《書評》『ヤングケアラー 介護する子どもたち』家族に過剰にケアを押し付ける新自由主義をやめ、当事者の想いの受容ときめ細かな支援を さとうしゅういち

大手のマスコミが社会の木鐸としてきちんと機能し、いままで埋もれていた問題に光を当てて政府や自治体を大きく動かした。最近、こういう例は少ないように思えます。

 
毎日新聞取材班『ヤングケアラー 介護する子どもたち』毎日新聞出版

しかし、その例外といえるのが、今回ご紹介する、「ヤングケアラー」問題における毎日新聞取材班の活躍ではないでしょうか? 今回の書籍のもととなった、毎日新聞連載「ヤングケアラー幼き介護」は第25回新聞労連ジャーナリズム大賞を受賞しています。

◆統計さえなかったヤングケアラー

ヤングケアラーは法令上の定義はありませんが、一般に、本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている子どもとされています。

ケアの負担が重くなると、学業や友人関係、就職などにも悪影響を及ぼし、時にはその子の人生を大きく左右してしまうケースもあります。いっぽうで、「親孝行な子」「きょうだいの仲がいい」などと言われて「支援の対象」とは認識されなかった面があります。しかし、毎日新聞取材班が取材を始めるまでは、統計さえなかったのです。

統計を目的の数字を得るために、調査票レベルから再集計してもらうオーダーメイド統計という制度があります。取材班はこれを活用して、就業構造基本調査を再集計してもらい、2017年に3万7000人の15-19歳のヤングケアラーがいる、ということをつかみ、2020年3月に報道しました。

◆知事と議会がねじれの埼玉県が先行、そして国も動き出す

取材班のねばりつよい報道の中で、国も重い腰を上げて調査に乗り出します。2021年4月に公表された調査では中2の5.7%、高2の4.1%が世話をしている家族がいる、と回答しています。これにもとづき、政府も支援策を打ちだしはじめました。(※ヤングケアラーについて

いっぽう、埼玉県では国より一歩先に調査を行いました。回収率86.5%のアンケートで高2の4.1%がヤングケアラーであることがわかりました。なお、これは、国と違って、「(疾病や障害のない)きょうだい」のケアを抜いた数字です。きょうだいのケアでも負担が過重になれば学業などに問題が出てきます。

ちなみにこの埼玉県では家族を介護する人を支援するケアラー支援条例が野党共闘推薦の大野知事に対する野党・自民党(県議会では多数派)の提案により2020年3月議会で成立しました。知事に対する独自性を見せようとする埼玉自民党の戦略ではあります。しかし、こういう議会と知事のねじれの状況だからこそ、施策が進んだということは興味深く感じました。

◆当事者の想いも多種多様 受容の上できめ細かな対応を

ここで、気をつけたいのは、当事者の想いも多種多様であるということです。埼玉県の調査でもヤングケアラー該当者の38.2%が必要な支援は「特にない」ということです。「本当に大変な人はそっとしておいてほしい」という自由記入がそれを物語っています。

大人といえば、学校の先生を筆頭に、「上から管理」してくるもの。いわゆるブラック校則などを背景にそういう認識が日本の子どもの間で強いのは当たり前です。大人を警戒してしまう気持ちもわかります。

これまで、「家族のケアを理由に遅刻・欠席しても、先生に怒られるだけだった」という人。他方できょうだいをケアすることで「えらいね」とほめられた経験が強い人。いろいろいらっしゃいます。急にいまさら「大変だ」と大人に騒がれても白けてしまう気持ちはわかります。

また、本書にもありましたが、精神疾患を持つ親族をケアしている場合は、とくに支援をもとめにくい状況があります。精神疾患は恥ずかしいことではない、という文化を根付かせていくことも大事であると痛感しました。わたしたち介護・福祉職も高齢者やおとなの障害者相手なら「受容」(まず話を聞いて受け入れる)よう叩き込まれていても、子ども相手ではついつい上から目線になってしまいがちかもしれない。

イギリスは家族を介護する人を大人も子ども関係なく支援する仕組みが充実している国です。そのイギリスでは、ヤングケアラーのイベントがあり、医療・福祉行政担当者に直接要望する場があるそうです。

まずは、話を聞いてもらいやすい環境を整えた上で、教育や医療・福祉関係者が連携しての個人にあわせたきめ細かな支援ではないでしょうか?

◆10年前以上前からケアラー支援法は筆者の公約

わたくし・さとうしゅういちは、2011年、県庁を退職してあの河井案里さんと対決するため、立候補した県議選でイギリスの介護者支援法を参考に「家族を介護する人を応援する基本条例(基本法)」制定をおそらく、広島県内の候補者でははじめて公約としました。

まず、基本法をつくり、高齢者や障害者など要介護者だけでなく、家族を介護する人も支援するような福祉サービスのあり方をつくっていく。気軽に相談しやすい仕組みをつくっていく。こうしたことを構想していましたし、今後も政府の施策の改善点の提案を中心に取り組んでいきたいと思います。

◆ケア負担を家族に過剰に抱え込ませる新自由主義の打破を

介護保険制度を担当する広島県庁マンだった時代から、ケアに対する社会的評価が低いこと、それと連動して、家族で抱え込んでしまう傾向が強いことに危機感を覚えていました。

子育てから介護まで「嫁」(現役世代女性)に全てを抱え込ませることを前提としてきたといっても過言ではありません。それと連動して、介護や保育などの労働者は「女の仕事」として低賃金に据え置かれてきました。

最近では、諸外国にくらべればまだまだとはいえ、男女平等も進んできています。また、家族の人数も減少している。そういう中で、「嫁(母親)にすべてを抱え込ませる」状況は崩れている。しかし、妻を介護する側に回った男性が悩んだあげくに妻を殺してしまう事件は当時から広島市内でも頻発しています。あるいは、母親もハードワークせざるを得ない低所得者層を中心に、子どもにしわ寄せがいく例も多くなっていると推察されます。

昔は、大手企業男性正社員世帯主を前提に嫁・妻・母親たる現役世代女性にケアをすべて抱え込ませる家族の在り方を前提に家族に過剰にケアを抱え込ませる社会の仕組みでした。そういうあり方がたちゆかなくなっていることからこの20-30年近く、目をそらし、家族に過剰に抱え込ませるような仕組みを温存してきたことが、男性介護者による妻殺害やヤングケアラー問題として噴出しているとも感じます。

なお、「大阪維新」の政治家などの中には旧来型政治への批判を装い、「日本はシルバー民主主義でけしからん! 高齢者サービスを削って若者優先を!」という趣旨の扇動で一定程度成功している方もおられます。しかし、高齢者サービスを削ることは、逆に高齢者の家族であるところの若者を追い込んでしまうのです。維新の世代間闘争に見せかけた家族への過剰なケア負担の押し付けは岸田自民党以上に危険です。

当面は、財政出動によるサービス充実、そして中長期には、コロナ災害の下でも過去最高益を出しているような超大手企業や超大金持ちの方々に適切にご負担いただくことでサービスを増強するよりないでしょう。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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《2021年冤罪ニューストップ5》布川事件・桜井さん国賠勝訴、飯塚事件第2次再審請求など今年も色々あったが、1位は意外なあの事件 片岡 健

筆者は今年も当欄であれこれと冤罪に関する記事を書いてきた。そこでこの1年を総括し、2021年の冤罪ニューストップ5を報告したい。なお、この選考は筆者個人の完全なる独断と偏見によることをあらかじめお断りしておく。

◆第5位 布川事件・桜井昌司さんが国家賠償請求訴訟で勝訴確定

29年の獄中生活を送ったのち、再審で無罪を勝ち取った布川事件の冤罪被害者・桜井昌司さんが国と茨城県を相手に起こしていた国家賠償請求訴訟は今年8月、東京高裁の控訴審で判決があり、村上正敏裁判長は国と県に連帯して約7400万円を支払うように命じた。判決では、一審判決でも認められていた警察捜査の違法性に加え、一審判決では認められなかった検察官取り調べの違法性も認定された。その後、国と県が上告しなかったため、桜井さんの勝訴が確定した。

勝訴という結果は予想通りだったが、一審判決以上に捜査の違法性が詳しく認定されたこと、体調が心配された桜井さんが無事に勝訴を確定させられたことが喜ばしいニュースだった。

◆第4位 飯塚事件で第2次再審請求

1992年に福岡県飯塚市で小1の女の子2人が殺害された「飯塚事件」で死刑判決を受け、2008年に絞首刑に処された男性・久間三千年さんについては、DNA型鑑定のミスによる冤罪の疑いを指摘する声が根強い。筆者も10年以上この事件を取材してきて、久間さんは冤罪だと確信している。

第1次再審請求は今年4月に最高裁で請求棄却が確定したが、弁護団と遺族は7月に早くも第2次再審請求を実施。この際、久間さんとは別の真犯人とみられる人物を目撃したという男性の証言を新証拠として福岡地裁に提出した。証言内容の信ぴょう性もさることながら、こういう有力な目撃証人が今になって現れるのは飯塚事件が冤罪であることが社会に浸透したことを示している。

長く取材している事件でもあり、個人的に弁護団や遺族を応援したい気持ちもあり、第4位に選んだ。

冤罪の可能性を伝える報道が続出(上段左・まいどなニュース、同右・東スポweb、下段左・日刊SPA!、同右・東洋経済ONLINE)

◆第3位 鶴見事件の高橋和利さんが獄中で死去

高橋和利さんは、1988年に横浜市鶴見区で起きた金融業者の夫婦に対する強盗殺人事件の容疑で検挙され、2006年に死刑が確定した男性だ。捜査段階に自白したものの、裁判では無罪を主張し、死刑確定後も冤罪を訴え続けていた。しかし雪冤の願いはかなわず、今年10月、収容先の東京拘置所で肺炎のために亡くなった。享年87歳。

高橋さんは、世間一般にはあまり知られていないが、専門筋の間では有名な冤罪被害者だった。2017年には日弁連が再審請求を支援する決定をしたことも話題になった。この際、真犯人の可能性がある人物が証拠から浮上したという話もあっただけに、高橋さんの死去により事件の真相が闇に葬り去られることになってしまったのも残念だ。

なお、拙編著『絶望の牢獄から無実を叫ぶ』(鹿砦社)には、高橋さんが獄中で捜査や裁判に対する批判や怒りを綴った遺稿が掲載されているので、関心がある方はご参照頂きたい。

◆第2位 米子ラブホテル支配人殺害事件の石田美実さんが3度目の控訴審で控訴を棄却される

米子ラブホテル支配人殺害事件については、当欄では何度か注目の冤罪事件として紹介した。今年11月、被告人の石田美実さんは広島高裁松江支部であった「3度目の控訴審」で控訴棄却の判決を受けたが、ここに至るまでに、(1)一審で懲役18年、(2)控訴審で逆転無罪、(3)上告審で控訴審に差戻し、(4)2度目の控訴審で一審に差戻し、(5)2度目の一審で無期懲役――という異例の経過を辿っていた。

検察官が無罪判決を不服として上訴し、そのために冤罪被害者が一度は勝ち取った無罪判決を破棄され、その後も延々と身柄を勾留されて苦しめられているという点において、検察官上訴が制度上許されている日本ならではの酷い冤罪事件だと言える。それにもかかわらず、世間的にほとんど注目されていないので、少しでもこの事件の存在を世に広めたく第2位に選んだ。

そして、いよいよ第1位だが…。

◆第1位 紀州のドン・ファン事件で冤罪説が渦巻く

2018年に和歌山県田辺市の資産家で、「紀州のドン・ファン」と呼ばれた男性(当時77)が亡くなった事件では、55歳年下の元妻・須藤早貴さん(25)が当初から疑いの目を向けられていた。そして今年4月、ついに和歌山県警が須藤さんを殺人などの容疑で逮捕した。

しかし、警察が確たる証拠を確保した様子は見受けられず、そのために早くもメディアでは冤罪の可能性をほのめかす報道が相次ぎ、あのダウンタウン松本人志氏もテレビで冤罪の疑いを示唆するような見解を示した。ひいては、現在はネット上でも冤罪説が渦巻く事態になっている。

このニュースが第1位に選ばれるとは誰も思っていなかったろうが、これは決してウケ狙いではない。このような、かつてならメディアが容疑者を犯人扱いして騒ぎ立てることが確実な事件で、逮捕当初から冤罪の可能性を疑う声が渦巻く現象は、冤罪問題に対する日本人の見識がかなり向上したことを示している。そのような理由で1位に選ばせてもらった。

冤罪の話題など存在しないほうが良いのは間違いないが、冤罪は決して無くなるものではない。来年以降も当欄で埋もれた冤罪の話題を少しでも多く取り上げたいと思う。

▼片岡健(かたおか けん)
ノンフィクションライター。stand.fmの音声番組『私が会った死刑囚』(MC石井しおりさん)に出演中。近著に『もう一つの重罪 桶川ストーカー殺人事件「実行犯」告白手記』(リミアンドテッド)。

◎片岡健のデジタル鹿砦社通信掲載記事 http://www.rokusaisha.com/wp/?cat=26

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宝島社新書『大阪ミナミの貧困女子』の内容改ざんをめぐり著者の一人、村上薫人民新聞記者が宝島社を提訴! 来年2月16日に大阪地裁で口頭弁論! 尾崎美代子

宝島社新書『大阪ミナミの貧困女子』(共著=村上薫、川澄恵子、角田裕育、河住和美)は、天王寺の書店で一度手にしたことがあった。もちろん表紙に名前の出ている著者の村上薫さんを知っていたからだ。しかし、編集部男性の書いた「はじめに」を読み買う気をなくした。

「もし、大阪に行くことがあったら、この本を読んで欲しい。一生懸命生きている女の子たちが載っている。明日、あなたが会う女の子かもしれない。そんな女の子の気持ちを慮ったら、思わず愛おしくて抱きしめたくなるだろう。でも、おさわり禁止のお店では、追い出されるので、注意が必要だけど」。

その後、村上さんや同じく本書で執筆する河住和美さん、2人の仲間からもこの本の話を聞くことはなかった。「どうしてだろう?」と思っていた矢先、この裁判が始まることを知り、12月15日第一回口頭弁論を傍聴した。

◆コロナ禍の窮状につけ込んできた編集者

人民新聞の記者である村上さんは、記者活動の傍らえん罪・狭山事件や第2、第3土曜日梅田HEP前で行われる「梅田解放区」など様々な社会活動を行っている。一方、学費や生活費を稼ぐために徳島の大学生時代から水商売を経験していたことから、大阪に来てからも水商売などで働いている。活動のため、自由に時間が取りやすいからでもある。

新型コロナウイルスの感染拡大で緊急事態宣言出された大阪は、吉村知事、松井市長ら大阪維新の愚策のせいで、コロナ感染死亡者数、定額給付金や時短協力金などの遅れなど、いずれも全国一位と最悪な状況だ。吉村、松井は、コロナ感染拡大の原因を『夜の街』として、キタやミナミを自粛要請の標的にしてきた。村上さんは、仲間と大阪市役所と交渉を続け、ミナミへの自粛要請を追求する一方、歯科医でミュージシャンの野瀬博之氏らとホステスさんや風俗嬢など困窮する女性たちの相談所「キュア」の運営を始めた。

村上薫さん

そんな村上さんらに「本を出さないか」と声をかけてきたのが、フリーの編集者・角田裕育(すみだ・ひろゆき)氏だ。村上さんらは、困窮する女性たちの実情を広く知ってもらい,ミナミの活性化につながればと出版に協力し、原稿を執筆した。

◆大幅に改ざんされた原稿

村上さんは、原稿を1月頭に入れていたが、1月24日、見せられた原稿は、(私も元原稿を見たが)村上さんの原稿とは別物、しかも「コロナ禍で値崩れした女性を買って応援しよう」という差別的な内容に改ざんされていた。また村上さん担当の原稿や他の原稿に、中国バッシングやセクシャルマイノリティへの差別、偏見などに基づく内容も含まれていた。

これでは、差別と闘う自分が、差別に加担することになるではないか。村上さんは「自分が書いたものではない」と宝島社に抗議。宝島社と角田氏は「2月10日発売だからもう直せない」と主張し、「このまま発行するのであれば、降りるので名前を出さないで」と訴える村上さんに「約束したではないか。(やめるなら)損害賠償1000万を要求する」と要求した。

若い女性に、1000万円請求するとは、かつて武富士がフリーランスのジャーナリストを訴えたスラップ訴訟と同じやり方ではないか。そのため村上さんは、差別的な内容を改めることで仕方なく合意、しかし、最終稿も見せられないまま、2021年2月10日、差別的な内容の本が書店に並ぶこととなった。

◆提訴へ

宝島社はその後、村上さんに対して、契約と原稿料10万円を支払うと申し出たが、村上さんは契約も10万円受け取りも断った。その後法的には「脅迫によって導かれた承諾は無効」なので取り消すとされ、脅迫によって導かれた導かれた承諾は無効となったため、ならば無断で出版したことによって被った損害、ヘイト本が出続けることで、村上さんが本の内容を肯定したようになる信用失墜行為として、絶版、謝罪、損害賠償を請求し、10月12日、大阪地裁に提訴した。

村上さんは意見陳述で提訴の理由をこう述べた。「〈1〉自分が書いた文章ではないとはいえ、夜職や女性、マイノリティを消費する差別的な本を出してしまった責任を取らねばならない。〈2〉社会的地位のない他のもの書きは軽く扱われ、同じような手法で黙らされてきたはずだ。宝島社は私のことも黙らせることが出来ると踏んだのだろう。そのような例を今後出さないよう、問題を明るみにし、物書きやフリーランスの地位の向上を社会的になげかける」。

12月15日の記者会見の様子。左から富崎弁護士、森実千秋さん(「宝島社裁判村上さんを支援する市民の会」会長)、原告の村上薫さん、野瀬博之さん(「キュア」代表)

◆40代男性が書いた原稿が「31歳女性」のものに?

本は村上薫と川澄恵子の共著となっている。執筆者プロフィールには「川澄恵子、女性ライター、31歳」とある。しかし、この川澄恵子さんが取材し原稿にした章は、実際は角田氏が取材し書いたものだ。角田氏のプロフィールは「フリーの記者、年齢40代」だ。なぜ、40代男性の角田氏が30代女性川澄を装わなければならないのか?

報告会で、取材時の角田氏が、女性に対して非常に差別的だったことが、森実千秋さんから報告された。森さんは、4章「ママたちの悲鳴」(執筆・川澄恵子)に出てくる、心斎橋でラウンジ経営する優子さんのお父様だ。森さんは、優子さんが多くのホステスさんを抱え、補助金だけではやっていけないと苦労する様子を見ていたため、角田氏の取材に協力した。

本文で、川澄恵子(角田)は、優子さんの話を熱心に聞き同情しているかのように書かれているが、取材に同席した森さんの話では「ソファに足組んでふんぞり返ってね、ホステスさんに『お姉さんらは、男好きやね』とか聞いて酷かった」という。それでも森さんは「宝島社だから」と信用し,角田氏の態度に怒る優子さんを「我慢してくれ」と宥めたという。

◆宝島社の反論

この件について、宝島社は、「川澄恵子」が書いた原稿は、角田氏が書いた原稿に不適切な内容があったため「前田直子」という女性がリライトした、だから女性が書いたものと反論してきた。何故本名の前田直子を名乗らないかについて宝島社は第一回期日で出された答弁書で「村上が人民新聞の記者なので怖くて隠した」と述べた。

これについては、ミュージシャンでもある野瀬氏が以前角田氏と「宝島社は『前田なおこ』なる女性が、角田氏の原稿をリライトしたといっている。リライトとは、ミュージシャンにとったらアレンジのようなもの。ならば執筆者はやはり角田氏だ」とのやりとりをラインで行っていたと報告した。

また宝島社は「村上さんは1章しか書いていないから共同執筆者ではない。だから本全体に責任とる必要はない」などと反論した。それはないだろう。実際、私も鹿砦社社長松岡氏も「ああ、人民新聞の村上さんが本を出したんだな」と手に取ったり購入したりしている。なお、宝島社は、一番重要な村上さんが名前の掲載を承諾した件について「脅迫ではない。きちんと適切な対応をしている」と反論してきた。

◆執筆者を精神的不調に追い込んだ角田氏

角田氏自身を訴えることはできないのか? これについて村上さんは「仲間で本に執筆している河住和美さんも酷いことをされています。河住さんは私より角田と一緒に取材する時間が長かった。角田は河住さんに対して『自分のいうことを聞け。(素人の河住さんをこれまで本を出したことがある)自分が評価してやっているんだ。従っておけ』と何ヶ月も言い続けられ精神的不調に追い込まれた。自己肯定感を下げられ、訴える気力もなくなるほど追い込まれた。それがこの本をだした宝島社のやり方なんです」と説明した。

もちろん角田氏は証人として出廷することになるだろう。角田氏の原稿をリライトした前田のりこさん30代女性ライターと共に。(ちなみに31歳前田直子はライター歴20年のベテランライターらしい)

全ての出版業者がそうだとは言わないが、少なくとも宝島社の今回の本については、弱い立場の人間を差別し、脅すなどというやり方で作ってきたことは明らかだ。私も執筆する鹿砦社は『紙の爆弾』でも『NO NUKES voice』でも、これでもかと編集部と執筆者との間で校正などの確認作業を繰り返す。確かに、森さんのように「宝島社だから……」や「大きな新聞広告を出せる出版社だから……」と、大手出版社が嘘をつくはずがないと思う人は多いだろう。

しかし、宝島社の本には、そうではない部分があるという実態を、今後裁判で明らかにしていかなくてはならない。宝島社はそもそも、この裁判も、法廷を開かず秘密裏に進めたかったようだ。しかし、15日も予想以上に多くの傍聴者が集まり、今後も堂々と傍聴者を入れ、法廷で争われることが決まった。

次回期日は、2022年2月16日(水)午前10時30分から大阪地裁807号法廷。
傍聴に集まろう!支援の輪を広げよう!
【カンパの送り先】大阪商工信用金庫 普通 店番202 口座番号0398845 相談所キュア

▼尾崎美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者ツイッター(はなままさん)https://twitter.com/hanamama58

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2021年回顧【政治編3】「開かれた国民政党」の真価を発揮した自民党の逆襲 横山茂彦

◆すべては自民党総裁選挙にかかっていた

今年の回顧(【政治編1】)で見たとおり、9月までは「自民党の総選挙敗北」「12年ぶり、三度目の政権交代」も政治日程に上っていた。ポンコツ菅政権継続であれば、である。

すべては自民党総裁選挙にかかっていた。安倍(細田派)と麻生派が支持しているかぎり、自民党は派閥の論理で政権を明け渡すはずだった。本通信ではそれを、「今後の10年を分ける」と表現してきた。

はたして、それは現実のものとなった。立民党は総得票数こそ伸ばしたものの、当選者数では激減。野党共闘を組んだ共産党も議席を減らした。そして維新の会の大躍進、わずかにれいわ新選組が3議席を獲得して大方の見方をくつがえした。

その最大の原因こそ、自民党総裁選挙であったと総括することができる。自民党は男女2人の有力候補を看板に、国民の目に焼き付けるように総裁選挙を演じきったのである。まさに国民政党とは、このような姿であると。

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◆仕掛けたのは岸田文雄だった

いや、その前に菅義偉の電撃的な退陣劇に触れておかなければならない。仕掛けたのは岸田文雄だった。まず岸田は、菅政権を実質的に支えている二階俊博の追い落としを謀った。党の執行部任期を限定しようという、至極まっとうな提案である。

これに対して、菅が対応を誤る。政局の争点にしないために、二階切りで争点潰しに出たのである。二階ははらわたが煮えくりかえる思いで、しかしこれを承諾する。ここから隠然たる菅おろしが始まった。

自民党の独自調査では、この段階で60議席を失うという結果が出ていた。単独過半数割れどころか、政権交代の目が出てしまったのだ。この岸田の妙手は、はたして彼自身の発案だっただろうか。宏池会の政治的な奥行きの深さを感じさせる政局だった。

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◆維新の政権批判に期待した国民

総選挙は「政権交代」を掲げる野党共闘に、国民の深刻な判決を言い渡すものになった。自民党批判は政権の受け皿としての立民・共産・社民には行かず、維新の政権批判に国民は期待したのである。

もっとも、この選挙結果については400人近い地方議員を抱える維新の、当然の勝利であるとの見方がつよい。ちなみに立民は地方議員774人、共産は2660、公明党が2916人、自民党は3418人である。

400人近くの維新地方議員は過重なノルマを課されながらも、伝統的なドブ板選挙をやりきるだけの体力(若さ)があるというのだ(『紙の爆弾』1月号「西谷文和の「維新一人勝ちの謎を解く」参照)。

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自民党の単独過半数確保が意味すること ── 総選挙を総括する 2021年11月2日

◆今のままの野党共闘が政権の受け皿になる可能性は、ほとんどない

この先10年を決める自民党総裁選と書いた手前、これを言うわけではない。しかし、今回の野党共闘から見えてきたのは、立憲民主党と共産党が55年体制の体質・国民の受け止め方に変わりがなかったという事実だ。とりわけ共産党においては、党首が21年も変らない現実がある。

いま、連合の新会長の芳野友子はことあるごとに「立民党は共産党と手を切れ」と演説しているという。選挙戦術としては自公も行なっていることであって、野党共闘がただちにダメだと批評する気はない。

が、日本共産党の保守的な体質はまさに、日本の諸制度に改革をもたらさない守旧派である。維新の会が改革派として自民党批判の受け皿になっているのとは好対照といえよう。この先、今のままの野党共闘が政権の受け皿になる可能性は、ほとんどないと指摘しておきたい。

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代表選挙が孕む立憲民主党の正念場 ── 党首が長年同じ日本共産党の『一党独裁』と公明党の『政教一致』は変わらないのか 2021年11月19日


◎[参考動画]「立民 共産との共闘あり得ず」芳野連合会長(テレ東BIZ 2021年11月28日)

▼横山茂彦(よこやま・しげひこ)
編集者・著述業・歴史研究家。歴史関連の著書・共著に『合戦場の女たち』(情況新書)『軍師・官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)『闇の後醍醐銭』(叢文社)『真田丸のナゾ』(サイゾー)『日本史の新常識』(文春新書)『天皇125代全史』(スタンダーズ)『世にも奇妙な日本史』(宙出版)など。

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芳野友子連合会長の共産党批判は自らの非民主性を棚にあげた笑止千万ブーメラン! 野党・市民連合の「連合忖度」も参院選広島では不要! さとうしゅういち

連合(日本労働組合総連合会)の芳野友子会長は、12月中旬、衆院選2021の総括を発表し、立憲民主党の敗北の原因は日本共産党との共闘にある、としました。芳野会長は、日本共産党について「連合とは真逆」とまで言い切りました。

芳野会長は「共産党は非民主的だ」と、おっしゃりたいのでしょう。しかし、そのお言葉は特大のブーメランである、と連合組合員OBとして指摘せざるをえません。

筆者は、ちなみに、現時点では日本共産党さんも支持していません。むしろ、共産党支持者を名乗る人物による執拗な嫌がらせや誹謗中傷を受けており、裁判所もその事実を認めている状況であること、そういう状況で共産党さんを支援することは筆者の支持者の理解を得られないことを付記しておきます。それでも、芳野会長のひどい発言は反論せざるを得ません。

◆連合推薦以外のまともな女性候補を応援すると幹部は激怒

筆者にいわせれば、連合会長が自分たちの非民主性を棚にあげて共産党批判とは笑止千万です。

筆者は、2000-2011年の県庁マン時代、連合加盟の自治労広島県職員労働組合の組合員でした。支部の執行委員などもつとめさせていいただきました。

連合広島さんは、国政・地方関係なく、選挙において、ごく最近まで「まともな女性候補」を推薦することがありませんでした。このことが、広島県内において、女性衆院議員が一度も誕生しない背景にもなっていますし、県議会においても、野党の女性県議が2021年12月現在、ひとりもいない背景になっています。

当時から介護現場の労働条件の惨状を介護保険担当の役人として存じていた筆者は、女性議員があまりにも少ないことが、女性労働者が多い現場の待遇の悪さにある、と考え、まともな女性候補者を地方、国とわずして、応援していました。その延長で広島市の男女共同参画審議会委員などものちにさせて頂いています。

しかし、連合広島がまともな女性候補を推薦することがなかったので、当然、連合推薦以外の候補を応援する形になってしまいます。当時の連合広島のトップは激怒し、わたしを目の敵のようにされていました。

連合もジェンダー平等(ジェンダー解消、というべきだが)は掲げてはいます。しかし、それはあくまで「ふわりとしたお題目」の範囲であって、わたしが、本気で実現しようとまともな女性候補応援に回ると激怒するわけです。組合として誰それを推薦するというのを決めたとしても、個人が誰を応援しようと自由です。そんなに怒るなら、まともな女性候補を連合広島さんも擁立すればいいではありませんか?

そんな連合が、共産党のことをあれこれ言えるのでしょうか。芳野会長のご発言を聞いて、大笑いしてしまいました。

◆3.11後も原発存続にこだわる連合、忖度する広島の野党第一党

その後、筆者は、当時からお金をたくさん使う選挙で有名だった河井案里さんと対決するために県庁を退職。県議選2011に立候補しました。これは、案里さんの対抗馬だった連合広島推薦の民主党女性候補があまりにも頼りなく、問題のある言動も多かったからです。結果として、案里さんが当選し、民主党候補とわたしは及びませんでした。

その県議選の直前に東日本大震災、東電福島原発事故が発生。しかし、それでも、広島でも大きな影響をもっている労働組合が原発推進であること、地元の民主党衆院議員がブログで島根原発の必要性を強調するなど、原発推進であったことに筆者は激怒しました。

県議選後、筆者は「原発推進の労働貴族は打倒しなければならない。」「原発推進労組とズブズブのA衆院議員を打倒しよう!」と200mくらいおきに自転車で移動しながらきめ細かく街頭演説。ポスティングも万単位でおこないました。落選運動ですから手段に制限はありません。きめ細かい戸別訪問も行いました。

その後、筆者が演説してまわった地域では連合広島推薦の市議は誕生していません。筆者のせいとまでは言えないかもしれません。ただ、筆者がお示しした情報と連合さんの日頃の行動も参考に、地域住民が原発推進労組(に推された候補)を拒絶されたということでしょう。もちろん、候補者個人に落ち度はないし、それなりの見識を持たれた方なのですが、いかんせん、組合の評判が悪いわりに、選挙運動では頼りにならない、ということでしょう。

その後、2013年以降は衆院選2012で圧勝して総理に再登板した安倍晋三さんの暴走が目立ったため、安倍暴走をとめるための「大人の対応」として、国政選挙では連合さんと同じ候補者を2014年、2017年、2021年の衆院選では推薦させていただきました。

それでも、中央の立憲さんが市民連合さんと「原発なき脱炭素」で政策合意したあとも、立憲広島の候補者の中にはあいまいな態度を取られる方も多く、原発推進労組の連合内での影響の大きさを痛感しました。

◆日本共産党と市民連合による連合への忖度こそ、衆院選2021補選最大の敗因では?

いっぽうで、とくに広島の日本共産党さん、市民連合さんにも苦言を呈したいのです。
日本共産党さん。「連合に忖度する立憲」に忖度して、貴党の「良さ」である、「ガツンと庶民の暮らしを重視する」「ガツンと核兵器禁止、脱原発」が後退したのが、衆院選2021での敗因ではありませんか?

市民連合さん。「政策で野党が割れる」ことを警戒して、どちらかといえば「河井批判」や「連合を怒らせない程度のフワリとしたジェンダー平等」ばかりが前面に出されたのではないですか?

そのことが、広島の立憲・共産が小選挙区でも比例でも議席を取れなかった原因ではありませんか?そして市民連合さんが中心になって擁立した候補が衆院選2021の2週間後の県議安佐南区補選で、自民党候補はおろか、評判が最悪のはずの克行受刑者の元秘書の後塵を拝して惨敗した原因ではありませんか?

衆院選2021から、さかのぼること半年。広島では案里さんの当選無効による参院再選挙がありました。

結果として、立憲などがかつぎだした宮口はるこさんが当選したのですが、筆者のほうが先に野党には手を挙げていました。市民連合さんは「宮口さんは連合が推すから」という理由で筆者が開催を要請した公開討論会なども開かれず、宮口さんを推しました。

わたしは、それでも、ギリギリまで一本化を模索。宮口陣営に接触して「伊方原発を含む原発即時0」を条件にわたしがおりるという線を探りました。しかし、「候補は具体的な政策がわかる人ではない」ということで、交渉にならず、わたしはそのまま立候補を決めました。

市民連合の幹部からは「ただしいことを言っても力がないとだめだ」というご批判を多くいただきました。それはまだしも、「お前は俺の地域には2度と出入りするな」という脅しを電話でされた立憲民主党支持者もおられました。もちろん、意に介することなく、その方の近くの路上と、その方の裏山の道路から街頭演説をしましたが。

とにかく、要約すると「正しい政策をガツンというさとうは邪魔だ」「いまはとにかく、河井批判だ(ほかのことを言うやつは許さん)」という圧力が津波のように押し寄せてきました。

だが、そうまでして市民連合さんが応援した宮口さんは、11月に安佐南区補選では市民連合さんが擁立した候補の応援に来てくれませんでした。いっぽう、あれだけ罵詈雑言も浴びせられたわたしは、れいわ新選組のボランティアのみなさまと、同候補の応援に参上しました。

市民連合さんも共産党さん。もう、これ以上連合に忖度する必要はないのではないですか?

「力がないとだめだ」とおっしゃるが「ただしいこと」さえ言えないのでは話になりませんよ。まずは「ただしいこと」(もちろん、中身は有権者の生活状況などで変化はしますが)を言うのは必要条件であり、その上でどうやってそれを実現するかでしょう?

そして、状況は変わりました。「河井批判」は賞味期限切れです。衆院選2021では「原発などの政策は触れずに、河井批判やフワリとしたジェンダーで連合から共産党までまとめて」も箸にも棒にもかからない結果だったのです。わたしも、選挙の終盤で「このままでは野党が政策がないと思われる」と危惧し、立憲の小選挙区応援に入らずに、れいわの比例カーのマイクを握りました(もちろん、選挙区はライアン真由美(立憲)、比例はれいわ、と叫びましたが)。

◆参院選2022広島、各野党は候補を出して力をつけるところから出直し!

参院選2022広島。改選数2です。野党共闘は必要ありません。

各野党は候補を出して次期衆院選では「あわせて勝てる」くらいまでは、力をつけるところから出直せばよいと思います。

民主主義の原点へ さとうしゅういち

筆者はすでにれいわ新選組公募に応募していますが、公認が出ない場合でも、「徹底した財政出動で庶民の暮らしを立て直す」とともに「平和憲法をいかし、核兵器禁止と原発なき脱炭素のエコでフェアでピースな世界」を実現する先頭にガツンと立つ覚悟です(れいわを含む政策が一致する野党に推薦をお願いしますがわたしの政策・政治姿勢をゆずることはありません。)。共産党さんもすでに候補を決められております。とりあえずは、お互い、有権者に訴えたい政策をそれぞれガツンと訴えていけば良いではありませんか?

「いいたいこと」を無理に抑えても、不満がお互いたまります。勝てばいいですが、負けたときに、それこそ、遠心力が強まります。今回の参院選2022広島に限ってはまずは、お互い、独自にがんばりあいましょう。次の衆院選で合わせれば勝てるようにしましょう。

◆最後に やはり小選挙区制は廃止しかない

最後に申し上げたい。やはり、有権者に選択肢をおしめしするためにも、再選挙でわたしが主張したとおり(写真右)、小選挙区制は廃止すべきです。小選挙区制では与野党とも無理に一本化するしかなくなる。そして、比例代表しか立候補していない政党は姿が有権者から見えなくなる仕組みです。せめて、第一歩として、比例代表単独の候補者も小選挙区候補者と同程度の運動ができるような法改正を提案します。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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◎広島瀬戸内新聞ニュース(社主:さとうしゅういち)https://hiroseto.exblog.jp/

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情報公開請求の不透明な実態、最高裁事務総局が裁判官人事に関する書類の開示を拒否 黒薮哲哉

情報公開制度が形骸化している。開示請求を受けた公的団体が、自分たちにとって不都合な情報は開示しない、あるいはたとえ開示しても、肝心な部分は黒塗りで公開することが半ば当たり前になってきた。

情報の透明化を求める世論が広がる一方で、情報を密室に閉じ込めてしまおうとする力も強まっている。その具体的な実態を最高裁事務総局に対する情報公開請求を例に紹介しよう。

◆「報告事件」とは何か?

2021年11月29日、筆者は最高裁事務総局から1通の通知書を受け取った。それは、筆者が同事務総局に対して開示を求めていた裁判官人事に関する文書類を開示しない決定通知だった。

今年の3月22日、筆者は次の文言の情報公開請求を申し立てた。

「裁判官の人事に関する文書の全タイトル。期間は、2018年4月から2021年2月。」

この情報公開請求の目的は、最高裁事務総局による「報告事件」についての調査である。「報告事件」というのは、最高裁事務総局が下級裁判所に対して審理内容の報告を求め、国策などにかかわる判決が下る可能性が浮上すると、担当裁判官を交代させることで、判決の方向性をコントロールする裁判を意味する。元裁判官らが、この種の制度が存在すると話しており、筆者は、その信ぴょう性を確認するために「報告事件」の調査を始めたのである。

◆東京高裁、野村武範の在任日数30日

しかし、その直接の発火点になったのは、筆者が取材していたある裁判の不可解な判決だった。この裁判は、俗にいう「押し紙」裁判で、原告は千葉県内の元新聞販売店主、被告は産経新聞東京本社だった。

原告の元店主は、「押し紙」(新聞のノルマ部数)によって損害を受けたとして、約2400万円の損害賠償を求めていた。

判決は、2020年12月1日に下された。元店主の敗訴だった。この裁判は、当初から店主側が有利に審理を進めていた。実際、裁判長は2度に渡って産経新聞に和解を勧告していた。「押し紙」裁判は、その前年あたりから販売店勝訴の流れが生まれ始めていた。

ところが2020年4月にコロナウィルス感染拡大により緊急事態宣言が発令されて、東京地裁が半休眠の状態に陥った後、予期せぬことが起こる。5月に裁判長が交代になったのだ。そのこと自体は特に珍しいことではないが、新しい裁判官の経歴が明らかに不自然だった。

裁判官の名前は、野村武範。経歴は次のようになっている。

R 2. 5.11 東京地裁判事・東京簡裁判事
R 2. 4. 1 東京高裁判事・東京簡裁判事
H29. 4. 1 名古屋地裁判事・名古屋簡裁判事
H25. 4. 1 最高裁裁判所調査官(東京地裁判事・東京簡裁判事)
H22. 4. 1 東京地裁判事・東京簡裁判事
(略)※出典 https://www.sn-hoki.co.jp/judge/judge2182/

上記の経歴が示すように、野村判事が東京高裁に着任したのは、R2年(2020年)4月1日である。その東京高裁から東京地裁に異動したのは、1か月後の5月1日である。そしてただちに産経新聞「押し紙」裁判の裁判長に就任したのだ。この時点で裁判は、すでに本人尋問、証人尋問(いずれも3月)を終えていた。つまり野村判事の役割は、実質的には判決を書くだけだった。それ以前、審理には加わっていない。

東京高裁の在任期間が1か月というのは常識的にはありえないと、多くの法曹関係者が言っている。

緊急事態宣言が解除されると、野村判事は早々に裁判を結審させた。そして原告の元販売店主の請求を棄却する判決を下したのである。

◆筆者の体験、最高裁で逆転敗訴

ちなみに筆者個人が被告になった裁判でも、不自然な裁判体験をしたことがある。やはり新聞社がらみの裁判で、原告はP新聞社だった。(最終的に筆者が敗訴したので、新聞社名は匿名Pとする)。P新聞社と社員4人は、2008年に筆者が執筆した記事で名誉を毀損されたとして、喜田村洋一・自由人権協会代表理事を代理人に立て、約2200万円の損害賠償裁判を起こした。

しかし、地裁は請求を棄却した。筆者の勝訴だった。喜田村弁護士は解任となり、別の弁護士が出てきた。P新聞社は控訴した。しかし、控訴審でも請求は退けられた。筆者の勝訴だった。が、それでもP新聞社は納得せず判決を不服として最高裁へ上告した。

とはいえ最高裁で判決が覆ることはめったにない。まして地裁でも高裁でも勝訴した裁判で、判決が覆る可能性は極めて低い。そんなわけで筆者は、裁判のことは忘れていた。

ところが最高裁(竹崎博允長官)が、口頭弁論を開き、判決を高裁へ差し戻したのである。高裁は筆者に対して110万円の損害賠償を命じた。判決を下した裁判官を調査したところ、P新聞に少なくとも2度登場していることが分かった。2度にわたり裁判員制度についてのインタビューを受けていたのだ。これを知ったとき、筆者が巻き込まれた裁判はペテンではないかと思った。

◆野村武範判事に関する情報公開請求

筆者は最高裁事務総局の裁判官人事についての調査に着手した。まず2021年1月に次の文言で情報公開請求をおこなった。

「野村武範判事が東京高裁に在任中(令和2年4月1日から令和2年5月10日)に、担当した事件の原告、被告、事件の名称、事件番号が特定できる全文書」

野村武範判事が1か月の期間で、裁判官として本当に業務を行ったのか、あるいは勤務実態があったのかという疑義があるので、上記の情報公開請求を行ったのだ。しかし、最高裁事務総局は、これに関する「文書類は、作成又は取得していない」という理由で開示しなかった。

◆「報告事件」に関する最初の調査

次に筆者は、報告事件の存在を調査するために、今年の3月22日、次の文言で情報公開請求を行った。

「最高裁が下級裁判所に対して、審理の報告を求めた裁判の事件番号、原告、被告を示す文書。期間は、2018年4月から2021年2月」

この情報公開請求に対して、最高裁事務総局は資料を開示したが、大半の記述が黒塗りになっていた。しかし、少なくとも国が原告や被告になっている裁判が「報告事件」に指定されている例が存在することが分かった。

最高裁事務総局が下級裁判所(名古屋家裁)に対して、裁判の「勝訴可能性等について」報告させたことを示す黒塗り文書

詳細は次の記事に詳しい。

◎[関連記事]最高裁長官を退任後に宮内庁参与へ、竹崎博允・元長官ら、「勤務実態」は闇の中、最高裁に関する2つの情報公開調査のレポート 

◆「司法行政文書ファイル管理簿」

この調査と並行して、筆者は冒頭でふれた裁判官人事に関する文書類の調査を進めたのである。しかし、すでに述べたように情報は開示されなかった。

請求内容の文言は、繰り返しになるが、「裁判官の人事に関する文書の全タイトル。期間は、2018年4月から2021年2月。」だった。

これに対して最高裁事務総局は、具体的な文書を指定するように要請してきた。そこで筆者は5月25日に、請求内容を変更した。新しい請求内容は、最高裁事務総局がウエブサイトに掲載している「司法行政文書ファイル管理簿」のうち人事関連の全ファイルだった。もちろん具体的なファイル名も明記した。最高裁事務総局が存在を公表している文書ファイル名を具体的に指定したわけだから、本来であれば閲覧を断られる理由はない。

ところがいつまで待っても文書は開示されない。約5か月後の10月20日になってようやく最高裁事務総局から1通の通知が送られてきた。そこには、次のような記述があった。

「上記ファイル管理簿(注:筆者が指定したファイル)には、主に職員団体に関するファイルが記載されていますが、職員団体の構成員に裁判官が含まれないことから、あなたが開示を求める司法行政文書の特定に疑義があります。
 ついては、本件開示申出の趣旨を確認するために、別添補正書に記載のうち、該当する項目にチェックを入れた上で、下記の宛先に、11月4日までに提出してください」

同封されている「補正書」には、補正するかしないかを確認する項目がある。そのうえで、「提出期限までに同補正書の提出がない場合は、補正する意思がないものとして取り扱わせていただきます」と記されている。

筆者は、補正の意思がないので、「補正書」を提出しなかった。ところが11月29日に、情報を開示しないことを通知する書面が届いたのである。「補正書」を提出しなかったことがその理由となっていた。

10月20日付けの文書では、「補正書の提出がない場合は、補正する意思がないものとして取り扱わせていただきます」と明記されていたので、筆者は、補正書を提出しなければ、全文書が開示されるものと思っていた。そう解釈するのが普通だ。

◆自由と民主主義の国?

その後、筆者は最高裁事務総局の情報公開担当者と電話で、この点について交渉した。担当者によると、開示対象になる文書の量があまりにも膨大になるために、不開示にしたとのことだった。そこでまず文章のタイトルだけの開示を受けるということで合意して、再度請求の申し立てを行うことで合意した。

最高裁事務総局がどのようなかたちで情報を開示するのか、今後、注視していきたい。たとえ黒塗りで公開されても、どの部分が黒塗りになっているかを確認することで、最高裁事務総局が何を隠蔽しようとしているのかが判明する。それなりに効果はある。

「自由と民主主義の国」の内情を確認するうえでも、情報公開請求は、大事なプロセスだ。

▼黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
ジャーナリスト。著書に、『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島新書)、『ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線』(花伝社)、『名医の追放-滋賀医科大病院事件の記録』(緑風出版)、他。
◎メディア黒書:http://www.kokusyo.jp/
◎twitter https://twitter.com/kuroyabu

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2021年NKB最終戦はSasori引退セレモニーとバンタム級王座決定戦は海老原竜二が制す! 堀田春樹

海老原竜二は4人トーナメントの決勝となる王座決定戦で、若い龍太郎を撃破。

前・女子(ミネルヴァ)ライトフライ級チャンピオン.sasori(テツ/PRIMA GOLD)は紅絹(NEXT LEVEL渋谷)と、ぱんちゃん璃奈(STRUGGLE)と1ラウンドずつのエキシビションマッチ。更に師匠と1ラウンドのエキシビションマッチを行ない、引退セレモニーでテンカウントゴングに送られてリングを去った。

最後の打ち合いを楽しむsasori
エキシビションマッチで交わった、ぱんちゃん璃奈と紅絹と並んだsasori

鎌田政興は6月19日に半澤信也の飛びヒザ蹴りで敗れて以来の再戦を、雪辱のKO勝利。

過去、新日本キックで日本ライト級4位だった渡邉涼介はウルフ・タツロウに判定負け。

◎NKB必勝シリーズ 7th / 12月11日(土) 後楽園ホール 17:30~20:21
主催:日本キックボクシング連盟 / 認定:NKB実行委員会

◆第9試合 第9代NKBバンタム級王座決定戦 5回戦

1位.海老原竜二(神武館/1991.3.6埼玉県出身/53.5kg)
     vs
3位.龍太郎(真門/2000.12.25大阪府出身/53.2kg)
勝者:海老原竜二 / TKO 3R 0:34 /
主審:前田仁

龍太郎が蹴りとパンチで積極的に前進し、接近気味に距離を詰める。海老原竜二は待ち構える体勢も、少しやり難いか手数が少ない。やや距離を保てば海老原のミドルキックが攻勢に流れそうだが、パンチとローキックの圧力で下がらない龍太郎。

しかし第3ラウンド開始間もなく、ガードがやや低い龍太郎の顔面に海老原の左ハイキックがヒット。龍太郎は崩れ落ちるも立ち上がろうとするが、足にきてバランスが保てずカウント中にレフェリーに止められてしまった。海老原の先を読むキャリアの差が出た試合。海老原竜二は22戦13勝(6KO)9敗。龍太郎は8戦3勝(1KO)4敗1分

海老原竜二の左ハイキックが龍太郎のアゴにヒット
立ち上がろうとするも崩れ落ちる龍太郎。更に立ち上がろうとする
意識はハッキリ、悔しがる龍太郎

◆第8試合 70.0kg契約3回戦

JKAミドル級1位.光成(ROCK ON/1989.12.3神奈川県出身/69.9kg)
     vs
カズ・ジャンジラ(ジャンジラ/1987.9.2東京都出身/69.45kg)
勝者:カズ・ジャンジラ / 判定0-3
主審:仲俊光
副審:加賀美28-30. 佐藤28-30. 前田29-30

光成の前進を止め、パンチで攻勢を保ったカズ・ジャンジラ
NIIZMAXは変則的に見映えいい技も繰り出すも、攻勢に持ち込めず

序盤は長身の光成の蹴りが効果的に目立つ。カズも次第にパンチで返していき、距離を詰めることで光成のリズムを狂わせ、パンチの連打で攻勢強める。

最終ラウンド残り少ない終了間際で打ち合いに出てきた光成と打ち合ったカズ。互角の打ち合いながら、光成がやや圧力有った終了間際。会場が盛り上がる見せ場となった。

◆第7試合 60.5kg契約3回戦

KEIGO(BIG MOOSE/59.9kg)vs NIIZMAX(クロスポイント吉祥寺/60.15kg)
引分け 0-0 / 主審:川上伸
副審:加賀美30-30. 前田30-30. 鈴木30-30

蹴りから縺れ合って崩れ落ちること多い展開。有効打は無く、差が出ない引分け。

◆第6試合 62.0kg契約3回戦

渡邉涼介(ホライズン/62.0kg)vs ウルフ・タツロウ(アント/61.9kg)
勝者:ウルフ・タツロウ / 判定0-3
主審:佐藤友章
副審:加賀美28-29. 仲28-30. 川上28-30

ウルフ・タツロウに掴まれてのヒザ蹴りに突破口開けなかった渡邉涼介。

組みつかれての揉み合いでスタミナ消耗がキツイ展開。パンチしかない渡辺は勝機を見出せなかった。

ウルフ・タツロウと打ち合いう渡邉涼介も巻き返しに至らず

◆第5試合 フェザー級3回戦

半澤信也(トイカツ/57.15kg)vs 鎌田政興(ケーアクティブ/56.85kg)
勝者:鎌田政興 / KO 2R 2:46
主審:鈴木義和

前回6月19日は一瞬の隙を突かれて半澤の軽く飛んだヒザ蹴りに敗れた鎌田政興が、今度はしっかり相手を見て油断なくパンチで攻勢を続けた。

半澤は何度かけん制気味に飛び技を繰り出すも効果無く、最後は鎌田がパンチからヒザ蹴りを加えた猛攻でレフェリーが止める3ノックダウンとなって雪辱を果たした。

冷静に進めた鎌田政興がパンチで半澤信也を圧倒、雪辱を果たした

◆第4試合 バンタム級3回戦

ナカムランチャイ・ケンタ(team AKATSUKI/53.05kg)vs 幸太(八王子FSG/53.5kg)
勝者:幸太 / 判定1-2 (30-29. 28-30. 28-30)

昨年10月デビュー戦の幸太はナカムランチャイにTKO負け。そのデビューから3連敗も、スプリットデジションながらナカムランチャイに雪辱を果たした。

◆第3試合 63.0kg契約3回戦

YASU(NK/62.4kg)vs カミシロ(PHOENIX/62.45kg)
勝者:カミシロ / TKO 2R 0:40

カミシロのムエタイスタイルが活きたヒジ打ちでYASUの左眉尻をカットさせ、更にヒザ・ヒジの攻勢を続けた後、YASUは傷の悪化で、ドクターの勧告を受入れたレフェリーストップで終了。

◆第2試合 ライト級3回戦

辻健太郎(TOKYO KICK WORKS/61.2kg)vs 高平雅申(上州松井/58.85kg)
勝者:辻健太郎 / KO 1R 2:27

辻健太郎の右ロングフックで高平雅申をテンカウントで仕留めた。

◆第1試合 ウェルター級3回戦

ゆうき(BIG MOOSE/66.2kg)vs 田村大海(拳心館/65.4kg)
勝者:ゆうき / 判定3-0 (28-27. 29-27. 29-27)

チャンピオンとなって抱負を語る海老原竜二「NKBと格闘技界を盛り上げたい」

《取材戦記》

NKBバンタム級王座は、高橋亮(真門)が2015年12月12日に、王座決定戦で松永亮(拳心館)を制して獲得して以来のタイトルマッチとなった。高橋亮はフェザー級に上げ、2019年に二階級制覇を果たしています。防衛戦が無かったのは挑戦者が居なかった。と言うのはランキングが埋まっていないことが実情。団体が多くて活動の差があれば、そんな王座も多いものです。

「格闘技界を盛り上げたい」と応えた海老原竜二。チャンピオンとなった以上は他団体交流も増えると考えられます。これからのチャンピオンロードで、ローカルタイトルで終わるか、日本トップクラスに立つか、真価を問われる戦いが続くでしょう。

レフェリーに止められた後の龍太郎は、フラつくことも椅子に座ることもなく、挨拶を済ませ悔しい表情でリングを下りたが、一瞬の隙を突かれた形で、交通事故に遭った瞬間に似ているかもしれないあのハイキックは、もう少しガードが高ければ、ちゃんと見えていればまだ戦っていただろうと後悔が脳裏を過ぎる悔しさだろう。

引退セレモニーで興行を締め括ったsasari。メインイベントのタイトルマッチの後、会場を去る観客も居たものの、多くの支援者は残っていた様子。試合と試合の合間より最終イベントとして行なう方が、後に控える試合が無いので落ち着いた進行でやれる感じはありました。延べ30分かかったものの、エキシビションマッチで1ラウンド2分制ながら、3人相手に計3ラウンド行なったことはsasoriにとって充実感が残るリング上だったでしょう。

第6試合出場の渡邉涼介は、元々は伊原新潟ジムで、新日本キック脱退後、フリーとしてホライズンジムに名を変え、会長も代わらず乙川敏彦氏が務めています。渡邉涼介は8月28日に日本キックボクシング連盟新潟興行で橋本浩介(PCK大崎)にヒジ打ちに敗れ、今回はウルフ・タツロウに判定負け。他団体進出で険しい道程も今後も戦いは続きます。

日本キックボクシング連盟2022年興行は2月19日、後楽園ホールに於いて開催。10月から延期となっていたNKBライト級タイトルマッチ、高橋一眞(真門)の3度目の防衛戦として棚橋賢二郎(拳心館)の再挑戦を受けます。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

玄界灘の向こうから考えてもらった衆院選 ── 平壌からの手紙 LOVE LETTER FROM PYONGYANG〈5〉 小林蓮実

平壌「日本人村」から、「手紙」の執筆者は魚本さん以外でもいいのか、という相談が以前あり、もともと私はみなさんが代わるがわる書くものと考えていたと回答。このやりとりが手紙らしくなるまでまだ時間はかかりそうだが(苦笑)その後、よど号メンバー・現リーダーの小西隆裕(こにしたかひろ)さんから「デジタル鹿砦社通信 小西ラブレターです」の件名でメールが届く。彼らとの往復メールの前回・第4回のテーマは「『デジタル化』を口実に情報をアメリカに売り渡し、権力を乱用するのか」とした。今回・第5回は私から、10月31日に投開票された衆院選をテーマとしてリクエストしておいたのだ。

「コロナの中、お元気ですか。こちらは、ゼロコロナ。皆、歳の割には元気でおりますから、ご安心ください。総選挙に関する原稿を書きましたので送ります。お役に立てれば幸いです。」とのこと。役立つかどうかをあてにしているわけではないが、私が読者のプラスになるようにまとめる責務はあるだろう。たとえそれが成功しなくても許してほしい。

大同江(だいどうこう/テドンガン)を背景に、平壌「日本人村」事務所のベランダに立つ小西隆裕さん。遠くに対岸の農場が遠望できる。今週は暖かいそうで、雪はなし。このベランダからは夜間、満天の星を楽しめる。

◆「先の総選挙、野党惨敗の根因を問う」 小西隆裕

よど号メンバー・現リーダーの小西隆裕さん

「この国の民はどうしてこうなのか」。先の総選挙結果に接しながら、こうした思いが頭をかすめた識者は少なくなかったのではないか。

しかし、「民」としては、そう言われても立つ瀬がないのではないかと思う。何しろ各党が言っているのを聴いても、皆同じようで、どこを選んでよいか分からなかったのだから。実際、玄界灘を超えた彼方から見ても、与野党どこも、代わり映えがしなかった。

政権交代を目指すのなら、与党との対決点が明確なその目的がはっきりと示されなければならなかったのではないか。

ところが、それがどうも見えてこない。これでは、野党候補を一本化しても、数合わせのための野合だという誹謗中傷が正当性を持ってしまう。

どんなに主義、理念が違っても目的が一致しているなら、いくらでも共闘できる。そのような誰もが納得する政権交代の目的を打ち出し、それを与党との闘いの争点にすることができなかったことに最大の問題があったのではないだろうか。

なぜそうすることができなかったのか。それはそれだけ、彼ら野党が国民の生活と運命に切実でなかったからだと言わざるを得ない。

もし彼らがそれに切実で、国民と一体になっていたなら、それを反映する政権交代の目的を野党共闘の統一した政策として提示することができていたに違いない。

自らの足腰を強くする前に、何よりもまず、国民の意思と要求を反映した路線と政策を政権交代に向けた野党連合統一の目的として掲げるために、野党はもっと国民大衆の中に深く入ることが問われているのではないだろうか。

それともう1つ、日本において国民の生活と運命に切実であろうとするなら、与党自民党政権の背後にいてそれを動かしている米国の動きにも無関心ではいられないはずだ。しかし、それがよく見えてこない。政権交代の目的にもそれが全く反映されていない。

メディアなどの宣伝によって国民の意識から「米国」が消されてしまっている中、この「タブー」に野党が挑戦しないのは、正しい判断なのか。

国民の意識にないからこそ、野党は米国が今、その最前線に日本を押し立ててきている「米中新冷戦」が「日米新時代」のかけ声とともに、日本を米国に吸収統合しようとしてきている事実などに基づき、岸田政権がまさにそれを遂行する「新冷戦体制」づくりのための政権であることなどを明らかにしながら、それに反対する闘いの路線と政策を掲げていくべきだったのではないだろうか。

国民は、広くこのことの本質を受け止め、賛同してくれるのではないだろうか。

私は、この辺りに先の総選挙、野党惨敗の根因を見ているのですがどうでしょうか。

◆次の選挙に向け、どうすればよいのかを一緒に考えよう

前回の結びに対するお返事は特にないようだが、改行が多い(笑)。

さて、5野党一本化の勝率は28%とのこと。選挙制度の問題はあれど、芳しい結果とは言い難い。争点については、岸田が首相となってさらに見えにくくなり、野党共闘側の各党の先鋭的な主張が目立つようになったかもしれない。今日までに私は、やはり地域の仲間などと選挙について意見を交わした。小西さんも触れていることに関連するが、「アンチを唱えて希望がない。50年後、100年後の未来を担う心づもりが感じられない。未来像が見えてこない」。これが最も大きな問題ではないか。

権力をもつ与党をチェックすること、アンチを唱えることは野党の仕事で、必ずしも対案を出す必要はない。だが、選挙では、どのような社会をつくるのかを伝える必要がある。そうでなければ、政治を托す相手を選べない。また現在、失われた年月が増大するばかりで、先が見えず、また新型コロナウイルスの影響もあって失業や自殺が重なっている。先日、久方ぶりに東京に行ったら、野宿の方々のスーツケース所持率の高さ、そして若年層への拡大が目に入った。支援グループへの相談も増えていると聞く。

そのようななか、唯一、未来の希望を語り続け、議席を増やしたのは、やはりれいわ新選組だった。山本太郎代表は、「衆院選挙で3議席を獲得。永田町や物知り顔の評論家から、1議席も難しいと言われていたことを考えると、躍進です。この結果はいうまでもなく、これまで何があっても見放さず、コツコツとれいわを支援くださった皆さんのお力です。100%市民の力で作られた政党が、ステージを上げました。しっかりと地獄を是正する活動を国会内外で繰り広げます。」と公式サイトに記す。

れいわの支援者の中にも、共闘を疑問視する声がある。特に、「消費税ゼロ」を掲げるれいわが共闘によって「減税」にトーンダウンしたことにより、アピールが弱まったという意見が多い。

また結局、立憲民主党は共産と距離をおくことを強調し、11月末に就任した泉健太代表は「政策立案政党」「人に温かい資本主義」「人にやさしい持続可能な資本主義」「穏健中道路線」を訴えている。だが、個人的には、候補者をおろして共闘した共産党に対して失礼でもあり、また結局は「資本主義」のさらなる推進を掲げるなら、もはや立民の存在意義はかなり危うくなるものと思われる。提案内容についても全体的にピンと来ないので、ここで改めて取り上げることはしない。もはや本来的には、自民・国民・立民は左・右・中に分かれて3つに整理し直してほしいくらいだ。と考えていたら、すでに分裂の声もあるらしい。労働者同士を争わせるように仕向ける竹中平蔵は、ベーシックインカム論ですら民営化と自己のビジネスを想定していると思われる。表面的な政策でなく、根本的なもの、方向性を私たちは見定めねばならない。

若者が自民党に投票していることが次第に明らかとなり、また日本維新の会が票を集めた。これらも、自らや周囲の現状が酷すぎないと思い込み、前向きで力強いメッセージを伝えてくれていると感じさせるに足るメディア露出などに支えられ、できあがったものだろう。マスコミ、政治家、野党支持者、1人ひとりが考え直し、取り組みを改める必要がある。

本来は現場から政治家をあげていくのがいいかもしれないが、現実的にはなかなか難しい。まずは各党の1つひとつの選択について意見を明確に発し、来年の参院選に向かって私たちも動きを明確にしていく必要があるだろう。個人的には共闘よりも、やはり総合的にかなり指示できる政党を、もっとしっかり応援しなければいけないなと思う。なかなか何か起こればぶれてしまう。それにはまず、近くの仲間との意見交換を継続することが重要ではないかと考えている。

ところで月刊誌『紙の爆弾』202年1月号に、「野党共闘の成果と課題 岸田文雄『長老忖度政権』と闘う方法」をテーマとして横田一さんが寄稿していらっしゃる。野党共闘の成果もきちんと評価されているので、ご一読を。

連合の中を垣間見た立場からは、民主党系がそこを票田としてあてにするうちはいろいろなことが困難であろうと考える。50年後、100年後を見据えたうえで現在、何をなすべきかを、政治家の方々にも示してほしいと思ってしまう。

◎[連載リンク]平壌からの手紙 LOVE LETTER FROM PYONGYANG 

▼小林 蓮実(こばやし・はすみ)
1972年生まれ。フリーライター、編集者。労働・女性・オルタナティブ・環境 アクティビスト。月刊誌『紙の爆弾』202年1月号に、「請求棄却で固有種絶滅の危機 森林伐採問う 沖縄『やんばる訴訟』」寄稿。

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2021年回顧 ── 東京五輪2021から北京五輪2022へと受け継がれる強者の権益 「平和の祭典」とは、利権と政商のスポーツショーである 横山茂彦

東京オリンピックが招致された数年前から、反対運動は活発だった。本通信も開催反対の論陣を張ってきたが、オリンピックにかかる利権の深さを知るにつれて、何があっても開催が強行されることを確かめないわけにはいかなかった。

やむなく開催時には思いきって開き直り、酷暑のなか現地報告をしたものだ。

そこでは、あまり報じられなかった自衛隊の警備出動が、かなり過剰なものだったと判明した。追いかけ記事で、自衛隊の警備出動を報道したのは、「紙の爆弾」と「週刊金曜日」だけではなかったか。それはともかく、暑かった夏のメモリーを再読していただければと思う。

[関連記事]
《現地報告》猛暑の中で始まった呪われた東京オリンピック・パラリンピック[前編]スポーツを賛美しつつ、戒厳令的交通規制を見学してきた 2021年7月26日

《現地報告》猛暑の中で始まった呪われた東京オリンピック・パラリンピック[後編]警備費用こそが大会開催費の大部分ではないか 2021年7月27日
 
大きな成果もあった。ぼったくり男爵こと、バッハIOC会長のえげつない態度が、今回のオリンピックを通じて全世界に伝えられたことだ。これはオリンピックの将来に向けて、ひとつの指標になったのではないか。「平和の祭典」は利権と政商のスポーツショーである、と。


◎[参考動画]IOCバッハ会長「ガンバリマショウ」 五輪組織委を表敬訪問(2021年7月13日)


◎[参考動画]バッハ会長歓迎会に波紋 与党幹部「世論がおかしい」(2021年7月19日)

来年の北京オリンピックにむけて、ふたたびバッハ会長の振る舞いが問題視されている。何があっても、オリンピック開催という利権は失いたくない。もはや政商そのものというべきであろう。

すなわち、中国の女子テニスのトッププレーヤー・彭帥(ポン・シュアイ)選手の告白とされる文章がネット上に公開され、そのニュースが連日高い関心を集めている一件だ。

その内容は、「中国の前副首相から性的関係を強要された」というもので、選手の安否や北京オリンピック開催の是非、外交ボイコットをめぐる問題にも発展している。中国共産党の権力闘争と考えられる面もあるが、女性の「MeToo」であることに変わりはない。

激しい批判を前に、バッハ会長が中国当局を擁護するパフォーマンス(彭帥選手とのPC会談)を行なって、批判をかわそうとしたのである。

WTA(女子テニス協会)のスティーブ・サイモンCEOは、適切な調査が行われなければ、中国での大会の開催などを見送ることも辞さないという考えを示し、躊躇わずにそれを断行した。

もともとWTAは、大会賞金の男女格差是正を契機に立ち上げられた団体であり、女子選手の立場を護るのに積極的である。北京大会への影響(女子テニスが行なわれない)が注目されるところだ。

もしもこのまま紛糾して、女子テニスが大会からはずれるようなことがあれば、バッハはとんだピエロということになる。

さて、オリンピックが利権であり批判に値するとはいえ、スポーツそのものを否定するような批判の論調は少々危うい。身体を動かすことが健康を保つのは、狩猟・採取時代から濃厚時代に至っても、それが人類の本源的な行為であるからだ。

自動車が戦車や戦闘機の代替え行為である、という大戦後の消費スタイルとともに、スポーツも戦闘行為の代償として存在してきた。読売球団が「巨人軍」などという戦闘集団の名称を頂くのも、スポーツを戦闘と見做しているからにほかならないのだ。


◎[参考動画]「彭帥さん本人」IOCバッハ会長 別人の可能性否定(2021年12月10日)


◎[参考動画]CNN speaks to WTA chief on decision to pull tournaments from China(CNN 2021年12月2日)

◆国家的育成スポーツが、国民を疎外する

そこで、スポーツの祭典を否定するのではなく、将来の在り方を検討していかなければならない。そこで考えられるのは、近代オリンピックが、そもそも個人およびチーム単位での参加から始まった事実なのである。なるほど国家単位でしか資金は得られなかったし、国別対抗競技であるからこそ、オリンピックは戦争に代わる「戦闘行為」たりえている。

そして、国の代表になるためにはある意味で特別な資格、すなわち強化選手になる必要があるのだ。その強化選手になってこそ、育成が遅れていた日本でも味の素オリンピック強化センターなどの施設に入れるし、スポーツに専念できる育成費も支給される。海外派遣費も支給されるので、自前で海外に行く必要がなくなる。

問題なのは、このスポーツのエリート化である。かつて、ソ連および東欧諸国で行なわれていた、サイボーグ的な国家レベルでの強化策ばかりになってしまうと、国民はスポーツを観る人たち、選手は国家的プロジェクトで育成されたエリートということになる。エリートがいてはダメだ、と言うのではない。観る者と演じる者の断絶、スポーツの底辺が形成されない、国民のスポーツからの乖離がそこに発生するのである。


◎[参考動画]Tokyo 2020’ye hazır(Al Jazeera Turk 2016年8月22日)

[関連記事]
床屋政談的オリンピック改革論 ── 国単位ではなく、チーム・個人参加がよいのではないか? 2021年8月10日

それにしても振り返ってみれば、おびただしいオリンピック利権の数々である。利権に付きものの犠牲者(自殺者)も出ている。政商竹中平蔵、スポーツ界に君臨してきたドン・森喜朗、そして国民をコロナ禍に危機にさらした菅義偉。
オリンピックへの幻想が明白となった、2021年であった。

[関連記事]
嘉納治五郎財団の闇 犠牲者があばく収賄劇 ── 追い詰められた菅義偉の東京オリンピック 2021年6月15日 
東京五輪強行開催で引き起こされる事態 ── 国民の生命危機への責任が菅政権を襲う 2021年7月14日 
やはり竹中平蔵は『政商』である──東京五輪に寄生するパソナのトンデモ中抜き 2021年6月5日 
森喜朗=東京オリ・パラ大会組織委員会会長の辞任劇 何が問われていたのか 2021年2月13日 


◎[参考動画]滝川クリステルさんのプレゼンテーション IOC総会(ANNnewsCH 2013年9月8日)

▼横山茂彦(よこやま・しげひこ)
編集者・著述業・歴史研究家。歴史関連の著書・共著に『合戦場の女たち』(情況新書)『軍師・官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)『闇の後醍醐銭』(叢文社)『真田丸のナゾ』(サイゾー)『日本史の新常識』(文春新書)『天皇125代全史』(スタンダーズ)『世にも奇妙な日本史』(宙出版)など。

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世襲高級官僚〈自民〉と原発推進〈大手労組〉の「2議席独占」に風穴をあけたい! れいわ新選組の候補者公募に参院選2022広島で応募します! さとうしゅういち

2021年12月6日、れいわ新選組代表の山本太郎代表は、参院選2022や次期衆院選、そして統一地方選挙2023の候補者公募を開始しました。期限は12月27日までです。

【候補者公募!】れいわ新選組 次期衆議院及び参議院、自治体議員選挙
https://reiwa-shinsengumi.com/start2021koubo/

筆者も、参院選2022広島(改選数2)で応募することとしました。広島選挙区については、まだ、れいわ新選組として、候補者を出すとも出さないともはっきりは決めていません。しかし、筆者としては、2021年4月25日執行の再選挙に立候補し、20848票、6人中3位の得票をいただいたこの選挙区で捲土重来を期す覚悟です。


◎[参考動画]れいわ新選組候補者公募に参院選広島で応募します2

衆院選立候補予定者の竹村かつしさん(左)と対談する筆者

筆者再選挙後、れいわ新選組の政策・政治姿勢を支持し、地元の広島のれいわ勝手連のみなさまと活動をともにさせていただきました。衆院選2021でもれいわのマイクを握り、自身の支持者のみなさまにもれいわへの投票をよびかけました。なんらかの選挙で公認をいただくなられいわ新選組以外に考えられません。

◆被爆地・広島の世襲高級官僚と原発推進大手企業労組による議席独占を崩せ

筆者は、「世襲高級官僚と原発推進大手企業労組による議席独占」を崩し、「ガツンと「あなた」の暮らしを立て直す政治」、そして、「平和憲法をいかし、核兵器も原発もなくす政治」をガツンと、この広島から打ち出していく覚悟です。

「広島は被爆地で平和都市だから、脱原発派や(自民・維新的な)改憲への反対派の国会議員もそれなりにいるに違いない。」と思い込んでおられる県外の皆様も多いですが、事実はまったく違います。

広島県内、それも広島市ほど、超保守王国なのです。まだ、東部(旧備後国)の山間部をふくむ広島6区には、佐藤こうじ衆院議員がおられ、立憲でも保守系ながら、脱原発寄り、護憲寄りでいらっしゃいます。しかし、安芸郡も含めたいわゆる広島都市圏(旧安芸国)には、「脱原発派」「(自民・維新的な)改憲への反対派」双方を満たすような国会議員は存在しません。

参院議員は毎回、自民党さんと原発推進企業の影響が強い連合広島さんが担ぐ方で、議席を分け合ってきました。

今回、改選対象になるのは、自民党公認が故宮沢喜一総理のおいで父も県知事や参院議員をつとめた宮沢洋一さんで、連合広島系が、原発や武器をつくる大手企業労組幹部の柳田稔さんです。ただし、柳田稔さんは引退の意向ですが、過去の経緯から、原発推進労組かそれに近い方しか後継になれないとみられます。

他方で、日本共産党さんも公認候補は出されますが、どちらかといえば、比例区での仁比聡平さん(元議員)の国会復帰を重視した活動をされるとみられます。

◆過去の成功体験から卒業できぬ自民党と原発推進労組

自民党さんはもちろん、原発を全国各地につくってきました。さらに、とくにこの四半世紀は、新自由主義を進め、貧困を広げ、広島もふくむ地方を衰退させています。

一方で、連合広島さんのカラーが濃い立憲民主党さんの参院議員はどうしても、中央の市民連合と立憲民主党さんも合意している原発なき脱炭素に後ろ向きです。また、正直、連合さんは、まだまだ大手企業正社員男性中心です。筆者が従事する介護や保育などの労働者、あるいは公務員でも女性が多い非正規労働者の抜本的な待遇改善には正直、冷たいのです。そのことをずっと筆者は自身が連合系自治労広島県職員労組の支部の役員をさせていただいた県庁マン時代から疑問に思っていました。また、わたしと連合さんとの対立の背景にもなっています。

自民党さんも原発推進労組さんも、どちらも広島が原発製造も含む重工業でとくに栄えていた1975年ころの「過去の成功体験」から卒業できていない勢力であるというのがわたしの評価です。

広島でいままではばを利かせてきた大きな組織は否定しません。しかし、自民党さんにせよ、連合さんにせよ、大きな組織が汲み上げられなくなったニーズがあまりにもおおくなったのです。消費税廃止や教育費無償化などでひとりひとりの暮らしをガツンと底上げする。また、いままで女性の仕事だからとないがしろにされてきた介護や保育、あるいはDV相談員含む非正規公務員などの労働者の抜本的な待遇改善でみなさまの暮らしの安心を高める。もちろん、原発をなくし、グリーンニューディールを進める。平和憲法をいかし、海外派兵ではなく災害救助で貢献する日本へ。こうしたれいわ新選組の政策・スタンスを広島の既存政治への対抗提案としたいのです。

◆「政権選択」の衆院と、「ガツン」が存在意義の参院は違う

衆院選2021の小選挙区ではそうはいっても、立憲民主党さんも、中央では消費税減税や原発なき脱炭素に同意されていました。そのため、「3区はライアン真由美、比例はれいわ」とれいわのマイクを握って叫びました。

しかし、参院選は複数区です。そして、参院選はなにより、衆院をガツンとチェックするのが憲法上定められた機能です。その意味からも、衆院より、ガツンと物申す人がふさわしい。

また、筆者の場合はそもそも、非正規労働者の問題でも原発でもガツンと物申してしまうために、連合さんが「うん」とはいわないでしょう。そのことの自覚もあるため、基本的に小選挙区の衆院議員は目指しません。改選数が複数の参院選広島でガツンと物申す。これがわたしの当面(向こう数年)のスタンスです。


◎[参考動画]さとうしゅういちIN古市橋 コロナ対応は改憲ではなく災害指定で ただちに一律給付を 消費税は廃止 介護保育給料10万アップ れいわ新選組 伊方原発再稼働にNO 原発なき脱炭素

◆河井批判よりも制度改正の前向きな議論を

案里さん・克行受刑者の罪はもちろん誠に重大です。お金をもらった方もただちに腹を切っていただきたい。しかし、地方議員を買収することはほかの自民党国会議員の多くも「政治献金」という形でやっていたことです。今後は河井夫妻個人への批判よりも、国会議員による地方議員への金配り禁止などをきちんと立法化すべきです。

再選挙で当選された立憲民主党系の方は残念ながら、国会議員による地方議員への金配り明文禁止については「どちらとも言えない」というスタンスをマスコミのアンケートに答えておられました。河井批判を利用して支持を得られながら、この対応はあり得ない、と感じました。

正直、衆院選2021や安佐南区県議補選で野党が惨敗したように、河井批判自体が、賞味期限切れです。前向きな制度改正の議論をしていくほうがよいと思います。

◆参院選2019で河井案里さんを支持した皆様にも呼びかけたい

参院選2019で河井案里さんを支持された皆様にもよびかけたい。皆様の大半は案里さん・克行受刑者からお金をもらったから、案里さんを支持されたというわけではないと思います。むしろ、案里さんに、従来型の「世襲や大手企業出身や高級官僚出身の男性政治家」とは違ったものを感じられたからでしょう。

とくに女性の方にそういう傾向を強く感じます。実際に、2019年に案里さんを応援した女性が再選挙2021では筆者に投票し、周りにも筆者への投票をよびかけてくださったということも起きています。

旧来型男性政治家はあまりにも介護や保育などの分野に冷たかったのも事実。地方自治のあり方でもとくに広島は中央官僚のいいなりだったのも事実。原発への固執など産業政策も古くさいのも事実。

そういう広島の与野党の旧来型男性政治家へのアンチテーゼとして案里さんを選ばれた方にも、積極的に筆者は協力を呼びかけます。広島の旧来型政治にかわるあたらしい政治をご一緒につくりませんか?

最後に、3分間をめどにした想定街頭演説をご紹介します。

昨年の再選挙に続いて、今回はれいわ新選組公認で参議院に挑戦します、介護福祉士・元県庁マンのさとうしゅういちです。

コロナの前から厳しく、コロナが追い打ちをかけた皆様のくらし。徹底した財政出動で、ガツンと立て直します。あなたの所得をふやし、あなたの負担を減らし、あなたの暮らしに安心・安定を。

さとうしゅういちとれいわ新選組は消費税を廃止します。消費税を増税して社会保障を充実させると言ってきた自公政権。実際にはお年寄りの負担もふえるばかりです。消費税廃止で中小企業にも賃上げの余裕を!そして全国一律の最低賃金1500円も実現しましょう。

さとうしゅういちは、介護・保育で働いている人のお給料を10万円upします。現場で働く人を大事にしてこそ、みなさまの子育てや老後の安心があるのです。

さとうしゅういちとれいわ新選組は、学費はただ、奨学金はチャラにします。若い人が借金の重荷なしで人生をスタートできるよう応援します。

さとうしゅういちとれいわ新選組は、医療や保育や介護、防災はじめ、学校の先生など現場の公務員を増やします。非正規公務員の皆様の正規化を進めます。広島県は全国2番目に市町村を減らし、保健所も全国以上に減らしました。その結果、4年前の水害の復旧がおくれ、コロナ対応のために1年で2年分以上働かされる県庁職員もおられます。先生の不足も深刻です。広島にこそ、れいわの政策がぴったりではありませんか?

さとうしゅういちの父は原爆直前まで原爆で全焼した地域に住んでいました。引っ越しが遅れたらわたしは存在しません。核兵器禁止はわたしの原点です。核兵器禁止条約に署名するとともに、平和憲法をいかし、災害救助で国際貢献する日本を世界最初の戦争被爆地・広島から打ち出します。防災庁をつくり、気候変動で多発している国内外の災害に対応します。

さとうしゅういちとれいわ新選組は、広島から原発なき脱炭素をガツンと進めます。広島の技術をいかして、地域密着の環境にやさしいエネルギーを進めます。伊方原発ふくめ、原発はすぐやめます。原発関係の会社のみなさまもご安心ください。廃炉担当の公務員として仕事をしていただきます。

参議院の広島は大きな組織をバックとする方、すなわち自民党と大手企業の労働組合の方で2議席をずっとしめています。わたくしは、あなたと一緒に、この構造に風穴をあけ、あなたに忖度して、ガツンと国会で物申して参ります。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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