松本伊代と早見優のJR山陰線路内無断立ち入りに激怒した鉄道ファンの聖戦

タレントの松本伊代(51)と早見優(50)が京都市内のJR山陰線の線路内に無許可で立ち入り、鉄道営業法違反の疑いで書類送検された事件では、鉄道ファンが激怒している。

2人は今年1月、『クチコミ新発見! 旅ぷら』(読売テレビ)のロケーション撮影の合間に京都市内のJR山陰線の嵯峨嵐山(さがあらしやま)駅近くの踏切内から無許可で線路に立ち入り、さらに松本は写真を撮影して1月14日にブログにアップ。これが「あまりにも非常識だ」として話題を集めていた。とくに怒りが収まらないのは、鉄道ファンだという。

ネットでも『JRに謝罪せよ』『これは天然ではすみませんよね、ヒロミさん?』『犯罪です。そんな善悪もつかないのか!?』『人としてどうなのだろう』などと早見と松本を批判する書き込みで大炎上。松本と早見は「キューティー☆マミー」というユニットを結成して、『急いで! 初恋』(早見)や『センチメンタル・ジャーニー』(松本)などをイベントで披露、多数の集客に成功している。当初のユニットコンセプトは「母親があこがれるママのユニット」ということったが「子供には見せられない母親(マミー)たち」になり下がった。

鉄道ジャーナリストの福田一夫氏が語る。「近頃では、線路の敷居の外から電車を撮影するのにも、鉄道警察から『近寄って撮影するんじゃない!』と激怒されるというのに、モラル的に許せない。鉄道ファンのみならず、鉄道交通に携わる人すべてに謝罪すべき事件ですよ」 

今回の警察の対応について、鉄道ファンからは賞賛の声は多い。「タレントだからといって、甘い裁定はせずに、厳しくしたのは、結果として鉄道ファンにもある一定のモラルをもたらすことになります。はっきりいって、秩父鉄道や日光鬼怒川線など、入ろうと思えば入れる地方の路線はたくさんあるが、僕たちは自制心をきかせて我慢しています。鉄道ファンの間では、線路は神聖なもので、よくある『廃線を歩く』なんていうフォトエッセイですら、否定する連中は多いです。そんな場所を早見と松本は“汚した”のですよ」(同)
  
今度、真岡鉄道が2月19日に蒸気機関車2台を走らせるイベントがある。「このときに鉄道ファンが集まって、早見や松本の事務所への抗議署名を集めるかもしれません。このままでは、僕らが撮影しにくくなるのは必然だと思いますよ」と鉄道ファンの男性。鉄道ファンの中でも不埒な人がいて、「これじゃあ、地方の路線で人がいない場所など今まで『かろうじて侵入して撮影できていた』ポイントまでマークされて僕らはますますいい写真がとれなくなる」とぼやく鉄道ファンに会ったが、こうした連中を『排除』できるのはかえって「災い転じて福」で、これこそ警察の「ルールを守らない撮り鉄排除」の狙いが裏にあるのかもしれない。

「実際に線路に乗り入れる 松本と早見は容疑に関して、1月下旬、京都府右京警察署から任意で事情を聞かれていた。京都府警に「ふたりは反省の色があったか」と聞いてみたが、さまざまな方面から問い合わせがあったのかうんざりした声で「発表しておりません」とこたえた。もはや「うまくいっても半年間の自宅謹慎がベスト」(テレビ局関係者)という声もある中、はたして80年代にアイドルとしてファンたちを喜ばせた松本と早見は、同年代のファンたちを失うのか。その対応に注目が集まる。

(伊東北斗)

 
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沖縄の人たちと共に闘うシンガー、川口真由美さんが2月25日京都で歌う

辺野古の海上工事がいよいよ再開された。高江と辺野古で沖縄人の意向を全く無視した新たな米軍基地建設が進む。もちろん誰もが黙っている訳ではない。逆だ。全国から「どう考えたっておかしいだろう!」と基地建設反対の人びとが、運動の戦列に加わるために沖縄に足を向けている。

川口真由美さん

◆真由美さんは毎月のように沖縄に通っている

京都生まれ京都育ちで、障がい者の作業所の所長さんにして3人のお子さんのお母さん、川口真由美さんもそんな人の中の一人だ。でも彼女は歌手でもある。知人から紹介され真由美さんのCDを聴いた。真由美さんを紹介して下さった方によれば、「彼女の迫力は生で聞いたらパワーが違います」とのことだったが、音楽センターから発売されている『想い 続ける─沖縄・平和を歌う─』からは、ガツンと直撃弾を食らったような詩とメロディーがシンプルな演奏で奏でられる。

真由美さんは毎月のように沖縄に通っている。辺野古や高江の現地で座り込みに参加したり、抗議行動に加わり続けている。だから彼女のオリジナル曲には、とても直接的な詩が多い。政治的であり、情熱的であり即物的なようでいて、情の深い部分を射抜く。

◆『闘う人』は異端者ではない

川口真由美さんCD「想い 続ける—沖縄・平和を歌う—」

音楽から力が失われてどのくらい経つだろう。かつては詩歌が直接的でなくとも、多くの人の心を揺さぶる楽曲が珍しくはなかった。だが近年そのような新しい楽曲に接することが少なくなったように感じる。

私の生きている世界が狭いからだろうか。時代が剥き出しの暴力をすすめ、日々が戦争めく時代にあって、優しさにくるまれた歌詞や、解釈がいかようにも可能な楽曲は、はかなくも力なく聞こえる。何も知らない子供は騙せても、大人の心を揺らせはしない。たしかに人びとの心のひだを丁寧に歌う歌はあるだろう。それらは「癒し」や「共感」には溢れているかも知れない。でもそこから「闘い」の意思と「怒り」を感じることは稀である。

時代は『闘う」ことが、なんだか不思議なことのように人びとに思わせることに成功しつつあり、『闘う人』を異端視する勘違いの罠を巧みに仕掛けている。

◆山城博治さん作詞の『沖縄 今こそ立ち上がろう』を艶やかに歌う

真由美さんの歌を私なりに解釈すれば『21世紀版闘争歌』だ。『El Condor Pasa(コンドルは飛んでゆく)』も真由美さんが歌えば、たちまち『闘争歌』へ装いを変えるし、いま、囚われの身である山城博治さんが作詞した『沖縄 今こそ立ち上がろう』を歌えば、艶やかな色を帯びた曲へと深みが増す。『翼をください』だけは詩も原曲通りだが、この曲くらいしか真由美さんの身体に納まる歌はないということだろうか。この人のエネルギーをのぞき込むのは、なんだか原発事故でメルトダウンした格納容器内のデブリを見に行くような怖さすら感じる(あえてこの表現を使う)。


◎[参考動画]辺野古作業用ゲート前で山城博治さんと共に歌う『ケサラ』、『軟弱者』(2015年1月13日)

でも本当に彼女が歌いたいのは『闘争歌』ばかりではないだろう。彼女は「躍動する声を出すようにこだわっています。鳥の声や動物の声も気にしています。自然に響くように歌わないと人の心にも響かないから。私は人間として当たり前な、人間らしさを歌いたいだけです」という。そう、彼女はいま『闘争』に忙しくとも、本当は情熱に満ちた愛情や自然を歌いあげたいのではないだろか。でも時代はそれを許さない。

◆2月25日(土)京都での真由美さんコンサートに先着5名様ご招待!

『共に歌う歌姫・闘うシンガー』とも呼ばれる真由美さんの歌を生で聞くのは正直少し怖い気もする。こちらのエネルギーが試されるのではないかと。「聴き倒れ」てしまうんじゃないか。自分に自信のない私などはちょっと不安だけれども、彼女の歌を聴くチャンスがやってくる。

2月25日(土)、京都市呉竹文化センターで1:30開演、川口真由美さんのコンサート『想い 続ける ―沖縄・平和を歌う―』が行われる。コンサートは当日2000円(前売1500円)、小学生~高校生・障がい者1000円だが、ご紹介者のご厚意により先着5名様に同コンサートのチケットをプレゼントする。チケットをご希望の方はtadokoro_toshio@yahoo.co.jpへお名前、ご住所、連絡先電話番号を明記の上メールをお送り頂きたい。先着5名様(多数の場合は抽選)にチケットを差し上げます。

2月25日(土)川口真由美『想い 続ける -沖縄・平和を歌う-』コンサート(京都市呉竹文化センター)

川口真由美さんについてのご質問は、京都音楽センター(TEL:075-822-3437、Email:info@wawawa.ne.jp)まで。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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残部僅少『反差別と暴力の正体――暴力カルト化したカウンター-しばき隊の実態』(紙の爆弾12月号増刊)

逃げるは恥だし写真も撮れない! 怒号、肘鉄が飛び交うガッキー目線争奪戦

 
 
 
 

「逃げるは恥だが役に立つ」(TBS)の平均視聴率20.8%をたたきだし、『数字をもっている』女優となった新垣結衣。彼女が9年連続でCMキャラクターを務めるアサヒ飲料のブレンド茶「十六茶」のブランド戦略発表会が2月6日、14時からベルサーレ六本木で行われた。

スチールカメラが42、VTRは37、マスコミは100人超。「明らかに昨年よりはマスコミは増えています。これも『逃恥』効果ですよ」と9年連続で来ているスポーツ新聞記者。

「こっちこっち! 新垣さん! エプロン姿がお似合いですよ! 目線ください」と報道陣が冷静さを欠いて撮影タイムではほぼ全員がエキサイト。普段はルールを守り、他人の邪魔をしないことで知られる日本のプレスの常識はふっとび、後ろのカメラを気にせずにベテランカメラマンが持ち運び式の椅子から立ち上がりシャッターを切り、「見えねーよ」と怒号が飛ぶ。

さらに椅子から身を乗り出した老年カメラマンが前のめりで前の席に腕を伸ばして女性記者の目線を上から覆い被さるようにふさぎ、女性記者は後ろを向いて「なんですか?」と声を絞りだしてカメラマンをやぶにらみ。さらに、ラグビーのごとく人をかき分けてスペースを探すカメラマンたちは、ラグビーで言う“スクラム”状態。もう熱気がほとばしり、真冬の会場温度が上がった。

これほど報道をエキサイトされたその被写体は、時代が呼んだ人気女優だったゆえ。どこに行っても女優の新垣は「新・視聴率女王」として目が離せない存在になった。

「ガッキーは前年よりもふっくらした印象です。ですけど顔も小さいし、毎年、魅力が増す。今年はドラマの『逃げるは─』のエンディングで話題になった星野源が歌う曲に合わせての『恋ダンス』をさわりだけでもやるかと盛り上がったのですが、やはりお堅いブランドのイベントだけに無理だったですね」(同・スポーツ新聞記者)

それにしても集まったメディアの記者たちはテンションが高く、トークセッションでMCと話している最中はともかく、フォトセッションのときは新垣の目線がほしくてカメラマンはもう必死の形相だ。「こっちこっち! 新垣さーん!」とがなり声で手を上げてカメラマンが叫ぶ。その光景はさしずめ、「大声コンテスト」だ。新垣の目線が欲しくて、「新垣さーん! いつも見ていますよ!」とファンのごとく叫ぶ年輩のカメラマンもいた。

撮影スペースをとりあってひしめくカメラマンの陣営はフロアにベタ座りで、撮影スペースをこじあけるには、腕を伸ばして万歳して少しでも上から撮るか、横のスペースに逃げるしかない。だが平気で後ろにいる人を無視して万歳ポーズで両手をあげて上から撮影し「おい、邪魔だ」と後ろから怒鳴るカメラマンがいたり、横にずれ込んで「おい、体重かけてくるなよ」と押し返されるカメラマンもいた。

「これだけ撮影ルールをやや無視しつつも新垣の笑顔を撮りたいというのが、メディアの本音だろう。新垣には、一生で数回しか来ない『旬』なシーズンに突入した。9年前に起用したアサヒ飲料は宝くじを当てた思いじゃないかな」(同)

さて、ガッキーがキャラクターを務めるアサヒ飲料は16種類の素材を使用したカフェインゼロのブレンド茶「十六茶」を刷新して2月7日から発売すると発表した。健康素材の「ゆりね」や「エゴマの葉」を採用し、パッケージデザインも一新する。エゴマの葉、ゆりね、ハトムギなど十六種類の健康素材をまぜて自分だけのお茶を作って見せた新垣が「おいしくなあれ」とはにかみながらささやくシーンでは報道陣から「おおっ」とため息が出た。

「やはり時代の寵児が相手だと報道陣もやや被写体に飲み込まれるような感覚になるね。新垣にはスターの階段を駆け上るオーラを感じます」(前出・スポーツ紙記者)

しかし、それはそれ。シビアなマネジメントで知られる新垣の事務所はテレビ局に「この9年間で何が変わったか」語るシーンをテレビ向けにはカットにするように伝えていた。このとき、新垣はすこし、しどろもどろになって答えていた。

「これから新垣に直撃するのはたいへんになる。なにせスタッフが多いからな」(同)

「新・視聴率女王」が被写体になるとき、報道現場は戦争になる。プライベート空間もまたしかり。

 

(伊東北斗)

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神風が吹く今年のNKB!──高橋三兄弟の飛躍に期待

田村聖vs西村清吾。ヒザで切られた西村(右)の流血後も互いの最後のラッシュをかける
田村聖(右)vs西村清吾。梅野源治も西村の応援に現れアドバイスを送る
西村から逆転のダウンを奪った田村
田村聖(右)vs 西村清吾。西村の応援団が100人を超える大声援の中、王座は田村が制す

主要3試合がすべて熱い展開を見せました。今活発な活動を始めた「KNOCK OUT」イベントの影響を受けている活気と、フリージムとの交流戦が増えたことから、NKBには少ないムエタイテクニシャンタイプの選手との対戦は新たな成長を促す影響を受けています。

高橋三兄弟の飛躍が期待されるNKBは、日本人主要クラス対決を避けず進む展開には好感が持てる団体として、今後も試練に立ち向かいながらNKBを背負って行かねばなりませんが、その過程を見守るファンは多いでしょう。

◎神風シリーズ vol.1 / 2月5日(日)後楽園ホール17:30~21:30
主催:日本キックボクシング連盟 / 認定:NKB実行委員会

◆第6代NKBミドル級王座決定戦 5回戦

1位. 田村聖(拳心館/71.9kg)vs 2位.西村清吾(TEAM-KOK/72.4kg)
勝者:田村聖 / 判定2-0
主審:前田仁 / 川上49-47. 馳49-47. 亀川47-47

高橋兄弟に負けない盛り上がりを見せた、昨年10月の凡戦を払拭する西村の先手を打つパンチと蹴りと田村の踏ん張り。「一発で倒す練習をしてきました」という田村はラストラウンド終盤にロープ際での連打から組んでのヒザ蹴りを西村の顔面に当て形勢逆転のダウンを奪う。立ち上がったところを更にヒザで攻め2度目のダウンを奪ったところで試合終了。

4ラウンドまで西村優勢で進んだ採点としては難しい接戦の終了だったが、2者が田村を支持して新チャンピオン誕生。西村は初黒星。

◆56.0kg契約5回戦

NKBバンタム級チャンピオン.高橋亮(真門/55.6kg)
vs
知花デビッド(元・WBCムエタイ日本バンタム級C/エイワ/55.8kg)
勝者:知花デビッド / 判定0-3
主審:鈴木義和 / 亀川47-49. 馳48-49. 前田48-49

高橋亮vs知花デビッド。ムエタイ技の距離は知花のヒジがヒット、瞬間技
高橋亮vs知花デビッド。打ち合えば高橋亮もチャンスあり
アウェイのリングで勝利を収めた知花デビッドとエイワスポーツジム陣営

三兄弟で一番先に王座に就いている次男・亮は交流戦でも一歩先行く存在で勝敗は3勝3敗ながら、昨年10月にWPMF日本スーパーフライ級チャンピオン.佐々木雄汰(尚武会)に判定勝利する存在感を見せました。

キックボクサーとしての高橋亮はパンチとローキック主体に鋭く攻めるが、ムエタイトレーニング豊富な知花は接近戦でのあらゆる攻撃パターンを持っており、ヒジを含むその当て勘が高橋亮を上回りました。

エイワスポーツジム所属選手相手に2敗(渡辺優太戦、竹内将生戦)していた高橋亮はリベンジすべき同ジム相手が3人となりましたが、負けて課題は残るも今後に期待が掛かる存在です。

◆ライト級5回戦

NKBフェザー級1位.高橋一眞(真門/61.23kg) vs NKBライト級7位.洋介(渡辺/61.23kg)
勝者:高橋一眞 / TKO 5R 2:51 / カウント中のレフェリーストップ
主審:川上伸

昨年の王座決定戦から交流戦にかけての主要試合で、3連敗の壁に当たった感の高橋三兄弟・長男、高橋一眞が「チャンピオンに成れないなら辞めようかと思った」というが、ライト級に上げて再起を決意。ハイキックが速く鋭く洋介を攻める。

元々強い蹴りの攻撃力を持っているが、久々に強い蹴りが活かされた展開となる。5ラウンドをフルに活用し戦い方を磨きながらの再起戦は、最後にKOを意識した中で右ハイキックで仕留める劇的KO勝利を収めました。

KOを狙った高橋一眞のハイキックが洋介にヒット
高橋一眞vs洋介。倒せた、勝った、その瞬間
長いスランプから脱出した高橋一眞。喜びが表情に表れる

◆バンタム級3回戦

NKBバンタム級3位.前島マルコス(テツ/53.52kg)
vs
海老原竜二(神武館/52.35kg)
勝者:海老原竜二 / 判定0-3
主審:馳大輔 / 前田25-30. 川上25-30. 鈴木25-30

他、7試合は割愛。

◆取材戦記

NKBとは何ぞや!? という解説から入ってはクドイ話になるので簡潔に言いますと、日本キックボクシング連盟とK-U(キックユニオン)が共同で認定するタイトルで、2000年頃、ニュージャパンキックボクシング連盟(NJKF)とアジア太平洋キック連盟(APKF)を含む4団体で合体。トーナメントを経て2002年からタイトル化しました。

その後、NJKFとAPKFが離脱しています。その為、弱体化が進みましたが、2014年からの小野瀬邦英体制と高橋三兄弟の出現で活気が出てきたことで再浮上、今後の進化が期待できるところです。

更に古い時代(昭和40年代)の全日本キックからの腐れ縁も含む歴史的話題多き団体でもあるので、この成り行きを、弱体化しようが観客が少なかろうが消滅しようが発展しようが成り行きを見続ける必要性はあるのではと思う観戦記に繋がっています。当然、ここから這い上がる高橋三兄弟がNKBに神風吹かせる団体飛躍に導いて欲しいと思うところであります。

控室で高橋亮にインタビューしていたのが竹村哲氏。話の進め方の上手いこと。明るく話しかけ、痛みが分かる選手経験者でもある為、的確な突っ込みもあり、インタビューされる選手も話し易いことでしょう。ちょっと盗み聴きながら参考になる素人の私でした。

2月12日の「KNOCK OUT vol.1」に、NKBから高橋一眞に次ぐ二人目の出場となる村田裕俊(八王子FSG)は、昨年9月のKNOCK OUT記者会見初戦で高橋一眞を1ラウンドKOした森井洋介(ゴールデングローブ)と対戦します。村田裕俊は昨年4月にその高橋一眞に雪辱してNKBフェザー級王座に就いた選手で、高橋一眞を下した者同士の対戦が話題作りの因縁めいたカードのひとつとなっています。

[撮影・文]堀田春樹

▼堀田春樹(ほった・はるき)
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

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SMAPの中で最もキャラがあてにくく配役しずらい俳優は誰か?

「果たして誰が芸能界で生き残るのか」と元SMAPの草なぎ剛や木村拓哉が出演している視聴率を“元SMAP対決、どちらが勝つか”としゃかりきにあおるなどメディアはメンバーたちの「職能分析」に忙しい。

元SMAPのメンバーたちの“演技力”はいかほどか、とさんざん演出家やファンたちが語り尽くしてきたが、ベテランの脚本家が「ソロ俳優として脚本を書きたくなる俳優」として元SMAPメンバーを語った。連続ドラマや時代劇ドラマなど多数の脚本歴を誇る、25年目のベテランA氏に、匿名を条件に「本音」を聞いてみた。

 
SMAPアーカイブス イベント編(ジャニーズ研究会)

「脚本を書きやすい」「演技させてみたい」1位は、ダントツで稲垣吾郎だという。稲垣は08年に小雪と共演して弁護士を演じた『佐々木夫妻の仁義なき戦い』(TBS)を最後に「バイプレイヤー」に徹している感がある。

「若いときの演技のほうが印象に残っています。92年のドラマ『約束の橋』(フジ)では牧瀬理穂相手に『オレ、君のためなら死ねる』と叫ぶなど純粋でストレートな表現と、過去は不良だったというブラックな内面を併存させて演技した。こういうナイーブな演技ができる素材は稀少だと思う。いまひとつ、ぴたっとした役が回ってこなかったと思うが、映画『十三人の刺客』(2010年)で残虐きわまりない殿様を演じて演技に開眼した感じ。演出の人たちは、もっとうまい稲垣の使い方があると思う。稲垣の場合は、『佐々木夫妻の仁義なき戦い』のケースみたいに、役が合わないと、実に幼稚な演技に見える。04年から09年にわたって5回放送されたフジテレビのスペシャルドラマ『稲垣吾郎の金田一耕助シリーズ』の金田一耕助だって、本当は残虐な一面とユーモラスな一面を出さないといけないのに、稲垣は苦しんでいた。これは配役ミス。ぴたっと役にはまれば画面から知性がほとばしる。僕が書くなら、たとえばやはり警察の上をいく誘拐犯かな」

2位は草なぎ剛だが、「稲垣とは個性派という意味ではそんなに差はない」とのこと。

「喜怒哀楽の激しさがうまく表現できるようになったのは映画『バラッド』あたりからだろう。新垣由衣と恋仲になる無骨な武士を演じたが、草なぎの真骨頂は『怒り』のシーン。実は『バラッド』あたりから演出家たちが褒め始めた。今回の連続ドラマ『嘘の戦争』(フジテレビ)も見ているが、とくに『怒り』の表現が迫力満点。自分の親を殺した会社社長に復讐する物語なのだが、1話の実行犯の『オレが味わった地獄をおまえら全員に見せてやる。おまえらの地獄はここからだ』と甲本 雅裕相手にすごむシーンは鳥肌がたった。個人的には、過去がある暗い役、とくにヤクザやヒットマンなどを主人公に書いてみたいが、コンプライアンスに厳しい地上波じゃ難しいから、ネットTVのドラマになるかな」

 
中居正広 MERAMERA★メラメラ★PRINCE(ジャニーズ研究会)

「演技をメインの仕事にしていない中居正広を3位に推すのは演出家にはありえない」とA氏は言う。脚本的には「あて書き」(主役を決め打ちして脚本を書くこと)しやすさでは、中居がダントツだという。A氏は言う。

「中居君の明るいキャラクターをいかして刑事か、探偵ものを書いてみたい。95年に放映された『味いちもんめ』(テレビ朝日)みたいにパワーがほとばしる演技が彼の魅力。たぶん生来もっている地の部分を活かしたほうがいい脚本がかけそうだ。12年の『ATARU』(TBS)みたいな病気もちの千里眼を演じるのもいいが、僕的には視聴者の間で賛否両論がまきおこるようなほどのおバカなキャラか、もしくは底抜けに明るくて頭がきれるが、どこか抜けているキャラを書いてみたい。いずれにしてもかなり台詞はスピーディーに展開しそうだ」

4位は「香取慎吾にしておこう」とA氏は言う。ただ香取は主演するドラマはとにかく評判もよくないが視聴率がとれない。昨年1月に『家族ノカタチ』(TBS)が視聴率的にダダ滑ってから連続ドラマのオファーはないとされる。

「脚本家とて、視聴率をもつ俳優や女優と熱烈に組みたいもの。だから脚本家テレビの制作や制作会社に企画書を出す段階で、視聴率がとれない香取の名前が企画書にのらない。だが視聴率をさしおいて、演技者とみれば香取慎吾は確かにキャラクターを設定しにくい。キャラ造形するなら12年の『MONSTERS』(テレビ朝日)で演じた、頭がいいが嫌われ者の刑事に代表されるように、とにかく変な色をつけるしかない。演出家たちは『基本的には下手だ』『演技力がないから映画『西遊記』の孫悟空とか『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の両津勘吉などすでにできあがったキャラクターを与えるしかない』などという。だが僕ら脚本家の間では『ガリレオ』(フジテレビ)で見せたように犯人役だとうまいし、NHK大河の『新選組!』の一本気なノリも悪くない。いい演出家に恵まれればまだいけると思う。個人的には主人公に嫌がらせをするポジションで使いたい」

 
[増補新版]ジャニーズ50年史(ジャニーズ研究会)

5位はなんと『SMAP×SMAP』(フジテレビ)で毒舌で売っていた時代の有吉弘行に「月9バカ」「ドラマバカ」とまで言われた木村拓哉。木村の時代が終わったのは、今クールのドラマ「A LIFE~愛しき人~」(TBS)の初回が14.2%に終わったことからも想像できる。

「僕らも15%は軽く超えるとみていた。竹内結子、松山ケンイチ、浅野忠信を脇に置いて、これだけの視聴率なら、俳優や女優だけでなく、脚本家も怖くて組むのは難しい。93年に脇役でドラマデビューし振られ続ける役を演じた『あすなろ白書』(フジ)の演技は案外いいが、ああした気弱な男を配役したほうがよかったような気も。ただ、彼がちょっと人間味に欠ける役、たとえば半グレとして光る演技を見せた97年『ギフト』(フジテレビ)の自転車宅配便の役、2010年の『月の恋人~Moon Lovers~』(フジテレビ)の人に対して感情を出さない家具メーカーの社長役などは輝きを見せる。だが、木村が悪や、感情に欠ける役を演じたドラマはことごとく視聴率が出ない。だから、結果として木村に対しては『脚本は書きにくい』という話になる」

木村に関してはさんざんだ。
「それでも視聴率を木村でとりにいくなら、エリート社員で、無理めな恋愛、たとえば人妻に恋するなんていうベタな展開をするしかないかな。となると、現在放映している『A LIFE』みたいになるんだが、これで数字がとれないともう木村主演は、ないね」 今クールのドラマの視聴率結果にかかわらず、数年後に誰が演技のオファーがまだまだ現役として残っているか、脚本家レベルではひとつの結論が出たようだ。

(伊東北斗)

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日韓合意と大使召還の愚──「愛憎」の猿芝居を演じ続ける日韓の受益者たち

在日本大韓民国民団(民団)は1月12日、都内のホテルで新年会を開き、呉公太(オ・ゴンテ)団長が韓国・釜山の総領事館前に設置された慰安婦像について「撤去すべきだというのが、私たち在日同胞の共通した切実な思いだ」と述べた。その上で、一昨年12月の慰安婦問題に関する日韓合意の堅持を訴えた。

産経新聞2017年1月12日付

呉氏は日韓合意を「両国政府が苦渋の末に選択した結果で、関係発展のための英断だ」と評価し、会場の拍手を浴びた。その上で「誠実な態度で履行されなければ問題は永遠に解決されない」と強調。「合意が履行されずに再び両国関係が冷え込み、私たち同胞はまたも息を殺して生きなければならないのか」と切々と述べ、「(韓国)国民の冷静かつ賢明な判断と、日本政府の冷静な対処」を求めた。

※参照元=産経新聞2017年1月12日付 

一昨年安倍と朴の間で交わされた「日韓合意」を民団は評価しているようだ。私には異議がある。全く賛同しない。「日韓合意」とはなんだろうか。外務省によると日本側(岸田外務大臣)は以下を明言している。

(1)慰安婦問題は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、かかる観点から、日本政府は責任を痛感している。安倍内閣総理大臣は、日本国の内閣総理大臣として改めて、慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われた全ての方々に対し、心からおわびと反省の気持ちを表明する。

(2)日本政府は、これまでも本問題に真摯に取り組んできたところ、その経験に立って、今般、日本政府の予算により、全ての元慰安婦の方々の心の傷を癒やす措置を講じる。具体的には、韓国政府が、元慰安婦の方々の支援を目的とした財団を設立し、これに日本政府の予算で資金を一括で拠出し、日韓両政府が協力し、全ての元慰安婦の方々の名誉と尊厳の回復、心の傷の癒やしのための事業を行うこととする。

(3)日本政府は上記を表明するとともに、上記(2)の措置を着実に実施するとの前提で、今回の発表により、この問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する。あわせて、日本政府は、韓国政府と共に、今後、国連等国際社会において、本問題について互いに非難・批判することは控える。

対して韓国側(尹外交長官)は、韓日間の日本軍慰安婦被害者問題については、これまで、両国局長協議等において、集中的に協議を行ってきた。その結果に基づき、韓国政府として、以下を申し述べる。

(1)韓国政府は、日本政府の表明と今回の発表に至るまでの取組を評価し、日本政府が上記1.(2)で表明した措置が着実に実施されるとの前提で、今回の発表により、日本政府と共に、この問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する。韓国政府は、日本政府の実施する措置に協力する。

(2)韓国政府は、日本政府が在韓国日本大使館前の少女像に対し、公館の安寧・威厳の維持の観点から懸念していることを認知し、韓国政府としても、可能な対応方向について関連団体との協議を行う等を通じて、適切に解決されるよう努力する。

(3)韓国政府は、今般日本政府の表明した措置が着実に実施されるとの前提で、日本政府と共に、今後、国連等国際社会において、本問題について互いに非難・批判することは控える。

※引用元=外務省 http://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/na/kr/page4_001664.html

長い引用になったが、この「合意」は注意深く読まれる必要があるのでご容赦頂きたい。本合意は2015年12月28日になされたものである。韓国側の外交長官尹(ユン)氏は朴槿恵政権下の日本に置き換えれば外務大臣である。朴槿恵は文字通り韓国国民の力によって大統領の座から引きずり降ろされ、間もなく刑事訴追が待っている人物だ。振り返れば大統領選挙に勝利したが得票率では51.5%で野党候補である文在寅の48.02%と大差があったとは言い難い。

朴正煕の七光りと韓国社会の閉塞感が「なんとなく」初の女性大統領を生み出したという側面と、野党が候補者選定に手間取りすぎたことも朴には有利に働いた。しかし、この選挙結果を受けて、韓国では絶望のあまり少なくない自死者が出たことは日本であまり知られていない。

安倍晋三と朴槿恵の絶望的同時就任。朝鮮半島を日本が侵略していた時代にさかのぼれば、ともにそこで甘い汁を吸った人間の世襲である安倍と朴に、本質的な対立が生まれる理由はない。2014年4月セウォル号事件で、全くの無能ぶりを暴かれた朴には転落の道しか残っておらず、そこですがりついたのが、韓国政権の常套手段「反日」感情の喚起と利用だ。この時期から実際には中国と日本にすがりつき米国からの側面射撃なしに政権維持は困難を極めたのだが、朴は対日政策に矛盾だらけの外交を展開する。「反日感情」利用の一方で、日本との「融和」を演出することによって外交での得点稼ぎを試みた。その思惑の中で生まれたのが大きな捻じれ、将来への禍根を包含した「日韓合意」である。

文言は一見妥当のようにも見える。中でも「安倍内閣総理大臣は、日本国の内閣総理大臣として改めて、慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われた全ての方々に対し、心からおわびと反省の気持ちを表明する」が明文化されているのは、日頃の安倍の発言からすれば、「え、そんな約束していたの?」と感じるほどだ。

しかし、鍵は(3)である。「日本政府は上記を表明するとともに、上記(2)の措置を着実に実施するとの前提で、今回の発表により、この問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する」だ。国家間の約束だから、どんなに危うい条約や合意でも声明を出したからには文言にせずとも、「課題にされた問題は解決した」と理解するのが国際的には常識であるが、ここではわざわざ「最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する」との念押し文言がわざわざ付け加えられていることに着目すべきだ。

その背景には、多くの韓国国民が安倍の本音や日本で沸き起こる差別的世論を認識しており、また朴槿恵のステンドプレーに対する嫌悪を抱いたこと、そして何よりも被害者である元慰安婦方からの意見を韓国政府が無視して「日韓合意」が結ばれた事情を再度指摘する必要があろう。私は韓国という国家に特段の思い入れはない(どの国家にもそうであるが)が、韓国人の友人が少なからずいる。親友と呼んでも過言ではなくなんでも話すことができる友人がいる。

そんな彼らに聞くと、やはり「日韓合意は欺瞞だ。だから破棄されるべきだ」との声が少なくない。私も同意見だ。「日韓合意」によれば韓国政府は日本大使館前の少女像を適切に扱う(意味としては撤去させる)と約束している。これが当時から韓国社会の反感を買ったのだ。「最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する」と対になった「少女像撤去」の宣誓。私は必ず「日韓合意」が災禍を招くであろうと直感した。

そして、釜山の日本領事館前に新たな少女像が民間の団体によって造られたことに腹を立てた日本政府は、1月6日長峰安政駐韓大使と森本康敬釜山総領事の「一時帰国」にまで踏み切った。「一時帰国」というが、実際には「大使召還」であり、これは国際関係において、相当程度の緊張が双方の国に生じていることを象徴する行為だ。そして本稿執筆時(2月6日)にいたるも大使・総領事は韓国へ帰るタイミングを見つけられず、まだ日本に留まっている。

基本を踏まえていない「日韓合意」と、ヒステリアが「大使召還」などという恥ずかしい行為に及んでいる。韓国は実質大統領不在、内政は混乱を極めている。大統領選挙にはこれといった決め手となる候補者も不在だ。そんな内政の国を相手に、少しは冷静にならないか、日本政府と外務省。韓国内に日本同様民族右翼がいることを私は知っている。彼らは日本の右翼同様に非論理的で感情的である。話にならない。そして不幸なことに間もなく倒れる現政権に親和性が高い。

殴り合いになりそうな議論をしても、歴史認識につて激論を交わしても翌日にはまた普段通り仲良く語り合える友人関係を築きたいとは思わないか。もとより表面では対立したり、仲良さそうにしたりしても根源の利益で両国の支配層は戦後一貫して繋がって来た。つまり受益者は「喧嘩ごっこ」や「仲良しごっこ」の猿芝居を、延々演じているのだ。両国政府のどす黒い政治的目論見に何故市民が踊らされる必要があるのか。それほど信用に値する政権なのか。日本も韓国も。

カードゲーム(トランプ)に世界中の目が集まっていて、当該国もどうやら肝心な問題をお忘れのようだ。ボーっとしていると、韓国大使は帰るタイミングを逸してしまうのではないか。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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「アジア最高のLCC」に選ばれたスクート航空の最低すぎる旅路

LCC(格安航空会社)の遅延の多さやサービスの悪さが世界的に問題となっている。11月末に成田空港から「スクート航空」(シンガポール)でタイのドンムアン航空にとんだ50代会社員A氏は怒り心頭だ。

「2時間前の午前8時に空港に着いたのに、到着するや否や10時00分発の便は『2時間遅れ』と表示が出ていました。ドンムアンへの到着予定時刻は14時55分で、計算するとどう見積もってもドンムアン空港から17時15分発のウドンタニ空港行きへの便がまにあわなくて、一緒にいった友達ともどもドンムアンからウドンタニ行きのチケットを2枚捨てて、もっと遅い便を買いなおすはめになりました」

遅れの原因は、「使う航空機が来ていない」とのことだが、当日、「つぎの便にまにあわないが補償してくれるのか」との問いに成田空港のスタッフは「遅延証明書なら出します」と問いとはまったくかみ合わない答え。

ただでさえ遅れていてイライラしているのに、飛行機内では座席上部のバケットが閉まらずに荷物が落ちそうになったり、そもそも「遅れたことに対して謝罪すらもない」とA氏の怒りは収まらない。

A氏の悲劇はさらに続く。帰りもスクート航空を使ったのだがドンムアンから成田空港への便でも55分遅延を食らった。

「私たちはさておき、配席がめちゃくちゃで、同じ席を2枚発行して振り分け直していたり、トイレの後ろの存在しない座席番号を渡された客が立ち往生して泣きそうになっていました。女子大生っぽいグループが『せっかくいい旅をタイでしてきたのに、帰りの便が友達とバラバラにされて幻滅です』と泣きそうになっていたのです」

後日、この2つの便については「一度くらいまともにつけや」「亀よりも遅いスクート航空へようこそ」などと炎上していたが、海外に出かけることが多い人たちに取材を続けるとスクート航空については悪評ばかりが飛び込んできた。

「機内食を運ぶキャリーにたたき起こされたが謝罪の言葉がまったくない」

「シートベルトを着用するように言われたが、なかなかしなかった客に対して断りもなく僕の眼の前にCAの腕が伸びてきて、強引に隣の客のシートベルトを締めた。スリかとおもった」

「積み込んだ荷物をなくされたが、『ラック(運)にもよります』とスタッフが言い放った」

などなど。とにかく「スクート航空を使って5月にシンガポールからシドニーへのチケットで乗りましたが、30分ほど遅れたのですが、到着したシドニー空港からラゲージが出てくるまで1時間30分待ちました。なぜ遅れているのかと聞くと『混んでいるから』という禅問答のような答えがスタッフから返ってきまいた。私も人間というよりも、荷物扱いをされているような感覚になりました」(40代デザイナー)

サービスが悪くとも、きちんと時間につけば文句は出ないはずだが、スクート航空は遅延の多さでネット上では炎上しているほどだ。日本支社に電話したが「日本語がわからないんでシンガポール本社に電話してください」とのこと。スクート航空のシンガポール本社に問い合わせて「遅延については改善しようとしているのか」と日本語専門ダイヤルに電話取材してみた。

「プレスですけど、会社としては遅延について改善、努力をするつもりはあるか」と聞いてみたが担当はなんと「このこたえは上司がもっていますが、英語のみになります」と日本語専門ダイヤルとしては予測しなかった答えがかえっきた。逐一、こちらが質問すると「上司に聞いてきます」という担当の女性は、「飛行機である以上、遅延はどうしようもないと上司が言っています」「3時間を超えれば遅延の補償の対象となりますが、それ以内は補償できかねます」と言い張るのみ。

それでは「遅延の補償はするつもりもないし、『I’m sorry』でもないのですね。それは会社としての見解ですね」と聞くと「いえ、もうしわけございません。なるべく時間を守るようにいたします」ととってつけたような答えが返ってきた。2013年には「Terrapinn Holdings」が発表した、アジアの「ベスト ローコスト キャリア」に選出されたこの航空会社。まさに看板に偽りあり、だ。

2020年の「東京五輪・パラリンピック開催」に向けてシンガポールから東京への便を増やすべく、ロビイ活動に精を出して自民党議員などに接触しているようだが、まずは時間通りに客を運ぶ努力から始めたほうがよさそうだ。

(伊東北斗)

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《本間龍17》Paix2(ぺぺ)はなぜ「刑務所の女神」と称されるほど人気なのか?

東京スポーツ2017年1月26日付

女性ボーカルデュオのPaix2(ぺぺ)が2001年からほぼ無給のボランティアで続けてきたプリズンコンサートが、昨年12月10日の千葉刑務所で400回を達成したという。これは世界的にみても例がなく、すでに幾つものメディアがこの偉業を伝えているが、なんとあの東スポまでもが(東スポ様、失礼!)が1月26日付けの紙面で記事にした。そこで私は、彼女たちの歌を塀の中で聞いた元受刑者としての思いを書いてみたい。

◆慰問公演は娯楽のない受刑者にとって貴重な機会

刑務所では懲役作業がない週末に、様々な人々が慰問に訪れる。歌手はもちろん、劇団やアマチュア楽団、落語、伝統芸能団体など多岐にわたり、月によっては毎週末に予定が組まれていることもある。娯楽がない受刑者にとって、同囚と刑務官以外の人々と接する貴重な機会だ。

Megumiさん
Manamiさん

翌月の慰問予定はその前の月にはプリントに印刷され、ムショ内の食堂等に掲示される。私がいた黒羽刑務所は2008年当時、過剰収容で2300名もの受刑者がいたから、こうした慰問への参加は自主的な申し込み制だった。受刑者はそれぞれ参加したい演目に申し込むが、定員オーバーの場合は、受刑年数が長い者が優先される。シャバから隔離されている年月が長いものへのささやかな配慮というわけだ。

だが逆に、残念ながら不人気の演目もある。毎年来てくれるのは有難いが、あまりにも前衛的すぎて何をやっているのか分からない劇団や、超高齢で全く声が聞こえない演歌歌手などは敬遠されて席が埋まらない。わざわざ慰問に来てくださっているのに無礼千万ではあるが、受刑者側にも好みがあるから仕方がない。でも空席があっては慰問に来てくださる方に失礼だということで、そういう場合は逆に入所年月が浅い者から強制参加させられ、会場を満員にするのだ。

◆古参受刑者ほど一日千秋の思いで待ちわびるぺぺのコンサート

そんな中で、ぺぺのコンサートは間違いなくダントツ1位の人気演目で、毎回申し込みが多すぎて抽選となり、それでも収容しきれずムショによっては午前・午後2回公演という所もあるという。私は入所時、迂闊にもぺぺを知らなかったのだが、同僚が「本間さん、今年もぺぺが来てくれます。これは絶対にオススメですよ!」と興奮気味に語ってくれたのを今でも思い出す。

彼女たちがほぼ1年に一回慰問に来てくれるのを受刑者たちは皆知っており、古参受刑者ほど一日千秋の思いで待ちわびるのだ。さらに、「ぺぺのコンサートの前は懲罰が減る」という伝説がある。これは懲罰を受けると慰問にも参加できなくなるから受刑者同士の喧嘩や諍いが減るというもので、確かに黒羽でもその通りだった。

『逢えたらいいな』の一文を朗読するManamiさん
Megumiさん

◆受刑者たちの心を捉えるMC(語り)の絶妙さ

ではなぜ、彼女たちは「刑務所の女神」と称されるほど人気があるのだろうか。その秘密は、美しいハーモニーもさることながら、受刑者たちの心を捉えるMC(語り)の絶妙さにある。年輪を重ねたことで、受刑者たちに向けたトークが彼らの心をわしづかみにするのだ。

例えば、舞台登場後すぐに、「こんにちは、ぺぺです。今年もここ○○刑務所にお邪魔することが出来ました。さて、私たちのコンサートが初めての人は挙手をお願いします。2回目の人は? 3回目の人は?・・・え、5回目の人もいる? ダメですよ、早く出所しないと!」などと言って笑わせる。

そうかと思えば、受刑者からの手紙を読んだり、出所してからぺぺに送られた感謝の手紙を読んだりして、涙を誘う場面もある。その緩急が絶妙なのだ。私も黒羽刑務所で彼女たちのコンサートを体験したが、一緒に声を出して歌い、手を振り上げ、体を揺らして楽しむなど、他の慰問の演目では考えられないほどの自由さに驚いた。そして、「早く家族や待っている人の元に帰ってくださいね」という優しい語りかけに、そこかしこですすり泣きが聞こえ、涙をぬぐう受刑者がいた。

◆慰問を続けてきた彼女たちに対する官側の信頼と敬意

慰問に訪れる人たちは多いが、ここまで受刑者の心に寄り添い、語りかけを続けてきた存在は稀だ。念のために言っておくが、このコンサート中の「挙手」などもぺぺだけに許されている特別な行為だ。通常、受刑者はコンサート中に手を振りかざしたり、体をゆすったり、声援を送ることは禁止されている。つまりはひたすら手を膝の上に乗せた姿勢で「拝聴」しなければならないのだが、ぺぺは話の仕方も上手く、経験も積んでいるのでムショ側も安心して受刑者たちとの「交流」を許しているという訳だ。これは10年以上に渡って慰問を続けてきた彼女たちに対する、官側の信頼と敬意の表明でもある。

「元気出せよ」を歌い始めると、刑務所内では通常、許されないアクションが起る

罪を犯した受刑者といえども家族がいて、待つ人がいる。だが長く辛いムショ生活で自暴自棄になり、その存在を忘れそうになる者も多い。そうした中で毎年、手弁当でムショに来てくれるぺぺは、自分たちの悩みや苦しみを本当に分かってくれている、と多くの受刑者が感じ、感謝している。ぺぺのお二人は意識していないかも知れないが、実は受刑者たちに人の心の温かさを思い出させ、もう一度社会に戻る勇気を与えるという、非常に重要で難しい役割を担っているのだ。プリズンコンサート400回に心からの感謝と、今後もさらに受刑者たちの心の拠りどころとして、活動を続けていって頂ければとせつに願う。

Manamiさん(左)とMegumiさん(右)


◎[参考動画]Paix2 逢えたらいいな 第二回 東京拘置所矯正展

Paix2(ぺぺ)公式チャンネル

▼本間龍(ほんま りゅう)
1962年生まれ。著述家。博報堂で約18年間営業を担当し2006年に退職。著書に『原発プロパガンダ』(岩波新書2016年)『原発広告』(亜紀書房2013年)『電通と原発報道』(亜紀書房2012年)など。2015年2月より鹿砦社の脱原発雑誌『NO NUKES voice』にて「原発プロパガンダとは何か?」を連載中。

Paix2『逢えたらいいな―プリズン・コンサート300回達成への道のり』(特別記念限定版)
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『NO NUKES voice』第10号本間龍さん連載「原発プロパガンダとは何か?」新潟知事選挙と新潟日報の検証!

SMAPが慰労会を行った六本木の店「炭火焼肉An」潜入報告

「炭火焼肉An」は、六本木のミッドタウン・イーストの南側にある。大江戸線7番を降りて駅を背にして「東京ミッドタウン前」の信号で[PARS]を左に曲がると坂路を下り、徒歩3分のアクセスだ。

筆者はSMAPのメンバーが大晦日に慰労会を行った焼き肉屋に女性記者と潜入してみた。入り口を入ると、一流ホテルの受付のようにカウンターがあり、女性店員が席へと案内してくれる。1階は平日はすべて禁煙で、2階を喫煙可としている(土日は、1階の一部を喫煙としている)。

昨年、SMAPのメンバーの中居正広、草なぎ剛、香取慎吾、稲垣吾郎と森且之が「慰労会」を大晦日に行った個室は2階にあったが、店としては「よく聞かれますが、場所は教えていません」とのことだ。

案内された1階は、4人席がずらりと10並び、土曜のランチどきにすべて席が埋まっていた。2Fにはテーブル席と掘りごたつ式とテーブル席を含み、大小個室を揃える。1Fは大胆に外を眺めることができるレイアウトながらも和風の室内は、薄暗い雰囲気で、大人の隠れ家的な雰囲気をかもしだしている。

客はおおむね40歳以降の富裕層で、夫婦、女性どうし、男性どうしと組み合わせはばらばらだが、「くつろぎやすい」雰囲気。入ってすぐ左側に、肉の部位をしめす牛のイラストが描かれた黒板が飾られてあり、肉の値段が「赤身トウガラシ1880円」「ランプ1980円」「ユーク1980円」などとわかりやすくメニューを説明してあり、子供が喜びそうだ。

煙をほとんど吸い込まないですむ強いファンがまわり、リラックスした雰囲気で、食事を楽しめる。テーブルはシックに黒、壁はクリーム色で、バーカウンターが4席。水のコップが大きく、600ミリリットルははいりそうだ。

常連と思われる隣の50代夫婦が「SMAPが来てから、ここは混むようになったわね」「SMAPのプロモーションビデオクリップ集見てて泣けてきたわ。5人そろってこそやっぱりSMAPよね」と話しているのが耳に入ってきた。

窓側のカップルは、40代に見えたが、小さめのトングで焼肉をつつきながら、「やっぱ『オリジナルスマイル』が私のベストシングルだわ」とSMAPの思いで話に興じていた。そこかしこで「スマバナ」、つまりファンの間で「SMAPの思い出話」が語られていた。

沖縄県産の黒毛和牛は、上カルビ2000円(90グラム)、上ロース2000円(90グラム)、上タン塩2500円などが人気のようだが、常連によると「通は6種類の焼肉がセットになった【もとぶ牛一頭盛り】(1人前4827円)を頼むんですよ」(常連客)と聞いた。これは、6種類の肉に「三角バラ」「ハラミ」「黒シ」「シャトー」「ヒレ」「リブ」などとタグがついており、いかにも焼肉通が好みそうな肉の部位を集めた逸品だ。

白シャツに黒エプロンをしている店員たちの接客は丁寧で、水が半分になるとすぐにつぎに来てくれる気遣い。(チーフらしき男性店員は、シャツが黒で全体をしきる)。ドリンクはソフトドリンクはコーラ、カルピスなど450円、ジムビームハイボールが480円、レモンサワー480円にワインや「シャルドネ」や「シラーズ」など480円。ビールはプレミアムモルツが480円、焼酎は眞露ドライや480円など。 

筆者はコースランチで「黒毛和牛もとぶ牛 カルビ&ロース定食」(1700円)と、連れの女性記者は「宮崎県産 鶏もも&沖縄県産豚カルビ定食」(1500円)を注文した。カルビは口あたりがよく、とろけそうなほどやわらかい。ロースは、キレがよく、締まった繊維が食欲をさらにそそるようだ。

ちなみに、もとぶ牛は「2013年度、農林水産大臣賞や全国畜産農業協同組合連合会主催の肉用牛枝肉用共進会で最優秀省」を受賞している。女性店員に聞くと「今年に入って客が増えていますね」と聞くと「おかげでさまで」と笑顔で答えてくれた。「SMAP効果ですかね」と重ねて質問すると、またその問いかというような表情を一瞬したが、すぐに「どうでしょうかね」とうまくかわした。

この焼肉店から、外苑東通りを皇居方向に歩くと300メートルくらい先、『ミッドタウン・ウエスト』の斜め向かいに1月4日に発売されたジャニーズの『舞祭組』の4枚目のシングル『道しるべ』の広告看板を発見した。中居正広は、SMAP最後の夜に、自らがプロデュースしたこのユニットの看板を横目で見ながら、家路についたのだろうか。

(伊東北斗)

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選手自身になにより“有終の美”を! それぞれの引退式物語

いちばん若い歳での引退式かもしれない22歳でリングを去る翔栄(2017.1.8)
エキシビジョンマッチながら迫力ある蹴り合いを見せた長江国政と藤原敏男(1983.6.17)

「引退テンカウントゴングで送ってやりたい」と願う所属ジム会長や後援会などの信頼関係で実現する最後の勇姿を披露する選手たちの引退式──。名チャンピオンなど功績や存在感を残した選手が現役を去ることを決意した時、そこで引退を宣言し、引退式に臨む選手の在り方を過去の例から振り返ると、いろいろな思惑の引退式に繋がりました。

◆外傷性くも膜下血腫のため22歳で惜しまれながら引退した翔栄

過去行なわれた引退式には予期せぬものもありました。特に最近では、今年1月8日、治政館ジム興行WINNERSに於いて引退式を行なった元・日本ライト級チャンピオン.翔栄(治政館)がそうでした。外傷性くも膜下血腫のため現役を続けられなくなり、そんな原因で引退する運命は実に残酷。22歳での惜しまれながら早過ぎる引退でした。

引退式は役員からの記念品贈呈と他のゲストは王座決定戦で戦った勝次(藤本)が駆けつけたのみで簡潔に終了しましたが、治政館ジムの長江国政会長の計らいがあって実現したささやかながら引退式でした。

テンカウントを聞いた後、戦い慣れた後楽園ホール場内を見つめる富山勝治(1983.11.12)
リングにそっとグローブを置いて戦いに別れを告げた飛鳥信也(1995.12.9)

◆名チャンピオンたちの盛大な引退式

過去には存在感大きかった名チャンピオンの引退式は、引退そのものがメインイベントとなり、藤原敏男引退記念興行や富山勝治引退試合興行は盛大に行なわれました。

1978年、外国人(日本人)初のタイ国ラジャダムナン王座を奪取した藤原敏男氏は1983年2月の1000万円争奪オープントーナメント62kg級準決勝で、足立秀夫(西川)を3ラウンドKOに下し、決勝進出を決めたその場のリング上で突然の引退宣言、これは驚きの波紋を呼ぶ中、同年6月の引退興行に繋がりました。

過去に名勝負を展開した元・全日本フェザー級チャンピオン.長江国政(ミツオカ)との異例の3ラウンドのエキシビジョンマッチは思いっきり攻めた展開で終え迎えた引退式で、数々の名チャンピオンやプロモーション関係者が贈呈品を持って花を添えに訪れた盛大な引退式でした。

同年11月の東洋ウェルター級チャンピオン.富山勝治引退試合は永遠のライバル、元・日本ライト級チャンピオン.ロッキー藤丸(西尾)との公式5回戦をKO勝利で締め括り迎えた引退式も過去の業界を支えた興行関係者が熱く語らい、富山自身も全国のファンへメッセージを残す式となりました。

◆業界低迷時代にも選手の引退式は個性的だった

この二人を前後する業界低迷時代にも過去の隆盛期を支えた池野興信(目黒)、木村保彦(目黒)、猪狩元秀(弘栄)、内藤武(士道館)など幾人もの引退式があり、寂しい時代の中でもそれぞれの個性が発揮されていました。

特に多いのが昔からあるエキシビジョンマッチを行なう引退式は、最後のファイト姿のお披露目として最も多いやり方でしょう。しかし2分制の1ラウンドのみという場合もあり、動けるギリギリの体調かもしれませんが、あくまでも試合をするコンディションで正式2ラウンドで臨む姿勢が欲しいところではありました。

昔からあったパターンかもしれませんが、スーツ姿で登場する引退式のみのパターンも増えました。これは翔栄の場合と似た形で、アンダーカードの合間で行なうセミファイナル的な手法。怪我や病気でリングを去る場合は仕方ないにしても、力ある選手はスーツ姿よりもう少しファイト姿のお披露目が欲しい選手もいました。

大月晴明との激闘は引退式を考えぬ捨て身のファイトとなった蘇我英樹(2016.4.10)
小泉武会長に見守られて挨拶する蘇我英樹(2016.4.10)

◆過酷だった蘇我英樹の引退式

さらに最も過酷なパターンが、昨年4月に市原臨海体育館でWKBA世界スーパーフェザー級チャンピオン.蘇我英樹(市原)が前年激戦の末敗れている大月晴明と公式3回戦をKO負けして迎えた引退式でした。

これは怪我すれば引退式は中止になる可能性があり、試合後、立ち上がった直後では呂律がうまく回らない状況でダメージが心配されましたが、次第に回復し、挨拶とテンカウントゴングまでしっかりした足取りで踏ん張りました。

挨拶で笑わせ、セレモニー全体の調子を狂わせた竹村哲。応援に駆けつけたベイビーレイズJAPANに囲まれて(2015.12.12)

◆ラストファイトに最強の相手を選んで引退式に臨む目黒ジムの選手たち

過去には飛鳥信也(目黒)の公式戦引退試合5回戦も最強の相手、ギルバート・バレンティーニ(オランダ)を迎え、2ラウンドKO負けの後、他の試合を挟んでの休憩後の引退式でしたが、これも控室に帰ってから「あっ試合だ、行かなきゃ」とKO負けしたことが記憶に無く周囲に止められた状況で、ようやく現実にハッと気が付く目覚めでしたが、引退式は無事に、熱く語るメッセージを残しテンカウントゴングに送られました。

この試合から目黒ジムの選手はラストファイトに最強の相手を選んで引退式に臨むことを目指し、後輩の新妻聡は2000年7月にタイの現役チャンピオン、ノッパデーソン・チューワタナと対戦し、ボロボロに蹴られ5回戦判定負け(引退式は2003年12月)。更に小野寺力も2005年10月、大田区体育館でタイの現役チャンピオン、アヌワット・ゲオサムリットに2ラウンドKO負け後の引退式に臨みました。

2015年12月にはNKBウェルター級チャンピオン.竹村哲(ケーアクティブ)が同級5位.マサ・オオヤ(八王子FSG)を4ラウンドにKO勝利後、ロックバンド仲間が応援に大勢集う中、40分に渡る長い引退式。

涙ある語り口がある中、会場係員のトランシーバーが鳴り響くアクシデント、それを突っ込む竹村哲や、労いの言葉を途中で忘れ「……とにかくお前はよく頑張ったなあ、長い間ご苦労さん!」と苦笑いで締め括った渡辺信久連盟代表の意外なスピーチに、こんな笑える引退式も珍しいと思える展開となりました。

テンカウントゴングを聴く大和大地(2014.9.21)

◆家業を継ぐため引退した大和大地

若くして引退した場合は、復帰の可能性も大きいため、安易に引退式は行なわないようですが、23歳で引退したNJKFスーパーフェザー級チャンピオン.大和大地(大和)は家業を継ぐための引退で、周囲も温かく見送りました。

逆にかなりの期間を置いて引退式を行なう場合もあり、3年以上ブランクを空けるのは“復帰は完全に出来ない”と自覚して臨むことに時間を掛ける必要があるのかもしれません。

また、復帰は思うほど簡単ではないことを自覚し、復帰の気持ちが絶対沸かないように“ワザとブクブクに太る”という手段を使う選手もいたようですが、これでは引退式でその姿を見せるのは嫌で行なわないパターンもあったかもしれません。

◆多くの選手たちは静かにリングを去っていった

その反面、仲間内以外には告げることなく静かにリングを去っていった大多数の選手がいました。「いつの間にか見なくなったなあ」とファンが思える選手はそんな存在かもしれません。大会場で自主興行を打てないジムが団体(連盟主催)の興行に要望してもチャンピオンになっていないなど実績の無い選手の引退式は却下された例もありました。

加藤竜二も事故で脳挫傷になり引退を決意し若くしてリングを去った(2015.9.27)

そんなジム側が苦肉の策の自主興行で、キックボクシング興行は滅多にない小さな会場などで引退式を行なうこともあり、想い出の聖地、後楽園ホールでの試合が最も想い出深い選手が多いところで、叶うならここでやってあげたい想いはジム会長側にもあったことでしょう。

◆選手自身にとっての“有終の美”を第一優先に

また自ら引退式を望まない名チャンピオンも多く存在しました。愛弟子にはやってあげても自らの引退式は行なわなかったジム会長も幾らか存在します。

今活躍する名選手もいずれリングを去る日がやってきます。実績を残した選手の中では、引退式より、最終試合が完全KO負けであっても強い相手や戦い果せなかった相手と戦い悔いなく燃え尽きる、選手自身にとっての“有終の美”を第一優先に飾らせてあげたいものです。

大和ジム盟友が揃ってのエキシビジョンマッチを終えた大和3人衆、大和大地、大和哲也、大和侑也(2014.9.21)

[撮影・文]堀田春樹

▼堀田春樹(ほった・はるき)
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

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