重信母娘を「テロリスト」と呼ぶイスラエルの侵略者 ── ウクライナ戦争と比べてみれば、侵略者の傲岸な様相がわかる 横山茂彦

イスラエルのギラッド・コーヘン駐日大使は10月13日、東京・丸の内の日本外国特派員協会で記者会見し、その中で10月11日にBS-TBSで放送された「報道1930」で、ジャーナリストの重信メイ氏が出演したことを問題視した。


◎[参考動画]イスラエル「総攻撃に移行する」“天井のない監獄”の現状は?【10月11日 TBS-BS 報道1930】|TBS NEWS DIG

重信メイ氏は、国際テロ組織、日本赤軍を率いた重信房子・元最高幹部の娘である。それゆえコーヘン氏は、メイ氏の番組出演が「市民を暗殺しても構わない」というメッセージを送ることになると主張。「殺人者やテロリストの一族」に発言の場を与えるべきではない、などと話した。

だが、これをウクライナ戦争の現状に例えてみれば、コーヘン氏の主張は珍妙極まりないものになる。現在、複数の日本人がウクライナ戦争および近隣国に「義勇兵」「医療スタッフ」「ボランティア」として参加しているが、誰がかれらを「テロリスト」と呼ぶだろうか?

イスラエルは、1936年のパレスチナ独立戦争を受けたピール委員会裁定(イスラエルはパレスチナの15%を国土とする)いらい、入植地を拡大することでアラブ人を隔離地に追いやってきた、いわば侵略国家なのである。ヨルダン川西岸・ガザ地区を隔離し、いわば「21世紀のアパルトヘイト政策」を行なっているのが、イスラエルなのである。

ロシアのクリミア併合、ドンバス併合が明らかに侵略戦争・領土分割であるとしたら、イスラエルのパレスチナ侵攻も、まちがいなく侵略戦争・領土併呑である。いまわれわれは、人間的な尊厳をかけてロシアと戦うウクライナ人を、英雄的だとすら称賛する。侵略者が占領地のロシア化、強制連行、殺戮やレイプを重ねるがゆえに、ウクライナ人の悲惨な現実に支援を惜しまない。

ロシアの侵略行為を許すならば、東ヨーロッパ(旧ソ連圏)全体が、あるいは極東がプーチンの専制支配に蹂躙される可能性があるからだ。パレスチナで起きていることも、侵略という本質は同じである。


◎[参考動画]イスラエルとパレスチナ双方の大使が都内で会見 互いに非難(2023年10月14日)

◆重信房子のハーグ事件への関与は立証されていない

日本赤軍はPFLP(パレスチナ民族解放戦線)の支援組織として、いわば公募ボランティアから出発し、のちに軍事作戦に従うことになるが、いわば義勇兵的な参加形態であった。

重信房子個人で言えば、ハーグ事件(オランダのフランス大使館襲撃・人質事件)の共同共謀正犯として起訴されたが、事実関係は公判でも明らかにされていない。ライラ・ハリド、カルロス(この事件の主導者)も、重信の関与を否定している。
コーヘン駐日大使は、リッダ事件にも言及している。

「私が尊敬するTBSのニュースで、50年前にイスラエル人を殺害した、重信の娘にインタビューしているのを見た。重信の娘は、日本のテレビでコメンテーターをしていた。これは何だ?」

日本赤軍(当時は赤軍派)は1972年5月、イスラエル・テルアビブのリッダ空港(現ベングリオン空港)で約100人を死傷させた銃乱射事件を起こしている。この点を念頭に置いた発言だが、じつはこの事件は民間人の死者の大半が、イスラエル兵の銃射撃だったことも明らかになっている。

すなわち、当初は管制室を襲撃するはずだったものが、警備のイスラエル兵と銃撃戦になり、民間人を巻き込んだ惨劇となったのだ。そしてこの作戦はPFLPが立案し、奥平剛士と安田安之、岡本公三が「パトリック・アルグレロ隊」(名称の由来は、70年にPFLPの作戦で殉死したニカラグア人)として参加したものだ(重信房子『革命の季節』『戦士たちの記録』幻冬舎刊参照)。当時の重信房子はPFLPの広報部の仕事を手伝っていて、作戦そのものに関与していない。


◎[参考動画]重信房子(元・日本赤軍) 第17回反戦・反貧困・反差別共同行動 in 京都での挨拶(2023年10月15日)

◆ハマスを生み出したのは、イスラエルである

コーヘン駐日大使への我々からのメッセージとして、あえてイスラエルをテロ国家と規定しよう。

なぜならば、遠因がイギリスの二枚舌外交(パレスチナにアラブ国家とユダヤ人国家を約束)にあるとはいえ、入植地の一方的な拡大と、自国民保護の名目で軍事占領、殺戮と隔離政策を推し進めてきたのが、イスラエルにほかならないからだ。
かつてのPFLPの抵抗も、現在のハマスの軍事行動も、イスラエルの侵略に原因があるのだ。

すでに75年にわたって、殺戮と蹂躙、血の報復が行われてきたパレスチナで、イスラエルはガザ地区への地上軍事侵攻、すなわちジェノサイドサイド(大量虐殺による民族浄化)に出ようとしている。そしてわれわれ日本人にとって、パレスチナ紛争はよくわからない問題である。

誰かに訊いてみるといい。パレスチナ紛争が侵略戦争であり、自分の住む家をうしなった難民問題であることを、どれほどの日本人が知っているだろうか。宗教紛争だと思い込んでいる日本人も少なくないはずだ。それゆえに、パレスチナ問題を熟知している重信房子、メイ母娘が解説につとめることが、いまの日本には必要なのだ。


◎[参考動画]【オプエドLIVE】重信メイ【緊迫の中東 戦火の根源を探る】(2023年10月18日)

▼横山茂彦(よこやま・しげひこ)
編集者・著述業・歴史研究家。歴史関連の著書・共著に『合戦場の女たち』(情況新書)『軍師・官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)『闇の後醍醐銭』(叢文社)『真田丸のナゾ』(サイゾー)『日本史の新常識』(文春新書)『天皇125代全史』(スタンダーズ)『世にも奇妙な日本史』(宙出版)など。

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2023年11月号

尾﨑美代子著『日本の冤罪』刊行にあたって 鹿砦社代表 松岡利康

10月も半ばを過ぎ、日ごとに肌寒くなってまいりました。

 
本日発売 尾﨑美代子著『日本の冤罪』

さて、このたび小社は『日本の冤罪』を刊行しました。著者の尾﨑美代子さんは、労働者の町・大阪釜ヶ崎に根づき、小さな食堂を営みながら、かねてからの自身の追求課題として冤罪事件の取材を続け、月刊『紙の爆弾』を舞台に継続してレポートを発表してきました。それらに補強取材を行い最近の経過を加え一冊の単行本『日本の冤罪』としてまとめ上梓されました。「日本の冤罪」の連載は毎号『紙の爆弾』の基幹企画として複数のライターによって現在も継続しています。それだけ世の中に冤罪が多いということですが……。

尾﨑さんのレポートは、連載開始以来好評で多くの読者から書籍化することが望まれてきました。特に本書の完成を待たずに8月に亡くなられた「布川事件」の冤罪被害者・桜井昌司さんはそうで、本書での対談は、まさに〝遺言〟ともいえる貴重なものです。

そのように本書は、机上で教条主義的スコラ的に「事件」を組み立てるのではなく、法律の専門家でも学者でもなく、日々労働者と共に在る一人の市民として時間を見つけては四方八方冤罪被害者の元を訪ね、冤罪被害者と家族・関係者に寄り添って取材を続け、生きた記録として書き綴ってあります。「冤罪」問題を扱った類書は少なからずありますが、その点が類書と根本的に異なるところです。

何卒、本書を紐解いていただき、知人や友人、メディア関係者の方々に薦められご紹介の労を執っていただきたくお願い申し上げます。

株式会社 鹿砦社
代表取締役
松岡利康

日本の冤罪
尾﨑美代子=著
四六判 256ページ カバー装 定価1760円(税込み)

「平凡な生活を送っている市民が、いつ、警察に連行され、無実の罪を科せられるかわからない。
今の日本に住む私たちは、実はそういう社会に生きている。」
(井戸謙一/弁護士・元裁判官)

労働者の町、大阪・釜ヶ崎に根づき小さな居酒屋を営みながら取り組んだ、
生きた冤罪事件のレポート!

机上で教条主義的に「事件」を組み立てるのではなく、
冤罪事件の現場に駆け付け、冤罪被害者や家族に寄り添い、
月刊『紙の爆弾』を舞台に長年地道に追究してきた、
数々の冤罪事件の〈中間総括〉!

8月に亡くなった「布川事件」の冤罪被害者・桜井昌司さんが死の直前に語った
貴重な〈遺言〉ともいうべき対談も収める!

【主な内容】
井戸謙一(弁護士/元裁判官) 弱者に寄り添い、底辺の実相を伝える
《対談》桜井昌司×尾﨑美代子 「布川事件」冤罪被害者と語る冤罪裁判のこれから

[採り上げた事件]
湖東記念病院事件/東住吉事件/布川事件/日野町事件/
泉大津コンビニ窃盗事件/長生園不明金事件/神戸質店事件/姫路花田郵便局強盗事件/
滋賀バラバラ殺人事件/鈴鹿殺人事件/築地公妨でっち上げ事件/京都俳優放火殺人事件/
京都高校教師痴漢事件/東金女児殺害事件/高知白バイ事件/名張毒ぶどう酒事件

[著者略歴]尾﨑美代子(おざき・みよこ)1958年、新潟県生まれ。中央大学中退。大学生時代の80年代、山谷(東京)の日雇労働者、野宿者問題の支援に関わる。90年代初頭大阪に移住して以降は、同じく日雇労働者の町・釜ヶ崎に住みながら、フリースペースを兼ねた飲食店「集い処はな」を経営。釜ヶ崎で知り合った仲間たちと、3・11以後福島支援、反原発運動を始め、講演会、上映会、支援ライブなどを続ける。その傍ら、かつてより関心のあった冤罪事件の取材・執筆活動を続ける。


カズ・ジャンジラ、チャンピオン初戦は元ムエタイランカーと引分け! 堀田春樹

6月に引退した笹谷淳がレフェリーデビュー。
カズ・ジャンジラはムエタイテクニシャンの壁崩せず。
片島聡志は判定ながら主導権奪った完勝。
藤原あらし、ヒザ蹴りの決定打足りず引分けに終わる。

◎野獣シリーズvol.6 / 10月14日(土)後楽園ホール17:30~21:00
主催:日本キックボクシング連盟 / 認定;NKB実行委員会

◆第12試合 67.0kg契約 5回戦

NKBウェルター級チャンピオン.カズ・ジャンジラ(チームジャンジラ/1987.9.2東京都出身/66.6kg)42戦20勝(4KO)16敗6分
        VS
サムランチャイ・エスジム(元・ルンピニー系スーパーバンタム級2位/1995.6.7タイ国イサーン地方出身/66.9kg)77戦48勝(13KO)24敗5分
引分け 三者三様
主審:前田仁
副審:鈴木49-50. 加賀見50-49. 高谷50-50

カズ・ジャンジラが先手を打って蹴って出ると、その都度、サムランチャイは強く蹴り返して来る。

カズ・ジャンジラが踏み込んだ右足を払い、この後転ばせたサムランチャイ

カズのローキックでバランス崩したサムランチャイがコーナーに詰まるとカズはパンチでラッシュをかけるが、その踏み込んだ右軸足を払い避けてカズを転ばせてしまう上手さを見せた。プレッシャーをかけて出るカズに対し待ち構えるサムランチャイ。カズが出れば返す余裕は続くが、カズを追い込むには至らない展開が続いた。カズは攻撃力を増すもムエタイテクニシャンを追い込むには至らなかった。

ロープ際に下がる展開も要所要所で強い蹴りを繰り出すサムランチャイ

カズ・ジャンジラは「サムランチャイはやり難かったですね。テクニックで圧されちゃいました。もっと蹴って来ると思ったんですけど、その蹴りに合わせること意識していたのと、ヒジ打ち狙っているのが分かったので警戒し過ぎました。」と語った。

攻め倦む展開も攻勢を掛けるカズ・ジャンジラ、チャンピオンの意地

◆第11試合 56.8kg契約5回戦

片島聡志(元・WPMF世界スーパーフライ級Champ/KickLife/1990.10.19大分県出身/56.7kg)54戦29勝(5KO)20敗5分
        VS       
NKBフェザー級5位.鎌田政興(ケーアクティブ/1990.5.6香川県出身/56.45kg)
19戦8勝(3KO)9敗2分
勝者:片島聡志 / 判定3-0
主審:高谷秀幸
副審:鈴木50-45. 加賀見50-44. 前田50-45

片島聡志の先手を打つ蹴りから、鎌田政興の前蹴り足を掴んで左ボディブローを打ち込む。徐々に多彩な技で勢い有る片島のペースが上がっていく。鎌田はパンチローキックを返し突破口を探る。

第3ラウンドに偶然のバッティングで片島が左目尻を切り、鎌田がやや手数が増えるが、片島の勢いは変わらず。

終盤に移っても片島にとって慣れた5ラウンド制でスタミナに問題無いが、やや勢いは弱まったか、それでも飛び後ろ蹴りも繰り出して余裕を見せる片島。

第4ラウンド、勢い付いた片島聡志の飛び後ろ蹴り

最終第5ラウンド、ハイキックを繰り出しながら更にフェイント掛けて右ハイキックで鎌田の顔面にヒットしてノックダウンを奪う。立ち上がる鎌田に勢い付いて最後にハイキック繰り出して終了。

片島聡志は「鎌田はボディブローで効いている感じもあったのに失速しないので、このままいくと疲れちゃいそうで、そのまま狙いを上下散らして4ラウンドから技を確かめるようにマススパーリング的に進めました。ハイキックヒットはたまたまです」と笑顔で応えた。

片島聡志がラストラウンドにノックダウン奪った右ハイキック

◆第10試合 バンタム級3回戦

藤原あらし(元・WPMF世界スーパーバンタム級Champ/1978.12.22和歌山県出身/バンゲリングベイ/53.35kg)99戦63勝(41KO)24敗12分
        VS
中島大翔(GET OVER/2004.8.28愛知県出身/53.5kg)10戦4勝(1KO)4敗2分
引分け 1-0
主審:加賀見淳
副審:鈴木30-28. 高谷30-30. 前田30-30

中島大翔は元・全日本バンタム級チャンピオン(NJKF同級C)の中島稔倫氏の御子息である。

初回、蹴り合いでの探り合いから首相撲へ、更にヒザ蹴りの応酬。ブレイクが掛かり、離れるとまたパンチやローキック、ミドルキックの距離に戻るが、またすぐ密着の首相撲に移る繰り返し。

藤原あらしのムエタイ技、首相撲からのヒザ蹴り

第3ラウンド終盤、中島の飛び回し蹴りを見せるも藤原あらしは凌いでミドルキックなど蹴りで返す。ベテラン藤原あらしに立ち向かった中島大翔は勇敢に攻めたが、有効打に差は付け難く引分けに終わった。

中島大翔も大ベテラン藤原あらしに臆さず顔面狙って右ハイキックを蹴り込む

◆第9試合 59.0kg契約3回戦

半澤信也(Team arco iris/1981.4.28長野県出身/58.58kg)28戦10勝(4KO)14敗4分
      VS
鈴木ゲン(拳心館/1973.6.5新潟県出身/58.5kg)8戦6勝(4KO)1敗1分
勝者:半澤信也 / 判定3-0
主審:鈴木義和
副審:前田30-28. 笹谷30-29. 加賀見30-27

両者、主導権奪う勢いが無く、ノックアウトには結び付き難い流れだが、鈴木ゲンの手数少ない為の半澤信也の手数が優り、内容的にも僅差ながら判定勝利を掴む。

◆第8試合 ライト級3回戦

来(=らい/テツ/1994.7.9大阪府出身/60.8kg)14戦6勝6敗2分
      VS
山本太一(ケーアクティブ/1995.12.28千葉県出身/61.0kg)14戦5勝(4KO)6敗3分
勝者:来 / 判定2-1
主審:高谷秀幸
副審:笹谷30-28. 前田30-29. 加賀見29-30

両者、積極的に主導権支配に蹴って出るが、なかなか噛み合わない流れで有効打少なく、ポイント振り分け難い、採点が分かれる僅差となったが、ややパンチのヒットが目立った来が勝利を拾った。

終始圧倒した安河内秀哉がノックダウンに繋げる飛び回し蹴りヒット

◆第7試合 54.5kg契約3回戦

蒔田亮(TOKYO KICK WORKS/2002.6.23千葉県出身/54.4kg)4戦3勝1敗
      VS
安河内秀哉(RIKIX/2003.10.7東京都出身/54.3kg)6戦4勝(2KO)2敗
勝者:安河内秀哉 / 判定0-3
主審:鈴木義和
副審:加賀見25-30. 前田24-30. 高谷25-30

安河内秀哉の蹴りで主導権奪い、第2ラウンドに飛び左ハイキックで蒔田亮の顔面を捕らえるとダメージ負って後退するところを左ストレートでノックダウンを奪った後、蹴りの攻防からパンチとヒザ蹴りで2度目のノックダウン。

第3ラウンドにも飛びヒザ蹴りでスリップ扱いながら蒔田を転ばせ、パンチからヒザ蹴り、ロープに詰めてのヒジ打ち連打でスタンディングダウンを奪う。更に攻勢を掛け、ストップ寸前に追い込むも倒し切れず大差判定勝利となった。

◆第6試合 56.0kg契約3回戦

シャーク・ハタ(=秦文也/テツ/1987.10.20大阪府出身/55,25kg)8戦4勝3敗1分
      VS
龍一(拳心館/1995.11.17新潟県出身/55.7kg)7戦6敗1分
勝者:シャーク・ハタ / 判定3-0
主審:笹谷淳
副審:高谷30-27. 前田29-28. 鈴木30-28

レフェリーを務めた笹谷淳とシャーク・ハタのハイキック

◆第5試合 バンタム級3回戦

ベンツ飯田(TEAM Aimhigh/1997.4.17群馬県出身/53.3kg)15戦3勝(1KO)9敗3分
       VS
田嶋真虎(Realiser STUDIO/2002.6.28埼玉県出身/53.15kg)4戦2敗2分
引分け 1-0 (30-27. 30-30. 30-30)

◆第4試合 60.0kg契約3回戦

猪ノ川海(大塚道場/2005.9.30茨城県出身/59.9kg)2戦1勝(1KO)1敗
      VS
利根川仁(Realiser STUDIO/2003.1.24東京都出身/59.7kg)2戦2勝
勝者:利根川仁(青コーナー) / 判定0-2 (28-30. 29-30. 29-29)

◆第3試合 女子55.0kg契約3回戦(2分制)  

KARIN(HEAT/2007.2.15静岡県出身/54.55kg)3戦1勝2敗
      VS
MEGUMI KICK SPARK(KICK SPARK/1979.12.4大阪府出身/54.8kg)5戦1勝4敗
勝者:MEGUMI(青コーナー) / 判定0-3 (27-30. 26-30. 28-30)

◆第2試合 ライト級3回戦

森野允鶴(渡邉/2001.1.17東京都出身/61.2kg)1戦1勝
      VS
佐藤拓也(クロスポイント吉祥寺/1983.8.5山形県出身/61.15kg)3戦3敗
勝者:森野允鶴(赤コーナー) / 判定3-0 (28-26. 28-26. 28-26)

◆第1試合 フェザー級3回戦

KATSUHIKO(KAGAYAKI/1975.11.13新潟県出身/56.55kg)5戦2勝(2KO)2敗1分
      VS
増田康介(Realiser STUDIO/2003.6.13愛知県出身/56.75kg)2戦1勝1敗
勝者:KATSUHIKO(赤コーナー) / TKO 2R 2:50 / ノーカウントのレフェリーストップ

《取材戦記》

生まれて5ヶ月の赤ちゃんを抱く片島聡志、NKBで3連勝

2月18日にカズ・ジャンジラとのNKBウェルター級王座決定戦に敗れ引退し、4月15日に引退セレモニーでテンカウントゴングに送られた笹谷淳が、この日レフェリーデビューしました。前座から中盤までの中、第6試合でレフェリーを務められ、そつなくこなした様子。今後はローブローやバッティングの処置、止めるタイミングなど、難しい事態も起こると考えられるが、難しい任務を毅然と対処していけるよう頑張って欲しいものです。

片島聡志と藤原あらしが揃っての出場は2月18日以来。やっぱり存在感ある二人であった。

特に片島聡志は2月と4月とこの日でNKB出場3戦3勝(2KO)。お子さんも生まれた初戦を勝利してモチベーションも上がったことでしょう。今後もオファーがあれば出場の意欲は満々のようでした。

しかしこの日のメインイベントを務めたのはチャンピオンと成って初戦のカズ・ジャンジラ。その責任感はあっても、攻めて来ないムエタイテクニシャンには、てこずった様子。今後もタイテクニシャンや他団体チャンピオンやランカーとの交流戦も考えられるので、NKBの看板背負った戦いを乗り越えていかねばならないでしょう。

次回、野獣シリーズFINAL(Vol.7)は12月16日(土)後楽園ホールに於いて開催されます。メインイベントは59.0kg契約5回戦で、NKBライト級1位、棚橋賢二郎(拳心館)vs NKBフェザー級3位、勇志(テツ)が予定されています。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2023年11月号

『ジャニーズ帝国 60年の興亡』刊行にあたって 鹿砦社代表 松岡利康

すっかり秋めいてまいりました。

このたび小社は28年にわたるジャニーズ問題(創業者ジャニー喜多川による未成年性虐待と事務所の横暴など)追及の〈集大成〉として『ジャニーズ帝国 60年の興亡』を刊行いたしました。

 
鹿砦社編集部編『ジャニーズ帝国 60年の興亡』

本書は私たちにとって感慨深いものがあります。今から28年も前の1995年、ジャニーズ事務所から出版差し止めを申し立てられて以来、私たちは3度の出版差し止めにも屈せずジャニーズ問題を告発し続けてまいりました。

このかんのジャニーズ問題のヒートアップには驚くばかりですが、ずっと悲観的な想いでいたところ28年にわたる執念が実ったことだけは確かです。「蟻が象を倒すこともある」「針の一穴がダムを決壊させる」と嘯いてまいりましたが、現実のものとなりました。

現在、すべてと言っていいほどのマスメディアが日々ジャニーズ問題に狂奔していますが、「死人に口なし」で、なぜもっと早い時期、少なくとも『週刊文春』訴訟でジャニー喜多川の未成年性虐待が認定され最高裁で確定した時点からでも取り組むべきだったと思います。文春以前と以後、さらにジャニー喜多川が存命中と死後では、取材や記事の値打ちに天地雲泥の差があります。

毀誉褒貶はあるかと思いますが、まずは私たちの闘いの記録でもある本書をご覧になり、取材の参考にされたり、またご意見、ご批判などお寄せください。こういう記録書は他にはないことだけは確かであり、手前味噌ながら、これだけでも価値があると自負いたします。

まずは『ジャニーズ帝国 60年の興亡』刊行のご挨拶にて失礼いたします。

株式会社鹿砦社 
代表取締役
松岡利康

【主な内容】
Ⅰ 苦境に立たされるジャニーズ
  2023年はジャニーズ帝国崩壊の歴史的一年となった!
  文春以前(1990年代後半)の鹿砦社のジャニーズ告発出版
  文春vsジャニーズ裁判の記録(当時の記事復刻)
 [資料 国会議事録]国会で論議されたジャニーズの児童虐待

Ⅱ ジャニーズ60年史 その誕生、栄華、そして……
1 ジャニーズ・フォーリーブス時代 1958-1978
2 たのきん・少年隊・光GENJI時代 1979-1992
3 SMAP時代前期 1993-2003
4 SMAP時代後期 2004-2008
5 嵐・SMAPツートップ時代 2009-2014
6 世代交代、そしてジュリー時代へ 2015-2019
7 揺らぎ始めたジャニーズ 2020-2023

10月23日発売 鹿砦社編集部編『ジャニーズ帝国 60年の興亡』A5判 320ページ 定価1980円(税込み)

「民意ガン無視で外遊ばかり」岸田総理そっくり! 湯崎英彦・広島県知事が今年度6度目の外遊 さとうしゅういち

広島県の湯崎英彦知事は広島カープがレギュラーシーズンで苦手としていたベイスターズを打倒したCSファーストステージ(14日、15日)で県内が盛り上がっていた10月13日から17日の日程で、フランスを訪問しました。ワインの即売会でカキや日本酒を売り込む、ということでした。

 
湯崎英彦広島県知事の2023年度外遊

それにしても、今年はやけに、知事はたくさん外国に行かれています。それもそのはずです。今回で6か所目の外遊だからです。

湯崎知事は、4月と8月に観光PRで台湾へ行かれています。また7月には友好連携先のハワイ、そしてNPT第一回準備会合のためウィーンへ。6月には英国に政務と公務を兼ねて訪問。そして、今回の訪仏に加え、今後、米国訪問も予定されているとのことです。

核兵器廃絶のためのNPT準備会合出席は、核兵器廃絶のためであって費用対効果を云々する性質のものではないでしょう。しかし、観光PRなり、商品のセールスに知事がわざわざ向かうことにどれだけの効果があるのでしょうか?今は、円安で渡航費も膨らんでいる折です。これまでに3000万円を使っています。

◆県民の声を聴かなくなった知事 外国ばかり行ってどうする?!

また、そもそも、知事は外務大臣ではありません。海外へ行く前に、知事として県民の声をもっと聴くことに時間を充てられたらいかがでしょうか? いま、湯崎知事の県政、そして知事が進める政策には、住民の声や社会的ニーズが全く反映されていないためにうまくいっていないのでは?と思われることがたくさんあります。
そもそも、知事は一期目(2009~2013)には【湯崎英彦の宝さがし】と銘打って、県内全市町を回って住民と対話を直接されていました。あのころの知事の産業政策にはそれなりに地に足についたものがあったように記憶しています。

また、福山市鞆の浦で地域を二分していた、埋め立て架橋問題では、賛成・反対両派の住民の対話集会を実施。『渋滞をなくす』という共通目標を達成するためにどうすればいいか、合意形成に務められました。

その結果、景観を壊す鞆の浦埋め立てではなく、山側にトンネルを掘って通過交通を捌く方向に落ち着いたのです。

筆者も、一期目にされたような対話重視の県政を期待して2009年の湯崎さんの最初の選挙では湯崎さんに一票を投じました。しかし、今となっては『湯崎英彦!俺の一票を返せ』とは言わぬが『打倒するしかない』という気持ちでいっぱいです。
以下に湯崎さんが早急に県民の声を聴くべき課題を目につくだけでも挙げます。

◆三原産廃問題、放置したままではカキにも日本酒にも打撃

 
原告団共同代表の岡田和樹様SNSより

三原市では湯崎知事が許可し、2022年秋から稼働を開始した本郷産廃処分場(JAB協同組合)から2023年6月以降、BODなどが基準値を上回る汚染水が流出。2023年10月現在も日中こそ流出は止まっていますが、早朝や夜間にはまだ出続けています。

周辺住民は田んぼに水を引くこともままならず、苦しんでいます。そして、この間、7月4日には、広島地裁は知事に対して産廃処分場への設置許可を取り消すよう命じています。しかし、知事は、控訴した上で、汚染水に何の実効性ある対策も取ろうとしないばかりか、住民たちの面会要請も無視しています。

知事! このまま汚染水が川や海に流れ込み続けば日本酒やカキにも悪影響が出ますよ?! 知事は、フランスに日本酒やカキの売り込みに行く前に、三原市民にお会いになり、現状把握をされるべきです。

 
湯崎知事が肝いりで進めている県病院

◆住民無視で暴走する県病院廃止

湯崎知事が肝いりで進めている県病院や中電病院、JR病院を廃止して新巨大病院を建設する構想。1300~1400億円かかるというのに試算根拠は不明です。そもそも、計画段階で県病院が地元から消えてしまう南区や、宇品港経由で県病院を利用してきた島しょ部の住民の意見を聞いた形跡もありません。一方的な説明会をしたうえで、補正予算案を知事に批判的な議員が少ないことをいいことにごり押ししました。

◆県庁から徒歩圏内でも課題山積

県庁から徒歩圏内でも課題は山積しています。県庁から北東へ徒歩ですぐの公立大学法人・叡啓大学も知事肝いり事業。入学者が定員割れするという惨状です。つくるだけつくっておいて、放置でいいのですか?きちんとチェックされないのですか?

高速道路5号線二葉山トンネル問題。県庁から歩いても30分程度の東区二葉の里がトンネルのスタート地点です。工期が2028年度まで延長する上、予算もまた30億円増額の1289億円に。シールドマシンも何度も壊れ、遅々として工事が進まず、工事現場の真上ではひび割れなどの被害も続いています。「住民を犠牲にして工事を進めることはない」と約束したのが湯崎知事でした。いったいどうなっているのですか?

また、県庁から徒歩圏内の小学校で、プールが壊れて、バスで他の学校へプールの授業を受けに行くという学校もあります。小学校は市教委の管轄とはいえ、財政支援などの面で県ができることもあるでしょう。

湯崎知事。フランスに行っている時間があるなら、県庁周辺を歩いて県民の声を聞かれたらいかがでしょうか?

◆県民をなめている湯崎知事・岸田総理から政治を取り戻すヒロシマ庶民革命を!

広島県選出の岸田総理についても、「外遊が多い一方で、庶民の声を全く聴かないのでは?」と、全国の皆様から批判が出ています。大変悔しいことです。広島県民が知事や総理と言った政治家に完全に舐められています。広島県民の手に政治を取り戻すことが今こそ大事ではないでしょうか?

筆者は我こそは庶民派広島県知事に、我こそは庶民派広島県議に、という方のご連絡をお待ちしております。ヒロシマ庶民革命で知事から広島の政治・行政をあなたの手に取りもどしましょう!

連絡先 090-3171-4437、hiroseto2004@yahoo.co.jp

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
◎Twitter @hiroseto https://twitter.com/hiroseto?s=20
◎facebook https://www.facebook.com/satoh.shuichi
◎広島瀬戸内新聞ニュース(社主:さとうしゅういち)https://hiroseto.exblog.jp/

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2023年11月号

追悼・中道武美弁護士  鹿砦社代表 松岡利康

鹿砦社にとっても、私にとっても最大の事件だった、2005年の「名誉毀損」に名を借りた出版弾圧事件の主任弁護人を務めていただいた中道武美(なかみち・たけよし)弁護士が亡くなられました。慎んでご冥福をお祈りいたします。

『救援』10月号より

中道弁護士には、『タカラヅカおっかけマップ』出版差し止め事件(民事。1996年)にも代理人を務めていただきました。

中道弁護士は、1967年10・8羽田闘争で斃れた、かの山﨑博昭さんの高校(大阪・大手前高校)の1年後輩(先輩には東大全共闘代表の山本義隆さんがいます)ですが、当時の時代の空気もあってか、反権力の塊のような方でした。また、死刑廃止の活動にも積極的に関わられました。

「名誉毀損」弾圧後、なしくずし的に音信が途絶えていきました。最後にお会いしたのは2年ほど前でした。

このところ、身近にあった方、お世話になった方、先輩,後輩らの死が続き、いささか滅入っていたところでした。

ちなみに、あまり知られていませんが、かの橋下徹は中道弁護士の弟弁の関係にあり、親弁は、かつてはRG裁判など新左翼系の弁護を先頭になって担っていた樺島正法弁護士で、光市母子殺害事件では、弟弁の橋下が兄弁の中道弁護士ら弁護団に対し懲戒請求を呼びかけ(橋下自身は請求人にならず。却下)、これに怒った樺島弁護士が,今度は橋下を懲戒にかけ(業務停止2カ月)、さらに損賠賠償請求訴訟を提訴するといったこともありました。この件についてご関心のある方はご自身でお調べください。

中道弁護士もそうですが、今後私の歳と前後する世代の方々の死が続いていくものと思われます。直近で著名人としては谷村新司もそうですし、坂本龍一もそうですね。「しんどい、しんどい」と喘ぎながらも仕事に追われているだけで幸せと思わなければ罰があたります。死んだら仕事できないわけですから。合掌。

(松岡利康)

10月23日発売 尾﨑美代子『日本の冤罪』(鹿砦社)

《講演》福島第一原発事故 ── 今 伝えたいこと〈前編〉 菅野 哲(飯舘村民)

本稿は2022年12月18日大阪市で行われた「チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西発足31周年の集い」の記念講演「福島第一原発事故から11年 今 伝えたいこと」の講演データです。一部再構成した上で、前編、後編の2回に分けて掲載します。

 

◆はじめに

2011年3月11日の東日本大震災と福島第一原発事故から早くも11年の月日が過ぎ(講演当時)、福島市で妻と二人の避難生活です。当時62歳の私も74歳を迎えました。この11年という時間は、私の人生ではどう捉えたら良いのか思いもつきません。あまりにも人生を考える上で想像を超えるものがあり、予期せぬ人生の一コマですから、これまでの人生の7分の1を費やしてしまったことになります。

(2011年当時は)人生の区切りの60歳を迎え、シニアライフプランをもって農業に復帰し、時代に即応した新しい農家経営の改善に取り組んだばかりでした。何代にもわたって村民の手で培ってきた平和な美しい飯舘村は放射能汚染によって避難・追放となり、コミュニティは崩壊しました。村民は引裂かれ、暮らしの根底を崩壊され、恒常的に安定して暮らす生活権を喪失したのです。

◆事実上の強制避難、高かった初期被曝

 

事故後、計画的避難とはいえ事実は強制避難だった。人生をかけて作り上げてきたものが全て壊され、一からのやり直しを強いられました。

飯舘村民の避難は、避難指示が事故から一か月以上も遅れたことで、避難先が見つからずに長く高放射線量下の村内に居住していて確実に高い放射線被曝を被ったはずです。

しかし、避難に当たっては、スクリ-ニングもなされず、線量検査もされなかったのは何故なのか。国・県の災害対応のマニュアルには記されていたはずです。

11年を経過した今では計測も出来ないし、行動記録も曖昧になってきているから判定は難しいと言うことになるのでは納得がいきません。しっかりした回答が欲しい。

◆何百年も続く汚染と住民の苦悩~原発事故の現実を伝えるべき

飯舘村では村の80%の除染ができておらず、山も川も放射能汚染はそのままで、野山の恵みである山菜もキノコも後何百年と食べることも出来ないという。まだまだ住民は苦悩しながら生きていかなくてはならない。

必ず原発事故が起こればこうなるのだという、この現実を日本国民は知り、後々の代まで伝えるべきです。

今の飯舘村は、8割近くの人が避難先で暮らしているのは何故か。生業の目途が立たないばかりではなく、事故前のような暮らしが出来ないからです。国・県による外からの移住政策ばかりがアピ-ルされていて、既存の住民の生活再建施策が乏しいからであると感じています。

◆「風評」はまやかし、「放射能汚染は健康に影響せず安全」とどうして言えるのか

「風評」という言語は、政治・行政が作り上げた戯言で、多額の公費を費やして如何にも安全だとアピ-ルし、国民を安心させ黙らせようとするまやかしの手法、全く本末転倒です。被災地では放射能による長期的汚染の被害が実在しているのですから。

 

ましてや国も東電も事故の責任を取る姿勢もないし、原陪審のいう慰謝料等の賠償金を支払うことで済まそうとしているように取れる。

たばこの煙が健康に影響するとして行政罰が科されるのに、なぜ放射能汚染は健康に影響しない安全な物と言えるのか、私たち被災者には到底理解できない。

いくつかの裁判の例を見るに、司法の場でも明らかにされないのかと思うときに、このままいくと私たちは棄民にされるのではと危惧しています。(つづく)

▼菅野 哲(かんの ひろし)
1948年、戦後開拓入植者の長男として飯舘村で生まれる。福島県立相馬高校卒。家業の農業に従事後、飯舘村森林組合に就職。1969年、飯舘村役場に奉職。2009年、定年退職後、農業に復帰。2011年3月、原発事故により福島市に85歳の母と妻の家族3人で避難生活。2014年7月、長谷川健一団長と共に「原発被害糾弾 飯舘村民救済申立団」を立ち上げ、副団長として「申立の趣旨」文案にかかわり、組織化につとめる。2019年7月、「飯舘村民救済申立団」解散。現在は公益社団法人相馬広域シルバー人材センター理事長。報徳会相馬理事。主著に『〈全村避難〉を生きる:生存・生活権を破壊した福島第一原発「過酷」事故』(言叢社2020年)。

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌 『季節』2023年秋号

龍一郎揮毫
私たちは唯一の脱原発雑誌『季節』を応援しています!

《BOOK REVIEW》尾﨑美代子『日本の冤罪』── 大阪・西成の飲食店「はな」ママが市井の視点から解き明かす16の冤罪事件 評者=田所敏夫

◆冤罪はきょうも続いている

 
尾﨑美代子『日本の冤罪』(鹿砦社)10月23日発売

警察に「逮捕する!」といわれ、手錠をかけられる。最近あるのかどうか知らないが「刑事ドラマ」は二世代ほど前には人気番組だった。しかしあの番組群は、警察権力に迎合し過ぎた。やりたい放題な拳銃の発砲や警察権力の過剰な暴力を英雄化・美化して視聴者の感覚を鈍化させる作用を担っていた。

そういったエンターテインメントで描かれる、警察の正義性や、苦闘、あるいはヒューマンドラマの裏面に「作り物」ではない現実として、冤罪は悲しい旋律を奏でながら現在進行形、きょうも続いている。

冤罪とは事件・事故の加害者ではないのに、まずは警察に加害者と決めつけられ、ほどなく、被疑者と呼称を変えられ(かつては「被疑者」とも呼ばれず氏名呼び捨てであった)、警察発表に従いマスコミが「こいつが犯人だ」、「こいつは劣悪非道な人間だ」と散々喧伝され、最悪の場合、無期懲役や死刑が言い渡された犠牲者を示す単語である。そこには司法の暴走・暴虐・組織防衛の力学が必ず働く。

◆著者は大阪市西成区の飲食店「はな」のママ

『日本の冤罪』著者の尾﨑美代子さんは、大阪市西成区に飲食店「はな」を経営する女性だ。西成といえば「釜ヶ崎」。「釜ヶ崎」はご存知の通り、日雇労働者が多く暮らす地域だ。著者は「どこにそんなエネルギーと発想が蓄えられているのか」と驚嘆させられる情熱の持ち主である。その情熱が『日本の冤罪』で二つ結実した。

一つ目は布川事件冤罪犠牲者桜井晶司さん(本年8月23日にご逝去)と著者の対談だ。この対談はおそらく桜井さんが遺された最後のまとまった意見表明だろう。二つ目は冤罪事件解決、原発訴訟や福島原発事故被害者救済の裁判など広範な分野で最先頭に立ち、闘う井戸謙一弁護士からの寄稿「弱者に寄り添い 底辺の実相を伝える」である。桜井さん井戸弁護士お二人の力添えが『日本の冤罪』の価値をより高めていることは間違いない。

本書に推薦文を寄稿してくれた井戸謙一弁護士(左)と著者

◆16の事件の冤罪犠牲者たち

『日本の冤罪』には16の事件、18本の取材報告が収録されている。殺人事件から1万円の窃盗そして痴漢事件まで。「事件の軽重にかかわらず幅広く冤罪は作られる」ことを知るために、本書が有益であることを著者は意識したであろうか。さらにこれまで一度として報道されたことのない「京都俳優放火殺人事件」まで取材・執筆の幅が広がっていることが数ある冤罪関連書籍の中で本書を際立たせるのだ。読者は驚かれるかもしれないがと「京都俳優放火殺人事件」の冤罪犠牲者は現在も獄中に囚われたままだ。

著者の冤罪事件取材の方法は独特だ。対談した桜井さんや他の冤罪犠牲者から「こんな事件がある、冤罪だ」と紹介を受け、当該事件の冤罪犠牲者や、弁護士、関係者に取材に赴く(冤罪犠牲者が獄中に居れば手紙を書く)。多くの場合取材のきっかけに冤罪犠牲者の紹介や、要請があり、それが次の事件取材へと繋がる。

『日本の冤罪』筆者の主たる生業は執筆ではない。著者は20年続く飲食店「はな」の店主である。つまり著者は少なくとも「二足の草鞋」を履いているのであるが、それだけではない。「はな」はしばしば勉強会、講演、音楽ライブの会場として地域だけではなく全国から人が集まる場所として機能する。仕切るのはいつも著者、でも必ずたくさんの人が手伝ってくれるという。

冤罪の犯罪性を市井の視点から解き明かし、その射程を未だに誰もが触れぬ領域にまで広げていった。本書のエッセンスと価値はそこにある。

◆取材者の洞察力

 
布川事件冤罪犠牲者桜井晶司さん(本年8月23日にご逝去)。本書収録の対談が桜井さんによる生前最後の意見表明となった

ひとつだけ『日本の冤罪』手に取る未来の読者に警告しておこう。冤罪取材は事実の確認作業が第一歩だが、その先にどんな恣意が隠されていたのかを洞察するのは取材者の洞察力に委ねられる。

さらには事件を文章化するにあたってはときに、凄惨な事件を描写しなければ全様を説明し尽くせない。冤罪を解き明かすには取材者が事件の全体像に踏み込む勇気が求められるわけだ。著者はどんな事件であっても全容を納得することなしには、文章を書いていない。冤罪の犯罪性同様、事件のむごたらしさも描かれていることを心して、読者は本書を手にしてほしい。

なお、著者は故桜井さんに「尾﨑さん、あの事件も書いてよ」と言われている冤罪事件をかなりの数抱えている。その取材が終わるまでは、桜井さんにお別れはできないという。ということは、冤罪事件がある限り、著者が桜井さんに「さようなら」を言える日は来ないのかもしれない。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。著書に『大暗黒時代の大学──消える大学自治と学問の自由』(鹿砦社)がある。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

[著者略歴]尾﨑美代子(おざき・みよこ)1958年、新潟県生まれ。中央大学中退。大学生時代の80年代、山谷(東京)の日雇労働者、野宿者問題の支援に関わる。90年代初頭大阪に移住して以降は、同じく日雇労働者の町・釜ヶ崎に住みながら、フリースペースを兼ねた飲食店「集い処はな」を経営。釜ヶ崎で知り合った仲間たちと、3・11以後福島支援、反原発運動を始め、講演会、上映会、支援ライブなどを続ける。その傍ら、かつてより関心のあった冤罪事件の取材・執筆活動を続ける。


広島県病院問題で学習会に参加「公的病院の統廃合は、民意の力で撤回可能!」 さとうしゅういち

「県病院問題を考える会」(代表代行・有田優子広島市議)の第一回学習会が10月9日(月)、広島南区民文化センターで行われ、福島みずほ参院議員が「地域の病院をみんなの力で残す」と題して講演しました。

広島県の湯崎知事が、地元住民の声も聴かず、積算根拠も不明確なまま、県病院(広島市南区)を含む病院の統廃合と巨大病院(広島駅新幹線口に予定)建設案を9月県議会に提出し、保守の一部と共産党は反対したものの、可決されてしまった中で行われました。

福島議員と筆者は大学の先輩・後輩です。福島議員がわたしの大学3年の1997年秋にOGとして母校に講演に来られたとき以来、半世紀以上交流させていただいています

福島議員は、全国を回り、公立病院の統廃合問題について情報を収集しておられます。また、厚生労働省や総務省に直接見解を問いただしておられます。

 
福島みずほ参院議員と筆者

◆社会保障費カットの流れは確かだが

福島議員は、講演の中で、まず、現在、社会保障費とくに医療費抑制と防衛費増大及び、防衛力増強のための積立金計上とセットで進んでいる、また、長年にわたって医療費抑制が進められ、病床数は28年間で36万床減少し、自治体病院は147減少、ICUは444か所減り、保健所は個所数を45%削減するなどの流れがある、と説明。そして2019年には424,のちに436病院を再編統廃合の対象として名指しして撤回していない、2021年には改悪医療法成立で消費税を使って病床削減を行っていると指摘。 

また、公立病院を独立行政法人化した場合、意思決定の迅速化や経営の黒字化、規模拡大によるコスト削減などのメリットはあるが、他方で、不採算部門が切り捨てられる、非公務員化で職員の離職が増える、その結果、人員不足、過重労働になる、議会によるチェック機能が低下するなどの問題点があると専門家への聞き取りを踏まえて指摘。

◆一方的な公的病院廃止の流れでもない

福島議員は、一方で、以下のように一方的に公的病院統廃合が進む情勢ではないことを強調しました。

1、総務省や厚労省は再編リストをつくってはいるが、自分が問いただしたところ、各都道府県に病院を統廃合しろという指示・命令をしているわけではない。国としては、都道府県に対応は任せるが、『統廃合するなら、国がお金は出すよ』というスタンス。強制はしないともいえるし、卑怯ともいえる。

2、他の都道府県では、病院統廃合の事業規模は50億円程度だ。広島県の1300億円~1400億円というのは異常。しかも、国(総務省・厚労省)による再編のリストにも入っていない。また、「(広島の新病院がめざす)1000床にならないと、良い医師の採用ができないということはないのか?」という問いに対して、厚労省は「そんなことはない」という回答をしている。広島県病院は他の地域の再編対象共違い、赤字で成り立たないというわけでもない。それが、他地域との大きな違いだ。

3、民意で病院統廃合をひっくり返すことは可能。徳島県では国立病院機構徳島病院の統廃合を県選出の国会議員への働きかけで阻止した。一時期、県立病院の独法化が検討されていた滋賀県では世論を受けて一応革新系の三日月知事が県立維持を打ち出した。青森県でも県病院と市民病院の統廃合へ前知事が市の意見も聞かずに突っ走っていた。しかし、自民系同士の交代ですが宮下知事に知事がかわったことで、防災対策の面などからも再検討されることになり、暴走にブレーキがかかっている。兵庫県の三田市では病院統廃合撤回を争点に現職市長を無名サラリーマンが打倒。そのほかにも市長の交代で公立病院統廃合を阻止している。

◆涙を誘う「県病院がないと生きていけない」 地元有権者からの手紙

 
有田優子広島市議

南区選出の有田優子市議から新人議員としての議会報告がありました。2歳の時に難病を宣告されて県病院に入院した経験を持ちます。また、衆院選、市議選と選挙活動をする中で、「県病院がないと生きていけない」という地元有権者の声をうかがい、どうしてもその声を政治に届けたいと決意しました。2023年春の市議選でも主に県病院の廃止反対を訴え、所属政党である社民党の基礎票を大きく上回る得票を得ました。

有田市議は広島市議会でも一般質問で30分間のうち10分間を県病院問題に割いたそうです。

県の所轄とはいえ、市民の命にかかわること。しかし、市の答弁は「県の動向を注視する」という主体性のないけんもほろろなものでした。有田市議は今も雨の日も土日も朝から県病院前電停近くに立って街頭演説をして県病院を残せと訴えています。

県病院問題を考える会の黒川事務局次長は「県は独立行政法人化を2025年4月にはしてしまおうとしている。県の責任逃れだ。また、JR西日本から土地を買うために県は180億円もの県費を出すつもりだ。税金の使い道としてどうなのか。経理の透明性はどうなのか。追及していかなければいけない。」と訴え、署名活動や学習会などへの引き続きの取り組みをお願いしました。

滝谷事務局長から最後のあいさつに代えて、「県病院がなければ生きていけない」と有田市議に声をかけてきた方で、現在は県病院に入院中、という方からのお手紙を代読し、有田市議に伝達、出席者の涙を誘いました。

◆浮き彫りになった湯崎知事の異常性、打倒するしかない

福島議員の講演で明らかになったことがあります。それは 別に赤字というわけでもない公立病院を潰すのに1300億~1400億円をかけるということです。こんな例は全国でも他にないということを知り、筆者も質疑応答の中で、「他の問題でも暴走が続く湯崎知事。彼は国以上に新自由主義を進める確信犯だ。広島県民の未来のためにも湯崎知事を打倒するより他ない。」と発言させていただきました。

確かに、国政レベルで医療費抑制の流れはあるし、軍拡を口実にそれが加速する恐れもある。それを阻止するのは総理の地元選挙区有権者としての責任でもあると思います。その上で、広島県の場合は国が名指しをしてもいない県病院を潰そうとしているわけです。

湯崎英彦・広島県知事の突出した異常な新自由主義、庶民斬り捨て政治を正していこうではありませんか。筆者は引き続き、暴走する湯崎知事から広島県政を県民の手に取りもどすヒロシマ庶民革命を呼び掛けています。我こそは広島県知事に!広島県議に!という方のご連絡をお待ちしております。 

◎連絡先 090-3171-4437 hiroseto2004@yahoo.co.jp

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
◎Twitter @hiroseto https://twitter.com/hiroseto?s=20
◎facebook https://www.facebook.com/satoh.shuichi
◎広島瀬戸内新聞ニュース(社主:さとうしゅういち)https://hiroseto.exblog.jp/

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2023年11月号

チャンピオン対決、ウェルター級の大地・フォージャーがミドル級の光成を倒す! 堀田春樹

藤田ゼン氏初興行WARRIOR開催はメインイベントが劇的TKOで締め括る。
馬渡亮太はヒジで斬られる惜敗。
浅井春香はまたも引分け防衛。
皆川裕哉は速攻のヒザ蹴りで完封TKO勝利。

◎WARRIOR/ 10月8日(日)後楽園ホール 17:30~20:41
主催:ROCK ONジム / 認定:ジャパンキックボクシング協会(JKA)

◆第9試合 70.0kg契約 5回戦 

JKAミドル級チャンピオン.光成(ROCK ON/ 69.85kg)
        VS
JKAウェルター級チャンピオン.大地・フォージャー(誠真/ 69.8kg)
勝者:大地・フォージャー / TKO 2R 1:17 /主審:少白竜

蹴りは牽制気味にパンチ重視で主導権を掴もうとする両者。光成の左ジャブが時折、大地の顔面にヒットする攻勢を維持する。

大地vs光成、ジャブの相打ち。ここまでは光成優勢

第2ラウンドにはパンチ交錯の中、大地の左のジャブというよりはストレートがヒットし、光成が後方に倒れるノックダウン。ちょっと効いた様子で立ち上がるが、再び大地の左ストレートがまともにヒットすると光成はまたも後方へ倒れ込む。

ダメージを見たレフェリーがほぼノーカウントでストップした。勝った大地はリングを駆け回り喜びを表した。

大地が左ジャブで光成をロープ際へ追い込むが強打はまだ温存
最後の左ストレートヒット後、光成は後方に倒れるとレフェリーは止める体勢

◆第8試合 58.06kg(128LBS)契約 5回戦

馬渡亮太(治政館/2000.1.19埼玉県出身/ 58.0kg)
        VS
ビン・リアムタナワット(タイ/18歳/ 58.0kg)
勝者:ビン・リアムタナワット / TKO 2R 1:09 /
主審:松田利彦

第1ラウンドは様子見ながら馬渡亮太が先手を打って出る
第2ラウンドの序盤この辺りでビンが馬渡の頭部を切ったか、この後更に左ヒジ打ちに移る

馬渡亮太はWMOインターナショナル・スーパーバンタム級チャンピオン。

ビンはタイトル歴は無いが、ラジャダムナンスタジアム常連のスーパーフェザー級メインイベンター。

ローキックで様子見の両者。ミドルキックへ繋ぐ中、馬渡亮太は前蹴りでビンのバランスを崩す先手を打つ上手さを見せる。

クリンチ気味に接近戦になると、どちからのヒジ打ちが出るようなスリルが漂う。

やや馬渡のペースになりつつある中、第2ラウンドにはビンが勢いを増して来た。

接近戦に入ると本領発揮か、一瞬の左ヒジ打ちで馬渡の頭部(髪の中)をカット。続行する中、鮮血が流れた。

更に接近した瞬間、ビンの左ヒジ打ちで馬渡の右眉上をカット。今度はすぐにレフェリーが中断。

長く1分程掛かったドクターチェックの末、続行不可能勧告を受け入れたレフェリーが試合はストップした。

直接的箇所は右眉上のカット。試合運びは馬渡が主導権を握りつつあったが、タイの一流どころはこんなヒジ打ちが怖いところである。

続行を訴えたという馬渡亮太の無念さが表れる傷の深さ
浅井春香が得意とする相手に体重をかけてのヒザ蹴り、掴まえてもっと圧倒したかった

◆第7試合 女子(ミネルヴァ)スーパーバンタム級タイトルマッチ 3回戦

選手権者.3度目の防衛戦.浅井春香(KICK BOX/ 55.15kg)
        VS
同級1位.MARIA(PCK大崎/TeamRing/ 55.15kg)
引分け 三者三様
主審:中山宏美
副審:少白竜29-29. 勝本29-30. 松田29-28

浅井春香は今年3月26日、引分け防衛となった相手、MARIAと再戦。

両者、パンチとローキックから組み付いて行くと浅井のヒザ蹴り。

離れればMARIAのパンチが目立ち、バックハンドブローは当たらなくてもインパクトを与えた。

浅井は組み合ってのヒザ蹴りは出るが離れた距離でのローキックやミドルキックが殆ど出ない。出しても単発で首相撲に入る。

3月の試合から大きな変化は無かった展開で三者三様の引分け。

浅井は2021年6月20日にKAEDE(LEGEND)との王座決定戦で勝利するも昨年5月21日、KAEDEに引分け初防衛し、これで3連続引分け防衛となった。

試合終了間近になって浅井春香がハイキックを繰り出す

◆ジャパンキック協会・ライト級2位内田雅之(KICK BOX/1977.12.26神奈川県出身)引退セレモニー

内田雅之は新日本キックボクシング協会で2011年12月17日に日本フェザー級王座決定戦で瀬戸口勝也(横須賀太賀)に判定勝利し王座獲得。4度の防衛戦を経て、2015年10月25日に重森陽太(伊原稲城)に判定で敗れ王座陥落。今年3月19日にジャパンキックボクシング協会のライト級王座決定戦で睦雅(ビクトリー)に大差判定負けが最後のタイトルマッチとなった。

セレモニーでは協会代表、小泉猛氏より功労金贈呈、記念のパネル贈呈、鴇俊之会長の労いの言葉、ジム、後援会などから花束贈呈の後、内田雅之氏の御挨拶と続いた。

「本日は御来場有難うございます。私、内田雅之はキックボクサーを引退させて頂きます。このようなセレモニーをして頂いたジャパンキックボクシング協会の皆様、今迄応援してくれていた皆様、KICKBOX鴇会長、本当に有難うございました。デビューして19年、山あり谷あり、谷の方が多かったかもしれません。でもそこで皆さんの応援してくれた御陰で自分はここまで来れたと思います。本当に有難うございます。雅之コールはもうリングの上では聴けませんが、あの時の気持ちを忘れないで、次の舞台でも挑戦し続けて頑張りたいと思います。これからのジャパンキックボクシング協会の御発展を祈念しております。本当に有難うございました。」

目線は会場の観衆に向け、メモ無しでしっかり自分の言葉で挨拶を終えた、結構インパクトある15分ほどのセレモニーだった。戦績61戦35勝(8KO)16敗10分。

引退セレモニーに臨んだ内田雅之、エキシビジョンマッチは出来ない事情があった

◆第6試合 フライ級3回戦

JKAフライ級2位.西原茉生(治政館/ 50.65kg)
        VS
WMC日本フライ級1位.シンイチ・ウォーワンチャイ(ウォーワンチャイ/ 50.65kg)
勝者:シンイチ・ウォーワンチャイ / 判定0-3
主審:椎名利一
副審:少白竜28-30. 中山29-30. 松田28-30

組み合ってのヒザ蹴りで主導権を奪ったシンイチ。蹴りのタイミング、的確さで優り、リズムを崩された西原はシンイチより出遅れた流れで攻め倦む展開。シンイチが優勢を維持して判定勝利した。

◆第5試合 フェザー級3回戦

JKAフェザー級2位.皆川裕哉(KICKBOX/ 57.0kg)
        VS
チャット・ロックオンジム(元・ルンピニー系ミニフライ級7位/タイ/ 56.8kg)
勝者:皆川裕哉 / TKO 1R 2:06 /
主審:勝本剛司

ローキックからミドルキックで先手を打った皆川裕哉の速攻。蹴りからコーナーに詰めたところで右ヒザ蹴りをボディーに決めるとチャットは堪らずノックダウン。ダメージを見てカウント中のレフェリーストップとなった。

先手必勝の皆川裕哉、最後は青コーナー側でヒザ蹴りで仕留めた(位置的に撮れず)

◆第4試合 56.0kg契約3回戦

JKAバンタム級4位.樹(治政館/ 55.65kg)
        VS
JKイノベーション・フェザー級3位.前田大尊(マイウェイ/ 55.8kg)
勝者:前田大尊 / 判定0-3
主審:少白竜
副審:椎名28-30. 中山29-30. 勝本28-30

◆第3試合 ウェルター級3回戦

JKAウェルター級3位.山内ユウ(ROCKON/ 66.3kg)
        VS
細見直生(KICKBOX/ 65.8kg)
勝者:細見直生 / 判定0-3
主審:松田利彦
副審:椎名28-29. 少白竜28-29. 勝本28-29

◆第2試合 ライト級3回戦

JKAライト級3位.貴雅(治政館/ 60.75kg)
        VS
デーシング・ロックオンジム(元・ラジャダムナン系ミニフライ級2位/タイ/ 61.0kg)
勝者:デーシング・ロックオンジム / 判定0-3
主審:中山宏美
副審: 松田28-30. 少白竜29-30. 勝本29-30

◆プロ第1試合 バンタム級3回戦

ストロベリー稲田(治政館/ 53.4kg)vs九龍悠誠(誠真/ 53.2kg)
勝者:九龍悠誠 / TKO 3R 1:59 / カウント中のレフェリーストップ

◆オープニングファイト.3

JKA29kg級タイトルマッチ2回戦(2分制/延長1R)
脇田剛士朗(治政館)vs野本かれん(WIVERN)
勝者:脇田剛士朗 / 判定2-0 (19-19. 20-19. 20-19)

◆オープニングファイト.2

JKA29kg級 Bクラスルール2回戦(90秒制)
藤田彪(ROCKON)vs松本将真(ビクトリー)
勝者:藤田彪 / 判定2-0 (20-19. 19-19. 20-19)

◆オープニングファイト(アマチュア)第1試合

JKA32kg級 Bクラスルール2回戦(90秒制)
藤原駈(ROCKON)vs武内宥護(JSK)
勝者:藤原駈 / 判定3-0 (20-18. 20-28. 20-18)

《取材戦記》

初のプロモーターを務められた藤田善弘氏は、藤田ゼン(横須賀太賀)として2010年10月に緑川創(藤本)の持つ日本ウェルター級王座挑戦し判定負けの経験があります。

現在はROCKONジム会長として今回の興行開催を終えて、「右も左も分からなくて気が狂いそうでした。終わってホッとしています。第1試合からいい試合が続いて、メインイベントも凄く良かったので選手の皆に救われました。」

次の主催興行予定については、「無いです!いや、1年に1回ぐらいですかね。またやります!」継続してこそプロモーターの経験実績が積み重なっていくでしょう。その意欲は感じられました。

大地・フォージャーは「1ラウンド目はジャブ貰って効いてしまって、ヤバイぞと思いましたが、自分の左(ジャブやストレート)を信じ切っていたので、しっかり打ち込みました。1回目のダウン奪って、ノックアウトはいけると思いました。あと、試合前にある関係者から『観客は少なくても動画(映像)は残るから、この先誰が観るか分からないよ。後々振り返られる歴史に残る名勝負を残してくださいね!』と言われた言葉が頭に残って、その結果だと思います!」と語った。

実際、メインイベント時点で観衆は少なく、これではモチベーションも上がらなかったかもしれない。でもこの日はペイパービューによる生配信が行われていました。更に録画はこの先、どんな運命でどこで使われるか分からない。好ファイトを残しておけば何かの縁で地上波放送にスポット的でも使われるかもしれない。そんな意識が働けば、下手な試合は出来ない感情になったかもしれないだろう。

3度の防衛戦がすべて引分けになった浅井春香のジム会長、鴇稔之氏は、「浅井はいつもどおり何も出ないね。まあいつもよりはちょっとだけ3パーセント増しぐらい出たけど、練習では凄い迫力で強いミドルキック20連打5セット出せるのに、試合でそのちょっと、3連発でもいいからミドルキックでも出せば勝てるのに、なぜか試合では蹴りが何にも出ない。メンタルの問題だけど、何とか打開したいね!」と言うとおり、組み合ってヒザ蹴りは出るが、体勢が悪く圧倒するような強さは感じられず、ローキックやミドルキックも殆ど出なかった。

「練習では根性、試合では勇気!」といった輪島功一氏のように、意識を変えて次の防衛戦に期待したいものである。

次回のジャパンキックボクシング協会の興行は11月26日(日)ビクトリージム主催でKICK Insist.17が後楽園ホールで開催予定です。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2023年11月号