『カウンターと暴力の病理』発刊のあと、M君が李信恵被告ら5名を訴えた裁判の本人尋問が昨年12月11日に行われたことは本通信でお伝えした通りである。「M君リンチ事件」への司法の判断は3月19日大阪地裁で、判決言い渡しを迎える。

他方ここへきて焦点化してきた、別の問題も無視できない。それはマスコミ関係者が李信恵被告を持ち上げる記事は書くが、李被告ならびに「しばき隊」の負の部分については、まったくといってよいほど報道がなされないことだ。『カウンターと暴力の病理』の中でも触れたが、大阪司法記者クラブはM君ならびに鹿砦社が要請した「記者会見」の開催を都合5回以上拒否している。

そこでこのたび、大阪司法記者クラブ所属の記者だけではなく、M君リンチ事件の情報を知っているマスコミ関係者、知識人、そして「しばき隊」の構成員、計約50名に「質問状」を送り2月5日正午を回答期限として、FAXもしくはメールでの答えを待った。内容はともかく返答を寄こしてくださったのは関西の「しばき隊」1名と朝日放送の大西順也氏、そして富山県にある珉照寺、山岸智史住職は質問に自らこたえるのではなく神原元弁護士(!)を通じてFAXで回答してきた。山岸住職は、

富山県・珉照寺(西本願寺派)の山岸智史住職によるツイート

と、鹿砦社を「馬鹿砦社」との誹謗を書き込んだ人物。西本願寺派の住職という、いわば「聖職」にある人間でありながら、このような鹿砦社への罵倒は到底看過できないので、『カウンターと暴力の病理』と質問状を宅配便で送ったところ、最初山岸住職は「受け取り」を拒否」。送付物は鹿砦社へ返送されてきた。仕方なく配達証明郵便で再度質問状を送ったところ、

神原元弁護士から鹿砦社松岡代表宛てに送られてきたFAX通信(2018年1月30日付)

が送られてきた。「しばき隊」関係者は言いたいだけ言い放ち、こちら側がその真意を確かめようと「質問」すると「えーん、神原先生! 鹿砦社怖いよ」と泣きながら、神原弁護士に代理人を依頼する。反原連(首都圏反原発連合)、五野井郁夫、秋山理央、李信恵、香山リカ、山岸智史住職と、この様子では、さらに神原弁護士が代理人に就任する人物は増えるかもしれない。

それにしてもいかがなものであろうか? 反原連には会計報告などを申し入れ、秋山理央には秋山のブログ上の収支報告に鹿砦社から支払った金員が掲載されていないので、その疑問への回答を求め、香山リカは「どこへ送ったのちょっと書いてみて」との香山の依頼に応じて送付先を書き込み、「鹿砦社はクソ」を連発する李信恵には「警告書」を送り、珉照寺山岸住職には「馬鹿砦社」発信の真意を確かめる「質問状」を送り……。いずれも鹿砦社が質問並びに申し入れをせざるを得ない状況を作りだした団体・個人へその意向を尋ねると、瞬時に神原弁護士が代理人に着任する。

そして、神原弁護士は、代理人着任の連絡を上記のように1枚だけの「FAX通信」なる題名で送付してくることがままあった。通常このような表題を代理人着任で使うものか、何人かの弁護士に尋ねたが、「各先生の考えによるのでしょうが、一般的には聞いたことがない」との回答だった。神原弁護士はひょっとすると、かつてFAXで鹿砦社が定期的に流していた「鹿砦社通信」(注:これは『紙の爆弾――縮刷版・鹿砦社通信』として一冊にまとめ出版している。また、この「デジタル鹿砦社通信」も、FAX版「鹿砦社通信」を踏襲している)を模して、冗談半分でこのような表題を付けたのではないか。

そこで、上記代理人を引き受けた団体・個人からの「委任状」を見せてくれと要請した。FAX一本送ってこられて「代理人に着任しました」と伝えられても、正式な委任を証明する「委任状」を見せてもらわないことには、ここまで多数の代理人(しかもいずれも問題が起きると直後に)への就任を確認できない。その要請に応じる形で返送されてきたのが以下である。今回のFAXは上記の「FAX通信」と異なり、正式に武蔵小杉合同法律事務所のカバーレターがついており(ということは、これまでの「FAX通信」はカバーレターすらつけずに送付してきた「おざなりな」形式であったことが証明された)体裁は整っている。

神原元弁護士から鹿砦社宛てに送られてきた武蔵小杉合同法律事務所のカバーレター付「FAX送付の件」(2018年2月2日付)

五野井郁夫の委任状

山岸智史珉照寺住職の委任状

香山リカの委任状

秋山理央の委任状

このように山岸住職以外は住所もなく、「代理委任(上記委任)に捺印します」との文言があるが、肉筆の署名があるだけで、捺印はない。しかも中塚尚子こと香山リカの委任状の日付はなんと、2018年2月2日となっている。神原弁護士がFAXに書いている通り香山の代理人に依頼は電話であったのだろうが、香山の委任状は鹿砦社からの催促のあとに作成されたものであることをこの日付は示している。

法律的に弁護士の代理人就任は、必ずしも書面を交わすことが義務付けられていない(刑事弁護などの場合は物理的に不可能な場合もありうるので、仕方ないだろう)けれども、複数の弁護士によると、日弁連は民事の代理人就任にあたっては、書面での委任を明確化するように弁護士に促しているという。

つまり神原弁護士は、鹿砦社案件について「しばき隊」各位の依頼は電話一本で引き受け、委任状も交わさずに代理人を引き受けているようだ。使命感か私怨か。判断のわかれるところだろう。

(鹿砦社特別取材班)

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