5月11日までのキックボクシング  4つの興行の見どころ!

堀田春樹

今回は4つの興行をピックアップしています。
武田幸三と立嶋篤史の共通点はChallenger!
立場は違うが、初メインイベンターの山本太一と木下竜輔、インパクトある展開を魅せるのはどちらか。

◆爆発シリーズvol.2 / 4月26日(土)後楽園ホール17:15~
 主催:日本キックボクシング連盟 / 認定:NKB実行委員会

NKBライト級3位、山本太一(ケーアクティブ)は初メインイベンターとして、ジャパンキックボクシング協会フェザー級1位、皆川裕哉(KICK BOX)と対戦。山本太一は青コーナーだが、実績で優る皆川裕哉を赤コーナーに迎え討つ。

皆川裕哉は去年11月24日、勇成(Formed)に3ラウンドKO負けで王座転落し、5ヶ月振りのリングとなります。

山本太一は去年12月14日、利根川仁(Realiser STUDIO)と連続ノックダウン奪われる劣勢から逆転のノックダウン奪う見せ場を作るも、更に攻め込まれ3ラウンドTKO負け。今回はライト級から、フェザー級まで落とす準備はあるという59.0kg契約での出場。どちらもここを踏み台に上昇気流に乗りたい戦いとなります。

今年2月22日、NKBライト級王座決定戦で、棚橋賢二郎(拳心館)と引分け(公式記録)るも、延長戦で優勢点を受けて王座獲得となった乱牙(=蘭賀大介)が、廣野孝文(KING LEO)と対戦。

廣野はRISE、DEEP KICKなどで活躍し、今回NKB傘下初出場。お互いパンチの打合い必至の攻防が観られそうである。

NKBバンタム級5位、兵庫志門(テツ)が杉山三兄弟の三男・海瑠(HEAT)と対戦。

爆発シリーズvol.2、山本太一と乱牙は牙城を守れるか


《主要6試合》

●第11試合 メインイベント 59.0kg契約 5回戦
 ジャパンキック協会フェザー級 1位.皆川裕哉(KICK BOX)
        vs
 NKBライト級3位.山本太一(ケーアクティブ)

●第10試合 セミファイナル 63.0kg契約3回戦
 NKBライト級チャンピオン.乱牙(=蘭賀大介/ケーアクティブ)
        vs
 廣野孝文(KING LEO)

●第9試合 バンタム級3回戦
 NKBバンタム級5位.兵庫志門(テツ)vs 杉山海瑠(HEAT)

●第8試合 60.0㎏契約3回戦
 JKイノベーション・スーパーフェザー級5位.夢叶(エムトーン)
        vs
 KEIGO(TOKYO KICK WORKS)

●第7試合 スーパーウェルター級3回戦
 清水武(sbmTVT KICK LAB)
        vs
 郷野聡寛(元・全日本キック連盟ヘビー級Champ/リングスジャパン)

●第6試合 59.0kg契約3回戦
 JKIフェザー級4位.都築憲一郎(エムトーン)vs 堀井幸輝(ケーアクティブ)

以下、アンダーカード6試合(ノーランカー、新人戦、アマチュアオヤジキック)

[左]山本太一は皆川裕哉を迎え討つ初メインイベンター/[右]皆川裕哉は山本太一を捻じ伏せられるか

※               ※               ※

◆NJKF CHALLENGER.8(2025.2nd) / 4月27日(日)後楽園ホール17:15~
主催:(株)オフィス超合筋 / 認定:ニュージャパンキックボクシング連盟

2月2日のCHALLENGER.7のリング上で、武田幸三氏よりバンタム級とスーパーバンタム級でトーナメント開催が発表。各4名参加の王座争奪トーナメントが行われます。王座決定戦は6月8日予定です。

昨年11月10日のNKJF祭として行われたKICK BOXING JAPAN CUP 55kg級8名参加トーナメントといったイベントとは違う、本来のチャンピオンシップ制度のトーナメントとなります。当初出場が決まっていた大田一航は負傷欠場の為、祖根亮麻が代打出場します。

昭和からの現役生活、伝説のチャンピオン立嶋篤史が出場。53歳で100戦を超える、負け込んでも拘りの挑戦と、デビュー当時と変わらないフェザー級を維持して来た戦いに注目が集まります。

立嶋篤史がポスターになる、未だカリスマ的存在

アンダーカードでは過去新日本キックボクシング協会で活躍した第6代日本ミドル級チャンピオン、喜多村誠が出場。現在の昇龍チャンピオン、小林亜維二との世代間の差26歳差の戦いが行われます。

WBCムエタイ日本バンタム級トーナメント参加メンバー、嵐の存在感が引き立つ

●第9試合 WBCムエタイ日本バンタム級王座決定トーナメント準決勝3回戦
 1位.嵐(NJKF同級Champ/KING)
 vs
 2位.山脇飛翼(K-1ジム心斎橋チームレパード)

●第8試合 WBCムエタイ日本バンタム級王座決定トーナメント準決勝3回戦
 4位.JIN(MA日本同級Champ/楠誠会館)
 vs
 3位.星拓海(IDEAL)

●第7試合 フェザー級 5回戦
 立嶋篤史(第11、13、15代全日本フェザー級Champ/ASSHI-PROJECT)
 vs
 NJKFスーパーバンタム級4位.前田浩喜(CORE)

●第6試合 NJKFスーパーバンタム級王座決定トーナメント準決勝3回戦
 3位.繁那(R.S)vs 祖根亮麻(大和)

●第5試合 NJKFスーパーバンタム級王座決定トーナメント準決勝3回戦
 7位.中島凛太郎(京都野口)vs 藤井昴(KING)

●第4試合 69.0kg契約3回戦
 NJKFウェルター級チャンピオン.小林亜維二(新興ムエタイ/2006神奈川県出身)
 vs
 喜多村誠(/リアクトジム湘南/ステラ恵比寿/1980.7.22福岡県出身)

●第3試合 NJKFフライ級次期挑戦者決定戦3回戦
 2位.永井雷智(VALLELY)vs 3位.高木雅己(誠至会)

●第2試合 スーパーフェザー級3回戦
 NJKFフェザー級6位.新人(E.S.G)
 vs
 NJKFスーパーフェザー級5位.豪(GRATINESS)

●第1試合 50.0kg契約3回戦
 S-1女子世界フライ級覇者.真美(Team ImmortaL)
 vs
 佐藤”魔王”応紀(元・聖域東北ライトフライ級覇者/PCK連闘会)

以下、アマチュア2試合

NJKFスーパーバンタム級トーナメント参加メンバー

※               ※               ※

◆絆 XVI / 5月11日(日)
 春日部ふれあいキューブ OPEN 15:00 / START 16:00
 主催:PITジム / 認定:ニュージャパンキックボクシング連盟

16回目の絆興行、大月謙会長が率いる興行3年目となります。過去、新日本キックボクシング協会で活躍した第9代日本フライ級チャンピオンの石川直樹が春日部出身の地元で4年連続の出場。首相撲とヒザ蹴りのしぶとさ見せるか。大岩竜世は昨年12月8日に赤平大治(VERTEX)に僅差2-1の判定勝利。一歩ずつ王座を目指す中での石川直樹と対戦となります。

佐々木勝海も王座挑戦に近い存在として注目される存在です。

昨年の絆のリングでの石川直樹、今年も華麗に登場か

《主要3試合》

●第8試合 メインイベント  スーパーバンタム級3回戦
 石川直樹(元・日本フライ級Champ/Kickful)
      vs
 WBCムエタイ日本スーパーバンタム級6位.大岩竜世(KANAROA)

●第7試合 セミファイナル  63.0㎏契約3回戦
 NJKFスーパーライト級3位.佐々木勝海(エス)
 vs
 ペレー・サンライズジム(サンライズ)

●第6試合 58.0kg契約3回戦
 蹴登(クローバー)vs 横山みさと(MY)

以下、アンダーカード7試合(ノーランカー、新人戦)

PITジム主催「絆」4年連続出場は石川直樹

※               ※               ※

◆TITANS NEOS 36
 5月11日(日)後楽園ホール17:15~
 主催:伊原プロモーション / 認定:新日本キックボクシング協会

新日本キックボクシング協会のエース格に浮上した木下竜輔出場。3月2日にジョニー・オリベイラを飛びヒザ蹴りで倒してインパクトを残した王座獲得後の第一戦。どんな成長が見られるか。細川裕人は2月2日にRyu(クローバー)にヒザ蹴りを効果的に使って判定勝利しています。他団体交流と選手出場が大半となる新日本キックボクシング協会において木下竜輔に掛かる期待は大きいでしょう。

TITANSシリーズも初期から20年、新たな時代へ突入

《主要4試合》※ラウンド数は変更の可能性あり

●メインイベント スーパーフェザー級3回戦
 日本スーパーフェザー級チャンピオン.木下竜輔(伊原/1996.2.12福岡県出身)
        vs
 NJKFスーパーフェザー級7位.細川裕人(VALLELY)

●セミファイナル スーパーバンタム級3回戦
 ポンパン・エスジム(タイ)vs 鰤鰤左衛門(CORE)

●女子ミネルヴァ・アトム級3回戦(2分制)
 ミネルヴァ・ピン級4位.杉田風夏(谷山・小田原)vs KANA(Bonbo Freely)

●スーパーミドル級3回戦、マルコ(イタリア/伊原)出場予定

以下、プロ7試合、アマチュア4試合予定。

※               ※               ※

世間的にはまだまだマイナー競技と位置付けられるキックボクシングでは、一部のビッグイベントを除いて一般的な注目度は低いところ、ファンが注目する好カードは多数存在します。

山本太一vs皆川裕哉の互いの戦略、立嶋篤史の衰えぬ闘志と存在感、石川直樹の首相撲からのヒザ蹴りが見られるか、木下竜輔のチャンピオンとしての初戦など、見どころある立ち振る舞いが注目です。木下竜輔に山本太一と皆川裕哉が絡むカードは難しいか。期待は出来ないが、そんなマニアックな展開にも期待したいものです。

新チャンピオンとなった木下竜輔、責任重大のメインイベンター

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

広島8・6平和記念式典 パレスチナ国含む全ての国・地域『案内』へ 市長は米国忖度路線の修正加速を!

さとうしゅういち

広島市は、2025年から8月6日の平和記念式典について一部の国を「招待」するのではなく、すべての国と地域を「案内」する方針に変更しました。

松井市長は4月11日の定例記者会見で「式典の原点に立ち返ろうと考えた。式典への参列は当然、被爆者への慰霊があるが、同時にヒロシマの心への理解を深めるという視点もありこれをより明確にするべく見直しをしている」と述べました。そのうえで「紛争をしている国のどっちを呼ぶ、呼ばないというような次元ではないと伝えたい。そういうことを超えて、理想的な世界のために式典や被爆の実相を見ていただくことに尽きる」としました。

広島市は2022年以降の式典にはロシアとベラルーシを招待しませんでした。『10.7』後の2024年にはイスラエルは招待するのにパレスチナ国は招待しない式典の在り方に市内外から疑問の声が出ました。

また、2023年のG7広島サミットを前に『はだしのゲン』や『第五福竜丸』が平和教材から削除される事件も発生。さらに、原爆について米国政府が謝罪も反省もないまま、平和記念公園とパールハーバーの姉妹協定が締結されました。広島瀬戸内新聞と筆者は『米国・バイデン大統領への忖度ではないか』と疑問を呈してきました。

24年の式典は入場に当たって関所を2か所もクリアしなければなりませんでした。これについて、広島瀬戸内新聞と筆者は過剰警備・過剰規制ではないかと指摘もしました。

また、実際に行政を動かすためにネットで署名運動を提起。2024年7月30日に広島市に対して「パレスチナ国を含む全ての国を平和記念式典に招待してください」という趣旨の署名1万1524人分を広島市に提出。同年9月の広島市議会には同様の趣旨の陳情を提出しました。皆様のご署名も、広島市長を動かす背景になりました。

2024年7月30日に広島市に対して「パレスチナ国を含む全ての国を平和記念式典に招待してください」という趣旨の署名1万1524人分を広島市に提出

地方自治体としての広島市が主催する平和記念式典は、(国家の政治的意図とは一線を画し)やはり、世界中の人々と原爆犠牲者への追悼とともに核兵器廃絶・世界恒久平和への思いを共有する場である。松井市長の今回の方針転換は、その原点に戻る一歩です。改めて、署名活動にご協力をいただいた市民の皆様に深くお礼申し上げます。

被爆80周年でもある2025年。広島瀬戸内新聞は、世界最初の戦争被爆地・広島の庶民派メディアとして、核兵器廃絶、そして、ウクライナ・パレスチナを含むすべての戦争の終結と平和構築へ、皆様とともに先頭に立って参ります。

◆米国、ロシア、イスラエル、ハンガリー、朝鮮の『権威主義の五角形』、米国忖度の前提すら崩壊

筆者は、平和記念式典はあくまで地方自治体の開く行事であり、日本政府とは一線を画すべきと考えています。ただ、いまや、米国に忖度する前提も崩れているのではないでしょうか?

まず、米国こそがいま、ロシアのプーチン大統領(ICC=国際刑事裁判所が逮捕状を発行)にすり寄っています。そして、ウクライナの領土はロシアに、鉱物資源は米国にという分割を行おうとしています。

また、4月中旬にロシアのミサイルでウクライナ市民34人が死亡したとされる事件ではトランプさんは「ロシアのミスがあったと聞いている」としてロシアを擁護しています。

また、プーチン政権を批判したロシアの女性研究者の米国への再入国が米当局により拒否されるという事件も起きています。トランプさんの差し金で、プーチンさんに忖度したとみられてもおかしくはない。

既報の通り、こうした中でロシア軍の撤退を求める国連総会決議にはロシア、ベラルーシだけでなく、イスラエル、米国、ハンガリー、朝鮮(金正恩さん)も反対しました。ロシア肩入れという意味でこれら米露イスラエルハンガリー朝鮮という五角形の連携ができつつあります。こうした中で日本政府も米国忖度の大義名分を失いつつあります。一方、中国やインドはウクライナ問題に関する決議ではロシアに配慮はしているものの、欧州やウクライナが出した決議には反対もせず、棄権としています。米国こそ、親イスラエルに加え、最大の親露国家となっています。

なお、ウクライナのゼレンスキー氏は、10.7当初はネタニヤフ被疑者を全面支持していましたが、ネタニヤフ被疑者に完全にはしごを外された形です。ともかく、米国に忖度してロシアを除外、という大義名分は失われました。

◆欧州のイスラエル寄り姿勢に変化

一方、イスラエルは、2023年10月7日のハマス政権による攻撃に対する反撃すると称してガザで5万人以上の子どもを含む市民を虐殺。ただし、イスラエルは10月7日以前も、毎日のように、どこかでパレスチナ人の家を燃やし、畑を奪い、車を壊す。そんな暴挙を続けていたのです。

そして、2025年1月にはいったん停戦合意がされたものの、イスラエル側は3月には侵略・虐殺を再開し、停戦合意を崩壊させました。また、イスラエルはシリアやレバノンにも攻撃を繰り返しています。

イスラエル首相のネタニヤフ被疑者は、国際刑事裁判所から逮捕状が出ています。こうした中で、バイデン時代にすでにイスラエルの侵略反対のデモをしていた学生への弾圧は始まっていましたが、トランプさんがそれをさらに強化しています。

4月15日現在、米国永住権獲得済みの留学生や研究者がイスラエルを批判しただけで拘束されたり国外追放になったりしています(当事者が裁判で反撃中)。こうした中、以前は、イスラエル寄りだった欧州が次々とパレスチナを国家承認する動きを見せています。2024年のアイルランド、ノルウェー、スペインに続き、2025年6月にもフランスがパレスチナ国を承認する予定です。

◆トランプ関税で広島も『被害』

また、対中輸入に対する125%に加え、日墨加が主の自動車もトランプ追加関税の対象です。台湾が主な米国にとっての輸入先である半導体もトランプさんから『台湾の工場を米国に移せ』と要求される始末です。

トランプ氏は安全保障を盾に、日本や台湾に無茶な要求をする可能性は今後も高い。日本に対しては米国製の武器をもっと買え、というのがメインになるでしょう。ただ、日本や台湾、あるいは韓国もビビってはいけません。かつて、1980年代から90年代にかけて、日本は自動車や半導体などで米国に大幅譲歩しました。しかし、米国が『コラえて』くれたでしょうか?答えはノーです。エスカレートするだけでした。

そもそも、日本や韓国が米国製の武器をたくさん買っても中国と本気で軍拡競争になったら勝てるでしょうか?冷静に考えて答えはノーでしょう。また、台湾についても、半導体産業が台湾に集積している限り、それを破壊するような武力侵攻など愚かな真似はしないでしょう。

そもそも、長期的な西洋の没落の流れがあるのに、特に地元の岸田総理の時代、G7広島サミット開催があったにしても、米国に忖度しすぎていました。『米国忖度路線』が変化することを期待するとともに、過剰警備・規制など式典の在り方やパールハーバーとの姉妹協定関連事業についても、引き続き注視します。

さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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SAMURAI WARRIORS 原点回帰から挑戦へ!

堀田春樹

昨年から連続出場のオーシャン・ウジハラ(=氏原文男)は韓国のテクニシャンに判定負け。
期待の広翔も韓国のテクニシャンに首相撲で力及ばず判定負け。
全日本キックボクシング協会が大韓ムエタイ協会と提携、新たな戦略拡大へ。

◎SAMURAI WARRIORS挑戦 / 3月28日(金)後楽園ホール17:30~20:45
主催:全日本キックボクシング協会

◆第11試合 60.0kg契約3回戦

オーシャン・ウジハラ(=氏原文男/無所属/1986.10.12高知県出身/ 59.8kg)
28戦13勝(8KO)15敗
VS
大韓ムエタイ協会フェザー級チャンピオン.Flash(=權賢佑クォン・ヒョンウ/2000.11.25韓
国出身/59.75kg)11戦9勝2敗
勝者:Flash(=權賢佑) / 判定0-3
主審:椎名利一
副審:勝本剛司28-30. 竜矢28-30. 少白竜27-30

初回の權賢佑の重いパンチの連打。関係者の噂にあった「氏原文男は1ラウンドで倒されるかもよ!」という予想が当たるのかと思われる守勢。だが、氏原もボクシング経験あるパンチも得意として、体勢を立て直し、気の強さでアグレッシブな攻防戦へ持ち込む。

オーシャン・ウジハラを上回るスピードと多彩な技を持った權賢佑、ヒザ蹴りで攻める

第2ラウンドには權賢佑のスピードあるパンチと接近戦で、バックヒジ打ちが氏原の右瞼をカットした。氏原は流血しながらも闘志衰えず、ラストラウンドもパンチと蹴りで粘り強い前進。權賢佑も蹴りとパンチ、組み付いてヒジ打ちも繰り出し、互角の展開を見せて終了。

權賢佑は昨年5月17日に「NO KICK NO LIFE」で鈴木宙樹に2ラウンドKO勝利しており日本では2連勝。試合後、「オーシャンは気持ちが強かったです。今日は勝てて嬉しいです。」と語った。K-1やONE Championship出場が目標としているという權賢佑である。

終盤はジワジワ攻めたオーシャン・ウジハラ、長丁場で発揮したいテクニック

◆第10試合 バンタム級3回戦

広翔(稲城/ 53.45kg)5戦3勝(1KO)2敗
      VS
Joker(=朴秀浩パク・スンホ/2002.9.13韓国出身/ 54.4kg/880g超過、減点1)
6戦2勝(1KO)4敗
勝者:Joker(朴秀浩) / 判定0-3
主審:和田良覚
副審:勝本剛司27-29. 竜矢28-29. 椎名26-29(朴秀浩に減点1含む)

パンチと上下の蹴りで様子見の両者。広翔の蹴りに下がらず蹴り返してくる朴秀浩。首相撲に移ると朴秀浩のウェイト掛ける状態からヒザ蹴りの優勢を保つ流れ。

自分の距離を掴みたい広翔だが、一旦離れても朴秀浩が広翔の動きを読んで高い蹴りも出して来る。ジワジワ攻める朴秀浩に広翔もスタミナ奪われる展開。

自分の距離を保って攻めたい広翔、単発だったが攻勢も見られたパンチもヒット

ラストラウンド、広翔は組み合った際のパンチヒットか、朴秀浩も鼻血を流す苦しい攻防。終盤には広翔も自分の距離に持ち込み右ストレートヒットを見せるも時間切れとなった。880グラムオーバーの影響がどれほどあったか分からないが、朴秀浩が大差となる勝利を掴んだ。

朴秀浩はプロ戦績は不振だが、タイでの試合が殆どで、アマチュアでは先月の大韓ムエタイ国家代表選抜戦で優勝しています。

広翔は試合後、「相手は思ったより首相撲が強くて、一発を狙い過ぎて、蹴りも思うように出せなかったです。自分の力も足りなくて、対策とかいろいろ考えて変えなきゃいけないと思います。」とコメント。

組み付いたら離さない首相撲のしつこさが目立った朴秀浩のヒザ蹴りが広翔を苦しめた

◆第9試合 フライ級3回戦

横尾空(稲城/ 50.6kg)4戦2勝1敗1分
      VS
小池空(I DEAL/ 50.5kg)2戦2勝(1KO)
勝者:小池空 / TKO 1ラウンド 2分12秒
主審:少白竜

互いのローキック中心の牽制から横尾空の首相撲からの崩し転ばし優勢を印象付けるも、蹴りの距離で小池空の左前蹴り(三日月蹴り)が横尾空のレバーにヒット。
ノックダウンを喫し結構苦しそう。更に小池がボディーを狙った左フックで横尾が下がったところで左ハイキックを横尾の顔面にヒット。バッタリ倒れてノーカウントのレフェリーストップとなった。

小池空のハイキックが横尾空を襲ったヒット、一瞬の油断だったか

◆第8試合 スーパーフライ級3回戦

HIROKI(AKIRA ~budo school~/ 52.0kg)6戦3勝(1KO)3敗
        VS
井上蓮治(パラングムエタイ/ 52.15kg)2戦2勝(1KO)
勝者:井上蓮治 / 判定0-2
主審:勝本剛司
副審:和田29-29. 少白竜28-29. 椎名29-30

蹴り中心に様子見の両者。首相撲に移る際に左ストレートヒットさせた井上蓮治。第2ラウンドもやや前進する井上が蹴りで攻めるがHIROKIもしっかり蹴り返し、第3ラウンドも流れは変わらぬまま僅差の判定で井上蓮治が勝利した。

井上蓮治がフェイント掛けての前蹴りがHIROKIの顔面を何度か襲った

◆第7試合 ライト級3回戦

山田旬(アウルスポーツ/ 61.05kg) 4戦3勝1分
      VS
生野逸晟(WSR三ノ輪/ 60.7kg)6戦1勝1敗4分
引分け 三者三様
主審:竜矢
副審:和田29-28. 少白竜28-29. 勝本剛司29-29

山田旬のサウスポーからの左ミドルキック、パンチを含めて生野逸晟をロープ際に追い詰める。ヒット数も優るも生野も負けずに出て、山田のパンチをやや被弾しつつも巻き返して来た。ラストラウンドは分かれる採点となって、結果的に三者三様の引分けとなった。

◆第6試合 スーパーフライ級級3回戦

福僚太(健成会/ 52.4→52.16kg)4戦1勝(1KO)2敗1分
      VS
風間祐哉(WSR三ノ輪/ 52.1kg)5戦1勝3敗1分
勝者:福僚太 / KO 2ラウンド 2分53秒
主審:椎名利一

初回、福僚太が蹴りパンチで風間祐哉をやや下がらせるも、風間も間合いを見てハイキックなどで応戦。第2ラウンドには福僚太がパンチで風間をコーナーに追い詰め連打でノックダウンを奪い、更に連打で二つのスタンディングダウンを奪って、3ノックダウンとなって福僚太のノックアウト勝利。

福僚太が長身の風間裕哉にハイキックで攻め、パンチへ繋いでKOを導いた

◆第5試合 フェザー級3回戦

中村健甚(稲城/ 56.9kg)4戦1勝(1KO)1敗2分
      VS
斎藤鷹也(TRIM/ 56.9kg)5戦3敗1分1NC
勝者:中村健甚 / KO 1ラウンド 2分57秒
主審:少白竜

中村健甚はパンチからハイキックで勢い有る攻勢から始まった。斎藤鷹也はパンチ蹴りで返すも中村が様子見ながら躱し、右ヒジ打ちで斎藤の左額辺り側頭部をカット、更に接近戦で中村のヒザ蹴りが斎藤のボディーヒットするとノックダウン。相当苦しかったか、そのままテンカウントを聞いた。

中村健甚も多彩に攻める中で攻勢を維持、ヒザ蹴りのKOへ繋いだ

◆第4試合 ウェルター級3回戦

Katsuya Norasing family(Norasing family/ 67.05→66.65kg)4戦2勝(1KO)2敗
        VS
田山朋希(まっちゃんFIGHT CLUB/ 67.1kg/420g超過、減点1)1戦1敗
勝者:Katsuya Norasing family / TKO 2ラウンド 2分25秒
主審:和田良覚

開始から静かな攻防だったが、第2ラウンドにKatsuyaがノックダウン奪ってからアグレッシブな展開に移った。赤コーナーに詰まったKatsuyaが右アッパーか、田山朋希からノックダウンを奪い、飛びヒザ蹴りでプレッシャーを与え、首相撲で体勢俯き気味の田山に右ヒジ打ちを落とし、ノックダウン奪うとほぼノーカウントのレフェリーストップとなった。

Katsuyaがハイキックで田山朋希を追い詰め、パンチ、ヒジ打ちでKOへ繋いだ

◆第3試合 スーパーウェルター級3回戦

KENTA PUAKUTA SHONBIN(スポーツジム67 S/ 70.4→70.3kg/450g超過、減点1)
3戦1勝1敗1分
        VS
蘆立亮太(Ysk YAMAGAT / 68.7kg)1戦1勝
勝者:蘆立亮太 / 判定0-3 (27-29. 28-29. 27-30. KENTAに減点1含む)

◆第2試合 81.0kg契約3回戦

オマル・ファーレス(稲城/ 80.2kg)2戦2敗
      VS
星のケースケ(百足道場/ 80.5kg)1戦1勝
勝者:星のケースケ / 判定0-3 (28-30. 28-30. 28-30)

◆第1試合 フェザー級3回戦

KAI×A.K.G(A-BLAZE×KICK/ 57.0kg)1戦1勝(1KO)
      VS
安田和幸(中島道場/ 56.7kg)1戦1敗
勝者:KAI×A.K.G / KO 1ラウンド 1分53秒

蹴りの勢い優ったKAIは安田和幸をコーナーに詰め、左ストレートから飛びヒザ蹴りでノックダウンを奪う。更に蹴りで追って飛びヒザ蹴りで二度目のノックダウンを奪い、コーナーに詰め、ヒザ蹴り入れたところでレフェリーが割って入り、3ノックダウンとなる形でレフェリーストップとなった。

第1試合のKO、顔は隠れるが、飛びヒザ蹴りで二度のノックダウンを奪ったKAIの攻勢

《取材戦記》

前日計量で三名の計量失格があった模様。計量減点1点と2オンス大きいグローブハンデとなっています。オーバーウェイト、相変わらず結構多いなあという印象。ペナルティーの在り方も難しい議論があるようです。「グローブハンデは大きいグローブ使用が逆に有利になっていないか?」とか、減点与えては短い3回戦制で接戦の勝負に興味が薄れるなど。

全日本キックボクシング協会は、新人中心の地味な興行が続く中、ジワジワと着実に進化し、新たにノラシン・ファミリージムが加盟と、旗揚げ2年目は韓国との国際戦。2月16日に栗芝貴代表と役員が渡韓して、大韓ムエタイ協会と提携、今回の交流戦に進みました。

氏原文男は過去の実績から存在感あるだけに今後も出場可能なら、しぶとい技を見せて、全日本キックボクシング協会での初勝利を期待したいところです。

今回の韓国選手2名はFlashとJokerというリングネームでした。「日本でもファンに分かり易いように」という意味合いがあるようですが、古い気質の世代から考えれば、逆に分かり難い気がします。顔と名前が一致し難いとか、英単語のリングネームでは、今後幾らでも変更可能であり、同名の二代目三代目も出て来ることも考えられます。

韓国語は日本語の音読みと近い発音があり、「權賢佑=クォン・ヒョンウ」「朴秀浩=パク・スンホ」。そうは聞こえないという人は大多数かもしれませんが、日本の単語と比べたり、韓国語を習ったりすると、似ていることに気付く人も居るかと思います。特にプロボクシング世界戦に絡んだ過去の選手。輪島功一と戦った柳済斗は「りゅう・さいと」と当時は日本の音読みで呼ばれましたが、現地的には「ユー・チェド」。畑山隆則と戦った崔龍洙は「チェ・ヨンス」でした。

1月24日に井上尚弥と対戦し敗れたキム・イェジュンは“金芸俊”と各スポーツ新聞ではカタカナ表記と漢字名が載っていました。さすがに大手新聞社は徹底した記載です。

最近のキックボクシングはどこの団体、プロモーションも韓国選手名はカタカナ表記が多くなっていますが、偏見ながら今後も昔に返って本名、もしくは現地の漢字名で発表して欲しいと思うところなのです。

次回の全日本キックボクシング協会興行は6月20日(金)に後楽園ホールに於いて、「SAMURAI WARRIORS挑戦」二ノ陣が開催されます。二ノ陣かvol.2か2ndか、発表されていませんが、今年二回目の興行で、瀬川琉が出場予定です。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

『紙の爆弾』創刊20周年に際し、私たちの想いをまとめ、同誌5月号(20周年記念号)に掲載しました!

鹿砦社代表取締役会長 松岡利康

同誌5月号に4ページ割いてもらい、同誌創刊20周年に際しての私たちの想いを書き連ね掲載しています。

本来なら、発売まもない号の一部を転載することはめったにありませんが、同誌を購読されていない方にもぜひお読みいただき、これを機会に他の記事もお読みいただくためにご購読をお願いいたします。

私たちのこの20年の軌跡は4ページに収まるものではありませんが、創刊当時の出来事など概略はつかめるかな、と思います。

マツダ車にも25%のトランプ関税! 広島はG7サミット以来の「米国忖度都市」から引き返そう!

さとうしゅういち

日本時間の2025年4月3日、米国のトランプ大統領は、米国製以外のすべての自動車に25%の関税をかける、と発表しました。また、日本など(米国にとっての)諸外国は「非関税障壁」で米国からの輸入を妨害していると決めつけ、「相互関税」と称して自動車以外についての完全を一方的に決定しました。対中華人民共和国が34%、対台湾34%、対日本24%、対EU20%、対イスラエル17%などです。

広島でも例えば、米国に日本から輸出されるマツダ車にもマツダの米国工場が日本から輸入する部品にも関税がかかることになります。

◆米国自身が最終的には打撃を受ける

ただ、そもそも、米国はIT関係や宇宙関係、農業や金融は別として、多くの産業が空洞化しています。いまさら、輸入品に関税をかけたとしても、米国産業が復活するとは思えません。そもそも関税は米国に輸出する日本企業が払うものではなく、米国の輸入企業が払い、最終的には米国の消費者が負担するものです。

米国政府の税収は増えるでしょうが、凄まじい物価高騰で米国の消費者が打撃を受けるだけです。

◆トランプ体制永続化へ、関税でパフォーマンス?

1980年代末の冷戦構造崩壊後、米国は、ブッシュ父─クリントン─ブッシュ息子の歴代大統領が約20年にわたり、自由貿易を金科玉条としたグローバリズムを進めてきました。それによって、一部の米国の大金持ちが儲かったのも事実ですが、多くの庶民が格差拡大で取り残されてしまいました。それに対する不満が強まったのが、2008年のリーマンショックで、民主党のオバマ大統領は格差是正を掲げて当選。ところが、十分な成果が上がらず、2016年の大統領選挙でトランプさんがいわゆるラストベルトの労働者層の支持も集めて当選。

ただし、一期目のトランプさんが思ったほどの成果がなく、2020年の大統領選挙では民主党のバイデンさんに大統領の座を奪われてしまいました。しかし、2024年大統領選では、バイデンさんの途中リタイヤという民主党側のアクシデントにも漬け込む形でトランプさんが復活。効果が本当にあるかどうかは別として「グローバリズムに対抗しているパフォーマンス」として関税があるのではないでしょうか?

ただ、合衆国憲法上、トランプさんは三期目の大統領にはなれません。だからパフォーマンスの意味はないように見えます。しかし、次はトランプさんが副大統領として立候補し、大統領には当選後すぐにやめてもらい、トランプさんが昇格という抜け穴を使うのでは?という説もあります。トランプさんは、イスラエルのガザでのパレスチナ人虐殺を批判した外国人学生への弾圧も強めています。令状なしでいきなり拘束された外国人研究者もおり、事実とすれば中国等よりも酷いと思われる状況が一部で生じています。こうした『独裁』はいずれ、『トランプさんたちが気に入らない』米国人に対しても向かうでしょう。そうした独裁体制を続けるためにも、関税で求心力を高めることは必須なのかもしれません。

◆G7広島サミットで「忖度」も米国に完全にコケにされた広島

広島市では地元選出の岸田文雄総理(当時、爆心地の広島1区が選挙区)が主導して2023年にG7広島サミットが開催されました。このころから、広島の米国への忖度が加速しているように思えます。具体的には、2023年度から平和教育の教材から「はだしのゲン」や「第五福竜丸」が削除されています。

サミットで採択された「広島ビジョン」は西側のみの核兵器保有を正当化し、核兵器の先制不使用にすら踏み込まない、西側、特に米国のご機嫌取りの文書でした。

また、サミット後には当時のエマニュエル駐日大使が主導する形で広島市=平和記念公園と米国政府=パールハーバーの姉妹協定が結ばれてしまいました。米国はいまだに、原爆投下への反省も謝罪もありません。しかし、この姉妹協定で『米国は広島に原爆投下を許してもらった』というイメージを広げてしまっています。

2024年8月6日、平和記念式典でエマニュエル駐日大使に頭を下げる松井一實広島市長。同大使SNSより

さらに、広島市は2022年2月のロシアのウクライナ侵攻開始以降、8.6の平和記念式典にロシアとベラルーシを招待していません。原爆を投下しても謝罪も反省もない米国や、2023年の〈10.7〉以降、パレスチナ人の虐殺を加速させているイスラエル、日本とは正式な国交のない朝鮮(金正恩氏)は招待しているのと比べても奇異に映ります。パレスチナ国を招待していないことと併せ、米国忖度と言われても申し開きは出来ますまい。2024年の8.9平和祈念式典にイスラエル招待は見送り、パレスチナは招待した長崎市と比べても、異常です。

だが、これらの『忖度』にもかかわらず、2024年5月には、当時のバイデン政権が臨界前核実験をしていたことを公表。そして、トランプ政権に交代してからは、マツダ車に25%の関税をかけられてしまいました。まさに、踏んだり蹴ったりです。

◆ロシア・イスラエル・ハンガリー・朝鮮との「権威主義の枢軸」へ突き進む米国

既報の通り、ウクライナ和平では、トランプさんはロシアのプーチン大統領の肩を持っています。そして、欧州やウクライナが提出しているロシア軍の撤退を求める国連総会決議案にロシア、米国、イスラエル、ハンガリー、朝鮮が反対をしました(欧州や日本は賛成、インドや中国、アラブ諸国の多くは棄権)。独裁的な体制のことを「権威主義」とも言いますが、まさに、米国はロシアやイスラエルやハンガリー、朝鮮など「権威主義」の国とお仲間になったのです。もはや、建前であっても自由や人権の側に立つ米国政府は存在しません。

◆広島は米国忖度路線から脱却を、日本政府は冷静に対策を

広島市や広島県は、今回のトランプ関税を契機にサミット以来の米国に忖度する路線を卒業するときです。米国は、甘い顔をすればするほど、結局増長するだけ、ということは皆様もお分かりになったと思います。核兵器廃絶については、ここ2、3年のような米国政府に忖度する姿勢は捨て、平和首長会議加盟の世界の自治体やNGOなどとの「横のつながり」を重視しようではありませんか。

他方で、筆者は米国に報復を!という論調に対しても慎重です。米国についてはなるべくスルーし、その間に、日本自身の立て直しに全力を尽くすべきです。

まず、第一に、日本政府は財政出動により、日本国内産業への打撃を押さえるべきです。また、減らしすぎた大学予算を見直しなどして研究開発を活性化していくべきです。日本政府自体、非正規雇用増加など、この30年ほど、企業が労働者の給料を減らすことに依存するようになる政策をずっと続けてきました(1995年の日経連の「新時代の日本的経営」)。今回の関税騒ぎを契機に、改めていくべきです。

第二に、日本としては、行き過ぎた自由貿易至上主義、あるいはグローバリズムがトランプ政権という化け物を生んでしまったことの反省に立ちつつ、トランプ政権とは違い、公正な話し合いでグローバリズムからの転換する方向性を提案すべきです。

第三に、中国・インドやいわゆるグローバルサウス諸国との関係強化です。米国がロシアや朝鮮と「お仲間」になりつつある中、どこもかしこも「敵」に回してしまえば日本は「詰み」です。その状態では、日本がいくら軍拡をしようとも追いつきません。そもそも、米国自体が中華経済圏全体(大陸・台湾双方)に高関税をかけているのです。米国に頼らない国際経済体制作りというところでは一致点が見いだせるのではないでしょうか。

さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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4・5「鹿砦社反転攻勢の集い」、成功裡に終了! これを転換点として苦境を突破し次の10年に向けて再スタートしました! 鹿砦社代表 松岡利康

去る4月5日、東京日比谷・日本プレスセンターで開催された「鹿砦社反転攻勢の集い」は、新年度始めの慌ただしい中、実数105名のご参集にて開催されました。

以下は、当日会場にて配布した私の挨拶文です。ご笑読いただければ幸いです。

私の開会宣言ののち、足立昌勝先生が、志途上で亡くなられた方々を追悼し『紙の爆弾』『季節』の継続発行、鹿砦社の復活を願い献杯の音頭を取られ会がスタートしました。

リレートークの冒頭は、かの重信房子さんの発言で会場がざわめきました。重信さんとは面識がなかったのですが、先輩に知っている方がいて興味津々、彼女が東京拘置所勾留中、面会に行ったり公判を傍聴したり、ささやかながらカンパ(私の経験から、勾留されていると収入がないわけで、なにかと物入りなのです)したりしたことのお礼ということで参加されました。重信さんを冒頭に持ってきたのは、特段意味がなく、この後、彼女の母校・明治大学土曜会の集まりがあるので中座せざるをえないという理由からです。

なお、当日の司会は、北は網走から南は沖縄まで全国の刑務所、少年院を回り獄内(プリズン)コンサート500回超の実績(もっと評価されて然るべきです)を持つ女性デュオPaix2(ぺぺ)さんが行ってくださり、重信さんは八王子医療刑務所在監中にPaix2さんのコンサートを観て感銘を受けたということでした。
4・5の報告は適宜行っていきます。

◇     ◇     ◇     ◇     ◇

『紙の爆弾』創刊20周年/『季節』創刊10周年に際して開催された本日の集いを、生前サポートされた方々の遺志を汲み反転攻勢への一大転機に! 鹿砦社代表 松岡利康                 

本日は年度始めの慌しいところ、鹿砦社にとって重要な集いに駆けつけていただき有り難うございます。肩の力を抜いて歓談し共に有意義な時間を過ごしましょう!

以下、私の個人的な想いも盛り込みつつ、『紙の爆弾』創刊20周年についての感慨、及び、長年サポートいただきながら志途上で亡くなられた方々の名を挙げ、その遺志を汲み、反転攻勢を勝ち取ることを決意表明いたします。

『紙爆』20年間の軌跡は、出発時から「名誉毀損」に名を借りた大弾圧で強権的にペシャンコにされ、その後、復活しつつも、新型コロナという、予想だにしなかったパンデミックにより、創刊時とは違った形でどん底に落とされ、もがきながら本日を迎えました。正直のところは、10周年の時のように余裕を持って迎えたかったです。

20年という月日は、たとえ小さな雑誌とはいえ読者の皆様方に確固とした信頼を培い、この5年の苦闘を支えていただきました。あらためてお礼申し上げます。

20年の想いは『紙爆』5月号120ページから4ページにわたり中川と共に記述しましたので、ぜひお読みください。この20年の軌跡は4ページに収まるものではありませんが……。

小なりと雖も、一つの雑誌を続けていくことは大変なことで、これまでの意義と反省点などを捉え直し、皆様方のご意見、アドバイス、また叱咤激励をいただき、次の10年に向けて私たちの想いを真に理解される皆様方と共に再出発したいと願っています。

◆当社に関わってくださった方々を追悼します

私たちが決して忘れてならないことは、生前多大にお世話になった方々のご厚意です。

コロナ直前の2019年秋に鹿砦社創業50周年の集いを東京、関西双方で行いました。その際にも少なからずの亡くなられた方々を追悼いたしました。

その後コロナが蔓延した時期に入っていくわけですが、このかんも、ゆかりのあった方々が亡くなられました。以下の通りです。──

中道武美さん(弁護士) 1990年代初めから関西の事案を依頼。主な事件に『タカラヅカおっかけマップ』出版差止事件、アルゼ名誉毀損(刑事)事件など。別紙記事参照。
                   
内藤 隆さん(弁護士) 東京の事案を依頼。本年1月6日急逝。「大学院生リンチ事件」(いわゆる「しばき隊リンチ事件」)加害者から、本日ご参加の森奈津子さんと共に提訴された訴訟を受任いただき係争中でした。内藤さんをめぐる象徴的なエピソードとしては、別途記事にも書かれていますが、デモで機動隊の暴虐を監視に行って、そのあまりもの暴虐に抗議したら逮捕され日弁連が抗議声明を出したということで、熱血漢の内藤さんらしいと思いました。主な事件に、1996年に東京地検特捜部に刑事告訴された日本相撲協会八百長出版事件(不起訴)、これ以来のお付き合いで、アルゼ名誉毀損(民事)事件を担当。別途記事参照。

北村 肇さん(毎日新聞記者→『週刊金曜日』発行人) 松岡と学年が同じことで意気投合、鹿砦社の出版活動の強力な理解者。生前は『金曜日』と鹿砦社の橋渡しをされ、毎月(毎週の時もあり)1ページ広告を掲載。北村さんが亡くなってから『金曜日』から広告掲載を拒絶され絶縁宣言をされました。

山口正紀さん(ジャーナリスト) 「名誉毀損」出版弾圧事件の訴訟の公判を、東京から毎回傍聴、そのレポートをその都度『金曜日』に寄稿。のち「大学院生リンチ事件」でも、裁判所に意見書(本日販売の『暴力・暴言型社会運動の終焉』に収録)を提出されたり準備書面作成にもご協力、本日ご参加の黒薮哲哉さんと共に積極的にご支援いただきました。

白井 順さん(経済学研究者) 1980年初めに出会う。私よりも1歳下ということもあり弟分的存在。学識があるにもかかわらず出世欲がなく生涯家庭教師やアルバイトで糊口をしのぎ、好きな分野の研究に専念。鹿砦社からは『思想のデスマッチ』の著書があります。もっと彼の学識を活かしてやれば、と悔やみます。

鈴木邦男さん(思想家) 1980年代前半に出会い、以降、鈴木さんの名を論壇に知らしめた『がんばれ!新左翼』はじめ当社から数々の書籍を出版、出版社としては今でもその数は一番多いです。「大学院生リンチ事件」で被害者側に立つ私と決裂、残念ながら歩み寄りなきまま逝去されました。

上記のように、ここ5年余りで私たちは、長年にわたり訴訟や言論における強力なブレーンとなっていただいた方々を失いました。この喪失感は私たちにとって大きいです。

もう私の時代も終わった感があります(とはいえ、現実問題、そうは問屋が卸しませんが)。今後は、次世代を担う中川が新たなブレーンを開拓、形成していくことになりますので、皆様方のご協力をお願いいたします。

本日お持ちした書籍を販売いたしますが、この一覧を見て、よくぞこれだけの本を作ってきたな、という想いにかられました。このリストの大半が私が直接担当したものですが、どの本にも思い入れがあります。ぜひお買い求めいただき、お読みいただければ幸いです。

最後になりますが、本日の集いは、今年74歳になる私にとって、いわば最後の檜舞台であり、このような日本のジャーナリズムを代表する会場で 私たちの出版活動をご理解いただいている皆様方と共に有意義な時間を過ごせる機会を与えられたことに心より感謝いたします。有り難うございました。

(松岡利康)

『紙の爆弾』2025年5月号に寄せて 『紙の爆弾』編集長 中川志大

5月号では、開戦3年を過ぎたウクライナ戦争を“終わらせない勢力”の存在をジャーナリスト・田中良紹氏が指摘。現在を含め、戦争終結に向かう動きを封じ込めてきたネオコン勢力と、その影響を強く受けつつ世界を席巻する“リベラル・デモクラシー”に切り込みました。日本国内では、自公少数与党をなぜか打倒しようとしない野党勢力を国際政治学者の植草一秀氏が分析します。なぜ、昨年衆院選で国民が自公に鉄槌を下したにもかかわらず、政権交代の機運が早々に途絶え、自公政権存続の方向性が直ちに定まったのか。今国会の焦点のひとつであった高額療養費制度改悪とアベノミクスの関係、またそれが凍結ののちに、次期参院選の重要なキーポイントとなること。また企業団体献金禁止を妨げる野党勢力についても明らかにしています。

全国で「財務省解体デモ」が盛り上がる中、財務省が持つ“異常な権力”について、『消費税という巨大権益』『本当は怖い税金の話』などの著作を持つ元国税調査官・大村大次郎氏が徹底解明。「日本の財務省は先進国ではありえないほどの巨大な権力をなし崩し的に保持している」と断言する大村氏の言葉は、問題意識を持つ人のみならず必読です。さらに“減塩信仰”の嘘と「塩の効用」を神戸・ナカムラクリニックの中村篤史医師が解説。健康に関する情報としてはもちろん、私たちが日々いかに“洗脳”の中にあるか、考えるきっかけとなるものです。

本誌発売後に開催される「大阪・関西万博」で、石毛博行事務総長は“成功”の基準を問われ、「想定来場者の2820万人は想定であって目標ではない」と答えています。そもそも万博は、宣伝して客を呼ぶ商業イベントではないとは思っていましたが、人が来ないということは、関心を持たれていないということ。つまり、計画当初から問われていた「開催の意義」が、万博そのものにはやっぱりなかったということです。結局のところカジノ万博であり、加えて今月号で植草一秀氏は「産廃と淡路島」に言及しています。福島第一原発事故で国と東京電力旧経営陣を免罪した最高裁判事の顔ぶれを明らかにしていますが、危険が明らかな原発や失敗が明らかな万博を止められない政治・社会の構造をなんとか変えることこそ、いま求められていることです。

本誌はついに創刊20周年。編集長を務める私自身が「右も左も」どころかゼロから出発し、試行錯誤を繰り返してきました。いま、書店の減少がなお加速し、コンビニも雑誌を扱わない店が増えました(本誌はもともと書店のみですが)。一時は隆盛を見せた保守系雑誌も発行部数を減らしているといいます。ただし、経済的な意味での需要の減少は避けられないとしても、社会的需要=言論としての価値は増えていると感じています。課題は山積みです。『紙の爆弾』はそこにより深く楔を打ち込むとともに、読者に迫るメディアであろうと考えています。  全国書店で発売中です。ぜひご一読をお願いします。

『紙の爆弾』編集長 中川志大

『紙の爆弾』2025年 5月号
A5判 130頁 定価700円(税込み)
2025年4月7日発売
戦争を終わらせないのは誰か ウクライナ戦争の真実 田中良紹
自公少数与党と対決しない 維新・国民民主・立憲民主の裏側 植草一秀
元国税調査官・大村大次郎インタビュー 財務省を解体すれば日本は確実に良くなる
道義平和国家・日本の矜持を取り戻せ!シリア「政権の空白」で何が起きているのか 木村三浩
減塩で糖尿病・がん・心筋梗塞・肥満リスク増「塩の効用」を考える 中村篤史
SNS言論封じ法「情報流通プラットフォーム対処法」の言論統制 足立昌勝
「米露同盟」と「ヨーロッパ再軍備」アメリカの多国籍軍NATOの崩壊 広岡裕児
福島第一原発事故「国も東電経営者も責任なし」と判断した最高裁判事たち 後藤秀典
「コメ価格急騰」への影響も 誘拐被害者が語ったミャンマー詐欺拠点の実態 片岡亮
トランスジェンダー論争にみるキャンセル・カルチャーの実態 井上恵子
「Black Box Diaries」伊藤詩織監督映画上映妨害は言論弾圧だ 浅野健一
マスコミ幹部を飼い慣らした「みのもんた伝説」本誌芸能取材班
鎌倉「ヴィーナスカフェ」問題から闇を覗く ハマのドンと横須賀のドン 青山みつお
NHK廃止のための思想の準備作業「公共放送」の「公」をラジカルに問い直す! 佐藤雅彦
環境省の“犯罪黙認”沼津市による「特定有害物質」不法投棄問題 青木泰
シリーズ日本の冤罪 耐震偽装事件 片岡健
『紙の爆弾』創刊二十周年にあたって——創刊の頃、そして現在

〈連載〉
あの人の家
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け 西田健
「格差」を読む 中川淳一郎
シアワセのイイ気持ち道講座 東陽片岡
The NEWer WORLD ORDER Kダブシャイン
「ニッポン崩壊」の近現代史 西本頑司

◎鹿砦社 https://www.kaminobakudan.com/
◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0DM4Y59YX/

《書評》喜田村洋一『報道しないメディア』著者の思想の整合性に疑問 黒薮哲哉

『報道しないメディア』(喜田村洋一著、岩波書店)は、英国BBCが点火したジャニー喜多川による性加害問題の背景を探った論考である。著者の喜田村氏は、弁護士で自由人権協会の代表理事の座にある。メディア問題への洞察が深く、出版関係者や大学の研究者からありがたがられる存在だ。

その喜田村弁護士が著した本書は、ジャニーズ問題がほとんど報じられなかった背景に、報道すれば返り血を浴びる構図があったと結論づけている。喜田村氏は、ジャニーズ問題を報じてきたマスコミが『週刊文春』と『週刊現代』の2媒体だけであった事実を指摘した上で、次のように述べている。

ジャニー喜多川氏の性加害だけでなく、マスメディアにジャニーズ事務所の気に入らない記事が掲載されたりすれば、ジャニーズ事務所は、当該メディアを出入り差し止めにしたり、そのメディアの発行会社の雑誌全部にジャニーズ事務所の所属タレントを出演させなかったり、さらにはそのメディアの上層部に直接不満を言いつけるということをやっていた。

報道に踏み切ることで、不利益を被る構図が存在したという説である。改めて言うまでもなく、そのような構図を構築したのは、報道対象であるジャニーズ事務所の側である。

◆「押し紙」問題の性質とも重なるジャニー喜多川の事件の性質

ワイセツ行為がらみの事件の裏付けを取る作業はそう簡単ではない。ジャニー喜多川から提訴された『週刊文春』の代理人を務めた喜田村弁護士は、法廷でそれを立証するための着目点として、被害の「訴えが10年以上も続けられている」点を上げている。「そんな告発が続けられるのは何か理由があるはずだ。私は、ジャニー喜多川に対する反対尋問で、この点を衝くことを決めた」という。

告発の数量と連続性という観点から言えば、ジャニー喜多川の事件の性質は、やはりほとんど報道されない「押し紙」問題の性質とも重なる。後者は、1960年代から内部告発が始まり、半世紀以上も告発が続いている。現在も、毎日新聞社に対する「押し紙」裁判が大阪地裁で進行している。時代をさかのぼり、今世紀に入るころには、福岡地裁・高裁で読売新聞社に対する「押し紙」裁判が多発した。

後述するように『週刊新潮』も法廷に立たされた。これら一連の裁判における新聞人の主張は、「押し紙」は歴史的に見ても、一部たりとも存在しないというものである。とりわけ読売のK弁護士は、この点を宮本友丘専務(当時)に尋問の場でも証言させた事実もある。一貫して、「押し紙」行為の存在と連続性を否定してきたのである。

◆なぜ「押し紙」問題が、ほとんど報道されないのか? 

筆者(黒薮)にとって、『報道しないメディア』は、「押し紙」問題や関係者の倫理観を考える上で参考になる。

なぜ、新聞業界の内部で公然の事実となってきた「押し紙」問題が、ほとんど報道されないのか? 答えは、本書で喜田村弁護士がジャニーズ問題を例に指摘した構図にある。「押し紙」行為を検証すれば、その連続性が明確であるにも関わらず、それを報じれば、マスコミが大変な不利益を被るリスクがあるからだ。その構図を構築したのも、ジャニー喜多川のケースと同様に報道対象にされる側である。つまり新聞社にほかならない。

具体的な不利益の中味については、たとえば自社の出版物の書評が新聞紙面から締め出されるリスクである。日本の新聞社が大量の「押し紙」を隠しているとはいえ、それにもかかわらず相対的に見れば部数は多く、書評の宣伝効果は高い。

新聞研究者やジャーナリストが「押し紙」にタッチしない点について言えば、新聞社問題の核心にふれると新聞紙上で自分の意見を表明する場を失うリスクが高くなるからだ。

しかし、誰もが最も恐れているのは、恐らく「押し紙」報道に対する高額訴訟である。読売による提訴件数は推論ではなく、具体的な事実が裁判記録として残っている。その記録は、今後も消えることはない。

◆福岡県の元販売店主が起こした地位保全裁判

意外に知られていないが、実はマスコミが「押し紙」を大々的に報道した時期が一度だけある。それは2008年ごろである。

その発端は、福岡県の元販売店主が起こした地位保全裁判で、福岡高裁が、読売の「押し紙」行為を認定したことである。これが2007年12月で、その後、「押し紙」報道が本格化するのである。

司法が新聞社の「押し紙」行為を認定したのは初めてだった。本題からはそれるが、参考までに判決文から、「押し紙」を認定した箇所を紹介しておこう。

販売部数にこだわるのは一審被告(黒薮注:読売のこと)も例外ではなく、一審被告は極端に減紙を嫌う。一審被告は、発行部数の増加を図るために、新聞販売店に対して、増紙が実現するよう営業活動に励むことを強く求め、その一環として毎年増紙目標を定め、その達成を新聞販売店に求めている。このため、『目標達成は全YCの責務である。』『増やした者にのみ栄冠があり、減紙をした者は理由の如何を問わず敗残兵である、増紙こそ正義である。』などと記した文章(甲64)を配布し、定期的に販売会議を開いて、増紙のための努力を求めている。

米満部長ら一審被告関係者は、一審被告の新聞販売店で構成する読売会において、『読売新聞販売店には増紙という言葉はあっても、減紙という言葉はない。』とも述べている。

[参照資料]福岡高裁判決の全文 

この福岡高裁判決の後、マスコミは「押し紙」問題を取り上げ始めた。『週刊ダイヤモンド』や『SAPIO』などが、新聞社特集を組み、その中で「押し紙」問題に言及するようになった。他のメディアも追随した。

しかし、同時に、読売による裁判攻勢が始まったのである。読売が裁判を連発して、言論機関が言論に対する審判を裁判所に委ねる異常な事態になったのだ。読売は、まず、最初に筆者に対して、2件の裁判を起こしてきた。メディア黒書に対する攻撃である。さらに『週刊新潮』が「押し紙」問題を連載すると、筆者と新潮社に対して約5500万円を請求する名誉毀損裁判を仕掛けてきた。この時点で、筆者に対する請求額は総額で約8000万円に膨れ上がった。3件の裁判の被告になった。

裁判を起こしていた元店主が、読売から「反訴」される事態も起きた。反訴で敗訴した元店主が、読売のK弁護士らによる法手続きにより、自宅を差し押さえられたこともある。提訴による委縮効果は計り知れない。

こうした状況の下で、極めて少数の例外を除いて、マスコミによる「押し紙」報道は沈黙したのである。喜田村弁護士が解析したジャニーズ問題の報道と同じ構図が、「押し紙」問題の報道でも表れたのである。

◆「押し紙」報道を抑制してきたK弁護士とは誰だったのか?

幸いにジャニーズ問題の方はBBCの報道により、一応の解決を見た。しかし、「押し紙」問題は、解決の目途が立っていない。筆者の試算では、35年で少なくとも32兆6200万円の不正な資金が新聞社に流れ込んでいる。全国霊感商法対策弁護士連絡会によると、統一教会の霊感商法による被害額が35年間で1237億円であるから、比較にならない状況が生まれているのである。

ところで読者は、読売から委託を受けて、「押し紙」報道を抑制してきたK弁護士の実名をご存じだろうか?それは、『報道しないメディア』を著した喜田村洋一弁護士なのである。喜田村弁護士は、一方ではジャニーズ事務所を批判し、もう一方では読売新聞社を擁護する。著者の思想の方向性が、筆者には分からない。

【参考記事】喜田村洋一弁護士に関するメディア黒書の全記録

【参考記事】読売の滝鼻広報部長からの抗議文に対する反論、真村訴訟の福岡高裁判決が「押し紙」を認定したと判例解釈した理由

【参考記事】国策としての「押し紙」問題の放置と黙認、毎日新聞の内部資料「発証数の推移」から不正な販売収入を試算、年間で259億円に

※本稿は黒薮哲哉氏主宰のHP『メディア黒書』(2025年3月17日)掲載の同名記事を本通信用に再編集したものです。

▼黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
ジャーナリスト。著書に、『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島新書)、『ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線』(花伝社)、『名医の追放-滋賀医科大病院事件の記録』(緑風出版)、『禁煙ファシズム』(鹿砦社)他。
◎メディア黒書:http://www.kokusyo.jp/
◎twitter https://twitter.com/kuroyabu

主役が揃ったKICK Insist、それぞれの運命! 堀田春樹

睦雅はONE Friday Fightsへの雪辱誓う前哨戦をKO勝利。
瀧澤博人も再挑戦へ復活のKO勝利。
細田昇吾は実力発揮する前にKO負け。
西原茉央、17歳のテクニシャンに敗れる波乱。
プロ第1試合前に行われた2024年度年間表彰式は6名が表彰されています。

◎KICK Insist.22 / 3月23日(日)後楽園ホール17:15~20:40
主催:(株)VICTORY SPIRITS、ビクトリージム / 認定:ジャパンキックボクシング協会

年間表彰選手
最優秀選手賞:睦雅(ビクトリー)
優秀選手賞2名:西原茉生(治政館)、勇成(Formed)
技能賞:勇成(Formed)
KO賞:睦雅(ビクトリー)
殊勲賞:皆川裕哉(KICK BOX)
功労賞:政斗(治政館)
新人賞:菊地拓人(市原)

年間表彰、前列左から菊地拓人、皆川裕哉、勇成、西原茉央、政斗、睦雅

最優秀選手賞の睦雅は昨年7月、WMOインターナショナル・スーパーライト級王座獲得し、国内は3勝。ONEでは5月の初出場から2連勝し、2022年9月から11連勝となりKO賞も受賞。

西原茉生は王座奪取と、初戦の三日月蹴りによるKO勝利がインパクトがあった。
勇成は挑戦者決定戦で樹(治政館)に勝利し、皆川裕哉を倒して王座奪取した成長が見られ技能賞も受賞。

◆第13試合 63.0kg契約 5回戦

WMOインターナショナル・スーパーライト級チャンピオン.睦雅
(=瀬戸睦雅/ビクトリー/ 1996.6.26東京都出身/ 62.7kg)27戦20勝(13KO)5敗2分
        VS
ポムロップ・ルークスワン(元・S-1スーパーフェザー級覇者/タイ/ 62.8kg)
98戦70勝24敗4分
勝者:睦雅 / TKO 1ラウンド2分30秒
主審:少白竜

初回、睦雅はローキックから前進し、ボディーブローから顔面狙った追い足でポムロップをロープ際に下がらせるとパンチ連打。ミドルキック、ローキックを加えて様子を見て更に戦略は練られて行く。ポムロップは前蹴り、間合い見て右ミドルキックで出て来るも、睦雅もハイキックで返し、軽くパンチの交錯後、左フック一発で仕留め、カウント中のレフェリーストップとなった。

ミドルキックで様子見、技を試しながら勝機を掴んで行く睦雅
画像は位置が悪いが、睦雅がこの左フックで倒した

睦雅は控室で「もう少し長いラウンド行きたいプランではあったのですけど、試したかったことや、引き出しも増やしたかったですけど、やっぱり前回のONEでの負けがあったので、1秒でも早く倒したいという気持ちが出てしまいましたね。」と語った。

リング上でのマイクアピールでは「前回、負けちゃったんで気が張ってて駄目だった部分もあるんですけど、まあKOで復活出来たので、でもまだ完全復活ではないので、近くまたあの舞台へやり返しに行くので、そっちの舞台でもKOするので楽しみにしていてください。」とONEでの雪辱戦も誓っていた。

再起戦を鮮やかノックアウト、低迷した訳でもない国内10連勝の協会エース格、睦雅

睦雅は昨年5月からタイ・ルンピニースタジアムでのONE Friday Fights に出場し2連勝していたが、今年1月31日のONE Friday Fights 95ではエー・ミウ(ミャンマー)に第2ラウンド、ダブルノックダウンでの41秒KO負けで初黒星を喫した。

今日は勝ったが、ONEでの雪辱は果たしていないことが、まだ大舞台での完全復活ではないということだろう。

◆第12試合 57.5契約3回戦

WMOインターナショナル・フェザー級チャンピオン.瀧澤博人(ビクトリー/1991.2.20埼玉県出身/ 57.2kg)
43戦27勝(15KO)12敗4分
        VS
プラカイトーン・トー・タラヤン(タイ/ 57.5kg)
79戦55勝21敗3分
勝者:瀧澤博人 / KO 2ラウンド2分23秒
主審:椎名利一    

長身の瀧澤博人がローキックとパンチを上手くコントロールし。プラカイトーンの出方を見て臨機応変に攻める。プラカイトーンが圧力掛け、やや前進するも瀧澤はロープやコーナーに詰められても落ち着いて捌く、首相撲に持ち込むと上背の有利さからウェイトを掛け、左ヒジ打ちでプラカイトーン右眉辺りをカットした上、プラカイトーンの蹴りに合わせた右ストレートヒットをボディー打ち込み、ノックダウンを奪った。諦めた表情のプラカイトーンはテンカウントを聞いた。

瀧澤博人は距離に応じた攻めで主導権支配してノックアウトに繋げた
瀧澤博人の最後のヒットはみぞおちへストレート、その前にヒジ打ちでもダメージを与えていた

瀧澤博人は控室で、「最後はボディーストレート、みぞおちを打ち抜きました。その前の縦ヒジ打ちが眼球に当たった感じだったので、これは心折れたかなと。今後はもう一回ぐらい説得力ある試合で倒さないと納得して貰えないんで、皆が納得した形で再挑戦したいです。」と完全復活と昨年叶わなかった世界への再挑戦を誓っていた。

リング上では、「昨年、結果が振るわなかったこともあったんですけど、それでも応援してくださる皆さんの御陰で強くなった帰って来ることが出来ました。今日、更に強くなったことを証明することが出来たので、もう一度、昨年獲り損ねたWMCの世界王座と、そしてラジャダムナンスタジアム王座挑戦していくことをここに表明したいと思います。難しい夢だからこそ、叶わないと言われる夢だからこそ追う意義がありますし、叶った時は嬉しいんだと思います。だから僕は諦めず、最後までその夢を叶える為に一生懸命頑張って行きたいと思います!」と語り、このままでは終わる気は全く無く、ヤル気満々の闘志を物語っていた。

鮮やかノックアウトで観衆にアピールする瀧澤博人

◆第11試合 52.0契約3回戦

ジャパンキック協会フライ級チャンピオン.西原茉生(治政館/2003.6.27埼玉県出身/ 52.0kg)
16戦10勝(5KO)5敗1分
        VS
WMOインターナショナル・ミニフライ級チャンピオン.コウシ・ノーナクシン
(=曽我昂史/ノーナクシン/2007.10.3埼玉県出身/ 51.85kg)
18戦12勝(2KO)6敗=タイ現地5勝5敗含む
勝者:コウシ・ノーナクシン / 判定0-3
主審:西村洋
副審:椎名28-30. 中山28-30. 少白竜27-30

ローキックから距離が詰まり首相撲へ移るとムエタイテクニック優るコウシがバランス良く組み合ってヒザ蹴りで攻め西原茉央を苦しめる。ヒジ打ちで西原の鼻の左側面カットと腫れ上がらせるダメージを負わせた。ウェイト掛け優位に立つ首相撲はコウシが上手い攻め。離れても蹴りのタイミングが上手い17歳のムエタイボクサーが日本人でも可能なんだという時代となった。コウシがテクニックで圧倒の大差判定勝利となった。

コウシが多彩な技で西原茉央を攻め、チャンピオンを苦しめた
コウシが今17歳と言ったところで場内の響めきに笑顔がこぼれた

「今、17歳なんですけど!」とマイクで言った途端、場内が響めいた。「17歳でこんなテクニシャンとは!」といった空気。

「タイで試合と練習多くやっていて、自分(コウシ)のこと知らない人沢山居ると思うんですけど、今日リングに立って、フライ級チャンピオン倒して自分の名前売ろうと思って、階級上(の相手)でも勝てまして、それで今日、別の会場なんですけど、ONEとかやっていて、凄いなと思っているんですけど、自分も数年後、ああいう場所に立ったりとか、タイでラジャダムナンスタジアムのタイトルとか狙っているので、今日、自分の名前覚えて帰って貰えると有難いです。そうなる自信ありますし、それぐらいの覚悟決めてやっているので、自分のこと注目してください!」と1分半に渡る説得力あるアピール。17歳でこれだけ言えるのは大物の風格があった。

帰り際の控室では「まだ使っていないムエタイ技いっぱいあるんで今後も注目お願いします!」と語っていた。

◆第10試合 スーパーフライ級3回戦

ジャパンキック協会フライ級1位.細田昇吾(ビクトリー/1997.6.4埼玉県出身/ 51.9kg)
23戦14勝(3KO)7敗2分
      VS
NKBフライ級5位.滑飛レオン(テツジム滑飛一家/ 52.1kg)10戦7勝(5KO)2敗1分
勝者:滑飛レオン / KO 1ラウンド2分21秒
主審:勝本剛司

ローキックの様子見からパンチに入った滑飛レオン。右ストレートヒットしてノックダウンを奪うとすでに効いてしまったか細田昇吾。再開後も滑飛が間合いを計り、細田の反撃を警戒しながらパンチで詰めていく中、再び右ストレートでノックダウンを奪った。このラウンドを凌ぎたい細田だが、滑飛のラッシュを凌げず連打を受け、3ノックダウンを喫してしまった。あっけないノックアウト負けに、この先の展望も後退となってしまった細田はまた出直しだろう。

NKBとの交流戦、細田昇吾に三度目のノックダウンを与えた滑飛レオン、NKB陣営響めいた

◆第9試合 ウェルター級3回戦

ジャパンキック協会ウェルター級3位.正哉(誠真/ 66.4kg)11戦7勝(3KO)4敗
        VS
梅沢遼太郎(白山道場/ 66.0kg)10戦3勝(1KO)2敗5分
勝者:正哉 / TKO 2ラウンド1分9秒
主審:中山宏美

蹴りの攻防からパンチ、正哉が連打の猛攻を掛けたが、何とも危なっかしい打ち合いの中、ラウンド終了間際に右ストレートでノックダウンを奪った。梅沢遼太郎はゴングには救われず、カウントは8で第1ラウンド終了。第2ラウンド、正哉は蹴りもパンチも貰う危なっかしい中、右バックハンドブローでノックダウンを奪い、梅澤が立ち上がったところで連打のラッシュ。レフェリーストップとなった。

◆第8試合 ライト級3回戦

ジャパンキック協会ライト級2位.菊地拓人(市原/ 61.1kg)8戦6勝(3KO)2敗
      VS
青木大好き(OZ/ 60.5kg)13戦7勝6敗
勝者:菊地拓人 / 判定2-0
主審:少白竜      
副審:西村30-29. 勝本30-28. 中山29-29

殺伐とした開始から互いの蹴り合う間合いとパンチの攻防。青木のローキックがヒットしていたが、菊地拓人は効いた様子は無く、蹴りを加えたパンチの打ち合いとなるも、激しさ増す中、忍耐の戦いは菊地拓人が圧していく中、僅差で制した。

◆第7試合 58.0kg契約3回戦

ジャパンキック協会フェザー級5位.眞斗(KIX/ 57.4kg)13戦5勝(2KO)6敗2分
        VS
同級6位.石川智崇(KICKBOX/ 57.7kg)8戦4勝3敗1分
勝者:石川智崇 / 判定0-3
主審:椎名利一
副審:少白竜26-30. 勝本27-30. 中山27-30

初回、上下の蹴りの攻防、石川智崇がバランス良くやや圧した流れ。第2ラウンドにはパンチ連打か、石川がノックダウン奪い、組み合っても攻勢を維持してヒジ打ち、眞人の右眉尻辺りをカット、打ち合いから蹴りで両者の攻防が増し、第3ラウンドも激しい攻防の中、石川のヒジ打ちで更に眞人の額上部もカット、首相撲も石川が優勢を保っていく。眞人も諦めないパンチと蹴りで前進するも、石川智崇が大差判定勝利を掴んだ。

◆第6試合 70.0kg契約3回戦

我謝真人(E.D.O)VS白井大也(市原)は白井大也が体調不良に陥り試合中止

◆第5試合 バンタム級3回戦

松田悠哉(誠真/ 53.5kg)5戦1勝(1KO)4敗
      VS
JKイノベーション・バンタム級8位.翔力(拳伸/ 53.1kg)9戦5勝(1KO)3敗1分
勝者:翔力 / KO 1ラウンド1分2秒
主審:勝本剛司

パンチとローキックの攻防の中、翔力の左ボディブローヒットで松田悠哉は効いて蹲ってしまい、そのままテンカウントとなった。

◆第4試合 53.0kg契約3回戦

花澤一成(市原/ 53.0kg)10戦1勝(1KO)6敗3分
      VS
カズキ・シッソー(トースームエタイシン/ 53.0kg)11戦5勝(1KO)5敗1分
勝者:カズキ・シッソー / TKO 2ラウンド1分52秒
主審:中山宏美

蹴りの攻防は花澤一成がやや優勢気味に進み、第2ラウンドも花澤が蹴りで優る攻勢からカズキ・シッソーが花澤の左前蹴りに合わせた右ストレートでノックダウンを奪うと花澤は立ち上がろうとするも立ち上がる前に崩れ落ち、カウント中のレフェリーストップとなった。花澤はまたも打たれ脆いところを突かれた様子。

◆第3試合 ミドル級3回戦

前田啓伍(SOGA KICKBOXING)、怪我により欠場

JOE(=カンパイ・カンパナート/タイ/ROCK ON/ 71.6kg)代打出場
        VS
タイン・ノーナクシン(タイ/ 72.5kg)39戦27勝10敗2分
勝者:タイン・ノーナクシン / 判定0-3
主審:少白竜
副審:中山28-30. 勝本29-30. 西村28-30

◆第2試合 フェザー級3回戦

日本猿サトルJSK(治政館/ 57.0kg)1戦1勝
      VS
久住裕翔(白山道場/ 56.6kg)4戦1勝3敗
勝者:日本猿サトルJSK / 判定3-0 (30-28. 30-29. 30-29)

◆プロ第1試合 ライト級3回戦

西郷隆道(野本塾/ 61.0kg)1戦1敗
     VS
山守浩司(OZ/ 60.8kg)1戦1勝(1KO)
勝者:山守浩司 / TKO 2ラウンド1分10秒 / タオル投入による棄権

◆オープニングファイト アマチュア80.0kg級2回戦(90秒制)

西村寿一(SOGA KICKBOXING/ 78.4kg)VSTAKUMI(Y‘zd石神井公園/ 79.6kg)
勝者:TAKUMI / 判定0-3
主審:勝本剛司
副審:椎名18-19. 西村18-19. 少白竜18-19

《取材戦記》

今、注目の出場したい舞台は「ONE Champion Ship」と皆が口にするようになりました。これも現在のステータスである。瀧澤博人が目指すラジャダムナンスタジアムなどの殿堂スタジアム王座は90年代までのようなスーパースター揃った隆盛期には及ばないが、最高峰として永く継続して来た伝統が強み。プロモーター主導のビッグイベントタイトルは今盛り上がっていても、いつ廃れるか分からないからその時代の旬のものと、殿堂タイトルを獲得しておく意義はあるだろう。それが歴史に名を残し、群衆の記憶に残る存在となるのである。

睦雅は国内では10連勝中。タイ・ルンピニースタジアムでのONEで負けたと言っても今回が再起戦とか復活したとは感じ難い。ただ大舞台での敗戦は大舞台でしか返せないリベンジ精神はあるでしょう。

西原茉央をテクニックで優った17歳のコウシ=曽我昂史はアマチュアで268戦223勝(40KO・RSC)32敗13分。ジュニアキックで50冠という幼い頃から戦って来た戦歴である。プロでは国内8戦7勝(2KO)1敗。タイで10戦5勝5敗。さすがにタイでは勝率圧倒とはいかない壁の厚さがあります。幼い頃から始めるジュニアキックは2010年頃から始まり、那須川天心がその先駆者とも言える存在だが、曽我昂史が17歳でこれだけのテクニシャンとはタイで鍛えられてきた経験値が大きいが、今後が恐ろしく楽しみな選手である。これから先、いろいろなメディアにも登場するであろう。古い考え方だが、コウシでなく本名でやって欲しいな。

次回、ジャパンキックボクシング協会興行は、5月25日(日)に市原臨海体育館に於いて、「Road to KING3」が開催されます。メインイベントは、2月にONE Friday Fightsに出場し1ラウンドKO勝利したジャパンキック協会フェザー級チャンピオン、勇成(Formed)が出場します。昨年は皆川裕哉が務めたメインイベント。その皆川裕哉から11月に王座奪取した勇成が今年のメインイベンターとなりました。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

「4・5鹿砦社反転攻勢の集い」を成功させ流れを変えよう! 皆様方の総結集と圧倒的なご支援をお願いいたします! 鹿砦社代表 松岡利康

月刊『紙の爆弾』創刊20周年/唯一の反原発情報誌『季節』創刊10周年にあたり企図した「4・5鹿砦社反転攻勢の集い」が迫ってきました。

このかん再三申し述べさせていただいているように、新型コロナ襲来以来、引き起こされた鹿砦社の苦境を寄稿者、読者の皆様方と共に突破し、流れを変えようと、4月5日、反転攻勢の集いを開催することになりました。『紙の爆弾』の寄稿者を中心に、ちょっと声を掛けたところ、またたくまに30人ほどの発起人が集まってくださいました。

また、ご支援のカンパ、ご祝儀も日々お寄せいただいています。有り難いことです。あと数日後になりますが、日々、緊張感がみなぎってきています。

この20年間、いろいろなことがありました。なんと言っても『紙爆』創刊直後の私の逮捕―勾留で会社が壊滅的打撃を被ったことでしょう。囚われの身、それも接見禁止で、面会も手紙も、弁護士以外にはできなく、動こうにも動けなくて、「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もある」という心境でした。今は、会社の情況が苦しくても、電話もできるし動き回れます。これだけでも大きな違いです。

詳しいことは4月7日発売の『紙爆』(20周年記念号)5月号に記述してありますので、ぜひ購読いただきご一読ください。

4月5日の集いのご報告は、「デジタル鹿砦社通信」、『紙爆』6月号(5月7日発売)などで行います。

(松岡利康)

松岡の大学の後輩で、魂の書家・龍一郎が、今回の集いに送ってくれた、熱い激励のメッセージ