1992年に福岡県飯塚市で小1の女の子2人が殺害された「飯塚事件」は、その犯人とされて2008年に死刑執行された男性・久間三千年さん(享年70)に冤罪の疑いがあることで有名だ。そして近年、一部の人たちがこの久間さんの冤罪処刑疑惑にからめ、あれこれと陰謀論的な説を主張するようになっている。

たとえば、「久間さんは口封じのために死刑執行された」という説や、「警察が足利事件の真犯人を捕まえないのは、飯塚事件で無実の男性を死刑執行したのがばれるからだ」という説だ。

私は10年余り前から飯塚事件を取材してきて、久間さんが冤罪であることは確信しているが、一方でこれらの陰謀論的な説に信ぴょう性が感じられないでいる。私が以前、久間さんの死刑執行手続きに関与した法務・検察幹部らを取材した際のエピソードを紹介しつつ、その理由を説明しよう。

◆死刑執行に関与した検事長2人は「飯塚事件」を知らなかった…

死刑は法務大臣の命令によって執行されるが、法務大臣が死刑執行の命令を出す前後では、法務省と検察庁の多数の幹部が死刑執行の手続きに関わっている。私は、久間さんの死刑執行手続きに関与した法務省と検察庁の幹部の大半に取材したが、中でも印象に残っている人物が2人いる。

1人目は検察OBのA氏だ。A氏は福岡高検の検事長を務めていた2007年、当時の長勢甚遠法務大臣に対し、久間さんへの死刑執行命令を発するように求める上申を行った人物だ。

このA氏に対し、久間さんの死刑執行に関する取材を申し入れたところ、最初は文書で「その事件には関わってないので、お答えできない」と断られ、私は「ごまかしているのかな?」と思った。私は事前に法務省に情報公開請求し、A氏が長勢法務大臣に対し、久間さんへの死刑執行命令を発するように求める上申を行った文書を入手していたからだ。

そこで、この文書をA氏に郵送し、改めて取材を申し入れたところ、A氏は久間さんへの死刑執行命令を発するように長勢法務大臣に上申していたことを認め、電話でこう釈明した。

「あれはたしかに僕の名前になっているけど、執行事務手続きなんで、僕はこの事件のことは何も知らないんだな」

A氏によると、長勢法務大臣に対し、久間さんへの死刑執行命令を発するように求める上申を行ったのは、たくさんの決裁の一部。記録の点検などもしないため、記憶になかったというのだ。その口ぶりは自然で、嘘をついているようにはまったく感じられなかった。

印象に残っているもう1人は、同じく検察OBのB氏だ。久間さんの死刑が執行された2008年当時の福岡高検検事長だった人物である。久間さんに対する死刑執行を指揮したのは福岡高検の検察官だが、同高検の検事長だったB氏は当時の森英介法務大臣が発した死刑執行命令書の名宛人となっている。

しかし、久間さんの死刑執行に関する取材を申し入れたところ、このB氏も電話口で「僕は知らないなあ、その事件」とサラリと言った。飯塚事件のことも、久間さんのことも、そもそも本当に存在すら知らないような口ぶりだった。

私は法務省への情報公開請求により、森法務大臣の死刑執行命令書を受領したというB氏名義の文書も入手しており、その文書には福岡高検検事長の職印も押されているのだが、B氏はそのような文書にも覚えがないという。

B氏によると、検察庁では、そのような事務手続きの決裁文書は事務官が作成しており、福岡高検検事長の職印を押すのも事務官に任せていたそうだ。

福岡拘置所。ここで久間三千年さんの死刑が執行された

◆本質的な問題を見失わせる不確かな陰謀論

とまあ、このように久間さんの死刑執行手続きに関わった2人の福岡高検検事長経験者の話を聞く限り、久間さんの死刑執行は流れ作業的に行われていたことは明白だ。私が久間さんの死刑執行をめぐる陰謀論的な説について、信ぴょう性を感じられない事情はそこにある。法務省や検察庁にとって1人1人の死刑囚の死刑執行は単なる事務手続きに過ぎず、あれこれと陰謀を企てるほど手間をかけているとは到底思い難いのだ。

妙な陰謀論が渦巻くと、本質的な問題が見失われてしまう。久間さんの死刑執行に関し、法務省や検察庁が本当に触れられて欲しくない問題は、むしろ冤罪性の検証をろくにせず、流れ作業的に死刑を執行したことだとみるのが妥当だ。この本質的な問題が見失われないように、不確かな陰謀論が広まらないことを願う。

なお、私は上記の通り、久間さんの死刑執行手続きに関与した法務省と検察庁の幹部の大半に取材したが、その詳細は9月に発行された拙編著『絶望の牢獄から無実を叫ぶ―冤罪死刑囚八人の書画集』電子書籍版(鹿砦社)に収録されている。同書では、A氏、B氏も実名で登場するので、関心のある人は参照して欲しい。

▼片岡 健(かたおか けん)

ノンフィクションライター。編著に『もう一つの重罪 桶川ストーカー殺人事件「実行犯」告白手記』(著者・久保田祥史、発行元・リミアンドテッド)など。

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン『紙の爆弾』12月号!

総選挙の総括として、自民党の総裁選パフォーマンスによるメディア露出の効果とともに、共産党との野党共闘が立民・共産両党の独自性を毀損した。あるいは自民党に比して立民の党内選挙の不活発、共産党においては党内選挙がないことを、その理由に挙げた。選挙の顔が「飽きられている」のである。

◎「自民党の単独過半数確保が意味すること ── 総選挙を総括する」2021年11月2日

11月16日、立憲民主党の泉健太政調会長(47)、逢坂誠二元首相補佐官(62)は、枝野幸男前代表の後任を決める代表選に立候補する意向を表明した。19日告示、30日投開票である。

逢坂誠二は16日夜、党内最大グループ「サンクチュアリ」(所属議員27人)の会合に出席。同グループから立候補を求められ、「今の党や日本の状況を総合的に考え、出馬を決意した。我が党が正念場なだけでなく政治そのものが曲がり角にある」と述べた。同グループはリベラル系議員が多い。所属する小川淳也元総務政務官(50)の立候補は流動的とされている。

いっぽう、泉政調会長は16日午後、国会内でみずから率いるグループ会合で立候補の意向を表明した。会合後、記者団に「非常に厳しい環境だが、誰かがこの党を引っ張らなければいけない」と述べている。

党内から立候補を求める声がある江田憲司代表代行(65)は16日、自身のグループ会合で不出馬を表明した。「自民党総裁選で2人の女性が立候補したのはすばらしい」と、西村智奈美(元厚生労働副大臣・54)が立候補表明したものの、自民党に比べて知名度も低く、やや寂しい代表選挙になりそうだ。これが立民党の現状なのであろう。

◆一党独裁と政教一致

さて、維新の会の大躍進(11議席→41議席)は、大阪における反中央気質(阪神タイガース)。自民党批判の受け皿(改革志向)とみてきたが、ではなぜ野党共闘が受け皿足り得なかったのか、という問題に拘泥しないわけにはいかない。それは上に挙げた立民党の代表選挙の地味さ、ショボさにそれは表象されている。

だがそのいっぽうで、共産党の議席減(-2)に注目しておくべきであろう。党内選挙のない党の衰退という意味である。党の代表がほとんど変わらないという意味では公明党も同様で、無選挙で代表が交代する(池田大作の意向を反映)。

党首選出選挙については、「公明党規約第20条」で規定されているが、1964年(昭和39年)の結党以来(2名以上の)複数の候補者による党首選挙が行われておらず、無投票での党首選出が続いている。

こちらは「政教一致」の憲法違反の政党であることを指摘しておこう。ちなみに、67年(初めての選挙)の25議席、69年の47議席から、200年代の30議席前後が、支持団体創価学会の持てる力なのであろう。中央幹事会代表になってからは、神崎武法が8年間、太田昭宏が3年間、山口那津男が12年(~)といった任期である。

戦後の共産党は、徳田球一がレッドパージ下をふくむ書記長として8年間、野坂参三が3年間。その後は、宮本顕治が24年間(書記長・委員長)、不破哲三が村上弘の2年間をはさんで16年間、志位和夫の委員長はすでに21年間におよんでいる。

いずれも党内選挙のない、一党独裁と政教一致の政党なのである。共産党が政権を取れば、中国や北朝鮮のように党首が変わらない政権になる。公明党が政権を取れば、宗派の教主が政治を決める、イランのような政体になるであろう。いわば日本社会から分離された、特殊な政党であることを有権者は知っているのだ。

◆共産党とレーニン主義

じつは筆者の連れ合いの両親が共産党員で、初めて岳父・岳母と会ったのは赤旗祭であった。まだ右翼の街宣車が押し掛ける時代で、会場周辺はすこぶる緊張感があったものだ。このときの呼び物は、ソ連からきたピアニストのブーニンだった。赤旗祭はいわば物産展などを出し物にした党の文化、歌声喫茶などの出店、総じて党員たちの愉しみを演出するものだった。

さて、その共産党が「中立・自衛」という国防上の立場をひるがえしたのは、2000年前後である。「武装・中立」とも言い換えられる国防論は、マルクスの「フランスの内乱」レーニンの「4月テーゼ」に由来する。常備軍に代わる全人民武装、全国家権力を労働者代表ソヴィエト(コミューン)に移す必要、議会制共和国ではなく、労働者・雇農・農民代表ソヴィエトの共和国。警察、軍隊、官僚の廃止といった内容である。

このうち、軍隊(常備軍)をコミューン(自治組織)の武装に置き換えるという、ジャコバン革命当時、ロシア革命当時の原則を突き出せば、党が軍隊を持つことになる。この問題を共産党指導部は、ひそかに取り下げ、「非武装・中立」という旧社会党のスローガンに置き換えたのである。

わたしとの討論で、岳母が「武装をするとまでは言ってないんだよ」と漏らしたことがある。つまり共産党は国防政策の転換にさいして、全党を動員した議論をしないまま、看板を掛け変えたのであろう。この問題について、共産党中央委員会幹部会に取材を申し入れたところ、媒体が「情況」であることをもって「将来にわたって、君たちとの討論はあり得ない」という回答だった。明言こそしなかったが「君たちはトロツキスト暴力集団だから」、あるいは「ニセ左翼集団」。いや、分派(ブント)であることを論拠にしたのであろう。

開かれた国民政党どころか、レーニンの1921年の分派禁止令(フラクションの禁止)を固持しているからなのだ。

いま、若い人たちのなかに「共産党支持」が、わずかながら増えているという。国会論戦での原則的な主張、それなりに説得力のある政府批判を見ていれば、共産党議員団を支持するのはうなずける。社民党も頑張ってはいるが、なにしろ質問時間が短すぎて、福島みずほがスローガンを唱えるだけの質疑では、とうてい支持は得られないのではないか。

とはいえ、マルクス・レーニン主義を墨守するあまり共産党という党名を変えられず、党員の構成比がかぎりなく老人党となりつつある現状を変えられないかぎり、真の国民政党になる日は来ないと断言しておこう。

▼横山茂彦(よこやま・しげひこ)
編集者・著述業・歴史研究家。歴史関連の著書・共著に『合戦場の女たち』(情況新書)『軍師・官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)『闇の後醍醐銭』(叢文社)『真田丸のナゾ』(サイゾー)『日本史の新常識』(文春新書)『天皇125代全史』(スタンダーズ)『世にも奇妙な日本史』(宙出版)など。

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン『紙の爆弾』12月号!

石橋林太郎さんが、衆院選比例区に立候補(当選)のため辞職したことに伴う広島県議選安佐南区選挙区の補欠選挙は11月14日、執行されました。安佐南区選挙区はかつて、河井案里さん(2021年2月4日、有罪確定で参院選2019での当選が無効)がトップ当選してきた地元であり、夫の克行受刑者の広島3区に含まれる「河井事件の震源地」です。

産廃問題の勉強会をかねた山根候補の個人演説会

◆あっと驚く野党の大敗

自民党が議席死守を狙い、公明党の推薦も得て擁立した「維新」の元国政候補者の灰岡香奈さんと、河井事件の追及の先頭にたち、日本共産党や広島3区市民連合が推薦し、さとうしゅういち後援会やれいわ新選組の地元のメンバーもバックアップする事実上の野党統一候補の山根岩男さんの事実上の一騎打ちに、河井克行受刑者の元秘書の伊藤守さんが割込む構図、というのが多くの人の見立てでした。しかし、その見立てを覆して、野党候補が3位に沈むという、結果になってしまいました。

当選 灰岡香奈  自民・新  3万961票(公明推薦)
   伊藤 守  無所属・新 1万3719票(克行受刑者の元秘書)
   山根岩男  諸派・新   7727票(共産推薦・地元のれいわ・社民支持)

河井受刑者の元秘書の伊藤候補も合わせると自公系で44680票。
野党は14.7%しか得票できませんでした。

◆過去の各種選挙で見える安佐南区における各政党の勢力は?

この結果を分析する前に、過去の安佐南区における選挙結果をおさらいしておく必要があります。安佐南区を含む広島3区では、2週間前の衆院選で、公示前は優勢も伝えられた野党統一候補のライアン真由美さんが、斉藤鉄夫国交大臣にフタをあければダブルスコアに近い大敗を喫しました。安佐南区における衆院選各候補の得票は以下です。

斉藤鉄夫    公明・前  49515(自民推薦)
ライアン真由美 立憲・新  28401
せぎひろちか  維新・新  11159
大山宏     無所属・新  2146
矢島秀平    N裁・新   1610
玉田のりたか  無所属・新  978

比例区の得票は以下です。

与党 
自民党    41888
公明党    11719

共闘野党
立憲民主党  16250
日本共産党  4879
れいわ新選組 2907
社民党    1423

補完勢力
日本維新の会 11694
国民民主党  3652
N裁党    1256

2021年4月25日執行の参院選広島再選挙での各候補の得票は以下です。

宮口はるこ    諸派   29280 立憲、国民、社民推薦、共産支持
西田ひでのり   自民   26607  公明推薦
さとうしゅういち 無所属   2157 (れいわ「公認漏れ」)
山本貴平     N国    1441 
大山 宏     無所属   1060
玉田のりたか   無所属    866

いっぽう、10年前の2011年4月の県議選安佐南区選挙区では以下のような得票でした。(当時は定数4)

当選 河井案里     無所属元  20799 自民党に復党
当選 石橋良三     自民現   17684
当選 くりはら俊二   公明現   16452
当選 佐々木ひろし   自民元   14234
   梶川ゆきこ    民主現    9987
   さとうしゅういち 無所属新   4278(反自民系)

自公が69169,反自公が14265で反自公が17.1%です。

その1年8ヶ月後の2012年衆院選では以下です。

当選 河井克行  自民前 41457
   橋本博明  民主前 25101
比当 中丸ひろむ 維新新 20744
   藤井としこ 共産新 7530

自公   41457
反自公  32631
補完勢力 20744

上記のデータと、わたくし・さとうしゅういちが、選挙運動中に見聞した状況、そして10年余りの参院選広島予定候補者としての活動経験をベースとした勘を総合すると、以下のことが言えます。

(1)県議選では、伝統的にアンチ自公は17%前後しか得票できない。2015年県議選を最後に引退した佐々木ひろしさんのように自民党県議でも、国政レベルの共産党や社民党の支持者にも食い込んでいた人がいた。

(2)ただし、衆院選では克行受刑者の評判が非常にわるいために、県議選で自民党・公明党に投票する人たち(6-7万程度)もふくむ自公の基礎票(5万前後)から1万程度は、克行受刑者の対抗馬の旧民主党などや、維新に流れていた。このアンチ河井保守層の存在は、マスコミなども分析の際に見落としている。

(3)2021年4月の参院選広島再選挙のときは、案里さん有罪確定で自民党への批判が頂点に達しており、自民党の選挙運動はにぶく、本来の自公の基礎票の半分しか得票できなかった。野党系は実はさほど票を増やしておらず、自民党の自滅だった。

(4)しかし、その後、克行受刑者の失脚に伴い、アンチ河井の自民党支持者が急激に与党陣営に回帰。さらに地元から岸田総理が誕生した効果、斉藤鉄夫さんが国土交通大臣になった効果で「河井事件効果」で半減していた自民党支持者が与党に回帰し、斉藤鉄夫さんの圧勝を支えた。

(5)今回の県議補選は、「岸田総理誕生効果」=自民党への追い風と、「河井事件効果」が打ち消しあった上、安佐南区では河井受刑者の失脚でアンチ河井の自民党支持者が安心して与党を応援できるようになった中で行われた。

(6)野党の山根候補の得票7727は直前の衆院選比例区の共産党とれいわ新選組の得票合計7786とほぼ符合する。

(7)実際、共産党さんはしっかり組織内を固めた印象があったし、さとうしゅういち後援会、またれいわ新選組の地元のボランティアメンバーも「身内」はしっかり固めているが、「外部への伸び」が感じられなかった。そのことと得票数が符合する。

(8)立憲民主党さんは、ほとんど、今回の県議補選で動きがとれていなかった。衆院選大敗のダメージの大きさを感じる。立憲民主党支持層は多くは棄権されたと思われる。あれだけの大敗のあとで仕方がないのかもしれないが、悔やまれる。

(9)失礼ながら、伊藤候補の克行受刑者の元秘書というのは常識で考えれば印象が悪い肩書きだ。しかし、実際には河井夫妻、とくに案里さんへの同情論は一部ではそれなりに強かった。それが伊藤候補を押し上げた可能性はある。

(10)灰岡候補は河井事件には一切ふれず、女性の労働環境や医療の改善などを訴える戦術をとった。野党が「金権政治批判」を軸にしたことで、女性政策を重視するリベラル層(国政では)の一部が灰岡支持に回った可能性はある。過去の県議選や参院選でも、河井案里さんが同様の手法でリベラル層の一部も取り込んだ前例はある。

◆賞味期限切れの「河井」批判 野党は再選挙の成功体験にこだわりすぎるな

正直、克行受刑者も衆院選中に自ら控訴を取り下げ、有罪が確定して収監されました。また、事件の発端となった「文春砲」から2年以上経過しました。さらに、この夏は、コロナ災害や、大雨災害も深刻になりました。事件当時の自民党の二階幹事長も岸田さんにより、事実上失脚しています。

こうした中で「河井批判」は、「賞味期限切れ」ではないでしょうか?

そのことを良い、といっているのではありません。正直、案里さん・克行受刑者からお金をもらった広島県議がだれひとり腹を切っていないのは元県庁マンとしても悔しいです。

しかし、いま、短期にも中長期にも、他に大きな課題がたくさん出てきすぎたのです。コロナはもちろん、気候変動やそれによる災害も大問題です。

もちろん、河井夫妻のやったことは、裁判所も断罪したように、民主主義の根幹を揺るがすことです。だが、それをいうなら、多くの自民党国政政治家もたとえば、表面上、合法のカンパとして、地方議員にお金を配っている実態もあります。政党交付金の使い道の問題にしても、そもそも、ずさんな処理をみとめてしまう政党交付金をめぐる現行法を変えるしかない。しかし、そこまではとくに立憲民主党さんなどは踏み込まないのです。

もちろん、2021年4月の時点ならマスコミが「河井事件」ばかりを取り上げていました。具体的な政策なんかそっちのけ、与野党対決のみをあおり立てる報道姿勢でした。だから、政治経験のない宮口はるこさんを担いで野党第一党が再選挙で勝利したのです。しかし、いまはそうではありません。

これ以上、河井事件批判ばかりだと、他の政策に野党は不熱心とおもわれかねません。わたくし、さとうしゅういち自身、山根候補を他人に紹介するさいは、「新自由主義脱却の即戦力でもある」ということをお伝えしました。あるいは、産廃問題に彼が取り組んでいることも紹介しました。もっと、いろいろな人が候補者の魅力をいろいろな角度で伝えることがこれからの野党の課題のひとつでしょう。

勉強会のレジュメ。今後も勉強を軸にした活動が野党側は重要だ

これより先、衆院選では「財政出動で暮らしをガツンと立て直す」と、れいわ新選組のおもに経済政策のアピールに街頭では比重を置きました。全国でもれいわは立憲や共産が手薄になった分野を強く訴えました。

そのことが、一定評価をいただき、れいわは立憲、共産が票を減らすなかで、衆院選初挑戦で3議席をいただいたとかんがえています。

広島の立憲民主党さんや日本共産党さんにおかれても、再選挙の成功体験をすてていただきたい。あのときは、政策なんかそっちのけで、とにかく河井批判さえしていれば勝てた特殊な選挙なのだから。成功体験卒業が遅れれば遅れるほど、今度は広島でも比例復活で議席を確保した維新に足元をすくわれかねません。今回の県議補選における伊藤守候補が維新に置き換わったような選挙結果、すなわち野党共闘が維新の後塵を拝する結果が、今後の県内で多数出現しかねない。

特効薬はありませんが、以下のことは申し上げたいし、自身も実行したい。

(1)各種選挙の候補者はコロコロ変えずに固定する。素人がいきなり当選するような奇跡はほとんどおきえないことを肝に銘じたい。

(2)共闘はもちろん大事。しかし、それにたよりすぎずに各政党が自力をつける努力をすること。ある程度熱心な支持者の方でも、基本的な知識などが不足している場合もある。勉強を軸に強化していきたい。すでに、さとう自身はれいわ支持者を中心に介護福祉現場改善へ向けたオンライン勉強会などを開いていく。

(3)いまは、とにかくコロナ災害前から厳しく、コロナに追い打ちをかけられた人々の暮らしの再建を軸にしたい。そして中長期には災害救助隊や原発なき脱炭素など、平和憲法と広島の技術・経験をいかした国のありかたへ投資する方向性をきちっと打ち出していきたい。

(4)金権政治批判にしても、今後は河井批判から、政策そっちのけの政治・選挙をもたらしている制度の改革や政治文化の見直しにシフトしたほうがよいのでは?

(5)正直、具体的な方向性を打ち出そうとすると身内からの反発も出る。だから、「河井事件批判という最大公約数」でお茶を濁したくなるのも理解はできる。しかし、くどいようだが、それで勝てたのは再選挙のときの特殊な状況ゆえだ。もう、それは通用しない。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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タブーなきラディカルスキャンダルマガジン『紙の爆弾』12月号!

「受動喫煙症」とは、第三者による煙草の煙によって引き起こさせる化学物質過敏症のことである。副流煙を避けるために、レストランなど公共の場で分煙措置が取られているのは周知の事実である。マンションの掲示板にも、煙草の煙に配慮するように注意書きが貼り出されていることが多い。「受動喫煙症」という言葉が、日常生活の中に入り込んできたのである。

しかし、ほとんど知られていないが、「受動喫煙症」という病名は、実は日本禁煙学会(作田学理事長)が独自に命名した病名で、国際疾病分類(ICD10)に含まれていない。公式には認められている病気ではない。従って、保険請求の対象にはならない。「そんな病気は存在しない」と言う医師も少なくない。

が、それにもかかわらず横浜副流煙裁判にみられるように、2017年に「受動喫煙症」と付された診断書を根拠とした高額訴訟が提起された。副流煙の被害者とされる家族が、隣人に対して「受動喫煙症」を根拠に4518万円の金銭支払いを請求したのである。請求は棄却された。

◎【関連記事】煙草を喫って4500万円、不当訴訟に対して「えん罪」被害者が損害賠償訴訟の提訴を表明、「スラップ訴訟と禁煙ファシズムに歯止めをかけたい」
 

日本禁煙学会の医師らは、この「受動喫煙症」についてどのように考えているのだろうか。患者が、「受動喫煙症」を立証する診断書を交付するように求めてきたとき、どう対処しているかを客観的に調査するために、筆者ら横浜副流煙裁判を取材してきた4人(黒薮哲哉、藤井敦子ら)は、98人の医師(若干看護士も含む)に問い合わせてみた。

98人の医師は、「受動喫煙症の診断可能な医療機関」(日本禁煙学会のウェブサイト)に登録されている。(2021年10月18日現在)

問い合わせは次の3点である。

①受動喫煙症の診断書を交付しているか?

②診断書を裁判に提出する方針はあるか?

③診断にあたっては、検査を実施するか?

ただし口頭でのやり取りなので、②や③の問い合わせに辿り着かなかった場合や、話が大きく逸れてしまった場合もある。

◆受動喫煙症の診断書を交付しているか?

まず、質問1「受動喫煙症の診断書を交付しているか」についての調査結果を公表しよう。

①受動喫煙症の診断書を交付するか?

約37%の医師が、「受動喫煙症」の病名を付した診断書を交付しないと回答した。

「交付しない」と答えた医師のコメントは、「受動喫煙症」の病名を付した診断書は、「裁判に使えない」からという趣旨のものが複数あった。「受動喫煙症」の証明が医学的に困難と答えた医師もいた。他に、「診断書を書いても法的拘束力がない」、「横浜副流煙裁判を機に、もう書かない」というコメントもあった。

◆診断書を裁判に提出する方針はあるか?

質問①で61人の医師が「受動喫煙症」という病名の診断書を交付すると答えた。これらの医師を対象に、診断書を裁判に提出する方針はあるのか否かを問うた。結果は次の通りだった。

②診断書を裁判に提出する方針はあるか?

「提出方針はない」と答えた13人の医師のうち、5人は、企業を被告とする裁判であれば、交付に応じると回答した。

◆診断にあたっては、検査を実施するか?

質問③は、「診断にあたっては、検査を実施するか」である。次のような結果になった。

③診断にあたっては、検査を実施するか?

診断書を作成するにあたって、「検査を実施する」と答えた医師はわずか12人だった。検査内容は、尿コチニン検査・呼気検査、spO2の測定などである。

われわれが③の質問を用意したのは、横浜副流煙裁判の判決が、「客観的証拠がなくとも患者の申告だけで受動喫煙症と診断してかまわない」とする日本禁煙学会の診断基準を批判したからである。実際、日本禁煙学会の作田学理事長や松崎道幸理事らは、横浜副流煙裁判の中で患者の問診のみによって受動喫煙症と診断を下したも問題ないと主張した。

検査をしない理由として、「高額だから」、「受動喫煙直後に検査しなければならないから」、「検査をして値が出ないことも多いから」、「客観的指標がないから」などのコメントがあった。これらは「検査は必要だが難しい」という見解といえるだろう。

◆「客観的証拠が出せないので、検査はしていない」

アンケート開始当初には④「オンライン、或いは委任状での診断書作成は可能か?」という質問事項を設けていた。この質問を設定したのは、横浜副流煙裁判の中で作田医師らが、副流煙による健康被害を診察する際に、オンラインによる診察・診断や委任状による診察・診断も認められるべきだという主張を展開したからである。

この質問について、ほとんどの医療機関は、「とんでもない」、「あり得ない」と強く否定した。そこでわれわれは途中でこの質問項目を外した。

この調査を通じて、医療関係者から多くの興味深い話を聞くことが出来た。そのいくつかを紹介しよう。

「(受動喫煙症の)客観的指標がないのでタバコが(体調不良の)原因とは(診断書に)書けない。症状しか書けない」

「メールで(患者の)状況を確認、メールでやりとりして診断内容を決める」

「受動喫煙症の裁判に必要なシビアな資料を作るのは無理、(裁判をしても)絶対負ける」

「(受動喫煙症の)客観的証拠が出せないので、検査はしていない」

「(副流煙についての)問い合わせが多くなって、本当に受動喫煙かどうか分からないので、書くのが難しい」

「病気には元々の素因もあるので、喫煙者の煙が(体調不良の)原因だと断定にはいかない」

「(患者さんに)精神的に問題がある場合は、そちらを紹介する」

「裁判以前に(副流煙問題を)解決するのが一番いいわけですね、今はそういう事例を積み重ねる段階。診断書を使わずに、内容証明を弁護士の名前で送ったりとか」

「問診だけだったら、そりゃ(診断に)客観性がないわな。コチニン検査は絶対要だけどやってくれる場所が検討つかない」

「近隣の場合は空気が分散するので(副流煙の)立証できない。職場の隣の人なら別」

「大学の先生に頼んで(受動喫煙症の)検査するならよいが、そんな厳密な診断書はクリニックの医師は書けないよ」

「(副流煙による)健康被害の医学的証明は出来ない。現場に行けないから」

問い合わせを通じて医療関係者の熱心な姿勢を感じた。しかし、診断書を喫煙者の個人糾弾に使うことを前提としている印象を与えた医師もいた。

▼黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
ジャーナリスト。著書に、『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島新書)、『ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線』(花伝社)、『名医の追放-滋賀医科大病院事件の記録』(緑風出版)、他。
◎メディア黒書:http://www.kokusyo.jp/
◎twitter https://twitter.com/kuroyabu

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン『紙の爆弾』12月号!

『紙の爆弾』『NO NUKES voice』今こそ鹿砦社の雑誌を定期購読で!

フィギュアスケート元五輪代表の織田信成氏(34)が一昨年(2019年)11月、「モラルハラスメントを受けた」などと主張し、関西大学アイススケート部の濱田美栄コーチ(61)を相手に1000万円の損害賠償などを求めて大阪地裁に起こしていた訴訟で、気になる動きがあった。

織田氏がこの紛争に関する自身の主張を伝えるなどした出版社1社と新聞社4社に対し、「訴訟告知」を行ったのだ。あまり報道されていない話のようなので、ここで紹介したい。

織田の主張を伝えた週刊新潮2019年10月31日号 ※修正は筆者による

◆濱田コーチも反訴して反撃

まず、この訴訟の経緯を簡単にまとめておく。

織田氏は日本を代表するフィギュアスケーターの1人だが、かたや濱田コーチも宮原知子選手や紀平梨花選手ら多くのトップフィギュアスケーターを育てた有名な指導者だ。織田氏がこの濱田氏からモラルハラスメントを受けたと主張しているのは、2017年4月から2019年9月まで母校の関大でアイススケート部監督を務めた時期のことだ。

織田氏の主張によると、当時、濱田コーチは自分の指導に意見した織田氏に対し、「あなたの考えは間違っている!と激怒し、それ以来、織田氏を無視するようになった。さらに「監督に就任して偉そうになった」「勝手に物事を決める」などと真実と異なる噂を流布するように。織田氏はそのせいで40度を超える熱が出て、動悸、目眩、吐き気などの体調不良に陥ったため、選手を指導できなくなり、監督を辞任せざるをえなかったという。

一方、訴訟が始まると、濱田コーチが「織田氏へのモラハラは事実無根だ」と主張。そのうえで、織田氏がブログや週刊誌のインタビュー、提訴時の会見でモラハラを受けたと主張したせいで名誉を棄損されたとして、織田氏に対して330万円の損害賠償を求め、反訴したのだ。

そんな訴訟は今年3月、デイリースポーツで「双方が和解に向かっている」と報じられた。しかし、濱田コーチが「自分が織田氏にモラハラや嫌がらせをしたことは証拠上明らかになっていない」と謝罪を拒否。そのうえで、「自分は織田氏のせいでマスコミに追われ、街中でも後ろ指を指されるなどした」と主張し、和解の条件として織田氏が自分に謝罪することを求めた。そのため、和解は成立しなかったのだ。

◆「訴訟告知」は敗訴した場合に備えた措置

こうして訴訟が続く中、織田氏の代理人弁護士が講じた措置が出版社1社と新聞社4社への「訴訟告知」だった。モラハラ被害に関する織田氏の主張を伝えた週刊新潮、朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、産経新聞の発行元各社に対し、書面で次のような告知を行ったのだ。

「週刊誌や新聞の記事については、編集、発行を担った出版社、新聞社が不法行為責任を負うべきだ。織田氏の主張を伝えた週刊誌や新聞の記事により、織田氏が濱田コーチへの損害賠償を強いられた場合、織田氏は発行元の出版社と新聞社に対し、訴訟を提起せざるをえない」(告知内容の要旨)

つまり、織田氏が敗訴した場合、今度は織田氏が出版社や新聞社相手に訴訟を起こすことになる可能性を伝えたというわけだ。

もっとも、新聞各紙は織田氏が提訴時に会見で主張したことを伝えただけで、織田氏から責任を追及される筋合いがあるかは疑問だ。一方、織田氏の代理人弁護士によると、週刊新潮は織田氏が濱田コーチのことを「関大の女帝」と呼んでいるかのように書くなど、記事中に編集部が創作した表現を数多く使用していたという。それが事実なら、織田氏が「あの記事の内容について、自分に責任はない」と主張したくなる気持ちもわからないでもない。

訴訟告知を受けた各社はどのように対応しているのか。織田氏の代理人弁護士はこう説明した。

「訴訟告知に対し、何か対応してきた社はありません。それぞれ検討されたうえでのことと思うので、各社のことを無責任だと思うことはありません。我々は、粛々と裁判を進めるだけです」

フィギュアスケート界の有名人同士の訴訟は、はた目には不毛な争いが続いているように見える。早く解決して欲しいと他人事ながら思う。

▼片岡 健(かたおか けん)
ノンフィクションライター。編著に『もう一つの重罪 桶川ストーカー殺人事件「実行犯」告白手記』(著者・久保田祥史、発行元・リミアンドテッド)など。

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン『紙の爆弾』12月号!

関西電力(以下、関電)の旧経営陣の八木誠前会長、森詳介元会長ら9人の金品受領問題、報酬闇補填問題(※)などすべての容疑について、11月9日、大阪地検特捜部は「嫌疑不十分」で不起訴とした。旧経営陣らは事情聴取で「(金品は)預かり保管していた」と主張、一方、渡した側の森山栄治氏(元高浜町助役)が死去していることから、会社法の収賄罪の立証は困難とした。翌日10日正午より、「関電の原発マネー不正還流を告発する会」のよびかけで、地検前での緊急抗議行動が行われた。

※「報酬闇補填問題とは」ー関電は3・11後、電気料金の値上げに伴い、役員報酬を減額していたが、役員の退任後、相談役などに就かせ報酬を補填していた。

大阪地検への緊急抗議行動に集まった人たち

◆このような不起訴決定は許すことは出来ない
 末田一秀さん(告発する会共同世話人/はんげんぱつ新聞編集委員)

冒頭、はんげんぱつ新聞編集委員で「関電の原発マネー不正還流を告発する会」共同世話人の末田一秀さんから経過報告がなされた。 

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昨日、大阪地検の担当検事から、弁護団の大河弁護士に不起訴にした、理由は嫌疑不十分だという連絡がありました。夕方五時からWEBで記者会見を行い、「不当だ!」とマスコミにも訴えました。今日のマスコミ報道を見ると、地検の特捜部長が「これは社会的に注目を集めている事件だから」ということで記者会見し、50分にわたって説明を行ったとのことです。

私たちはいくつかの事件について告発していますが、結局、被告発人である関電旧経営陣の言い分を認めたとなっているみたいです。(旧経営陣の)「金は預かっていただけ」(高浜町元助役サイドに)「便宜供与はしていない」、そして「闇補填ではなく、実態的な仕事があった」と被告発人は、任意の事情聴取で受け答えていて、私たちが起こしている株主代表訴訟でもそのような主張をしているわけですが、それを「突き崩せなかった」という特捜部長の説明であったという記事になっています。

中でも、金品を受け取っていたことよりも、役員の給与の闇補填に関しては、非常に明白な事実なので、それに関しては、産経新聞は「きわめてグレーだ」と警察関係者が述べていると書いているし、京都新聞は「金品授受は厳しいので、そっちは見切りをつけて、闇補填に関して集中的な捜査を続けてきた」と書いてあります。闇補填に関しては、なぜ不起訴になるか理解できないが、業務の実態がなかったと、裁判で証明することは難しいと判断したとあります。大阪国税局は税務調査に入ってきちんと調査して「これは悪質な所得隠しだ」と認めたわけです。それに対して大阪地検は一度も強制捜査をしなかったということですから、地検は嫌疑不十分で立証できなかったということでいうと、彼らは無能なのかと問いたいと思います。

考えてみると、4月28日に毎日新聞が、不起訴の方針を固めたと報道しました。それから何か月か経っていますが、この間、起訴すべきかどうかで、検察のなかでも綱引きがあったということです。ほかにも、この事件を不起訴にすると、市民の信頼を得られないと述べる検察内部関係者もいたという記事もあります。本当に起訴か不起訴かの綱引きがあったなかで、大阪地検は上級検察庁と協議をして、結果的に不起訴になってしまった。そうなったら、検察審議会に訴えるぞと前から私たちは言っていますから、それに耐えられるように、捜査を尽くした形を作りたかったのだと思われます。どちらにしても、このような不起訴決定は許すことは出来ないので、ここで抗議の声を上げていきます。

末田一秀さん(「関電の原発マネー不正還流を告発する会」共同世話人/はんげんぱつ新聞編集委員)

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◆「金品を預かっていただけだ」では許されない
 長澤啓行さん(大阪府立大名誉教授/若狭ネット資料室長)

大阪府立大名誉教授で若狭ネット資料室長の長澤啓行さんからのアピール。

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長澤啓行さん(大阪府立大名誉教授/若狭ネット資料室長)

 今回、大阪地検の姿勢が変わるではという期待がありました。問題は、関電の原発利権構造が変わったのかどうか。変わってないんです。今朝の朝日新聞で暴露されていましたが、贈収賄の原資を工面した「吉田開発」(福井県高浜町)が、関電の特重施設、いわゆるテロ対策施設の敷地造成などで出た残土を山に捨てにいき、そこでトラブって、受注した金額で賄えないということになったが、その賠償金を誰が払ったか?関電が発注額に上乗せして払っているんですよ。

これはあの、贈収賄の発注額に毒まんじゅうを上乗せして、贈収賄資金に回った、あの構造とまったく一緒じゃありませんか。このような利権構造が、地検が不起訴をしたとたんに暴かれてくる。これは一体どうなっているんだ! 大阪地検はこのような実態を、目の当たりにして、今回の不起訴にして、関電の利権構造が少しでも変わるのか? これを助長するのではないか。それをはっきり自覚して、今回の不起訴を撤回すべきではないかと思います。

しかし、我々が進むべき道は、東電を起訴したあの過程を関電に対してもやるしかないということです。東電は、地震調査研究推進本部の津波評価について、「これは信頼性がない」と御用学者にいわせた。それを地震学会の多数の意見であるかのようにやった。これで東京地検は不起訴にした。ところが、それを市民が許さなかった。2回の検察審査会をやって、起訴にもちこんだ。その結果、東電の幹部は無罪になりましたが、裁判の過程で、彼らが津波の危険性を無視し、津波対策を行わなかったという具体的な証拠が積みあげられた。とてもこの積み上げられた証拠を見直せば、無罪は出せないだろうと思った。ところが悪徳裁判官は無罪にしてしまった。そこで、今、控訴審に入っています。控訴審では、明らかにされた証拠を再度積みあげて、有罪にもっていくのではないかと期待されます。

関電もおなじです。関電は贈収賄をやった、受けた、収賄された金は回ったのでなく「預かっただけ」という。こんなことが許されるなら、贈収賄事件はすべて起訴できない。贈収賄をやった人は「お金を預かっていただけだ」では許されない。このような事態を我々は断固として許すことはできない。市民の力で地検の不当な決定というものを、具体的に裁判に持ち込み追及し、暴いていかなければならにだろうと思います。そうしなければ、関電の利権構造を潰すことはできない。これを潰すことが、私たちの今の使命ではないかとおもいます。今度の不当決定に屈せず、検察審査会を含めて闘い、関電の利権構造を潰すまで闘っていきましょう。

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◆再び末田さんの訴え

最後に再び末田さんがマイクを握り、関電と大阪地検のズブズブの関係を明らかにし、今後、検察審査会に申し立てを行って闘おうと訴えられた。

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「金品は預かっていただけ。そして便利供与はしなかった」という、被告発人の主張を指南したのは、元大阪高検検事長の佐々木茂夫です。2018年に国税局が査察に入ったということを聞いたときに、関電は佐々木を呼んできて、検察対策をやった。そしてそういう主張に整理された。当時事件が発覚したとき、八木会長が記者会見で思わず「便利供与はなかったと整理されています」と答えています。まさに佐々木の指導によって「整理をした」。そして検察庁OB佐々木の忖度によって、大阪地検は不起訴にすることしかできなかった。そういう構造です。佐々木は今、関電の取締役です。大阪地検は関電への天下りを今後も続けていきたい。関電とズブズブの関係の大阪地検と私たちは思っています。告発人の方には、検察審査会への手続きを弁護士にお願いする委任状がメールか郵便で送付されます。署名捺印して告発する会事務局まで郵送してください。よろしくお願いします。

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最後は大阪地検へ向かってシュプレヒコールをあげて抗議行動を終えた。大阪地検とずぶずぶの関係で利権を漁り続ける関電を今後も徹底的に追及していこう!

 

▼尾崎美代子(おざき みよこ)「西成青い空カンパ」
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者ツイッター(はなままさん)https://twitter.com/hanamama58

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン『紙の爆弾』12月号!

9月9日発売開始!『NO NUKES voice』Vol.29 《総力特集》闘う法曹 原発裁判に勝つ

私たちは唯一の脱原発雑誌『NO NUKES voice』を応援しています!

山浦俊一は昨年12月27日に葵拳士郎(マイウェイ)に判定勝利し王座奪取。今回、初防衛を果たし、次のステップに進みたいことを宣言。

波賀宙也は防衛戦に向けての前哨戦は引分けるも、タイ選手のテクニシャン対策にはなった試合。

ルイはS-1レディースジャパン王座獲得。段階的に言えば次はS-1ワールドトーナメント出場。

真吾YAMATOは4度目のNJKF王座挑戦で、暫定ながら王座獲得。

◎NJKF 2021.4th / 11月7日(日)後楽園ホール17:30~21:10
主催:ニュージャパンキックボクシング連盟 / 認定:WBCムエタイ日本協会、NJKF

◆第10試合 WBCムエタイ日本スーパーフェザー級タイトルマッチ 5回戦

チャンピオン.山浦俊一(新興ムエタイ/1995.10.5神奈川県出身/58.85kg)
      VS
1位.久井淳平(多田/1987.12.3大阪府出身/58.8kg) 
勝者:山浦俊一 / 判定3-0
主審:中山宏美
副審:多賀谷50-46. 少白竜50-47. 椎名50-47

山浦俊一の首相撲からの崩しで10回ほど久井淳平がひっくり返された。その試合は山浦が蹴りやパンチの的確さで主導権を奪っての展開。

手足長い久井の前蹴りや右ストレートは山浦のディフェンスに阻まれヒットし難い。地味な戦いだが、山浦の多彩な技で圧力掛け続け、大差判定勝利に繋がった。

山浦俊一は27戦15勝(3KO)10敗2分。久井淳平は34戦20勝(6KO)13敗1分。

山浦俊一の崩し技で久井淳平は何度も転ばされた

ジワジワ攻めて追い込んだ山浦俊一のハイキック

◆第9試合 57.0kg契約3回戦

波賀宙也(立川KBA/1989.11.20東京都出身/56.9kg)
     VS
クン・ナムイサン・ショウブカイ(1990.11.21タイ出身/56.8kg)
引分け 三者三様
主審:少白竜
副審:中山30-29. 多賀谷29-29. 宮本28-29

波賀宙也は2019年9月23日、IBFムエタイ世界ジュニアフェザー級王座獲得。コロナ禍に於いて防衛戦が延期された1年半のブランクを経ての9月19日は大田拓真(新興ムエタイ)に判定負け。今回がやがて予定される防衛戦への前哨戦となる。

両者はパンチとローキックで様子見。柔軟な体幹を持つタイボクサーのクン・ナムイサンは慌てることなく、首相撲で勝負するなどベテランの余裕があるが、互いに攻勢を決定付ける強いヒットも無く終了。波賀はタイトル防衛戦に向けたムエタイ対策には役立った試合かもしれない。波賀宙也は42戦26勝(4KO)12敗4分。

攻略は出来なかったが、防衛戦に向けたムエタイ対策になった波賀宙也

◆第8試合 60.0kg契約3回戦

NJKFスーパーフェザー級チャンピオン.梅沢武彦(東京町田金子/1993.8.12東京都出身/59.9kg)
     VS
JKIスーパーフェザー級チャンピオン.櫻井健(Hard worker/1981.2.20千葉県出身/59.45kg)
勝者:梅沢武彦 / 判定3-0
主審:椎名利一
副審:少白竜30-26. 多賀谷30-26. 宮本30-26

梅沢は蹴りとパンチの様子見から自分のリズム掴み、多彩に蹴って勢い増していく。ハイキックは何度か顔面をかすめる圧倒。

桜井も打って出て来た最終ラウンド終盤には、倒しに掛かる勢いで右ストレートでノックダウン奪い、最後の残り時間で飛びヒザ蹴り見せた梅沢。ノックアウトは出来なかったがインパクト与える余裕の判定勝利。

梅沢武彦は27戦17勝(8KO)7敗3分。櫻井健は32戦13勝(3KO)15敗4分。
 

技と駆引きで優った梅沢武彦のハイキック

◆第7試合 S-1レディースジャパン2021スーパーフライ級王座決定戦 5回戦(2分制)

ミネルヴァ・スーパーフライ級1位.ルイ(クラミツ/1991.2.19香港出身/52.15kg)
     VS
KOKOZ (=ココゼット/TRY HARD/2001.10.24神奈川県出身/51.9kg)
勝者:ルイ / 判定3-0
主審:宮本和俊
副審:中山48-47. 椎名48-47. 少白竜49-48

序盤はKOKOZのパンチと蹴りのリズムで距離感保ち、的確さで上回った。3ラウンドからルイが首相撲に持ち込みヒザ蹴りに入ると、KOKOZは持ち味を殺されたように動きが減ってしまう展開が続き、後半ポイントを失った形のKOKOZは惜しい敗戦。ルイは9戦8勝(3KO)1敗。KOKOZは10戦6勝4敗。

首相撲となればルイがヒザ蹴りで優って逆転に導いた

陣営に祝福されたルイ

◆第6試合 女子ミネルヴァ・ライトフライ級王座決定戦3回戦

1位.真美(team lmmortaL/1990.2.19神奈川県出身/48.85kg)
     VS
2位.ERIKO(ファイティングラボ高田馬場/1987.4.22千葉県出身/48.65kg)
勝者: 真美 / 判定3-0
主審:多賀谷敏朗
副審:中山30-27. 椎名30-27. 宮本30-28

初回から蹴りから組み合えばヒザ蹴り、更にパンチの手数が増える展開で、ERIKOの勢いはあるが、組み合えばヒザ蹴りで優っていく真美が攻勢を保ち判定勝利。

真美は12戦8勝(2KO)4敗。ERIKOは10戦6勝(2KO)4敗。

真美も首相撲からヒザ蹴りで勝利を導いた

陣営に祝福された真美

◆第5試合 NJKFスーパーライト級暫定王座決定戦 5回戦

真吾YAMATOの徹底したヒジ打ちでマリモーを倒した

1位真吾YAMATO(大和/1996.1.3東京都出身/63.15kg)
     VS
3位.マリモー(キング/1985.3.8東京都出身/63.2kg)
勝者:真吾YAMATO / KO 1R 1:27 / テンカウント
主審:少白竜 

開始から長身の真吾がタイミング狙ってヒザ蹴りを入れ、マリモーをロープ際へ圧し、コーナーに追い込むと左ヒジ打ちでマリモーの右目瞼を斬り、更に左ヒジ打ちでアゴを捉えダメージを与えてのノックアウト。

マリモーのスタミナと根性でのしぶとさを発揮させずに仕留めた真吾。

真吾YAMATOは31戦22勝(11KO)7敗2分。マリモーは33戦13勝(6KO)19敗1分。

◆第4試合  NJKFバンタム級挑戦者決定戦3回戦

1位.志賀将大(エス/1993.2.20福島県出身/53.0kg)
     VS
2位.池上侑李(岩崎/2000.7.17東京都出身53.4kg)
勝者:志賀将大 / 判定3-0
主審:椎名利一        
副審:中山30-29. 少白竜30-28. 多賀谷30-29

蹴りの攻防は互角ながら、第2ラウンド半ばから池上のパンチで鼻血を流す志賀は息苦しさが感じられたが、首相撲でのヒザ蹴りで攻勢を保ち判定勝利。

志賀将大は15戦11勝(4KO)3敗1分。池上侑李は14戦8勝(2KO)6敗。

◆第3試合 65.0kg契約3回戦

NJKFウェルター級2位.野津良太(E.S.G/64.6kg)
     VS
NJKFスーパーライト級8位.ナカノ・ルークサラシット(エス/64.6kg)
勝者:野津良太 / 判定2-0
主審:宮本和俊
副審:椎名30-29. 少白竜30-29. 多賀谷29-29

しぶとさ発揮の野津良太が、差は付き難いが多彩な攻めで主導権奪って判定勝利。
野津良太は19戦11勝(3KO)7敗1分。ナカノ・ルークサラシットは62戦40勝(20KO)22敗。

◆第2試合 女子(ミネルヴァ) 56.0kg契約3回戦(2分制)

スーパーバンタム級2位.KAEDE(LEGEND/56.0kg)vs水野志保(名古屋JKF/55.9kg)
勝者:KAEDE / 判定3-0
主審:中山宏美
副審:椎名30-27. 少白竜30-28. 宮本29-28

KAEDEは8戦6勝1敗1分。水野志保は37戦23勝12敗2分。

◆第1試合 フライ級3回戦

吏亜夢(ZERO/50.6kg)vs玉城海優(RKA糸満/49.9kg)
勝者:吏亜夢 / TKO 2R 0:33 / カウント中のレフェリーストップ
主審:多賀谷敏朗

吏亜夢は7戦4勝(3KO)2敗1分。玉城海優は12戦3勝(1KO)9敗。

暫定ながら王座獲得、真吾YAMATO

《取材戦記》

山浦俊一の次のステップに進む希望はインターナショナル王座か他のタイトルになるか。選択肢は多くあるが、希望通りのイベントや対戦相手に臨める訳ではないから、このままWBCムエタイ路線で行くのは一番可能性が高いでしょう。

NJKFスーパーライト級挑戦者決定戦は暫定王座決定戦に変更。安易にチャンピオン誕生は好ましくないが、早めの統一戦とタイトルマッチ活性化を期待したい。

「活性化を期待したい」といったような文言は、何度も記事の無難な纏め言葉に使ってきたが、なかなかそうは進んでくれないのが多くのタイトルの存在なのである。

ニュージャパンキックボクシング連盟は何気に25周年。正確なデータは分かりませんが、名古屋JKファクトリージムから、おそらく20年ぶりの選手出場。懐かしい小森二郎会長の姿がありました。

1996年設立から暫くは大和北ジム(後に名古屋JKFへ名称変更)から鈴木秀明や佐藤孝也が出場し、ニュージャパンキックボクシング連盟を支えたエース格の一角でした。

そんなNJKFの黎明期には仙台青葉の瀬戸幸一会長とSVGシンサック会長がリング上での口論も懐かしい対峙でした。脱退していった当時の古きジムも多かったものです。

2022年のNJKF本興行は後楽園ホールに於いての夜興行で、2月12日(土)、6月5日(日)、9月25日(日)、11月13日(日)の4回。他、大阪など地方興行も予定される様子です。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン『紙の爆弾』12月号!

秋の深まる平壌から、届くメール。前回の平壌からの手紙では、よど号メンバー・魚本公博さんから届いた「2つの『8・15』」というタイトルで敗戦とタリバンのカブール制圧とを比較した論考と、それに関する筆者からの解説とを投稿した。彼らとの「往復メール書簡」第4回目は、第2回目で取り上げた「デジタル庁発足の背後に潜む巨大な問題」の続編を取り上げる。

◆「地域住民主体の自らのためのスーパーシティ建設を」 魚本公博

魚本公博氏。霧の中、銀杏をバックに

今、デジタル化が叫ばれる中、地方では「スーパーシティ構想」が進められています。

このスーパーシティの最大の問題点は、データ主権を放棄し、GAFAなど米国のプラットフォーマーに全面的に依存するところにあります。こうなれば、地域の様々なデータ、住民のデータは米国に握られ、地域、住民はその隷属物になってしまいます。

「すべては救えない」として地方の中核都市にカネ・ヒトを集中し、それを米系外資に委ね、基礎自治体が運営する水道などの運営権を譲渡するコンセッション方式の導入など地方を米国に売り渡すかのような地方政策。そこには、市町村など地域自治体の切り捨て、自治体の企業的運営による自治、住民主権の剥奪を伴い、全国市長会などが「我々を見捨てるのか」と反発していたもの。こうした声を押しつぶす。とりわけ米中新冷戦の中で何としても日本を米国の一部として組み込むことを一挙に進める。それが政府の「スーパーシティ構想」ではないでしょうか。

肝要なことは「データ主権」。しかし、今のような自民党の対米従属政権ではそれを望むべくもない。では、どうするか。

私は、見捨てられる市町村など地域からスーパーシティを作りながらGAFAに依存しないシステム(プラットフォーム)を作り、その輪を横にも上にも広げ、地方全体の標準「都市OS」に育てる。そうしたことができないものかと思っています。建設機材のコマツやスマート農業などでは独自のプラットフォームを使っているようですし、可能だと思うのですが、どうでしょうか。

ここで大事なことは、地域住民主体です。そのためにネット議会やネット政策会議、ネット提言室みたいなものを作る。そして自治体と地域住民が一体となり自らのスーパーシティを自らの力で自らのために建設していく。

小林さんが以前、紹介されていた地方の区長さんがおっしゃる「顔が見える関係」やボランティアの労力を地域の産物で交換する地域通貨などのアイディアも、自らのスーパーシティ建設の中で高度に実現できるのではないでしょうか。さらに言えば、「スーパーシティ構想」では移動、輸送、行政手続きなど10項目での「サービス向上」をうたっていますが、もっと根本的な「地域振興」を目指すべきであり、地産地消、地域循環型経済、水やエネルギーの自給自足なども高度に実現すべきではないでしょうか。

地方の取り組みは、どうなっていますか。現場の声、とくにデジタル技術に明るい、若い人たちの声を是非聞きたいものです。

◆クラウドサービスの提供元、「サイバー局」、そして「デジタル田園都市国家構想」

「スーパーシティ構想」などに関しては、第2回目で触れているので、ご参照いただきたい。

デジタル庁は2021年10月26日、政府と自治体が利用する情報システム基盤「ガバメントクラウド」に、アメリカのAmazonとGoogleのサービスを利用すると発表。契約期間は22年3月までで、来年度の事業者は改めて募集するという。

いっぽう、警察庁は6月、サイバー犯罪やセキュリティ対策を担当する「サイバー局」を設置する計画を公表した。200人規模で、行政機関や防衛関連企業などへのサイバー攻撃の捜査をおこなう。ところが、三菱電機やNECなどに対し、他国からハッキングが相次ぐ。日本のサイバー事業は世界的な評価が低く、人材も法整備も遅れているとされる。

時事通信(8月25日付)の記事によれば、戦前の国家警察による権力乱用などを背景に、1954年に制定された警察法では犯罪警察は都道府県警察が担い、警察庁は指揮監督にとどまるものとされてきたそうだ。そして、サイバー分野を担当する捜査機関もなかったが、ここにきて問題視され、計画がまとまった。

牧島かれん大臣は『AbemaTV』に出演し、ある意味、国内の企業がクラウドサービスを担当するレベルにないが、今後には期待している旨を語っていた。

おそらく国内では、法的な遅れ以上にアメリカや中国のような予算や判断がなかったり、部品の製造現場も海外だったり、また、いわゆる人材を有効に配する土台がなかったりするのだろう。法的な遅れもまた、他の件をみても一概に否定はできない。法整備によって警察や担当部署の権力乱用を許すようになってしまえば、市民がその被害を被る。人権や自由を侵害されかねない。また、人を配することができないことも、他をながめればいつもの偏った人の配置について思わざるを得ない。他の分野をかんがみても、セキュリティを考慮しても、本来は国内で手がけられる形を整えるべきだが、地方からというのはなかなか難しいだろう。ならば政治主導ということが考えられるが、専門家軽視やお友だち優遇で、これもまた希望を持ちにくい。国内にも人材は存在するので、そのような人にリーダーを任せられるような土台が必要だ。

いっぽうで、個人や国家の情報をつかまれることのリスクについて、少なくとも筆者は十分に理解していない。だが、命を受け渡していることになるのかもしれない。このあたりは引き続き関連情報などもあたりつつ、学んでいきたいと思う。

そして、魚本さんが危惧する「データ主権」に思いをはせれば、それをアメリカに渡すために、また権力を拡大するために、法整備や人の育成が不十分であると主張している可能性も否定はできないだろう。

また、牧島氏は「デジタル田園都市国家構想」なども掲げており、「デジタライゼーションで人間中心のデジタル社会を実現することで、経済/生活/幸福のポジティブサイクルを回す一連の政策を「デジタル田園都市国家」構想とし、2030年頃までの主要な国家戦略とすべきである」と主張している。デジタルでヒト・モノ・カネを回す。それが幸福でポジティブだというのだ。

ただし、魚本さんは「地域住民主体」というが、先に触れたように、デジタル化に関しては難しい。また、デジタルをスムーズに活用するには、国内などで一定のルールのもとに運用されなければ、必ずどこかで二度手間三度手間が発生し、そもそもデジタル化が無意味になる。だが、効率化を手放すことが、これまた難しい側面はいろいろあるだろう。

個人的には、プライバシーや人権、自由を優先してもらいながら、現在の複雑で不自由でリスキーな状況は改善すべきだと考えている。このバランスをどのように取るかが問題だ。

だが、デジタル庁では、平井卓也氏がNTTから高額の接待を受けていた問題、民間からの登用の内、非常勤が98%を占めていたことと兼業先の企業との癒着対策の甘さ、マイナンバーカードとマイナポータルのそもそもの問題など、さまざまな事柄が不安視されている。

また、実際に、「機密情報丸見え」「個人情報明け渡し」などの状況について、危機を伝える記事も増えてきた。たとえば11月5日、『COURRIER JAPON』では、「日本人の個人情報が筒抜けになる可能性も 日本の機密情報が『アマゾンから丸見え状態』をデジタル庁はどう考えているのか」というような記事に「日本の技術力の低いセキュリティで怪しい国のアタックで破られる可能性の高いクラウドか、世界有数の技術者のいるセキュリティのクラウドだが米国政府に見られる蓋然性、のどちらが良いか。」というようなコメントがついたり、アメリカ独占・依存状態から脱却しようとするヨーロッパ企業の記事などもある。危機意識を忘れず、1人ひとりが学ばねばならないだろう。

ところで個人的には、平壌・日本人村のみなさんが、日本の報道や支援者からの情報を得て、朝鮮の実情を目の当たりにすることもあるなかで、フラットに、より広く深く考察することには限界があると感じています。ただし、それが新たな気づきを含むことがあると考えています。たとえば今回のような「テーマでも、俯瞰的な視点や、デジタル全般への理解しにくさなどでしょう。また、地方は地方でその日々の現実の中、1人ひとりの取り組みや生活があることは、国内の都会からすら理解しにくいのではないかと最近、感じています。魚本さんにとって、国内や他国に関する何が特にわかりづらいか、また朝鮮の場合にはデジタルの取り入れ方についてどうかを可能な範囲でお伝えいただけますでしょうか(訪朝の際、中国に留学した若い方がデジタル図書館の館長をしていらっしゃいましたが、つながっているのはイントラネットでインターネットにはつながっていなかったかと存じます。また、みなさんもメールのやりとり以外にネットにつながっていません。でも、市民の多くは携帯電話、スマートフォンを活用していたと記憶しています)。

▼小林 蓮実(こばやし・はすみ)
1972年生まれ。フリーライター、編集者。労働・女性・オルタナティブ・環境 アクティビスト。月刊誌『紙の爆弾』12月号巻頭に、「沖縄高江への県外機動隊派遣愛知で全国初の『逆転勝訴』」、本文に「高江・県外からの機動隊派遣は『違法』 沖縄とヤマトの連帯が勝利をもたらす」寄稿

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自民党の最大派閥清和会は、細田博之が衆院議長に就任することにともない、安倍晋三元総理が会長に就任することになった。安倍派の誕生である。

清和会(清和政策研究会)は岸信介の派閥を源流に、福田赳夫の派閥として田中角栄派(七日会→木曜会)支配の時代には、保守傍流に甘んじてきた。

のちに竹下派(経世会)の分裂によって、森喜朗・三塚博らが合流することで、党内最大派閥となったものだ。衆参議員89人をかかえる最大派閥であるとともに、政策的には党内最右派でもある。

派閥の原理とは「寄らば大樹の陰」であり、党の公認や大臣への近道、選挙資金の提供など、いわばカネとコネである。そのうえで、政治信条が近い者たちが集まる、群れの原理ともいえよう。

そのいっぽうで、わが国にしかない「院政」という政治システムを体現したものでもあるのだ。その「院政」は国会でもメディアからも直接的な批判を受けない、巧妙な政治システムである。


◎[参考動画]安倍元総理が派閥復帰 “安倍派”誕生へ(TBS 2021年11月08日)

◆わが国にしかない政治システム

その巧妙な政治システムは、平安時代の摂関政治に由来するものだ。政治のイロハもわからないうちに帝に即位させられ、壮年期になって摂関家から「操りにくくなった」と判断されるや、若い皇子に譲位させられる。平安初期の帝は、藤原家の操り人形だったのである。

摂関家が帝を操り人形にしておきたかったのは、荘園という権益をまもるためだった。荘園は「公領」である建前のいっぽうで、貴族たちは国司・郡司の不入(ふにゅう)を決め込み、配下の者たちを荘官に任じることで蓄財をしていたのだ。地方の有力者が、開拓した荘園を貴族に寄進し、その荘官となるなることで正当性を得る。寄進領も平安期に増大した。

この不正蓄財は、友人や配下の者たちに特権をあたえ、政治資金として還流させてきた旧安倍政権の構造によく似ている。

◆政治の矢面に立たない政治

荘園に公正な税を課し、あるいは公地公民制を掘り崩す荘園の拡大を阻止したのが、後三条天皇であった。

34歳と、当時では「高齢」で即位した後三条は、荘園整理令で貴族たちに徴税を課した。藤原氏をはじめとする貴族が「記録が残っていないのでわからない」と抗弁すると、天皇は記録荘園券契所を設けて調査をはじめた。

さらには新たに延久宣旨枡を用いて、私升による徴税のごまかしを禁止する。こうして天皇執政の熱意に満ちていた後三条天皇だが、譲位後に四十歳の若さで亡くなってしまう。

後三条天皇を後継した嫡子貞仁親王が、本格的な院政を始めた白河天皇である。帝が退位して院(上皇)となり、院宣という勅命をもって若い帝をあやつる。この院政のメリットは、仙洞御所という役人が立ち入れない場所に逼塞したまま、その意味では政争を起こさないかたちで政治を行ない、身の安全を確保したことであろう。

◆安倍晋三の院政を占う

冒頭に言ったとおり、院政は巧妙な政治システムである。前総理が国会(答弁)に出ることなく、また記者会見を行なうことなく政局をにぎり議会政治を左右する。日本の院政の原型こそ、平安期の上皇という制度だといえよう。

政治権力の源泉は第一に資金力であり、第二に党組織の掌握(総理と幹事長を頂点とした執行部)、そして第三に官僚組織の人脈である。

かつて田中角栄は党外にありながら、多数派閥をカネで掌握することによってキングメーカーとなった。闇将軍、影の総理と呼ばれたものだ。

中選挙区制の金権選挙から、小選挙区制の党の統制力(公認)が強化されたいま、多数派閥の掌握こそが「院政」の力の源泉である。このことを、みずからの長期政権で知り尽くした安倍晋三は、安倍派を形成することで「院政」を敷こうとしているのだ。

◆田中派と同じ道をたどれば

かつて最大派閥の田中派を率いた田中角栄は、総裁選では自分の派閥から総裁候補を出さず、大平正芳、鈴木善幸、中曽根康弘らを順番に首相に据えることで、院政を敷いた。これによって派内の不満がたまり、最後は子分だった竹下登にクーデターを起こされた。じつは安倍さんも同じ道を辿ろうとしているのではないか、という指摘がある(自民党関係者)

安倍晋三は前回の総裁選で、無派閥の菅義偉・首相を支持している。今回もわざわざ、無派閥の高市氏を担ぎ出した。細田派では安倍側近の下村博文が出馬を希望していたにもかかわらず、安倍は後押ししようとはしなかったのだ。細田派から総裁候補が出馬すれば、派内の世代交代が進んで実権を失うからだ。派閥の後継者をつくらないのは、自民党院政の常套手段でもあるのだ。

そうした手法は細田派内に大きな不満を生み、総裁選前に若手議員の蹶起をまねいた。福田康夫元総理の長男で「細田派のプリンス」と呼ばれる福田達夫が「長老支配打破」を掲げ、派閥横断的な若手グループ「党風一新の会」(約90人)を旗揚げした。細田派からも1~3回生議員16人が参加している。

福田達夫氏は衆院当選3回だが、54歳の中堅政治家である。安倍にとってはキングメーカーの地位を脅かす存在といえよう。細田派は達夫の祖父の福田赳夫元総理がつくった福田派がルーツで、いわば派閥のオーナー家とも言えるのだ。3代目の達夫も、祖父と父に続く「将来の総理・総裁候補」の呼び声が高い。党内では、小泉進次郎環境相の「兄貴分」としても知られる。

◆3代にわたる安倍家と福田家の確執

そして安倍家と福田家には3代にわたる確執がある。派閥の創立者である福田赳夫は、安倍の晋太郎が初めて総裁選に出馬したとき、子飼いの中川一郎氏を出馬させて、わざと晋太郎さんの票を削ったのだ。晋太郎に後継者として力をつけさせないためだった。2代目の康夫も安倍晋三も肌が合わず、小泉政権時代に官房長官と副長官として、北朝鮮政策をめぐって激しく対立した。

因果はめぐる。いまは攻守所を変えて、安倍が派の実権を握っているが、派閥を奪い返されないために福田家の3代目に絶対に力をつけさせたくないはずだ。

福田達夫は安倍が派閥に君臨している限り、自分の出番を邪魔されることが分かっている。この機会に若手を結集して、安倍に世代間闘争を仕掛けたのである。

福田達夫の旗揚げを聞いて、安倍の目の色が変わったという。それまで総裁選は高みの見物だったが、自分の力を見せつけようと、高市早苗を支援して総裁選に深く介入していったのだ。

内容のなさを露呈しているものの、「将来の首相」ともてはやされている小泉進次郎環境相と組み、「小泉進次郎内閣が誕生すれば福田官房長官」と言われている。安倍晋三の「院政」開始が、その基盤である安倍派そのものの分解につながる可能性が高いと、まずは占っておこう。

▼横山茂彦(よこやま・しげひこ)
編集者・著述業・歴史研究家。歴史関連の著書・共著に『合戦場の女たち』(情況新書)『軍師・官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)『闇の後醍醐銭』(叢文社)『真田丸のナゾ』(サイゾー)『日本史の新常識』(文春新書)『天皇125代全史』(スタンダーズ)『世にも奇妙な日本史』(宙出版)など。

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前回、述べたように、杉田論文は「生産性」という言葉の選択は不適切だったものの、決して差別的な内容ではなかった。むしろ、あそこから議論を進めてゆけば、有意義な問題提起になるはずだった。

しかし、しばき隊界隈活動家とLGBT活動家とマスコミはガッツリ手を組み、杉田水脈氏を悪魔化し、バッシングを続けた。

なお、マスコミは、デモ「杉田水脈の議員辞職を求める自民党本部前抗議」の背後に俗に「しばき隊」と呼ばれる暴言路線の運動体が存在することには、まったく触れなかった。それどころか、杉田氏叩きを扇動し、激化させた。それは、「保守女性議員の杉田水脈を叩きたい」「自民党を批判したい」「LGBTの味方としていい格好したい」という欲望ゆえに道を外れた報道のように、LGBT当事者である私の目には映った。蔑まれてきた者は、自然と用心深くなり、利用されればそのことに敏感に気づくものだ。長い間、蔑む側だった異性愛者の声を代弁し、しばしば同性愛を「気持ち悪いネタ」として消費してきたマスコミ人は、それを知らないのだろう。

杉田氏叩きは、まるで魔女狩りだった。それに異をとなえれば、同性愛者であってもネットリンチを受けた。しかも、リベラル気取りの異性愛者たちから、である。

平野太一氏はしばき隊の活動家であったことを明言

「あいつも差別主義者(=魔女)だ」と名指しされるのを恐れ、競うように杉田氏を罵倒する人々の群れ。それはまさに、教養があり理性的な「市民」ではなく、感情に突き動かされる無責任な匿名の 「大衆」であった。

そんな中でも、デモの呼びかけ人となったしばき隊界隈のゲイ活動家・平野太一氏のツイッター上の暴言は、特にひどいものだった。ここにいくつか並べてみよう。

「杉田水脈のアレに関して傷付いたとかは全くないけど自分の人生において邪魔な障害物をどかす感じかな〜」

「てめー最低だな。@miosugita」 ※@miosugitaは杉田氏のツイッターアカウントのIDであり、アカウント運営者である杉田氏側に表示されるメッセージであることを示す。

「クソ飼い主に頭撫でられて尻尾振ってるだけの無能な権力の犬」 ※杉田氏のツイートを引用リツイートする形で。

[左上]「障害物をどかす」……殺害予告ともとれる表現/[左下]他人を犬と呼びつつも「弱い犬ほどよく吠える」を実践するツイート/[右]平野、杉田に「てめー」 最低なのはご自身ではなかろうか?

極めつけが、何者かから殺害予告を受けた杉田氏に対する、次のリプライ。

杉田氏「北海道に旅立つ前に赤坂警察署に来ました。先日、自分はゲイだと名乗る人間から事務所のメールに『お前を殺してやる!絶対に殺してやる!』と殺人予告が届きました。これに対して被害届を出しました。警察と相談の上、一連のLGBTに関連する投稿はすべて削除いたしました。」

平野氏「そのまま一生LGBTについて言い出すな無駄な政治家の中身もねえ雑音うっさいんだわつでに(ママ)政治家も辞めろやダニが」

[左]杉田氏には殺害予告まで……/[右]殺害予告された被害者に「ダニ」とは人としていかがなものか?

そして、しばき隊界隈のオラつきに眉をひそめるLGBT当事者に対しては、彼は小馬鹿にしたツイートをしている。

「『私たちゲイは普通の生活がしたいだけなんです!放っといて!』 えーと、今回の抗議は他者に対して生産性がないと評価するような政治家に怒りを感じる人たちによるものなので、最初からあなたは関係ないんですよ。しゃしゃりお疲れでーす #0727杉田水脈の議員辞職を求める自民党本部前抗議 」

平野、一般ゲイに対しさすがに調子に乗りすぎの傲慢な発言

ずいぶんと下品で威勢のいいチンピラといった印象だが、実は平野氏、この連載が始まったら、ツイッターアカウントを削除してしまった。偶然なのか「逃げた」のかは存じあげないが、アカウントを登録しなおしてないところを見ると、ツイッターでの集団ネットリンチという運動手法を、みずから捨てたのだと思われる。あんなにノリノリだったのに……。

ところで、しばき隊の母体であり、平野氏の主な活動の場であった反原発団体・首都圏反原発連合(反原連)は、すでに2021年3月に解散している。

2020年10月に反原連のHPで発表された「ステートメント【活動休止のご報告】」と題された記事では、その理由を次のように述べている。

休止の理由としては、マンパワーの温存に限界があること、脱原発運動が市民運動の中心から外れてくるに従い寄付金が減少し、これまでの多岐にわたる活動内容に対し、運営資金の捻出が難しくなってきたことがあげられます。

……は? 資金難で活動休止? なんじゃ、そりゃ? 市民運動を手弁当で続けている団体や活動家なら、いくらだっているのに……? 案の定、ネトウヨからも「やっぱり、デモ参加には日当が出ていたのか!」とツッコミを入れられる始末。これは情けない……。

デジタル鹿砦社通信でも、反原連活動休止のニュースを次のようにとりあげている。

◎松岡利康&『NO NUKES VOICE』編集委員会有志 「ふたたび、さらば反原連!秋風に吹かれたゴミは歴史の屑箱へ!── 反原連の『活動休止』について」
【前編】(2020年10月8日)
【後編】(2020年10月9日)

また、2016年配信の「まぐまぐ」のメルマガでは、元パヨクの千葉麗子氏に取材したこんな告発記事もあった。ご参考までに。

◎MAG2 NEWS【書評】元アイドルが暴いた「反原発運動」の恐るべき実態(2016.5.9)
 
しょうもない団体に、しょうもない活動家。そして、彼らとつるむサヨクマスコミという図式。それは、反原発、反差別、LGBT、どれも同じ──というのも、反原連&しばき隊が関わっているから、当然のことだろう。

ところで、この原稿を書いている真っ最中、10月31日の衆議院議員選挙では、再三批判してきた立憲民主党の尾辻かな子氏、共産党の池内さおり氏は落選、自民党の杉田水脈氏は当選した。しぱき隊的なものはもう、メッキがはがれたということか。だとしたら、実にめでたいことである。(つづく)

◎[過去記事リンク]LGBT活動家としばき隊の蜜月はどこまで続くぬかるみぞ
〈1〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40264
〈2〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40475
〈3〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40621
〈4〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40755
〈5〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40896
〈6〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=44619
〈7〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=45895
〈8〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=45957
〈9〉 http://www.rokusaisha.com/wp/?p=46210
〈10〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=46259
〈11=最終回〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=46274

 

▼森奈津子(もり・なつこ)

作家。立教大学法学部卒。90年代半ばよりバイセクシュアルであることを公言し、同性愛をテーマにSFや官能小説、ファンタジー、ホラーを執筆。『西城秀樹のおかげです』『からくりアンモラル』で日本SF大賞にノミネート。他に『姫百合たちの放課後』『耽美なわしら』『先輩と私』『スーパー乙女大戦』『夢見るレンタル・ドール』等の著書がある。
◎ツイッターID: @MORI_Natsuko https://twitter.com/MORI_Natsuko

◎LGBTの運動にも深く関わり、今では「日本のANTIFA」とも呼ばれるしばき隊/カウンター界隈について、LGBT当事者の私が語った記事(全6回)です。
今まさに!「しばき隊」から集中攻撃を受けている作家、森奈津子さんインタビュー

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン『紙の爆弾』12月号!

《関連過去記事カテゴリー》
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『暴力・暴言型社会運動の終焉』

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