間近に迫った日弁連会長選挙──日弁連がネットの「言論の自由」を弾圧か?

日本弁護士連合会(日弁連)会長の選挙が行われている。大阪弁護士会所属の中本和平弁護士と東京弁護士会所属の高山俊一弁護士が会長候補に立候補している。

投票は2月5日で現在激しい選挙戦が展開されているが、知人の弁護士から不可思議な情報提供があった。ある弁護士が匿名の自身のブログで片方の候補を応援したところ、日弁連から注意を受けたとのことだ。その方が現在掲載しているブログの内容を引用する。

「さっき、日本弁護士連合会選挙管理委員会の副委員長さんから、わざわざお電話をいただきました。 わたくし、なんかの選挙に出た覚えがないので、ビックリしたのですが、なんと私のブログ記事が日弁連の選挙管理規定に違反するので、削除して欲しいと言うのです。
  問題となったのは以下の記事。2016年1月17日付け記事で、
【悲報】日本弁護士連合会の執行部側○○○○候補が、稲田朋美自民党政調会長に何度も献金していた。というもの。
  取り敢えず非公開にしましたのでリンク切れになっていますし、候補者の名前も匿名にしました。
  今回の日弁連会長選挙にはふたりしか立候補者がいないので、片方の先生を批判すると、もう片方の先生を応援したことになるから選挙運動だ、という話なんです。
  そして、会長選挙管理規定が今回の選挙から「改正」されて、WEB選挙活動が認められるようになってたけど、それは各陣営に1つずつのオフィシャルホームページだけ。
他の人は、選挙対策本部の弁護士も一般会員も、WEB上で1人の特定の候補に有利になる発言は許されないという驚くべき改定がされたというのです。
こんなの、WEB選挙が認められるようになったと言えますか?
逆に、明らかに言論の自由が制限を受けるものです。」
◎「宮武嶺のエブリワンブログ」より

◆「言論の自由」を守るべき日弁連に「言論の自由」感覚が欠如している

本当だろうか。事実を確かめるべく日弁連に電話取材した。応対に出た日弁連総務課の事務担当者(氏名は名乗らなかった)に上記質問をぶつけたところ「選挙管理委員会の副委員長がそう述べたのなら事実でしょう」との回答であった。

おいおい、言論の自由もへったくれも日弁連には無いのか? 通常の国政選挙、地方選挙でも実質的にネット選挙はほぼ全面的に解禁されている。それに対して、時には国を相手に闘う職務にある弁護士が全て所属する「日弁連」がこのように矮小な、選挙運営を行っていては、日本司法における対抗勢力の脆弱性、もしくは偏狭性の現れと感じられても仕方がないであろう。

「言論の自由」を守るべき日弁連に「言論の自由」感覚が欠如している。これは重大かつ深刻な問題と言わざるを得ない。

さらにこのブログ執筆者が、中本弁護士の過去、自民党稲田朋美政調会長に政治献金をしていたことに言及していたが事実であろうか。中本弁護士所属事務所に取材してみた。それによると中本弁護士は「一水会」(鈴木邦男氏が発足させた「一水会」とは同名だが無関係)という大阪の弁護士集団の実力者で、その後輩である稲田朋美氏を応援していたことは事実であるという。

3万円の政治献金も過去確かに行っていた。ただし電話応対に出た弁護士の話では「中本弁護士は憲法などについてはむしろ稲田氏と全く逆の考え方で社民党の福島瑞穂さんや民主党議員との付き合いの方がはるかに深いです」とのことだった。なるほどそう言われればそうか、と騙されそうになるが、この曖昧さこそ現在日本を覆う困難を引き起こした「どっちつかずの態度」なのではないのか。

中本弁護士は安倍のような改憲主義者ではないだろう。しかし「後輩だから」という理由で稲田朋美を応援していた過去があるようでは日弁連の会長を任せようとは思わない。社民、民主を応援しながら小選挙区制を進めたり、2大政党制を進めた大学教員のようなものだ。

私はもちろん弁護士資格など持っていないので自由に発言できる。日弁連会長候補者としての中本氏を私は支持しない。一見リベラル、一見穏当な姿勢の中にこの時代を誘引した細かであっても、過ちを包含している人物のように思えて仕方がない。
一方、高山俊一弁護士の主張全てにおいて中本弁護士よりは余程明白だ。何よりも「反戦」に対する考え方が極めてはっきりしている。私自身の考えに近い。
一般人には関係なさそうではあるが日弁連は本気になれば相当な力を国に対しても発揮しうる団体だ。選挙の推移を注視したい。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

◎「先頭で行動する政治学者」山口二郎氏を迎えて前田日明ゼミ第4回開催!

『紙の爆弾』!タブーなきラディカル・スキャンダル・マガジン

抗議にも罵声にも屈せず闘い続けるキックボクシング界レフェリー列伝

「もっと勉強しなさい!!」1997年頃、あるキックボクシングの試合後、ジャッジ席の審判員にこんな罵声を浴びせて去って行ったS会長がいました。所属の選手が不可解な採点で敗れたことに怒り、タイ訛りのつたない大声が会場内に響き渡っていました。

日本系の隆誠、衰退とともに生きたリ・チャンゴン(李昌坤)氏(中央)、蝶ネクタイが良く似合う(1991.5.24)
ムエタイルールという意識も浸透した時期ではありましたが、蹴りを重視しつつもキックボクシングの見た目の印象で採点する習慣は、ムエタイの世界での熟練者から見れば、納得できない判定だったでしょう。

レフェリーのお仕事は選手に次いで辛い仕事かもしれません。 しかし、長きキックボクシングの興行の歴史では、時には理不尽な選手陣営の抗議も見受けられました。また、ジャッジの不可解な採点や、全くセンスの無いレフェリーが採用されている現場もありました。
1966年(昭和41年)の日本キックボクシング協会設立以降、プロボクシングのプロモーターだった野口修氏が始めたキックボクシングだけあってプロボクシングのレフェリーを参考にする影響から軽快なフットワークで裁く印象が残りました。

日本人最初のレフェリーとなったのが、小別当純という方でしたが、李昌坤(リ・チャンゴン/韓国)氏やウクリット・サラサス(タイ)氏も初期から務めていました。後に発生の全日本系でも個性有る厳格なレフェリーが存在していました。

時代の流れで徐々に試合展開や採点基準が変わっていくのは仕方ないところでしたが、レフェリー技術の低下が見られたのは、ムエタイルールが浸透してきた1990年代であり、団体分裂が増え出した頃の人材不足でした。

古き時代からレフェリーは、すべて団体ごとの公認で、他団体に勝手に出向けませんでしたが、「誰かレフェリー出来る奴いないか。」

ヘビー級はこの人に任せたい、重量級の和田良覚レフェリー(左)(2014.9.13)
ジム会長からそんな安易な声も掛かった、団体が増える度のレフェリー募集でした。見た目は簡単そうでも、ルールを熟知しなければ出来る任務ではなく、甘い気持ちでやられても困るレフェリー業ですが、残念な問題は、増え過ぎた各団体の新人レフェリーに、経験値あるベテランの指導は回り難く、実戦で覚えていくしかない時代でした。

団体にもレフェリーの格差がありましたが、直接勝敗に関わるリング上の裁きは上達していくものの、プロボクシングを観ていれば常識的にわかる機転もなく、ダウンした相手に蹴り込んでもそのままカウントを続けたり、カウント9で足下フラフラしていても止めず、倒れ行く敗者を放っておいて勝者の手を上げに行く、メガネを掛けたレフェリー等、ファン目線から見ても異様な事態もありました。

現・JKBレフェリー協会代表の少白竜レフェリー、現役時代は勝っても負けてもKO100%男(2014.9.13)

そんな時代を経て2006年当時、J-NETWORKという団体のある興行関係者が、レベルアップしたレフェリー組織を作ることを計画し、その提案を受け、活動に動いたのが少白竜レフェリー(元・全日本バンタム級1位)で、思想の合うメンバーを集め、ベテランの山中敦夫氏(元・競輪選手、旧・全日本キックからのレフェリー)を代表にJKBレフェリー協会を設立しました。

◆団体や試合によってルールが違う!

キックボクシング各団体から要請があればその団体興行に派遣レフェリーとして参加しますが、レフェリーが苦労することは各団体によって、または試合によって「ルールが違うこと」と言われています。現在のレフェリー陣は安全面を重視した進行、反則に厳しくイエローカード、レッドカード提示なども実施。陣営の抗議に屈しない厳格な姿勢で、公正な競技と認められるような基準を作り上げて来ました。

舌出し侮辱にイエローカードと厳しい判断の椎名利一レフェリー(2015.12.13)

同時期にサミー中村氏(旧・全日本キックからのレフェリー)が日本ムエタイレフェリー協会を設立し、同様の活動を展開。また従来のキック団体に所属するレフェリーや、フリーのレフェリーも多く居て、2010年頃からはWBCムエタイやWPMF世界機構などムエタイ組織のレフェリー講習を受けてライセンスを取得する制度もあり、個人差はあれど、レフェリーとしての技術は見違えるほど向上しました。所属する団体は違えど、興行が重なれば人手が足りなくなる休日興行は、協力体制が整っているようです。

タイでムエタイを日々見続けている人ならば、ポイントの取り方、割って入るタイミング、優勢劣勢によるポイントの動きは観てわかると思いますが、日本のキックボクシングやプロボクシングを見続けて来た一般ファンや関係者では、まだまだ分かり辛い採点、優劣判断基準があります。

ルンピニースタジアム公認レフェリーライセンスを持つ古き全日本系からのサミー中村レフェリー(右)(1986.9.20)

またムエタイ選手から教わったり、タイ人トレーナーから教わったという知識も高度な経験値ではありますが、選手目線の判断では脱線した部分もあり、例えば、選手やトレーナーに「ムエタイはキンタマ蹴ってもいいんだよ」と言われ、実際明らかに股間を蹴られて倒れても、そのままカウントされることは多くありました。

「蹴られる方が悪い」と言われる習慣になっていても、防御と戦略として覚えておくべきですが、“厳密には反則”で、失格負けとなった例もあります。厳密なルールブックや、日々変化する改善案も、いちばん頭に入っているのはムエタイ現地レフェリーや組織役員といったレベルであることも理解しておいた方がいいかもしれません。

また余談ながら、タイ人選手が「グローブの内側にワセリン塗っておいてクリンチの際、相手の眼に擦り付けるんだ」と言ったセコい一例もありますが、経験から来る悪知恵はいろいろありますが、参考までに覚えておいて頂きたい範疇です。

NKBグループもチームワーク良く進歩を続ける(2015.12.12)

「もっと勉強しなさい」と今の時代でも言われるかもしれない、“シンサック会長”に怒鳴られたら今でも怖そうな雰囲気で、長く試合を観てきても未だわからないムエタイの採点基準はまだまだあります。

[撮影・文]堀田春樹

▼堀田春樹(ほった・はるき)
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない。」

◎芽が出始めたムエタイ新時代──タイで通用する若手選手が続々出現!
◎ティーンズチャンプがキック界を刷新する?──2015年回顧と2016年展望
◎強くなるためにタイへ行く!日本キックボクサー「ムエタイ修行」今昔物語
◎ルール変更の紆余曲折から辿る日本キックボクシング界の栄枯盛衰クロニクル
◎キック新時代を牽引するRIKIXジムの「NO KICK NO LIFE」

タブーなきスキャンダルマガジン『紙の爆弾』!

2016年はゲリラライブが跋扈する!

予告もなく登場する、という意味では、鹿砦社で去年、写真集を作った「全裸占い師」の「うらな」が、さまざまなイベントに登場しては、全裸で占いをするという奇っ怪なプレイを続けているそうだ。

なんでもこの「うらな」は、実話ナックルズの記事によると、「かつて永田町で政治家を相手にしていた」とも書かれている。その素顔はいつしか明らかになっていくだろう。

詳細は省くが、警察関係者は、かなり「全裸占い師」の動向にナーバスになっているようだ。
「ライブのたびに、警察官が来て勧告しているのは事実」だという。
だとすれば、警察はよほど暇な人種なのだな、とも思う。
 
◆キックボクシングの会場ではスーパーガールズチーム「maneater」が観客を悩殺

さて、正月に初めて足を向けたのはやはりキックボクシングとなった。格闘技イベントにおいて、休憩時間に行われるショーは、観客がトイレに行っている間をつなぎ「隙間」にすぎないが、この日に見たショーはなかなか秀逸だった。

キックボクシング会場でもmaneaterが観客を悩殺(2016年1月10日「WINNERS 2016 1ST」新日本ボクシング協会/治政館)
1月10日、後楽園ホールで17時から行われた「WINNERS 2016 1ST」(新日本ボクシング協会/治政館)でラウンド間の休憩時間に 突如登場し、激しいビートにのり、ほぼ水着、もしくはランジェリーに見える姿でヒップをくねらせて神出鬼没の「maneater」が観客を悩殺。クラブやディスコに予告なしに登場し、カウンターに上がってパフォーマンスを始めるというセクシー美女たちはリングを完全にジャック。並みいる キックボクシングジムの筋肉男たちもその色香に呆然となった。「まさにノックアウト状態」となった男たちの股間はもはや爆発寸前。リングは突如と して、エロスたっぷりのステージとなった。

◆予告なしに登場するアイドルグループ「ベイビーレイズJAPAN」の新曲「栄光サンライズ」も好調

あと、唐突に予告なしに登場するアイドルグループとしては、「ベイビーレイズJAPAN」があまねく知られるところだ。このグループは、他のグループのライブに登場して、勝手に出口でチケットを売るというややひんしゅくをかいそうな手法でファンを拡大してきた。ややロックな趣のサウンドだが、新曲ゲリラライブは、評判によく、最新9thシングルの「栄光サンライズ」は、かなり好調のようだ。いずれにせよ、ゲリラライブで飯を食う連中が、「軒先を借りて母屋をのっとる」という図式をぜひ今年は見たいものだ。

▼ハイセーヤスダ(編集者&ライター)
テレビ製作会社、編集プロダクション、出版社勤務を経て、現在に至る。週刊誌のデータマン、コンテンツ制作、著述業、落語の原作、官能小説、AV寸評、広告製作とマルチに活躍。座右の銘は「思いたったが吉日」。格闘技通信ブログ「拳論!」の管理人。

◎SMAP解散を当て込んで中国人業者のSMAPレアグッズ爆買いが始動!
◎川崎中1殺害事件の基層──関東連合を彷彿させる首都圏郊外「半グレ」文化
◎国勢調査の裏で跋扈する名簿屋ビジネス──芸能人の個人情報を高値で売買?

芸能界の歪んだ「仕組み」を解き明かす!『芸能人はなぜ干されるのか?』
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《脱法芸能56》吉松育美VS谷口元一裁判(16)谷口氏の証人尋問3

谷口元一氏の主尋問が続く。

池田尚弘弁護士 さあ、『週刊新潮』の記者について伺います。あなたは『週刊新潮』の記者に対して、吉松さんとテイラーさんのゴシップを書くように指示したことはありますか?

谷口元一 ありません。

池田尚弘弁護士 はい。あなたは『週刊新潮』の記者に対してこういった記事を書けとか、どういった記事を掲載させろという指示をする立場にありますか?

谷口元一 ないです。

池田尚弘弁護士 あなたは『週刊新潮』からテイラーさんのことについて取材を受けたことはありますか?

谷口元一 あります。

池田尚弘弁護士 はい。その記者の名前は覚えていますか?

谷口元一 川面(泰隆)さん。

池田尚弘弁護士 川面さん。乙1号証を示します。これは川面さんがあなたから取材を受けたということを書いた陳述書ですけど、この方で間違いないですね。

谷口元一 はい。

池田尚弘弁護士 取材された対象というのは、では、原告ではなく、テイラーさんということですか?

谷口元一 はい。

池田尚弘弁護士
 その川面さん、記者に対して、あなたは何か資料を見せたことはありますか?

谷口元一 裁判資料を。

池田尚弘弁護士 裁判資料を見せたということですね。原告吉松さんが言うには、平成25年12月2日に週刊新潮の記者が原告の出版イベントに現れたそうなんですが、このことについてあなたは何か知っていますか?

谷口元一 知りません。

池田尚弘弁護士 原告が言うには25年12月3日、『週刊新潮』の記者がサガテレビの「吉松育美の唐津くんちに恋して」という番組の生放送に現れたようなんですけど、そのことについてあなたは何か知っていますか?

谷口元一 知りません。

池田尚弘弁護士 平成25年11月7日、サガテレビの「かちかちワイド」といった原告が出演予定だった番組が突然、キャンセルになったようなんですが、このことについてあなたは何か知っていますか?

谷口元一 知りません。

池田尚弘弁護士 あなたは『週刊新潮』の記者に対して吉松さんのタレント活動を妨害するような取材活動を行うように指示したことはありますか?

谷口元一 ありません。

池田尚弘弁護士 あなたはテイラーさんに対して電話で「『週刊新潮』を動かすから」と言ったことはありますか?

谷口元一 ありません。

池田尚弘弁護士 覚えてますか?

谷口元一 覚えてません。

池田尚弘弁護士 はい。さあ、続いてミス・インターナショナルのことについて伺います。あなたは(ミス・インターナショナルの大会を運営する)国際文化協会の関係者に対して吉松さんをミス・インターナショナルの国際大会に出場させないよう働きかけたことはありますか?

谷口元一 ありません。

日本外国特派員協会での吉松育美さん記者会見(2013年12月16日公開)より

池田尚弘弁護士 あなたは国際文化協会の関係者と会ったことはありますか?

谷口元一 (ミス・インターナショナルの)メインスポンサーのミスパリの平山さんと会いました。

池田尚弘弁護士 国際文化協会の人間ではなく、そのメインスポンサーであったミスパリという会社の平山さんとお会いになったということですね。平山さんとはもとからの知り合いですか?

谷口元一 弊社関連タレントのイベント主催会社の人間が仕事をして……。

池田尚弘弁護士 そうすると、御社のタレントさんがミスパリという会社と仕事をしていたということですね。あなた自身は平山さん個人と会ったことがありますか?

谷口元一 ないです。

池田尚弘弁護士 今回の件で、国際文化協会の関係者である平山さんとお会いしたことはありますか?

谷口元一 はい。

池田尚弘弁護士 はい。その時にどういったことをお話されましたか?

谷口元一 以前から……『週刊新潮』から僕のところに取材依頼があったので、もし、それを受けるとするとご迷惑をかけるかもしれないという……。

池田尚弘弁護士 先ほど言ったようにテイラーさんのことについて取材があったと、なので、もしかすると、いろんな名前が出てご迷惑をおかけするかもしれないと、いうお話をされたということですね?

谷口元一 はい。

池田尚弘弁護士 あなたと平山さんとの会話の中で原告吉松さんがミス・インターナショナル世界大会に出場するかどうかそういうことについて話し合ったことはありますか?

谷口元一 ありません。

池田尚弘弁護士 そもそもあなたはミス・インターナショナル世界大会がいつ開かれるか知っていましたか?

谷口元一 知りません。

池田尚弘弁護士 あなたが調査会社に依頼したマット・テイラーさんの住所を調べてくれと(中略)当時、マットさんの動産執行をしようとしたけれども、住所が分からなかった、だから、その住所を調べてくれと、いうことで調査をしたということですね。

谷口元一 はい。

池田尚弘弁護士 マットさんを調査したのは、一度だけですか?

谷口元一 二度です。

池田尚弘弁護士 はい。なぜ2回も調査をされたのですか?

谷口元一 弁護士さんからこれだけの資料では裁判所が首を振らないということだったので、もう一度……。

池田尚弘弁護士 はい。その時の資料を示します。乙3号証と4号証。2回目の調査を行なったのがこちらですね。で、1回目で特定された家にマットさんが出入りしているということですね。さあ、調査の結果、動産執行は行われましたか?

谷口元一 はい。

池田尚弘弁護士 あなたはテイラーさんの家に原告吉松さんも一緒にいるということを初めから知っていましたか?

谷口元一 知りませんでした。

池田尚弘弁護士 いつ知りましたか?

谷口元一 調査報告書の段階で。

池田尚弘弁護士 この調査報告書にその目的となっている家にテイラーさんのほかに原告吉松さんも一緒に写っていたということで知ったということですね。あなたは調査会社にそれでは初めから原告吉松さんに嫌がらせをするように指示をして2人を調査させたということはありますか?

谷口元一 ないです。

池田尚弘弁護士 今、調査が2回行われたと言って、その日付が平成25年8月29日と9月30日。このことについてお話しましたが、これとは別に平成25年9月6日に原告が言うには、男性1人が原告の住居周辺をウロウロしていたと言っていますが、そのことについてあなたは何か知っていますか?

谷口元一 知りません。(続く)


◎[参考動画]日本外国特派員協会での吉松育美さん記者会見(日本外国特派員協会2013年12月16日公開)

▼星野陽平(ほしの ようへい)
フリーライター。1976年生まれ、東京都出身。早稻田大学商学部卒業。著書に『芸能人はなぜ干されるのか?』(鹿砦社)、編著に『実録!株式市場のカラクリ』(イースト・プレス)などがある。

◎事実の衝撃!星野陽平の《脱法芸能》

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発生11年の兵庫2女性バラバラ殺害事件──今も残る「くみとり便所」の謎

どんなに社会の注目を集めた重大事件でも年月が経てば、人々の記憶から消えていく。1月9日に発生から11年を迎えた兵庫2女性殺害事件も例外ではない。

2005年1月、兵庫県相生市の無職・高柳和也(当時39)は自宅で交際していた女性A子さん(同23)とその友人・B子さん(同23)を相次いでハンマーで殴って殺害した。その挙句、被害者2人の死体をバラバラに解体し、海や山に遺棄。そんな凶悪事件は、被害者の家族の訴えをないがしろにした警察の怠慢な対応などもあり、当時、社会の耳目を集めた。

今も高柳が収容されている大阪拘置所

だが、2013年11月に高柳が最高裁に上告を棄却され、死刑判決が確定すると、この重大事件もマスコミで取り上げられることはほとんどなくなった。そのため、関係者や地元の人以外で、今もこの事件を記憶している人はそう多くないだろう。

しかし実を言うと、この事件には、ある重大な謎が残されている。それは、殺害現場となった高柳の自宅の「便所」をめぐる謎である。

◆“くみとり便所”を強調した弁護側

「高柳さんの自宅は、“くみ取り便所”でした。高価な装飾品を置いていたわけでもありません。しかも、高柳さんはどもりがありました。A子さんは風俗嬢で、世の中の裏を知る人なのに、そんな高柳さんのことを会社を経営する資産家だと信じ続けたわけがありません」

2013年10月、最高裁第一小法廷で開かれた上告審の公判で、高柳の弁護人は書面の主張をそう読み上げた。“くみとり便所”という単語を読む時、声に力が込められたように感じた。では、なぜ裁判で便所が問題になったのかというと、こういうことだ。

一、二審判決によると、高柳は自分のことを資産家と偽ってA子さんと交際したため、金品を貢ぐ羽目になり、その挙句に金銭トラブルに陥ってA子さんを殺害。さらに居合わせたB子さんまで口封じのために殺害したとされた。

弁護側はこれに対し、実際にはA子さんは、自分を資産家だと称する高柳のウソを見抜いており、逆に暴力団の叔父の存在も利用して気弱な高柳に金品を貢がせていたのが真相だと主張した。それを裏付ける根拠として、高柳の家が「くみとり便所」だったとアピールしたのだ。

結果、最高裁は弁護側の主張を退け、「犯行の態様等につき不合理な弁解に終始しており,真摯な反省の情をうかがうことはできない」(判決)と高柳の死刑を確定させたのだが――。

取材してみると、実は弁護側の主張は案外切り捨てがたいのだ。

◆どもりながら必死に訴えかけてきた被告人

自分なりに事件の真相を見極めるべく、筆者が大阪拘置所まで高柳の面会に訪ねたのは、最高裁の判決が出てからしばらくした時期だった。面会室に現れた高柳は、透明なアクリル板越しに必死に訴えかけてきた。

「家・・・・・・く、くみとり便所・・・・・・金持ち、思うはずない・・・・・・」

高柳は鑑定でIQが69しかないと判定されていた。どもりは予想以上にひどく、確かに資産家には見えがたい人物だった。仮に最高裁の判断が正しく、被害女性が高柳のことを資産家だと信じ続けていたという一、二審判決の認定が真実だとすれば、被害女性は一体、高柳の自宅が「くみとり便所」だったことや高柳のどもりをどう理解していたのだろうか。

判決確定から2年経った今も筆者は時折、この事件の真相に思いをめぐらせることがある。だが、被害女性たちはこの世になく、高柳も今は確定死刑囚ゆえに一般面会はできない。今さら真相に迫るのは現実的に難しく、謎は永遠に謎のままかもしれない。

▼片岡健(かたおか けん)
1971年、広島市生まれ。早稲田大学商学部卒業後、フリーのライターに。新旧様々な事件の知られざる事実や冤罪、捜査機関の不正を独自取材で発掘している。広島市在住。

◎家族3人の命が奪われたのに──広島県警が放置する「ある重大未解決事件」
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◎3月に引退した和歌山カレー被害者支援の元刑事、「美談」の裏の疑惑

タブーなきスキャンダルマガジン『紙の爆弾』2月号!【特集】安倍政権を支える者たち!

ベッキー、SMAP、甘利明大臣を繋ぐ「ゲスの極み乙女。」川谷絵音「死神」伝説

「ゲスの極み乙女。」のボーカル、川谷絵音(えのん)とベッキーの不倫騒動がいまだに尾を引いているようだが、芸能界では、「川谷絵音と関わると不幸になる」という伝説が生まれつつある。

『週刊文春』で、川谷の妻が告白しているように、不倫でも妻やバンド仲間が肩身が狭くなり、出演交渉していた 音楽番組も出演を見合わせてスタッフが慌てて代わりを探すなど、 周囲を振り回し、ただでさえ不幸にしているが、それだけではない。川谷が触るものはすべて「崩れ落ちて」いくのだという。

「別にやっかみ半分じゃなくて、川谷は現実に死に神みたいな存在ですよ。まずは、川谷が曲を提供した『SMAP』です。去年の9月に55枚目のシングル曲『Otherside/ 愛が止まるまでは』初週から15万枚以上を売り上げ、初登場1位を記録するスマッシュヒットとなったが、ごらんの通り、女性マネージャーが独立を画策して失墜、唯一の理解者であった女性マネージャーを失い、事務所内でも味方がいなくなりつつありますし、いまだにマスコミの餌食となっています。また、昨年の5月にマイナンバーのPRおよび説明をするときに『私以外、私じゃないのぉ~あたりまえだけど だからマイナンバーカード♪』と「ゲスの極み乙女。」の曲を歌ってみせた甘利明経済再生相は、独立行政法人都市再生機構(UR)が行っている道路建設の補償を巡り、甘利事務所に口利きを依頼した件で政治資金規正法とあっせん利得処罰法違反に問われている。さらに、2014年に楽曲『戻れないから』を10月8日に提供した山下智久は、直後の11月4日に、六本木の路上で 錦戸亮、赤西仁らといるときに、暴行事件を起こし、警察沙汰を起こしているのだ。まさに『人生を崩壊させる』悪しきエネルギーに満ちているのが川谷だというのです。つけ加えるなら、山下は「5→9~私に恋したお坊さん~」(フジテレビ)が平均視聴率11.7%(ビデオリサーチ調べ)など主演のドラマが あいついで低視聴率にあえいでいます。ドラマのオファーはなくなりました」(芸能ジャーナリスト)

こうした偶然がつぎつぎと重なるものだろうか。タロットや四柱推命を駆使し、政治家、実業家や歌手などの大物が好んで契約する占い師「くら葉」は人の持つ運気が見える。

「もしかしたら、川谷さんが体から発している負のエネルギーは、人の幸運をすべて吸い尽くすたぐいのものであると言えます。私にははっきり言って、紫の色が見えます。人の幸運を吸い取る運気としては、最悪の色ですね」と指摘する。

心配なのは「ゲスの極み乙女。」が所属するレコード会社の韓国アーティスト『BIGBANG』に解散の噂が出てきたこと。

「まあ、川谷と縁を持つと、人生が崩壊しつつあるというのは、半ば冗談で音楽関係者が語っていたのだが、この話が業界を席巻するとビジネスに悪影響が出てしまう。川谷サイドは、関係者に『変な噂に惑わされないでください』と否定に躍起だが、今後の推移によっては『業界の死神扱い』をされるかも」(レコード会社社員)

川谷に人生を崩壊させられたとすれば、バンドの新曲『両成敗』というわけにはいかない。
一方的に「あいつのせいでビジネスがうまくいかない」と罵倒されるであろう。

(鈴木雅久)

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《脱法芸能55》吉松育美VS谷口元一裁判(15)谷口氏の証人尋問2

谷口元一氏の主尋問が続く。

池田尚弘弁護士 続いて、吉松さんのお父さんについてお話を伺います。吉松さんのお父さんに電話をしたことはありますか?

谷口元一 はい。

池田尚弘弁護士 電話をしたのはいつごろか覚えていますか?

谷口元一 正確な日時は覚えていません。

池田尚弘弁護士 吉松さんの方からその時の録音を反訳したものがあって、それによると平成24年6月ということなんですけど、だいたいそのぐらいで間違いないですね?

日本外国特派員協会での吉松育美さん記者会見(FCCJ公式チャンネル2013年12月16日公開)

谷口元一 はい。

池田尚弘弁護士 吉松さんのお父さんに電話をしたのは何の目的でしたか?

谷口元一 マットさんからお金が返ってこないので……吉松さんから僕もしくは弁護士さんに連絡を……。

池田尚弘弁護士 マットさんにお金を返してもらおうと、そういう風に伝言を伝えたということですね?

谷口元一 はい。

池田尚弘弁護士 何回ぐらい、お父さんに電話をしましたか?

谷口元一 2、3度。

池田尚弘弁護士 その2、3度以上に何回も何回も電話をしたり、早朝に電話をしたり、深夜に電話をしたことはありますか?

谷口元一 ないです。

池田尚弘弁護士 あなたは吉松さんのお父さんとの電話の中で吉松さん、もしくはその家族に対して生命・身体に危害を加えると言ったことはありますか?

谷口元一 ありません。

池田尚弘弁護士 はい。一番最後に先ほど、2、3度お話をしたとおっしゃっていましたが、一番最後にお話したのをいつの日か覚えていますか?

谷口元一 詳しい日時は覚えていません。

池田尚弘弁護士 はい。原告吉松さんが提出した甲3号証の1を示します。ここによると、2013年の9月25日にお話をされています。3回目、この時、どのくらいの長さ、お父さんと話したか覚えていますか?

谷口元一 2、30分。

池田尚弘弁護士 2、30分ですか? ここに通話記録約28分とありますが、だいたいこのぐらいの長さ、お父さんと話されていたということでよろしいですか。さあ、その30分間、お父さんと話している間、吉松さんのお父さんはあなたに対して恐怖を感じたり、興奮しているといったような状態でしたか、それとも淡々と話しているといった状態でしたか?

谷口元一 淡々と話している感じでした。

池田尚弘弁護士 30分ほど、普通に淡々と話していたということですね。平成25年6月から9月まで3回ぐらいお父さんに連絡をされたということなんですけど、その間、吉松さんのお父さんはあなたに対して連絡を拒否したり、敵対的な態度をとったりということはありましたか?

谷口元一 ないです。

池田尚弘弁護士 そのお父さんに連絡をされたころ、あなたは吉松さんの実家、お父さんが暮らしているところに何か資料を送ったことはありますか?

谷口元一 あります。

池田尚弘弁護士 どういった資料を送りましたか?

谷口元一 私がいかにだまされたかという資料を送りました。

池田尚弘弁護士 先ほどおっしゃっていた判決でテイラーさんが谷口さんを騙したから、1000万円払えという判決が出たので、その判決の資料を送ったということですね?

谷口元一 はい。

池田尚弘弁護士 なぜその資料を送ったのですか?

谷口元一 お父さんから求められて、その資料を……。

池田尚弘弁護士 お父さんの方から依頼されて、送ったということですね。その他にも何か送ったものはありますか?

谷口元一 どこの新聞かは忘れましたが、新聞記事を送りました。

池田尚弘弁護士 はい。あの甲20号証を示します。「ミス・インターナショナル美女に怪しい男の影」というタイトルが記載されている新聞の記事、これを送ったということですね。なぜ、「ミス・インターナショナルの美女に怪しい男の影」という新聞記事を送ったのでしょう?

谷口元一 マネージャーのマットさんについて書いてあるものがあれば送ってくださいと言われましたので。

池田尚弘弁護士 会話の中でお父さんから吉松さんのマネージャーのことを聞かれ、そういった記事を送ってくださいと言われて、お父さんの依頼を受けて送ったということですね。さあ、続いて、久光製薬との契約についてお話をします。原告が出したあなたと吉松さんのお父さんとの会話の中で久光製薬の中冨社長というお名前が出てきますが、どういった流れでこの中冨会長という名前が出てきたんでしょうか?

谷口元一 どこの誰か分からないのがいきなり電話しても信用してもらえないと思い、(吉松さんの出身地である)佐賀を代表する久光製薬の名前を出しました。

池田尚弘弁護士 久光製薬とあなたは何か関係があったんですか?

谷口元一 仕事上で過去。

池田尚弘弁護士 過去、仕事をしていた? じゃあ、急に連絡をしても誰か分からないので、そういった佐賀を代表する会社と以前仕事をしていたという自分の身分を分かってもらいたかったということですね。さあ、久光製薬と吉松さんとの宣伝広告契約の締結を妨げる目的で久光の関係者にあなたは吉松さんやテイラーさんのゴシップネタを何か直接告げたことはありますか?

谷口元一 ありません。

池田尚弘弁護士 その当時、久光製薬と吉松さんは企業CMの件で打ち合わせをされていたようなんですけど、そのことをあなたは知っていましたか?

谷口元一 いえ。

池田尚弘弁護士 中冨社長に対して、テイラーさんや原告吉松さんのことを何か話したことはありますか?

谷口元一 ありません。

池田尚弘弁護士 久光製薬の宣伝の担当の代理店からあなたに対して吉松さんやテイラーさんのことで何か問い合わせはありましたか?

谷口元一 マットさんと僕との訴訟の事実を、詐欺でだまされたっていう判決が出た、そのことを知った電話が先方からありました。

池田尚弘弁護士 先方というのは具体的には?

谷口元一 (電通系キャスティング会社の)ホイッスルのアマヤさん。

池田尚弘弁護士 ホイッスルのアマヤさんからテイラーさんのことについて、問われたということですね。その質問に対してあなたはどう答えましたか?

谷口元一 全部、だまされた状態で……。

池田尚弘弁護士 そのホイッスルの社長さん、アマヤさんから原告吉松さんのことについて何か聞かれましたか?

谷口元一 聞かれておりません。

池田尚弘弁護士 ホイッスルのマツシマさんという方はご存じですか?

谷口元一 存じあげておりません。(続く)


◎[参考動画]日本外国特派員協会での吉松育美さん記者会見(日本外国特派員協会2013年12月16日公開)

▼星野陽平(ほしの ようへい)
フリーライター。1976年生まれ、東京都出身。早稻田大学商学部卒業。著書に『芸能人はなぜ干されるのか?』(鹿砦社)、編著に『実録!株式市場のカラクリ』(イースト・プレス)などがある。

◎事実の衝撃!星野陽平の《脱法芸能》

芸能界の歪んだ「仕組み」を解き明かす!『芸能人はなぜ干されるのか?』
『紙の爆弾』!タブーなきラディカル・スキャンダル・マガジン

新井竜太死刑確定囚の獄中手記を全公開! 裁判員裁判初の「冤罪」主張へ

〈『さいたま地検の出鱈目を暴くゲーム』の話をしよう。〉

筆者の手元には、そんな書き出しで始まる45枚に及ぶ手記のコピーがある。執筆者は、新井竜太という。昨年12月4日、最高裁で上告を棄却され、死刑確定した46歳の男だ。

横浜市で内装業を営んでいた新井は2010年に、2件の殺人事件の容疑で検挙された。容疑内容は、従弟の無職・髙橋隆宏(42)に指示し、2008年3月に髙橋の「養母」安川珠江さん(当時46)を保険金目的で殺害させ、さらに2009年6月に金銭トラブルとなった伯父の久保寺幸典さん(同67)も殺害させた疑い。「実行犯」の髙橋が罪を認め、一足早く無期懲役刑が確定したのに対し、新井は裁判で「いずれの事件も自分は無関係で、髙橋が1人でやったことだ」と無実を訴えていた。しかし2012年2月、さいたま地裁の裁判員裁判で死刑を宣告され、この死刑判決が控訴審と上告審でも追認されたのだ。

45枚の手記は、新井が昨年の秋、最高裁の判決が出る直前に綴ったものだ。無実の自分が髙橋に罪を押しつけられて容疑者となり、警察や検察の不当な捜査によって連続殺人事件の首謀者へと仕立て上げられていく過程が当事者の立場から詳細に綴られている。

手記によると、警察や検察は当初、髙橋の供述に基づいて、新井の家族を「殺人家族」だとみており、新井のみならず、家族で殺人に関与しているかのように疑っていたという。そこで、新井は家族を巻き込まないように取り調べで自白したが、裁判では容疑を否認し、さいたま地検の作り上げた出鱈目なストーリーを暴くゲームをしているという意識だったという。

結論から言うと、筆者は2年間に渡って取材を重ね、この新井を冤罪だと確信するようになった。髙橋が実際には自分1人で2件の殺人に手を染めたにも関わらず、死刑を免れるために取調室で首謀者は新井だというストーリーをでっち上げたことを示す事実が散見されるからだ。

たとえば裁判では、髙橋が事件屋のような男や暴力団組長の元妻である女と結託し、新井から金をだまし取り、笑い者にしていたことを示すメールの記録が示されている。そしてそもそも、髙橋は新井とは関係なく、安川さんをはじめ、出会い系サイトで知り合った様々な女性を売春させるなどして金をむしり取るなどの悪事を重ねていたことも明らかになっている。にも関わらず、髙橋は2件の殺人については唐突に新井の指示で実行したような話をしているのだが、あまりに不自然なことである。

◆手記に示された冤罪の難しさ

新井竜太の手記01

ただ、何も知らない人が新井の手記に目を通しても、おそらく新井のことを無実だとは思えないだろう。その文体には独特のクセがあるからだ。

たとえば、新井は手記で、逮捕された時のことを次のように書いている。

〈騙し討ちのような突然の拉致、そして監禁――
そんな、隣国の秘密警察が得意とする卑怯な行為を仕掛けて来たのは、さいたま県警の連中だった。
「俺達は、正規の手続きを踏んで逮捕しているんだ!」
抵抗する僕に、刑事は紙切れをひらひらさせて胸を張る。〉

〈「ワタシ、ハングル、ノーノ―」と抗ったのも僕としては妥当な行動だ。
「フザケるな」と刑事に怒鳴られたが、フザケてないし。〉

この文章を読み、新井のことを無実と思えないどころか、殺人者が悪ふざけしているような印象を抱いていた人もいるのではないかと筆者は懸念する。新井の45枚の手記では、このような記述が延々と続く。それゆえに筆者は、新井の手記を読み、新井のことを無実だと思える人は少ないだろうと予想するのだ。冤罪の難しさはここにある。

◆「普通ではない人」が重大犯罪の濡れ衣を着せられる

新井竜太の手記02

というのも、筆者はこれまで様々な冤罪事件を取材してきたが、殺人のような重大犯罪の濡れ衣を着せられる人は、実は大半が「普通ではない人」だ。最たる例があの河野義行だろう。

河野はオウム真理教が起こした松本サリン事件によって奥さんが寝たきり状態となり、自らも負傷したうえに重大な冤罪被害に遭った。にも関わらず、事件の首謀者を「麻原さん」と呼び、「限りある人生の時間は人を恨むより、有意義なことに使いたい」と言ってのけている。無実だと誰からも知られた今だからこそ、河野はこうした言動によって「立派な人」だとか「人格者」だと評価されている。しかし、世の多くの人は仮に河野がまだ疑われている時期に、河野のこのような人柄に触れたなら、「あいつは犯人だから、そんなことを言うのだろう」と思ったことだろう。

同じようなことが、警察車両で4人殺害事件の容疑者として連行されながらニコニコし、毎日新聞に「不敵なうす笑い」などと書かれた袴田巌にも当てはまる。袴田が日本の大半の人から冤罪被害者と認識された今でこそ、この時の袴田の笑みは「すぐに自分の疑いは晴れるはずだ」と確信しているからこその余裕の笑みだと誰もが思う。しかし当時、この記事を見た人たちは「なんというふてぶてしい犯人だ」と思ったはずである。無実の身で有罪なら死刑という重大な事件の容疑をかけられながら、ニコニコするというのは「普通ではない」からだ。

では、新井はどうか。筆者は2年間、新井を取材してきて、新井のことも「普通ではない人」であるように認識している。人となりに関する評判はむしろ良い。ただ、ものの考え方や言動が独特で、誤解をまねきやすいところがある。それが今、新井が苦境に陥っている原因の1つになっている。それが筆者の見方である。

仮に今後、新井が誰からも無実だと思われる冤罪被害者になれば、この手記も「死刑確定が間近に迫った時期においても、(ブラック)ユーモアあふれる手記を獄中で綴っていた人物」と評価されることになるだろうと予想する。だが、そうならなければ、そこに待っているのは冤罪処刑という悲惨な結末だろうと筆者は考えている。

実を言うと、新井は2009年に始まった裁判員裁判で、完全無罪を訴えながら死刑が確定した初めての例である。そんな人物が今後どんな運命をたどるのかをぜひ、読者諸氏にも注視して欲しい。そんな願いをこめ、ここに新井の手記45枚を公開しておく。

◎全文公開=新井竜太の手記45枚のPDF

新井竜太の手記

▼片岡健(かたおか けん)
1971年、広島市生まれ。早稲田大学商学部卒業後、フリーのライターに。新旧様々な事件の知られざる事実や冤罪、捜査機関の不正を独自取材で発掘している。広島市在住。

◎家族3人の命が奪われたのに──広島県警が放置する「ある重大未解決事件」
◎3月に引退した和歌山カレー被害者支援の元刑事、「美談」の裏の疑惑
◎発生から15年、語られてこなかった関東連合「トーヨーボール事件」凄惨な全容

タブーなきスキャンダルマガジン『紙の爆弾』2月号!【特集】安倍政権を支える者たち!

新日本キック新春興行「WINNERS 2016 1st」は好カードづくしでファンを魅了!

◎WINNERS 2016 1st / 2016.1.10 後楽園ホール 17:00~21:25
 主催:治政館ジム / 認定:新日本キックボクシング協会

メインイベントは志朗(松本志朗/治政館)が挑戦するISKA世界バンタム級王座決定戦。チャンピオンのディーン・ジェームス(イギリス)が負傷欠場で王座返上。1位.ダニエル・マッグウォーン(イギリス)と5位.志朗が王座決定戦を行なうことになりました。志朗は昨年5月17日にISKA世界ランキング査定試合で、ネクター・ロドリゲス(スペイン)にKO勝利しており、挑戦資格圏内に入りました。

この日の志朗の試合は1月30日(土)テレビ埼玉で20:00より、土曜スペシャル枠で「志朗ドキュメンタリー」が放送されます。

◆ISKAは「キック系ではいちばん権威ある世界王座」

世界認定機構が多く存在するキックボクシング系競技は、プロボクシングの発展経緯とは異なり、発展途上の段階で多くのマイナー世界認定機構が出現した競技でしたが、その中でISKA(International Sport Kickboxing Association)は、1986年にアメリカ・フロリダ州に拠点を置く組織として設立し、同年ヨーロッパに統括本部が発足。1990年代にはヨーロッパ各国で活発な世界戦開催で権威を増し、2000年代に入って日本でも世界戦が行なわれてきた経緯があり、「キック系ではいちばん権威ある世界王座」とファンや業界内では言われています。

ルール別により王座が複数あったり、階級リミット設定がプロボクシングより異なる点はありますが、知名度と活動実績は他の団体より、はるかに進んでいるようです。今回のISKA世界戦開催に当たり、ISKA日本代表・加藤勉氏が立会人として認定宣言をされています。

《主要5試合の結果》

◆ISKAムエタイ世界バンタム級(55.0kg)王座決定戦 5回戦
1位.ダニエル・マッグウォーン(イギリス/55.0kg)vs 3位.志朗(治政館/54.7kg)
勝者:志朗 / 0-3 (主審 和田良覚 / 副審 少白竜 47-48. 桜井 47-48. 仲 46-49)
ムエタイルールとして行なわれている展開としてはどちらにポイントが流れるかわからない攻防ながら、志朗がローキックによる主導権支配とボディーへのパンチがダニエルの動きを鈍らせ判定勝利。

ダニエル・マッグウォーン(左)vs志朗(右)。接近戦ではヒジ打ちに注意だが、志朗も対策は充分

◆55.5kg契約 5回戦
日本バンタム級チャンピオン.瀧澤博人(ビクトリー/55.45kg)vs タイBBTVバンタム級チャンピオン.パカイペット・ニッティサムイ(Prakyphet/タイ/55.5kg)
勝者:パカイペット・ニッティサムイ / TKO 5R 1:38 / 左ミドルキック受け劣勢の中、タオル投入による棄権。
ローキックとパンチの重さと次に繋げるパカイペットの前進力が瀧澤を後退りさせる。昨年、強気で“日本を越えて上のステージでの戦い”をアピールしていた瀧澤でしたが、やっぱりムエタイ一流選手相手には、瀧澤が新人のように見える力の差が表れました。この敗北からまた瀧澤の再浮上に期待と注目が集まります。BBTVはタイ7チャンネルのテレビ局で、歴史は古い団体です。

パカイペット・ニッティサムイ(左)vs瀧澤博人(右)。ミドルキックで瀧澤の腕を殺していく、すべてが重い蹴りだったパカイペット

◆52.0kg契約 5回戦
日本フライ級チャンピオン.麗也(高松麗也/20歳/治政館/52.0kg)vs 伊藤勇真(前・WPMF日本フライ級C/18歳/キングムエ/51.7kg)
勝者:麗也 / 3-0 (49-47. 50-47. 50-47)
学年でひとつ違い、話題の低年齢のアマチュアキックから始め、タイでも戦ってきた両者で、その頻度と現地定着率は伊藤が上回っていますが、タイで活躍している方が負けるのは昔からよくあるパターンでした。 ホームリングで戦う麗也のキックボクサーとしての積極性が主導権を握り判定勝利。両者の経験値が増せばまた違った展開になるでしょう。今後も何度でも対戦して欲しい両者です。

麗也(左)vs伊藤勇真(右)。若い対決。主導権を握った麗也のハイキック

◆日本ウェルター級挑戦者決定戦3回戦
1位.松岡力(目黒藤本/66.3kg)vs3位.政斗(治政館/66.25kg)
引分け / 0-0 (29-29. 29-29. 29-29 / 延長戦 9-10. 9-10. 9-10)
引分けにより、上位進出を懸ける試合に義務付けられる“優勢”を決める延長戦に入り、政斗の優勢点で“勝者扱い”。戦歴では7戦同士、このところ、大物に勝利している松岡有利かと思われましたが、政斗のしぶとさと、松岡もスタミナ切れか戦略を誤ったか、失速が目立ちました。政斗は、チャンピオン.渡辺健司(伊原稲城)への挑戦権獲得。

松岡力(左)vs政斗(右)。松岡力もしぶとい技があり、ヒザ蹴りで攻める

◆日本フェザー級挑戦者決定戦3回戦
2位.瀬戸口勝也(横須賀太賀/56.9kg)vs3位.石原将伍(ビクトリー/56.9kg)
勝者:石原将伍 / 0-3 (26-29. 26-29. 26-29)
強打者同士の対決。第1ラウンドに右ストレートでダウンを奪った石原でしたが、次第に回復した瀬戸口の反撃に押されるも、第3ラウンドに再び連打でダウンを奪って結果的に大差判定勝利となりましたが、打ち合い激しく勝利がどちらに転ぶかスリルある展開でした。石原将伍は、チャンピオン.重森陽太(伊原稲城)への挑戦権獲得。

瀬戸口勝也(左)vs石原将伍(右)。ダウン奪われてもパンチ力に自信ある瀬戸口が反撃

新日本キックボクシング協会、次回興行は3月13日(日)伊原プロモーション主催のMAGNUM.40が開催されます。

[撮影・文]堀田春樹

▼堀田春樹(ほった・はるき)
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない。」

◎芽が出始めたムエタイ新時代──タイで通用する若手選手が続々出現!
◎ティーンズチャンプがキック界を刷新する?──2015年回顧と2016年展望
◎強くなるためにタイへ行く!日本キックボクサー「ムエタイ修行」今昔物語
◎ルール変更の紆余曲折から辿る日本キックボクシング界の栄枯盛衰クロニクル
◎キック新時代を牽引するRIKIXジムの「NO KICK NO LIFE」

『紙の爆弾』2月号!【特集】安倍政権を支える者たち!

「先頭で行動する政治学者」山口二郎氏を迎えて前田日明ゼミ第4回開催!

1月16日西宮市甲子園ノボテルで第4回の「前田日明ゼミ」がゲストに法政大学教授で政治学者の山口二郎氏を迎え80余名の参集のもと行われた。

松岡社長の挨拶に続き、山口氏の講演がはじまった。「おとなしくアカデミズムの世界で仕事するのは終わりかなと考え東京に移った」という山口氏は、この間、先頭に立って行動してきた学者である。

山口二郎氏

「天皇制と、戦争放棄が密接な関係にある憲法、天皇陛下の方が安倍総理より余程真っ当な歴史認識を持っている、無責任な支配の特徴、主観と客観の区別がつかない。かつての自民党には官僚出身の合理的政治家、地べたを這いずるように弱者を助けようとする政治家がいた。政治に蔓延する『反知性』主義、今年は闘いの年、自由は突然奪われるのではなくひたひたと圧迫や弾圧のレベルが上がってくる。民主主義をどう育てるか、私自身も野党結集を画策している。選挙に行かないとどうにもならない。安倍政治が本当にいいかどうか考えたら変わる。やればできる」(山口氏)

山口二郎氏と前田日明氏

休憩をはさんでホストの前田氏との対談に移った。

前田氏が対談で訴えたことは、「小泉政権から始まった偽りのグローバルスタンダード」「安倍政権は経団連株を買っている」「学生の連中も安保法案に対いて頑張った。そこが日本政治を変えて行けるように期待している。次の選挙は18歳から選挙権が与えられるので注目している」ということだった。

これに対して、山口氏も強い危機感で反応した。
「日本はまとまった見解を米国にぶつけたことがない。それが出来る政治家を作り上げていかなければいけない」「選挙で下手をすると二大政党制は無くなってしまう」「政権奪取の意欲が民主党に薄れている」「自信喪失。新しい物を議論すればいいのに、おおさか維新と組みたいとか『集団的自衛家』一部容認など言い出せば国民への訴求はない」

前田氏はさらに「日本の美しさ、理念の破壊が90年代頃から進んでいる。日本人は自国のものでなくとも技術を磨きそれを改良していく美しい連鎖があったが、アメリカの『グローバルスタンダード』で潰されそうだ。そのきっかけを作ったのは小泉純一郎だ」と喝破する。

次いで両氏が最近の動向について意見を交わす。

山口 大人が若者に利用され搾取されている。マスコミの現場の人が頑張って視聴者が応援していく。

前田 はっと気づいたらおかしな時代になっているのではないか。安保法制はどうとも思わないけど憲法9条は絶対守るべきだと思う。自国は自国で守るべきだと。国として自衛をするんだったら自分は賛成。自衛隊法のような不備な法律では戦えない。でも安倍はアーミテージから言われたこを実行しているだけ。

丁々発止の議論がテンポよく行われた。次いで会場からの質問が出された。

質問者「日本へのアメリカの影響力具体的な行動を教えてください」

山口 「90年代から日米安保運用が変化してきた。実務的には既に様々な関係がある上に安保法制を上乗せするのはおかしいと言うのが言いたかったこと。でも米中には絶対戦争しない黙約がある。尖閣も棚上げて数十年前に戻すべきだと思う。これからISの地上戦にアメリカが進む時に日本はどう対処するかを考えておくべき。ISを軍事力で解決できるかという問いがある。下等生物は切っても、切ってもまた増殖する。アメリアの軍事力行使と距離をおいて考えていくべきだ」

前田 「東京オリンピックにおける『テロ』が怖いと思う。報道にも大きな問題があり一概にISが悪いとは言えない。アメリカの誤爆、誤射にも大きな原因がある。安倍首相はそこで何か起こったら『ほらこんな体制では危険だろ』といってさらに強化を図ろうと考えているのではないか」

と多岐にわたる話題展開され、あっという間に終了時間を迎えた。

「ゼミ」終了後はお二人の講師を交えて懇親会が行われた。時あたかも甘利経済再生担当大臣への1200万円の賄賂疑惑が沸き起こり、株価は連日暴落を続けている。
益々の混迷が明らかな2016年。鹿砦社主催の「西宮ゼミ」は今年も多様な価値をお届けし続けることだろう。

次回2月28日(日)には木村草太氏をゲストにお招きし手の開催が決定している。受講ご希望の方は早目のお申し込みを。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

◎第3回「前田日明ゼミin西宮」──田原総一朗氏を迎えて聴衆120人の大盛況!
◎第1回前田日明ゼミ開催!──新右翼鈴木邦男さんと「真の愛国者」を問う!

『紙の爆弾』!タブーなきラディカル・スキャンダル・マガジン