DSP統一で、インディーズ映画がピンチ

「簡単にいうと、映画を作る際、もはやフィルムは過去の産物となりました。今はDSPという形式のハードディスクにデータを落とし込むやり方が主流で、あらゆる映画館はDSPに統一しようという動きがあるというのです」(インディーズ映画関係者)

映画は、その昔、8ミリ、16ミリ、32ミリなどとフィルムの種類があり、それぞれに画質の粗さや、音域の広がりが異なっていた。
約10年前だったろうか、映画会社ができたての映画を劇場に届けるとき、映画をハードディスクで記録した「DSP」を届けるのが当たり前となった。このやりかただと簡単にソフトを開けない。別便で送られてくるパスワードが必要となるからだ。

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日本サッカー男子がスペインに快勝したのは「奇跡」か

報道によれば、7月26日にロンドン五輪にて、日本男子が優勝候補のスペインを1-0で撃破した勝利を「グラスゴーの奇跡」と呼んでいるようだ。
日本全体で1996年のアトランタ五輪で強豪ブラジルを破った「マイアミの奇跡」から16年。決勝トーナメント進出を大きくたぐり寄せ、44年ぶりのメダル獲得にも期待が膨らんだことについて、サッカーファンのみならず日本中が浮かれているようだ。

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東電OL殺害事件の冤罪説はなぜ受け入れやすかったのか

再審開始決定に対する東京高検の異議申し立てについて、31日に東京高裁の決定が出る東電OL殺害事件。今では誰もが知っている有名な冤罪事件だが、15年前の事件発生当初は何よりも被害女性のプライバシーに世間の関心が集まっていた。
慶応大学を卒業し、東京電力に総合職として勤めるエリートOLだった被害女性。彼女は夜になると、渋谷区円山町界隈のホテル街の路上で客を引く売春婦という裏の顔を持っていた。事件発生当初、マスコミはそんな彼女のプライバシーを競って報じ、週刊誌の中には彼女の全裸写真を掲載したところもあったほどだった。

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わいせつ物取り締まりは、国家のサービス?

自分のヌードの画像と動画を撮影しネットを通じて販売した、広島市の保育士補助の21歳の女性が7月18日に京都府警に現行犯逮捕された。
18歳未満の少女が裸の画像を送り、購入した側が「児童買春・ポルノ禁止法違反」で逮捕される例は多い。送った側の少女が書類送検された例もあった。
今回の件は、女性が21歳だったことから、「誰も迷惑してないのに」「表彰されてもいいのでは」という声がネット上で挙がっている。

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反骨のジャーナリスト・日隅一雄氏が遺したもの

7月22日、弁護士・ジャーナリストの日隅一雄氏を偲ぶ会がしめやかに行われた。
昨年の3.11の大震災直後、東電本社の会見場は混乱を極めていた。何か記者に聞かれるたびに「確認します」「持ち帰ります」とくり返す広報課長に「あなたたちに責任があるとは言いません。これはとても大事なことなんです」と詰め寄る記者がいた。

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電気があっても、失われる命がある

私が心から尊敬する坂本龍一「教授」の、「たかが電気」発言を、様々な人々が叩いている。
抽象的な意味で言った言葉を叩くのは意味がない思うが、脱原発の立場からも、ちょっとまずかったかな、と思う。
電力不足になるから原発が必要、という電力会社の宣伝に乗ってしまっているからだ。
大飯原発が稼働してから、関西電力は3つの火力発電所を止めた。電力は足りているのだ。

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歳をとることの理不尽と愉楽

歳をとってくると、理不尽なことが起こる。
昨年、五十肩になった。左腕が、まったく上がらなくなったわけではないが、可動範囲が著しく狭くなった。
日常生活に支障はないのだが、筋力トレーニングができなくなった。いや、やろうと思えば右腕だけダンベルを持つことはできただろうが、突然に訪れた五十肩がショックでやる気にならなくなった。体脂肪が増えてしまった。
最近和らいできたので、時間を見つけて筋トレしているが、たまにやるからひどい筋肉痛になる。

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障害者の婚活

「最近どう、婚活のほうは?」と聞くと、「いやあ、諦めました。退会したんです」と、彼は苦笑いした。
彼は車椅子で生活する障害者で、30代。仕事もしており、快活だ。十分に結婚できると思える。普段の生活は、家と職場の往復。職場は小さく女性は皆既婚者だ。なかなか出会いがないので、大手の婚活サービスに入会していたのだ。

「障害があるというと、会うというところまで、なかなかたどり着けない。登録するデータには、障害のあるなし、その程度を書かなきゃいけない。また相手に対して、障害があってもいいかという質問項目があって、男女とも、たいていは、障害ありにはNOですからね」
会えなくても、データのやりとりで会費がかかるシステムだ。
「一人会うのに5万円かかった計算です。これなら、デリヘルにでも使えばよかった」
彼は、快活に笑った。

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『華麗なる美容外科の恐怖』【ブックレビュー】

美人だと幸福になれるか? 周りを見渡すと、否だ。
もちろん幸福になっている人も、少しはいる。それは「美人」を武器にしなかった女性だ。
自分で努力して、生きていく術を身につけた女性だ。

人間は弱いから、たいていの美人は、それを武器にする。男性と付き合えば、デート代をすべて持たせ、何かといえばプレゼントをねだる。「あなたと話すためだから」と、携帯の料金まで払わせる。部屋に遊びに行くようになると、家賃の一部まで負担させる。
美人は決まって性格が悪い、というのはバルザックも言っている。その時代からそうなのだ。

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フルチン運転手報道で考える、実名か匿名か

犯罪報道に関してよく議論になるのが、被疑者や被告人を実名で報じるべきか、匿名にすべきかということ。双方の立場から色々な意見があるが、実名報道派がよく言うのが「実名報道は公権力の監視のために必要」という意見だ。
筆者はこの意見について、かつては「マスコミの人間による自己正当化の詭弁」だとばかり思っていた。だが、冤罪事件を色々取材するようになってから、この意見にはうなずけるところも多々あると思えるようになった。

たとえば、気になる事件の裁判を傍聴するため、裁判所に公判期日を問い合わせる際は最低限、被告人の名前を知っておく必要がある(事件番号がわかればこの限りではないが、被告人の名前を知らない人は普通、事件番号も知らないだろう)。また、拘置所や刑務所にいる被告人や受刑者と手紙をやりとりしたり、彼らを訪ねて面会するのも彼らの名前を知らないと無理である。こう考えると、被疑者や被告人の実名報道はやはり公権力の監視に不可欠ではないかと思えてしまうのだ。

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