風刺画と原発・オリンピック、戯画化する民主党

15日に関西電力の大飯原発4号機が定期検査で停止し、再び国内の原発稼働はゼロになる。

一方、2020年のオリンピックが、東京に決まった。
国際オリンピック委員会(IOC)総会が開かれたブエノスアイレスでの、9月4日の記者会見では、海外メディアから、福島第一原発の汚染水の問題への質問が相次いでいた。
「福島とは250キロ離れている。皆さんが懸念するようなことはまったくない」と竹田恒和理事長は説明したが、質問した記者の1人は「証拠としてデータを示すべきだ。何かを隠しているように感じる」と会見後に語った。

そもそも、250キロ離れているから安全とは、福島の人々のことを忘れ去った発言だ。
福島では、いまだ仮設住宅で暮らしている避難者も多い。7年後に東京でオリンピックのニュースを聞いて、「2年経っても、福島は止まったまま」「同じ日本でも国が違うみたい」と嘆く避難者もいる。

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検事の「民族差別発言」を最高検に告発した在日韓国人男性が怒りのコメント

東京法務局訟務部付けの保木本正樹検事が山口地検の三席検事だった2011年5月、殺人などの容疑で逮捕された在日韓国人の男性・湖山(本名・許)忠志氏(29)に対する取り調べ中に「韓国人・朝鮮人は下等な人種」などの民族差別発言をしたという疑惑について、筆者は先日、当欄でレポートした(http://www.rokusaisha.com/blog.php?p=2983)。筆者が保木本検事本人に事実関係の確認をすべく、電話で取材依頼をしたところ、保木本検事は疑惑を何ら否定せず、一方的に電話を切るという対応をしたことまでは前回報告したが、この保木本検事の態度について、湖山氏本人の意見を聞くことができた。

前回お伝えしたように湖山氏は一貫して無実を訴えながら、昨年7月、山口地裁の裁判員裁判で懲役30年の判決を受け、現在は広島高裁に控訴中。勾留先の広島拘置所の面会室で、保木本検事の上記の態度を報告したところ、湖山氏は心底呆れたようにこう述べた。
「怒りを通り越して、なんと言っていいか……許せないですね。あそこまで言っておいて……(保木本検事の発言は)誰彼に向かって、『アホ』とか『バカ』と言ったというレベルじゃなく、民族差別発言です。内容的にも常軌を逸していました。僕らの民族性からしても、許せないですね」

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シリア人元妻を持ち出し『週刊朝日』で戦争を煽る軍事ジャーナリスト

『ニューズウイーク』は、その雑誌の特色のとおり、シリアにアメリカが軍事介入するよう露払い役をしてみせたが、後に、軍事介入の口実に対し疑問を投げかける記事も掲載し、バランスをとろうとした。

ところが、一方的にシリアを悪役と決め付け、軍事介入を煽ってばかりいるのが『週刊朝日』だ。それは、「軍事ジャーナリスト」の黒井文太郎による、記事と称したアジビラであり、「自分のシリア人の元妻」をネタにして、根拠ある他の報道に対し否定を試み、持論を断定する滑稽なものである。

「化学兵器攻撃は政府軍によるものであることは間違いないといっていいだろう。子どもを含む一般住民を化学兵器で殺害するなど、世界でも過去最悪の極悪非道な政権というしかない。しかし筆者は当初から、アサド政権は独裁体制を守るためなら、どんな非道なことでも躊躇しない政権だと確信していた。それには個人的な理由があった。私事になるが、じつは筆者の元妻はダマスカス出身のシリア人である」

まず「シリア人元妻」が如何わしい感じだが、その存在はともかく、そんなことを言ったら、例えば英会話のアントン・ウイッキーさんだって、外交官のオスマーン・サンコンさんだって、日本人と結婚して長年居住もしている外人だが、それが日本の政治についてとやかく言ったら、他の見解を否定するほど優越するだろうか。
それに、軍事介入で反乱を助けるべきという黒井の主張は国際法違反だ。そんなことも解からないのだろうか。

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電子書籍による個人出版はどうなんだ!? 企業と揉めたライター奮戦記 15

榛野氏と会っても多くが実りなく無駄な結果に終わる。大半がメールでも済むような気もする。それでも打ち合わせに呼ばれれば行かなくてはならない。それは、仕事を請け負う側だから仕方が無いとこの頃は思っていた。
打ち合わせに行くと早速、原稿が返ってくる。驚く程、真っ赤なのだ。しかし、前回の榛野氏の校正のように誤字に黄色い蛍光マーカーがひいてあるよりはまともな気がする。もちろん校正記号などは使っていないのでプロではないというのはすぐにわかるのだが。

榛野氏は原稿を渡すと同時に「校正というよりも彼女達の個人的な意見が入っている気もするんですよね」と言った。嫌な予感がする。とりあえずと一番上にあった原稿を2~3枚その場で読む。比喩表現であったり、五感をずらして書いていたりと小説だからこそ行っていることに矢印をひき「日本語が間違っている」と書いてあった。もしかしたら理解してもらえないような表現もあるかもしれないが、間違っているつもりもない。最初の2~3枚はそういった指摘がほとんどであった。

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Yesterdayからみる一般常識

ネットの質問サイトでこんな投稿があった。
「『Yesterday』という曲は、多くの有名ミュージシャンが歌っているのに、どうしてポール・マッカートニーが歌うものがポピュラーなのですか?」
人によっては「そんなことも知らないのか、常識だろう」とあざ笑うような質問だ。真面目に答えればポールが作曲し、ポールが歌ったものがオリジナルだから、という簡単な答えだ。しかし私は、どうしてこのような疑問が出るのか、考えてみた。

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有給休暇はすべて消化するという、出版社社員の決意

朝の8時半頃、朝食を採っていると、携帯電話が鳴った。
何冊か一緒に本を作ったことのある、元編集者だった。
「今日は何か予定入ってます」と言う。「夕方に打ち合わせがあるよ」と答えると、「ああ、打ち合わせ……。それじゃあ、午前11時に会いませんか」と言う。
水曜日だが、彼は有給休暇を使って、毎週水曜日を休みにしているという。
彼は休みなわけだし、もう編集者ではない。だから、仕事の話ではない。誰にでも稀にやってくる、無性に誰かと話したい、という気分なのだろう。
かつて世話になった仲であり、応じてあげようと思ったが、少しでも進めておかなければならない仕事もある。
「11時は早すぎる。午後1時にしてくれ」と言って話は決まった。

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映画『へルター・スケルター』を井筒監督が罵倒した訳

ちょうど昨年の7月に沢尻エリカが5年ぶりに主演した『へルター・スケルター』が公開されたが、沢尻エリカの育ての親ともいえる井筒監督が「沢尻はなんであんな作品に出たんやろか。乳を見せることでしか勝負できへんかったのやろうか」「美術として背景は美しいが、内面はまったく描かれていない」と酷評したために、まったく見る気にはなれなかった。もしも近所のビデオ屋で「夏休み、旧作80円でレンタル」キャンペーンをやっていなければ、まず見る機会はなかっただろう。
それでも、蜷川実花監督が作り出す、摩訶不思議なインテリアは、映画美術的には、一見の価値があるような気がする。

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最後のアウトロー・ルポライター、日名子暁を偲ぶ

8月24日、ルポライターの日名子暁氏が逝去された。日名子氏は、週刊誌出身のルポライターである。クローズアップされたのは、フィリピンから日本に出稼ぎに来る女性が「じゃぱゆきさん」などと呼ばれていた94年ごろだったと思う。ヤクザ、詐欺師、ブローカーなどとのつながりが深く、アウトローからネタを引っ張ってくるタイプでは、最後の世代ではないかと思う。

日名子氏からの今年の年賀状には「携帯なし、パソコンなし、みごとなほど時代に取り残されております」とあった。この時代に携帯なし、手書き原稿で、山ほど原稿のオーダーをこなしたのだ。そもそも、朝5時まで飲んでいても、事務所に帰り際に寄って仮眠して原稿を書くほどのタフネスで、締め切りは絶対に守るタイプであったから、携帯もパソコンも必要ないといえばないのだが。

最後に会ったのは、2011年の冬だった。すでに体調を崩されていた日名子氏は、「具合が悪くても、タバコをやめられないんだよな。もうあきらめたよ」と千代田区猿楽町の事務所で嘆いていた。

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冤罪を訴える在日韓国人男性が取調検事の「下等な人種」発言を最高検に告発

筆者は当欄で以前、山口地裁であった裁判員裁判の公判中に被告人の在日韓国人男性が、山口地検の保木本正樹三席検事(当時)から取り調べ中に民族差別発言を浴びせられたと訴えた一件をレポートした。(http://www.rokusaisha.com/blog.php?p=1742)。その男性・湖山(本名・許)忠志氏(29)が今年6月、最高検の監察指導部に対し、同検事に差別発言を浴びせられた詳細を情報提供し、調査するように求めていたことがわかった。

湖山氏は、2010年11月に下関市で元交際相手の女性の次女(当時6歳)を殺害するなどしたとして昨年7月、上記の裁判員裁判で長倉哲夫裁判長から懲役30年の判決を宣告されたが、一貫して無実を訴えており、現在は広島高裁に控訴中。犯行現場の女児宅の室内では、身元不明の第三者の指紋が4つ、毛髪が9本採取されながら、湖山氏の指紋や毛髪が一切見つかっていないことなど冤罪を窺わせる事実は多く、控訴審の行方が注目されている(http://www.rokusaisha.com/blog.php?p=1702)。そんな中、筆者が広島拘置所に勾留中の湖山氏からもらった手紙によると、湖山氏が最高検監察指導部に情報提供した保木本検事の民族差別発言の内容は以下の通りだ(※句読点以外は原文ママ)。

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シリア軍事介入を煽った『ニューズウイーク』

なんとしてでもシリアに軍事介入をしたいアメリカだったが、同盟国が離反し、あとは実質的に属国である日本の支持が頼りで、同調圧力をかけている。そして日本政府は苦慮していると報道されている。

もともとシリア情勢の報道は、嘘臭いものであった。リビアに続いて「民主化を求めるデモや集会に政府が武力弾圧」という嘘をNHKなどが報道してきた。穏健な運動に軍が武力を用いたにしては、長期に渡り内戦状態となっているので、みんな変だと感じていたはずだ。

最悪なのが『ニューズウイーク』である。特に7月の日本版に掲載された記事は、不可解な取材の方法と、不自然な事実関係、アメリカの軍事介入を求める意図が見え見えの嘘臭い証言によって構成されていた。それは、アサド政権が民間人ばかり殺傷し、これを傍観するアメリカに、シリアの市民は怒っているという内容だった。

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