「吐血」で動き出した安倍年内終焉説──次期政権は「原発」で決断を迫られる?

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安倍首相が体調不良を原因として辞任するのは、もはや永田町界隈では常識だ。「週刊文春」で報じられた通り、安倍は東京ステーションホテルで吐血しており、この報道後、7月末にも吐血したようだ。「今度の吐血は、吐瀉物が半分で血液が半分。さすがに9月の総裁選までもつかどうか微妙になってきた」という全国紙記者の声も聞いた。

自民党が描くシナリオとはどんなものか。まず、現状では病状がどうあれ、病気を隠して9月に安倍が総裁選に出るのは、規定路線だ。「無投票だと『独裁だ』などと世間がうるさいから、賑やかしで野田聖子あたりを候補として出すのでしょうが、安倍が再選するのはもはや確定的ですよ」(全国紙政治部記者)

そこで、ここでは安倍が「もはや辞任しなければならないほど病状が悪い」としよう。自民党の複数の議員が「もう安倍は体がもたない」と言っているからだ。安倍は、当選して2ヶ月くらいは意地で首相をやるが、「体調不良」を理由に辞任、誰か息がかかった候補を推す「フィクサー」となるだろう。政局については、またご報告する。

◆次期総理が決断を迫られる「福島原発事故の核廃棄物処分」

さて、「原発問題」にとって「次の総理」の決定は大問題だ。まずは核廃棄物の問題。時事通信はこう伝える。

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地域振興の具体策、国に要請へ=指定廃棄物処理で―福島知事 8月23日付時事通信
東京電力福島第1原発事故で発生した福島県内の放射性物質を含む指定廃棄物を、民間の処分場(同県富岡町)で最終処分する計画をめぐり、同県の内堀雅雄知事は23日、県庁で地元の富岡、搬入路がある楢葉の両町長らと会談し、処分場の追加安全確保策や地域振興策の具体案などを提示するよう、国に要請する方針を決めた。月内にも政府に申し入れる。? 具体的には、(1)地元と結ぶ安全協定の内容(2)住民の不安緩和策(3)放射線量が低い地域に住宅などを集中させる復興拠点や、都市基盤の整備方針(4)地域振興のための交付金の規模―などを示すよう求める方針。? 内堀知事は会談後、記者団に「申し入れは計画受け入れを前提にしたものではない」と強調した。
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この富岡町では、住民たちと議論を尽くしていない。それだけでなく、「川内原発」の核廃棄物の処理の場所すら決まっていなく、固定廃棄物は敷地内の貯蔵庫にあるとされる。なお、低レベル放射性廃棄物(LLW)の処分は青森の低レベル放射性廃棄物埋設センターに集中して貯蔵することとしている。だが、これらの「放射性廃棄物」は安全なのだろうか。

たとえば火山噴火とリンクして廃棄物になんらかの「化学変化」という名の「事故」があったらどうするつもりなのか。青森とて、中間処理施設であり、最終処分場ではない。フィンランドの地下最終核処分場「オンカロ」のように、10万年後の人類に責任を押しつけるようなやりかたを、日本人はとれない。地震大国だから地下が危険に満ちているからだ。

◆不可欠なゼロベースでの「エネルギーミックス」再考

さあて、「次の総理」が、もうゼロベースから考えていただきたいのが、「エネルギーミックス」の問題だ。

ある番組でノー天気な女性ジャーナリストが「この夏がこんなに暑いのは火力発電の比率が多いからだ。火力発電に切り替えても、火力発電には火力発電の危うさがある」とコメントしていた。案外、こういう厚顔無恥な人は多いのではないだろうか。火力には確かに問題はあるだろう。だが、そうしたコメントには「原発に比べると」という枕詞が欠落している。
2030年度には、原発を10~11%に下げると経済産業省はアナウンスしている。(http://www.meti.go.jp/press/2015/07/20150716004/20150716004_2.pdf

経済産業省よ! いいか、原発をすぐにゼロにせよ。

放射能で健康になった人がいるのだろうか。原発の放射能汚染で不健康になった人はいるが。

そして今、脱原発の問題は、「前の内閣がそうしたから」として議論がまた棚上げになるのだろうか。

「次の首相」にもの申す。すぐに原発をやめて、原発の輸出もストップせよ。
あなたは、放射能だらけのフィンランドの「オンカロ」で子供を育てられるだろうか。棚あげにされるであろう原発問題には、当然、僕から見て3つめの問題「原発をなくしたら経済をどうする」という問題が残っていると思うが、これについては、また別の回でレポートしよう。

(小林俊之)

◎原発・基地・戦争=「犠牲のシステム」を解体せよ!「NO NUKES voice」05号発売!
◎731部隊を隠蔽し続ける米日の密約──近藤昭二さん講演報告
◎警察が「ぼったくり」を刑事事件化したことでヤクザのさらなる地下潜行が始まる
◎「工藤會壊滅ありき」で福岡県警が強引に人権を無視し続ける邪な理由

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相模原でも「犠牲のシステム」!──米軍施設爆発火災の赤裸々な日米「従属」同盟

8月24日午前0時50分頃、相模原市の米軍関連施設「相模総合補給廠」で起きた爆発火災事故──。事故直後の報道によれば、「米軍側の規制のため警察や消防は出火現場に近づけず」現場近くに消防車と救急車が計13台が出動したものの放水活動さえできなかったという。その後の経過情報に関しても、24日13時時点では詳細な情報が見当たらない。


◎[参考動画]相模原市米軍基地爆発(2015年8月24日mo si氏公開)


◎[参考動画]相模原・米陸軍総合補給廠で爆発火災(神奈川新聞@カナロコ2015年08月24日公開)

そこで相模原市消防署へ電話取材を行った。同消防署総務課の吉平(よしひら)氏が対応をしてくれた。

・怪我人はいないか
・相模原消防署による消火活動は行われたのか
・鎮火したか
・事故の検証は消防や警察が行うのか

を尋ねた。吉平氏によると「怪我人の報告は入っていない。詳細はわからないが相模原消防署による消火活動は行われた。現在は鎮火したと思われる。出火原因の検証などは火災現場が米軍敷地内なので、消防・警察ではなく米軍が行うことになる」そうだ。

◆沖縄であろうと首都圏であろうと、米軍基地内に手出しができない日本政府

196ヘクタールという広い敷地ながら、相模原市の住宅街に隣接する場所に位置する米軍施設内での火災(爆発?)にしては、あまりにも情報や報道が少なすぎる。そして周辺住民は不安で不安で仕方がないのではないだろうか。原因が公表されなければ、今後また同様な、いやそれ以上の火災や爆発が起こるのではないか、と心配になるのは自然な心理だ。(2015年8月24日付朝日新聞

事故原因の検証や究明が日本の行政機関によって行われないことは、相模原消防署に電話取材する前から解りきっていたが、敢えて質問をぶつけてみた。沖縄であろうが、本州であろうが米軍基地は米軍基地。その敷地内で火災や事故、爆発や核兵器の誤爆があっても、日本政府は何の手出しも出来はしないし、多くの事実が隠される。

◆日本の私有地でも米軍ヘリが墜落した現場を日本の警察は捜査できない

基地の中だけではない。2004年8月13日沖縄国際大学という明白な日本の私有地に米軍ヘリが墜落した時でさえ、初期消火以外、日本の警察は捜査に手を出す事すら許されなかった。(2015年8月14日付琉球新報

世の関心は、辺野古の基地建設問題だけに関心が集中しがちな傾向が見られる。相模原米軍基地爆発事件が示すことは、言わずもがな「米軍基地内は日本の治外法権」であるばかりでなく、周辺住民に危険が及ぶ可能性がある事故が発生しても、その実態や情報すら、日本の行政機関(いわんやマスメディア)は掴むことが出来ないという現実だ。

こういった米国と日本の関係を「主従関係」という。

日本政府は米国を「同盟関係」の国だというが、それは明らかな誤りだ。米国内で米国行政機関が強制的に立ち入ることができない「日本政府」が占有する場所は、日本大使館と日本領事館だけだ。日本は「軍隊」は持っていない(防衛省見解)から米国に日本軍基地が存在する根拠はないが、「対等な日米関係」というならば、この島国が差し出しているのと同等、もしくは等価の土地提供を日本政府は米国に行うべきだ。「対等」とはそういう実践があって初めて使える言葉だろう。しかしそのような要求は過去になされた実績はないし、未来においてもほぼ可能性はゼロに近いだろう。

◆最も身近な「戦争」の破片は米軍基地の中に眠っている

米軍基地などこの島国のどこにも必要ない。

「集団的自衛権反対」、「戦争推進法案反対」、「戦争反対」であれば、その延長戦上に「日米安保破棄」が自然に浮かび上がって来るはずだ。最も身近な「戦争」の破片は米軍基地の中に眠っている。

嘉手納基地やキャンプハンセンなど無数の基地を抱える沖縄。かつては「基地がないと経済が成り立たない」という理屈が人々を押さえつけていたけれども、美しい海・自然という人間の手では創造することが出来ない貴重な天然資源が、観光業だけで充分沖縄が自立できることを証明し、今や「基地がなければ・・・」などと言う人はごく少数派となった。

◆基地も原発も「止めるメリット」は「存在を許すメリット」よりも大きい

やってみればわかる。やらないだけだが「原発廃炉」も全く構造は同じだ。

基地があることを認めていた人たちは「経済的」理由のみによって基地の存在を肯定していた。「経済的」なうまみが無くなれば、基地は騒音を毎日振りまき、航空機やヘリコプター落下の危険性をはらむ厄介者。そして米国が戦争を起こすたびにいつ標的にされてもおかしくない存在だ。これほど危険なものはない。ただの邪魔者だ。

原発だって「再稼働したら町が活性化した」というタクシー運転手のコメントなどを新聞は紹介しているけれども、彼らには福島第一原発事故が起こったことの記憶がないのだろうか。川内原発では早速の動作トラブルが起きている。事故が怖くないのか。いつまでも「経済」、「経済」と言っているうちに事故は必ずまた起こる。目の前のちょっとした「経済」と多額の補助金中毒になった人たちは住家を失う。

馬鹿げたことはもう止めよう。原発を廃炉にしたって誰もいなくなるわけではない。「廃炉作業」が待っている。「廃炉作業」は2,3ヵ月で終わるものではない。でも廃炉にすれば永遠に「原発事故の脅威」から抜け出すことが出来る。

基地も原発も同じだ。止められる。止めるメリットは存在するメリットと比較にならない。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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◎フジサンケイ「育鵬社」公民・歴史教科書の採択拡大で子供の臣民化がはじまる
◎『火垂るの墓』から考える──住み慣れた街に戦火が襲い、家族を失うということ

するな戦争!止めろ再稼働!『NO NUKES voice vol.5』創刊1周年記念特別号8月25日発売!

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原発・基地・戦争=「犠牲のシステム」を解体せよ!「NO NUKES voice」5号発売!

するな戦争!止めろ再稼働!『NO NUKES voice vol.5』創刊1周年記念特別号8月25日発売!

酷暑は峠をこえたようですが、近い日本の将来を重大に左右する「安保関連法案」の審議が連日参議院で行われています。

また、さる11日には九州電力川内原発1号機が多くの人の反対にもかかわらず再稼働されてしましました。川内原発再稼働を待っていたように桜島周辺地下のマグマが地上に向かって動き出し、桜島には警戒情報レベル「4」が史上初めて出されました。桜島と川内原発の直線距離は50キロです。火山に詳しい専門家は「桜島で最大級の噴火が起こった場合、関西地方でも5センチ程度の火山灰が積もるかもしれない」と警告をしています。

はるかに離れた関西で5センチならば、至近距離の川内原発には一体どのくらいの火山灰が降り注ぐのでしょうか。また、川内原発では運転開始後、排水系統に異常が発生し、九州電力は出力を上げる予定を当初の計画から延期しています。

本当に原発は不安だらけです。

だから黙ってはいられない!

昨年鹿砦社が発刊した「NO NUKES voice」の第5号(創刊一周年記念特別号)が出来上がりました。

脱原発・反原発を中心に「採算を度外視しても」(編集長)も果たさなければならない役割を指向してきた同誌ですが、今号は間違いなく日本の言論界で脱原発・反原発の「エポックメーキング」となる怒涛の迫力です。

◆総力特集「福島―沖縄 犠牲のシステム」は渾身の6本立て50ページ!

第5号のテーマは「福島―沖縄犠牲のシステム」。野球に例えれば、真正面ど真ん中への直球ストレート連投です。変化球は一切ありません。本文は東大の高橋哲哉先生と映画監督三上智恵さんの対談で幕を開けますが、この「対談」の緊張感と真剣勝負は読んでいても火花が散っていて、読者までがやけどをしそうです。目指すゴールは同じでも少し考えの異なるお二人。その妥協なき「討論」(闘論)は、どなたにとっても一読の価値ありです。思想を戦わすということの「凄み」を体験できる貴重な対談です。

そして、日本を代表するフォトジャーナリスト広河隆一さんのインタビューが続きます。チェルノブイリに50回以上の取材を重ね、福島第一原発事故翌日には福島に入り、原発近くでの取材を行った広河さん。お話のテーマは「加害者は必ず被害を隠す」です。チェルノブイリ原発事故で起こった事と福島事故後に起こったこと、その対比から見えてくる意外な共通点と相違点は現地で長年取材を重ね、あわせて救援運動にも積極的に関わった広河さんにしか語りえない内容でしょう。広河さんの奥行きの深い視点は、チェルノブイリから福島、そして沖縄へと広がります。沖縄に保養施設「球美(くみ)の里」を設立した広河さんの熱意が誌面から発露され、その意思と行動は読者を圧倒するでしょう。

次いで共に元知事である沖縄の大田昌秀さんと福島の佐藤栄佐久さんによる超大物対談です。お互いが意外なほどに福島、沖縄とのかかわりがあったことがお話の中で明らかになります。和やかな語り口ながら日本政府と闘って沖縄を背負った大田さんと、政府の原発政策に苦言を呈したために「冤罪」同然の弾圧を受けた佐藤さんの対談は「NO NUKES voice」だから実現できた夢の対談です。


◎[参考動画]衆院安保法制特別委員会─沖縄地方参考人会での大田昌秀元沖縄県知事の意見陳述 (2015年7月6日那覇市:10分)


◎[参考動画]佐藤栄佐久元福島県知事講演「原発問題と地方の論理」(2015年5月10日和歌山市:92分)

巻頭3本の特集記事だけでも、誇張なく「永久保存版」の価値ありです。その他沖縄からの視点で震災に向き合う蟻塚亮二さん(精神科医)や逆に茨城県から沖縄に自主避難した久保田美奈穂さんのお話は沖縄と福島(福島事故)を交互の視点で見直すのに最上の教材でしょう。GE(ゼネラル・エレクトリック)社の技術者として福島第一原発の建設に関わった名嘉幸照さんは沖縄のご出身です。「二つの故郷原発技術者の『福島』『沖縄』」を語って頂いています。文字通り「福島―沖縄 犠牲のシステム」に翻弄されたご自身の一代記です。

◆原発推進〈戦犯〉直撃取材は八木誠=関西電力社長兼電事連会長!

そして鹿砦社といえば、名物直撃取材です。今回は八木誠=関西電力社長兼電事連会長が「ターゲット」です。果たして戦果は如何に?

◆小出裕章さんの最新講義録から全国各地の脱原発報告まで総力網羅!

更に贅沢なことに、今年3月で京都大学原子炉実験所を定年退職された小出裕章さんの登場です。退職後唯一非常勤講師を引き受けた関西大学で行われた講義の1回分、90分を全文掲載! 大学生を相手に、いつになく熱を込めて語る迫力満点の小出さん。終盤の衝撃的な内容は本誌でしか目にすることが出来ないでしょう。

他にも注目記事が満載です。福島事故の避難者加藤凛さん、第三次原発賠償関西訴原告の石塚路世さん、トルコ現地で原発反対運動を取材・研究した森山拓也さんの各報告は、ほとんどの読者には初めての目にする内容ではないでしょうか。

本誌常連の元博報堂の本間龍さん、納谷正基さんには引き続き思いを語って頂いています。こちらも重鎮、経産省前テント広場の淵上太郎さんはテントひろばの物語に加えて、国から提訴され争っている裁判を東京高裁口頭弁論陳述書の要旨を紹介しながら解説していただきました。その他全国各地の運動情報も満載。細かくは紹介しきれません。

総ページ数は176頁。これまでの「NO NUKES voice」と厚みが違います。質も量もです。今この内容の雑誌を出せる出版社があるでしょうか。宝島?無理です。岩波書店?無理です。週刊金曜日?無理です。だから鹿砦社がやるのです!

僭越ながら、今、脱原発・反原発ではこれ以上の内容はない!と鹿砦社は自信をもって世にその評価を委ねます。巻頭秋山理央さんの写真から、編集後記まで緊張感が途切れることがありません。

秋の気配が感じられるようになりましたが、熱の充満した「NO NUKES voice」5号(創刊1周年記念号)は文字通り「必読」です。今すぐ書店へ! (伊藤太郎)

『NO NUKES voice vol.5』──『紙の爆弾』2015年9月号増刊

2015年08月25日発売 定価680円[本体630円+税]
A5判/176ページ(巻頭カラー8ページ+本文168ページ)
NO WAR! ?NO NUKES!
戦後70年の2015年夏、するな戦争!止めろ再稼働!
戦後70年の夏を迎えた日本は、4年ぶりの原発再稼働と安保法案成立に抗う「新たな闘い」が始まった。
福島の復興、復旧も進まない中での原発再稼働、沖縄が日米両政府の意向に翻弄され続けての「戦争法案」
そこに共通するものとは何か。「犠牲のシステム」としての福島と沖縄が孕む根本的問題を暴く!
総力特集「福島─沖縄 犠牲のシステム」では高橋哲哉・東大教授と、
映画『標的の村』、『戦場ぬ止み』で話題の三上智恵監督による対談、
世界の最前線から真実を伝えるフォトジャーナリスト広河隆一さん(DAYS JAPAN)が語る原発事故の実態、
大田昌秀元沖縄県知事と佐藤栄佐久元福島県知事による基地、原発立地県の「闘う知事」対談をお届けします。
また、本誌特別取材班による八木誠関電社長への直撃ルポや、
原発とメディアの「不適切な関係」を暴き続ける作家・本間龍さんの連載といった“トガった”トピックや、
川内原発再稼働反対をはじめとした全国の最新運動情報も掲載!
世代、地域を超えて「新たな脱原発情報ネットワーク」の構築を試みる『NO NUKES voice』にご期待ください!

【主な目次】
《表紙・巻頭グラビア》ALL STOOD STILL Vol.5 『ローカルアイテム─プラカードと横断幕』
秋山理央(フォトジャーナリスト)

《総力特集》福島─沖縄 犠牲のシステム

フクシマ─オキナワ「犠牲のシステム」を超える加害責任の共有
高橋哲哉さん(東大教授)vs三上智恵さん(映画監督)

加害者は必ず被害を隠す 原発事故の実態──チェルノブイリから福島へ
広河隆一さん(フォトジャーナリスト)

基地、原発─「闘う知事」は語る
大田昌秀さん(元沖縄県知事)vs佐藤栄佐久さん(元福島県知事)

《講義録》核と原子力、そして人間の幸福──科学者の目、科学者の願い
小出裕章さん(元京都大学原子炉実験所助教)

《各地の原発再稼働阻止活動情報》
東京での九電東京支社抗議をはじめ、川内、高浜、伊方、志賀、玄海の各原発をめぐる再稼働阻止運動レポート

《全国からのレポート》
本間龍さん(作家) 原発プロパガンダとは何か? 第三回 福島民報・福島民友(二)
山崎久隆さん(たんぽぽ舎) 巨大なリスクを抱えたままの福島第一原発の止まらない汚染
淵上太郎さん(経産省前テントひろば) 経産省前テントひろばの実態とは何か─東京高裁高等弁論陳述書要旨
松浦寛さん(FB憲法九条の会) 脱原発から護憲運動へ
首都圏反原発連合 MCAN activity now! 首都圏反原発連合中央放送誌面版
……and more!

するな戦争!止めろ再稼働!『NO NUKES voice vol.5』創刊1周年記念特別号が8月25日発売開始!

《誤報ハンター04》『週刊女性』の幼稚なミス発見。週刊誌の劣化が始まる!

週刊誌の劣化が始まっている。
1年前に『週刊ポスト』が『週刊朝日』や『サンデー毎日』の東大合格者のデータを転用して謝罪記事を出したときは「終わりの始まり」だと思ったが、意外にも事態はもっと深刻のようだ。

これはもう、あいた口がふさがらないどころか、あんぐりあきすぎて口裂け女になってしまいそうだ。『週刊女性』8月11日号の「櫻井翔のパパは5000人以上の部下を持つ官僚のトップ」という記事が今回の「ターゲット」だ。この記事は、ジャニーズの「嵐」で人気を集める、櫻井翔の父がついに総務省とトップの事務次官にのぼりつめたことにひっかけて、『櫻井翔の弟は慶応義塾大学のラグビー部で活躍』さらに記事によると『母・陽子さんはお茶の水女子大学出身で、現在は駒澤大学文学部の教授』と記述がある。

『週刊女性』8月11日号「櫻井翔のパパは5000人以上の部下を持つ官僚のトップ」

実はこの部分が大きな「誤報」である。なぜなら、『フライデー』でも同じく5月15日・22日の合併号で、『5人全員エリート! 『嵐』櫻井くん一家は本当にスゴイ!』という見出しの記事で、同じくこう「誤記」した。『そんな次官候補(編集部注:櫻井翔の父、俊氏のこと)を支える妻の陽子氏もスゴイ。お茶の水女子大卒で、駒澤大学の文学部教授だ。日本の中世文学を専門とし、平家物語など軍記物語に関する複数の著作もある。学生からの人気も上々。俊氏が大反対していた翔の芸能界入りをフォローし、実現させるなどの柔軟性もある。』と。

『フライデー』5月15日-22日合併号
『フライデー』5月15日-22日合併号「5人全員エリート! 『嵐』櫻井くん一家は本当にスゴイ!」

そして『フライデー』は、櫻井翔の母親が、まったく別人だとして「お詫びと訂正」をホームページ『フライデーデジタル』に出す。にもかかわらず、『週刊女性』はなぜまったく同じ誤記をしたのか。これには3つ考えらえる。

1. 『フライデーデジタル』のお詫びと訂正を『週刊女性』の編集者が見ていない。
2. 『フライデーデジタル』のお詫びと訂正が出たが、『週刊女性』の入校タイミングでは編集チェックがまにあわなかった。
3. 『フライデーデジタル』のお詫びと訂正を見たが、『週刊女性』編集部としてはこの事実を忘れた。

まあ、いずれにしても、編集部としては「世紀の凡ミス」だろう。
駒沢大学に『貴大学の櫻井陽子教授は、櫻井翔の母親か』と聞いてみたが「そうですとも違いますともいえません、プライベートですから」と繰り返すのみ。
また、ジャニーズ事務所に『櫻井翔の母親が駒沢大学の教授というのは本当ですか』と聞くと「その件については、『フライデー』が訂正記事を出しているから、それがすべてです」と話す。櫻井陽子教授あてに「あなたは櫻井翔の母親なんですか」と質問状を送ったが、返答は期限の8月14日までに来なかった。こんなアホな取材、時間をかけてはいられない。

まあ、記者としては、ミスはだれにでもあるから、しかたがないとしても、『櫻井翔氏の母親として紹介した駒澤大学文学部の教授の女性は、櫻井家とはまったく関係のない第三者でした。ご本人、関係者の方々にご迷惑をおかけしたことをお詫びし、訂正いたします』という『フライデーデジタル』の記事を仮に見逃したとするなら、「週刊女性」の編集者よ! あんたたちは、恥を知ったほうがいい。

この記事については、書いた記者がニコニコ動画で発売されたあとに関係者にお詫びをしたのが確認できた。実に立派な態度である。
ところが、肝心の『週刊女性』編集部は、お詫びも訂正もする気がないようだ。
「ちょうどお盆休みで合併号が出て、お詫びのタイミングがなかったのでしょう。まあ、よくとればですけどね」(契約記者)
『週刊女性』は週刊誌では、ジャニーズを叩くことができる稀少な媒体だけに、編集部にもがんばっていただきたいものだ。

そうした中で、悲しいニュースが入った。なんと『宝島』が休刊するという。産経オンラインはこう伝える。

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1974年創刊の月刊「宝島」が休刊 「キューティ」も (2015年7月29日付産経ニュース)

宝島社は29日、昭和49年創刊の月刊総合情報誌「宝島」と、平成元年創刊の女性ファッション誌「CUTiE(キューティ)」を休刊すると発表した。「宝島」は8月25日発売の10月号、「CUTiE」は8月11日発売の9月号が最後となる。
創刊初期の「宝島」には評論家の植草甚一さんらが編集に携わり、若者文化やサブカルチャーを牽引(けんいん)。近年はビジネス情報を強化するなどして刊行を続けてきた。「CUTiE」は、ストリートファッションブームの火付け役となった。
2誌ともに近年は部数が低迷しており、宝島社は「時代の気分をとらえて新しい価値観を提供してきたが、定期雑誌という形での役割を終えた」と理由を説明している。
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『宝島』が月刊から「週刊」になった頃、ほかの週刊誌に対抗するために、さまざまな切り口の企画を考えた。このことは、今も、私が何か記事や書籍を作るときの肥やしになっている。そして、今は亡き名編集長、種氏にもお世話になった。今、自分にできるのは、『宝島』が教えてくれたスキルを十分に活かして記事を作ることだけである。ただし、『週刊女性』のように「記事の間違いの訂正と謝罪」を記者に丸投げする編集部とは仕事をしたくないが、多くの記者は同じ気持ちだろう。 (鈴木雅久)

◎《誤報ハンター03》「テロの危機」煽れば増える「警備利権」と警察天下り
◎《誤報ハンター02》誤報の横綱『週刊大衆』よ、白鵬はまだまだ引退しない!
◎《誤報ハンター01》芸能リポーターらが外しまくる「福山雅治」の結婚報道

「脱原発」であらゆる世代、地域を繋ぐ『NO NUKES voice』第5号は8月25日発売!《総力特集》は福島─沖縄 犠牲のシステム!

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諸外国に『響かない』談話を残し、安倍総理が辞職する日

去る8月14日、終戦70周年を前に安倍晋三首相が談話を発表した。日本国内ではテレビ放送が中断し、翌日の新聞も安倍談話に塗りつぶされた。

では、海外の反応はどうだろうか。外務省に登録されている各国在日大使館の発表、ニュースを調べてみた。言うなれば正式発表である(台湾を除く)。外報や日本のメディアとはかなり印象の異なる扱いとなっている。

安倍談話について直接取り上げている国は、オーストラリア、中国、イギリス、そして台湾の四国であった。中国のみは「厳粛な立場を取る」と表明しているが、他三国は「歓迎」であり、おおむね好評である。

他に日本関連でもっとも多かった話題が広島、長崎に関する話題でギリシャ、フィンランド、ブラジル、アメリカ、EUが何らかの形で核廃絶を訴えている。

70年談話を発表する安倍晋三首相(2015年8月14日)

他に日本と関係の深い国の最新情報を列挙すると、韓国は8月12日付けで「安倍談話に期待する」と言う意味の文章を掲載していたが、18日には削除され「光復節」(独立記念日)が最新の情報となっている。

インドネシアは最終更新が4月で日本とは無関係である。インド、最新記述は独立記念日に関するものであったが、トップページ写真は安倍首相とインド政府要人のツーショットである。マレーシア、最新は2015年の日本公立高校への留学生入学情況。ロシア、最終更新5月で大祖国戦争終結70周年。タイ王国、8月6日、大使館付き運転手募集とタイビールフェスティバル。ベトナム、2014年6月更新、中国石油掘削リグ問題、フィリピン、8月10日セネガル大統領がフィリピン来訪、となっている。

大使館の業務は駐留国に対する意思表示であるが、同時に入国証明発行、在日邦人へのサポートが大きなウェイトを占める。極端な場合、大使館HPが観光案内所となっているケースも珍しくない。となると、日本での出来事より、自国のニュースを公表するのが最優先なのだろう。

それにしても、安倍首相がこんなにあつく談話を語っているのに「語らせられている」という使役動詞を使わざるを得ないのはなぜだろうか。たとえば産経ニュースはこう伝える。

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中国外務省「いかなるごまかしもすべきではない」と批判 韓国メディアは「過去形謝罪」と報道

(産経ニュース)

【北京=川越一】中国外務省の華春瑩報道官は14日、安倍晋三首相の戦後70年談話について、「日本は当然、戦争責任を明確に説明し、被害国の人民に誠実に謝罪し、軍国主義の侵略の歴史を切断すべきだ。この重大な原則問題についていかなるごまかしもすべきではない」と批判する談話を出した。

華報道官は談話の中で、張業遂筆頭外務次官が同日、木寺昌人駐中国大使に中国側の厳正な立場を伝えたと明らかにした。

また、中国国営新華社通信(英語版)は同日、安倍首相が、日本の「侵略」「植民地支配」については直接触れず、一般論にとどめたことに不満を示し、「未来の世代は、大戦中の残虐行為について謝罪を続ける必要はないと付け加えた」と反発をにじませた。

中国共産党系の国際情報紙、環球時報(電子版)は、安倍首相が侵略を受けた国・地域に対する「お詫び」に言及した中で、「中国」が最後に列挙されたことや、これとは別に「台湾」が個別に言及されたことにも、不快感を示した。
————————————————————————————————————————————————–

「お詫び」をする順番が最後だからと文句を言うメンタリティもまたものすごく幼稚だし、台湾を個別に言ってなぜ悪いのか、という突っ込みどころはあると思うが、要するに、一国の首相がスピーチライターに発注しているから「談話」も伝わらないのだろう。

「どうしようもない国の、どうしようもない政治家」と、福島の原発事故に対処した今は亡き吉田所長は言った。あまりにも諸国の心に『響かない』談話を残してかの総理は、「紙の爆弾」などを読むと、どうも辞職しそうな雰囲気だ。つぎの総理こそまともな談話をお願いしたい。

◎[参考動画]安倍晋三 70年談話【全24分】

▼ハイセーヤスダ(編集者&ライター)

テレビ製作会社、編集プロダクション、出版社勤務を経て、現在に至る。週刊誌のデータマン、コンテンツ制作、著述業、落語の原作、官能小説、AV寸評、広告製作とマルチに活躍。座右の銘は「思いたったが吉日」。格闘技通信ブログ「拳論!」の管理人。

◎政治家の無知を世界中にさらす? 国会のPKO派遣法論議
◎セガサミー会長宅銃撃事件で囁かれる安倍自民「カジノ利権」日米闇社会抗争
◎川崎中1殺害事件の基層──関東連合を彷彿させる首都圏郊外「半グレ」文化

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愛国者たちはなぜ「対米売国」血脈の安倍政権にNOと言えないのか?

「お盆休戦」が明け「戦争推進法案」の参議院での審議が再開された。その中でこの法案群だけでなく、米国による日本支配の本質を看破した質問が行われた。質問者は山本太郎議員。8月19日の参議院特別委員会で岸田外相、中谷防衛相を相手に、「TPP、特定秘密保護法、武器輸出三原則の廃止、集団的自衛権発動、原発再稼働」の全てが「アーミテージ・ナイ・レポート」によるものである事を指摘し、「これだけ宗主国様に尽くしておいて、盗聴までされて、それが他の国々で共有されていて、間抜けとしか言いようがない。いつまで没落ま近な大国のコバンザメを続けるのかっていうことですよ、いつ植民地を止めるんだ、と言う話ですよ!」と言い放った。


◎[参考動画]2015年8月19日参議院安保法制特別委員会での山本太郎参院議員による一般質疑【午前と午後=約31分】

山本太郎「生活の党と山本太郎となかまたち」共同代表(2015年8月19日参議院)

私は国家を信用しない。あらゆる国家を信用しない。「もっとも幸いな場合でも国家は災いである」という先人の言葉に長年共感を抱く人間だ。だから「理想の国家」はおろか「よりましな国家」にすら期待はしていない。でも私が移住でもしなければ、死ぬまで暮らす事になるこの島国を支配する「国家」は、完全な「思考停止」に陥っている。「もっとも幸いな場合」の真逆、「もっとも不幸かつ無能な国家」により、災禍を強いられ、更には戦争まで強要されようとしている。

◎[参考資料]「今回の安保法案は、第3次アーミテージ・ナイ・レポートの完コピだ!」2015年08月20日(山本太郎HPより)

自民党や維新の連中は「自主憲法」を制定し、「普通の国」になって、核兵器を持ち国連安保理入りをしたかったんじゃなかったのか。日の丸を振って、天皇陛下万歳で時代錯誤な「富国強兵」を再度夢見ていたんじゃないのか。アジアを蔑視して、中国・朝鮮を仮想敵国に仕立て上げ、隙あらばまたぞろ「祖国防衛」を錦の御旗に100年前の繰り返し、「侵略戦争」がしたかったんじゃないのか。

しかし、私が想像する政権与党の腹の中とは裏腹に、彼らは完全に米国の「奴隷」としてのみ国民を騙し、その財産資産、安全までを差し出していることをこの答弁は余すことなく暴いている。与党席からのヤジは皆無だ。何故か?指摘されている事柄が事実ばかりだからだ。

このような「無思考植民地状態」を強化しようとする政権に、保守や右翼と言う立場の方々は怒りを覚えないのだろうか。実は私にとって政治や、国家などはどうでもよい。本音を語れば考えたくもない対象だ。でも「国を愛する」人々にはそういうわけにはいかないだろう。「売国奴」という言葉がある。嫌いな言葉の一つだが、「アメリカの要請」を安全保障(戦争推進)法案が必要になった理由の1つとして答弁を続ける安倍をはじめとした岸田や中谷の頭の中はどうなっているのだ。こいつら以上の「売国奴」がいるだろうか。

◎[参考資料]「政府が集団的自衛権行使容認のよりどころとする砂川判決こそ、米国からの指示だった!」2015年08月20日(山本太郎HPより)

◆安倍一族が受け継ぐ「米国の間諜」という血脈

安倍の祖父、岸信介は満州国で辣腕を振るい、対米戦争時にも重要な役割果たした、商工大臣であったことは良く知られている。岸は学生時代にはマルクスにも目を通していたらしいが、今ある思い付きがふと頭をよぎった。

この一族は代々「間諜(かんちょう)」ではないのか。

間諜というのは解りやすく言えば「スパイ」だ。諜報機関の優れたスパイはどのような組織にも入り込み、その中で指導的な役割まで果たしてゆく。革命や政変が起これば、元所属していた諜報機関を見切ってでも、潜りこんでいる組織の中で生き延び、また新たな間諜としての役割を帯びる。あのロシア革命だって帝政ロシアのスパイがそのまま革命を乗り切り生涯を全うしているじゃないか。

岸=安倍ラインは100年来米国のスパイではないのか。そう考えると連中の行動が全て綺麗に整理して並べることが出来る。

◆建国以来、他国を侵略し、富を奪い続ける米国

米国というのはその時の政権が打ち出す政策を「額面通り」に受け取ってはいけないややこしい性質を持つ。この文章の最初に登場した「アーミテージ」は共和党政権時代の国務長官だが、民主党オバマ政権下でも実力は変わらない。「人権外交」と言う耳触りの良い政策を掲げたジミー・カーターやニクソン政権時代に国務長官を勤め、ベトナム戦争時代から暗躍を続けるヘンリー・キッシンジャーが未だに政権に影響力を持つ、魑魅魍魎の溢れる国だ。大統領がオバマあろうが、ブッシュであろうが、ケネディーであろうが、実は大きな意味はなく彼らは単なる「象徴」に過ぎない。

多国籍企業との結託により、確立された利権、それも時には戦争すら引き起こすほどの財力と政治力が絡み合い暗闘と妥協を続けているのが米国政治の実態だ。4年に一度行われる大統領選挙は、壮大な「お祭り」であって、政策の本質的な転換や米国の「覇権主義破棄」を標榜する候補者など間違っても大統領に就任できないシステムだ。

米国は建国以来常に国内外で侵略を続けることにより国力を維持し強化を図ってきた国だ。僅か200年余りの歴史の中で「侵略して奪い儲け」ないと国が立ち行かない形を作り上げてしまった。

要するに「泥棒国家」なのだ。

「泥棒」という行為はどの国家にも通底する性質ではあるが、特にその色が濃く、それを除けばあとはハリウッドのエンターテインメント位しか残る物はない、というのが米国の本質だと私は考える。

そんな米国への追従はもう十分に果たしていると思うが、まだ足らないらしい。
「間諜」一族の暗躍はどこまで続くのだろうか。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

◎フジサンケイ「育鵬社」公民・歴史教科書の採択拡大で子供の臣民化がはじまる
◎決起する若者たち──8月27日、4人の学生が安倍退陣を求めてハンスト闘争へ!
◎安保法案強行採決!「大きな嘘」で日本政治をレイプしまくる安倍話法の本心

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フジサンケイ「育鵬社」公民・歴史教科書の採択拡大で子供の臣民化がはじまる

「育鵬社」と目にしてもこの会社の性質をすぐに理解出来る人は少ないだろう。一方「新しい歴史教科書をつくる会」(以下「つくる会」)という名前はある程度の年齢の方なら耳にしたことがあるのではないだろうか。「つくる会」は1996年に藤岡信勝や西尾幹二が中心となり結成された「自虐史観を見直す」教科書を広めることを目的とした団体だった。西部邁、小林よしのりや大月隆寛なども名を列ね「歴史改竄」の一大運動として様々な出版物を発行した。

当時書店に行けば「つくる会」による「教科書が教えない歴史」や西尾の「国民の歴史」が平積みにされており「これはヤバイ時代になったぞ」と嫌な気分を感じた事を思い出す。

◆「つくる会」とフジサンケイ「育鵬社」の対立

「つくる会」は念願の歴史と公民の教科書を作成し2001年に文科省の検定にも合格し「新しい歴史教科書」と「新しい公民教科書」が誕生した。しかし派手なパフォーマンスと関連書籍の売れ行きの割には教育現場での採択が進まず1%にも満たなかったため、「つくる会」を全面バックアップしていたフジ・サンケイグループは独自に「育鵬社」という新たな出版社を立ち上げそこから「新しい日本の歴史」、「新しいみんなの公民」を出版し始める。

「つくる会」内部では発足当初より彼らが口汚く罵る「左翼の内ゲバ」以上の「内紛」続きで立ち上げメンバーの西尾幹二をはじめ、小林よしのり、西部邁ら多数が途中で会を離脱した。また会長職を巡っての紛争が絶えることなく離脱者が後を絶たなかった。そんな内部事情に直面し「こりゃアカンわ」とフジ・サンケイグループは判断したのだろうか「育鵬社」から実質的には「つくる会」が作成した「新しい歴史教科書」、「新しい公民教科書」とほぼ同じ内容で「新しい日本の歴史」、「新しいみんなの公民」を世に出した。

でも「つくる会」としては面白いはずがない。「著作権は『つくる会』にあり」と「育鵬社」との間で何度か折衝がもたれたものの「育鵬社」は折れなかった。

「つくる会」のHPには「育鵬社盗作問題の交渉及び全経過」というタグがあり両者がどのように交渉を行ってきたが細かく紹介されている。

その冒頭で〈「つくる会」は昨年10月以来、育鵬社による大規模な著作権侵害問題を、話し合いで解決すべく、先方との書簡のやりとりと3回の正式交渉を行ってきました。しかし、その努力の甲斐もなく、先方は「つくる会」の善意に基づく全ての提案を拒否し、交渉は決裂いたしました。従って、問題の解決は基本的には司法の手にゆだねられることになりました。〉と両者が決裂したことを認めている。

◆国家や地域社会のために生徒がどのように「ご奉公」するかを教える教科書

育鵬社「中学 新しいみんなの公民」

まあそのへんは勝手にやってくれというところだが、問題は「育鵬社」の歴史、公民の教科書の採択がどんどん進行していることだ。「つくる会」も未だに教科書を発行しているが、こちらの方は相変わらず低迷している。しかし「つくる会」にせよ「育鵬社」にせよ書かれている内容には大差ない。「育鵬社」は歴史教科書の特徴として「わが国の歴史の大きな流れを、世界の歴史を背景に、各時代の特色を踏まえて理解させ、わが国の歴史に対する愛情を深め、国民としての自覚を育てます」と書いている通り、この教科書は「皇国史観」を基に構成されている。この猛暑の中いちいち問題点を指摘していると確実に熱中症で倒れる代物だ。公民教科書も同様に「持続可能な社会をつくるために、家族、地域社会、国家、国際社会の中の自分として、集団の中でどのような役割を担えるのかを考えられます」と「個人」ではなく国家や地域社会のために生徒がどのように「ご奉公」するかを教える内容だ。

「つくる会」、「育鵬社」の教科書は東京都杉並区などがいち早く採択し、大問題になったが、来年度からは都立の中高一貫校での採択も決まった(「『つくる会』系教科書採択 都教委、中高一貫など32校」2015年7月23日付朝日新聞)。また大阪府でも四條畷市、河内長野市が、神奈川では藤沢市が採択を決めている。さらに8月には大阪市でも育鵬社教科書の採択が決まってしまった(「大阪市教委、育鵬社の歴史教科書採択 来春から使用」2015年8月5日付朝日新聞)。かねてよりこの教科書を応援していた橋下の念願成就。関西ファシズムは学校によって更に邁進させられる。

◆偏向教科書採択による「皇民化」政策

自民党「〈中学教科書7社の比較調査〉新教育基本法が示す愛国心道徳心を育む教科書を子供たちへ」

教育界への国家の介入は怒涛の勢いだ。下は幼稚園から上は大学まであらゆる教育機関に管理の強化と末端の教員の裁量剥奪、そして教育指導要領や偏向教科書採択による「皇民化」政策がなだれ込んでいる。そしてそれは明確に自民党や教育再生会議、文科省の意図に沿うものだ。自民党は「〈中学教科書7社の比較調査〉新教育基本法が示す愛国心道徳心を育む教科書を子供たちへ」(義家弘介衆議院議員のHP内のPDF=現在文部科学委員会筆頭理事・地方創生特別委員会委員)と銘打ったパンフレットを作成しており、その中で「育鵬社」「教育出版社」「清水書院」「自由社」「帝国書院」「東京書籍」「日本文教出版社」の7社を取り上げ、

・我が国の国土と歴史に対する理解と愛情を前提に、国際社会に生きる観点から記述されているか
・古事記・日本書紀など神話・伝承を通して、当時の人々の信仰やものの見方に気付かせる
・国旗国歌の尊重について具体的場面を例示しているか
・自衛隊と日米安保が果たしている役割は記述されているか

等の項目を挙げ、数値化して各社教科書の内容を評価している。そしてどの項目でも「育鵬社」は満点を得ている。同様に満点を得ているのは「つくる会」教科書を出している「自由社」だけだ。

「つくる会」が教科書を作成する過程で「歴史の専門家」がほとんど関わっていないことが問題視された。史実を知らずしかし歴史については「一家言」を持った「歴史改竄主義者」がたむろして作成されたのが「つくる会」(自由社)の歴史教科書だったわけで、史実を知らずに個人の思い込みや思想で無責任に歴史教科書を作ろうとしたので、当然のごとく「内紛」が勃発し、会の発足当時から名を連ねていた連中がどんどん離散してゆくことになった。

思想運動ではなく義務教育で行われる授業の教材をこのような「無責任」な連中が記述した教科書に任せてはならない。「育鵬社」「自由社」の教科書執筆陣はこの極端なまでに偏向した教科書で学んだ生徒が将来不利益を被っても、その責任を取ることなどあり得ない。生徒の多数はやがて大学受験を経験するだろうが、センター試験はともかく、私立大学の日本史の試験ではこれらの教科書で教えられている内容が回答としては「不正解」に該当する事が起こりうる。また海外留学を考えた際に論述式の歴史問題が出題され「育鵬社」「自由社」の教科書に忠実な記述をすれば、多くの国で「不合格」とされるだろう。

戦争推進法案審議の中で安倍はしきりに「絶対」「断じて」を連発するようになっている。官僚が書いた答弁書を読む時はそうでもないが、紙を見ないで答弁する時には同じ言葉を繰り返したり、どう考えても論理矛盾でしかない回答を繰り返すことが極めて多い。そんな時に「絶対」「断じて」を連発する。人間の行動に「絶対」なものなどあるわけがないという基礎的な行動学がこの男にはわかっていない。戦争推進法案で「日本は益々平和になる」と安倍は言う。馬鹿かおまえは。

戦争を一刻も早く引き起こそうとする安倍は戦争の惨禍に国民が巻き込まれ嘆いた時にそれこそ「絶対」に反省や謝罪、ましてや責任を取ることなどない。こんな連中が採択を推し進める教科書など「戦争準備の道具」と同義だ。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

◎「不逮捕特権」を持つ国会議員は「体を張って」安保法案を阻止できる!
◎安保法案強行採決!「大きな嘘」で日本政治をレイプしまくる安倍話法の本心
◎3.11以後の世界──日本で具現化された「ニュースピーク」の時代に抗す

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《ウィークリー理央眼017》戦争法案に反対する若者たち VOL.11 長崎

7月25日(土)、長崎県長崎市で安保関連法案(戦争法案)に反対するデモが行われた。
主催の「N-DOVE(エヌ・ダヴ)」は長崎県内の10代?20代が中心のグループで、今年6月にSEALDsの活動に触発され、被爆地長崎から反戦の声を上げるべく発足した。
彼らは若者を「高校生から大学生、30歳まで」と規定しており、戦略的に良い判断だと私は思った。大都市以外では「若者」の間口を広げる傾向があるが、デモはアピールなので、見ている人々の目にどう映るかを意識した場合、「若者」を年齢で限定するのは得策とも言える。


[動画]戦争立法に反対する若者の緊急デモin長崎 – 2015.7.25 長崎市(3分4秒)

全国で一番最初に「安保法案の成立を求める意見書」を県議会で可決した長崎で、若者たちは声をあげることを決めた。非常に保守的なこの地で、彼らが自民党を明確に批判したシュプレヒコールを街に響かせたことは、地元議員にとっても相当衝撃的だったはずだ。
「なんか自民党感じ悪いよね!」
「強行採決マジふざけんな!」
「勝手に決めんな!」
「戦争したがる総理はいらない!」
こんな刺激的なコールを叫び、民主主義とは何かを問うている無党派の若者の出現を想像した人はいただろうか。長崎にも新たな風が吹き始めた、いや新たな風が彼らによって起こされたと言うべきか。

安倍政権が進めている国作りが国民に与えているインパクトは相当なもので、今回の「戦争法案」を受け、デモそのものが成熟しておらず勢いがあまりない地域でも次々と若者によるデモが企画され反対の声があがっている。無党派のデモがほとんど無い土地で、ほとんど見ることの無かった年齢層の人々が動き出していることは驚きだ。
全国のデモや抗議を4年以上、年間100回以上撮影している私でも、鳥取県・長崎県・大分県・熊本県の4県だけは今まで撮影ができずにいた。タイミングが合わなかったり、開催頻度が少なかったり、情報発信の充実度、行きやすさなど様々な理由があったが、それが今年7月の「若者デモ」の撮影だけで大分県以外の3県へ行くことができてしまった。なかなか伝わらないかもしれないが、すごいことが今日本で起きていると私は痛感している。

デモ出発前、長崎市中心部にある銕(くろがね)橋で1時間ほどの集会が開かれ、順番にスピーチが行われた。

「70年前の8月9日、たった一発の原子爆弾が一瞬にして7万人もの命を奪いました。
僕らは今、その彼らが眠る土の上に立っています。
僕たちには、もう二度と戦争を繰り返すなという、彼らの声なき声を受け継いでいく使命があります。
その声は、一内閣の解釈一つで変えられるほど、軽いものではないはずです」
「強行採決後、菅官房長官は『三連休を挟めば国民は忘れるだろう』と言いました。
僕たちが隣国の方々と共に歩んできたこの70年の歳月をたった3日間で忘れることはありえません。
3日休んだからと言って、平和への祈りは途切れることはありません。
国民をなめんな。
安倍さん、あなたは僕たちの平和への祈りを怒りへと変えました。
憲法も守れない。
国民への説明も尽くせない。
拡大の一途を辿るしかない武力では、平和を守ることができなかったのだという反省を踏まえた憲法9条の価値が分からない、そんな人にこの国の総理大臣でいる資格はありません」(N-DOVE 森爽さん 18歳)

若者たちがマイクを握り、「安保法案の成立を求める意見書」に反対をした民主・吉村正寿県会議員、社民・坂本浩県会議員、共産・堀江ひとみ県会議員もマイクを握る。70年前に原子爆弾による攻撃を受けた都市の老若男女が一致団結し、戦争法案に反対する声をあげた。この節目の年に長崎で行動を起こしたことは大きな意味を持つはずだ。

今回のデモは全長600m、普通に歩いて7?8分程度の非常に短いコースだった。出発時間になっても警察官が来ないのでどうしたのかと思ったら、長崎市のデモには警察が警備に来ないこともあるらしい。ちょうどこの日はお祭りがあって、長崎警察署も忙しかったのだろうという話も耳にした。そんなことで、今回は先頭に街宣車ありの車道通行のデモ行進が警察がいない状態で行なわれた。
公道を警察の警備なしに行進が行なわれていたのは、私が知るだけで長崎県長崎市・山梨県甲府市・宮崎県宮崎市の3ヶ所だけだ。私個人が取材に行った場のデータだけなので、恐らくはもっと存在しているのだとは思う。

警察がいなくても車道通行デモを行なうことは可能なのだが、参加者の誘導をきちんとしないと街の人々に迷惑を掛けてしまうことになるので注意が必要だ。デモに慣れている大人たちには、どう警備されたら安心して行進できるのか分かるはずなので、若者たちが表に立ち自らが理想とするデモのビジュアルを作ることに専念できるようにサポートに回るのが大人たちの役割だろう。

『ながさきみなとまつり花火大会』の会場が宿泊していたホテルのすぐそばだったので、夜はちゃっかり花火を見に行ってきた。台風の影響で2日目が中止になったので、初日に二日分の1万発を一気に打ち上げたので本当に凄かった。
花火が終わった後に特設ステージへ足を運ぶと、長崎出身の歌手・福山雅治さんの『クスノキ』を長崎市長ら大勢の人々が合唱していた。『クスノキ』は平和を願った歌として知られている。
お祭りでも平和を願う長崎は、昔から海外に開かれた異国情緒あふれる国際色豊かな街だ。安倍政権が進める戦争ができる国づくりにより、隣国との平和的な交流を妨げることにならないことを祈るばかりだ。



[2015年7月25日(土)・長崎県]

▼秋山理央(あきやま りお)
1984年、神奈川県生まれ。映像ディレクター/フォトジャーナリスト。
ウェブCM制作会社で働く傍ら、年間100回以上全国各地のデモや抗議を撮影している現場の鬼。
人々の様々な抗議の様子を伝える写真ルポ「理央眼」を『紙の爆弾』(鹿砦社)で、
全国の反原発デモを撮影したフォトエッセイ「ALL STOOD STILL」を『NO NUKES voice』(鹿砦社)にて連載中。

《ウィークリー理央眼》
◎《016》戦争法案に反対する若者たち VOL.10 津
◎《015》戦争法案に反対する若者たち VOL.9 熊本
◎《014》緊急寄稿・朝日新聞と冨永特別編集委員のおわび
◎《013》戦争法案に反対する若者たち VOL.8 福岡
◎《012》戦争法案に反対する若者たち VOL.7 甲府
◎《011》戦争法案に反対する若者たち VOL.6 国会前
◎《010》戦争法案に反対する若者たち VOL.5 鳥取

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決起する若者たち──8月27日、4人の学生が安倍退陣を求めてハンスト闘争へ!

「お盆休戦」とも言われる凪(なぎ)状態の「戦争推進法案」審議が間もなく再開するだろう。それを見越して8月14日「安倍談話」が発表された。

内容は「空疎」の一言に尽きる。「反省」や「侵略」を言葉として盛り込んではいるが主語がない。「戦争推進法案」への反対が高まる中、これ以上の反対世論盛り上がりを何より警戒したのだろう。安倍は敢えて本音は封印した。だが、こんなちゃちな「言葉遊び」に騙されてはならない。15日には私費とはいえ玉串料を靖国参拝に納めた姑息な行動、そして「お盆休戦」後に国会審議で語られる言葉こそが安倍の本音だ。

反対運動の盛り上がりも勢いを増している。これまで街頭行動で姿が少なかった若者もついに街へ足を運びだした。その中で学生による注目すべき「抗議行動」が予定されている情報を得た。以下やや長いが、その「声明文」全文を引用する。

安保関連法案制定を阻止し、安倍政権を打倒するための学生ハンスト実行委員会

声明文

私たち「安保関連法案制定を阻止し、安倍政権を打倒するための学生ハンスト実行委員会」は、安全保障関連法案の審議即時停止と安倍政権退陣を求めて、8月27日より無期限ハンガーストライキを開始することをここに宣言します。
安全保障関連法案(以下、安保法案)は多数の批判と抗議を押し切って7月16日に衆議院を通過し、現在参議院で審議中です。憲法上のいわゆる「60日ルール」を含めても今国会での法案の成立は確実と言われています。

安保法案で法制化される集団的自衛権はアメリカなどの同盟国が主導する軍事行動に日本が直接参加することを許すもので、「戦争法案」としての本質は明らかです。戦後日本はアメリカと日米安保という実質的な軍事同盟を結び、東アジアにおける軍事的緊張関係の一端を担ってきましたが、安保法案の制定がかかる緊張をエスカレートさせる危険は目に見えており、先の大戦への反省を無視した愚かな行為です。またこの法案は国内の多くの憲法学者が指摘するように明白な違憲立法であり、法学上のクーデターというべきものです。まさしく安保法案は世界の民衆を分断し戦争を準備する、本来的に民衆に敵対する法律です。一切の正当性もなく、拒絶する以外にはありません。

では法案成立を阻止し、戦争を止めるために私たちは何をするべきなのでしょうか。
私たちは自らの生活に代えてでも安倍政権の戦争準備を拒否し、世界中のあらゆる戦争に加担することを拒否するという姿勢を直接行動によって示していくべきだと考えます。現在の沖縄・辺野古での反基地運動が、自らの平和を希求すると共に、基地を通じて世界の民衆が殺害されていくことを実力で拒否しているのと同様に。
私たちによるハンガーストライキは、戦争によって犠牲になりうるあらゆる人々と協力し、戦争への動員・協力を共に拒否するよう呼びかける直接行動の一過程です。そのために私たちは生命をかける覚悟でたたかいます。安保法案審議停止・安倍政権退陣に向けて共に行動しましょう!

【呼びかけ人】(ハンスト実行者は井田、元木、嶋根、木本の4名)

井田敬(上智大学2年) 元木大介(専修大学4年) 嶋根健二(専修大学4年)
木本将太郎(早稲田大学1年) 安井遼太郎(慶應大学3年) 土田元哉(慶應大学2年)
梶原康生(専修大学3年) 手塚(東京福祉大学) 坂田圭太(立正大学3年)
徳山陽一(都立産技高専5年) 匿名希望(高校2年)

本名を明かし、堂々と「無期限ハンスト」を行うというこの学生達に私は最大級の賞賛と連帯の意を表明する。彼らはいかなる「運動体」にも属さない個人の集まりだ。原発事故以降、多人数を集めるようになった運動の主催者の中には、参加者にあれこれ細かい「規制」を設けて、彼らの言う「一般人」以外を排除する団体がいくつか見られる。

◆「決起」の方法は幾らでもある

集会やデモ参加者の数がいくら増そうとも、その「質」が高まらなければ敵にとって脅威とはなりえない。この場合の「質」とは抗議対象への冷徹かつ非妥協な「怒り」の高まりであり、それに相応しい「行動」を意味する。したがって運動の継続性は勿論重要ではあるけれども、それと同時に参加者の意識の高まりと、多彩な参加者を受け入れることがまず前提として必要だ。まかり間違っても特定の団体や個人を名指しして「排除」するような運動方針が採用されてはならない。「排除の論理」は敵=国家権力にのみ向けられるべきであって、参加者への「排除」意思表明は運動体自体が硬直化、党派化してゆくことだと主催者は気が付かねばならない。「排除の論理」が破綻と敗北しか招かないことは、過去の歴史が余すところなく証明している。

そのような問題も散見される中、この猛暑の中、学生達がハンストに決起する。この行動は新鮮な問題提起と、政府に対しても無視のできない激烈な行動になることは間違いない。

1000人の指揮された統一行動よりも、一人の「個の意思」に立脚した決意が状況を切り開くことを私は経験として知っている。「安保関連法案制定を阻止し、安倍政権を打倒するための学生ハンスト実行委員会」を私は直接知らないし取材もしていない。この「声明文」を読むだけで彼らの「腹の括り方」が伝わって来る。

街頭行動へ既に参加されている皆さんが彼らを応援し、またそれぞれの方法で「行動」を展開されることを切に希望する。「決起」の方法は幾らでもある。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

◎「不逮捕特権」を持つ国会議員は「体を張って」安保法案を阻止できる!
◎安保法案強行採決!「大きな嘘」で日本政治をレイプしまくる安倍話法の本心
◎「目が覚めた」人たち──抗議行動はいろんなカタチがあっていい

 

 

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《ウィークリー理央眼016》戦争法案に反対する若者たち VOL.10 津

7月24日(金)、三重県津市で安保関連法案(戦争法案)に反対するデモが行われた。
津城趾そばの広場で集会を開き、津駅前まで行進をした。約70名のデモ隊を組織したのは安保法案に三重からも反対の声をあげたいと思った若者たちだ。


[動画]戦争法案に反対する、津・若者デモ – 2015.7.24 三重県津市(3分23秒)

SEALDsに刺激された「若者デモ」は全国に広がり、三重の県庁所在地・津でも行われた。コールは東京で聞く短いシュプレヒコールがメインになっているのだが、ここ独自のシュプレヒコールもあった。

「強行採決忘れないぞ!」「連休過ぎても忘れないぞ!」
これは、安保法案を7月16日に衆院本会議で強行採決して通過させた安倍政権が「三連休を挟めば忘れるだろう」と国民を鼻で笑ったことに対するコールだ。連休中も連休後も各地のデモで怒っている人はたくさんいたが、それをシュプレヒコールにしていたのは津だけだった。
また、三連休(7月18~20日)の期間に行われた山梨県甲府市のデモでは以下のようなスピーチがあった。
「安倍さん達は『この三連休で国民が戦争法案を強行採決したことなんか忘れるんだ』って言ってますけど、国民たちを本当にバカにしてると思います。
この三連休は日本各地で反対のデモや集会が行われたり、国会前にもたくさんの国民が集まっています。
日本中の国民がたくさんこの戦争法案に反対しているんだってことを歩いてアピールしているわけです」
連休が終わっても、各地からあがる反対の声は静かになるどころか激しさを増す一方だ。

「WAR IS OVER!」「IF YOU WANT IT!」
これも津で初めて聞いた、ありそうでなかったシュプレヒコール。正直なところ聞き取りにくかったが、注意して聞いてみると聞き取れないことはないし、意外と耳馴染みも良かった。
「戦争は終わる。あなたがそれを望むなら。」そういう意味の英文だが、今の日本においては「行動すれば戦争は止められる」というような感じの意味を持つ言葉なのではないだろうか。このような反戦の言葉を全国で若者たちが掲げ叫ばなければいけない日が来るなど想像もしていなかった。戦争の不安を抱いている人々が多くいる事実を政府は直視し、安全保障についての方針を見直すべきだろう。

三重で働く男性保育士のスピーチがあった。
「今、安倍政権がやろうとしている戦争法案が成立してしまったら、自分たちが見ている子供たちが戦場に行くかもしれない。そんな社会になるのは絶対に嫌です。」
職業上、彼は子供たちの心配をするのは自然なことだが、安保法案反対デモに参加している若者たちの口からも次の世代を心配する声をよく耳にする。10代20代の学生や若者らがそう叫ぶことに戸惑いを感じなくもない。しかし、まだ親にもなっていない人々にも自分の子や孫の心配をさせるほどの危機感を与えている安倍政権が進めている国づくりが異常過ぎるのだ。

今、日本全国であがっている声は、日本の未来を奪おうとしている安倍政権に対しての反発の声だ。未来のある若者が強く反応するのは当然のことだろう。
「安倍政権から未来を守れ!」このシュプレヒコールを津で聞いて、そんなことを思った。



[2015年7月24日(金)・三重県]

▼秋山理央(あきやま りお)
1984年、神奈川県生まれ。映像ディレクター/フォトジャーナリスト。
ウェブCM制作会社で働く傍ら、年間100回以上全国各地のデモや抗議を撮影している現場の鬼。
人々の様々な抗議の様子を伝える写真ルポ「理央眼」を『紙の爆弾』(鹿砦社)で、
全国の反原発デモを撮影したフォトエッセイ「ALL STOOD STILL」を『NO NUKES voice』(鹿砦社)にて連載中。

《ウィークリー理央眼》
◎《015》戦争法案に反対する若者たち VOL.9 熊本
◎《014》緊急寄稿・朝日新聞と冨永特別編集委員のおわび
◎《013》戦争法案に反対する若者たち VOL.8 福岡
◎《012》戦争法案に反対する若者たち VOL.7 甲府
◎《011》戦争法案に反対する若者たち VOL.6 国会前
◎《010》戦争法案に反対する若者たち VOL.5 鳥取
◎《009》戦争法案に反対する若者たち VOL.4 新潟
◎《008》札幌攻防戦!ヘイトスピーチを撮影せよ!
◎《007》戦争法案に反対する若者たち VOL.3 渋谷
◎《006》戦争法案に反対する若者たち VOL.2 札幌
◎《005》戦争法案に反対する若者たち VOL.1 京都

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