死刑執行後に浮上した、証拠改ざんによる冤罪疑惑

その昔、冤罪を訴える人の再審が開かれるというニュースを聞くと、随分珍しいことが起きたような気がしたものだ。ところが、近年は足利事件に布川事件、東電OL殺害事件・・・・・・と毎年のように再審無罪判決や再審開始決定が出るようになった。2013年もまた、何か新たな再審の動きはあるだろうか。
注目度の高い再審事件は色々あるが、個人的に今年大きな動きがありそうな気配を感じているのが、あの飯塚事件だ。

確定判決によると、福岡県飯塚市で小1の女の子2人を誘拐し、殺害したとされる久間三千年さん(享年70)が2008年10月に死刑執行されたこの事件。有罪の決め手となったDNA鑑定は、あのDNA冤罪の代名詞「足利事件」のそれと同じく90年代前半に警察庁科警研が同じ手法で行なったものだった。その再審請求審は現在、福岡地裁で続いているが、昨年10月には、科警研が鑑定書に貼付した証拠写真を改ざんし、別の真犯人のDNA像が写っていたのを隠蔽していた疑惑も浮上。死刑執行された人が冤罪だったというだけで一大事なのに、そんな重大疑惑も持ち上がり、今後の展開がますます注目される事件となった。

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夕焼けが空襲に見えた父

父は亡くなって、やっと苦しい人生から脱したのだな、と思う。
昭和5年生まれの父は、中学生の時、空襲を体験している。
昭和20(1945)年3月10日の、東京大空襲だ。
家族は全員、すでに埼玉に疎開していて、父は一人、浅草の家にいた。父は学徒動員されていたため、疎開することはできなかったのだ。

午前零時をわずかに過ぎた、深夜。警戒警報に続いて空襲警報が鳴り、父は物干し台に上った。投下された焼夷弾で街が燃え上がる。その光で、夜だというのに、低空で飛行するB29の編隊が見えた、という。焼夷弾が空中で分解して広がり、街に降り注いでいく。きれいだなと思ったが、すぐ近くにも焼夷弾が落ち燃え上がるのを見て、家から飛び出した。

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「手抜き除染」は、原発事故「収束」のウソから出た必然?

言ってほしいウソをつくのが、詐欺師のワザ。
「愛している」と、結婚詐欺師は言う。
「これで一財産作りました。あなたもどうですか?」と、マルチ商法詐欺は言う。
「救われます」と、カルト宗教詐欺は言う。
結婚詐欺の被害者は、あまり相手を訴えないとか。「愛している」という相手の言葉が、まるっきりのウソだったと、認めたくないからだ。
プロの結婚詐欺師は、訴えられないギリギリ程度の額をむしり取って、次の相手に移っていく。

福島第一原発事故は「収束」した、という政府のウソも、国民が欲していたものではないか。
そう言われることで、フクシマのことを忘れて、安心して日常に戻れるから。
もちろん、普通に日常を送っていくだけでも、大変なことはたくさんある。
その上に、四六時中、フクシマのことを考えて、心を病んでしまっても困る。
だが、まるっきり、忘れてしまう、というのはどうだろう。

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善行マニュアルがあればいいのに

30代で、東京に住み始めた頃だった。駅のホームで、前を歩いていた女性がハンケチを落としたので、拾って差し出した。きわめて、当たり前の行動として。
「チッ」
舌打ちをすると、私と同世代のその女性は、ハンケチをひったくって歩き去った。
ナンパと間違われたのだろうか。しかし、こちらから何か仕掛けたわけではなく、正真正銘彼女のハンケチだったから、持って行ったのだろう。

50代になって振り返ってみると、この時のことが、ずいぶん心に突き刺さっていたのだ。
私はそれからも善行をやめなかったつもりだが、他人が落とした物を拾ってあげる、ということができなくなっていた。
それはその人の問題、自分が関わり合うことではない、という意識が働いた。

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社長が夜逃げ! あるIT企業社員の手記 (4)

尚坂に言われたからではないが、職探しを始めた。先の見えない会社に長居したくないのは当然だ。他にも数人、求職中だとほのめかす社員はいる。

「大丈夫ッスよ。そこまでヤバくないッス」
堀口はどうも危機感がない。某一流大学を出ているらしいが、そうは見えない適当さだ。背が高く、顔も長いのでより高く見える。昔NHKに出ていたのっぽさんに少し似ている。馬面ののっぽさん。営業なのに取引先を増やすのではなく、一部の取引先の人間と友人のように仲良くなって、そこから案件を回してもらっている。

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ミャンマーの『民主化』は本当か!? ヤンゴンで生活してみた 5

私がミャンマーへ行ったのは、ひとえにミャンマー人である夫の家族、親族に娘(0歳11カ月)を会わせるためだった。
民主化活動をしていた夫は、ミャンマー軍事政権の迫害を逃れるべく1991年に来日し、以後、一度も祖国ミャンマーに帰れなかった。
そこで2012年2月、娘である赤ん坊と会うために、ミャンマーにいる家族が、在ミャンマー日本大使館に日本への渡航ビザ発給を求めた。義父にはビザが出たが、義妹や義妹の子は、ビザを得ることができなかった。その理由について、在ミャンマー日本大使館は「原則的発給理由を満たさなかったため」という不可解な回答をした。

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『資格ビジネスに騙されないために読む本』【ブックレビュー】

新しい年を迎えて、新しい道を切り開こう! と張り切っている方々も多いだろう。
そんな時に目に飛び込んでくるのが、「資格を取ればバラ色の人生」「資格を取得して新たな未来をつかもう」といったキャッチコピーのテレビCMや新聞雑誌、電車の中吊り広告だ。
もちろん努力して資格を取ることは、いいことには違いない。
だがそこには、様々な落とし穴がある。
経験者の立場から、その内情を暴いたのが、須田美貴著『資格ビジネスに騙されないために読む本』(鹿砦社)だ。

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2013年を原発ゼロ元年に

自民圧勝の勢いを受けて、昨年暮れから、安倍新政権による、原発再稼働の動きが活発化している。
就任翌日の12月27日、福島県を訪れた石原伸晃環境相は「(原発稼働ゼロは)現実的ではない」と言い切った。
12月23日の当ブログで紹介したように、自民党は福島では「脱原発」を掲げたパンフレットを掲げていた。わざわざ福島の地で、それを翻した。

同じく27日、茂木(もてぎ)敏充経済産業相は27日の閣議後の記者会見で、「2030年代に原発稼働ゼロを目指す」との方針について「再検討が必要」と語った。「(原子力規制委員会で)安全性が確認された原発は、政府の責任において再稼働を決めていきたい」と言い、既に着工しているJパワー(電源開発)大間原発と中国電力島根原発3号機の建設を容認する方針を表明。原発推進の立場でアクセルを踏んでいく姿勢を明らかにした。

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松井秀喜、記憶に残る本塁打の弾道

「松井の場合は、両膝を手術したこともあるが、本当はホームランバッターの宿命で、巨人にいたころから背中を痛めていた。思い切りスイングできないと判断したのだろうな」(スポーツ紙記者)
2012年12月27日(日本時間28日)、松井秀喜選手がニューヨーク市内で記者会見し、現役引退を表明した。

「本日をもってプロ野球人生に区切りを付けたいと思う。チームが勝つために自分が何をするか、それを一番考えていた。寂しい気持ちもあり、ほっとした気持ちもある」と述べ、日米合わせて20年のプロ生活に終止符を打った。
「日本球界からの誘いはあったと思う。オリックスや楽天からも確かに打診はあった」(プロ野球関係者)

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死よりも、法外な検死料にビックリ

「親父が死んだんだ」
携帯に弟から電話があって、もちろん驚いたのだが、驚愕、はなかった。
82歳になって、アルコール依存から抜け出せず、正月に訪ねていっても、すでに酔って寝ているのがここ数年、常だった。
「お前は何か、最近書いているのか?」
そんな言葉を投げかけてきても、それ以上、会話が続かない。
もっと以前、健康だった頃だって、迷惑をかけられるばかりで、助けられたり励まされたりしたことは、ほとんどない。
父という者は、自分にはいない者、と、すでになっていた。

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