「やや日刊カルト新聞」の「総裁」にして、業界ではカルト問題取材では、超有名人である藤倉善郎さんにお話を伺った。直接的にはオウム真理教関連集会での香山リカ氏による、取材妨害が話題になったことがきっかけであったが、「カルト」や「表現の自由」についての最新の情報をお伝えいただけた。カルト取材専門家が見る「しばき隊」の問題とは? 4回連載で報告する。

◆「自己啓発セミナー」「統一教会」「幸福の科学」

 

2018年10月7日付け「やや日刊カルト新聞」より

── 藤倉さんはカルト取材に関して高名ですが、あらためてどうしてカルトに関心を持たれたのか簡単に教えて頂けますか。

藤倉 大学の時に新聞会にはいってまして、当時、学内のほかのサークルや研究室で「自己啓発セミナー」を受けた人が友だちを勧誘するトラブルが同時多発的に起こっていました。「自己啓発セミナー」は宗教ではないですが、悪徳商法のようなよろしくないものでしたので問題視ししつつも、それを批判する周りの学生が「自己啓発セミナー」勧誘に熱心な学生を魔女狩りのように排斥し始めて、「どちらもおかしいな」と思いました。批判する側の問題性も意識しながら取材をして新聞で記事を書くことを学生時代に始めました。その当時文献は多くはなかったのですが、宗教被害を扱っている本なども読み漁りまして、大学中退をしてライターになってから「自己啓発セミナー」の取材もやりつつ、宗教被害にも手を広げていった。そういう流れですね。

── これまで「統一教会」や「幸福の科学」に体当たり的な取材でご活躍ですね。

藤倉 「統一教会」の方は「やや日刊カルト新聞」の主筆である鈴木エイトさんが専門でやっていますので基本任せていますが、ときどき一緒に取材します。僕は「幸福の科学」とそれ以外のカルト担当のような感じですね。

◆オウム真理教に関する集会中継をめぐる取材妨害事件

 

2018年10月4日付け「やや日刊カルト新聞」より

── このインタビューのきっかけとなったのはオウム真理教に関する集会があって、藤倉さんが中継なさろうとしていたのでしたか?

藤倉 そうですね。動画の撮影、中継、写真撮影全部やろうとしていました。

── それを主催者から止められたということですか。

藤倉 動画の撮影とネット中継を止めるようにと邪魔をされました。

── 藤倉さんは当日中継機材を持っていかれて一旦は中継をはじめられたのですか。

藤倉 始めましたね。当日前に「こういう取材をしたいけどよいか?」と取材の申し入れを会の方にしました。そうしたら「動画撮影と中継はやめてくれ」という趣旨の返事がきました。都合があって辞めて欲しいのであればそれは仕方ないでしょうが、「動画撮影については会が自分たちで撮影して、自分たちで発表する。ネット中継はIWJに任せるからお前らはやらないでくれ」という理屈だったので「よそもやるのになぜうちはだめなんだ」という話をしまして、そんな理屈は受け入れられないので申し入れたとおりに動画撮影も中継もしますよ、と前もってメールも送って、当日受付でも名前を伝えて会場に入ったので予告通りに動画の録画と中継をはじめました。
 そしたらはじめてすぐでしたが名前を知らない女性スタッフが出てきてカメラを遮って「止めるように」と言ってきたのが始まりですね。そのあとに香山リカさんとか弁護士さんや『創』の編集長の篠田さんたちが集まってきて、カメラを遮ったり「動画撮影ネット中継お断り」だというルールを守れないのであれば「出て行け」と言ってきました。
 僕の方は「よそはやっているのにうちはダメ」っていうルールの理由すら示されない。「そんなふざけたルールに従えるか!」とそのまま中継を続け、向こうは向こうでカメラを抑えるということを続けたので、集会の取材じゃなくて「取材妨害の取材だな」と切り替えて様子を撮影したり、中継したりしていました。

── 最後まで会場にはいらしたのでしょうか。

藤倉 「警察呼ぶ」とか言ってたので「呼べ呼べ」って言ってたんです。管理権はこちらにある、お断りしているのに入ってきているのは不法侵入だと彼らは言っていました。「警察呼ぶならここで待ってるね」と言って居座って撮影を続けたのですが、結局警察は最後まで来なくて、香山さんなんかは結構しつこくずーっとじゃましたりしてました。でもカメラを遮ったりする妨害はたぶん20分くらいで止めてしまって、あとはほったらかしにされていたので、結局最後まで撮影も中継もしました。

── そうなんですか。

藤倉 最初の20分はカメラを遮られたりして、僕自身もじっくり聞けなかったんですが、それ以降は撮れたんです。ところが撮ってみたら中身が全然なくて、登壇者がオウムと関係ないような持論をしゃべるだけの会で。強行突破しても意味なかったな、と悲しいオチで終わってしましました。

◆中継取材妨害問題に二度と言及しなくなった香山リカさん

 

2018年9月19日付け「やや日刊カルト新聞」より

── 藤倉さんを妨害した人の中に、私たちから見るとカルトと似た行動様式をする人が居まして、その代表格が香山リカ先生なんです。会の趣旨についての見解はいろいろあるでしょうが、取材を妨害したことについて、江川紹子さんが香山さんの行動を疑問視して質問を投げかけるというツイッターでの議論になりました。そこで香山さんからはしっかりとした反論がなされていなかったように感じました。

藤倉 江川さんとしてはいきなり批判とか、糾弾とかあるいは藤倉擁護をしたわけではなくて、「このメディアはいいけど、このメディアはダメだ」というルールはいったいどういう根拠で決められたのかと質問したんですよ。江川さんとしてはそこがわかってはじめて、良いか悪いかの判断をする話だろうと、ただ質問をしたんです。香山リカさんがちゃんとそれに答えなくて、「出演者にも確認して決めたルールだ」とか決定プロセスの話をして逃げようとしたんですよね。
 江川さんはぶれずに「プロセスを聞いているんじゃなくて、どういう根拠でメディア選別が行われたのか」の根拠を聞いたんですが、香山さんはそれについては答えずに「後ほど回答します」というようなことを発信した後に、二度と香山さんは言及しなくなったんですね。何日かあとに会のサイトに、僕を非難するような抗議声明のようなものが掲載され、香山さんが言っていたようなことは書いてありましたが、「どうしてIWJだけは良くて他はダメなのか」の理由や根拠は書いていませんでした。
 実際はIWJだけじゃなくて、現場に行ったらテレビ朝日も動画撮影をしていたんです。主催者が「動画は自分たちが撮影する」と言っていたのは嘘だったわけです。(つづく)

(鹿砦社特別取材班)

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