判官 訳文に、聞くところによるととなっていますが、そういうことが言われているという趣旨でいいですか? 彼は過去に何人かの女性を殺したり自殺に追いやったりしたと人々が言ってますと、直訳するとそういう意味ですか?

吉松育美 直訳すると、そうですが、私としては断定的に言っているつもりではありません。

西川洋司弁護士 あの、今のところ、英語だとmurdered, or forced to commit suicideとなっているんですけど、ここには殺したり、自殺に追いやったりとなっているんですが、orというのはどういう趣旨ですか?

吉松育美 または。

西川洋司弁護士 というのは、どちらか特定できないということ?

吉松育美 はい。

以上で吉松さんの反対尋問は終了した。次回からは谷口氏の証人尋問の様子をレポートする。(続く)


◎[参考動画]日本外国特派員協会での吉松育美さん記者会見(日本外国特派員協会2013年12月16日公開)

○吉松育美さん公式サイト=http://ikumiyoshimatsu.com
○吉松育美さんFacebook=https://www.facebook.com/yoshimatsuikumi
○吉松育美さんYouTube=http://www.youtube.com/user/yoshimatsuikumi

▼星野陽平(ほしの ようへい)
フリーライター。1976年生まれ、東京都出身。早稻田大学商学部卒業。著書に『芸能人はなぜ干されるのか?』(鹿砦社)、編著に『実録!株式市場のカラクリ』(イースト・プレス)などがある。

◎事実の衝撃!星野陽平の《脱法芸能》

芸能界の歪んだ「仕組み」を解き明かす!『芸能人はなぜ干されるのか?』

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大晦日キャットファイト──見事な「脱がせぶり」で圧勝した若林美保に注目!

大晦日に、19時から新木場1stリングで行われたキャットファイトの興業「大みそかだよ! キャットファイトファイトスペシャル 2015」(CPE主催)で異才を放つ女優、若林美保に注目していた。この日は、キャットファイトの基本形でもある「追い剥ぎデスマッチ」を内山沙千佳と繰り広げて、見事な「脱がせぶり」で圧勝した。

この若林美保(通称・わかみほ)は、国立東北大工業学部出身の異色のストリッパー(浅草ロック座)なのだが、実はポルノ映画で安定した演技を披露、緊縛モデルとしても由緒あるショーに多数出ている。要するにあまり知られていないが「才気にあふれ、昭和の香りを引きずる女優」である。いっぽう、歌手としても活動し、ファンも多い。

若林の魅力が開花するのは、緊縛パフォーマンスだと僕は思う。もちろん膨大な 出演をカウントするAVも悪くないが、音楽とともに恍惚とした表情で、アスリートのごとく鍛えたボディを縄に食い込ませて客を酔わせる若林は、ちょっと近寄れないほどに巫女的な、荘厳な雰囲気をかもしだす。

もちろん大晦日には、このキャットファイトでは日銭を稼ぐために来たのだろうが、こうした女優がいまひとつ日本では評価されていないことも腹がたつ。きっとヨーロッパでは馬鹿売れだろう。わかみほは、生まれてくる国を間違えたのだ。ゆえに僕は、この女優を追跡する。追跡するのが、才気に見せられた記者の本能だからだ。

また、ここではイベントに呼んでいただいた関係で、きちんとCPEのイベント紹介をすれば、セクシーアイドルの範田紗々もバトルロイヤル気味の2対2の勝負、バナナをフェラしてその技で決着をつける水着バナナマッチでいい味を出していたし、いちいち歌舞伎のポーズで決める松山勘十郎も、また、重量レスラー、さちこyokozunaの調教師で、バイブで敵を攻めるのが得意な三代目葵マリーも、もはやその芸は特筆もの。興味がある御仁は、ぜひDVDで見てみるべし。

ともあれ、キャットファイトで光る女は、同時に開催されていたうさんくさい総合格闘技や王者ばかりで何の緊迫感もないボクシングなんかよりも、ずっと質が高いイベントだったと、最後に記しておこう。次回は3月26日、大阪で開催予定のようだ。また下品ながらも、記憶に残るマッチメイクを期待したい。

CPEホームページ http://www5d.biglobe.ne.jp/~cpe/

▼ハイセーヤスダ(編集者&ライター)
テレビ製作会社、編集プロダクション、出版社勤務を経て、現在に至る。週刊誌のデータマン、コンテンツ制作、著述業、落語の原作、官能小説、AV寸評、広告製作とマルチに活躍。座右の銘は「思いたったが吉日」。格闘技通信ブログ「拳論!」の管理人。

◎NEW JAPAN WARSⅡ──キック界髄一のモテ男 、関根“gaia”朝之VS阿羅斗
◎川崎中1殺害事件の基層──関東連合を彷彿させる首都圏郊外「半グレ」文化
◎国勢調査の裏で跋扈する名簿屋ビジネス──芸能人の個人情報を高値で売買?

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忘れられた衝撃事件の真相──寝屋川中1男女殺害事件容疑者の意外な手記(下)

山田は、2002年に住んでいた大阪の寝屋川近くで、男の子を監禁する事件を連発している。

「山田容疑者は窃盗、傷害、覚せい剤など前科8犯……山田が住んでいる自治会では、『あの人に近寄らないほうがいい』と囁かれたことがあります。理由は、気にいった大人のOLや中学の男の子を撮影して逃げる、ということが頻繁に起きたからですね」(寝屋川の住民)

このように男女どちらでも愛せる山田容疑者は、刑務所で何を思い、どんな恋人を探していたのだろうか。

過去、服役経験もある、前出の作家の影野氏がさらに解析する。「僕はこの事件を知ったとき、Y・Kという1人の人物を思い出しましたね。Y・Kは13年前、山田同様に刑務所に服役していました」彼は、懐かしそうに服役時代を振り返る。

「当時のY・Kの罪名は、少年への『過失傷害致死』です。彼は性的にはヘテロ(=異姓愛)のようでしたが、大人の女性より幼少女が好きで、中性的な少年も彼の性の対象となりました。しかも、幼児童に対しての虐待癖があるため、このときの懲役も少年を縛って窒息死させたものだったのです。Y・Kは12才より類犯に類犯を重ね、36才(服役中)に至るまでの人生のほとんどが塀の中でした。服役中も、そのころ爆発的人気だった『モーニング娘』の写真集を買って『昨日は燃えたよ』などと、自慰行為を自慢するかのように囁いてきたのが印象に残っています」

Y・Kは、大人になりきらない少年少女を愛すバイセクシャルだったようだ。

「Y・Kは大人のオンナには、まったく興味がないようでした。少女か、いまだ男になりきっていない中性的な少年が性の対象だといってました。今回の寝屋川の事件と、どことなく似てませんか」

実際、Y・Kはどんな男だったのか。その風貌や、受刑生活を影野氏に訊いてみた。
「そうですね。Y・Kはガリガリに痩せ細り、腹には胃潰瘍の手術痕が生々しい。なんとも、不気味な男でした。同性愛者でもあると認定された彼は、夜間独居での生活を余儀なくされていました。1人で舎房に還えるとき、ニヤニヤと笑う顔が異常性愛者特有のように思えましたね。刑務所で罪を償うという状況下であれば、山田も刑務所で手紙だけが唯一の心のよりどころであり、同時に名前をロンダリングして出所したときに暮らしやすくするつもりだったのかもしれません」

世間を震撼させた山田浩二容疑者が、獄中結婚や養子縁組による「名前と過去の犯罪歴のロンダリング」をしていた形跡が明らかになる。

同時に、なぜ中学1年生が連日、夜中に遊び歩いているかについて、社会評論家や教育評論家が侃々諤々の議論を重ねており、この事件がきっかけで「寝屋川近郊では、大人たちが防犯パトロールを強化して、子供の夜遊びを注意する体制ができた」きっかけができたという。

大阪の警察関係者が語ってくれた。
「この事件のポイントは、中学生たちが山田の誘いに簡単に乗ってしまったこと。つまり、まったく無警戒に変質者が中学生に声をかけることができたという事実に焦点を当てて事件を考え直さなければいけない」

いっぽうで、「結婚をして、名前を変える」とすぐに社会に「潜伏」できるというシステムも問題なのではないだろうか。

「そうした意味では、マイナンバー制度がもしかして第二の山田の登場を防ぐかもしれません。名前を変えてもナンバーで犯罪歴がわかりますからね。だとしても亡くなった中学生にとっては、制度の確立が遅すぎましたけどね」(同)

今もなお、中学生たちの死体遺棄現場には花束が山のように置かれている。最後に、山田の足取りを追った影野氏が感慨深げに語る。

「寝屋川の現場に行きましたが、犯人の山田が辿ったであろう道を歩くたびに、感慨にふけったものです。山田は何を思い、何がしたかったのだろうか。ただ、殺害目的のためだけに、2人を連れまわしたのだろうかと。そして、山田は遺体遺棄した日に、養父と何を語ったのだろうか。今生の別れとでも思ったのだろうか。裏切っていると分かっていても、自らの欲望を抑圧することができない山田容疑者も、私が刑務所で出会った受刑者と同じで、更生の道は難しいのかもしれません」

投稿された手記には、「今まで自分は32年間の人生の中で、たくさんの人の期待を裏切ってきました」と綴っている。

このとき書いた殊勝な手記は、彼の本心だったのだろうか。現在、山田は『完全黙秘』のため、『接見禁止』(=面会、読書、手紙の初受信などのすべてが禁止される)を余儀なくされている。だが、裁判が進み、事件の概要が明らかにされたとき、山田容疑者が何を語るか注目したい。(了)

寝屋川中一男女殺害事件容疑者山田浩二が手記を投稿していた受刑者の同人雑誌『獄同塾通信』(現『獄同塾友会』)

(小林俊之+影野臣直) ※取材協力『獄同塾友会』

◎忘れられた衝撃事件の真相──寝屋川中1男女殺害事件容疑者の意外な手記(上)

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《2》なぜ銀座のクラブにはゴタがないのか?
《3》メニューに金額明示があれば違法性はない?
《4》東京五輪を前に警察が浄化作戦を始動?
《5》御一人様51万円「クラブ・セノーテ」事件の衝撃
《6》ベテランキャッチが語る「ぼったくり」の世界
《7》「ガールキャッチ」復活と増えるプチぼったくり
《8》警察の弾圧が盛り場の「食物連鎖」を増殖させる

ネット爆弾に気をつけろ!──知らぬ間に自分が「真っ裸」にされているSNSの世界

1月6日付の本コラムでハイセーヤスダ氏がメールストーカーに対して気炎を上げている。ストーカーがどのような人物かは伺う術もないが、ハイセーヤスダ氏を軽く見ない方がいいことだけは警告しておこう。

私はこれでも腕っぷしには自信があり、少々のストリートファイトでかすり傷一つ負ったことはないけれども、ハイセーヤスダ氏と一戦交えようとは思わない。彼の130キロはありそうな肉体と鍛え上げられた全身を覆う筋肉は、多少格闘技を齧ったことのある人間なら直ぐに察知できる。そして厄介なことに彼の筋肉は打撃戦だけではなく、寝技になっても必ず持久力を発揮する弾力も兼ね備えている。

だから私はかすり傷を負うかもしれない危険を冒そうとは思わない。

◆SNSヘビーユーザーたちが陥る言説と心性の劣化

ハイセーヤスダ氏の肉体はともかく、彼の論考には私も賛同する部分がある。スマートフォンや携帯電話、SNSへの言及の件である。「スマートフォンを使うと鬱になる」という説は初耳だが、不思議には感じない。またFacebookやTwitterに強い習慣性があることはそのヘビーユーザーの没頭振りを見れば明らかだ。特定の空間でしか通用しない言語や理屈から、独自のルールは私自身が最も忌み嫌うものだ。

よって最低限の情報収集以外に私はSNSを覗くことはしないし、ましてや自分が利用することなどない。日本ではmixiというサービスがこれらに先行する形で利用者を広げたが、日記風に自分を語ること、自分の趣味や考えを展開するこのサービスには当初「招待制」だったので、今日に至るも内容をつぶさに検証したことはない。しかし引用された文章などを読むにつけ利用者の思考、趣味、同傾向の人間との結びつきなどが、その気になれば管理運営者によって全て網羅的に掌握されるシステムであることがわかる。

この特性はTwitterやFacebookでも同様だ。利用方法次第では商売上の広告として無料で利用できたり、イベントや集会の告知に利便性があることは理解できる。だから利益追求のためには使い方次第で便利なサービスである。しかしながら個人がその瞬時の思いや感情、意見を発表する場としては相当な危険と落とし穴を備えているのがTwitterやFacebookだと心しておいた方がいいだろう。

その危険性の第一は前述の通り「強い習慣性」、さらに言えば「依存性」である。冗談ではなくニコチン中毒の比ではない。Twitterで段々フォロワーやフォローが増えてくるとスマートフォンや携帯電話で利用しているユーザーは膨大な書き込みへの反応が半ば強制的に要求されてくる。反応しないと「あの人冷たい」とか「あの人最近アクティブではない」とか思われるのではないかという潜在的な脅迫観念が湧いてくるので、取り立てて書きたいことが無くとも「ああ疲れた」とでもとりあえず存在を示しておかなければいけないし、顔も姿も知らないけれどもSNS上で懇意にしてくれる人々への好意を持続性するためにはリツイートを忘れてはならない。

かくして、SNS利用者が持つ24時間の中で相当数の物理的具体的な時間がSNSへと強制的に割かれて行き、さらに「何を書こうか」、「誰々には暫く連絡していないなぁ」と頭の中で気にしたり思案する時間を考えれば、相当程度「SNSに支配」されていると決めつけても過言ではない状態に陥る。

そして、そのようなヘビーユーザーは時としてSNSと実際生活上の人間関係の重要さを測りかねるようになり、ついには日常生活において対人関係に支障を来たす。

畳みかけるように恐ろしく不幸なことはユーザーが書き込んだメッセージやフォロー、フォロワーの関係は管理運営会社が全て吸い上げて、その人の人物像のかなりの骨格まで明らかにしうるほど、知らない間に「裸の状態」で踊らされてしまっていることだ。そしてそのことに気が付いてSNSを止めようとしても、止めてももう遅い。全ての情報を削除しアカウントを閉鎖しても管理運営会社には全ての情報が残る。

◆「交換日記」の時代は健全だった

むかし、「交換日記」という牧歌的なお遊びがあった(今もあるのだろうか)。友人同士(女の子に多かったように思う)で自分の日記を書き、次の日には友達(だけ)に渡し友人が日記を書く。また次の日は自分にノートが戻ってきて、つらつら日記を書く。ノートはもちろん手渡しで、日記の内容も交換している友人間だけの「秘密事項」が基本ルールであったと思う。ちょっと「いやらしいな」と当時は好感しなかったけれども、「顕名」で「手渡し」の交換日記は今考えればSNSよりもあらゆる面において余程健全と言える。

Twitter、Facebook、LINE、さらに言えば(私も利用しているけれども)電子メールなどは多少の違いはあれ前述の通りあなたを「真っ裸」にする危険性があるツールであることは認識しておいた方がよいだろう。「ただほど高いものはない」の典型と言ってもよいかも知れない。

◆一点だけハイセーヤスダ氏の誤解を招くコラムに反論する

最後にハイセーヤスダ氏の以下の部分には反論する。

「君が敵にまわしたのは僕だけじゃなくて『鹿砦社』全体だ。右翼にも左翼にも縦横無尽に人脈があり、ヤクザにも警察にも通じている鹿砦社と君と、どちらが勝負になるのか決着をつけようじゃないか」
穏便かつ平和主義の鹿砦社をこのように誤解させるような記述をしてはならない。「右翼にも左翼にも縦横無尽に人脈があり、ヤクザにも警察にも通じている」などとの表現は「普通の人」に大いなる誤解を生む恐れがある。しかもこの表現では鹿砦社関係者が総出でハイセーヤスダ氏の私戦に加担すると誤解される。

だから、私なりに当該部分を書き直す。

「貴殿が何らかの誤解で悪意を抱いていると思れる対象は私個人のみなならず、これまで左右の思想を分け隔てなく紹介し、出版の実績もある出版社でもあります。また同社は所謂『反社会的勢力』とされる人々についての論考や取材も積極的に行ううとともに、適切な距離を取りながら警察、検察といった国家の権力機関も研究し、また必要があれば情報収集のためには接触も辞さない出版社であると申し添えます」

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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忘れられた衝撃事件の真相──寝屋川中1男女殺害事件容疑者の意外な手記(上)

昨年8月、大阪の寝屋川市で中学1年生の平田奈津美さん(13)、星野凌斗(りょうと)くん(12)の2人が殺害され、遺体で見つかった事件は衝撃的だった。ちょうどお盆にあたる2015年8月12日に、平田さんと星野くんが行方不明となり、周囲は騒然とした。調べから、2人が寝屋川のコンビニに一緒にいたことが判明。お互い行動を共にしていたと推測された。だが、翌13日の深夜には高槻市の物流センターの駐車場で、粘着テープにまかれた平田さんが遺体で発見され事件は進展した。そして、事件発生から8日後の21日に、近くに住む山田浩二(45)が容疑者として逮捕された。

その後、残念ながら星野くんも、大阪府柏原の山林で遺体として発見されている。大阪地検は山田浩二容疑者を、平田さんに対する殺人罪で起訴した。平田さんの死体遺棄容疑については、遺棄した時点で平田さんが死亡していたことをさらに詳しく立証する必要があると判断し、現在(2015年12月1日)は処分保留としている。

前科もあり、出所後は福島原発で除染作業をしていたこともあるという、契約作業員・山田浩二容疑者の闇は深い。中学時代、窃盗、傷害などさまざまな犯罪に手を染めていた山田は、過去には覚醒剤の売人などの前科もあるという。

しかも服役中に何度も名前を変えた山田(金、渡利、柴原、岸本)は、塀の中からの『手紙』により女性との交際を求めていた節がうかがえる。刑務所事情に詳しく、獄中の受刑者の更生と社会復帰を支援する同人雑誌『獄同塾友会』の編集長を務めている作家の影野臣直氏が語る。影野氏もこの事件に興味をもち、現場への取材などを敢行している。

寝屋川中一男女殺害事件容疑者山田浩二が手記を投稿していた受刑者の同人雑誌『獄同塾通信』(現『獄同塾友会』)

「なぜなら、山田は少なくとも3度、『獄同塾友会』に投稿してきます。といっても、12年前(2003年)に刑務所内での同人誌としては異例の2000部もの発行部数を誇った、塾友会の前身である『獄同塾通信』でのことですがね。投稿のたびに、彼は名前を渡利だったり岸本だったり改姓していますが、明らかに最初の投稿で、女性や同じ境遇にいる方たちとの文通を求めているように思えます」

山田の手記は獄同塾通信の15号(2003年6月15日発行)、16号(同年9月15日発行)、17号(同年12月15日発行)に掲載されている。15号では渡利浩二で、16、17号では岸本浩二と改名している。なぜ、名前が頻繁に変わったのだろう。

「結婚や養子縁組によって名前や本籍地を変えれば、前科がいくつあってもブラックな履歴は残らないといわれています。だから、ローンなども組めるようです。まぁ、山田の場合は車で移動するので名前や住所などを変えていなければ、交通違反などで捕まったときに面倒なことになります。そのため、薬物で逮捕された履歴を消さなくてはならない。違反だけでなくとも、警察に職質されたとき、クスリの前科がある者はすぐ尿検査を促されます。そうしたことを避けたかったのではないでしょうか」(前出・影野氏)

影野氏が指摘した手記は、初代編集長を務めていた大場知子編集長の時代に投稿されたものだ。

たとえば『渡利浩二名義』の獄同塾通信15号のタイトルは、『未だ見ぬ悠紀へ』とあり、こんなことが書かれている。

「起訴事件が5件有りなので5~6年と少しを務めることになりそうです(涙)。考えただけでゾッとしますが、今は自分なりに反省しています腹を括っています。
……(中略)……
還暦を過ぎた両親には、少し遅くなったけど親孝行をしてやりたい、するなら今しかないですから。また、1日も早く運命の女性と出会い結ばれて、遠いどこかで『早よ、生んでくれやぁ!』と叫んでいる未だ見ぬ子供をこの世に誕生させてやりたいです。これでも、子供の名前は決めているんです。……以下、省略」

影野氏が続ける。
「もちろん、手紙の原本などは残っていないが、本文中では贖罪の箇所が多くみられます。文面は普通の青年のそれであり、中学生を誘い込んで殺すような残虐性は本文中からは見いだせません。むしろ、結婚願望というか、子をなして普通の生活への憧憬を感じますね」(続く)

(小林俊之+影野臣直)? ※取材協力『獄同塾友会』

◎小林俊之+影野臣直!強力タッグの短期連載ルポ[全8回]
新宿・歌舞伎町ぼったくり裏事情──キャッチ目線で見た「警察の対応変化」
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《3》メニューに金額明示があれば違法性はない?
《4》東京五輪を前に警察が浄化作戦を始動?
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《脱法芸能50》吉松育美VS谷口元一裁判(10)戸田泉弁護士による反対尋問

吉松さんに質問をする被告代理人が戸田泉弁護士に交代した。

戸田泉弁護士 代理人の戸田から質問させていただきます。ええと、確認ですが、マットさんはあなたのマネージャーですか?

吉松育美 海外エージェントです。

戸田泉弁護士 付き人という理解でいいですか?

吉松育美 そうですね。

戸田泉弁護士 ええと、話は飛びますが、久光さんとの契約の時にあなたはスキャンダルとか悪いことが問題になるのではないかということをおっしゃっていたと思いますが、そのスキャンダルというのはそのマットさんと同棲しているという噂と、実際は同棲しているかどうかは、分かっていませんが、同棲しているかどうかといことがスキャンダルということですね?

吉松育美 それは分かりません。どんな形であれ、スキャンダルはスキャンダルです。

戸田泉弁護士 そのスキャンダルとか悪いことというのは、あなたから見たら、どういうのがスキャンダルとか、悪いこととして久光さんが考えていると理解していますか? 先ほど、スキャンダルとか悪いこととおっしゃったと思いますが、それは具体的には?

日本外国特派員協会での吉松育美さん記者会見(FCCJ公式チャンネル2013年12月16日公開)

吉松育美 たとえば、週刊誌に漏れるとか、そういうことだと思います。

戸田泉弁護士 週刊誌に載ってしまうと、広告は出れない、そういう事態ですか?

吉松育美 そうですね。日本の芸能界は、いいことでも悪いことでも、週刊誌に載るということはすごく嫌う傾向がありますので、スキャンダルというのは、週刊誌に載ってしまうこと。

戸田泉弁護士 その他に何かありますか?

吉松育美 悪いことというのはいろいろありますけど、今、ぱっと思いつくことはありません。

戸田泉弁護士 同棲しているという噂が流されることや週刊誌に載ることがスキャンダルや悪いことということですね?

吉松育美 同棲していることが悪いというというのは、私の人権というか、私も自由に恋愛をする権利はありますので、悪いことにはならないです。それを面白おかしく仕立てあげるマスコミがそれに対して拒絶反応をしてしまうような企業。

戸田泉弁護士 今度は契約の金額の話です。先ほど、3000万円から5000万円というお話だったと思いますが、交渉は誰が行なっていたんですか?

吉松育美 テイラーが。

戸田泉弁護士 テイラーさんは弁護士ですか?

吉松育美 違います。

(この質問には、契約交渉のような法律行為を他人に代わって行うことは、本来、弁護士でなければ行えないものではないか、という含みがある。実際、暴力団絡みの地上げ事件で地上げ屋が弁護士資格を持たず地上げ交渉をしたために弁護士法違反で摘発された事例がある。場合によっては、テイラー氏も弁護士法違反に問われることもあるが、谷口氏も立場は同様であり、弁護士も深くは突っ込んでいない。芸能事務所が弁護士資格を持たずに出演交渉をタレントの代理人として行うことについて日本の芸能界では、ほとんど問題になったことがないが、タレントが芸能事務所から搾取される原因になっているとも言えよう)

戸田泉弁護士 どういう立場でやられていたんですか?

吉松育美 私の代理人として。

戸田泉弁護士 あなたは直接テイラーさんに代理権を与えたんですね?

吉松育美 というよりも、芸能界でタレントというのは、直接企業とお金の交渉をするものではない。だいたい、マネージャーや付き人、エージェントを間に挟んで値段の交渉をするので、その時、その役割だったのがテイラーだったと思っていただければと思います。

戸田泉弁護士 じゃあ、具体的に金額が3000万から5000万だったというのは、あなたは直接はやりとりされていないということですね?

吉松育美 直接はしていません。

戸田泉弁護士 3000万から5000万の開きがあると思いますが、それでもあなたが90%決まっていると思う根拠は何ですか?

吉松育美 交渉の間では3000万から5000万でしたが、最終的には3000万です。

戸田泉弁護士 3000万円で話がまとまったと考えていいですね。

吉松育美 はい。

戸田泉弁護士 今まであなたは、広告の契約を何本かやられていたのですか?

吉松育美 はい、アメリカでやっています。

戸田泉弁護士 これ以前には何本かやったことはありますか?

吉松育美 以前にはやったことはありません。

戸田泉弁護士 はい。今までは何か小さな金額の広告とかにも出たことはありませんか?

吉松育美 今までというのは?

戸田泉弁護士 契約の前。

吉松育美 ないです。

戸田泉弁護士 その前にあなたは事務所に所属されていたと思いますが、そこではどういう活動されていましたか?

吉松育美 ……イベントに出演したりということをやっていました。

戸田泉弁護士 そこに所属されるタレントさんで有名な方はいらっしゃいますか?

吉松育美 ゼロです。

戸田泉弁護士 そうすると、あなたは芸能界に詳しいとは決していえないんじゃないですか?

吉松育美 そうですね。はい、広告関係については、テクニカルな話については私はプロではありません。

戸田泉弁護士 谷口さんとお会いした回数については?

吉松育美 1回です。

吉松育美 日テレの時だけということですか。ええ、あなたがつきまとったと評価するのは、動産執行されたということと、あとは日テレの時と、ご両親に電話したことと後はあなたの主張によれば、久光さんとか、国際文化協会に谷口さんが圧力をかけたこと、あとは週刊誌を使ったこと。

吉松育美 プラス、私の事務所にいく度となく電話をかけてきたこと。

戸田泉弁護士 あなたの事務所というのは、あたなと今、新しい自分で立ち上げられた事務所ということですね。

吉松育美 はい。

戸田泉弁護士 そこで電話に出られたのは誰ですか?

吉松育美 うちのスタッフです。

戸田泉弁護士 何回ぐらい?

吉松育美 数えていないですが、覚えていないぐらいに電話がかかってきました。

戸田泉弁護士 頻繁にですか?

吉松育美 はい。(続く)


◎[参考動画]日本外国特派員協会での吉松育美さん記者会見(日本外国特派員協会2013年12月16日公開)

○吉松育美さん公式サイト=http://ikumiyoshimatsu.com
○吉松育美さんFacebook=https://www.facebook.com/yoshimatsuikumi
○吉松育美さんYouTube=http://www.youtube.com/user/yoshimatsuikumi

▼星野陽平(ほしの ようへい)
フリーライター。1976年生まれ、東京都出身。早稻田大学商学部卒業。著書に『芸能人はなぜ干されるのか?』(鹿砦社)、編著に『実録!株式市場のカラクリ』(イースト・プレス)などがある。

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