今まさに!「しばき隊」から集中攻撃を受けている作家、森奈津子さんインタビュー〈3〉

 
森奈津子さんのツイッターより

◆レインボーフラッグ上下問題と野間氏の印象操作

── ところで先ほど野間氏のツイッターを見たらレインボーフラッグの上下は問題がない、と印象操作をしているように見受けられるのですが。

森  そう思うのであれば、まともなひとたちと区別するために、これからもずっと紫を上にしてほしいですね。紫を上にするのは反同性愛のグループが用いる手段、もしくはトランプ大統領支持者であるオルタナ右翼LGBTの掲げ方だと、色々な人が指摘しているのに、自己正当化のために「紫が上で大丈夫だ」と繰り返す。日本のLGBTの運動家に恥をかかせるつもりなのか?たしかに、レインボーフラッグが成立した頃には、旗の上下はどちらもOKという感じだった時期もあると思います。

── まず旗が出来たのですよね。それにはっきり意味付けされたのは少し後ではないかと記憶します。

森  そうですね。今では赤が上ですし、自然の虹も赤が上ですよね。運動の現場ではそのような認識が形成されています。

── 80年代半ばにサンフランシスコを訪れたことがあります。一角にレインボーフラッグをアパートから多数掲げている地域がありました。その時点で全て旗は赤が上でした。

森  そうですか。そのように共通認識を持っているのに、あとから入り込んできて間違えて、それを隠すために「紫が上でも大丈夫」だと。レインボーフラッグが生まれた頃はそうだったとしても、シンボルの意味は変わってくるものだし、あとから紫を上に掲げるのが「反同性愛」「オルタナ右翼LGBT」と意味づけられたら、紫を上にしないのが普通ですよね。そのあたり、やはり異性愛者である野間さんにとって「他人事」なんだろうと思いました。

── 異性愛者というよりも彼は、人間愛者ではありませんから。

森  実際に彼に会ったひとによると、「普通のひとだよ」と…。

◆LGBとTの間の差

── そうですね。ところでLGBTについて伺います。わたしはTの方10人ほどとお話したことがありますが、大変に深刻でした。性転換手術を希望されたり、日常生活上の苦労が並大抵ではないと実感しました。わたしにはLGBとTのあいだには差があるのではないかと感じます。LGBTと括って性的少数者と言われますが、この言葉の使われ方に問題はないでしょうか。

森  LGBTとの呼び名には当事者からも批判が出ていますLGBの人たちがT(トランスジェンダー・トランスセクシュアル)の人たちを「彼らは自分たちとは違うだろう」と発言しているのを聞いたことがあります。つまり「異性を愛するか、同性を愛するかという点で語れるものではないから彼ら(T)とは別々に闘うべきではないのか」という主張です。またトランスジェンダー・トランスセクシュアルの側からも「自分たちは病気であり性別適合手術を受ければ治る。体を変えてしまえばLGBと共闘する必要はない」というひともいれば、中には個人的な感想だと思いますが「異性愛者として暮らせるようになったのに、なんでいまさらLGBと一緒に闘わなければいけないのか」というひともいます。

他にわたしが把握しているのでは「LGBT以外のセクシュアリティーがあるのに、そのひとたちは置いてきぼりにされるのか」という議論もあります。たとえばXジェンダーという性自認が男でも女でもないひとたちや、Aセクシュアルという男性にも女性にも誰にも恋愛感情や欲望を感じないひとや、パンセクシュアルというどの性にも反応できるひとたち、またペドフィリア(ロリコン)の人たちは置いてきぼりにされるのかと。特に誤解されやすいペドフィリア自体は別に犯罪を犯したわけでもなく、予備軍でもないのに、彼らの人権をLGBTは無視するのか、という議論もあります。つまり「LGBTだけ保護してどうするのだ」という意見がありますね。性とはもっと多様であるものなのに、他のセクシュアリティーは置いてきぼりにするのかという。

そこから、LGBTQ、つまりLGBTとクィア(Queer)という呼称も生まれています。クィアは元々、日本語で言うと「変態」に相当する蔑称でしたが、今ではセクシュアル・マイノリティ自身が肯定的に使うという動きがあります。あるいは、このQはクエスチョニング(Questioning)を意味するという説もあります。クエスチョニングとは、「性自認や性的指向が定まっていない人」を指します。だけど、どちらにしろ、LGBTQには「LGBTとその他」というニュアンスが残りますので、私は抵抗を感じています。

なぜLGBTという呼び名が定着したかといえば、それ以前に「性的マイノリティー」とか「性的少数派」という言葉で、異性愛者以外の人たちを括ることばがあったのに「性的」という言葉をマスコミ(あるいは当事者)や研究者が忌避したからだ、「性的」なものに対する忌避から「LGBT」に言い換えたのではないかという指摘もあります。わたしはですから「LGBT」という言葉には抵抗がありますね。その言葉では救われないひとたちがいる。取りこぼされてしまうひとたちがいると考えます。

── 疑問に感じていたことを教えて頂きました。ありがとうございます。森さんも「LGBT」という言葉自体を完全によしとしているわけではないですね。「LGBT」を差別問題ととらえるのか、セクシュアリティーとかジェンダー(人間に顕著にあらわれる現象)という観点から考察するのか、議論をしていると事柄の多面性や重層性に突き当たるのではないかと感じます。ところが森さんを攻撃しているひとたちにはそれが感じられません。あのひとたちはトピックに本当に感心や知識があるのではなく、その時に彼らが旬と見た話題を、イナゴの集団のように食べつくそうとします。でもすべてについて底が浅いので、その分野の専門家にかかると、ことごとく論破されます。

森  そうですよね(笑)

── また続きをよろしくお願いいたします。(つづく)

◎森奈津子さんのツイッター https://twitter.com/MORI_Natsuko/

◎今まさに!「しばき隊」から集中攻撃を受けている作家、森奈津子さんインタビュー(全6回)

〈1〉2018年8月29日公開 http://www.rokusaisha.com/wp/?p=27255
〈2〉2018年9月5日公開  http://www.rokusaisha.com/wp/?p=27341
〈3〉2018年9月17日公開 http://www.rokusaisha.com/wp/?p=27573
〈4〉2018年10月24日公開 http://www.rokusaisha.com/wp/?p=28034
〈5〉2018年10月30日公開 http://www.rokusaisha.com/wp/?p=28042
〈6〉2018年11月8日公開 http://www.rokusaisha.com/wp/?p=28069

(鹿砦社特別取材班)

M君リンチ事件の真相究明と被害者救済にご支援を!!

私の内なるタイとムエタイ〈41〉タイで三日坊主! Part.33 ネイトさんの面接!

今回はバリカンで剃髪となった藤川さん

◆ノンカイに戻って

ワット・ミーチャイ・ターに着いて外に居たネーンに尋ねるも、ここのプラマート和尚さんは不在のようで、石橋正次似の比丘が「和尚は明日帰って来るから、今日はここに居てくれ」と招かれたのはクティ1階の倉庫らしい部屋だった。狭く汚い部屋だったが、寝られるスペースがあれば充分有難い。

今日12月17日は満月の前日で、ここの寺の比丘は皆、頭剃ったばかりで表皮が目立っていた。そこでまだ剃っていない我々は、石橋正次似比丘に剃髪をお願いすると、すぐに準備に掛かってくれて、この寺ではバリカンで刈るので早い。藤川さんの後、私の番。久々に床屋さんに来たような心地良さ。毛だらけなので、すぐ水浴びしなければならないが、体調不良の中、サッと浴びたが水が冷たく寒かった。

熱あり腹痛あり、風邪か下痢か、どっちの薬飲めばいいのかも分からない。日本の薬は効かないとみたか、藤川さんが「ここの奴らに薬局連れて行って貰え」と言うが、立って歩く元気すら無い。どうか今持っている薬で収まって欲しいと祈る。

さっきの石橋正次似の比丘が私の様子見て薬持って来てくれたが解熱剤の様子。まず熱下げようとこの薬飲んで、いつもながら一般的には早いが、藤川さんが「もう寝るか!」と言って、夜8時を回って眠りにつくことになる。今日は10回以上トイレに行っただろうか。

床屋さんのような切れ味、正確には一分刈りなのかもしれない

◆腹痛の原因!

翌朝は4時前に鐘が鳴り、藤川さんは顔を洗って、本堂での読経に行く準備。私はお腹の調子が悪いので、寝続ける。

藤川さんが「お前は一昨日の朝か昼飯の時にその辺に置いてあった水飲んだんちゃうか?」と言われて、チェンウェー寺でそう言えば飲んだ。朝は置いてなかったが、昼時に置いてあったポラリスを飲んだ。そんな何日も放りっぱなしの水ではないはずだった。しかし、
「誰が手を付けたか分からんものは絶対飲んだらあかん。ワシらのワット・タムケーウのメーオは毎日飯時に瓶(かめ)の水飲んどるが、あれは雨季に溜めた雨水で、あんなもんワシらが飲んだら一気に下痢やな。お前はあれ飲んだようなもんやぞ。あいつらは子供の頃からあんな水飲んどるんや、ワシらと抵抗力が違うんやぞ!」

綺麗に見えても誰が置いたか分からん水には手を出してはいかんと反省。これは食中毒に掛かったのだ。熱や吐き気、下痢が続くもの当然か。正露丸では治らないかもしれない。参ったなあ。

◆鹿うノンカイの托鉢、再び!

藤川さんの起床で、早く起こされたネイトさんも読経を聴きに行った様子。5時30分に私も起き上がり、托鉢の準備をする。托鉢中にお腹が痛くならないようにトイレは済ませておく。それでも下痢便は突然襲って来るから、1時間程耐えられるか、お腹に相談しながらの集団托鉢への参加である。

6時15分頃にミーチャイ・トゥン側の托鉢の列がやって来た。先週あちら側に居た我々がこちら側の寺に居るから何か気マズイが、誰も怪訝な表情はしていない。すんなり列に入れてくれて先週と同じパターンで進む。プラマート和尚が出張中なので、私は“4番目”になった。サイバーツ(寄進)する信者さんは63件あった。なんと私の几帳面さ、数えてしまうのである。こんな状況で頭の中がなんと暇な私。

プラマート和尚さん先導の朝4時の読経。カメラを向けるとマイクを置いてワイ(合掌)してくれた

折り返し帰る時は、ミーチャイ・トゥン側の比丘と話しながら歩く。無事にラオスから帰って来たこと、ビザが取れたこと、今は事情あってミーチャイ・ター側に居ることを話して砂利道入るところで別れます。あちらはここから痛い痛い砂利道がある。今はこちら(ミーチャイ・ター)で良かったと安堵する。

このイサーン地方とラオス・ビエンチャンでは托鉢以外に在家信者さんが寺に料理を届けに来る習慣があります。その事情をビエンチャンに居た時、ワット・チェンウェーで、ブンミー和尚さんに尋ねていた藤川さん。

それは、
「ラオスでは、1975年の社会主義革命の後、新政府は仏教活動を禁じましたが、庶民がそれに反発し、政府に協力しなくなり、政策が予定どおり進まなくなりました。困った役人は、結局は暗黙に仏教活動を認めましたが、公には禁じられているものだから、政府のお偉いさんや役人達は比丘に食事を施したり、お寺にお布施をしたりなどの徳を積むことができなくなり、自分達がいちばん困ったようです。それで、市の役人やその家族は表立って托鉢などに参加し辛いので、こうして毎朝、料理を届けに来られるのです。」
ということのようだった。これが国境に関係なく、昔からこのイサーン地域に根付いているのだろう。

《このブンミー和尚さんの話は「オモロイ坊主のアジア托鉢行」より引用。こんな話しをしていたのは確かで、藤川さんが頷いていたのを覚えていますが、私は上の空であった。》

これはプラマート和尚さん不在の時、ラジオ体操の出欠取るような群がり
寺の河沿いにある船着場で佇むネーン達

◆ネイトさんの実力!

相変わらず食欲は沸かないが、少しでも詰め込もうとすれば何とか胃に入ってくれる。その後、ネイトさんを我々が食事したサーラー(葬儀場、講堂)へ朝食に誘ってデックワットらの輪に加えてあげます。新入りでは食べ難いだろうと終わるまで一緒に居てあげるも、そこは国際感覚の社交性あるネイトさん。積極的にイサーンの言葉で話し掛け、早速デックワットと笑いながら食事に入っている。私の気遣いは無用だったようだ。

昼食も少々しか胃に入らず、体調も悪いので部屋で寝ていたり、メコン河眺めに河沿いに行って日記書いたりしていると、近所の子供らが4~5人、元気にボール蹴って遊んでいる。こんな光景、どこの国にもあるんだなあ。

ネーンが土手の下の船着場まで下りているからその様子を見に行ったりもした。ネイトさんもやって来て他愛も無い話をするが、私のキックボクシングの話にも付き合ってくれたり、ここに至る因果も話せばしっかり聴いて返してくれる対話は楽しいものだった。

そんなこと話しているうちにまたお腹の調子が悪くなる。今日もすでに10回以上トイレに行っただろうか。これがお腹に細菌が潜伏する食中毒なのか。

夕方6時30分からの読経も、先ず鐘が鳴らされ、本堂で読経が始まる。後から後から比丘やネーンが集まって来るので、遅刻者続出。30分ぐらい続いた読経が終わると辺りはすでに真っ暗。外で読経を聴いていたネイトさんにネーン達がなついて群がっている。アメリカ人でもイサーンの言葉が出来て社交性があれば人気者間違いなし。私には誰も寄って来ない。この差は大きいな。

ネイトさんも寺生活に慣れていく、比丘と寺に寄進された食材による朝食

◆ネイトさんの出家が決定!

この寺のプラマート和尚さんが、夜9時前に帰って来たようで、我々は挨拶に向かいます。我々3人を泊めて頂きたいことと、ネイトさんを出家させたいことを藤川さんが申し出ます。

その後は流暢なイサーンの言葉でネイトさんが御挨拶。

普通はアメリカ人がいきなり尋ねて来ても門前払いとなるか、人格を見られた上で、何らかの条件が付けられるだろうが、こういう仲介役がしっかりした身元の近しい仲であれば大概のことはOKとなるもの。

難なく“面接”はOKされると、24日頃に得度式が予定されることになる。我々は20日の夜行列車で帰るので、得度式には参加出来ないが、ここから先は彼がしっかり務めることだろう。

どんな比丘となるのか、藤川さんの“第2の弟子”の成長が楽しみである。滞在日数の少ない中、我々がやってあげられることは何か、ネイトさんの出家への準備が進んでいきます。

夜の読経後、ネイトさんに群がるネーン達

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

一水会代表 木村三浩=編著『スゴイぞ!プーチン 一日も早く日露平和条約の締結を!』

老いの風景〈02〉食の異変

民江さん89歳の食生活にまつわるエピソードです。

民江さんは、どちらかと言えば料理が得意だったと思います。最近のお母さん(お父さん)は、動物やアニメのキャラクターを細かく形どったお弁当を作るようですが、昔の民江さんもアルミのお弁当箱に彩りよく手作りのおかずを詰め込んでくれていました。

サラダ菜やキュウリ、ニンジン、ハム、チーズなどを花束の様に食パンで巻いたサンドイッチは、私のお気に入りでした。ガスオーブンからバターたっぷりのマドレーヌが焼きあがる時の香りは忘れられません。当時は外食など滅多にしませんし、レトルト食品や冷凍食品なんてほとんどありませんので、手間と時間をかけて毎日美味しい手料理を作ってくれていました。

◆一人でランチを食べ歩く

そんな頃から半世紀が過ぎ、幸いにも胃腸や歯に何一つ問題のない民江さんは、毎日美味しいランチを一人で食べ歩くようになりました。80歳を過ぎて一人暮らしなのですから無理もないことと思います。お気に入りの店がいくつかあり、時々一緒に行きます。私が「今日は車なんだから、いつも行けないお店にしたほうがいいんじゃない?」と言っても、自分の行きつけの店に私を連れて行きたがりました。

席に着くと「いらっしゃいませ。いつものでよろしいですか。」店員さんの言葉に笑顔で頷きながら民江さんは「娘です」と私を紹介し、「いつも母がお世話になっております」と私は頭を下げます。なぜだか一層背筋を伸ばして微笑む民江さん。「私は一人ぼっちの老人じゃないんですよ。」という心の声が聞こえてきました。

◆「私はこれが一番好き」

民江さんの言動に異変を感じ始めたのは二年ほど前ですが、このようなお気に入りの店ができ、その頻度がだんだん高くなり、いくらなんでも通い過ぎだと思うようになったのもその一つです。一週間に三回同じステーキを食べる。ある時は「私はこれが一番好き」と言ってカキフライ定食が続く。サンドイッチ屋さんのスタンプカードがあっという間に一杯になる。

昨年の春、88歳の誕生日の事です。久し振りに二人の娘家族全員9人が集まり、ホテルのステーキハウスで米寿のお祝いをしました。和食ではなくお肉にしたのも本人の希望です。家まで送り、「じゃあ、夕食はどうする? お寿司でも買ってこようか」と尋ねました。ところがいつものサンドイッチを食べると言うのです。民江さんの意向に従い、私は隣の駅のサンドイッチ屋さんに行きました。

本人にサンドイッチの種類を聞いても「いつもの」と言うだけなので、店員さんへ「あのぅ、たぶん毎日のように88歳の母がいただいているサンドイッチを、今日はお持ち帰りでお願いしたいのですが……」と言ってみました。すると若い店員さんは笑顔で「はい、では卵と野菜とロースハムのサンドイッチだと思います。」と。さらに88歳の誕生日だということを説明すると、小さなメッセージカードを添えてくださいました。私は民江さんがこの店に通い詰める理由は、何よりもお店の雰囲気が心地よいのだと感じました。

◆「毎日おでん」「毎日アイスクリーム」

そんな食生活が数年続いていましたが、さらに驚くことになったのは一昨年の秋ごろです。昼食は相変わらずお気に入り店へ通っているのですが、夕食は近くのコンビニへ行くようになりました。そこで買うのは『おでん』です。コンビニのおでんはお出汁が染みて美味しいらしいですし、栄養的にも問題ないと思いますが、その頻度が問題です。毎日です。コンビニには他にも美味しそうなお総菜がたくさんあるにもかかわらず何か月も毎日『おでん』とサトウのご飯です。

以前から家計簿をつける習慣がありましたので、毎日電話で聞いてみると、毎日千円程度の『おでん』を食べています。でも私が夕食を作って届けてあげられるわけではないので、夏になったらどうなるんだろうと思いながら、そのまま様子を見ていました。

暑い季節になりました。すると今度はアイスクリームを買ってくるようになったのです。その頃は、前日どころかついさっきの記憶も曖昧になり、電話での普通のやりとりではなかなか実態が把握できないようになっていたので、私は少々罪悪感を持ちながらも細かく聞き取りを始めました。

「今、冷凍庫に何本入ってるのか見てきて」「昨日の家計簿にいくら買ったと書いてあるの?」「冷凍庫に入ってるアイスは何?」それを続けてわかったことは、ガリガリ君などのアイスバーやカップのアイスクリームを毎日10個以上食べているということでした。いくら暑いとは言え、一日に10個以上の『アイス』を食べているのです。夜中に目を覚ましても食べているのです。家での食事は朝食のパンと『アイス』だけで、前日に買ったアイスが翌朝にはなくなり、また買いに行っているのです。

私の不安は『おでん』より膨らみましたが、止めさせることはできません。自分の足で買いに行きますし、「私のお金で買っているのに、何がいけない!」と怒鳴るのですから。お腹を壊すことも体重が変わることもなく、こうして夏は終わりました。

◆今年のこの猛暑でもアイスは一度も食べていない

この頃ちょうど昨年の夏から、デイサービスに通っています。異変を感じてから半年後に初めて認知症専門外来に行き、要介護度1の認定を受け、そろそろデイサービスに行った方がいいのではないかと思っていたら、突然本人が行きたいと言い出したのです。

地域の老人会も拒否していた民江さんなので大変驚きましたが、本人の中で何かが変わり始めた証だと思います。そしてあの時コンビニに通い詰めていたことは、今では全く記憶にないようです。今年のこの猛暑でも『アイス』は一度も食べていません。冷凍庫の中には空箱が二つ入ったままです。

▼赤木 夏(あかぎ・なつ)
89歳の母を持つ地方在住の50代主婦。数年前から母親の異変に気付く

発売開始!月刊紙の爆弾10月号

《殺人現場探訪17》堺市資産家連続殺人事件 防犯カメラだらけの現場でなぜ

ドラマや小説の殺人事件では、犯人は綿密な計画に基づき、完全犯罪を目指すのがお決まりだ。しかし、現実の殺人事件では、ああいう犯人はあまりいない。むしろ犯人は冷静さを欠いた状態で、無計画に犯行に及んでいる事件が圧倒的に多数なのが現実だ。

私が近年取材した中では、堺市資産家連続殺人事件の西口宗宏(57)がそうだった。

◆非道な犯行内容と裏腹に弱々しい雰囲気の犯人

「パンジョ」の駐車場

西口は2011年11月、堺市のショッピングセンター「パンジョ」の駐車場で、同市の歯科医夫人(当時67)を車に監禁し、河内長野市まで連れ去った。そして現金約31万円やキャッシュカードなどを奪うと、顔にラップを巻いて息ができないようにして殺害。死体は山林でドラム缶に入れて焼却した。

さらに西口は同年12月、知人である象印マホービン元副社長の男性(当時84)の堺市の自宅に押し入り、「騒いだら殺すぞ」と脅したうえで、両手足を結束バンドで拘束。現金約80万円やクレジットカードなどを奪ったうえで、またしても顔にラップを巻き、窒息死させた。

こうして犯行のあらましを見ただけでも、とんでもない凶悪事件であることは間違いない。西口はそれ以前にも保険金目的で自宅に放火した罪で服役しており、この連続殺人事件を起こしたのは出所後まもない時期だった。それゆえに、見るからに狂暴そうな人物を思い描いた人も少なくないはずだ。

だが、事件後ほどなく検挙され、死刑判決を受けた西口と大阪拘置所で面会してみると、実際の西口は小柄で、弱々しい雰囲気の人物だった。事件を起こした動機を聞いてみると、当時同居していた交際相手の女性に「仕事が決まった」と嘘をついてしまい、なんとかお金を得ないといけないと思いつめた末、強盗殺人をするほかないと決意するに至ったという。

◆現場が物語る、犯人の冷静さを欠いた心理状態

犯行現場の駐車場にはこういう防犯カメラがあちらこちらに設置されていた

その程度の事情で、なぜ2人もあんな酷い方法で殺さないといけなかったのか……と思った私だが、第1の犯行現場である「パンジョ」の駐車場を訪ねてみると、西口が当時、冷静な心理状態でなかったことだけはよくわかった。

というのも、その駐車場はあちらこちらに防犯カメラが設置されており、冷静な心理状態なら、こんな場所で犯行に及ぶはずがないことは疑いようがなかったからである。実際、西口が捜査線上に浮かんだ理由の1つが、この駐車場で様々な女性の後をつけている様子が防犯カメラにとらえられていたことだった。

私が「あんなに防犯カメラの多い場所で、あんなことをしたら、すぐに捕まると思わなかったんですか?」と尋ねると、西口は「当時はもう、そういうことを考える余裕はなかったんです……」と申し訳なさそうに言った。

当時の西口の心理を正確に解明するのは難しい。しかし、あんな残酷な殺害方法で生命を奪われた被害者やその遺族たちの無念さは筆舌に尽くしがたいものがある。

西口が駐車場で様々な女性の後をつけていたあたり。天井の防犯カメラにその様子が写っていた

▼片岡健(かたおか けん)
1971年生まれ、広島市在住。全国各地で新旧様々な事件を取材している。

月刊紙の爆弾10月号
「絶望の牢獄から無実を叫ぶ ―冤罪死刑囚八人の書画集―」(片岡健編/鹿砦社)

もはや圧倒的な独裁制 私物化された情報機関が生み出す政敵ヘイト工作の軌跡

最初から勝敗に意味があるわけではない。自民党総裁選のことである。誰がなろうと、という意味ではなく危険度の少ない人物が首班となるべきとはいえ、もはや圧倒的な独裁制を敷いている安倍晋三に、石破茂が太刀打ちできるものではないのは明白だろう。

しかしながら、選挙告示までの過程でその政治家が持っている本性も明らかになる。選挙とは政治家の本性がむき出しになるほど過酷であるがゆえに、その子細も報じられなければならない。

◆私物化された情報機関が石破茂と野田聖子のスキャンダル調査を行った?

じつは安倍陣営が内閣情報調査室(内調)を私物化することをつうじて、石破茂と野田聖子への身辺調査、すなわちスキャンダル調査を行なってきた形跡があるのだ。日本のアイヒマンこと北村滋情報官がほぼ毎日、首相官邸に出入りして調査報告を上げていたというのだ。7月27日には朝日新聞が「政府も党も 進む「私的機関」化」と題した記事の中で内調の実態をレポートしている。

 
2018年7月27日付朝日新聞より

「官邸で閣議などを終えた首相安倍晋三の執務室に、内閣情報官の北村滋が入った。(中略)スタッフ約400人から集約した内容を首相に報告するのが役目。北村は警察庁出身で、第1次安倍政権で首相秘書官を務めた。(中略)昨年の首相動静の登場回数が1位だったことは、安倍の信頼の厚さを物語る。北村に報告を上げる内調を米国の中央情報局になぞらえ、「日本版CIA」と呼ぶ人もいる」

ようするに、400人ものエージェントが暗躍し、石破や野田らの政敵、および野党幹部、諸政治勢力の動向を、内調トップである北村が報告しているというのだ。政治動向だけではない。衆院解散の風が駆けめぐった昨年の9月中旬、内調スタッフ20人ほどが全国に散ったと朝日新聞は報じている。安倍総理が地方で行なう選挙演説のネタを、かれら内調エージェントが探して歩いたというものだ。これはもはや情報機関の私物化ではないか。

 
2018年8月2日付ニュースサイト「リテラ」より

2014年に小渕優子衆院議員(後援会の明治座観光)や松島みどり衆院議員(ウチワ問題)など、当時の安倍政権閣僚に次々と政治資金問題が噴出した直後、民主党(当時)の枝野幸男幹事長、福山哲郎政調会長、大畠章宏前幹事長、近藤洋介衆院議員、さらには維新の党の江田憲司共同代表など、野党幹部の政治資金収支報告書記載漏れが次々と発覚し、読売新聞と産経新聞で大きく報道されたのは記憶に新しい。この時期、内調が全国の警察組織を動かして野党議員内調が全国の警察組織を動かして野党議員の金の問題を一斉に調査し、官邸に報告をあげていたことがわかっているという(ニュースサイト「リテラ」8月2日付による)

前川喜平元文科省事務次官の「出会い系バー通い」、安倍御用ジャーナリスト・山口敬之による伊藤詩織さんレイプ事件のもみ消しなども、内調の指示で行なわれたといわれている。

 
野田聖子『私は、生みたい』(2004年新潮社)

◆かつての野田聖子の存在感

今回、野田聖子に対しては金融庁の情報を漏洩した問題、および過去をほじくるように夫が元暴力団組員だったことが「週刊文春」によって報じられた。言うまでもなく、内調の動きを忖度し、かつ週刊誌独自の拡販のためにおこなわれたキャンペーンである。「週刊新潮」も後追いすることで、内調に義理を果たしたのではないか。

しかもその内容たるや、ことさらに夫の本名(韓国名)を暴露し、ネトウヨや排外主義イデオロギーに訴えるものだった。そもそも元夫は2000年以前に組織(会津小鉄会)を離れているし、安倍昭恵夫人のように政治的なファーストレディ活動をしているわけでもない。ただ単に、野田聖子がもしも総理に就任したら「ファースト・ジェントルマン」になるかもしれないという興味本位のものにすぎないのだ。

ぎゃくに明らかになったのは、野田氏の政治的なタフさではないか。たとえば『私は、生みたい』(2004年新潮社)の法律ギリギリの海外体外受精までしての出産と障がい児であるがゆえに懸命な子育てが必要だったこと、またそれに力づよく乗りこえた母親としての野田聖子。

そこにはわずかなことで政治的にうろたえてしまい、顔と言葉に感情が出てしまう安倍晋三よりも、はるかに頼りがいのある女性宰相の資質すら感じられるのだ。ところがその野田聖子も、みずからが出馬できないと諦めるや、安倍支持にまわってしまうという定見のなさを暴露した。いまからでも遅くはない、自身の政策を訴えることで存在感を示して欲しいものだ。

▼横山茂彦(よこやま しげひこ)

著述業・雑誌編集者。主な著書に『軍師・黒田官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)、『真田一族のナゾ!』『山口組と戦国大名』(サイゾー)など。医療分野の著作も多く、近著は『ガンになりにくい食生活――食品とガンの相関係数プロファイル』(鹿砦社LIBRARY)

衝撃満載!月刊紙の爆弾10月号

[追悼]志の人・納谷正基さんを悼む 『NO NUKES voice』17号

「この人でなければできない」領分や仕事がある。大きな組織ではそういったことはありえない。仮に孫正義が居なくなってもソフトバンクが急にガタガタになることはないし、カルロス・ゴーンが居なくなったって日産は潰れはしない。逆に小さな組織では往々にして「この人でなければ」できない業務がある。町工場の熟練技術技術者は、長い経験によって培われるものであるし、中小企業の経営者が運転資金をどうするかには、人脈や独自の方法に負うところが大きい。

これが「話者」や「物書き」となれば、より「代理」で埋め合わせが効かなくなるのは当然である(もっとも、誰が話しても同じようなコメントしか語らない自・他称「専門家」や「学者」であればいくらでも代替人は見つかるが)。『NO NUKES voice』2号から11回に渡り〈反原発に向けた想いを 次世代に継いでいきたい〉の連載をご担当頂いていた納谷正基さん(高校生進学情報番組『ラジオ・キャンパス』パーソナリティー)が8月17日にご逝去された。

志の人・納谷正基さんを悼む(『NO NUKES voice』17号より)

『NO NUKES voice』編集長の小島卓をはじめ、編集部、そして鹿砦社代表松岡利康と『紙の爆弾』編集長の中川志大も、納谷さんの訃報には言葉がなかった。『NO NUKES voice』を発刊から通読していただいている読者の方にはわれわれが途方に暮れる理由がご理解頂けよう。納谷さんは40年にわたり高校生への進路指導を中心にラジオ番組のパーソナリティーとしても活躍されてきた方だった。ご伴侶が広島原爆の被爆2世で、若くして亡くなり、それ以降「反核」に対する納谷さんの劇熱は揺らぎのないものとなった。

本誌に寄せて頂く文章は、日ごろから高校生を相手に語り部をなさっている、納谷さんらしく、読みやすいけれども、強烈な意志と情熱と怒りに溢れていた。鹿砦社との縁が出来てから納谷さんは、鹿砦社を破格の扱いで評価していただいていた。『ラジオ・キャンパス』に松岡は一度、中川が出演させていただいた回数は数えきれない。納谷さんは「私の夢は東北6県の全高校の図書館に『紙の爆弾』をおかせることです」とまでラジオで明言して下さったほどだ。鹿砦社は「叩かれる」ことは日常だが、ここまで評価をしてくださる方は極めて少ない。

だからわれわれは落胆しているのか。違う。鹿砦社を評価していただいたから、納谷さんのご逝去に言葉がないのではない。高校生に通じる言葉を持った劇熱の反核・反原発話者を失ったことの重大さに、われわれは、呆然としているのだ。納谷さんの生きざまから紡ぎ出される言葉を、真似ることができる人間はいない。なぜなら納谷さんの人生は、誰もの人生がそうであるように、他者のそれとは違う、といったレベルではなく、比較しうる人物がいない未倒地に、恐れることなく踏み出してゆく「冒険」の連続だったからだ。そしてその「冒険」を成就させる戦略と見識眼、なによりも人間力を納谷さんは持っていた。

優しく怖い人だった。『NO NUKES voice』の中から納谷さんの連載が消える。この喪失感は正直埋めがたい。

◆伊達信夫さんが徹底検証する「東電原発事故避難」

しかし、わたしたちは読者の皆さんにわたしたちが持ちうる力を総結集して、紙面を編集し、毎号途切れず、そして新しい閃きのきっかけを提供する義務を負っていると自覚する。納谷さんのご逝去とたまたま時期が重なったが、本号から新たな連載が2つスタートする。伊達信夫さんの「《徹底検証》東電原発事故避難 これまでと現在」と、山田悦子さんによる「山田悦子が語る世界」だ。

伊達さんは今号本文の中で「本稿の目的は原発事故の原因や経過を明らかにすることが中心ではない(略)。原発事故発生直後に、避難指示がどのように出されたのか確認をしながら、避難はどのように始まったのかを明らかにすることである」と連載の目的を示されている。

事故直後は原発に関する多くの書籍が書店に並んだ。時の経過とともにその数は漸減した。事故そのものは現在も進行中だ。その原因についての論考はこれまでも多くの方々から分析していただいてきたが、伊達さんの「避難」に焦点をおくレポートもまた、貴重な資料となることは間違いない。

伊達信夫さんの《徹底検証》「東電原発事故避難」これまでと現在(『NO NUKES voice』17号より)

◆山田悦子さんが語る世界──「冤罪被害者」から「法哲学研究者」へ

 
山田悦子が語る世界〈1〉赤ちゃんの未来は、人間の未来──国家無答貴とフクシマより(『NO NUKES voice』17号より)

山田悦子さんには今号の連載開始に先立ち、既に15号からご登場いただいていた。「甲山事件冤罪被害者」として山田さんは有名だが、わたしは山田さんに「冤罪被害者」との肩書ではなくご本人の許諾が得られれば、「法哲学研究者」と紹介したい(ご本人はこの申し出を辞退されている)。
「山田悦子が語る世界」では、様々な古典文献を引用しながら硬質な論考が展開される。もちろんこのような境地に至らしめた理由として、冤罪事件の被害者としての山田さんの経験が揺るぎないものであることは明らかではあるが、あえて強調すれば同様の冤罪被害を経験したからといって、山田さんのように誰もが思弁を深めるものではない。反・脱原発には多様な視点があっていいだろう。

亡くなった納谷さんの後継者はいない。後継者ではなく、まったく異なる経験と、視点から伊達さんと山田さんが加わってくださり、『NO NUKES voice』は今号も全力で編纂した。読者の皆さんからのご意見、ご指導を期待する。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

多くの人たちと共に〈原発なき社会〉を求めて『NO NUKES voice』Vol.17 被曝・復興・事故収束 ── 安倍五輪政権と〈福島〉の真実

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『NO NUKES voice』vol.17
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被曝・復興・事故収束
安倍五輪政権と〈福島〉の真実

[グラビア]サン・チャイルド/浪江町長選「希望の牧場」吉沢正巳さん抗いの軌跡
(写真=鈴木博喜さん)

[特別寄稿]吉原 毅さん(原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟=原自連 会長)
広瀬さん、それは誤解です!

[特別寄稿]木村 結さん(原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟=原自連 事務局次長)
原自連は原発ゼロのために闘います

[追悼]編集部 志の人・納谷正基さんを悼む 

[報告]高野 孟さん(インサイダー編集長/ザ・ジャーナル主幹)
安倍政権はいつ終わるのか? なぜ終わらないのか?

[講演]蓮池 透さん(元東京電力社員/元北朝鮮による拉致被害者「家族会」事務局長)
東京電力は原発を運転する資格も余力もない

[講演]菊地洋一さん(元GE技術者)
伝説の原発プラント技術者が語る「私が原発に反対する理由」

[報告]本間 龍さん(著述家)
原発プロパガンダとはなにか〈14〉
東京五輪は二一世紀のインパール作戦である〈2〉

[講演]井戸川克隆さん(元双葉町町長)
西日本の首長は福島から何を学んだか

[報告]鈴木博喜さん(ジャーナリスト/『民の声新聞』発行人)
希望の牧場・希望の政治 吉沢正巳さんが浪江町長選で問うたこと

[報告]佐藤幸子さん(福島診療所建設委員会代表)
広島・長崎で考えた〈福島のいのち〉

[報告]伊達信夫さん(原発事故広域避難者団体役員)
《徹底検証》「東電原発事故避難」これまでと現在〈1〉その始まり

[書評]黒田節子さん(原発いらない福島の女たち)
『原発被ばく労災 拡がる健康被害と労災補償』

[報告]山崎久隆さん(たんぽぽ舎副代表)
首都圏でチェルノブイリ型事故が起きかねない 東海第二原発再稼働が危険な理由

[報告]三上 治さん(「経産省前テントひろば」スタッフ)   
セミの命も短くて……

[報告]山田悦子さん(甲山事件冤罪被害者)
山田悦子が語る世界〈1〉赤ちゃんの未来は、人間の未来──国家無答貴とフクシマ

[報告]横山茂彦さん(著述業・雑誌編集者)
われわれは三年前に3・11原発事故を「警告」していた!
環境保全をうったえる自転車ツーリング【東京―札幌間】波瀾万丈の顛末

[報告]板坂 剛さん(作家・舞踊家)
『不・正論』9月号を糺す!

[報告]佐藤雅彦さん(翻訳家)
政府がそんなに強行したけりゃ 
民族自滅の祭典・2020東京国際ウランピックをゼネストで歓迎しようぜ!

[報告]再稼働阻止全国ネットワーク
首都圏の原発=東海第二原発の再稼働を止めよう

《首都圏》柳田 真さん(たんぽぽ舎、再稼働阻止全国ネットワーク)
原発事故 次も日本(福島のお寺の張り紙)
二度目の原発大惨事を防ぐ・東海第二を止めるチャンス

《福島》春木正美さん(原発いらない福島の女たち)
モニタリングポスト撤去について・第二弾

《原電》久保清隆さん(再稼働阻止全国ネットワーク)
日本原電は、社会的倫理の欠落した最低の会社だ!

《規制委》木村雅英さん(再稼働阻止全国ネットワーク)
核分裂「湯沸し装置」をやめよう
~とうとう東海第二設置許可を認可する規制委、第五次「エネ計」で原発推進する経産省~

《地方自治》けしば誠一さん(反原発自治体議員・市民連盟事務局次長、杉並区議会議員)
全国自治体議員・市民の連携で安倍政権の原発推進に歯止めを!

《福井》木原壯林さん(「原発うごかすな!実行委員会@関西・福井」)
原発の現状と将来に関わる公開質問状を 高浜町長、おおい町長、美浜町長に提出

《島根》芦原康江さん(さよなら島根原発ネットワーク)
島根原発3号機の適合性審査申請に対する了解回答は撤回すべきだ!

《伊方》秦 左子さん(伊方から原発をなくす会)
二〇一八年九月原発のない未来へ 伊方原発再稼働反対全国集会

《玄海》吉田恵子さん(原発と放射能を考える唐津会)
原発は止め、放射性廃棄物は人から離し測定して監視し地下に埋めても修復できる体制を

《読書案内》天野惠一さん(再稼働阻止全国ネットワーク)
『言論の飛礫(つぶて)─不屈のコラム』(鎌田慧・同時代社)

『NO NUKES voice』vol.17
https://www.amazon.co.jp/dp/B07GW4GYDC/

震災列島の安心は〈原発なき社会〉から始まる『NO NUKES voice』17号発売

 
函館市HPより
 
函館市HPより

9月6日北海道を大地震が襲った。295万世帯が停電し、泊原発は緊急停止した。現地の様子を調べようと各自治体のホームページを閲覧していると、函館市のホームページに驚かされる文字があった。

そうだった。函館市は大間原発の建設停止を求めて、前代未聞、市が国や電源開発を提訴し、建設の差し止めを求める訴訟が提起されている。同訴訟の弁護団に加わっている井戸謙一弁護士は「初めてのケースですので、どういう審議になるかわかりませんが、画期的な提訴だと思います」と東京地裁で語ってくれていた。

提訴に至る考え方を説明した工藤壽樹函館市長の説明が、簡潔でわかりやすい。

このような姿勢が、住民の生命財産を守る責任者としては、至極原則的な考え方であろう。しかしながら、多くの都道府県や知町村長は、ごく原則的な判断もできずに、住民を危険に直面させている。

函館市HPより

◆吉原毅さん(原自連会長)の特別寄稿「広瀬さん、それは誤解です!」

そんな中、本日9月11日、『NO NUKES voice』17号が発売される。「フクシマを忘れることなく多角的に」の編集方針に揺らぎはない。

本号巻頭では前号16号で広瀬隆さんが展開した「原自連(原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟)」への問題提起に対する吉原毅さん(原自連会長)からの対論的論考「広瀬さん、それは誤解です!」を特別寄稿として掲載させていただいた。メガソーラー等の自然エネルギーへの過度の依拠の危険性を指摘した広瀬隆さんに、城南信用金庫理事長時代から「反原発」に様々な取り組みをしてこられた吉原さんが「誤解を解く」解説を丁寧に展開されている。加えて木村結さん(原自連事務局次長)にも吉原さんの論をさらに補強する論考「原自連は原発ゼロのために闘います」をご寄稿いただいた。

吉原毅さん(原自連会長)の特別寄稿「広瀬隆さん、それは誤解です!」(『NO NUKES voice』17号より)

◆高野孟さんの「安倍政権はいつ終わるのか? なぜ終わらないのか?」

高野孟さんの「安倍政権はいつ終わるのか? なぜ終わらないのか?」は読んでいると少し重たい気分にさせられるかもしれない。畢竟特効薬などなく、わたしたち個人が考え、行動する以外に回答はないのかもしれない。

高野孟さんの「安倍政権はいつ終わるのか? なぜ終わらないのか?」(『NO NUKES voice』17号より)

◆蓮池透さんと菊池洋一さん──二人の元当事者が語る「原発の終わらせ方」

 
蓮池透さん(『NO NUKES voice』17号より)

蓮池透さんは、拉致被害者の家族であり、東京電力の社員であった21世紀初頭日本を取り巻いた政治事件の中心に、偶然にも居合わせた人物だ。蓮池さんは東電を定年前に退職した。3・11以来東電には様々な怒りを感じておられる。蓮池さんご自身福島第一原発の3号機と4号機に勤務していたご経験の持ち主で、今回初めて明かされるような驚くべき杜撰な現状が語られる。「東京電力は原発を運転する資格も余力もない」は故吉田昌郎所長とも親しかった蓮池さんのお話は必読だ。

菊池洋一さんは元GE技術者の立場から、やはり原発建設がいかに、問題を孕んでいたのか、を解説してくださっている。簡潔に言えば「いい加減」なのである。しかしながら菊池さんのお話からも、現場の技術責任者でなければ知り得ない、驚愕の事実がいくつも暴露される。

 
菊池洋一さん(『NO NUKES voice』17号より)

◆本間龍さん「東京五輪は二一世紀のインパール作戦である」〈2〉

本間龍さんの連載「原発プロパガンダとは何か?」は今回も東京五輪の問題を鋭くえぐり出している。「国民総動員」の様相を見せだした「ボランティア」と称する「無償労働」の問題と意義を今回も徹底的に解析していただいた。「反・脱原発と東京五輪は相容れない」編集部の代弁をしていただいた。

◆何度でも福島の声を──井戸川克隆さん(元双葉町町長)、吉沢正巳さん(希望の牧場)

元双葉町町長の井戸川克隆さんの「西日本の首長は福島から何を学んだか」は鹿児島県知事三田園をはじめとする西日本、とりわけ原発立地現地行政責任者に対して、匕首を突きつけるような、厳しい内容だろう。冒頭ご紹介した函館市との対比が極めて不幸な形で鮮明になろう。

「吉沢正巳さんが浪江町長選挙で問うたこと」は「希望の牧場」で奮闘し続ける吉沢さんからの、吉沢さんらしい問題提起だ。行動のひと吉沢さんは浪江町長選挙に出馬した。浪江役場前には「おかえりなさい、ふるさと浪江町へ」の横断幕が掲げられてる。対して、吉沢さんは「除染してもサヨナラ浪江町」の看板を掲げる。この一見対立していそうで、不和解のように見えるメッセージを吉沢さんは「どちらも正しい」と語る。そのことの意味は?吉沢さんが闘った町長選はどのようなマニフェストだったのか?

希望の牧場・吉沢正巳さん(『NO NUKES voice』17号より)

◆佐藤幸子さんの広島・長崎報告と伊達信夫さんの《徹底検証》「東電原発事故避難」これまでと現在

「広島・長崎で考えた〈福島の命〉」は事故発生直後から、対政府交渉などの先頭に立ち続けてきた佐藤幸子さんの広島・長崎訪問記である。被災者の間に生じる(生じさせられる)軋轢を乗り越えて、お子さんの成長を確認しながら広島と長崎に原爆投下日にその身をおく、福島原発事故被災者。70余年の時をたがえて交わる被災者と、被災地のあいだには何が生じたのだろうか。

伊達信夫さんの《徹底検証》「東電原発事故避難」これまでと現在(その1)では、事故後の避難で何が問題だったのかの実証的な指摘が詳細に分析される。7年が経過して、記憶もおぼろげになりがちな事故の進行と非難の実態が、時系列で再度明らかにされる。

佐藤幸子さんの広島・長崎報告(『NO NUKES voice』17号より)
 
黒田節子さんが書評した『原発被ばく労災 拡がる健康被害と労災補償』(三一書房2018年6月)

◆黒田節子さんによる書評『原発被ばく労災 広がる健康被害と労災補償』

『原発被ばく労災 広がる健康被害と労災補償』(三一書房)を解説的に紹介してくださるのは黒田節子さんだ。

「首都圏でチェルノブイリ型事故が起きかねない 東海第二原発再稼働が危険な理由」を山崎久隆さんが解説する。ここで事故が起きたら東京は壊滅する=日本は終わる。それでも東海第二原発を再稼働する道を選ぶべきであろうか。

「セミの命も短くて…」は三上治さんのが経産省前テント村で生活するうちに、四季の移ろいに敏感になった、三上さんの体験記だ。ビルとコンクリートだらけの、霞が関の地にだって季節の変化はある。当たり前のようで、重要な「気づき」を三上さんが語る。

「赤ちゃんの未来は、人間の未来――国家無答責とフクシマ」(山田悦子が語る世界〈1〉)は本号から連載を担当していただく山田悦子さんによる論考である。「国家無答責」の概念は国家としての日本を理解するうえで欠くことができない重要な概念だ。山田さんは長年の研究で独自の「法哲学」を確立された。次号以降も本質に迫るテーマを解説していただく。

横山茂彦さんの「われわれは震災の三年前に、3・11事故を『警告』 していた!」は雑誌編集者にして、多彩な著作を持つ横山さんを中心に、東京から札幌まで1500キロを自転車で走りながら、原発に申し入れ書を提出するなどの行動が行われていた報告である。横山さんの多彩な興味範囲と行動力にはひたすら驚かされるばかりだが、このような人がいるのは、誠に心強い。

◆板坂剛さんと佐藤雅彦さん

 
板坂剛さんの「『不正論』9月号を糺す!」(『NO NUKES voice』17号より)

板坂剛さんの「『不正論』9月号を糺す!」は、芸風が安定してきた板坂による、例によって「右派月刊誌」へのおちょくりである。大いに笑っていただけるだろう(闘いにユーモアは必須だ!)。

佐藤雅彦さんの「政府がそんなに強硬したけりゃ民族自滅の祭典2020東京国際被爆祭をゼネストで歓迎しようぜ!」。佐藤さんの原稿はいつも下地になる資料が膨大にあり、事実や史実を示したうえで、最後に「佐藤流」のひねりで「一本」を取る。「板坂流」とは異なり、読者にも解読力が求められるが、内容はこれまたユーモアに満ちた批判である。

その他全国各地の運動報告や読者からのご意見も掲載し、本号も全力で編纂した。
地震・大雨・酷暑と自然災害が連続したこの数カ月。大震災列島の未来は〈原発なき社会〉の実現なくしてはじまらない。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

本日発売開始!『NO NUKES voice』Vol.17 被曝・復興・事故収束 ── 安倍五輪政権と〈福島〉の真実

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『NO NUKES voice』vol.17
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被曝・復興・事故収束
安倍五輪政権と〈福島〉の真実

[グラビア]サン・チャイルド/浪江町長選「希望の牧場」吉沢正巳さん抗いの軌跡
(写真=鈴木博喜さん)

[特別寄稿]吉原 毅さん(原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟=原自連 会長)
広瀬さん、それは誤解です!

[特別寄稿]木村 結さん(原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟=原自連 事務局次長)
原自連は原発ゼロのために闘います

[追悼]編集部 志の人・納谷正基さんを悼む 

[報告]高野 孟さん(インサイダー編集長/ザ・ジャーナル主幹)
安倍政権はいつ終わるのか? なぜ終わらないのか?

[講演]蓮池 透さん(元東京電力社員/元北朝鮮による拉致被害者「家族会」事務局長)
東京電力は原発を運転する資格も余力もない

[講演]菊地洋一さん(元GE技術者)
伝説の原発プラント技術者が語る「私が原発に反対する理由」

[報告]本間 龍さん(著述家)
原発プロパガンダとはなにか〈14〉
東京五輪は二一世紀のインパール作戦である〈2〉

[講演]井戸川克隆さん(元双葉町町長)
西日本の首長は福島から何を学んだか

[報告]鈴木博喜さん(ジャーナリスト/『民の声新聞』発行人)
希望の牧場・希望の政治 吉沢正巳さんが浪江町長選で問うたこと

[報告]佐藤幸子さん(福島診療所建設委員会代表)
広島・長崎で考えた〈福島のいのち〉

[報告]伊達信夫さん(原発事故広域避難者団体役員)
《徹底検証》「東電原発事故避難」これまでと現在〈1〉その始まり

[書評]黒田節子さん(原発いらない福島の女たち)
『原発被ばく労災 拡がる健康被害と労災補償』

[報告]山崎久隆さん(たんぽぽ舎副代表)
首都圏でチェルノブイリ型事故が起きかねない 東海第二原発再稼働が危険な理由

[報告]三上 治さん(「経産省前テントひろば」スタッフ)   
セミの命も短くて……

[報告]山田悦子さん(甲山事件冤罪被害者)
山田悦子が語る世界〈1〉赤ちゃんの未来は、人間の未来──国家無答貴とフクシマ

[報告]横山茂彦さん(著述業・雑誌編集者)
われわれは三年前に3・11原発事故を「警告」していた!
環境保全をうったえる自転車ツーリング【東京―札幌間】波瀾万丈の顛末

[報告]板坂 剛さん(作家・舞踊家)
『不・正論』9月号を糺す!

[報告]佐藤雅彦さん(翻訳家)
政府がそんなに強行したけりゃ 
民族自滅の祭典・2020東京国際ウランピックをゼネストで歓迎しようぜ!

[報告]再稼働阻止全国ネットワーク
首都圏の原発=東海第二原発の再稼働を止めよう

《首都圏》柳田 真さん(たんぽぽ舎、再稼働阻止全国ネットワーク)
原発事故 次も日本(福島のお寺の張り紙)
二度目の原発大惨事を防ぐ・東海第二を止めるチャンス

《福島》春木正美さん(原発いらない福島の女たち)
モニタリングポスト撤去について・第二弾

《原電》久保清隆さん(再稼働阻止全国ネットワーク)
日本原電は、社会的倫理の欠落した最低の会社だ!

《規制委》木村雅英さん(再稼働阻止全国ネットワーク)
核分裂「湯沸し装置」をやめよう
~とうとう東海第二設置許可を認可する規制委、第五次「エネ計」で原発推進する経産省~

《地方自治》けしば誠一さん(反原発自治体議員・市民連盟事務局次長、杉並区議会議員)
全国自治体議員・市民の連携で安倍政権の原発推進に歯止めを!

《福井》木原壯林さん(「原発うごかすな!実行委員会@関西・福井」)
原発の現状と将来に関わる公開質問状を 高浜町長、おおい町長、美浜町長に提出

《島根》芦原康江さん(さよなら島根原発ネットワーク)
島根原発3号機の適合性審査申請に対する了解回答は撤回すべきだ!

《伊方》秦 左子さん(伊方から原発をなくす会)
二〇一八年九月原発のない未来へ 伊方原発再稼働反対全国集会

《玄海》吉田恵子さん(原発と放射能を考える唐津会)
原発は止め、放射性廃棄物は人から離し測定して監視し地下に埋めても修復できる体制を

《読書案内》天野惠一さん(再稼働阻止全国ネットワーク)
『言論の飛礫(つぶて)─不屈のコラム』(鎌田慧・同時代社)

『NO NUKES voice』vol.17
https://www.amazon.co.jp/dp/B07GW4GYDC/

サン・チャイルドに罪はない 明日発売『NO NUKES voice』17号

◆馴染みの街のサン・チャイルド──大阪・茨木市

 
Kenji Yanobe Supporters club(2018-04-16)より

阪急電鉄南茨木駅。まことに個人的ながら、この駅名には懐かしさが付きまとう。大学時代の2年間と、就職しての数年をわたしは南茨木駅が至近の(といっても駅まで徒歩で30分近くあった)アパートで過ごした。理由は新築の2LDKが格安家賃で、大学へはバイクで通えば20分ほどの距離だったからだ。

南茨木から転居後も、毎日のように利用していたスーパーマーケットで殺人事件が起こったり、モノレールが南進したりとときどきニュースは耳にしていたが、このたび無視できない情報を教えて頂いた。南茨木の駅前にはヤノベケンジ氏が作ったSun Child(サン・チャイルド)が設置されているそうだ。

姿はご覧の通りで、茨木市のホームページによれば、〈Sun Child(サン・チャイルド)は、平成23年3月11日に発生した東日本大震災から再生、復興していく人々の心に大きな夢と希望と勇気を与えるモニュメントとして制作されました。 高さ6.2mに及ぶこどもの像は、未来に向かって足を踏み出す姿を表現しています。傷つきながらも未来をしっかりと見つめ、力強く生き抜こうという再生へのメッセージがこめられています〉とのことである。茨木市の説明はうなずける。

◆福島市でのサン・チャイルド設置は「風評被害を助長する」?

ところがまったく同じSun Child(サン・チャイルド)が福島ではどういう訳か撤去されることになったという。

〈福島市が教育文化施設「こむこむ」前に設置した立像「サン・チャイルド」の表現に一部から批判が寄せられていた問題で、市は28日、作品を撤去すると発表した。木幡浩市長は記者会見で「賛否が分かれる作品を『復興の象徴』として設置し続けることは困難と判断した」と述べ、謝罪した。展示が始まった今月上旬から、交流サイト(SNS)などで、立像が防護服姿であることや、線量計を模した胸のカウンターが「000」となっていることが「風評被害を助長する」「非科学的」との批判が集中。作品の表現を評価する声もあり、市の対応が注目されていた。〉
※[引用元]「『サン・チャイルド』撤去へ 福島市長謝罪、設置継続は困難」(2018年8月29日付福島民友)

その理由の一端として、同記事では
〈市は18日から「こむこむ」の来場者に対し、立像についての意向調査を実施。27日までに110件の回答があり、設置に「反対・移設」が75人と、「存続」22人を大きく上回った。市へのメールや電話も否定的な意見が多かった。アンケートには「防護服がないと生活できないとの印象を与える」「子ども向けの施設に設置するのは問題」など撤去を求める意見の一方で、「災害の教訓になる」「勇気や元気が伝わる」などの意見があった。〉と説明されている。

『NO NUKES voice』Vol.17より(写真=鈴木博喜)

福島第一原発事故にかんするマスコミ報道については、つねに「水増しされていないか、不当に減じられてはいまいか」、「事実が隠蔽されていないか」、「虚構ではないか」、「恣意的な報道ではないか」を念頭に情報を分析しなければならない。そしてマスメディアのそういった姿勢に加えて、福島現地で暮らす方々がすがりたい「安全神話」という虚構が、ひとびとの思考を歪めていないか、をも考慮に入れなければならないことをこのニュースは物語っている。

◆何度でも問う! 福島2011原発事故と東京2020復興五輪 

 
『NO NUKES voice』Vol.17 より(写真=鈴木博喜)

大風呂敷が広げられている。「東京2020」という人道的犯罪と断じても不足ない、フクシマ隠蔽のための大風呂敷が。この大風呂敷は穴だらけだ。開会式の入場券が30万円以上もする「商業イベント」のために、11万人をタダ働きさせようとしている。災害ボランティアや非営利事業ではないのに、どうして「タダ働き」が堂々と進行しようとしているのか。文科省はついに、「東京2020」期間中、大学などに「授業や定期試験しないよう」通知を出した。21世紀型の「学徒動員」は前時の大戦とは順序を変えて、強制される。

新聞に「東京2020」に対する批判記事があるだろうか。不当な土地の払い下げ問題や、新国立競技場建設に絡む問題などが指摘されているか? 原発問題では鋭い筆鋒を見せた東京新聞はどうだ? まさか、開催地が「東京」だからという馬鹿げた理由が筆を鈍らせる理由にはなってはいまいな。

◆安心したい、忘れたい気持ちは痛いほどわかる。が、しかし……

福島から避難されて来られた方々は「福島県内のニュースでは被曝の実態が県外よりさらに報道が少ない」と異口同音に語られる。被曝問題だけではなく、「復興」を邪魔する奴はとんでもない!との無言圧力があるという。

一面無理からぬことではあろう。汚染地に住み続ける方々にとって、毎日「被曝の危険」を頭においていたら仕事や勉強ができないだろう。危機意識や怒りは(一部の強固な意志の持ち主を除いて)、当事者にとってそれほど長期間持続できるものではない。

その心理は理解するが、冷厳な科学的事実は、われわれがどう考えようと、念じようと変化することはない。国民総出で願ったら、放射性核種の半減期が短くなり、被曝被害が激減するのであれば、わたしも喜んでその輪に入ろう。

だが残念ながらそんな観念的な話ではない。あくまでも自然科学・放射線防御学や医学が今日までに到達している結果として、現在の福島は永続的な居住の「安全」が保障される場所ではないのだ(わたしはこのことを幾分かは、自分の内面を削りながら発言しているつもりである)。

安心したい、不安は忘れたい気持ちは痛いほどわかる。しかし、その気持ちが一体2011年3月11日に何を引き起こしたのか、を再考する障害となってはいないか。

南茨木駅は被災地ではなく、福島は被災地だからSun Child(サン・チャイルド)にたいする感覚が違うかもしれない。もし、そうであれば被害者であるはずの、福島のひとびとの感覚はゆがめられている。

「復興」や「絆」もいいだろう。その前に現実的な健康被害まで度外視されるほどに、被災地のひとびとの思考が誘導されているのだとすれば、責められるべきは、それを画策した連中だ。でも福島(福島だけではなく全て)のひとびとには忘れないでほしい。「被害を受けるのはあなた自身であるかもしれない」ことを。サン・チャイルドに罪はない。

『NO NUKES voice』17号が明日発売される。サン・チャイルドのようにわかりやすい出来事だけでなく、原発の根源悪を抉り出そうとわたしたちは尽力している。お手に取っていただければ幸いだ。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

明日9月11日発売開始!『NO NUKES voice』Vol.17 被曝・復興・事故収束 ── 安倍五輪政権と〈福島〉の真実

老舗のプライド、ここに集結! 他団体交流が増えた新日本キックが、その中心的TITANSで老舗の存在感を見せられるか

江幡睦vsアーリー。江幡睦のローキックを中心とした上下を揺さぶる攻撃が続く
ローキックで攻める江幡睦、鍛え上げられたスネ同士は当たってもビクともしない

 
 
◎TITANS NEOS 24
9月2日(日)後楽園ホール17:05~20:08
主催:TITANS事務局 / 認定:新日本キックボクシング協会

「TITANS NEOS 24」開催翌日の9月3日(月)14時、伊原ジムで一夜明け会見が行なわれました。

新日本キックボクシング協会とREBELSプロモーションの交流戦が10月8日(月・祝)のREBELS興行から開催されます。この日のカードは7月にすでに発表されていますが、日菜太(クロスポイント吉祥寺)vs 緑川創(藤本)戦が確定済。

10月21日(日)開催の新日本キック、MAGNUM.48では日本ミドル級チャンピオン.喜多村誠(伊原新潟)vs 元・ラジャダムナン・スーパーウェルター級チャンピオン.T-98(=今村卓也/クロスポイント吉祥寺)戦、日本ウェルター級チャンピオン.リカルド・ブラボ(伊原)vs UMA(K&K)戦の2試合が確定済です。

会見に出席したのは、昨日の勝者、江幡睦、勝次、リカルド・ブラボ、重森陽太が試合を振り返った感想の他、江幡塁、喜多村誠、T-98が出席。今後の交流戦に向けての豊富を語られています。

◆54.0kg契約 5回戦

ローキックは貰うと脚が麻痺してしまい根性で耐えられるものではない、アーリーも耐えきれず倒れ込む

WKBA世界バンタム級チャンピオン.江幡睦(伊原/54.0kg)
   VS
アーリー・ロー・ペットポートーン(元・パタヤ52kg級C/タイ/53.85kg)

勝者:江幡睦 / KO 2R 1:35 / ローキックによる3ノックダウン / 主審:椎名利一
得体の知れないタイ国強豪との戦いが続く江幡ツインズ。圧倒したり苦戦したり攻め倦んだりもありつつ、それらを上回るテクニックで捻じ伏せる勝利は多い。もう一歩上のムエタイランカー戦に備える戦いが続いています。

ローキック中心に倒せる技を試しながらジワジワ攻めて行くと、次第に顔色険しくなったアーリー。ボディブローとアゴへ突き上げるアッパーも炸裂させつつ、重点的に攻めたそのローキックでの3度のダウンを奪って圧倒のKOで仕留めた。

上半身を攻めつつ、ローキックでダメージを与えていく江幡睦
プットパートノーイvs勝次。勝次の前蹴りで牽制、自信を持った攻撃が続く

◆62.5kg契約 5回戦

日本ライト級チャンピオン勝次(藤本/62.35kg)
   VS
プットパートノーイ・ルークソーンムアン(タイ/61.55kg)
勝者:勝次 / TKO 2R 2:29 / 飛びヒザ蹴り / 主審:桜井一秀

初回、距離が遠かった両者、次第に距離を掴んだ勝次がパンチで追うと連打を繋げダウンを奪う。第2ラウンドは主導権を握った勝次が更にパンチを打ち込み、プットパートノーイは険しい表情に変わる。うつむく癖を見抜いた勝次はパンチでコーナーに追い詰め、プットパートノーイのアゴに軽く飛びヒザ蹴りを炸裂させて失神させ、レフェリーが試合を止めるTKO勝利となった。真空飛びヒザ蹴りの継承者と名乗る勝次。この技でのKO勝利は今後幾つ奪えるだろうか。

勝次vsプットパートノーイ。真空飛びヒザ蹴りを意識した老舗の大技、プットパートノーイを劇的に倒す
ニュートラルコーナーに登って雄叫びをあげる勝次。最も快楽的瞬間
田村聖の連打を浴びた斗吾は脆くも崩れ落ちた

◆73.5kg契約3回戦

日本ミドル級チャンピオン斗吾(伊原/73.5kg)vs NKBミドル級1位.田村聖(拳心館73.0kg)
勝者:田村聖 / KO 2R 0:56 / パンチによる3ノックダウン / 主審:宮沢誠

NKBとの交流戦。斗吾が田村聖に呆気なく倒されてしまった。多様なタイプとの経験値ある斗吾有利と思われたが、初回は様子見ながら第2ラウンドで田村聖のタイミングいい距離感での右ストレートがヒットすると、足にきた様子の効いてしまった斗吾。そのまま左右連打を浴びてダウンを喫する。田村聖は更に立て続けにダウンを奪い、最後は連打の中、レフェリーが止め、3ノックダウンとなるノックアウト勝ちを掴んだ。NKBの株をグンと上げた形の田村聖、交流戦初勝利となった。

田村聖(右)が右ストレートでダメージ重なる斗吾にクリーンヒット
当て勘優れたHIROYUKI(右)の右ミドルキックがウィサンレックにヒット

◆55.0kg契約3回戦

日本バンタム級チャンピオンHIROYUKI(藤本/54.9kg)
   VS
ウィサンレックMEIBUKAI(元・ルンピニー系バンタム級・フライ級C/タイ/54.8kg)
勝者:HIROYUKI / 判定3-0 (椎名29-27. 桜井29-27. 宮沢30-28)
主審:仲俊光

初回、HIROYUKIが距離を取りながらローキックで様子を見るように積極的に攻めるが、ウィサンレックも応戦し、HIROYUKIの動きを見極め、次第に距離を詰めるウィサンレック。

第2ラウンドはウィサンレックがヒジを狙うように接近したところにHIROYUKIの相打ち覚悟の左フックが当たると脆くも崩れたウィサンレック。ダメージは軽いが勝負を決定付けた一発だった。勢いつけば飛びヒザ蹴り、後ろ蹴りと調子を上げるが、ウィサンレックの組み技、ヒジ打ちを避けてか、後半距離を取るシーンも増えるも的確なヒットを残したHIROYUKIの作戦勝ちだった。

勢いに乗ったHIROYUKI、飛びヒザ蹴りで更に突き放す

◆67.0kg契約3回戦

日本ウェルター級チャンピオン、リカルド・ブラボ(伊原/アルゼンチン/67.0kg)
   VS
CAZ・JANJIRA(蹴拳ウェルター級C/JANJIRA67.0kg)
勝者:リカルド・ブラボ / 判定3-0 (桜井30-28. 仲30-29. 宮沢30-28)
主審:少白竜

ブラボが打って出ればCAZも打ち返してくるタフさにブラボをコーナーに追い詰める圧力もあり、苦戦するような印象さえ与えるが、連打とパワーが上回ったブラボが判定勝利。

◆ライト級3回戦

重森陽太(前・日本フェザー級C/伊原稲城/60.9kg)
   VS
RYOTA・RENSEIGYM(錬成塾/61.0kg)
勝者:重森陽太 / KO 2R 2:29 / 10カウント / 主審:椎名利一

両者のけん制気味の蹴りから始まった初回、重森の右ミドルキックは相変わらず、しなやかに重く圧し掛かる。第2ラウンドにパンチの距離になったRYOTAからカウンターで左フックを当てると、効いてしまったRYOTAは10カウントを聞き、重森陽太がKO勝利。

◆62.0kg契約3回戦

日本フェザー級1位.髙橋亨汰(伊原/62.0kg)vs ダルビッシュ黒木(KING EXCEED/61.8kg)
勝者:ダルビッシュ黒木 / KO 2R 3:00 / 3ノックダウン / 主審:桜井一秀

◆ミドル級3回戦

日本ミドル級2位.本田聖典(伊原新潟/72.4kg)
   VS
J-NETWORKミドル級6位.小原俊之(キングムエ/72.3kg)
勝者:小原俊之 / 判定0-2 (椎名28-30. 桜井29-29. 少白竜28-30)
主審:宮沢誠

◆フライ級3回戦

日本フライ級2位.空龍(伊原新潟/50.5kg)vs 同級4位.細田昇吾(ビクトリー/50.55kg)
引分け 0-0 (30-30. 29-29. 29-29)

◆フェザー級3回戦

日本フェザー級4位.皆川祐哉(藤本/57.0kg)vs 國枝悠太(二刃会/57.0kg)
引分け 0-0 (28-28. 28-28. 28-28)

◆50.0kg契約2回戦

小野拳太(藤本/49.75kg)vs 岡田彪雅(クロスポイント吉祥寺/47.9kg)
勝者:岡田彪雅 / 判定0-3 (18-20. 19-20. 19-20)

敵地でKO勝利を収めた田村聖、一気に注目を浴びる存在となった

《取材戦記》

新日本キックボクシング協会は7月からNKBグループ(日本キックボクシング連盟
とキックユニオン)との団体交流戦が始まったばかりで、続いてREBELSプロモーションとの交流戦が実現となります。

REBELSはフリーの興行プロモーションで、元MA日本フライ級、フェザー級チャンピオンの山口元気氏が代表。2010年1月から活動開始、当初はWPMF日本支局傘下にありましたが、後に独自にREBELSをタイトル化したチャンピオンを始めとする契約選手を抱え、梅野源治やT-98がラジャダムナンスタジアム王座獲得に至っています。
開催前の発表会見に加え、一夜明け会見なるものが各興行や団体毎に増えてきました。試合直後にリング上や控室で応えられるコメントより、1日経って心も落ち着いた、上手くまとめ上げたコメントが多くなります。試合直後の興奮気味なコメントにも本音が現れやすいので、そこを狙った取材陣も居ることでしょう。

「KNOCK OUT」イベントでのビッグマッチの影響が他興行にも影響が現れてきた今年、新日本キックが積極的に交流戦に打って出た“老舗、変革”が楽しみなところです。

次回の新日本キックボクシング協会、MAGNUM.48は10月21日(日)後楽園ホール(17:00開始)に於いて行なわれます。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

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一水会代表 木村三浩=編著『スゴイぞ!プーチン 一日も早く日露平和条約の締結を!』

北海道ブラックアウト震度7 大震災列島に暮らす私たち

9月6日午前3時過ぎ、北海道を大地震が襲った。4日には台風21号が猛烈な勢いで、関西から東北・北海道までなめつくし、関西空港が壊滅的な被害を受けたのは、本通信でお知らせした通りだった。今回の台風は、関西空港だけでなく関西地方に、広く被害を出した。鹿砦社本社近くの甲子園浜でも高潮により、中古車100台余りが燃えるという被害が出ているし、神戸ではやはり高潮で多くの地域が水につかった。


◎[参考動画]土砂崩れ現場=北海道地震(時事通信映像センター2018年9月5日公開)

9月5日、所用で京都市内に出かけたら、桜の名所、蹴上浄水場ちかくのソメイヨシノが太い根元近くから何本も折れていた。山科区の電線には飛んできたトタンがまだぶら下がっている。広範囲で深刻な被害が出ていることが確認できた。

そして6日早朝に目覚め、インターネットのニュースを眺めると、北海道で大きな地震があったと報じている。その揺れは東京付近まで及んでいるようだが、関西には至らなかった。情報を眺めていると携帯電話にメールが入った「小生いま、北海道旅行中ですがとりあえず無事です。停電でラジオもなく情報が錯そうしていますが、無事のお知らせまで」。知人が休暇を取ってちょうど北海道に旅行中だったのだ。世耕経産大臣は午前中の記者会見で「数時間で電気は復旧させる」と見栄を切ったが、それから半日近くたっても停電復旧の見通しは立っていない。

 
2018年9月6日付朝日新聞

そして、今回の地震で、わたしたちは、凄まじい自然の力をまたしても見せつけられることになった。朝日新聞がヘリコプターから撮影した写真によると、山があちらこちらで形を失っている。

気象庁の発表では最大震度は6強とされているが、「震度を計測できなかった地域も少なくない」と気象庁も発表している。正午前後だったろうか、公衆電話が無料開放されたと知ったので、知人に「公衆電話は無料で使えるようですよ」とメールで連絡した。午後3時に至るも290万世帯が停電し、札幌市内では大規模な陥没や、液状化現象もみられるようだ。

数日前は台風で、そして今日は大地震で北海道が大混乱に陥っている。泊原発は「外部電源は喪失したが、非常用ディールが稼働し、燃料も7日分の備蓄があるから安全だ」といち早く伝えていた(逆に言えば7日の間に電源が戻らず燃料が供給されなければ、破局に陥るということだ)。

Yahooには天気のタグがあり、その中の「地震」を選択すると、体感地震の記録が掲載されている。今回の震源は「胆振(いぶり)地方中東部」とされている。通常、大地震の前には前日あたりから、微震が記録されていることが多いのだが、6日3時12分以前に「胆振地方中東部」を震源とする微震の記録はない。専門家は既に断層の分析や、「今後1種間程度は震度6程度の余震に警戒するように」とわかり切ったコメントを、あたかも定例行事のように発表している。しかし、正直わたしは戦慄を覚える。北海道で被災された方の大変さに思いを致しながらも、こうも頻繁に日本列島で大地震が頻発することに、生物的な恐怖を覚える。

「数時間で復旧を指示」した北海道の電力は、どうやら完全復旧には1週間程度かかるらしい、との本音が報道され始めた。幸いにも「殺人的酷暑」の季節が終わった後ではあるが、秋雨前線が近づいて、被災地では2次災害の恐れが懸念される。どうかこれ以上苦しまれる方が出ませんようにと祈るしかない。

こんなにも大地震は頻発したことがあっただろうか?「あっただろうか」とはいにしえの史実を振り返るのではなく、半世紀余り生きてきたわたしの人生の中で「あっただろうか」との意である。記憶にない。1995年阪神大震災以降、太平洋プレートが沈み込む上に乗っかっている日本列島が、地震の活動期に入ったことは、新潟地震、鳥取地震、東日本大震災、熊本地震など数々の大地震で立証済みだ。地震の前に人間は何の手も打てはしない。立ちすくみ怯えることしかできない。

食料や水の備蓄をする程度しか人間には打つ手がない。重ねて被災地の方々にはお見舞いを申し上げる。ここ数年で北海道から九州まで、すべての地域が地震の被災地になった。もう他人ごとでは済まされないと痛切に感じる。しかし、わたしたちは地震を止めることはできないのだ。この冷厳な事実の前に思索を巡らせるしか方法はない。


◎[参考動画]北海道震度6強地震 大規模土砂崩れが起きた厚真町の様子(北海道ニュースUHB2018年9月6日公開)

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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