フジテレビの凋落はどこから始まったのか

フジテレビの視聴率がふるわず、4位に落ち込んでいる。「振り向けばテレビ東京」状態になった原因について、さまざまな報道や検証がなされている。加藤浩次がAKB48の渡辺麻友の頭を蹴ったとか、日本テレビの『24時間テレビ愛は地球を救う』と同じタイミングで、24時間テレビをパクったような節操のなさも指摘されている。
「芸能事務所と癒着しすぎで、キャスティングありきの番組作りが問題」「いや、幹部連中がバブル時代の夢よもう一度、という感じでかつての金銭感覚から脱却できない」とさまざまな見方がある。

このところ、視聴率が好調なテレビ朝日は、ひとまず新企画は深夜番組でトライしてみて、好評ならば、ゴールデンタイムにもっていくというアプローチをしている。結果として制作プロダクションや作家が「フジテレビに企画をもっていくと却下されるが、テレビ朝日はすぐに採用してくれる」とおもしろい企画が集中するようになった。たとえば『いきなり! 黄金伝説』は2001年からスタートしたが、これも、ココリコが深夜番組で成功させてのゴールデン昇格である。

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女優だよりのAV時代に、一石を投じる演出勝負

芸能人がAVに転身するのが、まるで珍しくなくなった、昨今。
元芸能人でなくとも、AVギャルの質は上がっている。昔から美少女AV嬢はいたが、まともにセックスしていればまだいいほうで、疑似セックスであることも多かった。
ところが今は、かなりきれいなAV嬢でも、多人数プレイや野外ファックなど、過激な撮影にも応えなければ、やっていけない時代になった。

もはやAVは、女優だよりになってしまった感がある。
そんななかで、演出にこだわっているのが、『脅迫スイートルーム』(ドリーチケット)だ。受付嬢や女医、CA、教師などが、負い目を背負って軟禁されて、体で借りを返すという設定だ。

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水曜どうでしょう祭に見る、地方活性化のヒント

こんな祭が、今まであっただろうか?
ステージで喋るのは、4人のオヤジ。くるくると回るスポットライトが止まって、1人を照らす。ほくそ笑んで、男性は起ち上がってマイクの前に立つ。
「シカでした」
集まった2万人近い観客が、ドーンと笑う。

9月の6日から8日までの3日間、北海道・札幌の真駒内セキスイハイムスタジアムで開催された、「水曜どうでしょう祭」である。
3日間の参加者総数は、5万4千人に上った。

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Yesterdayからみる一般常識

ネットの質問サイトでこんな投稿があった。
「『Yesterday』という曲は、多くの有名ミュージシャンが歌っているのに、どうしてポール・マッカートニーが歌うものがポピュラーなのですか?」
人によっては「そんなことも知らないのか、常識だろう」とあざ笑うような質問だ。真面目に答えればポールが作曲し、ポールが歌ったものがオリジナルだから、という簡単な答えだ。しかし私は、どうしてこのような疑問が出るのか、考えてみた。

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映画『へルター・スケルター』を井筒監督が罵倒した訳

ちょうど昨年の7月に沢尻エリカが5年ぶりに主演した『へルター・スケルター』が公開されたが、沢尻エリカの育ての親ともいえる井筒監督が「沢尻はなんであんな作品に出たんやろか。乳を見せることでしか勝負できへんかったのやろうか」「美術として背景は美しいが、内面はまったく描かれていない」と酷評したために、まったく見る気にはなれなかった。もしも近所のビデオ屋で「夏休み、旧作80円でレンタル」キャンペーンをやっていなければ、まず見る機会はなかっただろう。
それでも、蜷川実花監督が作り出す、摩訶不思議なインテリアは、映画美術的には、一見の価値があるような気がする。

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映画『真夏の方程式』は失敗作か

福山雅治演じる湯川教授が、「苦手というより、嫌いだ」とする子供との交流を描いた「ガリレオ・シリーズ」でも異色の作品が『真夏の方程式』である。
東野圭吾の原作を、福山が物語の中心になると、こうもつまらなくなるのか、という点で、このシリーズはやはり「ゲストしだい」というイメージを拭えなくなった。

柄崎恭平は小学5年生。夏休みを親戚の旅館で過ごすため、玻璃ヶ浦にやってきた。電車の中で携帯を巡るドラブルで、湯川に助けてもらったことで交流が始まる。両親が多忙なため、一人で過ごすことも珍しくなく、ゲームで遊んでばかりいた。宿題がはかどらず、特に理科が苦手であったが、湯川との出会いで少しずつ心境に変化が訪れる。やがて彼のことを「博士」と呼ぶようになるが、ある日、旅館の主人と妻を訪ねてきた刑事が突如として死体として発見されて、恭平は「これは自殺ではない」と断言する。事件に遭遇した湯川は「ある人物の人生が捻じ曲げられる」ことを防ぐために、真相に挑んでいく。鍵を握るのは、16年前に塚原が担当した元ホステス殺人事件。そして、その裏には旅館の家族が隠さなければならなかったある重大な秘密があった。

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宮崎駿を非難する原発推進派と禁煙派

宮崎駿監督について語る本を書いたことがあるので、私は、ある月刊誌から協力を求められた。
映画それ自体の話ではなかった。同監督らスタジオジブリの発行する冊子が、平和憲法を変えてはいけない、という特集を組んだことや、その前から原発に反対を表明していることについて、批判する記事を書くためだという。

この某月刊誌は、商売で右よりの記事を書いて、その筋の政治家らに定期購読をしてもらっているという。
それで、原発に批判的な論調の朝日新聞や岩波書店にも、激しい攻撃をしている。従事している人たちは、商売と割り切っているそうだ。
そのような商売には、協力できなかった。なんという雑誌かは、今は伏せるが、じき発売されるので、内容からわかるはずだ。
このようなスタンスの雑誌は、他にも何誌か、電車や駅で広告をよく見かける。やはり商売なのだろう。

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プロデビューで日本ミドル級1位になった村田諒太は、世界を翔るのか

昨夏のロンドン五輪ボクシング男子ミドル級で、日本選手として48年ぶり2人目の金メダリストになった村田諒太(27)=三迫=が8月25日、東京・有明コロシアムで、鮮烈なプロデビューを果たした。本来のミドル級より500グラム重い73キロ契約のノンタイトル6回戦で、東洋太平洋ミドル級王者の柴田明雄(31)=ワタナベ=を二回レフェリーストップによるKO(TKO)で倒した。
これを受けて、日本ボクシングコミッション(JBC)は27日、都内でランキング委員会を開き、村田を日本ミドル級1位にランクインさせた。

村田は殊勝にも「僕の体重に合わせて調整してくれた柴田選手に感謝したい。(プロの)リングに立てる幸せを感じた。誰もが認める(世界)チャンピオンになりたい」と話している。

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藤圭子さん転落死の真相を追う

「圭子の夢は夜ひらく」などで知られる、歌手の藤圭子さんが8月22日午前、東京都新宿区のマンションの高層階から転落し、死亡した。62歳だった。警視庁新宿署は飛び降り自殺を図った可能性があるとみて慎重に調べている。
「宇多田ヒカルの母、として報道されますが、中年以降の男性にとっては、魅力的な陰を伴った妖艶な歌手として、惹かれる存在だったのではないでしょうか」(芸能記者)

『不幸なスター・有名人 レコジャケ・厳選100人』(鹿砦社)には、自殺と自殺未遂を含めて、23人のスターが載っている。スターとは言え、必ずしも幸福ではないことを、その数は物語っている。
娘を成功に導いた藤圭子は、悠々と幸せな生活を送っているのではなかったのか?

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あらゆる音楽の入り口に、佐久間正英さんが立っていた

音楽プロデューサーの佐久間正英さんが、末期ガンに侵されていることをブログで告白した。脳に転移したと思われる腫瘍以外は、あえて治療せずにガンと共に生きる道を選んだ。
彼の名前を初めて見たのは、いつだっただろう。BOOWYやTHE BLUE HEARTS等を聴き始めた頃だから、80年代の後半頃、小学生の時だ。買うCDの殆どに、編曲やプロデューサーとして彼の名前を目にした。
「さくましょうえい? 誰なんだろう」
プロデューサーという仕事が何なのかもわからなかったが、よく目にする名前だと思っていた。

それもそのはず、80年代より現在に至るまで、JUDY AND MARY、GLAY、黒夢、エレファントカシマシ……彼がプロデューサーとして手がけたミュージシャンは数知れない。とりわけ、80年代~90年代のロックバンドにとっては、影響力という点で彼の右に出るものはいない。私を含め、ロックの入り口に彼が立っていたという人は、星の数ほどいるだろう。

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