《12月のことば》縁 出会いは人生を豊かにする 別れは人生を深くする (鹿砦社カレンダー2021より/龍一郎・揮毫)

2021年のカレンダーも最後の1枚になりました。

本当に1年経つのは速いものですね。

今年は当社もコロナの影響をもろに受けました。

顕在化しなかっただけで、危機は昨年から水面下で進行していたようです。そりゃそうでしょう、コロナが何波も襲来し、そのたびに書店さんがクローズを余儀なくされ売上ゼロになった月もあったりで、のちのち出版社に逆流することは判り切ったことです。

出版は取次会社の精算が遅いので、気づくのも遅れてしまいました。

昨年はまだなんとか売上微減でしたが、今年は急激に落ち込み青息吐息です。

しかし、私たちはこれまで何度も危機を乗り越えてきましたので、ここはなんとしても乗り越える決意です。

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11月29日に『抵抗と絶望の狭間 一九七一年から連合赤軍へ』を発行いたしました。

1971年は、私がちょうど19歳から20歳になる頃で、一所懸命に闘った年でした。50年前の出来事、そうして、なにがしかの〈縁〉があって出会った人たち、別れた人たち……出会いと別れを繰り返しつつ齢を重ねてきました。走馬灯のように過ぎります。

この本には、そうした思い入れもあって目の疾患で難儀しつつも(ゲラを拡大コピーしたり、さらにルーペを使ったりして)多くの方々の寄稿と協力を得て心血を注ぎました。

ちょっとスケジュールをゆったりめに取って編集に当たりました。特に詳細に記された年表には苦労しましたが、こういう仕事も残しておくこともけっして無意味ではないでしょう。

1971年は地味な年で、あまり論じられることもありませんが、政治、文化、多くの面で転換期にありました。

政治的には、「返還」前の沖縄問題、開港前の三里塚問題を中心に、今とは比較にならないほど、まだ抵抗運動は続いていました。しかし、それも翌年早々起きた連合赤軍事件が私たちを絶望のどん底に落としました。

文化面では、そのインパクトでこの通信でも悪評でしたが、映画が、カラーテレビの登場等で斜陽を迎えます。

これを東映、日活はポルノ路線で乗り切りました。これには驚きましたが、経営陣の、この判断は、多くの批判が浴びせられながらも、生き延びるために賢明だったと思います。一方、ポルノ路線に乗らなかった大映は倒産してしまいました。

この問題を板坂剛さんと高部務さんが採り上げました。

板坂さんは日大全共闘(芸闘委)、高部さんも一時赤軍派で活動されていて、けっして軟派な方ではなく、むしろ硬派な方です。

詰まるところ、エロも革命も〈等価〉で、同じ位相で見ないといけないということでしょう。

◎「鹿砦社カレンダー2022」が完成いたしました! 12月7日発売の『紙の爆弾』1月号、同11日発売の『NO NUKES voice』30号の定期購読の方々に雑誌と一緒に発送いたします。好評で毎年不足しますので、今年は1700部(昨年は1500部、10年前に開始した時は1000部)と少し増やしました。それでもギリギリかと思います。これを機会に両誌の定期購読をお願いいたします!(松岡利康)