自殺騒動まで報じられた猪野直樹元都知事。都知事でなければ、「作家」のみの肩書きが残るが、もはや発注する人はいない。
町田の閑静な住宅街。「印税収入、年間3000万円」だという猪瀬邸では、主の姿をすっかり見ない、と近隣の中年が囁く。
「知事のころは、警備員つきでジョギングしている姿を見たが、例の5千万騒動のころから見ませんねえ。まあ、見かけても挨拶してくれるような人ではないけれど」
猪瀬直樹の目撃情報が途絶えた。「今は、知人の家に宿泊しているはずです。まあ、事務所には連絡とれますし、とくにこちらから用事もありませんしね」とかつての出版社の担当は冷たい態度をとる。

『もうひとつの憲法読本 新たな自由民権のために』【ブックレビュー】
現在の日本国憲法は、アメリカから与えられた憲法だ、と多くの日本人が思いこんでいる。
それに対して、GHQの干渉は受けているが、その土台は日本人が作った自主憲法であると実証的に述べているのが、佐藤雅彦著『もうひとつの憲法読本 新たな自由民権のために』(鹿砦社)だ。
土台となった憲法草案は、土佐の自由民権運動指導者、植木枝盛が1881年に起草した「東洋大日本国国憲按」である。
これを福島県相馬郡出身の鈴木安蔵という憲法学者が発掘。戦後、これを元に「憲法草案要綱」を発表、現在の日本国憲法の土台となっている。
袴田巌さんがあの日、「笑顔」だった理由
1966年に静岡県清水市(現静岡市清水区)で味噌製造会社の男性専務とその家族3人が惨殺された「袴田事件」。強盗殺人罪などに問われた元プロボクサーの袴田巌さん(77)は1980年に死刑判決が確定したが、世間では冤罪とみる人が多く、今春にも再審開始の可否が決まる見通しの第2次再審請求の行方に対する注目度が日増しに高まっている。
そんな袴田事件の初期報道を調べていたら、強く関心をひかれる新聞記事に出くわした。袴田さんがこの事件の容疑者として警察に連行された際、重大事件の容疑者らしからぬ「笑顔」だった様子を伝えた毎日新聞(縮刷版)1966年8月18日付け夕刊9面の記事である。
根は原発推進の民主党、細川陣営の足を引っ張るために応援に入った?
都知事選で、民主党は細川護煕を支持。民主党の支持母体である連合東京は、舛添要一を支持した。この、ねじれには、オヤッと思った人々も多いだろう。
人心が離れていくのをみて、民主党は原点に立ち返ったのかと感心した向きも少なくない。
だが、選挙が終わって流れているのは、民主党は細川陣営の足を引っ張るために選対に加わったのではないか、という情報だ。
桝添支持に傾いていた民主党は、細川出馬が決まると一夜にして、細川支持に変わった。
1月27日には、民主党の大畠章宏幹事長は、「暴走を始めた安倍政権に対峙していく戦いの一環だ。細川候補の勝利を勝ち取るために、協力をお願いします」と、党所属国会議員や都道府県連代表者らに檄を飛ばした。
ゴーストライター問題ではない、佐村河内守の一件
笑ってしまうのは、フィギュアスケ-トの高橋大輔がショートプログラムで滑った曲「ヴァイオリンのためのソナチネ」の作曲者とされていた佐村河内守氏が、「実は耳が聞こえていた」と週刊文春で新垣隆氏に暴露されてからのマスコミの対応だ。
他の雑誌やテレビ局関係者が、「耳が聞こえていると気がついていた」と言い出した。
ある意味すごいのは、「本誌が見抜いた佐村河内の嘘」という記事を載せた、2月10日発売のAERAだ。
昨年6月に佐村河内氏にインタビューした際に、彼は手話通訳が終わらないうちに答え始めたという。帰りのタクシーが着てインターホンが鳴ると、即座に立ち上がって「来ましたよ」と言ったという。
耳が聞こえていたことに気がついて、インタビューの掲載を見送ったというのだが、なぜその時に追求して記事にしないのか。そうすれば、週刊文春に先んじたスクープになったのに。自分たちのマヌケぶりを、わざわざ記事にしているのだから、驚く。
熱気に包まれたシンポジウム「労働組合は役に立つのか」
2月15日、「労働組合は役に立つのか」と題されたシンポジウムが、専修大学で行われた。
開会の挨拶に立ったのは、『労働貴族』(鹿砦社)でもインタビューに応じている、前田裕晤氏である。「いわゆる右派であっても、労働者に根を置くのそうでないのかで違う」と、戦後から現在まで、労働者の立場に立った労働運動を行ってきた中から掴み取った真理を、前田氏は語った。
労働・社会政策が専門の兵頭淳史氏(専修大教授)の司会で、石川源嗣氏(東部労組副委員長)、加瀬純二氏(下町ユニオン事務局長)、鳥井一平氏(全統一労組副委員長)、平賀雄次郎氏(全国一般なんぶ委員長)、松本耕三氏(全港湾書記長)、村山敏氏(神奈川シティユニオン委員長)が、それぞれの実践を語った。
中小、零細企業や非正規労働者、外国人労働者を対象に、地道な労働相談を積み重ねて、組合員を増やし運動を広げている。その中での苦労や工夫が具体的に述べられていく。
鳥取連続不審死事件の上田美由紀被告が面会室で見せた素顔
「弁護士の先生は一審も二審もよくやってくれました」
「鳥取刑務所でも松江刑務所でも職員の人達はすごく良くしてくれています」
筆者の取材経験上、無実を訴えながら有罪判決を受けた被告人は、無罪判決をとれなかった弁護士や自分を犯罪者扱いする拘置所・刑務所の職員たちへの不満を訴えることが少なくない。だが、彼女の場合、そういうことは一切ないばかりか、他者への感謝の思いばかりを口にする。ただ、それにしても、公判が終わって退廷する際、敵であるはずの検察官にまでお辞儀していたのは少々驚いた。本人はそのことを記憶していないというのだが……。
「裁判の時は緊張していたので……無意識のうちにお辞儀していたのかもしれませんね」
昨年12月、松江刑務所の面会室。マスコミが「西の毒婦」と呼んだ鳥取連続不審死事件の上田美由紀被告(40)はそう言って笑った。
ボクシング界からもマスコミからも見放された、亀田三兄弟
亀田ジムが追放されるという記者会見があるというので出かけてみた。ボクサーライセンスというのは、1年ごとに自動更新されるが、ジムを通して手続きされることもあり、ジムが消滅した状態で亀田3兄弟のライセンスも失効。国内での試合はできなくなり、ジムを移籍するか、海外に出るかしか亀田ジムの道はなくなった。
かつて、一世を風靡した亀田三兄弟だが、マスコミは少なく、40人程度。テレビはカメラのみで、レポーターは来てない。世間の関心はもはや稀少となっている。発端となったのは、日本ボクシングコミッション(JBC)が昨年12月にIBF世界スーパーフライ級王者亀田大毅(25)がIBF・WBA世界スーパーフライ級王座統一戦で負けて王座を保持した問題だ。ルールミーティングでは、『負けたら王座は空位』となっていたのだが、亀田は負けてから『負けても王座は防衛。IBFのルールにもそう書いてある』と主張した。
『錯乱の時代を生き抜く思想、未来を切り拓く言葉』で語る青木理【ブックレビュー】
『錯乱の時代を生き抜く思想、未来を切り拓く言葉 鈴木邦男ゼミin西宮報告集 Vol.3』(鹿砦社)を読んだ。あまりの内容の濃さに、どのように紹介したらいいか迷う。
登場するのは、上祐史浩、神田香織、湯浅誠、前田日明、青木理、内田樹。それぞれの世界で、極めて尖った活躍をされている方々ばかりだ。
これを1度に紹介すると、各人のプロフィールをただ並べるということになってしまう。
そこで、一人一人の章を紹介することにしたい。
同書は、2010年9月から鹿砦社ホームグラウンド・西宮で行われている「鈴木邦男ゼミin西宮」の2012年10月~2013年7月までの全6回を完全収録したものだ。
案内役となっているのが、鈴木邦男。新右翼「一水会」最高顧問だが、右翼という枠にとらわれない発言を行っている。
ジャーナリストの青木理と鈴木邦男との出会いは古く、20年ほど前。当時、公安部の担当だった青木は、公安部の一番ホットな監視対象であった鈴木に取材をしているのだ。
青木は公安部担当だった経験を生かして、『日本の公安警察』を著す。その興味深い成り立ちについては、同書を参照して欲しい。
労働者を締め付ける、労働派遣法改正案
「都民の生活を守る」「働きやすい環境づくりを」と、都知事選の候補者達が連日街頭演説を繰り返している1月末、労働派遣法の改正案が国会に提出される見込みとなった。厚生労働省の労働政策審議会が最終報告をまとめたからだ。
以前も少し書いたが、1つの業務を派遣社員に任せるのは、一部職種を除いて3年が上限とされていた。この改正案では1人の派遣社員は3年以上就業させられないことは変わらないが、会社は同じ業務に別の派遣社員を雇うことで、年数の上限無く派遣社員を使い続けられる。企業に優しく労働者には厳しいだけの改正案だが、昨年夏に意見が出されて以来、問題なく事が進んでいる。一般人からは反対意見ばかりが出ているのだが。