我々が泊まったクティとこの地域を走るトゥクトゥクが停車中

ノンカイでの托鉢を撮って貰いました Photo by Nate Badenoch

◆油断大敵!

昨日(12月20日)の祭りのソムタム(唐辛子入りパパイアサラダ)が効いた。元に戻ったどころではない。深夜から何度トイレに行ったことか、発熱に下痢に嘔吐まで、より酷くなった。短い時は10分も経たないうちにトイレに向かう。寝返るだけで漏らすほどひどい。体調崩してから力付けようと何でも食べたが、昨日の祭りのソムタム、スイカは信者さんに勧められて食べたが、逆にダメだった。

朝4時の読経に行く前、汚れたサボン(下衣)を廊下のソファーの下に隠す。戻ってから外のタライに水を張って、そのサボンを浸して托鉢に向かう。

朝食はほとんど食えない。オカズをひとつ摘んで御飯をスプーンで2掬い口に入れただけ。昼食も全く手が出ない。美味しい肉野菜炒めもあるのに美味しそうに見えない。もうソムタムには絶対手を出そうとは思わない。こんな食べる量の少ない日は初めてだ。自分の体力が心配になってきた。朝食後は何とか洗濯を済ませてまた横になる。

昼以降、またネイトさんと藤川さんが仲良く市場へ買い物に行って、ミロと湯沸しポット買って来たらしい。早速お湯を沸かしてみるネイトさん。ちゃんと湯が沸く。日本製でもない頼りないものがしっかり沸いている。その湯でミロを作ってくれたので頂いた。

朝の読経で読まれます。ページは5ページほどあったかと思います

寝ながら見ていた、いつもと違う私のグロッギーな状態にネイトさんが薬をくれる。いつもは元気そうに立って歩いたから、そんな深刻に見えなかったらしい。あまり勧めたくない薬のようだが、あまりに青い顔で寝ている私に勧めてくれた薬だった。バンコクで買った薬らしい。

◆僧名、チャナラトーの意味!

そういえば2ヶ月前の私の得度式で僧名を頂いているのに、全く忘れていた。あの得度式の前、「堀田さんは“チャナ・オハルサン”だそうですよ!」と高津くんが言っていた。

「ウソだろ、和尚さんに頼まれて藤川ジジィが考えたのか、この野郎!!」と思った。私はタイの比丘らしい“アリアラッタノー”とか“プッタラッタノー”といったカッコいい僧名が欲しかったのだ。しかし得度式の後、ケーオさんから頂いた得度証明書に、“チャナラトー”と書いてあったので、あの時はそんな疑念も消えて嬉しかったなあ。

そんなことで夜、藤川さんらと話している時、僧名の話題になった。藤川さんは“チンナワンソー”という。手紙が来る度、この名前が書いてあったから忘れない。それでこの私の“チャナラトー”と僧名を言ってみたら、その意味をネイトさんが仏教辞書で調べて、「座禅組むのが好きな人」と訳すと、いきなり藤川さんが「よし、今日は3人で座禅組もう!」と言い出す。

朝食後、その場で読経となる経文、このページのみです

ああ、ネイトさん余計なことを。しょうがない、3人で座禅に入るしかない。

無言で座禅を組んで心を無にする。これは非常に難しいことである。

人間、何も考えないということは出来ない。いや、修行を積めば出来るのだろうが邪念が入るのである。

誰とも話していないとき、本を読むとかテレビを観るといった行為をしない時、必ず何かを考えてしまう。その邪念を振り払い続けて到達するのが“無の境地”なのだそうだ。

何かが頭を過ぎる。それを追ってしまう。それを振り払う。そしてまた次のことが頭を過ぎる。それを振り払う。“何も考えない”と思うと、そう思うことが頭を過ぎっている。それも振り払う。これを延々続けると、本当に何も頭を過ぎらない、無の境地になるのだそうだ。

無理だ。誰かが部屋に入って来た。バリカンで剃髪してくれたスアさん、石橋正次似の比丘である。「オッ、何かやっとるわい」といった感じで遠慮して出て行かれた。ということが頭を過ぎっている。藤川さんと同じで、女の子が夢に出て来るような、生臭坊主の私が悟りを開く訳が無い。座禅は30分ほどで格好だけで終わった。

市場に行った際のお店に立ち寄るネイトさん

◆薬が効いた!

その翌朝(22日)は鐘が鳴る朝までぐっすり眠れた。下痢が止まったのだ。ネイトさんから貰った薬が一発で効いた。タイの薬は強いのである。おそらく日本では厚生省の認可が下りない。でもとにかく治った。嬉しくてしょうがない。

托鉢はもう日数も無いし、元気が出てきた私は、ネイトさんに撮影をお願いしてみる。「私の姿だけ撮ったら帰っていいから」と言うと、本当に2枚だけ撮って帰られた。やっぱり人物撮りは難しく、知らない人に接近して撮ることは怖さがあるのだ。ネイトさんはビエンチャンではよくやってくれたと改めて思う。だから薬の御礼を含め、剃髪と得度式はしっかり撮ってあげようと思う。

朝食は御粥にすることを思いつく、ネイトさんが買って来た湯沸しポットでお湯を沸かしてもらっておいて、御飯にお湯かけて簡易御粥にするつもりだった。かなり昔、居酒屋で御粥を頼んだ時、キックボクサーの稲葉理さんが、「こんなもの、飯に永谷園のお茶漬け海苔とお湯ぶっ掛けただけだ」と言ってたことがあった。これだ、こんな程度でいいから御粥が欲しくなった。ネイトさんはお湯を持って来てくれたが、こんな日に限ってカオスワイ(白米)は無く、カオニアオ(もち米)だけだった。でも食欲も沸き、寒い時期の温かいお湯が優しくお腹に効いた。

◆家庭教師の存在感!

先日、ラオスから戻った後のネイトさんの出家願いに、プラマート和尚さんに御挨拶に行った後、倉庫部屋に戻ると、そこには17歳ぐらいのネーンが勉強(高校一般教科)していた。

元々彼の部屋だったようで、精悍な悪ガキぽい顔つきだが、優しい奴で、御丁寧に部屋を譲ってくれようとした。名前はバーレーという。ここでも我々よそ者が邪魔して悪いと思うも、そこで機転利かせたネイトさん。バーレーくんの臨時家庭教師となった。英語もイサーン語も出来て、大学出の学力があっては言うこと無しである。英語で問いかければ反応して食い付いて来る。こんな田舎で、いきなりアメリカ人教師登場の運命に驚きのバーレーくんだった。

そんな学業に励むバーレーくん達を見て、藤川さんはこの日、彼らの学校に見学に行った。夕方頃帰って来て語るその感想は、「ラオス(ビエンチャン)の学校の方は教材も足りんで、設備整っておらん分真剣にやっとるが、タイ(ノンカイ)の方は設備整っておる分、不真面目になって雑談が多いな。恵まれるとやっぱり乱れていくんかなあ」と言う。

しかし、バーレーくんはネイトさんを頼って勉強を教えて貰おうとやって来るようになった。今しかないチャンスを活かす探究心はラオスの生徒達と同じ心境だろう。こんなノンカイでもラオスでも頑張っている奴は多いのだと実感する。

ネイトさんが家庭教師を受けたバーレーくん

剃髪近いネイトさんとその演出を考えた藤川さん

◆意義ある剃髪へ!

我々は明日23日の夕方頃、ネイトさんの剃髪をすることに決定。私がカメラマンを務めることで、藤川さんが演出に凝りだす。

「場所はメコン河をバックに土手の上、バリカンは断ってカミソリでやって貰おう」とスアさんにお願いすると快く了承して頂いた。

その前準備に、ネイトさんは親代わりをお願いしているオバサンを呼ぶか迷っていた。なかなか多忙な方だからだそうだ。

藤川さんが、「剃髪にオバサンがハサミ入れなかったことが後で心に引っ掛かるようならタクシー代100バーツ掛けてでもオバサンに会いに行ってお願いした方がええんちゃうか」と言うと決心し、明日行くことにしたようだった。

体調復活した私はまたカメラマン魂が沸いて来て撮影体勢に入っていくのでした。
 
▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」
 

7日発売!衝撃満載『紙の爆弾』11月号! 公明党お抱え〝怪しい調査会社〟JTCはどこに消えたのか/検証・創価学会vs日蓮正宗裁判 ①創価学会の訴訟乱発は「スラップ」である他

2018年芸能界最大の衝撃新刊! 上條英男『BOSS 一匹狼マネージャー50年の闘い』西城秀樹、ジョー山中、舘ひろし、小山ルミ、ゴールデン・ハーフ、吉沢京子……。「伝説のマネージャー」だけが知る日本の「音楽」と「芸能界」!