『錯乱の時代を生き抜く思想、未来を切り拓く言葉 鈴木邦男ゼミin西宮報告集 Vol.3』(鹿砦社)を読んだ。あまりの内容の濃さに、どのように紹介したらいいか迷う。
登場するのは、上祐史浩、神田香織、湯浅誠、前田日明、青木理、内田樹。それぞれの世界で、極めて尖った活躍をされている方々ばかりだ。
これを1度に紹介すると、各人のプロフィールをただ並べるということになってしまう。
そこで、一人一人の章を紹介することにしたい。
同書は、2010年9月から鹿砦社ホームグラウンド・西宮で行われている「鈴木邦男ゼミin西宮」の2012年10月~2013年7月までの全6回を完全収録したものだ。
案内役となっているのが、鈴木邦男。新右翼「一水会」最高顧問だが、右翼という枠にとらわれない発言を行っている。
ジャーナリストの青木理と鈴木邦男との出会いは古く、20年ほど前。当時、公安部の担当だった青木は、公安部の一番ホットな監視対象であった鈴木に取材をしているのだ。
青木は公安部担当だった経験を生かして、『日本の公安警察』を著す。その興味深い成り立ちについては、同書を参照して欲しい。
日本はこんなにも米国に見下されているのか――。外交問題に疎く、そもそもあまり関心がない筆者がしみじみそう実感させられる出来事が今から6年前にあった。2008年2月22日、あの「ロス疑惑」の三浦和義氏(当時60)がサイパンを旅行中、妻(=前妻。以下同)を殺害した容疑で米国捜査当局に逮捕された一件である。
長崎県西海市でストーカー被害を訴えていた女性(事件発生当時23)の母親(同56)と祖母(同77)が刺殺される事件が起きたのは2012年の暮れのこと。捜査の結果、女性の元交際相手・筒井郷太被告(同27)が殺人や住居侵入、脅迫などの罪で起訴された。筒井被告は、長崎地裁の裁判員裁判で無実を訴えたが、2013年6月14日、犯人性も完全責任能力も認められて死刑判決を宣告され、現在は福岡高裁に控訴中である。
世間の耳目を集めているオウム真理教の元幹部・平田信被告(48)の裁判員裁判。公判は何かと波乱含みのようだが、産経新聞の報道によると、弁護側が証人出廷した元オウム信者の受刑者に対し、迷宮入りした「警察庁長官狙撃事件」と平田被告の関連性について意見を求める質問をする場面があったという。質問の背景には、平田被告がかつて、この事件の犯人候補としても警視庁に注目されていたことがあったと思われるが、「あの男」がこの報道に触れたらおそらく気になって仕方がないだろう。