『紙の爆弾』編集長 中川志大
9月号では、高市早苗首相のアメリカ時代の経歴詐称疑惑と、高市政権のアメリカ追従政治の関係を考察。執筆者の浜田和幸氏は、高市氏が松下政経塾を卒業後、米下院議員の事務所に籍を置いていた(9カ月間)のと同時期に渡米しワシントンで勤務しており、現地の高市氏をよく知る人物です。
その高市政権の元で、「円弱」がさらに極まりつつあります。彼女が政治の師と仰ぐ安倍晋三元首相は「円が300円になったらトヨタの車が3分の1で売れる。日本への旅行費も3分の1になる。あっという間に経済回復していくという考えはどうか」と述べましたが、「失われた35年」の果て、物価高による生活苦が人災であることを、この発言が証明しています。高市政権のウクライナ・中国・イラン等海外情勢への対応がそれに拍車をかけてトヨタも減産。7月号で元外交官の孫崎享氏が指摘したように、この外交姿勢は師匠である安倍元首相が中国やロシアと一定の安定的関係を維持したのとは真逆でした。前号で「戦後最悪の宰相」としたゆえんです。円安で「ホクホク」しているのは誰か?というのは、重要な現状分析といえます。
そんな中でも国会では、延長してまで皇室・国旗・改憲策動・自維一体と、今の国民生活に寄与しない法案ばかりが成立。高市首相は「睡眠時間ゼロで頑張っている」とアピールしておけば、適当にごまかせるという姿勢です。なお「寝ずに書類を読んでいる」は、まさに前述の孫崎氏のレポートが言及したところ。「外交官の経験からいえば、高市首相の政治スタイルの問題は、ペーパーを読むことばかりを重視している点」「政治の実態を踏まえず首相の肩書きだけで政府を運営しているように見えることが、国民にとって大きな問題につながる」と述べていました。
それでも、マスコミ報道とは違うところで社会を前に進める活動が進んでいます。山田正彦・元農水相は農薬・化学肥料に頼らない有機農業が世界で大きく広がっていることを指摘。日本はまだ遅れているものの、地域ごとの取り組みにより急速な進展を見せています。また山田氏は、体内の残留農薬はデトックスが可能であることも、データとともに示しました。残留農薬といえば、主に輸入農作物のポストハーベスト農薬(収穫後、品質維持等のための農薬)の危険性を最初に指摘すべきですが、その対処としては地産地消の促進が考えられます。山田氏の分析は、ここからさらに踏み込んだものといえます。今国会で再び改悪された種苗法・新育苗法についても、弁護士として種子法廃止違憲訴訟を闘う山田氏が、タネを守る地域の取り組みを紹介。「食料安全保障」と「食の安全」を考える全ての人に、ぜひお読みいただきたい内容です。
そして、長期身柄拘束によって自白を迫る「人質司法」の問題を、村岡啓一弁護士が解説。同記事は、日本の司法の特殊性を指摘するだけでなく、「なぜ推定無罪の原則に反して、未決の被疑者が手錠・腰縄で拘束されるのか?」「推定無罪の被疑者がなぜ強圧的な取調べを受忍しなければならないのか?」といった、根本的な問いから始まります。そして、日本国憲法のありようにも迫ります。
ほか9月号では、再審請求に向け活動を続ける植草一秀氏の、「3つの植草冤罪事件」の真実に前号に続き斬り込みました。静岡県沼津市の「ごみ焼却炉訴訟」で下された“行政利権”を崩壊させる画期的判決も必読記事のひとつです。精神科医・野田正彰氏は、精神病が死に至る病でないにもかかわらず、年間2万4000人が精神病院で亡くなる「日本の精神医療」と「精神科医」の“異常性”を解説。今月号も独自の切り口で真実を追求します。
『紙の爆弾』は全国の書店で発売中です。ぜひご一読ください。
『紙の爆弾』編集長 中川志大

『紙の爆弾』2026年9月号
A5判 130頁 定価800円(税込み)
2026年8月7日発売
米政府が保有する「首相のカルテ」高市経歴詐称問題とアメリカ追従 浜田和幸
違憲・違法の「人質司法」がなぜ存在するのか 村岡啓一
「令状なし盗聴」にまで手を出した 高市政権が掌握する「情報」という巨大権力 足立昌勝
山田正彦元農水相インタビュー 日本を食の「退国」にしないために 食料自給率80%は可能である
「国力研究会」の本当の目的「中傷動画」が招いた自民党“高市おろし” 片岡亮
絶望へ導く日本精神医学はいかにしてつくられたか 野田正彰
「デジタル主権戦争」敗戦の先にあるもの 昼間たかし
植草一秀インタビュー「冤罪の真実」中編 小泉・竹中経済政策と三つの冤罪事件の闇
ウラジーミル・ジリノフスキー「不屈の愛国者」が訴えたもの 木村三浩
成年後見制度という宿痾?これが「改正」か? 質疑なき論戦の果てに 鈴木愼哉
相次ぐ神社仏閣の火災 その“背景”を考える 早見慶子
LGBT問題の現在⑧ LGBT思想と包括的性教育 益田早苗
高市早苗の「我が闘争」を中間総括する 佐藤雅彦
静岡県沼津市ごみ焼却炉訴訟の「画期的判決」 青木泰
高市売国傀儡茶番劇場暴走阻止イベント 真田信秋
〈連載〉
コイツらのゼニ儲け:西田健
「格差」を読む:中川淳一郎
シアワセのイイ気持ち道講座:東陽片岡
The NEWer WORLD ORDER:Kダブシャイン
「絶望ニッポン」の近未来史:西本頑司
芸能界 深層解剖