M君が上告をしていた対5人裁判で6月12日、上告棄却が代理人に伝えられた(正式決定日は6月11日)。これで大阪高裁の判決が確定することとなり、被告2名に合計114万7,640円(プラス利息)の支払い命令が確定した。

2019年6月12日神原元弁護士の発信

この判決確定までには、かなりの時間がかかったので、あるいは最高裁で弁論が開かれるか、との観測もあったが、大阪高裁判決が確定することになった。「M君リンチ事件」法廷編は、内容的に不充分ながら「M君のほぼ全面勝利」で幕を閉じることになった。

ところが相も変わらず、虚偽発信の印象操作に忙しい人々がいる。判決内容を知らない知人から、「神原元弁護士のツイッターを見たんだけどM君は負けたの?」と問い合わせがあった。

「とんでもない! 負けてないよ。2人に114万円余りの賠償命令が出て『負け』なわけはないでしょ」と回答しておいたが、右記神原弁護士の発信を見れば、勘違いする方々がいても不思議ではないだろう。

参考までに2018年3月19日大阪地裁判決直後の神原弁護士の発信。これを見たら「被告勝訴か」と勘違いする方がいても不思議ではないだろう

神原弁護士は地裁判決後にも「祝勝会」を開く様子を発信し、一部に混乱をもたらしたが、弁護士として、事実と異なる内容を発信するのは問題行為ではないか。しかも、ことは自分が代理人を受任している裁判の判決である。

ネット中毒で何件も裁判で負けている野間易通氏も、C.R.A.C.(何回目にしても、これが「反差別」を標榜する団体の名前とされていることへの違和感は消えない)アカウントから凝りもせずM君(及び鹿砦社)誹謗中傷を発信している。この手の低レベルな人間にはいちいち付き合わないが、問題は数年かけてM君が勝ち取った勝訴を、無きものにしてしまうような悪意と数の力である。

われわれはネット上での連帯や、グループ組織を一切持たない。この期に及んだので明らかにするが、裁判闘争に入る前に、取材班と鹿砦社、支援会の間の議論で申し合わせを行った。それは「M君支援を運動化しないこと」であった。

運動化するとどうしても構成員の中で民主的な意見調整を行わなければならず、それに割く時間と労力、費用は最小限に収めるべきだ、という点で合意を見た。また口頭弁論期日のあとに報告集会を開くべきではないか、との意見もあったが、同様の理由でそれも行わないこととした。

ツイッターへの書き込みでM君から提訴され、11万円の損害賠償判決を受け、M君に賠償金を差し押さえられた野間易通氏の書き込み。嘘満載

例外的に地裁判決、高裁判決後には報告集会を小さな規模で行った。貴重なカンパによって行われる裁判であるから、支援会、鹿砦社は襟をただし、浮かれた気分は微塵もなく最高裁まで闘うことができた。M君からはこの間お世話になった方々への語りつくせない謝辞が伝えられている。取材班、鹿砦社もこれまでご支援頂いた皆様にM君になり替わり、深く御礼と感謝を申し上げる。

皆様、ご協力本当にありがとうございました。

と、きれいに文章を終わりたいのであるが、やはり未だにM君攻撃を止めない中心人物の行動だけは、明らかにしておく必要があろう。仮にこの連中の行動が、日本の法律に抵触しなくとも、連中の行動は重大な「人道上の罪」である。成文法だけで人間は生きているわけではない。法に触れなければいいんでしょ、との言い訳は虞犯者の口にする言葉だ。下記(1)から(8)がリツイートしている人物(団体)、と誰の書き込みをリツイートしているかの一覧である。 

李信恵氏による神原氏・野間氏リツイート

これらのセカンド、サード「ネットリンチ」に手を染めている連中を、読者には是非ご記憶頂きたい。

(1)のりこえねっと=神原氏・野間氏リツイート
(2)ミサオレッドウルフ氏=神原氏リツイート
(3)影書房=野間氏リツイート
(5)香山リカ氏=神原氏・野間氏リツイート
(6)中沢けい氏=神原氏リツイート
(7)有田芳生氏=野間氏リツイート
(8)李信恵氏=神原・野間氏リツイート

いずれもリンチ事件隠ぺいや、事件後のM君攻撃に熱心だった御仁ばかりだ。その他のしばき隊平(ひら)戦闘員も多数、神原氏や野間氏の書き込みをリツイートしている。今回のリツイートで取材班は「のりこえねっと」を「集団リンチ肯定団体」と認定する。

「集団リンチ肯定団体」に「反差別」などを口にする資格はない。大阪地裁で鹿砦社に敗訴した李信恵氏は現在も鹿砦社と係争関係にあるが、M君の対5人裁判の法廷での反省の弁や、「謝罪文」はまったくの出まかせで、まったく反省していないということだろう。あとはいずれ劣らぬしばき隊幹部の面々である。

最後に、普通の日本語理解能力のある方には蛇足ではあるが、再度強調しておく。6月12日、上告棄却、大阪高裁の判決確定により、被告側2名が114万円余りをM君に支払う命令が決定された。どなたにも理解いただけようが、この裁判は「M君勝訴」で幕を閉じた。


◎[参考音声]M君リンチ事件の音声記録(『カウンターと暴力の病理』特別付録CDより)

(鹿砦社特別取材班)

《関連過去記事カテゴリー》
 M君リンチ事件 http://www.rokusaisha.com/wp/?cat=62 

M君リンチ事件の真相究明と被害者救済にご支援を!!

Amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B07CXC368T/
鹿砦社 http://www.rokusaisha.com/kikan.php?bookid=000541

6月11日13時30分から大津地裁で、滋賀医大附属病院泌尿器科の河内、成田両医師が23名の患者さんに施術の実績がないことを伝えずに手術を行おうとした「説明義務違反」の損害賠償を求める裁判の5回目の弁論が開かれた。

滋賀医大病院をめぐっては、仮処分や裁判が立て続けに起こされている。有印私文書偽造の刑事告訴も大津市警察に行われ(告訴状は未受理)、患者会の皆さんが大津地裁に集まる頻度も上がる一方だ。

裁判期日には、毎回開廷前に大津駅前で集会が行われる。この日は北海道からの参加された患者さんの姿もあった。

学長・病院長・泌尿器科河内教授を批判するプラカード

患者会代表幹事の恵さん

集会では患者会代表幹事の恵さんが、
「5月20日に待機患者の治療を妨害するなとの、仮処分命令が下りましたが、どうしようもない言いがかりをつけて病院は邪魔しようと、異議申し立てをしました。そういう輩なのです。我々は一生懸命闘いますが、あの輩には『情けない人種』だとの気持ちも考慮に入れて。力ずくでは黙り込んだ狸のようなものですので、我々の気持ちが届いているのかいないのかわかりません。熱い気持ちは大事ですが、司法、マスコミの協力を得ながら頭を使ってこれからの闘いに望んでいただきたいと思います」
と、滋賀医大幹部の底抜けのどうしようもなさを指摘し、闘いの方針を提示した。

ついで、代表幹事の小山さんがアピールを行った。小山さんは愛知県在住にもかかわらず、毎週のように滋賀医大前のスタンディングに参加されている。実直なお人柄で社会運動などとは無縁であった方とは思われない日常を昨年以来送っておられる。

毎週愛知県から滋賀医大抗議に訪れる小山さんの訴え

「私たちは滋賀医大病院で前立腺がんの小線源治療を受けた患者とその家族です。滋賀医大病院には高リスクの前立腺がんでも95%以上完治させることができる岡本圭生医師がいます。この岡本医師の卓越した小線源を求めて北海道から沖縄まで、全国から多くの患者が訪れています。ところが滋賀医大病院は今年いっぱいで岡本医師を病院から追い出そうとしています。それはいったいなぜでしょうか。

4年ほど前滋賀医大病院泌尿器科の医師が未経験であるにもかかわらず、それを患者に説明しないまま小線源治療をやろうと計画しました。岡本医師はその危険性を指摘し治療を阻止して23名の患者を救ったのです。

しかしこれをきっかけに滋賀医大病院は、泌尿器科、病院長、学長がそろって岡本医師の排除に向けて動き始めました。200名を超える患者の治療予約を一時的に停止させたり、岡本医師の講座を閉鎖するために学内の規則を変更するなど、患者を無視した嫌がらせのような行動をとってきました。これらは、すべて泌尿器科が行った不当医療行為を、組織ぐるみで隠ぺいするための行動です。

また滋賀医大病院は1年半前、岡本医師による小線源治療は、今年の6月末までとし、その後今年の12月末で岡本医師の治療を終了する、と一方的に宣言しました。しかし、先月20日大津地裁の仮処分決定により、今年の11月まで今まで通り岡本医師の治療を継続することが認められました。

ところが病院側はこの決定を守らず、『泌尿器科も小線源治療を行う』として岡本医師の小線源治療枠を一部横取りして、治療妨害を続けています。そして仮処分決定の取り消しを求める異議申し立てを行いました。新聞報道によると申し立ての理由は、『岡本医師の小線源治療が行われると、治療体制の見直しが必要になること、多くの患者が岡本医師の治療を希望して殺到する可能性が高いこと』を挙げているそうです。

全く信じられないような理由です。多くの患者が希望して、裁判所も継続を認めた治療を行うためですから、治療体制の見直しくらい、なぜできないのか。全く理解できません。やる気がないとしか思えません。2つ目の理由『多くの患者が殺到するから治療継続をやめろ』などということは、まともな病院が言うことでしょうか? 患者の命など全く眼中にないということを示しています。患者の命よりも、内部告発をした岡本医師を追い出して自分たちの地位を守ることが大事なんです。そんな泌尿器科の医師、病院長、学長には即刻退場してもらわねばなりません! 

本日泌尿器科の不当医療により被害を受けた患者さんが泌尿器科の医師を相手に起こした裁判の5回目の口頭弁論が行われます。今後、学長、病院長、泌尿器科の医師を法廷に呼び出して証人尋問が行われます。裁判で不当医療の事実を明らかにして、滋賀医大病院が真に患者ファーストの病院に生まれ変わるよう、闘っていきます。

私たちは抜群の成績を誇る、岡本医師の治療を将来の前立腺がん患者にも受けてほしい、と願っています。そのために来年以降も、岡本医師の治療が滋賀医大病院で継続されることを求めています。市民の皆さん、どうかこの事件に注目してください。多くのがん患者の命綱が繋がるよう、ご支援をお願いいたします」

小山さんが事件の発端から今日の状態までをわかりやすく、訴えた。

大津地裁(西岡繁泰靖裁判長)は5月20日、岡本医師の申立てを全面的に認める決定を下した。笑顔で完全勝利のメッセージを掲げる鳥居さん(左)と宮内さん(右)

次いで5月20日の仮処分で治療の機会を獲得した、鳥居さんが「仮処分」勝利のうれしさと、今後の闘いへの決意を語った。集会前に鳥居さんにお話を伺ったら「手術日が決まりました!」と本当に明るい表情で笑顔を見せてくださった。やはり20日に勝利を勝ち取った宮内さんも、鳥居さんと同じ日に手術が決まったそうだ。宮内さんも喜びと、病院側が仮処分に異議申し立てを行ったことへの憤りを表明した。

次いで患者会代表幹事の宮野さんが、力強い檄を飛ばし集会の「我々は最後まで頑張るぞ!」と気勢を上げた。

我々は最後まで頑張るぞ!

この日も法廷内撮影があった。満席になった傍聴席と原告被告、裁判官の様子が2分間毎日放送により撮影されたのち、開廷が宣言された。裁判では被告が準備書面5を、補助参考人(岡本医師)が準備書面2を、原告が被告準備書面5への反論を弁論(書類を確認)した。その後被告代理人が成田医師が2例目に診察した患者のカルテの送付嘱託(裁判所からの依頼のよるカルテ開示)を裁判官に申し出た。原告弁護団長の井戸謙一弁護士は「必要性を認めない」と却下を求めたが、合議体(裁判官)は送付嘱託を認めた。

被告弁護人は「まだ出ていない証拠のメールがあれば出してほしい」と原告並びに補助参考人代理人に要請し、西岡裁判官も「弾劾証拠以外の証拠は出しておくように」と原告・補助参考人代理人に要請した。わたしは西岡裁判官のこの物言いは、やや必要性の域を超えるものではないかと素人ながらに感じた。これで実質的な弁論終結となったが、次回期日も書証のやりとりとなり、被告側が遅延戦術に出ているのではないかとの印象を受けた。裁判所にも夏休みがあるため、休み前の期日で調節が試みられたが都合がつかず、次回は8月22日、15:00からと決定した。

ここで閉廷となったが、裁判官が法廷を後にしたとき、傍聴席前列から声が上がった。「被告代理人は送付嘱託なんかしなくても『不正閲覧』をしているのであるから、必要ないんじゃないですか! 職員も泌尿器科の医者も不正閲覧しているんですから、裁判所に依頼する必要ないんじゃないですか! どこに必要があるんでしょうね。素人でも不思議ですね」。被告代理人はこの発言をした男性を睨みつけながら法廷を後にしていった。

井戸弁護士

14時からは社会教育会館に場所を移し、記者会見が始まった。井戸謙一弁護団長がこの日法廷で行われた内容の解説を行った。

「今日は被告側から準備書面5、岡本医師から準備書面2それから原告から準備書面5が陳述されました。その内容をご説明いたします。被告の準備書面5には大きく言うと3つの点が書かれています。準備書面4で被告は23名の方々に対する治療は、岡本医師を指導医とする『医療ユニット』によって行われようとしていた。だから成田医師が未経験であることを説明する義務はなかった、と主張していました。法廷で我々は『医療ユニット』とはなんなのかと。そんな言葉は今までに聞いたことがないし、『医療ユニット』について説明してくれと求めました。それに対する回答がまず書いてあります「医療ユニットというのは被告らの代理人である弁護士が作った言葉だ」というのが結論です。大学内部でそのような言葉が使われていたわけではありません、ということです。

では『医療ユニット』の内実は何なのかですか、となるわけです。1つは理屈の問題です。小線源治療学講座は泌尿器科から独立した存在ではなく、あくまで泌尿器科の一部なんだと。寄付講座の治療は泌尿器科の治療として行われたし、カルテも泌尿器科のカルテとして管理されていたと。寄付講座で行われていたことはすべて泌尿器科の一部なんだ、ということが書かれています。ここでなぜこのようなことをいう必要があるのかといえば、結局泌尿器科の科長は河内医師ですから、河内医師の指示・命令に従って小線源治療も行われる必要がある。そういうことを言いたいのだと思います。

もう一つは、河内教授が本件寄付講座の『責任教授』であるという概念を持ち出しています。辞令上河内教授は併任教授です。『責任教授』などという言葉は書いてないし、私どもが調べた範囲では滋賀医大において『責任教授』という概念は職制上用いられていないと思いますが、『責任教授』であると。河内教授が『責任教授』であると、岡本医師は特任教授ですから、趣旨としては寄付講座内部においても岡本医師よりも上だということを言いたいのだと思います。

この二つを言ったうえで寄付講座が始まる直前に、岡本医師を希望してきた患者には岡本医師が施術するわけですけれども、そうではない患者、病院内で診断しか結果、小線源治療が適当だとなった患者については、成田医師が担当することにして、それを岡本医師が指導するということにしたと。そのことを岡本医師に指示したら、岡本医師は異を唱えることはなかったということだけです。『医療ユニット』の実態はこれだけです。

これについて岡本医師は「確かにそのような話はあったけれども、それなら自分自身に直接診察させてくれ。自分が診察しないのであれば責任は持てないからそういうことはできない」と言ったと述べておられます。そのことには一切ふれていなくて、河内医師が指示をして、岡本医師は異を唱えることはなかったのだから、そういう体制でやることになったのだと。いうだけのことであって、そのあと現実に多くの患者の治療について成田医師と岡本医師の間にどういうやり取りがったのか。『医療ユニット』の実態があったのか、なかったのかについては一切触れていません。これが一つです。

二つ目は成田医師は二人の患者さんのプレプランをしています。一人目の患者さんの時に自分は『未経験だとは説明しなかった』が、二人目の時に『説明をした』と主張しています。カルテには説明したと書かれている。それは後から後から書き加えられたもので、虚偽記載であると岡本医師は主張しておられます。その点についてプレプラン時に伝えたから、そのあとの原告の方々の治療が予定されていたわけですが、『こういうことにならなければちゃんと伝えていたはずである』ということが2点目。

3点目は法律上の問題ですが、万が一被告らに責任があるとしても、被告らは責任を負わない。免責されると、そういう主張をしています。これは国家賠償法という法律があります。普通の人が不法行為をして、人に損害を与えたときは、その損害を賠償する責任があります。会社などであればその使用者にも責任があります(民法715条)。行為者は709条によって責任があり、会社も個人も責任を負担するわけです。ところが公務員が公務を執行するにつき、不法行為を犯したときには国、公共団体が責任を負うんですね。そのときに公務員個人も責任を負うのかということについては、学者の間で議論があります。日本の裁判所は公務員は責任を負わないという考え方に立っています。

問題は国立大学法人で医療事故があった場合に、民法が適用されるのか、国賠法が適用されるのかということです。もし国賠法が適用されるのであれば、国ないし公共団体が責任を負うけれども、医療過誤を犯した医師個人は責任を負わないわけです。

民法が適用されるのであれば、両方(病院・医師)とも責任を負うわけです。今回国賠法が適用される事案であるから、原告の主張通りの事実があったとしても、被告である河内氏、成田氏個人は責任を負わないという主張をしていました。国立大学附属病院における医療過誤事故はたくさんあり裁判例もいくつもあります。両方適用している裁判例もありますが、だいたい民法を適用するのが普通だといわれています。だから民法が適用されれば当然個人も責任を負うとなります。被告は例外的な裁判例を引いてきて、「個人は責任を負わない」そういう主張をしてきました。

それに対して補助参加人と原告からそれぞれ準備書面を出したわけです。原告の準備書面は『医療ユニット』が形成されたと言いながら、具体的な中身は何もないのではないか、ということと『責任教授』とはどのような概念なのか明らかにしろ。それから二人目のプレプランをした患者のカルテは虚偽記載であるということ。本件のようなケースは国賠法ではなく民法が適用されるべきであること。そういう内容の準備書面を提出して陳述したところです。補助参加人の主張については竹下先生どうぞ(略)

著者注:竹下弁護士からは小線源講座は泌尿器科から独立していたこと。小線源講座設置の設置目的を根拠とした被告への反論、『責任教授』についての見解。発足当時は学長も小線源講座の独立を認めていたことなどが解説された)

準備書面の内容は以上の通りですね。そ例外にきょう行われたこととして、被告から送付嘱託の申し出がありました。1例目、2例目のプレプランをした患者ですね。2例目の方には説明をしたということが書かれている。それが虚偽であるということを参加人から証拠として提出してあるのですが、そのカルテの全体について送付嘱託をしてきました。

1例目、2例目の方は本件の原告ではないのでこれらの方々の症状は本件とは関係がないと思うし、いったい何を立証したいのかよくわからないので「必要性がない」と意見をだしましたけど、裁判所は採用された。次回期日までに出てくるだろうと思います。今後の予定については被告側は次回までにに人証の申請をするということでした。被告両名だけではなくて、学長、院長のほかそれ以外の大学の関係者。それから医学的評価についての証人も検討しているということですので、多数の尋問申請があるのかもしれません。裁判所はベストエビデンスに反するのではないかということで、ちょっと牽制をしていましたけど次回までに明らかになると思います。次回には主張のやり取りが終わって人証が決まって次々回以降本人尋問、証人尋問に入るという運びになるものと思います。以上です」

続いてこの問題を積極的に取材している毎日放送の橋本記者から、弾劾証拠や、この日の法廷の感想、仮処分決定が本訴訟に与える影響についての質問があった。ABCの浜田記者は原告大河内さんに感想を求めた。

滋賀医大への危機感を語る原告の大河内さん

大河内さんは、「長年、滋賀医大にお世話になった立場からすると、非常に信頼しておりました。今回のこの件で『こんなことがあるんだ』と。滋賀医大は医師を育てる大学でしょ。それが(患者を)医師が実験台というかモルモットという扱いをしていることに、非常に憤りを覚えました。私も危うく命を落とすところだったかなと思っておりました。こういうことがあっては今後よくないということで、訴訟に踏み切ったわけですけれども、そのあとの対応がもっと酷くなっていますね。患者の皆さんの命をを見捨てるような行動に出ている。姿勢を正してくれればいいかなと、いうつもりで始めたのですが、医大の3人組というか4人組というか、そういう人たちが変な方向に舵を切っていって、命を粗末にするようなふるまいをしている。こちらのほうが非常に危険を感じ、危機感を持っています。是非とも滋賀医大が医の倫理を取り戻せるように、我々も頑張りたいし、皆さんも一緒に頑張って頂きたいと思っております」

大河内さんのコメントの後、会場から拍手が沸き上がった。

滋賀医大に関する、訴訟や仮処分で大津地裁に足を向けるのは何回目になるだろうか。大河内さんが指摘されたように、一部の人間により大学病院全体がますますダッチロールの度合いを増しているように感じられて仕方がない。何度も強調するが、自分の生活を犠牲にしても患者に寄り添う医師や医療関係者が大多数の滋賀医大附属病院にとって、3人組もしくは4人組は、文字通り悪の権化である。

◎患者会のURL https://siga-kanjakai.syousengen.net/
◎ネット署名へもご協力を! http://ur0.link/OngR

《関連過去記事カテゴリー》
滋賀医科大学附属病院問題 http://www.rokusaisha.com/wp/?cat=68

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

創業50周年!タブーなき言論を! 月刊『紙の爆弾』7月号

〈原発なき社会〉を目指して 創刊5周年『NO NUKES voice』20号 【総力特集】福島原発訴訟 新たな闘いへ

田所敏夫『大暗黒時代の大学──消える大学自治と学問の自由』(鹿砦社LIBRARY 007)

6月4日付け「デジタル鹿砦社通信」(と私のFB)に対して、前田朗教授から「返信(3)」 が届きました。リアクションだけは速いですが、その内容は? というと……。

◆前田教授からの「返信(3)」はゼロ回答! 1項目にも答えず!

6月4日の通信では、前田教授が答えやすいように14項目に整理し具体的に質問項目を提示いたしました。さらに、6月8日に東本高志氏がバクロしたメーリングリストでの私に対する前田教授の陰口についても確認を求めご本人にメールしましたが、これにも触れていません。

これらについては抽象論にならないように、また前田教授が答えやすいように、私なりに考慮し項目を設け質問しましたが、1項目にも解答がないのは誠実さに欠けるとしか言いようがありません。回答しない理由として、「その余の記載は、ほとんどが同じことの繰り返しのため、申し訳ありませんが、私も同じ趣旨のお返事を差し上げることしかできません」と仰っています。果たして「ほとんどが同じことの繰り返し」でしょうか? 例えば「師岡メール」についての質問は今回初めてで、師岡弁護士、および前田教授の「人権」についてのスタンスを問うた質問です。極めて重要です。今からでも、ぜひともお答えいただきたい質問です。

もう一方で、答えない別の理由として、「松岡さんはいつまでも、あれはどうだ、これはどうだ、と蒸し返し、掘り返し、執拗に自説を唱えています」から「他人がこれにお付き合いする理由がありません」と述べられています。学者は逃げる言い訳もうまいものですが、ずいぶんと無責任なものです。この通信の読者のみなさん、そう思いませんか?

また、研究者なのですから見解の発信には「事実」かどうかが不可欠でしょう(研究者でなくとも同様ですが…)。6・4通信の冒頭第1項目に訊ねた前田教授の「リンチ」についての規定と解釈の誤りや事実誤認(直接手を下した者が1人だったとするもの)についても重要なことなので答えていただかないと困ります。ご自身で単独犯なので「リンチではない」と仰っておられ、「リンチ」(私刑)の規定と事実認識を間違われたわけですから、少なくともここだけはご説明いただかないといけないのではないでしょうか?

さらに、東本氏がバクロしたメーリングリストでの陰口など初めて確認を求めるものです。これは図らずも漏れたものですが、前田教授を信頼していた人々を落胆させるに十分な内容でしょう。私もこれを見てわが目を疑い、非常に落胆しました。前田教授の良心を信じていましたので、これが一気に崩れました。

◆新左翼の内ゲバの二の舞にならないように、「今からでも遅くない、背筋を正して事実と責任に向きあうべき」だ!

生来浅学な私には前田教授と論争や論破しようなどという大それた考えはありません。せいぜい前向きな対話をしたかったにすぎませんが、せっかくそのきっかけが見えてきたところでのスルー……これでは問題の前向きな解決に向かうことはできませんよね? 前田教授も、この問題の本質的な解決を望んではいないのでしょうか? この問題に真正面から向き合い反省し教訓化し止揚しない限り近未来的に反差別運動、社会運動、市民運動の中で暴力事件は繰り返されるのではないでしょうか? 

1969年から70年にかけて新左翼の内ゲバで3人の学生が亡くなりました。大変な話で、これを深刻に捉えた、当時京都大学助教授で作家の高橋和巳は雑誌『エコノミスト』に2度にわたり「内ゲバの論理は越えられるか」(『わが解体』所収)を書き、今深刻に考えないと将来に禍根を残すことを訴えました。『エコノミスト』のような経済誌でも、そんな高橋和巳の必死の訴えを掲載するような度量がありました。この後も、知識人らが声明を出したりもしましたが、これらを無視するかのように内ゲバは激しくなり、現在までの死者は100人を越えています。あの時、高橋和巳の提言に真正面から向き合っていたら……との想いが消えません。そうした新左翼の内ゲバの二の舞にならないためにも、前田教授の言葉を借りれば「今からでも遅くない、背筋を正して事実と責任に向きあうべき」なのではないでしょうか?

◆裁判についての私たちの考え方と進行中の3件

前田教授は、「裁判所の判決が確定した以上、通常の法的手続きは終了です」とし、「法的救済を求めたのですから、結論としての判決に従いましょう」と本件からの私たちの退却を求めておられます。以前にも申し上げ恐縮ですが、冤罪被害者や薬害被害者、住民運動などが、訴訟上では負けても負けても「法的救済」を求めて訴訟を繰り返すことに「通常の法的手続きは終了です」「判決に従いましょう」とでも言うのでしょうか?

「李信恵という人格の不可思議」(第5弾本グラビアより)

リンチ被害者M君が加害者(私は直接手を下した者2人のみならずリンチ現場に同座した者全員の連帯責任として加害者という語を使います)5人を訴えた訴訟は、最高裁に上告中でしたが、偶然にも本日(6月12日)、上告棄却の報せがありました。法的には確定しました。

 

李信恵氏の暴言1

しかし、鹿砦社が李信恵氏らを訴えた訴訟など3件はまだ当分続きます。これら4件は、この原稿を書いている段階では確定したわけではありませんでしたから、「判決未確定」を前提で執筆してきました。1件は本日確定しましたが、3件はまだ「確定」していないので、そうそう退却するわけにはいきません。特に李信恵氏が原告となっている訴訟は、鹿砦社に賠償と出版差し止めを求めていますから中途半端にはできません。裁判というものは、油断したら負けますので、私たちもまだまだ本件から退却するわけにはいかないのですよ。

 

李信恵氏の暴言2

現在の私たちにとっては、これら一連の訴訟こそ、前田教授の言葉を借りれば「目の前の最重要事実」です。そうして、これら一連の訴訟を裏打ちする真相究明も必要ですし、本件事件の総括のためにも、私たちはまだまだ老骨に鞭打って頑張っていかざるをえないのです。「正義だ、正義だ、正義だと言わんばかりのその作法」だって!? 仰る相手を間違っていませんか? 「正義は暴走してもいい」などと嘯き、執拗にネットでの被害者バッシングで訴えられ敗訴した徒輩にこそ仰られることではないですか?

おことわり:リンチ被害者M君が加害者5人を訴えた訴訟、最高裁に上告していましたが、本日(6月12日)棄却の報せがありました】

◆私の質問と直接関係のない記述でごまかしたらいけません!

前田教授は、私の質問にはなんら答えず、それでいて後半では私の質問には直接関係のないことを連々述べられています。私には到底理解できません。失礼な例えかもしれませんが、長年、任侠やアウトローを取材してきた、鹿砦社に出入りするライターが、「ヤクザは、本題で旗色が悪いと感じるや、本題とは直接関係のないことや瑣末なことなどを挙げつらって煙に巻く」と言っていました。私には今回の前田教授の「返信」が、同様の性格を帯びていると思われてなりません。

この通信は、莫大ではないものの、少なからずの方々が注目しています。これも試しに何人かに尋ねてみましたが、既にこの間の前田教授の態度は、『救援』の読者からも評価は落ちていますよ。

前田教授の『救援』の論評には大いに勇気づけられました。裁判にも証拠資料として提出もしました。いわく、

「本書のモチーフは単純明快である。反差別運動内部において暴力事件が発生した。反省と謝罪が必要であるにもかかわらず実行犯は反省していない。周辺の人物が事件の容認・隠蔽に加担している。被害者Mは孤独な闘いを強いられてきた。このような不正義を許してはならない」

「本書の問題提起は正当である。ヘイトスピーチは差別、暴力、差別の煽動である。反差別と反ヘイトの思想と運動は差別にも暴力にも反対しなければならない」

「しかし、仲間だからと言って暴力を容認することは、反差別・反ヘイト運動の自壊につながりかねない。本書が指摘するように、今からでも遅くない。背筋を正して事実と責任に向きあうべきである」

まったく異議はありません。名言ですらあります。前田教授は、これらの論評は「訂正の必要を認めません」と仰られていることは救いですが、「仲間だからと言って暴力を容認することは、反差別・反ヘイト運動の自壊につながりかねない」と述べつつ、現実には「暴力を容認」している師岡康子弁護士、辛淑玉氏、李信恵氏らに忖度していませんか? 果たして加害者やその周辺の人たちは「背筋を正して事実と責任に向きあうべき」という前田教授のアドバイスに従っているでしょうか?

私たちは決して無茶なことを要求していません。被害者M君に真摯な謝罪と正当な補償をすべきで、そのためにいったん提出しつつも反故にした「謝罪文」に立ち返るべきだと求めているにすぎません。それはダメなんですか? 私は何度も申し述べていますが、一貫して和解論者です。加害者らが心からそうするのであれば、社会運動の未来のために、暴言が飛び交い暴力がはびこる、現在の「反差別」運動に直接的に参加するつもりはありませんが、本件については条件が整えば和解に向けて汗をかく所存です。

◆メーリングリストの陰口には落胆しました!

一方、東本高志氏がバクロしたメーリングリストでの前田教授は、

〈○○さん
ごぶさた。コメント有り難うございます。
○○さんがアンチ前田とは初めて知りました(笑)。
鹿砦社は危機と乱戦を乗り越え、世界を遊泳してきた強者ですし、
今回は被害者救済という大義名分を手にしていますから、誰も止められません。
対立構図を固定させ、ひたすら「敵」を論難し、
突撃取材でネタをどんどん作り、一種の炎上商法。
権力相手にやってくれるのなら良いのですが、
ターゲットはマイノリティ女性。
日本的ヘイト状況の悲しいネガフィルムを見るようです〉

と述べられています。

これが本音なのでしょうか? 「炎上商法」だって!? 「ターゲットはマイノリティ女性」だって!? 必ずお答えください、前田先生! 私たちは単純素朴に被害者支援と真相究明に関わってきたにすぎません。「炎上商法」―-この表現には私のみならず取材班、私たちの周辺の者一同満腔の怒りを禁じ得ませんでした。「炎上商法」という物言いは、私たちに〈悪意〉を持った、ネット社会でしか生きられない連中の表現と同じですよ! 私たちは特段「マイノリティ女性」を「ターゲット」にしてもいません。

 

加害者エル金のツイート。反省などどこ吹く風

本件は、何度も表明していますが、第一線を退く目前だった私が、事件の凄惨さや被害者の苦境を知り、いわば“最後の仕事”としてもっぱら善意で、採算など度外視してリンチ被害者支援と真相究明に関わったにすぎません。社内外から集まった取材班や支援者らの大半もそうです。「社会運動の将来のためですから」と原稿料や謝礼を辞退してきたライターもいるほどです。そのような私たちの行為を「炎上商法」と前田教授は言い切られました。失礼ですが、前田教授の無礼には呆れます。

目の前に凄絶なリンチを受けながらも、正当な謝罪や補償も受けず、さらには村八分状態にされ苦しみ助けを求めている青年がいるのに、「いや、私たちには君を助けることはできないんだよ」などと言えるでしょうか? 私たちの世代は、日本国憲法や戦後民主主義に立脚した人権意識を植え付けられ、私でさえ人権意識の欠片ぐらいは持っているつもりです。「炎上商法」など頭の隅にもなく、私の人権感覚上も黙過するわけにはいきませんでした。

今でもリンチのPTSDに苦しんでいる被害者を前にして、少なくとも加害者らの心からの謝罪や正当な補償を受けることに力を貸し続けたいと考えていますが、このどこがいけないのでしょうか? 加害者らは「謝罪文」さえ反故にしているんですよ。少なくともこの地点には立ち返ってもらわないといけません。

 

香山リカ氏の小口ビジネスモデルのツイート1

筆者注:本稿が完成し、さあ送稿する段になって、前田教授は「炎上商法」との表現を撤回なさいましたので、今後「炎上商法」の件で前田教授を追及することは差し控えます。しかし本稿執筆から完成の時点で撤回はありませんでしたので、完成した当初の文章をそのまま掲載します。撤回は「友人の忠告」ということですが、この友人の方は、人間としての見識と常識のある方だと思います。こうしたことをもってしても、「炎上商法」という表現が、これと関係のない者にとって、いかに人を傷つけ、問題のある表現だということを前田教授も認識されたものと思います。「人権」を標榜する者なら、これぐらいは常識として認識していただきたかったものです】

 

香山リカ氏の小口ビジネスモデルのツイート2

◆またしても香山リカ氏……

先に前田教授から「炎上商法」という言葉が出てき、また香山リカ氏への言及がありましたので付言しておきますが、香山氏は私たち鹿砦社や、このリンチ事件と訴訟について、非常識極まる珍説をツイートしています。

例えば、私たちが、香山氏宛に質問状と本を送付したことを知った香山氏は「どこに送付したか、ちょっと書いてみては?」とツイッターで私たちに「要請」してきましたので、彼女の「要請」に従い送付先(=自宅住所)を書き込んだところ、すぐに神原元弁護士から削除の要求(電話、ファックス、内容証明郵便のトリプル要求。いかに慌てていたかがわかります)が来たことがありました。香山先生が「どこに送付したか、ちょっと書いてみては?」と言うから、これに応えただけのことです。

 

話題になった「どこに送付したか、書いてみれば?」

このような幼児性が象徴的ですが、私たちにとって、香山リカ氏はその知識・見識・人格において全く信用のおけない人物です。香山氏は、私たちが裁判を起こしてカンパを集め、それを元に出版をし支援者に買わせる「小口ビジネスモデル」をやっているなどと私たちを誹謗しました。この人の鹿砦社に対する物言いは、いつもこういった内容ですので放置しておきましたが、今回前田教授の「炎上商法」と香山氏の「小口ビジネスモデル」は同じ意味ではありませんか? 「のりこえねっと」の皆さんの中では「鹿砦社は『炎上商法』」が共通認識になっているのでしょうか? であれば全く残念至極な事態です。

さらに申し上げれば、『オジサンはなぜ勘違いするのか』など参考にする気にもなりません。天皇制と皇室をこよなく愛する香山リカ氏に、説教されなければならない理由はないからです。「昭和の常識は令和の非常識なのです」などとお気楽な自説を披歴していますが、時間の区切りを「昭和」「令和」と規定する時点で私の関心対象外です。元号がなければ薄っぺらいゴシップも書けないのか、と聞きたいところです。前田教授は、〈さすが香山さんと思わされるのは「もちろん、私も自分が“おとなでステキなオバサン”になれているとは思っていません」と冷静な認識を披露しているからです〉と誉め称えられていますが、散々迷惑を被っている私たちにすれば「それがわかっているのであれば、最低限おとなの振る舞いをしなさい」と言い返したいところです。

この前後の、鹿砦社に対する彼女のツイートと併せ私たちに対する名誉毀損は甚だしいものです。

前田教授の「返信(3)」の最後はその香山氏の著書からの引用で「勘違いオジサンは顰蹙を買うだけです」と結ばれています。私たちは前田教授が引用された香山リカ氏を全く評価していませんので、アドバイスには従いかねます。「勘違いオジサン」でも、たとえ「顰蹙」を買っても、本件の解決に向け更に一肌も二肌も脱ぐ覚悟です。中途半端で退却することは、私の生き方に反しますから―――。

 

リンチ直後の被害者大学院生M君

◆ひとまずの結びとして――

最後に、韓国からの研修員(現在大学講師)で、2015年、当時飛ぶ鳥を落とす勢いだったSEALDs(シールズ)を批判し、本件リンチ事件加害者らに連なる者らから激しいネット・リンチを受け、最近でも私信を悪意を持って公開された鄭玹汀さんの言葉を挙げて擱筆いたします。――

〈大衆の前で「人権」について声高く唱えても、長年「人権」についての本をたくさん出版しても、身近なところで他人を尊重しないのは、砂の上に家を建てるような生き方だ。
私は彼らを憎まないが、彼らの偽善を憎む。
周りの人を心から尊重する名もない人こそ本当に偉い人だとつくづく思う。〉(6月8日付けFBより)

至言です。前田教授はこの言葉をどう思われるでしょうか? 「人権だ人権だ」と言っても、身近の一人の青年の人権さえ蔑ろにする人に人権を語る資格はないでしょう。前田教授は、人権やヘイトスピーチについての著作が多いですが、リンチ加害者らの側の有力な人たちとの繋がりを持ち解決の橋渡しができる立場にいながら、リンチの被害者を見て見ぬ振りをするのならば、人権を語る資格はないということだと私なりに解釈しました。

私はそろそろ第一線を退くことを考えていた、ちょうどその頃、このリンチ事件に出会い、以来3年余りのかなりの時間、資金、労力を、この問題に費やしてきましたが、悔いはありません。「炎上商法」や「小口ビジネスモデル」で儲かったりなどしていませんし、そうするつもりもありませんでした。

ただ、目の前で苦しむ一人の青年を、彼が満足するように救えたかどうかは分かりませんが、私なりに彼の人権を尊重し法的、人道的に救済せんとしてベストを尽くしてきたことだけは確かなことです。「裁判所の判決が確定した以上、通常の法的手続きは終了です」「法的救済を求めたのですから、結論としての判決に従いましょう」――このようは言葉は当事者にとって、戯言にしか聞こえません。

リンチ被害者のM君はリンチの悪夢にうなされPTSDに苦しんでいます。加害者らは、このことがわかっているのでしょうか? 前田教授も、真に人権を考えておられるのなら、彼の人権に目を向け、彼の救済に一肌脱ぐことを考えませんか? これもまた「反ヘイト裁判」同様「目の前の最重要事実」ではないでしょうか? 前田教授は、リンチ直後の被害者の顔写真を見て何も感じないのでしょうか? You Tubeで視聴者が9万人ほどにもなるリンチの最中の音声もお聴きになれば、血の通った人間ならば、特に日頃「人権」を語る者ならば、身の毛がよだつのではないでしょうか?

最後に、この際ですから、前田先生に提案します。この間のやり取りで気づきましたが、前田先生は、私たちが想像していた以上に「カウンター」/「しばき隊」関係者と懇意のようです。また、本件リンチ事件の本質的解決、止揚の作業を放っておけば、この国の反差別運動や社会運動、市民運動に悪影響を及ぼすと思います。そう思いませんか? であるならば、せっかく、誰もが評価・称賛する『救援』紙上での2つの論評を公にし問題提起をされたのですから、ここは和解のために「カウンター」/「しばき隊」関係者と懇意の前田先生、一肌脱がれませんか? いくら机上で立派なことを言っても、それは〈空論〉でしかありません。

私は私で、もう少し老骨に鞭打ちたいと考えています。

【追記】先にも触れましたが、本日(6月12日)、リンチ被害者M君が加害者5人を訴えた訴訟の上告が棄却されたとの報せが代理人弁護士よりありました。これについては、後日あらためて私(たち)の見解を申し述べたいと思いますが、M君は一審、控訴審を通じて一貫して〈勝訴〉していたことを確認します。懲りもしない加害者やこの周辺の人たち、代理人の一人、神原元弁護士らは、さっそく「風説の流布」に余念がないようですが、現実に集団暴行で一人の青年に瀕死の重傷を負わせたという事実、これに対する反省などあるのでしょうか。不満ながらも加害者らに100万円超の賠償金の支払いが確定したことも変わりはありません。これに加え、私たちは闇に葬られようとしていた、このリンチ事件の存在を明らかにしたことを想起すれば、決して負けてはいません。

そして前田教授ならこう言うかもしれない、「最高裁で判決が決定したのですから」と。そうだ! その通りだ! 最高裁でリンチ(私刑)に対する賠償が確定したのだ。

まずは、これまでご支援を賜りました皆様方に心よりお礼を申し上げます。


◎[参考音声]M君リンチ事件の音声記録(『カウンターと暴力の病理』特別付録CDより)

[参照記事]
◎松岡利康【カウンター大学院生リンチ事件】前田朗教授の豹変(=コペルニクス的転換)に苦言を呈する!(2019年5月23日デジタル鹿砦社通信)

◎松岡利康【カウンター大学院生リンチ事件】前田朗教授の誤解に応え、再度私見を申し述べます(2019年5月28日デジタル鹿砦社通信)

◎松岡利康【カウンター大学院生リンチ事件】「唾棄すべき低劣」な人間がリーダーの運動はやがて社会的に「唾棄」される!~前田朗教授からの再「返信」について再反論とご質問~(2019年6月4日デジタル鹿砦社通信)

M君リンチ事件の真相究明と被害者救済にご支援を!!

Amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B07CXC368T/
鹿砦社 http://www.rokusaisha.com/kikan.php?bookid=000541

去る5月30日、中日新聞のホームページで次のような記事が配信された。

滋賀・呼吸器事件、調書作文か
https://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2019053002000078.html

この記事は、冤罪被害者・西山美香さん(39)の再審が近く始まる「湖東記念病院事件」について、報じたものだ。中日新聞本紙では、同日の朝刊一面に掲載されたという。この報道をうけ、私が調べを進めたところ、この「調書作文」の疑惑についても、あの滋賀県警の「問題刑事」が元凶だった疑いが浮かび上がってきた。

◆中日新聞では、疑惑の検察官が実名で登場していたが・・・

確定判決によると、西山さんは2003年、看護助手として勤務していた滋賀県の湖東記念病院で、寝たきりの男性入院患者の人工呼吸器のチューブを外し、殺害したとされ、懲役12年が確定し、服役した。しかし、弁護団の調査により、男性入院患者は「致死性不整脈」で亡くなった可能性が高いと判明し、今年3月に最高裁で再審開始が決定していた。

記事などによると、男性入院患者の人工呼吸器は、チューブが外れて1分が経つとアラームが鳴るが、西山さんの供述調書では、チューブを外してから1分を「数え」、1分が経過する前にアラームの消音ボタンを押し、誰にも気づかれずに犯行を完遂したように記載されていた。しかし、軽度の知的障害と発達障害のある西山さんは、「私は六十まで数えられない」と同紙と弁護団に告白したという。

西山さんは「私は頭の中では、二十までしか数えられません。絶対自分からは、言っていません。裁判でも、きちんと言います」とも語っているそうで、この主張が事実なら、たしかに調書は刑事や検察官による「作文」だとみるほかない。検察官調書を作成した早川幸延検事(現福島地検検事正)は同紙の取材に対し、地検広報を通じ、「コメントはできません」と回答したという。

では、この調書に刑事の関与はなかったのか。同紙の報道をうけ、私が調べてみたところ、またしても名前が浮かび上がってきたのが、あの滋賀県警の山本誠刑事だ。

当欄で過去にもお伝えした通り、山本刑事といえば、脅迫や偽計を駆使した取り調べにより、西山さんを虚偽の自白に追い込んだ疑いがあるが、それだけではない。窃盗の容疑で誤認逮捕した無実の男性に対して取り調べ中に暴行し、特別公務員暴行陵虐容疑で書類送検された余罪もある問題刑事だ。

◆「余罪」もある山本刑事

ここに掲載した調書は、その山本刑事が平成16年(2004年)7月22日に作成したした西山さんの警察官調書だ。このうち、次の部分を見て頂きたい(引用者注 ■は、原本では、男性入院患者の名前が書かれていた部分)。

山本刑事が作成した問題の調書。黒塗りは、男性入院患者の名前が書かれていた部分

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
■さんが死んでいく様子を見届けながら
頭の中で次にアラームが鳴り出す
1分まで時間

1、2、3、4
と数え続け、1分前になる前に消音ボタンを
押して、これを2回繰り返し、■さんが
大きく目を
ギョロッ
と見開いた状態で、白目をむき(後略)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

西山さんが頭の中で「六十」まで数えられないというのが本当なら、この調書は、山本刑事が作文したことを疑わざるを得ない内容だ。裁判記録によると、中日新聞の記事に出てきた早川検事の検察官調書は、作成日付が平成16年(2004年)7月25日で、山本刑事の作成した警察官調書より3日遅い。西山さんの供述内容が「作文」だった場合、原作者は山本刑事である疑いが濃厚だ。

山本刑事の悪事については、当欄ではすでに繰り返し伝えているので、知らない人は後掲の関連記事をご覧頂きたい。私は、西山さんの再審では、無罪という公正な結果が出るだけでなく、山本刑事の疑惑もきちんと解明されて欲しいと改めて思わされた。

西山さんに対する山本刑事の取り調べが行われた大津警察署

なお、6月16日(日)には、午後2時より大阪・大国町の「社会福祉法人ピースクラブ」の4階で、西山美香さんを囲む会が開かれ、主任弁護人の井戸謙一弁護士も講演を行うという。詳細は、以下のURLで。
https://twitter.com/hanamama58/status/1137904900724051968

6月16日(日)午後2時より大阪・大国町の「社会福祉法人ピースクラブ」にて冤罪被害者西山美香さん囲む会を開催。詳細はこの画像をクリック。

▼片岡健(かたおか けん)
全国各地で新旧様々な事件を取材している。近著に『平成監獄面会記 重大殺人犯7人と1人のリアル』(笠倉出版社)。

【関連記事】
滋賀患者死亡事件 西山美香さんを冤罪に貶めた滋賀県警・山本誠刑事の余罪(2018年2月16日)

刑事への好意につけこまれた女性冤罪被害者が2度目の再審請求(2012年10月8日)

創業50周年!タブーなき言論を! 月刊『紙の爆弾』7月号

〈原発なき社会〉を目指して 創刊5周年『NO NUKES voice』20号!【総力特集】福島原発訴訟 新たな闘いへ

◆《総力特集》福島原発訴訟 新たな闘いへ

 

本号グラビアより(写真=大宮浩平)

記念すべき『NO NUKES voice』創刊5周年第20号である。

《総力特集》の冒頭は福島原発かながわ訴訟の判決(2月20日)について開かれたシンポジウムの報告、弁護団事務局長の黒澤知弘さんの講演録である。原告175人のうち、当時福島にいなかった原告、まだ生まれていなかった原告、あわせて23人が棄却されたが、152人の原告については基本的な勝訴を勝ち取ったことを、以下の3点で評価した。国の賠償責任が認められたこと、損害賠償金は地域によって差が出た。しかし、避難指定区域外の「ふるさと喪失慰謝料」には差が出た。そして避難指示の有無が判決を左右したことには、指示の合理性がもっと問題にされるべきだという。

つづいて講演した小出裕章さん(元京大原子炉実験所助教)は、裁かれるべきは原発を認めた国の責任であるとして、「技術的には想定不適当」が前提でありながら、立地の基準が大都市ではなく地方であること。「原子炉立地審査指針」に原発の不平等があると指摘。いままた破局事故を前提とした「規制基準」で原発を再開し、海外に売り出そうとしている。いまや原子力ムラは無法で責任を取らない「原子力マフィア」であると喝破した。

崎山比早子さん(3・11甲状腺がん子ども基金代表理事)は、しきい値なし直線(LNT)モデルを社会通念に! と題して講演した。LNT(直線性)とは、放射線が一本通ってもDNAの複雑損傷があり、変異細胞の複製が行なわれる可能性があること。したがって放射能に安全な量はないと解題した。kの点に関しては、崎山意見書に対する研究者17人の反論が、学界主流派の意見に過ぎず、新たな研究成果が出てきていることに注目すべきだという。

さらに村田弘さん(福島原発かながわ訴訟原告団団長)から、裁判で被害者は本当に救済されるか? と題した講演が行われた。記事中に判決の概要(賠償金)の表を収録。判決を左右する「社会通念」は、裁判官の頭の中の通年であって、科学的なデータを退けるものになっている。いや、原発事故後に変わったはずである。

◆「子ども脱被ばく裁判」で被ばく問題の根源を問う井戸謙一弁護士

 

井戸謙一弁護士

「子ども被ばく裁判」に関しては、井戸謙一さんのインタビュー記事である。インタビューでは、福島の被ばく問題のほかに、大間原発に対する函館市の原告訴訟(東京地裁/被告は国)、住民原告の訴訟(函館地裁/被告J・POWER)にも触れられ、函館市長はいわゆる革新ではないが、原発に左右はないと語っている。さらに井戸さんは、湖東記念病院事件(2003年に植物状態の患者の人工呼吸器チューブを引き抜いて、殺人罪で懲役12年の判決)の再審が勝ち取られたこのにも触れている。

◆現地福島の現在と過去を徹底検証する「民の声新聞」鈴木博喜さんと伊達信夫さん

鈴木博喜さん(「民の声新聞」発行人)の報告記事は、「原子力緊急事態宣言」発令から3000日、福島県中通りの人々の葛藤と苦悩である。「もしも、あなたが福島県内に住んでいて、こういう状況(原発事故による 放射能汚染)に直面した場合、自分の奥さんが妊娠したらどうしますか? 産むなと言いますか? そもそも、奥さんが子どもを欲しがったとしても被曝リスクを理由に子作りをあきらめますか?」という問いかけに、イエスかノーか明快に答えられる人がどれだけいるだろうか。この問いを鈴木さんにぶつけたのは、東電を相手取って損害賠償請求訴訟を起こしている「中通りに生きる会」の原告だったという。裁判に密着したレポートは、住民たちの声を生々しく伝える。

伊達信夫さんの連載レポートは、『徹底検証「東電原発事故避難」これまでと現在〈4〉なぜ避難指示範囲は広がらなかったのか』である。テーマを事故当日(3・11)に立ち返って、避難指示および避難行動、政府の動きを詳細に検証している。さらに将来の原発事故にそなえて、100km以上避難することを前提に、準備できることを挙げている。

鈴木博喜さん「『原子力緊急事態宣言』発令から3000日 福島県中通りの人々の葛藤と苦悩」より

◆尾崎美代子さんの飯舘村報告『原子力ムラに牛耳られた村・飯舘村の「復興」がめざすもの』

 

尾崎美代子さん(「集い処はな」店主)「原子力ムラに牛耳られた村・飯舘村の『復興』がめざすもの」より

尾崎美代子さん(「西成青い空カンパ」主宰、「集い処はな」店主)の報告記事は、『原子力ムラに牛耳られた村・飯舘村の「復興」がめざすもの』である。福島県飯館村では、3月の議会において「ふるさと納税」で総額3000万円のブロンズ製ベンチを購入することで紛糾した。菅野典雄村長の肝いりで、これまでに同じ制作者による作品に6000万円がつぎ込まれてきたという。

その一方で、復興の目玉とされてきた道の駅「までい館」は、これまで3900万円の赤字で、村から新たに3500万円追加融資が決まっている。もともと「までい館」はこれといって陳列できる特産品もないのに、赤字覚悟で建設されたものだという。この村長の独善性は、原発ムラの研究者たちの「復興計画」とリンクしているのだ。除染、復興をキーワードに、原子力ムラの研究者たちが自治体を取り込んでいく策謀には驚かされる。

◆本間龍さんが『元号号外を仕切った電通の力と「#自民党2019」』のプロパガンダを読み解く

本間龍さん(著述家)の「原発プロパガンダとは何か? 第15回」は、『元号号外を仕切った電通の力と「#自民党2019」』である。号外にヤフー広告が大きく掲載されていたのは、電通の仕掛けだった。メディア支配をさぐり、アーチストを取り込んだ「♯自民党2019」のHPは、新たな支持層の視野に入れてのものだと、本間さんは指摘する。

◆山崎久隆さん、三上治さん、板坂剛さん、山田悦子さん、佐藤雅彦さんの強力連載陣

山崎久隆さん(たんぽぽ舎副代表)のレポートは『重大事故対処施設がないのに運転する原発 福島第一原発事故の教訓はいずこに?』である。新規制基準の問題点が明らかにされている。

三上治さん(「経産省前テントひろば」スタッフ)の『淵上太郎よ! 正清太一よ! ありがとう。僕はもう少しここで闘うよ』は、平成から令和への改元・代替わりを枕詞に、表題の二人、淵上さんと正清さん(テントひろばの代表)への追悼文である。周知のとおり、三上さんをふくめた三人は60年安保の闘士であり、2006年に9条改憲阻止の会で再結集し、3・11以降は福島現地への物資の輸送、経産省前のテントと運動を拡げてきた仲である。

板坂剛さん(作家・舞踏家)の悪書追放キャンペーンは、ケント・ギルバート著「やっと自虐史観のアホらしさに気づいた日本人」(PHP研究所)だ。自虐と被虐をSM文化としてとらえ、日本文化の被虐性が美しい理由を、ケント・ギルバートは理解できないという論点はおもしろい。

山田悦子さん(甲山事件冤罪被害者)の連載は4回目。『わかりやすい天皇制のはなし』だ。天皇の称号が古代中国にさかのぼり、日本がそれを拝借したのはあまり知られていない史実だろう。

佐藤雅彦さん(翻訳家)は『原発と防災は両立しない! 原子力帝国下では「消防防災」組織そのものが“災害源”になるのだ』で原発防災の矛盾を撃つ。

◆本誌5周年20号の歩みとたんぽぽ舎30年の軌跡

 

今年設立30周年を迎えたたんぽぽ舎の共同代表のお二人、鈴木千津子さんと柳田真さん(写真=大宮浩平)

松岡利康さん(創刊時編集長/鹿砦社代表)は『本誌二〇号にあたって』で、本誌創刊当時をふり返る。チェルノブイリの時は対岸の火事のように感じていたが、そのことで3・11では「罪悪感」すら覚えたという。創刊当初の販売の苦労、反原連との絶縁、小島新編集長での再出発、精神的な支柱だった納谷正基さんの逝去など、本誌の歴史が語られている。5年間で20号は、まさに継続は力なりを感じさせる。これを新たな出発点に、わが国で唯一の反原発雑誌の発展を祈念したい。

今号は記念的な記事が重なった。
『たんぽぽ舎〈ヨコの思想〉三〇年〈1〉はじまりの協同主義』は、たんぽぽ舎の共同代表、鈴木千津子さんと柳田真さんの対談で、1979年からの歴史をふり返る。お二人の経歴が興味ぶかい。聞き手は本誌小島編集長。この対談は連載になるようだ。9月22日に「たんぽぽ舎30周年の集い」が開かれるという。

全国各地から現地の声を伝える「再稼働阻止全国ネットワーク」の記事も本号は11本+1本で頁増・盛り沢山だ。というわけで、記念すべき『NO NUKES voice』20号はこれまで以上に充実の内容である。売り切れないうちに、ぜひご購読を。

▼横山茂彦(よこやま しげひこ)
著述業・雑誌編集者。主な著書に『軍師・黒田官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)、『真田一族のナゾ!』『山口組と戦国大名』(サイゾー)など。医療分野の著作も多く、近著は『ガンになりにくい食生活――食品とガンの相関係数プロファイル』(鹿砦社LIBRARY)

本日発売!〈原発なき社会〉を求めて 創刊5周年『NO NUKES voice』20号

NO NUKES voice Vol.20
紙の爆弾2019年7月号増刊 6月11日発売!
A5判 総132ページ(本文128P+巻頭カラーグラビア4P)
定価680円(本体630円+税)

————————————————–
総力特集 福島原発訴訟 新たな闘いへ
————————————————–
[グラビア]
なぜ立憲民主だったのか? おしどりマコさん直撃インタビュー/
「日本版チェルノブイリ法」の制定を! 12回目の「脱被ばく実現ネット」新宿デモ/
福島原発集団訴訟──民衆の視座から

[シンポジウム]福島原発集団訴訟の判決を巡って
[講演]黒澤知弘さん(かながわ訴訟弁護団事務局長)
福島原発かながわ訴訟・判決の法的問題点

[講演]小出裕章さん(元京都大学原子炉実験所助教)
巨大な危険を内包した原発 それを安全だと言った嘘

[講演]崎山比早子さん(3・11甲状腺がん子ども基金代表理事)
しきい値なし直線(LNT)モデルを社会通念に!

[講演]村田 弘さん(福島原発かながわ訴訟原告団団長)
原発訴訟を闘って──裁判で被害者は本当に救済されるか?

[インタビュー]井戸謙一さん(弁護士)
「子ども脱被ばく裁判」は被ばく問題の根源を問う

[報告]鈴木博喜さん(『民の声新聞』発行人)
「原子力緊急事態宣言」発令から三〇〇〇日 
福島県中通りの人々の葛藤と苦悩

[報告]伊達信夫さん(原発事故広域避難者団体役員)
《徹底検証》「東電原発事故避難」これまでと現在〈4〉
なぜ避難指示範囲は広がらなかったのか

[報告]尾崎美代子さん(「西成青い空カンパ」主宰、「集い処はな」店主)
原子力ムラに牛耳られた村・飯舘村の「復興」がめざすもの

[報告]本間 龍さん(著述家)
原発プロパガンダとはなにか〈15〉
元号号外を仕切った電通の力と「#自民党2019」

[報告]山崎久隆さん(たんぽぽ舎副代表)
重大事故対処施設がないのに運転する原発
福島第一原発事故の教訓は何処に

[報告]三上 治さん(「経産省前テントひろば」スタッフ)
淵上太郎よ! 正清太一よ! ありがとう。僕はもう少しここで闘うよ

[報告]板坂 剛さん(作家・舞踊家)
悪書追放キャンペーン 第3弾!
ケント・ギルバート著『やっと自虐史観のアホらしさに気づいた日本人』(PHP研究所刊)

[報告]松岡利康(創刊時編集長/鹿砦社代表)
本誌二十号にあたって

[対談]鈴木千津子さん(たんぽぽ舎共同代表)×柳田 真さん(たんぽぽ舎共同代表)
たんぽぽ舎〈ヨコの思想〉三〇年〈1〉はじまりの協同主義

[報告]山田悦子さん(甲山事件冤罪被害者)
山田悦子の語る世界〈4〉わかりやすい天皇制のはなし

[報告]佐藤雅彦さん(翻訳家)
原子力帝国下で「消防防災」組織そのものが“災害源”になる

[報告]再稼働阻止全国ネットワーク
九州電、関西電、四国電が特定重大事故等対処施設(特重)の完成が間に合わないと表明! 
日本の原発を止められるチャンスがやってきた!
《首都圏》柳田 真さん/《東海第二》大石光伸さん/《青森》中道雅史さん
《宮城》舘脇章宏さん/《福島》黒田節子さん/《東京》小熊ひと美さん
《関西電力》木原壯林さん/《山口》安藤公門さん/《鹿児島》杉原 洋さん
《規制委》木村雅英さん/《読書案内》天野惠一さん

[報告]水野伸三さん(トトロの隣在住)
 済州島四・三抗争と東学農民革命と長州人―朝鮮近現代史への旅―

[読者投稿]大今歩さん(高校講師)
《書評》『しあわせになるための「福島差別」論』
福島の被曝は「風評被害」ではない 避難の権利の確立を

私たちは『NO NUKES voice』を応援しています!

その昔、若い男性の会話といえば「クルマとオンナ(恋愛)」だった。つい40~50年ほど前の話である。高度経済成長で一家に一台から、やがて誰もがクルマを持てるようになり、女性にモテるためには最新鋭のクルマに乗るのが条件だった。

◆戦後成長と日本のクルマ

日本の戦後成長はまさに、クルマとともにあったと言っても過言ではない。フォードシステムに範をとったトヨティズムなどの自動車資本主義である。労働者に一戸建ての家を持つのは無理でも、3LDKの集合住宅にマイカーを持たせることで、休日を充実させて労働力の回復をはかる。戦争が需要である軍需産業のかわりに、自動車産業を発展させることで消費を拡大し、大量生産大量消費の社会を実現してきた。自動車産業とマイカーこそが、アメリカ社会のミニマムな模倣を実現してきたのである。

自動車が戦争――軍事兵器の代用品になったのは、人間の本能的な闘争心を運転という行為が内に含んでいるからだとされる。大きなクルマに乗れば、あたかも強者になったように尊大な運転をする。高級車のハンドルを握れば、紳士然とふるまうこともあろうか。軽自動車ならばスピードをセーブすかもしれないが、最近の暴走行為は軽自動車が主流だったりする。こうした自我の変化を「自我の拡張行為」という。いわばスピードは「戦闘行為」なのだから、高速道路での「煽り運転」は特定の種類の人々だけもものではない。自動車が本来もっている特性なのだ。ハンドルを持つと人が変わる。そうした戦闘性や闘争性があるからこそ、戦争の代償たりえたのである。

◆暴走する高齢者と自動車資本主義の終焉

ところで、そのマイカー時代の元若者たちが、いまや暴走老人として社会の脅威になってしまった。池袋では元高級官僚がブレーキとアクセルを踏み間違えて(としか推論できない)暴走し、若い母子を死亡させた。元高級官僚であることから、上級国民は逮捕されないのか、などと批判されたものだ。6月4日には、81歳と76歳の夫婦が600メートルにわたって衝突をくり返し、9人が死傷した。

近年の高齢者による暴走事故を列記しておこう。
2017年5月 大分市で76歳の女の軽自動車が病院に突っ込み、17人が重軽傷を負う。
2018年1月 前橋市で85歳の男の乗用車が、登校中の女子高生2人をはねて1人が死亡。
2018年5月 茅ヶ崎市で90歳の女が歩道に突っ込み、4人が死傷。
2019年4月 池袋で87歳の元高級官僚が暴走し、母子2人が死亡。10人が負傷。
2019年6月 大阪市此花区で80歳の男が幼児をふくむ4人をはねる。
2019年6月 福岡市で81歳の男が600メートル暴走して衝突をくりかえす。乗っていた夫婦をふくめて、9人が死傷した。


◎[参考動画]池袋暴走事故 なぜ?専門家が分析(TOKYO MX 2019/4/26公開)


◎[参考動画]【報ステ】暴走当時の状況は 福岡9人死傷事故(ANNnewsCH 2019/6/5公開)

福岡の場合は運転手に意識がなかった可能性が指摘されているが、多くはブレーキとアクセルの踏み間違いである。若者でも踏み間違えることはあるものの、すぐにブレーキペダルに足先を置き直すことができるのに対して、高齢者はアクセルから離したつもりで足が離れずに、そのまま踏み込んでしまうことが多いのだという。自動車免許返納のための法的な措置も講じられようとしているが、大都市圏とくに都心における自動車通行の規制をともなわない措置は泥縄式というほかない。

わたしも50歳の年をさかいに、マイカーを手放して自転車生活に舵をきった。健康と環境問題への問題意識が契機だった。その自転車もアナーキーな乗り物であって、講習や指導抜きには奨励できない現状、つまり事故の増加傾向で危機感を持たないわけにはいかない。高速道路における「煽り運転」なども反面で、わが国における交通政策・道路交通をめぐる啓蒙活動の遅れを反映しているというよう。問題なのはどういう生活と社会を新たに展望していくか。自動車資本主義の終焉はそのことを問いかけているのではないだろうか。その意味では、自動車に乗らない世代の登場は興味ぶかい。

いま、若い男性はクルマを好まない。大都市の若年層では、女性のほうがクルマ保有率が高くなっているという。「クルマとオンナ(恋愛)」の話をしなくなった若者たちは、おそらく「二つのアイテム」の危険性を本能的に知っているのだろう。これはこれで、自民党のお歴々が悲観する少子化の原因であるのかもしれないが、平穏無事に生きてゆく人生観は悪いものではない。そこに思いをめぐらすならば、日本経済の衰退は平和の証しとも言えるのだ。

▼横山茂彦(よこやま しげひこ)
著述業・雑誌編集者。主な著書に『軍師・黒田官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)、『真田一族のナゾ!』『山口組と戦国大名』(サイゾー)など。医療分野の著作も多く、近著は『ガンになりにくい食生活――食品とガンの相関係数プロファイル』(鹿砦社LIBRARY)

創業50周年!タブーなき言論を! 月刊『紙の爆弾』7月号

〈原発なき社会〉を目指して創刊5周年『NO NUKES voice』20号 6月11日発売【総力特集】福島原発訴訟 新たな闘いへ

今回もカッコいいタイトルが付いた興行。もっと活発になれば権威も増すところ。
以前からのWBCムエタイ日本実行委員会から新たに発足させたWBCムエタイ日本協会に移行して1ヶ月。若い戦士が成長してきたタイトルマッチ出場選手。他団体や海外出場が多い健太も凱旋試合。松谷桐の妹、松谷綺(16歳)がデビュー戦勝利と注目は多い。

◎NJKF 2019.2nd / 6月2日(日)後楽園ホール 17:00~21:00
主催:NJKF / 認定:NJKF、WBCムエタイ日本協会

大田拓真のヒジ打ちが新人の鼻をかすめる

◆第10試合 WBCムエタイ日本フェザー級タイトルマッチ 5回戦

不覚にもヒジ打ち喰らってしまった大田拓真

第6代チャンピオン初防衛戦.新人(=あらと/E.S.G/57.0kg)
   VS
NJKFスーパーバンタム級3位.大田拓真(新興ムエタイ/57.0kg)
勝者:太田拓真 / 判定1-2 / 主審:多賀谷敏朗
副審:神谷50-48. 宮本48-49, 少白竜48-49
太田拓真が第7代チャンピオン

新人の正攻法な攻めに対し、大田はムエタイ技のタイミング読み難い攻めと、足払いで倒す上手さは見映えがいい。3ラウンド終了時点の公開採点でやや不利な新人は、巻き返しの積極的な蹴り技が増える。

初回から新人の右ミドルキックで大田の脇腹が徐々に赤く腫れていく経過と、最終ラウンドにみせた新人のヒジ打ちはベテランの技。大田の額をカットし、やや勢いを鈍らせるも判定は1-2に分かれた。

新人の軸足を払う大田拓真

王座奪取成功した大田拓真を表彰

◆第9試合 WBCムエタイ日本フライ級王座決定戦 5回戦

松谷の右目瞼が切れ腫れあがる

1位.松谷桐(VALLELY/50.7kg)vs4位.仲山大雅(RIOT/50.5kg)
勝者:仲山大雅 / TKO 1R 1:45 / カウント中のレフェリーストップ
主審:宮本和俊
仲山大雅が第5代チャンピオン

開始からローキックからパンチの静かな展開から40秒ほど、両者接近したところへ偶然のバッティングで松谷の右目瞼が切れ、徐々に大きく腫れ上がる。

思わぬダメージを負った松谷はそのまま下がり気味になり、凌ぎきることができないまま、首相撲へ持ち込んだ仲山のヒザ蹴りを安易に貰ってしまう。

最後はボディーから顔面へヒザ蹴りを貰ってダウンすると、ダメージ大きい松谷はカウント途中でレフェリーに止められた。

首相撲に掴まり、仲山のヒザ蹴りを貰ってしまう松谷桐

◆第8試合 NJKFライト級タイトルマッチ 5回戦

野津良太vs鈴木翔也、ダウンしてから激しい展開となった鈴木の右ストレート

第10代チャンピオン.鈴木翔也(OGUNI/61.23kg)vs同級5位.野津良太(E.S.G/61.0kg)
引分け0-1 / 主審:神谷友和
副審:竹村48-48. 多賀谷48-48. 宮本47-48
鈴木翔也が初防衛

初回は静かな様子見も、鈴木が野津へのボディーへ打つ左フックがインパクトを残す。第2ラウンドに、静かな展開からいきなり野津の右ハイキックを喰らいノックダウンする鈴木。

呼吸を整えカウント8で立ち上がり、野津がチャンスを逃すまいと執念で調子を上げていく。両者は我慢比べの蹴りとパンチの攻防へ移り、鈴木は左目尻と右頬を切り、野津も鼻血を流す苦しい展開も互いに耐え切り、接戦ながら鈴木翔也が追い上げた形の判定0-1で、辛うじて引分け防衛に踏み留まった。

野津も王座へ執念の攻撃を見せた

引分けで辛うじて防衛を果たした鈴木翔也

◆第7試合 NJKFスーパーバンタム級王座決定戦 5回戦

雄一vs久保田雄太、右ストレートが交差する

1位.久保田雄太(新興ムエタイ/55.3kg)vs2位.雄一(TRASH/55.15kg)
勝者:久保田雄太 / 判定3-0 / 主審:少白竜
副審:神谷49-48. 多賀谷50-48. 宮本50-48
久保田雄太が第7代チャンピオン

前田浩喜が返上した王座を争う試合。有効なヒットが少ない展開の中、久保田の右ミドルキックが度々ヒット。雄一はその蹴り足を掴んで右ストレートを打ち込むパターンが増える。

互いのパンチの交錯や、組み合ってのヒザ蹴りや崩しの攻防は差が付き難い展開で、最終ラウンドには2度の投げに出た雄一に注意が与えられると、心理的に打つ手を阻まれたか、やや勢いが落ちた感じの雄一。

ラスト20秒は互いに懸命な打ち合いの激しさが増して終わるも、久保田がやや攻める勢いが優った印象が残る。「5ラウンドをフルに戦ってしんどかったが嬉しいです」と語った久保田雄太だったが、今後に課題を残した内容だった。

あらゆる技を酷使、バックハンドブローで攻める久保田雄太

◆第6試合 64.5kg契約3回戦

WBCムエタイ日本ウェルター級チャンピオン.健太(E.S.G/64.25kg)
   VS
ジョー・セイシカイ(タイ/64.45kg)
勝者:健太 / TKO 2R 1:06 / ほぼノーカウントのレフェリーストップ
主審:竹村光一

1年ぶりのNJKF出場となった健太は「初回から飛ばすつもりでいた」と言うとおり、不気味なジョーの出方を伺いながらも、ローキックで前進し、パンチのタイミングを見計らった展開。

ジョーはロープ際に下がり気味となるが、ジョーも蹴りのタイミングを見計らっている感じ。健太はパンチのタイミングを掴んだところで左ジャブから強烈な右ストレートでノックダウンを奪い、更に打ち合いに出て強烈な右ロングフックで倒し、レフェリーが試合を止めた。

健太のロングフックがジョー・セイシカイにヒットして倒す

新チャンピオン、大田拓真

◆第5試合 65.0kg契約3回戦

NJKFスーパーライト級9位.田邊裕哉(京都野口/64.9kg)vs洋輔YAMATO (大和/64.9kg)
勝者:洋輔YAMATO / 判定0-3 / 主審:多賀谷敏朗
副審:神谷29-30. 少白竜29-30. 竹村28-30

◆第4試合 55.0kg契約3回戦

雨宮洸太(キング/54.7kg)vs檸檬(CORE/54.5kg)
勝者:雨宮洸太 / 判定3-0 / 主審:宮本和俊
副審:多賀谷30-27. 少白竜30-27. 竹村30-27

◆第3試合 60.0kg契約3回戦 

蓮YAMATO(大和/59.75kg)vs慎也(ZERO/59.5kg)
引分け0-1 / 主審:神谷友和
副審:多賀谷28-28. 宮本28-28. 竹村28-29

◆第2試合 ウェルター級3回戦 

vic.YOSHI(OGUNI/66.55kg)vs宗方888 (キング/66.25kg)
勝者:vic.YOSHI / TKO 3R 2:21 / カウント中のレフェリーストップ
主審:少白竜

◆第1試合 NJKF女子(ミネルヴァ)ピン級(45.359kg)3回戦(2分制)

松谷綺(VALLELY/44.75kg)vs七瀬千鶴(138KICKBOXING/45.1kg)
勝者:松谷綺 / 判定3-0 / 主審;竹村光一
副審:少白竜30-28. 宮本30-28. 神谷30-28

新チャンピオン、仲山大雅

《取材戦記》

バッティングの怖さ。それが目に当たれば視界や距離感を失うほどダメージは大きい。頭は硬く重く、この頭を素手で殴れば拳を痛めるのは当然で、グローブが着用されるのがボクシング。頭同士が当たればその骨の出っ張った部分の薄い皮膚が切れるのも当然で、顔の皮膚は部分にもよるが、他の身体の部分より10分の1ほどの薄さだという(皮膚科のお医者さんが言っていた話)。切れやすく腫れやすいのが顔面で、減量から徐々に回復する身体は、水分を摂ると翌日には傷もより浮腫むようです。女子選手はより大変でしょう。

松谷は右目を打ったダメージで戦略が狂ったのかもしれない。いつもはこんな劣勢には至らないと思うが、正攻法に戦う真面目さと17歳という若さではキックボクサーとしての経験値よりも、人生のずるさの経験値が足りなかったか。これが健太ほどの90戦近いベテラン選手だったら、無理に攻めずにこの場を凌ぐ時間稼ぎに出たでしょう。

試合は何が起こるか分からない恐ろしさがあります。昔読んだある記事ですが、「体調万全で試合に臨み、試合開始のゴングが鳴る直前に、コーナーで気合入れて思いっきり足の屈伸したら足首が“ブチッ”といった切れた音がした」という世界戦のリングでそんなことが起きた過去の日本人プロボクサー世界チャンピオンがいました。

“あっ、ヤバッ”と思っても、初回のゴングが鳴り、そのまま戦うしかなかったそうで、何とか15ラウンド判定勝ちで防衛したそうですが、試合後、シューズを脱ぐと足は腫れてパンパン。こんなハプニングは長い歴史の中、他の格闘技にもあるのではと思いますが、そんな世にも怖い魔物が住んでいる話を聞いてみたいものです。

今年の新役員に囲まれてチャンピオンベルトを巻いた久保田雄太

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]

フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

創業50周年!タブーなき言論を! 月刊『紙の爆弾』7月号

一水会代表 木村三浩=編著『スゴイぞ!プーチン 一日も早く日露平和条約の締結を!』

上條英男『BOSS 一匹狼マネージャー50年の闘い』。「伝説のマネージャー」だけが知る日本の「音楽」と「芸能界」!

プロのリングに立てなかった男達。プロのリングに未練を残すボクサー達。そんな狙いからプロライセンス定年を超えた者が戦う「オヤジファイト」が誕生し、ウェイト、年齢、経験値別にクラス分けされて試合が組まれ、やがてはキック版で「ナイスミドル」が誕生。更に関西で発祥したのが「オヤジ・オナゴキック大会」、その関東での初開催が5月26日に大森ゴールドジムにて行なわれました。

一番問題視されがちなのは安全面ですが、審判団は日本キックボクシング連盟、NKB実行委員会より派遣されたプロレフェリーが務め、ヘッドギアーの義務付け、1ラウンドは1分30秒の2ラウンド制、早めのストップ裁定は妥当な判断がされていた様子です。

35歳から出場可能で、これからプロとなってトップを目指すといった参加者達ではないから高度な技術戦よりは青春の想い出、人生の悔いを残さない為の出場が多いでしょう。

勝利者にはリングアナウンサーによるインタビューが行なわれ、出場に至った経緯や、練習に付き合ってくれたジム仲間に感謝を述べる選手が多いようでした。
「息子や嫁に健康管理や鍛錬の為に勧めておいて自分だけ仕事が忙しいとか言って何もしない訳にいかなかった」というオヤジファイター。

「35歳過ぎても未経験から始められます。決して遅くはありません、頑張りましょう」と勧めるオヤジファイター。「明日から仕事頑張ります」といった人間模様が現れたコメントが続きました。

実行委員長のガルーダ・テツさんは「熱い試合ばかりでリング下から興奮して見ておりました。始めて間もない人、20戦以上されている人、いろいろいらっしゃいましたけども、リングの中では皆さんが熱い試合をしてくれたので、こっち(関東)でやって良かったなとしみじみ思いました」という感想を述べられました。

「ザ・おやじファイト」が2006年11月に開始され、「ナイスミドル」が2008年9月から始まりました。ずいぶん時間が経ったものです。オヤジ・オナゴキック大会は2015年11月に大阪で始まったイベントです。

ガルーダ・テツ実行委員長

◎第1回関東オヤジ・オナゴキック大会
5月26日(日)大森ゴールドジム13:00~16:30
主催:オヤジ・オナゴキック実行委員会

MVP賞 辻健太郎(ケーアクティブ)
理事長賞 みにまむ(プラスα)
激闘賞 高木昭彦(Kix)
特別賞 木村祐英(トイカツ道場池袋)
特別賞 寒河江卓也(トイカツ道場)

◆全試合2回戦(90秒制/2試合出場選手含む)※試合順

《1》オナゴ・ミニマム級(50kg以下)
みにまむ(プラスα)vsしょうこ(ウェストスポーツ)
勝者:みにまむ / 判定3-0

みにまむ

理事長賞 みにまむ

《2》オナゴ・フライ級(55kg以下)
O.D MEGUMI(TEAM GYAKUSAN)vs藤咲成美(K CRONY)
勝者:藤咲成美 / 判定0-3

《3》オナゴ・57.0kg契約
芝田弥咲(ケーアクティブ)vsバルボラ・アイラ(レンジャー)
勝者:バルボラ・アイラ / TKO 2R 0:50 レフェリーストップ

《4》オヤジ・フェザー級(57kg以下)
Little cozy(DANGER/44歳)vsトカレフ純血(岡田道場/47歳)
勝者:トカレフ純血 / 判定0-2

《5》オヤジ・スーパーフェザー級(61kg以下)
河合利彦(ケーアクティブ/37歳)vs岩崎涼(AKSドミネーター/43歳)
勝者:河合利彦 / 判定3-0

《6》オヤジ・スーパーフェザー級(61kg以下)
吉田工事21時25分(テツ・関西/45歳)vs武藤慎治(Beauty Kick X/45歳)
勝者:武藤慎治 / 判定0-2

MVP賞 辻健太郎

《7》オヤジ・スーパーフェザー級(61kg以下)
佐々木司(姉崎/51歳)vs武藤健一(Team COMRADE/51歳)
勝者:武藤健一 / 引分け延長判定0-3

《8》オヤジ・スーパーフェザー級(61kg以下)
熊田真幸(プラスα/51歳)vs鈴木秀明(K-1GYM WOLF/50歳)
勝者:鈴木秀明 / 判定0-3

《9》オヤジ・ライト級(65kg以下)
辻健太郎(ケーアクイティブ/35歳)vs汗技ファンタジスタ近藤(TEAM GYAKUSAN/36歳)
勝者:辻健太郎 / 判定3-0

辻健太郎

《10》オナゴ・ミニマム級(50kg以下)
みにまむ(プラスα)vs丸山まゆ子(龍拳会青葉台支部)
勝者:みにまむ / TKO 2R 0:25 レフェリーストップ

《11》オヤジ・スーパーフェザー級
戦う給食のおじさん(アウルスポーツ/39歳)vs寒河江卓也(トイカツ道場/39歳)
勝者:寒河江卓也 / 判定0-2

寒河江卓也

特別賞 寒河江卓也

《12》オヤジ・フェザー級(57kg以下)
ケンサキイカ土井(テツ・関西/50歳)vsトカレフ純血(岡田道場/47歳)
勝者:ケンサキイカ土井 / 判定2-0

《13》オヤジ・ライト級(65kg以下)
レイチャ親方(SHINKOH MUAYTHAI /48歳)vsリュウジ(BOSS/48歳)
勝者:リュウジ / 判定0-2

《14》オヤジ・スーパーウェルター級(69kg以下)
木村豪将(アウルスポーツ/40歳)vs骨の修理屋 ドクターとっしー(龍拳会青葉台支部/49歳)
勝者:ドクターとっしー / 引分け延長判定0-3

《15》オヤジ・スーパーウェルター級(69kg以下)
Safety First Takashi(SFT/DANGER/45歳)vsトライ勇己(岡田道場/43歳)
勝者:トライ勇己 / TKO 2R 0:47 レフェリーストップ

《16》オヤジ・スーパーウェルター級(69kg以下)
神山聖(トイカツ道場/36歳)vsザ・アマレスラー(龍拳会青葉台支部/48歳)
勝者:神山聖 / 判定2-0

《17》オヤジ・スーパーウェルター級(69kg以下)
山崎裕弘(ケーアクティブ/51歳)vs村竹昭彦(広島竹中道場/52歳)
勝者:山崎裕弘 / 判定2-0

特別賞 木村祐英

《18》オヤジ・ライト級(65kg以下)
辻健太郎(ケーアクティブ/35歳)vsカレーパンマン岡本(TEAM GYAKUSAN/40歳)
勝者:辻健太郎 / TKO 2R 0:10 レフェリーストップ

《19》オヤジ・ミドル級(73kg以下)
レッド(テツ・関西/36歳)vs勇者くにかた(アウルスポーツ/45歳)
勝者:レッド / 判定2-1

《20》オヤジ・ヘビー級(80kg超)
AF安原(DANGER/50歳)vsぷーちゃん(レンジャー/47歳)
勝者:ぷーちゃん / TKO 1R 1:15 レフェリーストップ

《21》オヤジ・ヘビー級(80kg超)
木村祐英(トイカツ道場ファイトフィット池袋/45歳)vs菅原裕之(レンジャー/49歳)
勝者:木村祐英 / TKO 1R 0:30 レフェリーストップ

木村祐英

《22》最終試合 オヤジ・ヘビー級(80kg超)
高木昭彦(Kix/50歳)vs押久保修二(総合格闘技GYM ENJOY/39歳)
勝者:高木昭彦 / 判定3-0

高木昭彦

激闘賞 高木昭彦

《取材戦記》

運営関係者の顔触れがキック興行で見かける人達ながら、当然通常のプロ興行とは趣が違ったイベントでした。かつてのプロボクシングは年齢17歳から37歳までがライセンス取得枠(改革毎に制限、条件付で延長あり)で、30歳過ぎての現役は稀でした。現在でも20代が中心でも30歳過ぎても衰え知らずの現役選手が増えたものです。キックボクシングでは基準が緩いせいもあってか、40歳超えも増えており、幼い頃から始められるアマチュアキック・ムエタイから年齢を重ねてから始めるアマチュア枠のオヤジファイト、オヤジキック、戦いは60歳代年齢層まで広がった時代となりました。

プロから比べれば、それほど厚い壁ではない出場資格を獲得すれば、一般女性でもサラリーマンでも出場可能。打撃競技における安全面だけ危惧され続ける競技ですが、挑戦してみるのもこの理不尽な無差別殺人などの犯罪に巻き込まれかねない世の中、身を守る術を学び人生を充実させる良い経験となるかもしれません。
「私でも出場できますか?」とガルーダ・テツさんに聞くと「できますよ、ぜひやりましょう!」と笑顔で勧められる怖い誘い。

タイで三日坊主の“再出家話”ではないが、やれる可能性を尋ねてみたまでで、昔なら考えられない雲の上の世界でした。私にはとてもこんなキツい鍛錬には耐えられませんが、「若い頃からやっていてば俺でもオヤジキックには出られたかもしれない」と思います。

「遅くはない」という誘いに心揺れ動く人は挑戦してみてはいかがでしょう。

全員集合

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]

フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

創業50周年!タブーなき言論を! 月刊『紙の爆弾』7月号

一水会代表 木村三浩=編著『スゴイぞ!プーチン 一日も早く日露平和条約の締結を!』

上條英男『BOSS 一匹狼マネージャー50年の闘い』。「伝説のマネージャー」だけが知る日本の「音楽」と「芸能界」!

今日は急激な技術発展があり、情報分野から生物学、工学に至るまで高度なテクノロジーが日々開発されている。発展のスピードは指数関数的であり、かつてSF映画で見たような技術が実用段階にあるというケースも少なくない。

◆テクノロジーを理解しようとする努力

だが、人間はそれらをうまく使いこなせているだろうか? ゲーム中毒やスマホ首などの症状、また手書きの時に文字を思い出せなかったり、GoogleMapに頼らなければ目的の場所にたどり着けなかったり……。人間が技術に操られていると思うような場面も少なくない。

しかし、人間は技術を適切に使いこなすべきであり、技術に操られるようなことがあってはならない。そのためにも人間が自らの能力を高めておく必要があるのである。

私たちの身の回りにあるスマートフォン、自動車、PC、エアコンといった高度な技術製品はその道の専門家でなければ分からない、ブラックボックスである。普通の人にはその内部構造や生産工程は全く理解できない。

しかし、可能な限り技術や製品について理解しておいた方がいい。文献やヒアリングで情報を得る、実物の中身に見てみるといった行為は理解する上で非常に重要である。また、移動する際も自動車や電車で移動するのではなく、自転車や徒歩で移動する機会を増やしたりすることで「体で考える」経験を増やす。アナログ的要素は古臭いと思われるかもしれないが、実はテクノロジーをコントロールする上で非常に重要なのである。

高度なテクノロジーを利用すること自体は悪いことではないが、それに過度に頼りすぎることはやがて自分の能力を低下させ、今度はテクノロジーに自分が操られるようになるのである。便利だからと楽だからとテクノロジーに依存しすぎるのは間違いである。

◆高度なテクノロジーも結局は道具である

技術自体に善悪はなく、善悪は常に人間の側にある。となれば、いかに高度で優れた技術があったとしても使い方を誤れば、悪い結果を引き起こす。いくら立派な包丁であっても、それで人を刺殺すればただの凶器になりさがる。一方、簡易な包丁であってもうまく料理を作れば人を喜ばせられるのである。

いい事例が中国だろう。近年、中国のICT技術は急速に発展しており自動運転技術、ドローン、キャッシュレス決済などで世界をリードするようになり、プログラミング雑誌を読んでいても時折中国を「IT先進国」と呼ぶ記述も目にすることが増えてきた。経済特区の深?は「中国のシリコンバレー」と呼ばれるほど高度なIT都市である。

 

監視カメラから見た街の様子。AIが個人や車を認識している緑の枠が出ている。参照『China: the world's biggest camera surveillance network - BBC News』

しかしその一方で小説「ビッグブラザー」をしのぐような、IT技術を駆使した徹底的なファシズム体制が完成しており、もはや国民が中国共産党を批判することはほぼ不可能になっている。反政府活動家がメールやSNSで連絡を取り合ってもすぐに削除されてしまうか、公安によって逮捕されてしまう。「金盾」というインターネット検閲システムで政府に都合が悪い単語は検索ができず、facebookやtwitterといった海外のSNSも利用できない。

極めつけは「天網(スカイネットと呼ばれることもある)」と呼ばれる監視ネットワークシステムであろう。これは全国に張り巡らした監視カメラとAIを連動させることで全国民を1人1人監視するという恐ろしいシステムである。

※参照『China: “the world’s biggest camera surveillance network” – BBC News』

「天網」について貿易の仕事で中国を行き来する知人の話によると、上海や北京のような大都市はもちろん、カシュガル(新疆ウイグル自治区)のような田舎町にも数十メートルおきに街角に監視カメラが設置されているという。さらにはモスクや教会の内部にも監視カメラが設置されているようである。「高性能」なAIによって対象人物の80か所以上の特徴を瞬時に判断し、特定できるという。近年はこのような監視システムがケニアなどの途上国にも輸出され始めており、それは中国流のサイバーファシズムが世界に拡散しているということに等しい。

◆いかにテクノロジーが発展しようと、それを使う人間はしっかりしなければならない

技術の使い方を間違えるとどのようなことになるのかと言うことについて、中国の監視システムはいい反面教師になるだろう。

つまるところ技術によって善い行いができるかどうかは、人間次第だということである。テクノロジーが高度になればなるほど、それを使う人間もみずからを向上させなければならないだろう。そのためにも人間がしっかりしなければならない。技術に対する倫理や理念の学習、運動能力や思考能力といった人間本来の能力の向上といったことは極めて重要である。高度な技術によって人間が怠けたり、またその使い方を誤るといったようなことがあってはならない。

▼Java-1QQ2
京都府出身。食品工場勤務の後、関西のIT企業に勤務。IoTやAI、ビッグデータなどのICT技術、カリフ制をめぐるイスラーム諸国の動向、大量絶滅や気候変動などの環境問題、在日外国人をめぐる情勢などに関心あり。※私にご意見やご感想がありましたら、rasta928@yahoo.ne.jpまでメールをお送りください。

本日発売!月刊『紙の爆弾』7月号! 大義なし、争点なしの“解散風”「衆参ダブル選」の真相

山田悦子、弓削達ほか編著『唯言(ゆいごん)戦後七十年を越えて』

どんな大事件も年月の経過と共に人々の記憶から風化する。それを私が強く感じたのが、昭和の有名冤罪の1つ、因島毒まんじゅう事件を取材した時だ。高度成長期、瀬戸内海の風光明媚な島で起きた毒殺事件として大きな注目を集めた事件だったのだが・・・。

「そういえば昔、この島でそんな事件があったねえ。でも、私はあの頃、小さかったけえ、詳しいことは知らんのんよ。もっと年増の人に聞いてみたほうがええかもね」

2015年3月、事件の舞台である因島(広島県)で、私は島の年配女性にそう言われた。「失礼ですが、おいくつですか?」と尋ねると、その女性は「65よ」と笑ったのだった。

有名冤罪の舞台になった因島。普段は風光明媚な島だ

◆家族5人の毒殺を自供しながら裁判で無罪に

因島で暮らす山本(仮名)という家族の家で5人の親族が「不審死」した疑惑が浮上したのは1961年1月のこと。捜査の結果、この家の次男・山本祥雄(当時31、仮名)がまんじゅうに毒を仕込み、家族を毒殺した容疑で広島県警に検挙された。そして幸男は取り調べに対し、5人全員を毒まんじゅうで殺害したと自供した。

もっとも、起訴に至ったのは結局、4歳の姪に対する殺人容疑だけ。さらに祥雄は裁判で、「自供したのは警察に拷問を受けたため」と無実を主張した。結果、祥雄は一審で懲役15年の判決を受けたが、1974年に二審の広島高裁で逆転無罪を宣告された。

私は裁判の記録を確認したが、たしかに物証は乏しく、そもそも本当に毒殺事件が存在したのかも疑わしいように思えた。肝心の祥雄の自白内容も曖昧だったから、無罪は妥当な結果だった。

だが、現地を訪ねてみると、冒頭の女性をはじめ、年配の島民も事件自体をほとんど知らないのだ。凶器のまんじゅうの購入先とされる店の経営者も「当時はうちも報道被害を受けたんで」と言葉少なに事件を語っただけだった。

犯行に使われたとされる「まんじゅう」と同じ商品は今も売られている(写真は一部修正しました)

◆日本中どこでも「毒まんじゅうの島」と言われた

そんな中、「そういう事件、あったねえ」と唯一、具体的な話を聞かせてくれたのが、さびれた日用品店の店先で話し込んでいた2人の老女だった。

「あの事件があった頃は日本中どこに行っても、因島から来たと言うと、『ああ、毒まんじゅうの島ね』と言われたんよ(笑)」(老女A)

懐かしそうに語る2人の老女はいずれも90歳。小学校からの同級生なのだという。

「山本さんの家は、今はうまくいっとんじゃないかね。働き者のムコさんをもろうてね。祥雄さんはもう亡くなったと思うけど、奥さんはまだ生きとったと思うよ」(老女B)

このように祥雄ら山本家の内部事情にも詳しい老女たち。だが、祥雄が裁判で無罪判決を受けたことについては、「さあ、どうだったんかねえ」とまるで知らない様子だった。

◆地元の人たちの記憶からも事件は風化

もしかして、祥雄は今も島では、「身内殺し」の汚名を着せられたままなのだろうか。

「どうなんじゃろうねえ。山本さんらはムコさんをもらう時に事件の話もしたんかねえ。そういう話を聞いたような気もするけど、私らくらいの年齢になると、聞いたことはそのまま忘れるんよ」(老女A)

地元でも忘れ去られた冤罪事件。事件が起きた当時、元号は昭和だったが、その次の平成も終わり、時代は令和へと移る。山本家の人々にとって、不幸な冤罪が過去のものになっていることを願う。

▼片岡健(かたおか けん)
全国各地で新旧様々な事件を取材している。新刊『平成監獄面会記 重大殺人犯7人と1人のリアル』(笠倉出版社)が発売中。

創業50周年!タブーなき言論を!月刊『紙の爆弾』毎月7日発売

「絶望の牢獄から無実を叫ぶ ―冤罪死刑囚八人の書画集―」(片岡健編/鹿砦社)

« 次の記事を読む前の記事を読む »