有罪確定した米原汚泥タンク女性殺害事件に関する報道の嘘

筆者が冤罪の疑いを抱き、取材していた事件の被告人の男性が先月4日、最高裁に上告を棄却され、有罪が確定した。その男性は、森田繁成氏(44)。発生当初に大きく報じられた事件の被告人だから、名前をご記憶の方も少なくないだろう。

事件の舞台は滋賀県の米原市。2009年6月12日の朝、2日前から行方不明になっていた派遣社員の女性A子さん(28)が市内にある汚泥タンクの中から遺体で見つかった。解剖の結果によると、A子さんは鈍器で頭部や顔面を乱打された上、瀕死の状態でタンクに落とされて窒息死していたという。「むごい」としか言いようがない事件だった。

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AKB篠田麻里子「カワイイ区長」を終わらせたのは、たった4人の苦情

福岡市カワイイ区は昨年8月、ホームページやメールで市のファッション情報などを発信する目的で開設された。
「篠田も故郷ということでかなり力が入っていました。事業費は約1千万円。全国的に注目を集め、約4万2千人が“区民”に登録したのですが、苦情によって篠田は退任することになりました」(芸能ジャーナリスト)

昨年11~12月に4人の市民から「女性はかわいくなければ、というメッセージを発信している」などの苦情が寄せられ、7日の男女共同参画審議会では、委員から事業見直しを求める声が続出。市は篠田側に「これ以上、迷惑を掛けてイメージを傷付けるわけにはいかない」と申し出、退任が決まったという流れだ。
開設直後の昨年9月には、インターネットを利用した特別住民票の発行受け付け業務を、市が委託契約を結ばずに市内の民間放送局に委ね、住民票と同社商品のセット販売を黙認していた問題も発覚した。

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呉の連続猫虐殺事件 犯人がいつまでも捕まらない理由

広島県の呉市で体を切断されるなどした猫の無残な死骸が公園や河川敷、路上などで見つかる事件が約1年に渡り、延々と発生し続けている。昨年3月に西惣付町で上半身だけの姿になった猫の死骸が見つかったのを皮切りに、同8月に1件、同10月に6件、同11月に2件、同12月に4件、今年1月に2件、同2月に5件……と遂に20件を突破。この間、この連続猫虐殺事件は地元マスコミのみならず、週刊誌やスポーツ紙でも次々に報じられ、全国的に関心を集める事案となっている。

所轄の呉署と広署によると、見つかった猫の死骸の中には、他の動物に襲われた可能性や交通事故に遭った可能性がある死骸もあるそうだが、いずれも死骸の発見場所に大量の血痕はなく、何者かが他の場所で殺害後に運んできているようだという。また、発見者からの通報は午前に集中しているというから、普通に考えれば、犯人は深夜に死骸を遺棄しているのだろう。筆者は死骸の発見場所を自転車で訪ねて回ったが、死骸が捨てられた場所の多くは細い坂道が入り組んだ地帯にあり、土地勘のある人物の犯行とみるのが素直だと思われた。

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ミャンマーの『民主化』は本当か!? ヤンゴンで生活してみた 13

ミャンマー(ビルマ)では、2013年4月に、政府による新聞や雑誌の検閲が完全撤廃される予定だ。それを受けて、民主化活動を長く続けてきた現在の最大野党、国民民主連盟(NLD)が新聞を発行することになっている。新聞検閲撤廃に対するミャンマー国民の期待は高い。
現在、ミャンマーの日刊紙は、ミャンマー政府が発行する新聞「チェーモン(ビルマ語で「鏡」の意)」のみ。

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父と私に引かれた、38度線

先日、大学の旧友たちと会った。恩師の退官式以来の顔合わせだから、ほとんどが20年ぶりだ。健康を祝って、恩師の家に集ったのは、20人ほど。日本人は私を含めて3人で、あとは在日の韓国人、朝鮮人たちだ。
誇らしい友人たちである。韓国籍として初めて、東京都の職員として教師になった者。韓国民族学校の教頭になった者。北朝鮮との貿易を営んでいる者。日本の大学の教授になった者。商店主や、もちろん会社員もいるが、皆たくましく生きている。

朝鮮語を教えていた恩師は朝鮮籍だが、「大学内に38度線を持ち込まない」が信念だった。
朝鮮半島が38度線で北朝鮮と韓国に分かれているように、在日の団体も朝鮮総連と韓国民団とがある。
私が大学に入ったのは、1978年。今では状況も変わっているだろうが、その当時は、どこの大学でも在日のサークルは朝鮮籍と韓国籍とで分かれ、交流することはなかった。
恩師の信念によって、私のいた神奈川大学では、「高麗(こりょ)」という名で、統一のサークルができていた。

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社長が夜逃げ! あるIT企業社員の手記 (12)

「こりゃいよいよアカンよ。戸次君、次の仕事探した方がええ」
仕事後にセントラル社の梅田さんを誘って、尚坂と飲みに行く。連日社内に土方さんの関西弁が響くせいか、尚坂に関西弁の影響がみえる。
「以前も同じ話してましたよね」
「いやもう、今度はどうしようもないワ。俺も社長と長い付き合いだけど、見切りつけるより他無いよ。システムは完成しない」
援助額は一年弱の間に一千万を優に超えている。そのまま借金になったら、銀行の返済もあるうちのような零細企業は、存続できるはずがない。
「社長サンは仕事できない方ナンデスカ?」
梅田さんは日本人男性と結婚して、国籍は日本だが元は中国人だ。真っ黒な長いストレートな髪が、今風ではなく少し前の日本人女性っぽい。中国の田舎育ちで、流暢に日本語を話すものの語尾のイントネーションが少しおかしい。酒に弱いけど日本酒が大好きで、その日も一杯でもう顔が真っ赤だ。
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PC遠隔捜査事件と、「足利事件」初期報道

「どうかマスコミの皆さん、皆さんも何度も過ちを犯してきたわけです、足利事件を含めて。報道のあり方も問われているんだから。警察がこれからも拘束したら犯罪だと言いましたが、いいですか、これから皆さんも同じように警察情報を垂れ流したら、皆さん自身の犯罪です! 犯罪報道の犯罪だと思う。だからどうか皆さん、自分の胸に手を当てて、自分はいったいどういうことでペンをにぎっているのか、考えてもらいたい」

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『思想の混迷、混迷の時代に  鈴木邦男ゼミin西宮 報告集 Vol.2』【ブックレビュー】

パレスチナで育った重信メイと、「夜と霧」を訳した池田香代子が、一つの本に載っている。
『思想の混迷、混迷の時代に』(鹿砦社)は、そんな凄い本だ。
重信メイは、パレスチナに渡って日本赤軍のリーダーとなった、重信房子の娘だ。イスラエルのユダヤ人たちによって、パレスチナの街が破壊され、命が奪われていくのを目の当たりにしながら育っている。
ナチスの収容所から生還したユダヤ人、ヴィクトール・フランクルが記したものが、「夜と霧」である。

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WBC日本代表の投打は大丈夫なのか

2月17日、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表が、初の強化試合で完封負けを喫した。日本チームはサンマリンスタジアム宮崎で行われた、広島との強化試合初戦で0-7で完封負け。先発の田中将大は1回に2失点し、不安なスタートを切った。3月2日のブラジル戦の先発が予告された田中は2イニングを3安打2失点した後、3回に能見篤史にマウンドを譲った。能見は2イニングを1四球の無失点に抑えたが、5回に3番手で登板した山井大介が2失点した。9回には内海哲也が鈴木に3ランを浴びた。

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電力エゴイズムが露わになった、 東北電力・料金値上げ

「よりによって震災で一番つらい地域の電気料金をあげるとは、いったい復興税は何に使われているというのかね」(いわき市住民)
ついにパンドラの箱を開けてしまった。東北電力が家庭向け電気料金の平均11.41%引き上げを政府に申請したのだ。
東京電力は、昨年値上げを実施。関西電力、九州電力、四国電力が値上げ申請をしている。
どれも納得のいくものではないが、被災地を多く抱える東北電力の値上げ申請は、電力会社というものの体質を浮き彫りにしている。

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