「杉田水脈の議員辞職を求める自民党本部前抗議」の前日、2018年7月26日に記録されたウェブ魚拓で、面白いものがある(https://archive.md/jPDUy)。

デモを呼びかけた平野太一氏と、「ひな」という女性とおぼしき人物の会話だ。

ひな「どうして怒ってない人は関係ないって思うわけ?ほっといて欲しいって感情も尊重されなきゃ!自分達が生産性がないって言われて腹が立つぐらいなら同じ境遇の人達にも寄り添わないと」

平野「怒ってないゲイは、杉田水脈の言うように、『LGBTは生産性がない』とされる社会でも特に問題はない、と思っているわけです。私はそれに同意しないから意思表示をしているのであって、彼らの言い分を代弁することは却って傲慢な寄り添いです」

ひな「貴方みたいな人をたまにレストランとかで見ますよ。家族連れなのに下手に出るしかないウエイト相手に大声でいちゃもんつけてる親父!周りや家族の迷惑そっちのけで自分が腹立ったからって騒ぐ。家族が他の人からどんな目で見られるかなんて配慮できないんでしょうね。家族からしたら本当に迷惑」

ひなさん、どこのどなたであるかは存じあげませんが、あまりにも的確で辛辣なたとえに、思わずニヤニヤしてしまいましたよ。

レストランでたまに見かける迷惑な親父! いやぁ、痛快、痛快!(笑)

迷惑な親父にたとえられる平野太一氏

さて。7月27日と8月5、6日の抗議デモの後も、しばき隊界隈活動家による杉田水脈氏に対する侮辱・恫喝・脅迫ツイートやリアルでの講演会妨害を呼びかける悪質な動きはあったのだが、それに関しては後に詳細を述べさせていただくとして。

9月18日には「新潮45」10月号が発売され、その特別企画として「そんなにおかしいか『杉田水脈』論文」と題し、LGBT当事者を含む保守の論客が、しばき隊に扇動された世論に対する反論を寄稿している。

「新潮45」10月号の表紙には「そんなにおかしいか『杉田水脈』論文」の文字

各論考のタイトルと筆者は、以下のとおり。

【特別企画】そんなにおかしいか「杉田水脈」論文
◆LGBTと「生産性」の意味/藤岡信勝
◆政治は「生きづらさ」という主観を救えない/小川榮太郎
◆特権ではなく「フェアな社会」を求む/松浦大悟
◆騒動の火付け役「尾辻かな子」の欺瞞/かずと
◆杉田議員を脅威とする「偽リベラル」の反発/八幡和郎
◆寛容さを求める不寛容な人々/KAZUYA
◆「凶悪殺人犯」扱いしたNHKの「人格攻撃」/潮匡人

◎「新潮45」公式サイト https://www.shinchosha.co.jp/shincho45/

そして、特別企画「そんなにおかしいか『杉田水脈』論文」のリード文を、以下に抜粋する。

8月号の特集「日本を不幸にする『朝日新聞』」の中の一本、杉田水脈氏の「『LGBT』支援の度が過ぎる」が、見当外れの大バッシングに見舞われた。主要メディアは戦時下さながらに杉田攻撃一色に染まり、そこには冷静さのカケラもなかった。あの記事をどう読むべきなのか。LGBT当事者の声も含め、真っ当な議論のきっかけとなる論考をお届けする。

すべてに目を通してみたが、特に差別的と感じられる内容ではなかった。もちろん、保守派ではない私が百パーセント賛同できたわけではないが。

各論考から一点ずつ、私が注目すべきと感じた部分を抜粋する。

◆藤岡信勝(教育研究者、新しい歴史教科書をつくる会副会長)
 しかし、そもそも尾辻氏の発言は杉田論文の誤読なのである。杉田氏は、「子どもを持たない、もてない人間は『生産性』がない」などとはどこにも書いていない。(中略)もしこれが意図的な「誤読」なら、尾辻氏は優秀なデマゴーグということになる。

◆小川榮太郎(文藝評論家)
 「弱者 」を盾にして人を黙らせるという風潮に対して、政治家も言論人も、皆非常に臆病になっている。

◆松浦大悟(元参議院議員)
 (自民党本部前抗議デモに関し)ところが、多くのLGBT当事者から「なぜ、反天皇制や安倍総理退陣のプラカードを掲げるのか?」「差別発言には抗議したいが、保守の自分はこれでは参加できない」との声が上がっていたことは意外にも知られていません。

◆かずと(平成探究家)
 ここでようやく私は気づいたのです。なぜ、同じ国会議員でありながら尾辻さんが直接杉田さんに対話を求めなかったのか。
 あなたはLGBTに税金を投入する必要がないことが分かっているからです。

◆八幡和郎(評論家、徳島文理大学教授)
 このような「メディア・リンチ」ともいうべきことが、パワハラ事件などではなく、純然たる言論に対して行われたことは前代未聞なのではないかと思う。

◆KAZUYA(ユーチューバー)
 今回の騒動で懸念するのは、当事者ではない外野が騒ぎまくって、LGBTが腫れ物扱いされることです。デモ活動なども行われましたが、LGBT当事者のためなのかと疑問なのです。

◆潮匡人(評論家)
 (杉田水脈氏および杉田論文を相模原障害者殺人事件の被告やヒトラーの優生思想と同一視する報道をしたNHKに対し)ここまで徹底的に叩くのは病的にさえ見える。杉田議員ではなくNHKこそ、ヒトラーや凶悪犯罪者と「根っ子は一緒」ではないのか。

ここまで拙稿を読み進めてくださった読者諸氏には、うなずいていただけるのではないだろうか。なお、 寄稿者のうち、松浦大悟氏とかずと氏はゲイとしてカミングアウトしている当事者である。

さらには、かずと氏のブログ「うちの旦那はオネエさま」(http://yopparae.sblo.jp)には、リアルタイムの記事が現在も残されている。尾辻かな子氏のツイートに疑念を感じたLGBT当事者の記録として、価値あるものだと言えよう。

7月19日 その自称「LGBT」は本物のLGBTですか?

7月23日 朝日新聞とLGBTが今年中に壊滅しますように

7月25日 尾辻かな子と石川大我は同性愛者の恥

7月29日 杉田水脈を批判する方へ

元々は尾辻かな子氏のファンであったというかずと氏の怒りの記事は、まだまだ続くので、ご興味がおありの方は彼のブログ記事をさらに先にたどっていただきたい。

「新潮45」10月号に寄せられた論考には、健全な議論に発展できる要素が充分に含まれていた。ところが、世間は「杉田論文を擁護することこそが、悪!」「杉田論文を全否定しない者は差別主義者!」というムードに完全に染まっていた。なにしろ、この頃になったら、メディアが競って杉田論文を叩き、大衆の怒りを扇動していたのである。

杉田論文をきちんと読んだLGBT当事者が「それは尾辻かな子氏の誤読もしくはデマ」と反論しても、「差別主義者!」と罵られて、ネットリンチにかけられておしまい。他人事だから杉田論文も読もうともせず、扇動に乗せられた異性愛者が、LGBT当事者を「差別主義者」として叩く。まさにマジョリティの傲慢。そもそも、LGBTを差別してきたのは、あなたがたではなかったか?

知識人・文化人・言論人までが、こんな調子なのだから、痴れ者ここに極まれり。一億総軽率! 杉田論文を読んでないというのは、つまり、原典には当たってないということだ。知識人・文化人・言論人と呼ばれるにふさわしくない愚鈍な者どもが、社会からあぶり出されたということでもあるが、彼らはいまだにそれに気づいてない。

世の中、愚か者と腰抜けばかりだ! 

加えて、「新潮45」10月号発売直後には、しばき隊ウォッチャー各位があきれてひっくり返るレベルの、さらなる展開があった。

なんと、新潮社出版部文芸の公式ツイッターアカウント(https://twitter.com/Shincho_Bungei)までがしばき隊に同調……一体、どういうエンタメだよっ?(苦笑)(つづく)

遠回しにしばき隊に連帯し、新潮社社内で一人いい子ぶる出版部文芸の姑息なツイート

◎[過去記事リンク]LGBT活動家としばき隊の蜜月はどこまで続くぬかるみぞ
〈1〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40264
〈2〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40475
〈3〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40621
〈4〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40755
〈5〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40896
〈6〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=44619
〈7〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=45895
〈8〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=45957
〈9〉 http://www.rokusaisha.com/wp/?p=46210
〈10〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=46259
〈11=最終回〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=46274

 

▼森奈津子(もり・なつこ)

作家。立教大学法学部卒。90年代半ばよりバイセクシュアルであることを公言し、同性愛をテーマにSFや官能小説、ファンタジー、ホラーを執筆。『西城秀樹のおかげです』『からくりアンモラル』で日本SF大賞にノミネート。他に『姫百合たちの放課後』『耽美なわしら』『先輩と私』『スーパー乙女大戦』『夢見るレンタル・ドール』等の著書がある。
◎ツイッターID: @MORI_Natsuko https://twitter.com/MORI_Natsuko

◎LGBTの運動にも深く関わり、今では「日本のANTIFA」とも呼ばれるしばき隊/カウンター界隈について、LGBT当事者の私が語った記事(全6回)です。
今まさに!「しばき隊」から集中攻撃を受けている作家、森奈津子さんインタビュー

《関連過去記事カテゴリー》
森奈津子「LGBT活動家としばき隊の蜜月はどこまで続くぬかるみぞ」

『暴力・暴言型社会運動の終焉』

さて。
2018年7月18日に、いわゆる「杉田論文」を掲載の「新潮45」8月号が発売され、当時、衆議院議員であった立憲民主党の尾辻かな子氏が、ほぼデマと言える意図的な要約ツイートをした。

それに扇動された人々が騒ぎ、しばき隊界隈と東京レインボープライドが杉田水脈氏と自民党に対する抗議デモを呼びかけ、27日には「杉田水脈の議員辞職を求める自民党本部前抗議」を実施。しかしながら、その暴力性とダサさゆえに、LGBT当事者からは大不評。

それでも、マスコミはデモがLGBTの総意であるかのように報道した。LGBT当事者の抗議の声を、マスコミは完全スルーしたのである。

世の異性愛者たちはすっかりだまされ、知識人や文化人までが、しばき隊に同調した。

8月5日には、しばき隊界隈呼びかけの「杉田水脈議員の差別発言に抗議する渋谷ハチ公前街宣」が実施される。実は、同日、そのデモの他にも「杉田辞職しろ大阪街宣」「杉田水脈の差別発言に抗議する福岡・天神PARCO前街宣」が、翌6日には「杉田辞職しろ伊賀街宣」といったしばき隊デモが実行に移されている。
 
マスコミは、またしてもそれらを好意的に報道。

だが、それが清く正しいデモであるのなら、しばき隊系活動家を一般人であるかのように偽って報道する必要はありませんよねぇ? 朝日新聞さん?

――というのが、これまで拙稿が追ってきたおおまかな流れ。

しばき隊系活動家は官邸に自由に出入りできる権力者だった

自分が呼びかけたデモがここまで話題になり、「我が世の春」だか「頭の中が春」だかの状態になった平野太一氏は、こんなツイートをしている。

「どうも~!民主党政権時に官邸に自由に出入りしていた平野太一どぇ~す!フゥ~!…わしゃどんな権力者やねん笑」

反差別だのなんだのお綺麗なことをおっしゃっているが、その正体は権力志向のくだらん俗物であるということを証明するかのようなツイートであるが、内容自体は事実なのだろう。となると、このスクショは旧民主党、現立憲民主党にとっては大打撃となりかねないブツである。

「民主党政権時に官邸に自由に出入りしていた」というしばき隊/ANTIFA系ゲイ活動家が、立憲民主党の尾辻かな子氏のデマを利用し、反自民デモを計画、LGBT活動家が共闘し、大手マスコミも同調したのである。

端的に申しまして、どいつこもいつも雁首そろえてバカ揃いということでございましょう。

もちろん、自民党叩きのチャンスを、共産党の機関紙「赤旗」も逃しはしなかった。

しかも、アホなことに(あるいは、大手新聞との差別化を狙い?)、デモがしばき隊系活動家の呼びかけであり、東京レインボープライドが乗ってしまったことを、バッチリ記録に残している。

「抗議を呼びかけた、平野太一さんが訴えました」

「抗議にはTRP(東京レインボープライド)も連帯を表明し、参加を呼びかけました。自民党本部前でもメンバーがスピーチ」

赤旗は東京レインボープライドのやらかしも報道

人権無視の差別やめろ 「杉田議員は辞職を」 自民に抗議 5000人(2018年7月28日付しんぶん赤旗電子版)

まあ、共産党にとっては自分たちの「使い捨ての兵隊」でしかない反差別チンピラどもが、日本最大のLGBTイベント・東京レインボープライドを操ることに成功したということで、「でかした!」というお気持ちなのでしょう。

さらに、赤旗に関しては、異性愛者諸氏にお伝えしたいことがある。

8月5日のしばき隊系デモ「杉田水脈議員の差別発言に抗議する渋谷ハチ公前街宣」の記事だが――。

赤旗デビューしたレズビアンYouTuberだったが……

「生産性のために生きていない」 渋谷で杉田暴言に抗議(2018年8月6日付しんぶん赤旗電子版)

この記事の中でコメントを寄せている、「レズビアンであることをカミングアウトしたユーチューバー(22)」だが……その後、突然メディアから姿を消し、現在は死亡説まで流れている女性の可能性がある。You Tube番組「性性堂堂」を仲間と主催していた鈴木南十星(なとせ)氏だ。

7月27日の自民党本部前抗議デモの写真でも、私は彼女の姿を確認している。

現在、You Tube番組「性性堂堂」のトップには「このチャンネルにはコンテンツがありません」の表示が……

◎[参考動画]You Tube番組「性性堂堂」

彼女がメディアから姿を消した理由は、まったく表には出ていない。

しかし、「活動家が突然姿を消す」という現象は、しばき隊界隈やLGBT活動界隈ではよくある話だ。活発に活動し、積極的にネット発信もしていた者が、ある日突然いなくなる。仲間たちもそれにはまったく触れない。そして、死亡説(特に自殺説)、失踪説、入院説、発狂説、逮捕説(特に違法ドラッグがらみ)等が流れる。

そして、それこそが、不健全な運動体であることの証左であるように私には思えるのだが、どうであろう?

もし、鈴木南十星氏の現在をご存じの方がいらしたら、ぜひ、ご一報いただきたい。あるいは、彼女に、一面識もない他人も心配しているのだとお伝えいただきたい(つづく)

◎[過去記事リンク]LGBT活動家としばき隊の蜜月はどこまで続くぬかるみぞ
〈1〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40264
〈2〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40475
〈3〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40621
〈4〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40755
〈5〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40896
〈6〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=44619
〈7〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=45895
〈8〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=45957
〈9〉 http://www.rokusaisha.com/wp/?p=46210
〈10〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=46259
〈11=最終回〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=46274

 

▼森奈津子(もり・なつこ)

作家。立教大学法学部卒。90年代半ばよりバイセクシュアルであることを公言し、同性愛をテーマにSFや官能小説、ファンタジー、ホラーを執筆。『西城秀樹のおかげです』『からくりアンモラル』で日本SF大賞にノミネート。他に『姫百合たちの放課後』『耽美なわしら』『先輩と私』『スーパー乙女大戦』『夢見るレンタル・ドール』等の著書がある。
◎ツイッターID: @MORI_Natsuko https://twitter.com/MORI_Natsuko

◎LGBTの運動にも深く関わり、今では「日本のANTIFA」とも呼ばれるしばき隊/カウンター界隈について、LGBT当事者の私が語った記事(全6回)です。
今まさに!「しばき隊」から集中攻撃を受けている作家、森奈津子さんインタビュー

《関連過去記事カテゴリー》
森奈津子「LGBT活動家としばき隊の蜜月はどこまで続くぬかるみぞ」

『暴力・暴言型社会運動の終焉』

以前より、私は世間の皆様方に向けて「しぱき隊界隈の反差別チンピラに成功体験を与えてはいけません」と繰り返してきた。

成功体験というのは、具体的には、彼らに「差別だ! 差別だ!」オラつかれてびびって、謝罪する必要もないのに謝罪すること。あるいは、そんなオラつきを評価してしまうこと。

つまり、そのような「成功体験」が、彼らしばき隊界隈活動家をますます調子づかせ、勢いづかせるのである。

立憲民主党の尾辻かな子氏の印象操作ツイートを発端に、しばき隊界隈とLGBT活動界隈の共闘によって盛りあがった杉田水脈氏叩きは、マスコミの愚かしいヨイショ報道によって、反差別チンピラにとって大いなる成功体験となった。

ここで、ちょっと笑える朝日新聞のしばき礼讃記事をご紹介しよう。

杉田水脈氏に対する抗議活動が各地で行われたという2018年8月6日のニュースであり、現在も2パターンの記事がウェブ上で確認でき、うち一本は動画つきである。

◎[参考記事1]杉田水脈議員に抗議、各地で “生産性ない”主張「謝罪を」

◎[参考記事2]杉田水脈議員の発言「差別だ」「まず謝罪を」 抗議デモ(動画あり)

記事内の動画の中に、しばき隊界隈活動家・谷口岳氏がコンビニのネットプリントを利用して配布した物騒なデザインのプラカードを掲げた女性がいるという事実だけでも、事情を知る者の失笑を誘うというものだが。

[左]プラカードを配布する谷口岳氏のツイート/[右]谷口岳のプラカードも大活躍!(朝日新聞ウェブ版の動画の一シーン)

さらには、記事内の抗議活動参加者へのインタビュー部分を以下に抜粋し、その香ばしさを読者諸氏と共有したいと思う。

都内から聴きに訪れたフリーライター、竹内美保さん(57)は「『生産性』の発言は議員以前に人としても失格。それなのに杉田氏は謝罪すらしていない。まずはそこから求めたい」と話した。

竹内美保さん(57)、朝日新聞にご登場!

しぱき隊ウォッチャー諸氏は、ここで「ん?」と引っかかりを感じることであろう。

竹内美保さん? 竹内……美保……さん? たけうち……みほ……さん? ズバリ、しばき隊系活動家じゃねーかよーっ!(絶叫)

おそらく、朝日新聞の記者氏は竹内氏の「正体」を承知のうえで、コメントを掲載したのであろう。こういうところから、私は「一部マスコミとしばき隊はズブズブである」と申しているのです。

なお、私はこの竹内美保氏とは一度もやりとりしたことはないのだが、ツイッターでブロックされている。いわゆる「予防ブロック」である。大物活動家様にそんなに警戒されてしまっては、ちょっと照れてしまいますね。てへっ(笑)。

[左]ツイッターで確認できる竹内美保氏のプロフィール/[右]筆者を予防ブロックする竹内美保氏

ところで、しばき隊系の抗議活動においては、しばしばドラムを叩いて仲間を鼓舞する女性活動家がいらっしゃるとの噂が、私の耳にも届いている。なんでも、その女性はウォッチャーから「太鼓ババア」と呼ばれ、畏怖の念をいだかれているのだとか。

その太鼓ババアが竹内美保氏であるか否かは未確認だが、もし、それが竹内氏であったなら、そのニックネームの「ババア」部分には「差別主義者によるエイジズム、セクシズム、ルッキズムに抗議します!」との声をあげていただきたいと、同じ女性として願うばかりである。

旧レイシストをしばき隊、現C.R.A.C.代表の野間易通氏に「おばさん」と呼ばれた私も、その点においては竹内氏と共闘したいと思う。

さて。この渋谷での抗議集会だが、ツイッター上では「 #0805杉田水脈議員の差別発言に抗議する渋谷ハチ公前街宣 」なるハッシュタグが存在する。

この手のハッシュタグは、時として、いい感じにデジタルタトゥー収集道しるべと化すのであるが、今回は、最後に、このハッシュタグをたどり、しばき隊系活動家およびその界隈とつながる政治家・文化人の皆様のツイートをご紹介したい。

しばき隊系活動家およびその界隈とつながる政治家・文化人の皆様のツイート

立憲民主党の有田芳生氏(やっぱりいましたね)、共産党の池内さおり氏(もう、こっち来ないでください)、ANTIFAやTOKYO NO HATEなどの関連団体、あの界隈と仲良しのソウル・フラワー・ユニオン(アカウント運営は中川敬氏でしょうか?)、その他活動家の皆々様……。

繰り返しますが、LGBTの人権を守ると称してオラついておられるのは、実に迷惑です。運動手法を再考してしただきたいものですが、無理なら無理でいいので、別のところでやってくださいね!

なお、ここでマスコミが成功体験を与えてしまったものだから、しばきアクション(苦笑)はさらにまずい方向へ突っ走るのであった。

次回では、それを皆様にご紹介せねばと考える次第である。(つづく)

◎[過去記事リンク]LGBT活動家としばき隊の蜜月はどこまで続くぬかるみぞ
〈1〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40264
〈2〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40475
〈3〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40621
〈4〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40755
〈5〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40896
〈6〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=44619
〈7〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=45895
〈8〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=45957
〈9〉 http://www.rokusaisha.com/wp/?p=46210
〈10〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=46259
〈11=最終回〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=46274

 

▼森奈津子(もり・なつこ)

作家。立教大学法学部卒。90年代半ばよりバイセクシュアルであることを公言し、同性愛をテーマにSFや官能小説、ファンタジー、ホラーを執筆。『西城秀樹のおかげです』『からくりアンモラル』で日本SF大賞にノミネート。他に『姫百合たちの放課後』『耽美なわしら』『先輩と私』『スーパー乙女大戦』『夢見るレンタル・ドール』等の著書がある。
◎ツイッターID: @MORI_Natsuko https://twitter.com/MORI_Natsuko

◎LGBTの運動にも深く関わり、今では「日本のANTIFA」とも呼ばれるしばき隊/カウンター界隈について、LGBT当事者の私が語った記事(全6回)です。
今まさに!「しばき隊」から集中攻撃を受けている作家、森奈津子さんインタビュー

《関連過去記事カテゴリー》
森奈津子「LGBT活動家としばき隊の蜜月はどこまで続くぬかるみぞ」

『暴力・暴言型社会運動の終焉』

前回、述べたように、杉田論文は「生産性」という言葉の選択は不適切だったものの、決して差別的な内容ではなかった。むしろ、あそこから議論を進めてゆけば、有意義な問題提起になるはずだった。

しかし、しばき隊界隈活動家とLGBT活動家とマスコミはガッツリ手を組み、杉田水脈氏を悪魔化し、バッシングを続けた。

なお、マスコミは、デモ「杉田水脈の議員辞職を求める自民党本部前抗議」の背後に俗に「しばき隊」と呼ばれる暴言路線の運動体が存在することには、まったく触れなかった。それどころか、杉田氏叩きを扇動し、激化させた。それは、「保守女性議員の杉田水脈を叩きたい」「自民党を批判したい」「LGBTの味方としていい格好したい」という欲望ゆえに道を外れた報道のように、LGBT当事者である私の目には映った。蔑まれてきた者は、自然と用心深くなり、利用されればそのことに敏感に気づくものだ。長い間、蔑む側だった異性愛者の声を代弁し、しばしば同性愛を「気持ち悪いネタ」として消費してきたマスコミ人は、それを知らないのだろう。

杉田氏叩きは、まるで魔女狩りだった。それに異をとなえれば、同性愛者であってもネットリンチを受けた。しかも、リベラル気取りの異性愛者たちから、である。

平野太一氏はしばき隊の活動家であったことを明言

「あいつも差別主義者(=魔女)だ」と名指しされるのを恐れ、競うように杉田氏を罵倒する人々の群れ。それはまさに、教養があり理性的な「市民」ではなく、感情に突き動かされる無責任な匿名の 「大衆」であった。

そんな中でも、デモの呼びかけ人となったしばき隊界隈のゲイ活動家・平野太一氏のツイッター上の暴言は、特にひどいものだった。ここにいくつか並べてみよう。

「杉田水脈のアレに関して傷付いたとかは全くないけど自分の人生において邪魔な障害物をどかす感じかな〜」

「てめー最低だな。@miosugita」 ※@miosugitaは杉田氏のツイッターアカウントのIDであり、アカウント運営者である杉田氏側に表示されるメッセージであることを示す。

「クソ飼い主に頭撫でられて尻尾振ってるだけの無能な権力の犬」 ※杉田氏のツイートを引用リツイートする形で。

[左上]「障害物をどかす」……殺害予告ともとれる表現/[左下]他人を犬と呼びつつも「弱い犬ほどよく吠える」を実践するツイート/[右]平野、杉田に「てめー」 最低なのはご自身ではなかろうか?

極めつけが、何者かから殺害予告を受けた杉田氏に対する、次のリプライ。

杉田氏「北海道に旅立つ前に赤坂警察署に来ました。先日、自分はゲイだと名乗る人間から事務所のメールに『お前を殺してやる!絶対に殺してやる!』と殺人予告が届きました。これに対して被害届を出しました。警察と相談の上、一連のLGBTに関連する投稿はすべて削除いたしました。」

平野氏「そのまま一生LGBTについて言い出すな無駄な政治家の中身もねえ雑音うっさいんだわつでに(ママ)政治家も辞めろやダニが」

[左]杉田氏には殺害予告まで……/[右]殺害予告された被害者に「ダニ」とは人としていかがなものか?

そして、しばき隊界隈のオラつきに眉をひそめるLGBT当事者に対しては、彼は小馬鹿にしたツイートをしている。

「『私たちゲイは普通の生活がしたいだけなんです!放っといて!』 えーと、今回の抗議は他者に対して生産性がないと評価するような政治家に怒りを感じる人たちによるものなので、最初からあなたは関係ないんですよ。しゃしゃりお疲れでーす #0727杉田水脈の議員辞職を求める自民党本部前抗議 」

平野、一般ゲイに対しさすがに調子に乗りすぎの傲慢な発言

ずいぶんと下品で威勢のいいチンピラといった印象だが、実は平野氏、この連載が始まったら、ツイッターアカウントを削除してしまった。偶然なのか「逃げた」のかは存じあげないが、アカウントを登録しなおしてないところを見ると、ツイッターでの集団ネットリンチという運動手法を、みずから捨てたのだと思われる。あんなにノリノリだったのに……。

ところで、しばき隊の母体であり、平野氏の主な活動の場であった反原発団体・首都圏反原発連合(反原連)は、すでに2021年3月に解散している。

2020年10月に反原連のHPで発表された「ステートメント【活動休止のご報告】」と題された記事では、その理由を次のように述べている。

休止の理由としては、マンパワーの温存に限界があること、脱原発運動が市民運動の中心から外れてくるに従い寄付金が減少し、これまでの多岐にわたる活動内容に対し、運営資金の捻出が難しくなってきたことがあげられます。

……は? 資金難で活動休止? なんじゃ、そりゃ? 市民運動を手弁当で続けている団体や活動家なら、いくらだっているのに……? 案の定、ネトウヨからも「やっぱり、デモ参加には日当が出ていたのか!」とツッコミを入れられる始末。これは情けない……。

デジタル鹿砦社通信でも、反原連活動休止のニュースを次のようにとりあげている。

◎松岡利康&『NO NUKES VOICE』編集委員会有志 「ふたたび、さらば反原連!秋風に吹かれたゴミは歴史の屑箱へ!── 反原連の『活動休止』について」
【前編】(2020年10月8日)
【後編】(2020年10月9日)

また、2016年配信の「まぐまぐ」のメルマガでは、元パヨクの千葉麗子氏に取材したこんな告発記事もあった。ご参考までに。

◎MAG2 NEWS【書評】元アイドルが暴いた「反原発運動」の恐るべき実態(2016.5.9)
 
しょうもない団体に、しょうもない活動家。そして、彼らとつるむサヨクマスコミという図式。それは、反原発、反差別、LGBT、どれも同じ──というのも、反原連&しばき隊が関わっているから、当然のことだろう。

ところで、この原稿を書いている真っ最中、10月31日の衆議院議員選挙では、再三批判してきた立憲民主党の尾辻かな子氏、共産党の池内さおり氏は落選、自民党の杉田水脈氏は当選した。しぱき隊的なものはもう、メッキがはがれたということか。だとしたら、実にめでたいことである。(つづく)

◎[過去記事リンク]LGBT活動家としばき隊の蜜月はどこまで続くぬかるみぞ
〈1〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40264
〈2〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40475
〈3〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40621
〈4〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40755
〈5〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40896
〈6〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=44619
〈7〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=45895
〈8〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=45957
〈9〉 http://www.rokusaisha.com/wp/?p=46210
〈10〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=46259
〈11=最終回〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=46274

 

▼森奈津子(もり・なつこ)

作家。立教大学法学部卒。90年代半ばよりバイセクシュアルであることを公言し、同性愛をテーマにSFや官能小説、ファンタジー、ホラーを執筆。『西城秀樹のおかげです』『からくりアンモラル』で日本SF大賞にノミネート。他に『姫百合たちの放課後』『耽美なわしら』『先輩と私』『スーパー乙女大戦』『夢見るレンタル・ドール』等の著書がある。
◎ツイッターID: @MORI_Natsuko https://twitter.com/MORI_Natsuko

◎LGBTの運動にも深く関わり、今では「日本のANTIFA」とも呼ばれるしばき隊/カウンター界隈について、LGBT当事者の私が語った記事(全6回)です。
今まさに!「しばき隊」から集中攻撃を受けている作家、森奈津子さんインタビュー

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン『紙の爆弾』12月号!

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森奈津子「LGBT活動家としばき隊の蜜月はどこまで続くぬかるみぞ」

『暴力・暴言型社会運動の終焉』

繰り返しになるが、再度、引用させていただく。雑誌「新潮45」2018年8月号に掲載された、俗に「杉田論文」と呼ばれる論考「『LGBT』支援の度が過ぎる」を、立憲民主党のレズビアン国会議員・尾辻かな子氏は次のように要約し、ツイートした。

杉田水脈自民党衆議院議員の雑誌「新潮45」への記事。LGBTのカップルは生産性がないので税金を投入することの是非があると。LGBTも納税者であることは指摘しておきたい。当たり前のことだが、すべての人は生きていること、その事自体に価値がある。

しかし、杉田論文は、本当にそんな内容だったのだろうか? 一応、尾辻氏は杉田論文の該当部分「生産性がない」発言の誌面の画像をツイートしているが、ここで、その文面を抜粋してみよう。

例えば、子育て支援や子供ができないカップルへの不妊治療に税金を使うというのであれば、少子化対策のためにお金を使うという大義名分があります。しかし、LGBTのカップルのために税金を使うことに賛同が得られるものでしょうか。彼ら彼女らは子供を作らない、つまり「生産性」がないのです。そこに税金を投入することが果たしていいのかどうか。にもかかわらず、行政がLGBTに関する条例や要綱を発表するたびにもてはやすマスコミがいるから、政治家が人気とり政策になると勘違いしてしまうのです。

……おわかりいただけただろうか? ここで言う「生産性」とは、同性愛者は子供を作らないということだったのである。

その言葉の選択自体は、私も適切であるとは思わない。「生産性」だなんて、まるで物のようではないか。かつて批判を浴びた男性政治家による「女性は産む機械」発言とどう違うのか? この点だけは、杉田氏も早いうちに「生産性という表現は不適切でした」と謝罪するべきではなかったか。

しかしながら、ゲイカップルは代理母を「利用」し(私は代理母ビジネスには批判的な立場ゆえ、あえてこのような表現を使わせていただく)、レズビアンカップルは男性から精子提供を受けないかぎりは、子供を作れない。異性である第三者の協力がないと自分たちの血を引く子を持つことができないカップルであるという点は、事実なのである。

尾辻氏のツイートに乗せられた著名人の一人、芥川賞作家・平野啓一郎氏も、杉田論文全文を読んでみたらどうか

そのような同性カップルに税金を投入すべきか? 投入すべきなら、一体どのような形で? また、その根拠は? ――という問題提起をしているのが、杉田論文だ。ならば、杉田氏に批判的な尾辻氏は、正々堂々とそれに答えるべきではないのか?

実際、杉田論文騒動をきっかけに、多くのLGBT当事者から「我々よりも子育て支援に税金を使うべき」との意見が出るようになった。しかし、その声を拾いあげた政治家やマスコミ人は、これまでにいただろうか?

そして、ここが最も注目すべき部分だが、尾辻氏が言うような、「すべての人は生きていること、その事自体に価値がある」か否かという点には、杉田論文はまったく触れてはいないのだ。つまり、尾辻氏のツイートの後半は藁人形論法であり、政敵に対する印象操作なのだ。はっきり申せば、尾辻氏のツイートは杉田論文の要約としてふさわしくない。

谷崎賞作家・星野智幸氏の性的少数派の友人知人の皆様は、杉田論文ではなく尾辻氏のツイートにより、死に追い込まれそうになったのでは?

あの要約ツイートが意図的であるのなら、汚いやり方であるし、本気でそう読み取ったのなら、失礼ながら、「読解力に問題あり」とのそしりを逃れられないのではないか。いずれにしろ、レズビアンを名乗って政治家を続けるのはご勘弁いただきたいところだが、いかがであろう?

いや、もしかしたら、尾辻氏はあまり深く考えずに、単に個人的な主張(にしては、いささか青くさいが)をツイートの後半にくっつけてしまったのかもしれない。好意的に解釈すれば、そのような可能性にも思い当たるだろう。

しかし、だ。実は、その直後に、杉田氏が尾辻氏のツイートを引用する形で問いかけをしたのに、尾辻氏はそれをスルーしたのである。なお、尾辻氏のツイートがきっかけでいやがらせや脅迫が殺到し、身の危険を感じた杉田氏は、後に自身のツイートを削除してしまっているため、2018年7月19日に記録されたウェブ魚拓(https://archive.ph/Oheeh)より、その文面を以下に引用する。

尾辻先生、税金を投入する=福祉を活用する人=社会的弱者です。LGBTの方々は社会的弱者ですか?LGBTの方々でも、障害者の方は障害者福祉を低所得者の方は低所得者福祉を高齢者の方は高齢者福祉を受けられます。年金も生活保護も受けられます。当たり前のことです(続く)

(続き)その点に於いて日本の中で何ら差別されていないし、また差別すべきではないと思います。納税者として当然の権利は行使できます。その上で、何かLGBTの方々だけに特別に税金を注ぎ込むような施策は必要ですか?

健全な議論のためにも、この問題提起は知られるべきでは?

ご覧のとおり、杉田論文要約ツイートに対するツッコミとも言える重要な問いかけであるのだが、尾辻氏はガン無視した。いや、重要な問いかけであるからこそ、無視したのかもしれない。

いやいや、政治家なのだから普段から引用リツイートやリプライの通知も多く、見逃してしまったのでは?――という擁護の声も出てくるかもしれないが、尾辻氏の「ガン無視」は、多くの人が指摘している。それでも尾辻氏は気づいてないというのか? 仮に本人が気づいてないのなら、秘書から尾辻氏に伝えるのが、秘書たる者の仕事ではないのか? なにしろ、あれだけの騒ぎを起こしたツイートなのである。

そして、今に至るまで、少なからぬ数のLGBT当事者が尾辻氏のツイートのおかしさを指摘してきたが、いまだに尾辻氏は彼らをも「ガン無視」なのである。

尾辻氏のツイートから、本当に杉田論文の内容が「すべての人は生きていること、その事自体に価値がある」と反論すべき内容だと信じたLGBT当事者は怒り、あるいは傷つき、中にはショックで泣いたと告白した者もいた。

杉田論文を読まないまま、しばきデモに参加してしまった母と中学生の娘。かえって教育に悪いのでは?

だが、杉田論文はLGBTの「生」や「存在」を否定するようなものでは決してなかった。ということは、その方々は、尾辻氏の言葉に怒り、傷つき、泣いたのである。

厳しいことを言えば、原典に当たらず140文字以下のツイートなんぞに脊髄反射するのが悪いのだが、過去に差別を受けて怒り、傷つき、泣いてきた方々に「アホ」のレッテルを貼るのは、あまりにも酷だろう。

なにはともあれ、尾辻氏がおのれの要約の恣意性を認め、杉田氏のリプライにきちんと対応しておけば簡単な話だったのである。まったくもって、無責任な話だ。

しかし、無責任なのは尾辻氏だけではなく、マスコミもそうだった。杉田氏に対し、一貫して「叩き報道」を続けたのである。

◎毎日新聞(2018.7.21)「『生産性なし』自民・杉田議員の寄稿が炎上」

◎朝日新聞(2018.7.23)「同性カップルは『生産性なし』 杉田水脈氏の寄稿に批判」

◎日本経済新聞(2018.7.31)「自民・杉田氏寄稿に批判相次ぐ LGBT『生産性ない』」

杉田論文を読まないまま、しばきデモに参加してしまった母と中学生の娘。かえって教育に悪いのでは?

まさか、報道に携わる者がそろいもそろって、「杉田論文」を読まずに批判していたのか? あるいは、全文を読んだにもかかわらず、「生産性」のひとことに拘泥しつづけ、主旨を読み取れなかったのか? それとも、各社の記者全員がブードゥーの呪術師にゾンビパウダー入りの茶でも飲まされて、思考停止に陥ったのか? だとしたら、大変お気の毒なことであり、同情を禁じえない。

なお、私は杉田氏を擁護してはいるが、支持者ではない。支持政党なしの私にとって、杉田氏は数多く存在する「いいところもあるけど、悪いところもある政治家」の一人でしかない。

その点は、読者諸氏にもしっかり心にお留めおきいただきたい。特に、杉田氏のお取り巻きと化して、氏を「水脈姐」と呼んでキャッキャウフフしながら馴れ合っている保守派女性の一人とみなされてしまったら、鳥肌が立つというものである。私の望む百合の園は、あのような形ではない。断じて、だ。

最後に、フェアな姿勢で杉田論文全体を論じたトランスジェンダー当事者・神名龍子女史によるブログ記事をご紹介し、今回は筆を擱きたい。

◎神名龍子「杉田論文についての考察」 https://www4.hp-ez.com/hp/eon/page55/8

(つづく)
◎[過去記事リンク]LGBT活動家としばき隊の蜜月はどこまで続くぬかるみぞ
〈1〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40264
〈2〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40475
〈3〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40621
〈4〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40755
〈5〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40896
〈6〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=44619
〈7〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=45895
〈8〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=45957
〈9〉 http://www.rokusaisha.com/wp/?p=46210
〈10〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=46259
〈11=最終回〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=46274

 

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作家。立教大学法学部卒。90年代半ばよりバイセクシュアルであることを公言し、同性愛をテーマにSFや官能小説、ファンタジー、ホラーを執筆。『西城秀樹のおかげです』『からくりアンモラル』で日本SF大賞にノミネート。他に『姫百合たちの放課後』『耽美なわしら』『先輩と私』『スーパー乙女大戦』『夢見るレンタル・ドール』等の著書がある。
◎ツイッターID: @MORI_Natsuko https://twitter.com/MORI_Natsuko

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7日発売!タブーなきラディカルスキャンダルマガジン『紙の爆弾』12月号!

『暴力・暴言型社会運動の終焉』

しばき隊が提案し、東京レインボープライドが乗ったデモ「杉田水脈の議員辞職を求める自民党本部前抗議」。

多くのLGBT当事者は、ツイッター上で流れてきた現場の写真を見て初めて、そのデモの異様さを把握した。

杉田氏の顔写真を引きのばし、醜悪に加工したり、侮蔑的な言葉を書き加えたプラカード――まさに悪魔化である。と同時に、呆れるほど幼稚なセンスだ。小学生が音楽の教科書のベートーベンの肖像に落書きするのと大差ないお子様マインドだろう。

あるいは、銃のスコープで杉田氏の顔を狙うデザインのプラカード。これは、しばき隊界隈の活動家・谷口岳氏がコンビニのネットプリントを利用して配布したものだが、かっこいいとでも思ったのだろうか?

中二病患者は自分が中二病であることに気づかないという証明をしていただき、その羞恥プレイめいた自己犠牲の精神には敬服するばかりである。

しばき隊界隈でご活躍のカメラマン秋山理央氏も実況ツイート

抗議デモには、「FUCK」と書かれたレインボーフラッグも登場した。

過去に東京レインボープライドで、立憲民主党が性的多様性のシンボルであるレインボーフラッグに党名を入れた小旗を用意し、LGBT当事者から「我々の誇りであるレインボーフラッグに軽々しく党名を入れるとは、非常識で身勝手だ」と批判された事件を把握していれば、とてもできないことだろう。

それと、中指を突き立ててポーズをとるデモ参加者の写真は……会場の片隅で「下品」と「中二病」の博覧会でも開催していたのだろうか?

[左]デモで中指を立てる女性。海外のスラムでやったら殺される可能性が高いポーズ。[右]しばき隊界隈のゲイ活動家、ハスラーアキラこと張由紀夫氏もデモの準備に余念がない

滑稽だったのは、薄汚い格好にだらしない髪型の中高年男性のデモ参加者たちの姿に、LGBT当事者から困惑の声があがったことだ。

「あの人たちがゲイ?」

「違うでしょ……?」

「どうせ、動員されたパヨク活動家だろ!」

――そう。それはまさに「これぞ、人生を運動に捧げ、気づかぬうちに浮世離れしてしまい、外見に気を使わなくなったサヨク活動家のおじさん」というサンプルのごとき方々だったのである。

これはべつに、LGBT当事者を称賛してサヨク活動家をコケにしているわけではない。

同じ男性でも、ゲイは異性愛者と違って出会いの機会が少ない分、なにかと小綺麗にしている。今は出会い系アプリがあるとはいえ、大勢のゲイに自分の姿を見てもらえる機会ともなれば、そのファッションには気合が入るというものだ。

体だって、トレーニングで造りあげている者は珍しくない。そんな男たちは、Tシャツ一枚であっても、おのれの美しい筋肉をアピールできるデザインを選ぶ。

デブ専ゲイ受けを狙った体型のゲイでも、髪を短く刈り、男らしさを演出するものだ。

あえて無精髭で野郎っぽく見せても、髪は清潔に保つのがスタンダードであり、薄汚いファッションにボサボサの髪型なんて、絶対にありえない。

つまり、ゲイばかりが集まる場所には、緊張感に欠けただらしない格好をした男など、まず、一人もいないのだ。

女性政治家の顔を怪獣ダダと同一視してdisる見目麗しき殿方

あるとき、私は、ゲイの友人に訊いた。

「なんで、マッチョ系ゲイって、しゃべるとオネエなの?」

彼はこたえた。

「あれはね、マッチョの中身がオネエなんじゃなくて、その反対なの。オネエが男にモテたくてトレーニングをした結果、見かけだけはマッチョになったってだけなの」

……オネエであっても、男にモテたくて、マッチョになる。中身はオネエのままで。

それほどまでに、ゲイは「モテ」に重点を置き、老いも若きもイケてる男であろうとしている。

ゆえに、ゲイやゲイの生態を知るレズビアンやバイセクシュアルは、あのこ汚い格好の中高年を見て、ピンときたのだ。彼らは異性愛者だ、と。

ダサいならダサいで、それをファッションにまで高めるのが、長年アンダーグラウンドの存在とされてきた同性愛者の余裕であり、誇りなのだ。

ダサいけどキッチュでおしゃれで華やか。それは、ドラァグクィーンに象徴されるキャンピィ文化であり、しばき隊界隈は、残念ながらそれを理解していないし、身につけてもいない。

オネエはヒステリックな口調さえ、第三者から見て笑える「芸風」に変える。そうやって、自分を客体化して見る訓練ができているのだ。

反面、しばき隊界隈のヒステリックは、本気のヒステリックだ。ゲイのように、悪口を皮肉と笑いでくるんで提示してみせる知恵も能力もない。

ツイッター上で気に食わない者を集団ネットリンチし、根性がある批判者はみんなそろって予防ブロック。仲間内でエコーチェンバー現象を起こし――となると、次は当然、カルト化が待ち受けている。

野間易通尊師による「俺は神」とのありがたいお言葉

C.R.A.C.代表の野間易通氏に「尊師」というあだ名がついたのは、もちろん、地下鉄サリン事件他の凶悪犯罪を起こしたオウム真理教の教祖・麻原彰晃になぞらえてのことであり、つまり、しばき隊界隈の狂信性、カルト性は、とっくにウォッチャー各位に読み取られていたということだ。

世界中のゲイとレズビアンは、なぜ、デモではなくパレードという形で人権を訴えているのか?

それは、同性愛者が「けがらわしい異常者」「気持ち悪い変態」とあからさまに罵られ、蔑視されてきた歴史的事実と、無関係ではない。

自分たちに向けられてきたヒステリックな罵倒――それを相手に返したくはない。それを発する者がどんなに醜悪に見えるか、身にしみてわかっているからだ。

ゆえに、パレードという形で自分たちの存在を社会にアピールし、ハッピーで楽しい祭典に異性愛者たちを巻き込む形で、理解と共生を求めてきたのだ。

しかし、しばき隊/ANTIFA/カウンターは、LGBTを差別してきた異性愛者と同じ、ヒステリックな罵倒に依存している「正義中毒患者」だ。

ゆえに、いくら蔑視されても誇り高く生きてきたLGBT当事者が、彼らの姿に嫌悪感をあらわにするのも、当然のこと。

[左]コンビニプリントを利用して配布されたプラカード画像(作・谷口岳)[右]安易に鉤十字を使いたがる幼児性はいかがなものか

デモの性質に気づいたLGBTは、疑問を感じ、そして、LGBT活動家が暴力的な運動体と共闘している事実を把握する者も次第に増えていったのである。

「LGBT活動家がしばき隊と共闘しているだなんて、我々の印象が悪くなる」

「これまでしばき隊が起こした暴力事件や性犯罪の被害者を踏みつけにするのか?」

「そんなLGBT活動家が偉そうに我々の代表ヅラするな」

それらの批判は、後に何度も何度も繰り返され、「杉田水脈の議員辞職を求める自民党本部前抗議」は代表的な「LGBT運動の悪しき例」として蒸し返されることになったのである。(つづく)

堅実な生活を営むゲイ当事者、つよし・おすとらこん氏のデモ批判ツイート。活動家ではない一般のLGBT当事者の真っ当な感覚がここにある

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〈4〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40755
〈5〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40896
〈6〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=44619
〈7〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=45895
〈8〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=45957
〈9〉 http://www.rokusaisha.com/wp/?p=46210
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タブーなきラディカルスキャンダルマガジン『紙の爆弾』11月号!

『暴力・暴言型社会運動の終焉』

2018年7月27日19時、怒りに燃えた5千人の群衆が、永田町の自民党本部前に集結した。

ただし、5千人というのはあくまでも主催者発表であり、実際に現場に見物に行ったあるゲイは、証言した。

「あんな狭いスペースに5千人も集まれるわけないじゃない! 千人もいなかったわよ。せいぜい数百人がいいところね」

――主催者発表、ずいぶんと人数を盛ったものである。

事の発端は、自民党の杉田水脈衆議院議員が雑誌「新潮45」8月号(7月18日発売)に寄稿した論考「『LGBT』支援の度が過ぎる」で、同性愛者を「生産性がない」と表現したことだった。それに憤った人々が、抗議のために自民党本部前に集まったのだ。

しかし、それだけでは、あんな騒ぎにはならなかったはずだ。

当時、「新潮45」の実売数は1万部前後であったと聞く。なのに、抗議デモに5千人(主催者発表)も集まるか?

デモに参加した方たちに問いたい! あなたたちの中に、過去に「新潮45」を一度でも購入したことがある人は、一体、何人いる? 自慢ではないが、私は一度もない!……すみません。

これは、ほとんど世間では知られてはいないことだが、実は立憲民主党のレズビアン衆議院議員・尾辻かな子氏がツイッターで煽ったのが、あの騒ぎの直接の原因だったのである。

ツイートの文面は次の通り。

杉田水脈自民党衆議院議員の雑誌「新潮45」への記事。LGBTのカップルは生産性がないので税金を投入することの是非があると。LGBTも納税者であることは指摘しておきたい。当たり前のことだが、すべての人は生きていること、その事自体に価値がある。

実はかなり意図的な要約である尾辻かな子氏のツイート

まーた、立憲民主党かーいっ!

しばき隊/ANTIFA/カウンター界隈主催のデモやイベントに参加した過去がある有田芳生参議院議員、石川大我参議院議員、ひわき岳杉並区議らが所属する、立憲民主党である。

有田先生、レイシストをしぱきたい方々とパチリ

デモに参加する石川大我氏の背後にはANTIFAの旗

誇らしげにANTIFAデモ参加動画をツイートするひわき岳氏

親しい運動仲間であることがうかがえる平野氏と野間氏のやりとり

そして、尾辻議員のツイートに続き、しばき隊の母体である反原発団体・首都圏反原発連合(反原連)のゲイ活動家・平野太一氏と、C.R.A.C.(旧レイシストをしばき隊)代表の野間易通氏が、ツイッターで次のようなやりとりをしていたこともまた、世間ではほとんど知られていない。

野間氏「TRP方面の人さそってデモもやらない? 杉田名指しの」

平野氏「どんどんやりましょう!」

TRPとは、連載第1回でも言及した日本最大のLGBTイベント・東京レインボープライド(TOKYO RAINBOW PRIDE)の略称だ。

ここ2年は新型コロナ流行の影響で、オンラインでの開催だったが、2019年には、パレード参加者が初めて1万人を超え、2日間のイベントの総動員数は約20万人にもなった。

平野氏は「しばきマインド」がギュッと濃縮された次のような暴言ツイートでデモを呼びかけた。

「主催はないデモ」を呼びかける平野太一氏

「差別しか能のないゴミ議員を俺らの税金で食わすな。議員辞職しろと自民党本部に抗議しましょう。」

「27日(金)19時~自民党本部前。」

「各々でお好きに広めちゃってください。」

「主催はないので #0727杉田水脈の議員辞職を求める自民党本部前抗議 とかまあなんとかそんな感じで適当に広めてください。」

え? 「主催はない」?

後に「主催者発表で5千人」と報道されたデモなのに、主催はない?

小学生でも理解できる矛盾ではありませんか?

中学生ぐらいになれば「あんたがデモを呼びかけてるのに、なんで当のあんたが『主催はない』なんて言ってるの?」ぐらいのツッコミは入れられるだろう。

うーん……。デモを呼びかける一方で「主催はない」と自ら断言――これって、「抗議のために市民が自発的に集まった」という体裁にしたいからですよね? ぶっちゃけ、無責任すぎやしませんか?

だいたい、このデモ、許可申請書を警察に提出しているのですか? 提出しているのなら、平野さん、あなたが主催ですよね?

反対に、届け出をしてないのに警察にお目こぼしされているのなら、それ、以前から一部の良心的左翼が指摘してきたように、しばき隊界隈が実は体制側とつながっている証左ではないのですか? どうなのですか?

それに「差別しか能のないゴミ議員を俺らの税金で食わすな」ですって?

お下品ですこと!

こんなツイートを見たら、普通の感覚なら「このデモ、やべぇやつだ!」と気づくというものです。

しかし、東京レインボープライド公式アカウントは次のようなツイートでデモを呼びかけたのである。

しばき隊との共闘を呼びかける東京レインボープライド(TRP)

杉田水脈衆議院議員(自民党)が『新潮45』に寄稿した論考「『LGBT』支援の度が過ぎる」に対し、7月27日に自民党本部前で実施される抗議活動に連帯し、東京レインボープライドも参加します。共に抗議の声をあげましょう。#0727杉田水脈の議員辞職を求める自民党本部前抗議

……アホなの? 

ねえ、LGBT活動家って、アホなの?

そして、そんなにしばき隊が好きなの? 

もう、なにがあっても離れられないの?

そのデモ、明らかに地雷だよね? わからないの?

まあ、地雷というものは、わからないから踏んでしまうものではあるが。

ちなみに、その地雷、デモの真っ最中には爆発しなかった。

しかし、後に、しばき隊界隈活動家とLGBT活動家の足元でバンバン爆発することになる。

そのデモは、いわゆる「黒歴史」と化したのであった。(つづく)

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作家。立教大学法学部卒。90年代半ばよりバイセクシュアルであることを公言し、同性愛をテーマにSFや官能小説、ファンタジー、ホラーを執筆。『西城秀樹のおかげです』『からくりアンモラル』で日本SF大賞にノミネート。他に『姫百合たちの放課後』『耽美なわしら』『先輩と私』『スーパー乙女大戦』『夢見るレンタル・ドール』等の著書がある。
◎ツイッターID: @MORI_Natsuko https://twitter.com/MORI_Natsuko

◎LGBTの運動にも深く関わり、今では「日本のANTIFA」とも呼ばれるしばき隊/カウンター界隈について、LGBT当事者の私が語った記事(全6回)です。
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森奈津子「LGBT活動家としばき隊の蜜月はどこまで続くぬかるみぞ」

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン『紙の爆弾』11月号!

『暴力・暴言型社会運動の終焉』

旧レイシストをしばき隊(現C.R.A.C.)、カウンター、ANTIFA等と呼ばれる反差別運動に関わる者たちを、私は「反差別チンピラ」と名づけた。単に自分たちを批判しただけの無辜の市民をも彼らはツイッター上でネットリンチの標的にし、暴言、恫喝を繰り返してきたからだ。

 

旧しばき隊代表の有名なヘイト発言

彼らの「オラつき」はとどまるところを知らず、マイノリティ当事者が標的になることも少なくない。たとえば、カウンターを批判した在日コリアンの方々にまで反差別チンピラ諸氏は暴言を吐き、さらにはそれを正当化するために、彼らをなりすまし認定、つまり偽コリアン扱いし、民族の誇りを深く傷つけ、いかんなく集団ネットリンチの標的にしたのである。

もしや、彼らしばき隊/カウンター界隈の「反レイシズム」のスローガンは、なにかの冗談なのだろうか? いつぞやは、「No Hate, No Life(ヘイトがないと生きていけない)」だの「Fight for Racism(レイシズムのために闘う)」だのというスローガンを掲げたメンバーが、ウォッチャー各位に「かっこつけて無理に英語表現にするからボロが出る」と失笑されていたが、あれこそが彼らの隠された本音だったのだろうか?

[左]「ヘイトがないと生きていけない」、[右]「レイシズムのために闘う」

そんなしぱき隊/カウンター界隈がLGBTの運動に「寄生」したら、同じようなことをするにちがいない――と数年前、バイセクシュアルである私は危惧したが、それはまったくもって「案の定」であった。

私が「しばき隊のような暴力的な勢力はLGBTの運動には必要ない」という主旨のツイートをすれば、反差別チンピラ諸氏は「暴力的な勢力などない!」「しばき隊などという団体は存在しない! デマを流すな!」と、自己紹介よろしく暴力的なリプを集団でかましてくるのである。

捨て身のギャグなのだろうか?

性的マイノリティの味方を気取りながらも、自分らに従わない当事者は全力でバッシングし、つるしあげるのだから、笑わせる。なんという醜悪な全体主義であろう。多様性もなにも、あったものではない。

やがて、いい歳してネットで集団いじめをしている彼らを、私は新たに「中年紅衛兵」と名づけるに至った。

彼らに言わせれば、「被差別者当事者であっても差別主義者の可能性はある」「運動の邪魔だから潰す」だそうである。そんな本末転倒なことを匿名でうそぶいてる間に、身バレして消えたり、あるいは、ツイッター運営に悪質アカウント認定されて永久凍結され、私を潰す前に自主的に消えてゆくのである。

捨て身のギャグなのだろうか?(二回目)

[左]発言者は身バレ済みの僧侶の異性愛者男性 [右]匿名掲示板5ちゃんねるでは、森に対する集団いやがらせが呼びかけられた

 

ANTIFAのTシャツを着用する共産党・池内さおり氏と吉良よし子氏

ここで特筆すべきは、私や他のLGBT当事者がしばき隊界隈の異性愛者たちに不条理にも「レイシスト」「差別主義者」のレッテルを貼られ、卑劣に叩かれていても、LGBT活動家たちは完全に見て見ぬふりをしていることであろう。

これは、一体、どうしたことか? いくらなんでも、アクティビストを名乗る者が腰抜けすぎやしないか? LGBT同胞が異性愛者に集団でいやがらせされているのに、LGBT活動家が完全スルーとは何事ぞ!

ただ、まあ、すでにLGBT活動家がしばき隊界隈と共闘しているのは、私も把握してはいた。

LGBT活動家は、大抵、立憲民主党、日本共産党、社会民主党とつながっているうえ、中には正式な党員もいる。ゆえに、なんでもかんでも自民党批判につなげて無理筋の自民批判ツイートを繰り返すLGBT活動家も珍しくない。

また、しばき隊界隈が野党三党と強固につながっていることは、ウォッチャーの間では周知の事実だ(マスコミはひたすら隠しているが)。ネットで画像検測すれば、しばきイベント(笑)に実にいい笑顔で参加している野党の先生方の写真がザクザクヒットする。

[左]反差別デモ・東京大行進(2013年)で、しばき隊関連団体・男組組長の故高橋直樹氏と並ぶ共産党の小池晃氏 [右]小池晃氏が手にする横断幕には「TOKYO NO HATE」の文字

[左]池内氏、吉良氏が参加した「ブルドーザーデモ」では、安倍首相(当時)のマスクを生首のように扱った [右]ブルドーザーで安倍首相のマスクを轢く猟奇的パフォーマンスには、後に批判殺到

ところで、日本最大のLGBTイベント「東京レインボープライド」の名は、報道等で耳にした方も多いと思う。これは、簡単にご説明すれば、「世界各国、日本各地で開催されている性的少数派の人権を訴えるLGBTパレードの東京版」といったあたりか。

パレードでは、LGBT団体やLGBT関連ショップ・企業の華やかなフロート(山車)が徒歩の参加者と共に公道上のコースをたどり、歩道には多くの見物人が集まる。その中には、しばき隊界隈LGBT団体「TOKYO NO HATE」のフロートも出て、共産党の元衆議院議員・池内さおり氏の姿も見られた。

立憲民主党、共産党、社民党の「手先」という点では、LGBT活動家もしばき隊/カウンター系活動家も、同じ穴のむじななのである。

[左]東京レインボープライドでは、しばき隊界隈文化人・香山リカ氏と共産党・池内さおり氏がツーショット! [右]東京レインボープライドにTOKYO NO HATEのフロートで参加する池内さおり氏

そんな彼らのLGBT差別反対運動の頂点が、雑誌「新潮45」に掲載された杉田水脈氏の論考の中のLGBTに対する「生産性がない」という表現に端を発したデモであろう。

2018年7月27日19時から実行された「杉田水脈の議員辞職を求める自民党本部前抗議」。それは、巨大な尺玉の花火ごとく、夏の宵に花開いた「しばきの華」であった。

ただし、人生同様、社会運動も、山があれば谷もある。

大いに盛りあがって絶頂に達し、自民党本部前で爆発したLGBTの反差別デモは、それがしばき隊界隈主導であり、暴力的であったと判明したがゆえに、すぐさまヒュルルンと一気にしぼみ、多くの一般LGBTは賢者タイムに入り、「しばき」にはピクリとも反応しなくなったのである。いまだ、しばき行為を前にギンギンに屹立しているものは、しばき隊界隈と共闘を続けるLGBT活動家のジメジメと湿った闘志だけであろう。(つづく)

◎[過去記事リンク]LGBT活動家としばき隊の蜜月はどこまで続くぬかるみぞ
〈1〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40264
〈2〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40475
〈3〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40621
〈4〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40755
〈5〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40896
〈6〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=44619
〈7〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=45895
〈8〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=45957
〈9〉 http://www.rokusaisha.com/wp/?p=46210
〈10〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=46259
〈11=最終回〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=46274

 

▼森奈津子(もり・なつこ)

作家。立教大学法学部卒。90年代半ばよりバイセクシュアルであることを公言し、同性愛をテーマにSFや官能小説、ファンタジー、ホラーを執筆。『西城秀樹のおかげです』『からくりアンモラル』で日本SF大賞にノミネート。他に『姫百合たちの放課後』『耽美なわしら』『先輩と私』『スーパー乙女大戦』『夢見るレンタル・ドール』等の著書がある。
◎ツイッターID: @MORI_Natsuko https://twitter.com/MORI_Natsuko

◎LGBTの運動にも深く関わり、今では「日本のANTIFA」とも呼ばれるしばき隊/カウンター界隈について、LGBT当事者の私が語った記事(全6回)です。
今まさに!「しばき隊」から集中攻撃を受けている作家、森奈津子さんインタビュー

《関連過去記事カテゴリー》
 M君リンチ事件 http://www.rokusaisha.com/wp/?cat=62

『暴力・暴言型社会運動の終焉』

多彩なエロス、SFから児童文学まで縦横無尽な世界観織りなす作家、森奈津子さん。ツイッター上ではM君支援を宣言してくださり、そのためか、しばき隊から現在も集中攻撃を受け続けている方でもある。大好評だった前回までのインタビュー記事に続き、特別取材班は再び森さんに電話でインタビュー。「表現の自由」をはじめ様々な問題についてご意見を伺った。今回はその最終回。

 

森奈津子さんのツイッターより

◆男性差別をする人はフェミニストとは呼べないし、集団でネットリンチしている人たちはリベラルと呼んではいけない

── 自由な言論を交わす人たちではなくて、独善的に高圧的な物言いをする人たちと言う意味に変わってしまいつつありそうな勢いです。

森  元来の定義からすると、男性差別をする人はフェミニストとは呼べないし、他の人を陰湿に叩いて集団でネットリンチしている人たちはリベラルではないですよね。本当はリベラルとは呼んではいけない人たちが、リベラルを名乗っていて、それに対する批判意見もあるけれども、いつの間にかリベラルというのは心の狭い人達だという認識が定着。彼ら、多様性多様性と口では言いつつも他人を叩いてばかりだというのに。

── 前回LGBTについて教えていただいたことで相当理解も深まりました。

森  ありがとうございます。

◆議論を重ねることで新しいことにも気付けます

── 特にLGBTという概念自体が限られたものであるという最後の森さんのご意見には、なるほどと頷かされるところが大でした。こういうダイアローグ(対話)の大切さですよね。お尋ねしたかった最後のことは、議論の大切さがもっと認識されてもいいのではないかということです。

森  議論を重ねることで新しいことにも気付けますし、考えが変わることもありますし、それは好ましいことではないかと私は思います。彼らはいきなり叩きリプで寄ってたかって潰そうとする、暴言を吐く、中傷する、デマを流す、嘘をつく。私や周りの人たちが「それは違うのではないですか」と、彼らの事実誤認であったり、デマであったり、悪意を含んだ解釈であったりを指摘しても、すっとぼけてまた別のネタでいちゃもんをつけてくるわけです。議論にならないのですよ。彼らのやりたいのは議論をして新しい考えに触れたり、どちらが正しいのか見極めようとするとか、そういうことではなく、異なる意見の人をとりあえず集団で叩いて潰すというそれだけなんですよね。相手にするだけ無駄だということは感じています。私は彼らがこういう人ですよということを広めるためにお相手しているだけで。

森奈津子さんを批判するツイッター事例1

◆私はLGBT当事者です

── 今や森さんが彼らのおかしさをPRする広報パーソンに就任された感もあります。

森  私はLGBT当事者です。LGBT差別反対と言っている人たちが、当事者を叩くというおもしろいサンプルを私は日々ゲットしているわけです。それはもう喜んで広めさせていただきますよね。彼らのやり口を皆さんに把握していただけるいい機会だと思いますし。

── インターネットから離れて、実社会を眺めた時に、彼らの様な傾向は、限定的だと考えてよさそうですか。あるいは実社会にもそれに似たような片鱗はあるとお考えですか。

森  これまで、LGBTの運動家と交流の機会はありましたが、あそこまで極端な人達は他にいないです。ですからどこかでまたトラブルになるなと感じています。

── ということは、ネット空間で限定的に行われている現象で、今まで森さんがご存知の方の中にはそういう言論傾向の人はいない。

森  あんなチンピラ運動家は見たことがないです。なのでリアルでもやらかすでしょうし、どこかでトラブルになるでしょう。で、私は自分の役目と考えて、「彼らがこういうことをしています」とツイッターで拡散しているわけですが。そこから何も学ばなかった、あるいは何も対処しなかった……仮にそんなLGBT運動家やイベント主催者がいたとして、その後にしばき隊界隈の人達がLGBTの運動の現場で何かをやらかすとしたら、もう、何もしてこなかったLGBT運動家が悪いと思います。

森奈津子さんを批判するツイッター事例2

◆LGBT運動家は「心の狭い嫌な奴」かのような言動を流布するしばき隊の人たち

── これだけ予防的に危険性を発信していただいているのに、それを無警戒に入れてしまうのであれば、そちらの団体の方にも負われるべき責めはあると。

森  危機管理ができないというのは、運動家として致命的だと思いますし、そういう脇の甘さというのは、しばき隊が介入してこなくても、どこかで出てしまうものだと思います。もし今後大きい問題が起きて現場が滅茶苦茶になったら、私や他の第三者がどうこうしてあげようという段階ではないですよね。彼らを受け入れるかどうか、受け入れるとしたらどのように受け入れるのかというのは、現場の運動家の人達の判断ですので。私がとやかく言うことではなく。

── でも森さんもその中のお一人でしょ。

森  私は運動の現場から離れていますので。もしそういう団体にまだ入っていましたら、団体の人たちやイベント主催者に「このような人達を受け入れていいのですか」と意見を申し上げていたところだと思いますけれど。今の私にはそこまでやってあげる義理はないというか。

── その代り発信は続けていらっしゃるということですね。

森  発信はします。そこから何か汲み取った人は行動していただければいいと思いますし、あれを見てもしばき隊の人達は大丈夫、一緒に戦えると思う人達は一緒に戦ってよろしいかと思いますよ。その後に何が起きるかは、私は見物しますし、ウォッチャーの人達も楽しくウォッチングするんじゃないでしょうかね。すでにしばき隊の人達のあれこれの言動で、LGBTの運動家というのは心の狭い嫌な奴だみたいな解釈が広まっていますし。ツイッターの方をちらちら見ていますと。

── 一部でね。

森  悪い印象が広まっていますね。そこで毅然とした態度が取れないのであれば、それはLGBTの運動家の責任ではないかと思いますね。そもそも、運動の現場の人達がしばき隊を受け入れるのなら、受け入れてそのまま続けてくださっても、私は何の損をするわけではないので、大いに結構でございますよというのが本音です。ただ、知っていることなので忠告はしますよということです。しばき隊は自分達に批判的な在日の人達をものすごく侮辱しているじゃないですか。あれを見て、私はこの人達は駄目だなと、当事者のためにならないなと前から感じていましたので。今の状況を危機的だと感じない活動家の方が多数であれば、それはそれでいいのではと思います。私の知ったことではないので。(了)

◎森奈津子さんのツイッター https://twitter.com/MORI_Natsuko/

◎今まさに!「しばき隊」から集中攻撃を受けている作家、森奈津子さんインタビュー(全6回)

〈1〉2018年8月29日公開 http://www.rokusaisha.com/wp/?p=27255
〈2〉2018年9月5日公開  http://www.rokusaisha.com/wp/?p=27341
〈3〉2018年9月17日公開 http://www.rokusaisha.com/wp/?p=27573
〈4〉2018年10月24日公開 http://www.rokusaisha.com/wp/?p=28034
〈5〉2018年10月30日公開 http://www.rokusaisha.com/wp/?p=28042
〈6〉2018年11月8日公開 http://www.rokusaisha.com/wp/?p=28069

(鹿砦社特別取材班)

M君リンチ事件の真相究明と被害者救済にご支援を!!

月刊『紙の爆弾』12月号 来夏参院選敗北で政権崩壊 安倍「全員地雷内閣」

多彩なエロス、SFから児童文学まで縦横無尽な世界観織りなす作家、森奈津子さん。ツイッター上ではM君支援を宣言してくださり、そのためか、しばき隊から現在も集中攻撃を受け続けている方でもある。大好評だった前回までのインタビュー記事に続き、特別取材班は再び森さんに電話でインタビュー。「表現の自由」をはじめ様々な問題についてご意見を伺った。

◆反権力を気取っている人が、治安維持法みたいな法律を作ろうとしている

 

森奈津子さんのツイッターより

── (反差別という点で)その点、われわれは原理主義的にあらゆる差別に反対です。ただしわれわれはあらゆる差別をしていないつもりでも、知らないが故に言葉遣いとか振る舞いで差別を犯しているということがあるかもしれませんので、あらゆる差別を否定するではなくて反対するという表現でいつも統一しているつもりです。今新たにご示唆いただいた議論をするということですよね。何かコードを作ってしまって、レイシストだからとか、差別主義者だからとか、右翼だから左翼だから、とあるカテゴリーにはめて、だからどうのこうのということは非常に短絡的だと感じます。短絡的な人は実際にたくさんいます。それを助長する一つの要因が、適切にツイッターとかSNSを使えない人たちではないかと思います。

森  そうですね。合田夏樹さんが「彼らは反差別というよりは、反差別を言い訳にしていじめをしたいだけのいい歳をした大人だ」と仰っていましたけれども、おそらくその通りでしょう。やはり、叩いてそれで終わりでいいの? というの思いは常にあります。今、LGBT差別解消法という、アウンティングを禁じるとかLGBTに対する差別をなくすための法律を作ろうという動きがありますよね。あれだって「ホモ・レズ・オカマは差別用語です」という主張をする人が出てくる中で、そんな法律作って大丈夫なのかと。それこそLGBTが自分たちの首を絞めることになりかねないし、そんな治安維持法みたいなものを作るために、LGBTを利用しないでくれとも思います。でも賛成している当事者もいて、ちょっと驚きますね。何が差別かどうかという線引きを体制側に任せて、それで大丈夫なのかと。普段は反安倍とか言ってる人が何を言っているのかと思いますよ。反権力を気取っている人が、治安維持法みたいな法律を作ろうとしていて、体制側を信用しているのかと驚きます。

◆左翼リベラルの凋落

── 既にヘイトスピーチ対策法という法律は、理念法ですけれども成立をしています。その成立に関してはしばき隊の人達は非常に熱心に活動されたようです。ところで本来知識人の中に入れてはいけない人が、新たに知識人の中に入ってしまっている。かつて知識人であった人たちがどんどん堕落している。ある意味ではあたっていると思いますが、左翼リベラルというものが凋落している。一面では事実だと思います。それを森さんはどのようにお感じになりますか。

森  本来だったらリベラルと名乗ってはいけない人がリベラルを名乗っているのは驚きですし、多様性多様性と言っている人が何であんなに一生懸命自分と意見の異なる人を中傷して叩いているのか、本当に疑問に思います。なんであのような人達がリベラルと名乗っているのでしょうね。私は自分のことをリベラルだと思っていましたけれども、リベラルと名乗れなくなりました。あのような不寛容がリベラルだなんて、いつの間に言葉の意味が変わったのだろうと疑問に思っています。

── 明らかに変わりましたね。リベラルというのは大雑把にですけど、良い語感でしたものね。

森  そうですね。それが攻撃的で印象の悪い不寛容な人達を指す言葉になりつつあるようです。あの人達が自称しているから言葉の意味が駄目になったのでしょうかね。

◆香山リカは何でリベラルを名乗るのか?

── それもありますが、たとえば80年代頃の香山リカはリベラルの範疇だったと思うんです。かつてリベラルだった人達がどんどん堕落してしまった。書籍はあまり読まれない。本来は書物から得られる多様なものの考え方というところの回路が、通じなくなっているのではないのかなという気もするのですが、どうでしょう。

森  はっきり言って、この人が何でリベラルを名乗ってるの? と思いますけれども、皆さんリベラルと認識しているようですし。また、ツイッター上ではフェミニストを名乗る人たちが平気で男性差別発言をしてるため、フェミニストが男性を差別する差別主義者だと見なされつつあります。それと同じような現象でしょうか。

── 穏健ではない偏狭な人達の意見が目立つから、フェミニズムというのはそういうものだとある意味では実態化しつつあるでしょ。

森  本来は、フェミニズムって人権を基礎とした理論じゃないですか。そして、人権というのは全ての人が持つものですよね。なのに、フェミニストを名乗っている人が男性の人権を侵害したら、フェミニズム自体が崩壊するはずなのに、わかっていない人たちがそれを信じてしまうのか。ああいう人達はフェミニストとは言えないのだ、というちゃんとした反論よりも、「フェミニストって男性差別をする人なんだね」「ミサンドリストのことをフェミニストと呼ぶんだね」という認識の方が主流になってしまって、「フェミニストを名乗る人は差別主義者」みたいなところまで行っていますよね。リベラルに関しても同じかなと思います。(つづく)

◎森奈津子さんのツイッター https://twitter.com/MORI_Natsuko/

◎今まさに!「しばき隊」から集中攻撃を受けている作家、森奈津子さんインタビュー(全6回)

〈1〉2018年8月29日公開 http://www.rokusaisha.com/wp/?p=27255
〈2〉2018年9月5日公開  http://www.rokusaisha.com/wp/?p=27341
〈3〉2018年9月17日公開 http://www.rokusaisha.com/wp/?p=27573
〈4〉2018年10月24日公開 http://www.rokusaisha.com/wp/?p=28034
〈5〉2018年10月30日公開 http://www.rokusaisha.com/wp/?p=28042
〈6〉2018年11月8日公開 http://www.rokusaisha.com/wp/?p=28069

(鹿砦社特別取材班)

M君リンチ事件の真相究明と被害者救済にご支援を!!

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