ネットの質問サイトでこんな投稿があった。
「『Yesterday』という曲は、多くの有名ミュージシャンが歌っているのに、どうしてポール・マッカートニーが歌うものがポピュラーなのですか?」
人によっては「そんなことも知らないのか、常識だろう」とあざ笑うような質問だ。真面目に答えればポールが作曲し、ポールが歌ったものがオリジナルだから、という簡単な答えだ。しかし私は、どうしてこのような疑問が出るのか、考えてみた。

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朝の8時半頃、朝食を採っていると、携帯電話が鳴った。
何冊か一緒に本を作ったことのある、元編集者だった。
「今日は何か予定入ってます」と言う。「夕方に打ち合わせがあるよ」と答えると、「ああ、打ち合わせ……。それじゃあ、午前11時に会いませんか」と言う。
水曜日だが、彼は有給休暇を使って、毎週水曜日を休みにしているという。
彼は休みなわけだし、もう編集者ではない。だから、仕事の話ではない。誰にでも稀にやってくる、無性に誰かと話したい、という気分なのだろう。
かつて世話になった仲であり、応じてあげようと思ったが、少しでも進めておかなければならない仕事もある。
「11時は早すぎる。午後1時にしてくれ」と言って話は決まった。

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ちょうど昨年の7月に沢尻エリカが5年ぶりに主演した『へルター・スケルター』が公開されたが、沢尻エリカの育ての親ともいえる井筒監督が「沢尻はなんであんな作品に出たんやろか。乳を見せることでしか勝負できへんかったのやろうか」「美術として背景は美しいが、内面はまったく描かれていない」と酷評したために、まったく見る気にはなれなかった。もしも近所のビデオ屋で「夏休み、旧作80円でレンタル」キャンペーンをやっていなければ、まず見る機会はなかっただろう。
それでも、蜷川実花監督が作り出す、摩訶不思議なインテリアは、映画美術的には、一見の価値があるような気がする。

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8月24日、ルポライターの日名子暁氏が逝去された。日名子氏は、週刊誌出身のルポライターである。クローズアップされたのは、フィリピンから日本に出稼ぎに来る女性が「じゃぱゆきさん」などと呼ばれていた94年ごろだったと思う。ヤクザ、詐欺師、ブローカーなどとのつながりが深く、アウトローからネタを引っ張ってくるタイプでは、最後の世代ではないかと思う。

日名子氏からの今年の年賀状には「携帯なし、パソコンなし、みごとなほど時代に取り残されております」とあった。この時代に携帯なし、手書き原稿で、山ほど原稿のオーダーをこなしたのだ。そもそも、朝5時まで飲んでいても、事務所に帰り際に寄って仮眠して原稿を書くほどのタフネスで、締め切りは絶対に守るタイプであったから、携帯もパソコンも必要ないといえばないのだが。

最後に会ったのは、2011年の冬だった。すでに体調を崩されていた日名子氏は、「具合が悪くても、タバコをやめられないんだよな。もうあきらめたよ」と千代田区猿楽町の事務所で嘆いていた。

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筆者は当欄で以前、山口地裁であった裁判員裁判の公判中に被告人の在日韓国人男性が、山口地検の保木本正樹三席検事(当時)から取り調べ中に民族差別発言を浴びせられたと訴えた一件をレポートした。(http://www.rokusaisha.com/blog.php?p=1742)。その男性・湖山(本名・許)忠志氏(29)が今年6月、最高検の監察指導部に対し、同検事に差別発言を浴びせられた詳細を情報提供し、調査するように求めていたことがわかった。

湖山氏は、2010年11月に下関市で元交際相手の女性の次女(当時6歳)を殺害するなどしたとして昨年7月、上記の裁判員裁判で長倉哲夫裁判長から懲役30年の判決を宣告されたが、一貫して無実を訴えており、現在は広島高裁に控訴中。犯行現場の女児宅の室内では、身元不明の第三者の指紋が4つ、毛髪が9本採取されながら、湖山氏の指紋や毛髪が一切見つかっていないことなど冤罪を窺わせる事実は多く、控訴審の行方が注目されている(http://www.rokusaisha.com/blog.php?p=1702)。そんな中、筆者が広島拘置所に勾留中の湖山氏からもらった手紙によると、湖山氏が最高検監察指導部に情報提供した保木本検事の民族差別発言の内容は以下の通りだ(※句読点以外は原文ママ)。

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なんとしてでもシリアに軍事介入をしたいアメリカだったが、同盟国が離反し、あとは実質的に属国である日本の支持が頼りで、同調圧力をかけている。そして日本政府は苦慮していると報道されている。

もともとシリア情勢の報道は、嘘臭いものであった。リビアに続いて「民主化を求めるデモや集会に政府が武力弾圧」という嘘をNHKなどが報道してきた。穏健な運動に軍が武力を用いたにしては、長期に渡り内戦状態となっているので、みんな変だと感じていたはずだ。

最悪なのが『ニューズウイーク』である。特に7月の日本版に掲載された記事は、不可解な取材の方法と、不自然な事実関係、アメリカの軍事介入を求める意図が見え見えの嘘臭い証言によって構成されていた。それは、アサド政権が民間人ばかり殺傷し、これを傍観するアメリカに、シリアの市民は怒っているという内容だった。

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その後もタイトルのタイプミスやアメリカだけで発売されるなど紆余曲折ありながらも徐々に販売を続けていった。小さなトラブルが起こるたびに榛野氏はkindleが日本上陸したばかりで不安定ということを言っていたが、実際は榛野氏のミスかシステムの不安定かどちらかはわからない。確かにシステムが不安定な部分はあったが、榛野氏のことなので自分のミスもシステムの不安定にしてしまうこともありそうである。半ば榛野氏のことを真剣に悩むのは馬鹿らしいと諦めていたので、メールが来るたびに「そうなのですね」と相槌のようなメールを返していた。

しかし、契約をしてしまっているのだから発売はしなくては。と、少しずつ直しては1冊ずつ販売していく。その中で私にとっては嬉しい出来事も少しずつ起こってゆく。
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福島第1原発から、放射能汚染された地下水が海に流出し続けている。それはもはや、目視できる量にまで達していることが、FNNでも報道された(写真)。
だが、ことここに至っても、放射能の人体へ与える影響は少ない、などと臆面もなく語る専門家がいる。
「ガンの原因の半分くらいは生活習慣で、100ミリシーベルトの被曝ではガンの発症率は5パーセントしか増えない」と雑誌で語っていたのは、東京大学医学部附属病院の放射線科準教授である。
専門家であるから、数値は間違っていないのだろう。だが問題は、その数値をどう見るか、だ。

なぜ皆、狂牛病のことを思い出さないのだろう。
イギリスでBSE(牛海綿状脳症)になった牛は当時、確実に分かっているだけでも約18万頭いた。人間にも感染することが分かったが、発症した患者は137人だ。
感染した牛の肉を食べたイギリス人は、4000万人と推定される。
確率にすると、0.00002パーセントということになる。

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携帯に入る迷惑メールが多いので、警視庁のサイバー犯罪対策課に被害届を出してきた。そもそも、相手は名乗らないし、送る相手をまちがっている。もとをただせば「まちがいメール」なのだが、一向にやむ気配がない。警察には、これまで来たメールアドレスやメールの内容も資料として提出してきた。警視庁の広報によると、サイバー犯罪は振込み詐欺とリンクしており、警察としても本格的に調査体制を整えていくという。それにしても、メールは受信するにも無料ではない。電池だって消耗している。それなのに、あまりにも携帯会社の対応が悪く「規定では、1日100件を超える迷惑メールが来ないと対応できません」とマニュアル通りにショップの店員は言う。それでは1日に99件迷惑メールを被っている顧客は相手にされないというわけか。

警視庁にパイプが太い知人の弁護士、雅法律事務所の猪野雅彦弁護士によると「睡眠不足など、精神科の診断書一枚で、健康被害が出たとして訴訟できるよ。困ったら言って来てよ」と言う。
眠れなくなったら、ぜひそうしよう。

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福山雅治演じる湯川教授が、「苦手というより、嫌いだ」とする子供との交流を描いた「ガリレオ・シリーズ」でも異色の作品が『真夏の方程式』である。
東野圭吾の原作を、福山が物語の中心になると、こうもつまらなくなるのか、という点で、このシリーズはやはり「ゲストしだい」というイメージを拭えなくなった。

柄崎恭平は小学5年生。夏休みを親戚の旅館で過ごすため、玻璃ヶ浦にやってきた。電車の中で携帯を巡るドラブルで、湯川に助けてもらったことで交流が始まる。両親が多忙なため、一人で過ごすことも珍しくなく、ゲームで遊んでばかりいた。宿題がはかどらず、特に理科が苦手であったが、湯川との出会いで少しずつ心境に変化が訪れる。やがて彼のことを「博士」と呼ぶようになるが、ある日、旅館の主人と妻を訪ねてきた刑事が突如として死体として発見されて、恭平は「これは自殺ではない」と断言する。事件に遭遇した湯川は「ある人物の人生が捻じ曲げられる」ことを防ぐために、真相に挑んでいく。鍵を握るのは、16年前に塚原が担当した元ホステス殺人事件。そして、その裏には旅館の家族が隠さなければならなかったある重大な秘密があった。

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