広島の元アナウンサー窃盗事件で冤罪判決

「被告人を懲役1年に処する……」
裁判官が主文をここまで読み上げた時、傍聴席で複数の人が「ええっ」と驚きの声を上げた。この裁判では公判のたびに被告人の支援者が多数傍聴に来ていたが、この日もそうだった。声を上げたのは、審理を見てきて、「無罪判決」を確信していた被告人の支援者たちだと思われる。冤罪がこの世に存在することは知りつつも、それはマレなことだと信じていたのだろう善良な人たちに「刑事裁判の現実」が突きつけられた瞬間だった。

9月20日付けの当欄で紹介した広島の放送局、中国放送の元アナウンサー・煙石博氏(67)が窃盗罪に問われた裁判の判決言い渡しが去る11月27日、広島地裁であった。一貫して無実を訴えていた煙石氏に対し、三芳純平裁判官が宣告したのは、懲役1年・執行猶予3年の有罪判決。煙石氏は「一言で言えば、不当な判決。絶対許せない判決です」などと述べ、即日控訴した。

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『三島由紀夫と全共闘の時代』【ブックレビュー】

当時、世間から忌み嫌われていたものが、1に三島由紀夫、2に『平凡パンチ』、3に全共闘だった。それが、『平凡パンチ』が三島由紀夫に書かせていた理由だという。
三島由紀夫の自決に衝撃を受け、「一水会」を創設した鈴木邦男も、「そうですか、へえ!?」と感嘆する。
その内幕を明かしたのは当時の『平凡パンチ』の編集者で、『完全版 平凡パンチの三島由紀夫』の著書もある、椎根和である。
3つが嫌われていた理由は、「三島が言うことは、そろそろ信用できないよな」という世間的風潮、『平凡パンチ』はスケベな記事ばかり載せている、全共闘は共産党から外れた未婚の母から生まれた子供みたいな見られかた、と語られている。

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若松監督を撥ねたタクシー運転手の刑が、罰金70万円の謎

昨年10月12日の夜に新宿区の外苑西通りでタクシーに撥ねられ、同月の17日で搬送された病院で死亡した映画監督の故若松孝二氏の交通事故裁判が、11月12日に東京地裁で開かれた。
被告のタクシー運転手は、検察の起訴状を認めて公判は1回で終了し、11月20日の判決では、求刑通りに罰金70万円が言い渡されている。

若松監督の交通事故死は、脱原発運動の参加者からも注目されていた。
監督は事故の一月前のベネチア国際映画祭の記者会見で、次の作品は東電を題材にすることを宣言していたからだ。反骨精神の塊のような監督のことだから、大手メディアがタブー視して報道してこなかった白川司郎氏や竹内陽一氏といった原発マフィアと政治家やメディアの関係など、国や政府が隠してきた闇の部分にも、大胆に斬り込むことが想像され、原発マフィアにとっても、看過できない話だった。

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政治家の街頭演説はよくて、市民の意思表示はテロ?

自民党の石破茂幹事長が、11月29日の自身のブログで、議員会館の外での「特定機密保護法絶対阻止!」のデモンストレーションに対して、「単なる絶叫戦術はテロ行為とその本質においてあまり変わらない」と記して批判を受け、テロの部分を撤回した。
「お詫びと訂正」を12月2日に出しているのだが、これもまたおかしい。
以下の内容だ。
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整然と行われるデモや集会は、いかなる主張であっても民主主義にとって望ましいものです。
一方で、一般の人々に畏怖の念を与え、市民の平穏を妨げるような大音量で自己の主張を述べるような手法は、本来あるべき民主主義とは相容れないものであるように思います。
「一般市民に畏怖の念を与えるような手法」に民主主義とは相容れないテロとの共通性を感じて、「テロと本質的に変わらない」と記しましたが、この部分を撤回し、「本来あるべき民主主義の手法とは異なるように思います」と改めます。
自民党の責任者として、行き届かなかった点がありましたことをお詫び申し上げます。
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駅頭などで行われる政治家の街頭演説も、かなりの大音量で行われている。
確かに、スローガンをただ繰り返すだけのデモンストレーションはあまり効果がないのでは? と思いもする。だがそれを言うなら、選挙運動の際の宣伝カーのスピーカーからの名前の連呼は、ただ迷惑なだけだ。

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菊の御紋の巨大トレーラーの正体

白塗りの巨大トレーラー。ボルボ社製とのことである。車体に菊の御紋が描かれ、「皇祖天照大神」の文字がある。右翼の街宣車かと思うが、写真にあるように書かれているスローガンがひと味違う。
「真正のバカか安倍晋三 原発汚染水たった7年でどう始末する」
東京でオリンピックを開くことへの、痛烈な批判だ。

他のスローガンを見てみよう。
「政府は大政を奉還せよ このままでは十年以内に日本は滅びる」
「首洗って待て安倍晋三 玉を奉ずる当隊の使命は朝敵の弾劾ぞ」
「オリンピックどころか 浮かれていると恐るべき天罰が下るぞ」
「皇太子殿下が起たれる 荒廃する一方の世相を深く憂えられて」
「皇太子殿下の聖使命は 真正日本の再生と環境問題の根本解決」

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佐野圭亮はアニメオタクぶりで「里見浩太郎の息子」から脱皮できるのか?

11月4日のバラエティ番組「私の何がイケないの?」(TBS)でアニメオタクぶりが紹介された、里見浩太郎の息子で俳優の佐野圭亮が「これほどアニメについて思い入れがあり、詳しいとは知らなかった」として、アニメ関連のイベントや雑誌からの仕事の問い合わせが相次いでいる。もともと同番組は「甘えた男のひどい行状を糾弾する」というコンセプトで、佐野のありのままの姿がこっそりとカメラに収められていた。

「隠しカメラで撮影された佐野の様子は、『機動戦士ガンダム』を見ながら、静止ボタンを押して、まったく関心を示していない妻に『クイズです、このあとどうなるでしょうか』と答えを強要するなどしてパネラーはどん引き、司会の江角マキコも『里見さんの息子のこんな幼稚な姿をオンエアしていいのかな』と収録中に嘆いていました」(TBS関係者)

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『島唄よ、風になれ! 「琉球の風」と東濱弘憲』限定特別保存版【ブックレビュー】

先にも紹介した『島唄よ、風になれ! 「琉球の風」と東濱弘憲』(鹿砦社)だが、限定1000部で、DVD付きの特別限定保存版が出た。
熊本市内の沖縄料理店「ゆがふ」の店主、東濱弘憲の一声で始まった、フェスティバル『琉球の風』は、今年で6回を重ねた。
東濱弘憲は昨年4月24日、逝去した。がんの再発が告げられたのが、その2年前。病と闘いながら、『琉球の風』の開催を続けていた。

同書には、出演者やゆかりのあるアーチスト、宮沢和史(THE BOOM)、宇崎竜童、島袋優(BEGIN)、ネーネーズ、鳩間可奈子、藤木勇人、大島保克、内田勘太郎、新良幸人、下地勇、よなは徹、ボブ石原、のインタビューも収められている。
この顔ぶれを見るだけで、このフェスティバルの質の高さが分かるだろう。

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華原朋美に、公衆の面前で振られた「ニセ皇族」

歌手の華原朋美が、熱烈な求愛を受けてきた竹田恒泰を、公衆の面前でフッたと話題である。華原朋美(39)は、25日、一部で新恋人と報道されたタレント学者の竹田恒泰氏(38)について、交際していないと公開の場で宣言した。

それは竹田氏が訪れた華原のライブ「DREAM~TOMOMI KAHARA CONCERT 2013~」(渋谷・NHKホール)でのことだった。芸能紙の報道によると、アンコールになって「今日は竹田君がコンサートを見に来てくれてるんですよね」と切り出した華原は、熱愛報道について「本当に違うんです、付き合ってません」とキッパリ否定した。そして「支えてくれるし理解してくれるし、頑張れと背中を押してくれる大事な方。彼氏になってほしいと思ったら『彼氏になって』って言います。でも今のところないです。ごめんね(笑い)。でも本当のことだから」

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円満退社はいいことか?

エン・ジャパンの調査によると、退職時に本当の理由を伝えなかった割合が45%となっている。あえて隠す必要のない理由で退職する人のことも考えたら、会社に何らかの不満があって辞める人が、建前の理由を伝える割合はもっと上がるだろう。

建前として伝えた退職理由は「家庭の事情」「仕事内容」「体調」の合計で68%にもなるが、本当の理由は「社風や風土」「人間関係」「給与」「待遇」の合計で66%となる。いかに本音を隠して円満退社をしているかが伺える。

生活術や仕事術といった書籍でも「会社の不満を言ってキャリアに傷をつけるよりは、円満に退社するべき」といった意見が書かれている。私が20代の頃に買った仕事術の本にも同じようなことが書かれていた。確かに自分のことだけを考えれば当然のことだ。円満退職していれば、仲の良かった元職場の人とも交流が続くこともあるし、コネやパイプも残せる可能性がある。しかし会社と喧嘩して辞めてしまえば、それらを失うばかりか、元職場から悪評が流される恐れもあり、同じ業界に転職する場合は大きな足かせになる。

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猪瀬直樹5000万円“借金”問題に見る、元“革命家”の地金

普通なら返済が終われば破棄してしまう借用書が、今さら出てくるとは、「エビデンスが大事」と言ってきた、猪瀬直樹ならでは、といったところか。
猪瀬直樹知事が、「徳洲会」グループから選挙前に5000万円を受け取っていた件。11月29日からの都議会定例会で、追及を受けるのは必至であろう。

人間というものは、知識や経験によって変わってくるものだが、基本的な行動様式は変わらないものなのだな、としみじみと感ずる。
猪瀬知事はノンフィクションライターであった。権力の闇を突いてきた彼が、なぜ自分のことになると曖昧模糊とした説明しかできないのか? といった、疑問や批判が巻き起こっている。
だが忘れてはならないのは、猪瀬はノンフィクションライターになる前は、革命家だったことだ。

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