戒名代が30万円。納骨のセレモニー代が10万円。計40万円がかかることが、住職から告げられる。
寺の観音塔に、姉と父を入れるとすると、2体で60万円。
すでにある墓所に入っている姉の遺骨を取り出すのにも、費用がかかるかもしれない。
作ってある墓の土台の撤去費用もかかるかもしれない。
墓所は失い、すでに支払ってある永代使用料は戻ってこないということになる。
墓はいらない、という考えであったとしても、墓をなくすほうが費用がかかるというのでは、考えでしまう。
「しかたがないですね」と妹が呟いた。
2文字で30万、10秒で30万の戒名代も、墓に入れるための費用として納得するしかない。
「戒名のない人というのは、いませんから」
住職はまったくのウソをついたが、もうそうするしかない、と思うと、反論する気力は失せた。
強制わいせつ罪に問われながら無罪を訴えた長男の裁判(2007年に実刑判決が確定)で虚偽のアリバイ証言をしたとして2006年8月に偽証容疑で逮捕された埼玉県の夫婦が、さいたま地検の検事たちによる違法な取り調べで精神的損害を受けたとして慰謝料など770万円を求める国家賠償請求訴訟をさいたま地裁に起こした結果、昨年6月に国が計130万円の慰謝料を支払うことで和解した事件をめぐり、当事者の検事たちが検察庁内部で何のお咎めも受けていない疑惑が浮上した。
ゴールデンウィークというものとは、ほとんど無関係に過ごしたが、あまりに心がすさんできたので、しばしの時でも憩いたいと思った。