『NO NUKES voice』Vol.26発行にあたって

本年は年頭から新型コロナに振り回された一年でした。いまだにとどまるところを知らない勢いです。

こうした中で、3・11から10年近く経ち必死で生きる福島現地の方々、意に反し故郷を遠く離れて暮らしておられる方々らの存在が忘れられようとしています。

今こそ Look back in anger ! (怒りを込めて振り返れ!) Don’t forget Fukushima ! と叫びたい気持ちです。皆様方には、なんとしてもこの師走を乗り切り無事に年を越していただきたいと願っています。

さて、本誌今号では、お馴染みの小出裕章さん、水戸喜世子さんに加え、かの歴史的な大飯原発再稼働差止め判決を下された樋口英明元裁判官の座談会を実現させることができました。くだんの判決同様、歴史的な座談会といえるでしょう。

「たとえ本件原発の運転停止によって多額の貿易赤字が出るとしても、これを国富の流出や喪失というべきではなく、豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の流出である」(2014年5月21日、大飯原発再稼働差止め判決より。裁判長は樋口英明さん。本誌創刊号に判決要旨を掲載)

歴史に残る名判決です。本誌はこの精神を継承いたします。

皆様方、良い新年をお迎えください。そして3・11 10周年を共に笑顔で迎えましょう!

2020年12月11日 『NO NUKES voice』編集委員会

12月11日発売開始!『NO NUKES voice』Vol.26 《総力特集》2021年・大震災から10年 今こそ原点に還り〈原発なき社会〉の実現を

『NO NUKES voice』Vol.26
紙の爆弾2021年1月号増刊
2020年12月11日発行
定価680円(本体618円+税)A5判/132ページ

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総力特集 2021年・大震災から10年
今こそ原点に還り〈原発なき社会〉の実現を!

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《特別鼎談》原子力裁判を問う 司法は原発を止められるか
小出裕章さん(元京都大学原子炉実験所助教)
樋口英明さん(元裁判官)
水戸喜世子さん(「子ども脱被ばく裁判」共同代表)
[司会]尾崎美代子さん(西成「集い処はな」店主)

[インタビュー]なすびさん(被ばく労働を考えるネットワーク)
被ばく労働の実態を掘り起こす

[報告]おしどりマコさん(芸人/記者)
どの言葉を使うかから洗脳が始まってる件。「ALPS処理水」編

[報告]鈴木博喜さん(『民の声新聞』発行人)
原発災害の実相を何も語り継がない  「伝承館」という空疎な空間

[報告]伊達信夫さん(原発事故広域避難者団体役員)
《徹底検証》「原発事故避難」これまでと現在〈10〉 避難者の多様性を確認する(前編)

[報告]本間 龍さん(著述家)
原発プロパガンダとは何か〈20〉五輪翼賛プロパガンダの正体と終焉

[報告]山崎久隆さん(たんぽぽ舎共同代表)
東電福島第一原発の汚染水「海洋放出」に反対する

[報告]松岡利康&『NO NUKES voice』編集委員会有志
ふたたび、さらば反原連! 反原連の「活動休止」について

[対談]富岡幸一郎さん(鎌倉文学館館長)×板坂剛さん(作家・舞踊家)
《対談》三島死後五〇年、核と大衆の今

[報告]平宮康広さん(元技術者)
僕が放射能汚染水の海洋投棄と原発の解体、
再処理工場の稼働と放射性廃棄物の地層処分に反対する理由

[報告]横山茂彦さん(編集者・著述家)
中曽根康弘・日本原子力政策の父の功罪

[報告]三上 治さん(「経産省前テントひろば」スタッフ)
やがてかなしき政権交代

[報告]佐藤雅彦さん(翻訳家)
誑かされる大地・北海道
人類の大地を「糞垂れ島」畜生道に変えてしまった“穢れ倭人”は地獄に堕ちろ!

[報告]山田悦子さん(甲山事件冤罪被害者)
山田悦子の語る世界〈10〉人類はこのまま存在し続ける意義があるか否か(上)

[報告]再稼働阻止全国ネットワーク
原発反対行動が復活! コロナ下でも全国で努力!
《玄海原発》豊島耕一さん(「さよなら原発!佐賀連絡会」代表)
《伊方原発》秦 左子さん(伊方から原発をなくす会)
《高浜・美浜》けしば誠一さん(杉並区議会議員、反原発自治体議員・市民連盟事務局次長)
《規制委・環境省》木村雅英さん(再稼働阻止全国ネットワーク)
《東京電力》佐々木敏彦さん(環境ネット福寿草)
《東海第二》小張佐恵子さん(彫刻家、いばらき未来会議、福島応援プロジェクト茨城事務局長)
《東海第二》大石光伸さん(東海第二原発運転差止訴訟原告団共同代表)
《福島第一》片岡輝美さん(これ以上海を汚すな!市民会議)
《地層処分》瀬尾英幸さん(脱原発グループ行動隊)
《読書案内》天野恵一さん(再稼働阻止全国ネットワーク)
《関西電力》老朽原発うごかすな!実行委員会

私たちは唯一の脱原発雑誌『NO NUKES voice』を応援しています!


◎鹿砦社HP http://www.rokusaisha.com/kikan.php?bookid=000645

11月24日、大阪地裁では鹿砦社が李信恵氏に訴えられた(もとはと言えば、李信恵氏による「鹿砦社クソ」発言に対する損害賠償請求訴訟で鹿砦社が全面勝訴し判決も確定したけれど、その裁判の後半になって急遽李信恵氏が「反訴」を申し立ててきたが、裁判所には認められず、別の裁判として李信恵氏が提訴した)裁判の本人(証人)尋問が行われた。

午前中は被告である鹿砦社側証人として特別取材班キャップの田所敏夫が証言台に立った。午後からは原告李信恵氏が証言した(この詳細については本通信11月26日27日の記事参照)。

ところが閉廷から数時間後に、思わぬ事件が発生していた。当日傍聴席に姿を現した、伊藤大介氏(「M君リンチ事件」現場にも同座していた人物)が、裁判後なんらかのいきさつで極右活動家・荒巻靖彦氏を呼び出し、逆に荒巻氏が所持していた刃物により、伊藤大介氏は負傷したとの情報が飛び込んできたのだ。

その事件現場に居合わせたのが伊藤大介氏一人であるのか、あるいは複数であるのかの確証を、取材班は確認できていない(2人との情報がある)。しかしながら発生以前の夕刻に、李信恵氏と伊藤大介氏が食事(おそらくアルコールも入っていたであろう)している姿は、李信恵氏のSNS発信により確認できる。

伊藤大介氏を襲ったとして、「殺人未遂」容疑で大阪府警に逮捕された人物の実名は、ネット上に即座に公表されたので特別取材班も確認できている。また、情報が錯綜する中、取材班は経過を冷静に見てきていた。

不思議であったのは、この事件の存在(事実)が報じられていて、あるいは関係者がごく簡単にコメントしていて、それが「一方的」なものであれば、被害者側の人々は、必ずや指弾、糾弾するであろうに、そういった発信がまったくと言っていいほどなされていなかった(特別取材班サイバー班調査結果)事実である。

われわれは、知りえない事実について、軽々に発信をすべきではないと判断し、「伊藤大介襲撃事件(仮称)」についても、最低限の事実を書くにとどめ「考えさせられる事件である」と結んでいた。

しかし、下記の発表が大阪府警からあった。

大阪府警の検挙情報(2020年12月7日付け)

産経新聞2020年12月8日朝刊20面(大阪版)

管轄の大阪府警曽根崎警察署

ここでは匿名ではあるが、一部報道機関では実名で報道されている。念のために大阪府警に詳細を問い合わせたが、「25日事件の被害者が逮捕されたことに間違いはない」と大阪府警広報から回答を得た。

以上が簡単ではあるが、現在明らかになっている事件の概要である。われわれは繰り返すが「刑事事件の被疑者は刑の確定まで、推定無罪が相当」であるとの前提に立つ。したがって、伊藤大介氏を襲撃したという極右活動家・荒巻靖彦氏の行動、あるいはそれ以前に暴行を行ったとされる伊藤大介氏の行動にも、一定の留保を保ちながら論評するものである。

繰り返すが、事件の詳細はわからないのでどちらに非があるのか、といった判断をわれわれは述べない。しかしながら一つだけ断言できることがある。「M君リンチ事件」が発生した際との、恐ろしいほどの共通項が揃っているということである。

前述の通り、11月24日は李信恵氏と鹿砦社の裁判、それも「本人(証人)尋問」期日であり、その後李信恵氏の発信によれば、伊藤大介氏とどこかへ食事に出かけている(18時頃)。そのあと李信恵氏が同行したかどうかは不明である(現時点の情報では「犯行現場に、李信恵氏はいなかった」との情報もある)が、伊藤大介氏が日付けが25日に変わった深夜、荒巻靖彦氏を呼び出し、諍いになり、伊藤大介氏が殴りかかり、逆に反撃に遭い伊藤大介氏が刺された、ということは事実である可能性が濃い。

この展開は、何かに似てはいないか? そうだ、「M君リンチ事件」」の際の展開と同様なのだ。当時は李信恵氏が在特会を相手取っての裁判が展開されていた。その期日のあと、韓国料理店、キャバクラ、ラーメン屋、カレー屋、ワインバーなど5軒ほどはしごをして「日本酒に換算して1升」(李信恵氏の発言)ほど飲酒したあとに、深夜M君を呼び出し「リンチ」に及んだのである。ここでも伊藤大介氏はリンチ現場に居合わせている。

われわれは、これまで「そのような行為は反差別を主張するものとしては、適切ではない」と主張してきたし、24日証人尋問でも田所敏夫は「そのような行為に及ぶのは『反差別』を闘う人への冒涜だと思う」と証言した直後だった。ちなみに、田所自身、広島被爆二世として差別と闘ってきている。

繰り返すが、事件の詳細は不明なのでこれ以上特別取材班は踏み込まない。しかしながら、そのようないきさつであったにせよM君が予言した通り「このままでは、また同様の事件が起こりますよ」が現実になってしまった。

鹿砦社ならびに、特別取材班は「あらゆる差別に原則的に反対」である。であるがゆえに、反差別界隈で発生した「M君リンチ事件」に、重大な関心を持ち取材してきたのである。そこには「このような体質の集団には、また同様の事件を起こす可能性が極めて高い」との懸念もあった。

どうやらわれわれの「懸念」が現実のものとなったようである。24日の期日を終え新横浜到着後「圧勝」宣言をした、李信恵氏の代理人・神原元弁護士は、この事態をどうとらえているのであろうか? 事件直後の11月25日に、「俺の大切な友人を刺したレイシストに抗議する」とツイートしたあとは黙している。同じく李信恵氏の代理人・上瀧浩子弁護士は今、何を考えているのだろうか? そして他ならぬ、李信恵氏ご自身は、再度発生した、深夜の不幸な事件についてどのようにお考えであろうか? 是非とも見解をお伺いしたい。

2020年11月25日の神原元弁護士のツイート

2020年11月27日の有田芳生議員のツイート

繰り返す。李信恵氏は24日の証人尋問で「自分が女だから攻撃された」などと、述べていたが、それは完全に失当である。李信恵氏はひとりぼっちではなく、常に周りに「屈強な」味方が寄り添っている(24日、傍聴席で見かけた伊藤大介氏の振る舞いや開廷中の「ヤジ」にはドスがいたものを感じた)。

11・24裁判後、事件前の伊藤大介氏と李信恵氏

われわれは「弱者」を狙って「攻撃」をしたりはしない。そんなことは自らを辱める行為に他ならず、そもそもそのような発想が浮かばない。このことは断言しておく。

そして、伊藤大介氏の事件を契機に、その周辺の方々は、是非一度立ち止まり、自身を振り返られることをお勧めする。「脚下照顧」という言葉もある。

《関連過去記事カテゴリー》
 M君リンチ事件 http://www.rokusaisha.com/wp/?cat=62

Amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B07CXC368T/
鹿砦社 http://www.rokusaisha.com/kikan.php?bookid=000541

メディアが報じるところから紹介しておこう。

「マイナンバーカードの普及促進に向けて、総務省はカードを取得していないおよそ8000万人を対象に、スマートフォンで申請ができるQRコードがついた申請書の発送を28日から始めることになった」

「マイナンバーカードの普及率は、11月25日時点で22.8%にとどまっているが、政府は令和4年度末までにほぼすべての国民に行き渡るようにする目標を掲げている」という。

QRカードで釣ると言っても、そもそもスマートフォンの普及率が66%程度ではないのか?

「武田総務大臣は、閣議のあとの記者会見で、まだカードを取得していないおよそ8000万人を対象に、28日から申請書の発送を順次始めることを発表した」

8割近くが「面倒くさい」「政府の情報管理能力に疑問」を感じている事案を、なんだか強権的にクリアできると思っているかのようだ。

中小企業・個人事業主への「維持化給付金」の未支給、GoToキャンペーンの不正使用など、デジタル化がらみのトンネル会社(大手広告代理店への外注丸投げ)、国民の半数以上が恩恵に預かれないシステムへの不信。いや、パソコンやスマホを使えない人々には無縁なサービスをもって、何とかなると思い込んでいるところに、ネット社会の現実を知らない菅義偉総理のおめでたさがあると指摘する必要があるだろう。


◎[参考動画]武田総務大臣 記者会見(総務省 2020/11/27)

◆なぜ管理したがるのか?

古い世代には、懐かしい言葉かもしれない。国民総背番号制という言葉である。現在の行政言葉では国民識別番号、具体的に進行しているのは「マイナンバー(個人番号)」という。

古くは1970年に第3次佐藤栄作内閣が「各省庁統一コード連絡研究連絡会議」を設置して省庁統一個人コードの研究を行い、1975年の導入を目指したが、議論が頓挫した経緯がある。以後、各省庁ごとに行政上の国民のナンバリングは以下のジャンルで行なわれてきた。

○基礎年金番号=20歳以上。数字10桁。(厚労省)※年金手帳の統一
○健康保険被保険者番号=国民全員(扶養家族ふくむ)数字6桁か8桁。(々)
○日本国旅券(パスポート)番=任意。9文字。アルファベット2文字と数字7桁。(外務省)
○納税者の整理番号(旧:法源番号)=納税者。数字8桁。(財務省国税局)
○運転免許証番号=16歳以上の資格者。数字12桁。(自治体公安委員会)
○住民票コード=数字11桁。(自治体)
○雇用保険被保険者番号=数字11桁。(厚労省)

以上の数字はそれぞれバラバラで、相互に関連付けがされていない。とくに納税(所得税・住民税)において、管理できていないのではないかと、国家は常に国民の隠し資産に疑惑を抱いているのだ。国民を番号で管理したい。それは国家の本質といえよう。

そしてNHK視聴料(1割以上が未契約)の強制契約のために、これはもっぱらNHK独自の利害から、自治体(およびメーカー、販売店)へのテレビ購入者の住民識別を徹底するというものだ(政府関係に反対多数)。

戦後日本は多元的な民主国家であり、たとえば自治組織の末端である町会(自治会)や共同住宅の管理組合にも、その参加は基本的に任意(罰則がない)である。とりわけ都市住民という、資本主義のもとでアトム化された匿名的な存在は、表札すら出さないことが多い。共同住宅では、部屋番号という匿名性が担保されているからだ。

したがって、戦後の日本において高度管理システムを可能にするコンピュータが完備されているにもかかわらず、総背番号制は実現しなかった。デジタル化が進まない各省庁の無能はさておこう。

住基ネット、グリーンカード、マイナンバーと名を変えても、それは実現できなかった。ここに筆者は権力の支配をきらう日本人の特性を、たとえば江戸幕府の華美禁止令にたいして刺青(衣服の下の美装)を彫った町奴いらいの反骨精神を感じてきた。それゆえに国民はネットで支配されず、台湾や韓国のように戦時体制的なコロナ防疫ができなかった。防疫よりも個人主義が優先されたのである。それはそれで、健全なことなのだ。

◆菅義偉の個別政策論

だがいま、陰湿な権力欲にとらわれたある政治家の発議で、ふたたび総背番号制の野望がうごめいている。その政治家とは、わが菅義偉総理のことである。

なかば手弁当で研究者たちが参集する日本学術会議を既得権団体と見誤り、実効性のうたがわしい携帯電話料金の低減をメーカーに強い、GoToキャンペーンなる「コロナ感染拡散政策」に執着する菅義偉総理。この個別政策論は、みずからが官房長官をつとめた安倍政権末期に、配られないアベノマスク、不良品のマスクの失敗と同じ道をたどるであろう。大局観なき政治構想は、貧弱な個別政策の破綻をたどるしかないのだ。その予感が焦燥として顕われている。

そこで、背水の陣を敷いて取り組もうとしているのが、マイナンバーの健康保険証との関連付けなのである。国民がもっとも必要不可欠とし、皆保険という制度上の特質に目を付け、2年後までの実現を期すとしている。

50年間できなかったことを、自分の代で実現するという。それは安倍政権が「憲法改憲をわたしの代で」という大言壮語に比べれば、いかにもスケール感がない。とはいえ、健康保険証は所得税に対して算出される、いわば間接の申告制である。所得がない場合は、扶養家族としての登録になる。

ここにマイナンバーカードをもって申告しろというのなら、健康保険証が発行されない場合をも想定しているのだろうか。保険証が欲しいのなら、カードの発行手続きを取れと? この国民への挑戦は、大いに見ものである。これから先の日本が右へ倣えの統制国家になるのか、それとも国家の必要すら感じなくなる国民の「自助」が新たな何かを見出すのか。結果を注視したい。


◎[参考動画]臨時国会が会期末 菅首相がようやく2回目の会見(TOKYO MX 2020/12/04)

▼横山茂彦(よこやま・しげひこ)

編集者・著述業・歴史研究家。歴史関連の著書・共著に『合戦場の女たち』(情況新書)『軍師・官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)『闇の後醍醐銭』(叢文社)『真田丸のナゾ』(サイゾー)『日本史の新常識』(文春新書)『天皇125代全史』(スタンダーズ)『世にも奇妙な日本史』(宙出版)など。医科学系の著書・共著に『「買ってはいけない」は買ってはいけない』(夏目書房)『ホントに効くのかアガリスク』(鹿砦社)『走って直すガン』(徳間書店)『新ガン治療のウソと10年寿命を長くする本当の癌治療』(双葉社)『ガンになりにくい食生活』(鹿砦社ライブラリー)など。

月刊『紙の爆弾』2021年1月号 菅首相を動かす「影の総理大臣」他

12月4日、大阪地裁の森鍵一裁判長は、関西電力の大飯原発3、4号機(福井県おおい町)について「規制委の判断には不合理な点がある。審査すべき点をしておらず違法だ」として、国に設置許可の取り消しを命じる判決をくだした。

大阪地裁前の様子(写真提供/松尾和子さん)

この裁判は、2012年福井県など11府県の住民127人が、規制委が大飯原発3、4号機について、新規性基準に適合するとした判断に誤りがあるとして、設置許可の取り消すよう求めた行政訴訟である。

2011年東日本大震災にともなう福島第一原発事故の教訓から、原子力規制委員会は2013年、原発の過酷事故、地震、津波、テロなどへの対策により強い新規性基準をつくったが、これにもとづく設置変更許可を取り消す司法判断は初めてのことである。ただし、原発が即座に停止する仮処分の決定と違い、取り消しの効力は判決確定まで生じない。

◆争点化された原発の耐震性判断基準

裁判の主な争点は、関電が算定した原発の耐震性を判断する目安となる「基準地震動」(想定される地震の最大規模の揺れを数値化したもの)が妥当かどうか、これをもとに原発の設置を許可した規制委の判断が妥当かどうかであった。

英語のバナーを持つアイリーンさんと右端の背の高い弁護士が、私らの住民訴訟の武村二三夫弁護士。しかもこの画期的判決を下した森鍵裁判長は、住民訴訟の裁判長(写真提供/松尾和子さん)

関電は、規制委の審査ガイドによって明示された算定方法にそって、審査前700ガルとしていた基準地震動を856ガルに引き上げ、安全対策工事を行ってきた。その後の2017年5月、規制委は大飯原発3、4号機が新規制基準を満たすとして設置許可を出していた。

これに対して原告側は、関電や国が想定した揺れは、過去に国内外で発生した地震規模の平均値で決めていたものであり、平均値を上回る揺れが考慮されていないと主張。審査ガイドには、基準地震動を定めるにあたって、(過去の地震を参考にした)経験式から導かれる数値は「平均値としての地震規模を与えるものであることから、経験式が有するぱらつき(不確かさ)も考慮されている必要がある」と規定しているが、実際の審査ではこの「ぱらつき」は考慮されておらず、基準地震動は過小評価されて設定されていたとの主張である。

さらに大飯原発の敷地内の断層の長さなどを踏まえると、基準地震動は少なくとも1150ガルであるため、「合理性を欠く規制委の設置許可は取り消すべきだ」と主張していた。

大阪地裁前の様子(写真提供/松尾和子さん)

対して国側は「基準地震動は科学的な知見をふまえ、余裕をもって策定されている。数値は妥当で原発の安全性は担保されている」などと反論していた。

判決で森鍵裁判長は、関西電力は過去に起きた地震の平均値を用いて将来、起こりうる地震の規模を想定したが新しい規制基準は平均値を超える規模の地震が発生しうることを想定しなければならないとしており、「最大規模の地震の揺れである基準地震動を設定する際には数値を上乗せすべきかどうかを検討する必要があった」と指摘、規制委に対して「地震規模の数値を上乗せするは必要があるかどうか検討していない。看破しがたい過誤、欠落がある」と述べ、原発の設置許可を取り消した。

◆「国は自らつくったルールを無視したと、裁判所が指摘した意義は極めて大きい」(武村弁護士)

裁判後の記者会見で原告弁護団の武村二三夫弁護士は「国は自らつくったルールを無視したと、裁判所が指摘した意義は極めて大きい」と語った。画期的なこの判決は、今後全国の原発に適用されなければならないだろう。

判決後、原告団は声明で「原子力規制委員会はこの判決を踏まえて、すべての原発および原子力施設等について、地震規模(地震モーメント及びマグニチュード)の見直しを行うべきである」とし、とりわけ来年1月に再稼働が目論まれている老朽原発・美浜3号炉の耐震性について、「敷地のほぼ直下にあるC断層が現行でも993ガルをもたらすが、『ばらつき』の標準偏差を考慮しただけで1330ガルに跳ね上がる。老朽化に伴う諸問題を抱えながら、このような危険性が放置されてよいはずはない」と、再稼働を中止し、耐震性の見直しを行うべきであると訴えている。

地裁判決後の報告集会(写真提供/Takamichi Negishiさん)

◆明日12月9日福井県美浜町に到着するリレーデモ最終日行動にご参加を!

福井県に入り、のどかな若狭町を歩くリレーデモ隊(写真提供/橋田秀美さん)

11月23日、大阪市内を出発したリレーデモは、沿道で「老朽原発を動かすな」と訴え続けながら進み、明日9日福井県美浜町に到着する。午後13時美浜駅に集合し、市内をデモ行進したあと、美浜町役場前でアピール行動と町議会へ「老朽原発再稼働を認めるな」と申し入れを行う予定だ。老朽原発の再稼働を許さない闘いに注目していこう!

★リレーデモ最終日 12/9(水)の行動予定
13:00 美浜駅前集合 → 美浜町内デモ行進
→ 美浜町役場まえでアピール行動および美浜町長議会へ申入れ → 美浜町内デモ行進
→ 関西電力 原子力事業本部 包囲 抗議行動 16:00 現地解散 
のぼり、旗、パネル、鳴り物など持ってご参加ください

★リレーデモへご支援のお願い
郵便振替からのご入金
加入者名 : 老朽原発うごかすな!実行委員会
口座記号・番号:00990-4-334563
通信欄に「老朽原発うごかすな!行動へのカンパ」とお書きください

▼尾崎美代子(おざき みよこ)

新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者ツイッター(はなままさん)https://twitter.com/hanamama58

12月11日発売開始!『NO NUKES voice』Vol.26 《総力特集》2021年・大震災から10年 今こそ原点に還り〈原発なき社会〉の実現を

『NO NUKES voice』Vol.26
紙の爆弾2021年1月号増刊
2020年12月11日発行
定価680円(本体618円+税)A5判/132ページ

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総力特集 2021年・大震災から10年
今こそ原点に還り〈原発なき社会〉の実現を!

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《特別鼎談》原子力裁判を問う 司法は原発を止められるか
小出裕章さん(元京都大学原子炉実験所助教)
樋口英明さん(元裁判官)
水戸喜世子さん(「子ども脱被ばく裁判」共同代表)
[司会]尾崎美代子さん(西成「集い処はな」店主)

[インタビュー]なすびさん(被ばく労働を考えるネットワーク)
被ばく労働の実態を掘り起こす

[報告]おしどりマコさん(芸人/記者)
どの言葉を使うかから洗脳が始まってる件。「ALPS処理水」編

[報告]鈴木博喜さん(『民の声新聞』発行人)
原発災害の実相を何も語り継がない  「伝承館」という空疎な空間

[報告]伊達信夫さん(原発事故広域避難者団体役員)
《徹底検証》「原発事故避難」これまでと現在〈10〉 避難者の多様性を確認する(前編)

[報告]本間 龍さん(著述家)
原発プロパガンダとは何か〈20〉五輪翼賛プロパガンダの正体と終焉

[報告]山崎久隆さん(たんぽぽ舎共同代表)
東電福島第一原発の汚染水「海洋放出」に反対する

[報告]松岡利康&『NO NUKES voice』編集委員会有志
ふたたび、さらば反原連! 反原連の「活動休止」について

[対談]富岡幸一郎さん(鎌倉文学館館長)×板坂剛さん(作家・舞踊家)
《対談》三島死後五〇年、核と大衆の今

[報告]平宮康広さん(元技術者)
僕が放射能汚染水の海洋投棄と原発の解体、
再処理工場の稼働と放射性廃棄物の地層処分に反対する理由

[報告]横山茂彦さん(編集者・著述家)
中曽根康弘・日本原子力政策の父の功罪

[報告]三上 治さん(「経産省前テントひろば」スタッフ)
やがてかなしき政権交代

[報告]佐藤雅彦さん(翻訳家)
誑かされる大地・北海道
人類の大地を「糞垂れ島」畜生道に変えてしまった“穢れ倭人”は地獄に堕ちろ!

[報告]山田悦子さん(甲山事件冤罪被害者)
山田悦子の語る世界〈10〉人類はこのまま存在し続ける意義があるか否か(上)

[報告]再稼働阻止全国ネットワーク
原発反対行動が復活! コロナ下でも全国で努力!
《玄海原発》豊島耕一さん(「さよなら原発!佐賀連絡会」代表)
《伊方原発》秦 左子さん(伊方から原発をなくす会)
《高浜・美浜》けしば誠一さん(杉並区議会議員、反原発自治体議員・市民連盟事務局次長)
《規制委・環境省》木村雅英さん(再稼働阻止全国ネットワーク)
《東京電力》佐々木敏彦さん(環境ネット福寿草)
《東海第二》小張佐恵子さん(彫刻家、いばらき未来会議、福島応援プロジェクト茨城事務局長)
《東海第二》大石光伸さん(東海第二原発運転差止訴訟原告団共同代表)
《福島第一》片岡輝美さん(これ以上海を汚すな!市民会議)
《地層処分》瀬尾英幸さん(脱原発グループ行動隊)
《読書案内》天野恵一さん(再稼働阻止全国ネットワーク)
《関西電力》老朽原発うごかすな!実行委員会

私たちは唯一の脱原発雑誌『NO NUKES voice』を応援しています!

◆北海道の「核廃棄物」動乱

 

本日発売! 月刊『紙の爆弾』2021年1月号!

横田一は北海道寿都町の「核のごみ処分場反対住民の反転攻勢」をレポートする。反対派「町民の会」の講演会に、小泉純一郎元総理が講演者として来町。その講演会に「勉強のために」参加するはずだった片岡町長はドタキャンしたのだった。

11月13日には臨時町議会で、住民投票条例の審議と採決が行われ、賛成と反対が4対4。議長採決で否決された。反対派住民と町長・町議会の対話は閉ざされたのである。住民の意見を聞かない行政には、地方自治体法違反の可能性が高いと、横田は指摘する。

ところで、問題なのは鈴木直道北海道知事の動向である。コロナ防疫については早期に緊急事態宣言を発し、親分にあたる菅義偉のGoToキャンペーンにも異を唱えるなど、硬骨漢ぶりを発揮している若き鈴木知事も、この問題では弱腰である。法政大学の後輩で、菅義偉に太いパイプを持っているのだから、もっと存在感を発揮して欲しいものだ。町レベルでは町長リコールの動きも活発だという。今後も横田のリポートに注視したい。

◆ポンコツ答弁の「影」を暴け!

喉頭がんによって喋る力を失った浅野健一は、しかし健在である。菅義偉総理のポンコツ答弁をささえる、背後で動かす「影」を実名報道せよ! というものだ。

浅野は詳細に記者会見、およびぶら下がり取材(菅の官邸はこれを記者会見というらしい!)を検証しているが、国会答弁でのポンコツぶりは国民を唖然とさせるものだった。

およそそれは、必要な予習をしてこなかったばかりか、宿題を忘れた劣等生が困り果て、優等生(秘書官)のメモで答弁するという珍無類の光景だった。さんざん指摘してきたとおり、安倍晋三ほどの演説力(関係のないことを、延々と喋る能力=じつは、これが政治家の真骨頂である)がない菅総理において、秘書官の機敏な動きは不可欠なのである。サブタイトルの「自助で国会答弁できない菅首相」とは、言いえて妙である。

「学術会議などでの菅首相の国会での答弁は見ていて哀れだ。活舌も悪く、安倍前首相のほうがまともに感じられるほどだ」(記事中)。まったく同感である。

菅総理の秘書官は、新田章文という筆頭秘書官(菅事務所)のほかは、いまだ氏名不詳であるという。この「影」を暴くことこそ、われわれの当面の任務ではないだろうか。

◆注目のレポート記事

現地ルポは、西谷文和の「中村哲さん殺害から一年 なぜアフガニスタンの戦争は終わらないのか」である。中村哲の思い出のいっぽうで、変わらないアフガン。いや、ますます罪のない子供たちに犠牲を強いるアフガンの現実。憤りと涙なくしては読めない。

黒薮哲也の「日本禁煙学会が関与した巨額訴訟の行方」は興味ぶかく読めた。団地の住民が、タバコの副流煙で損害賠償を提訴した事件のレポートだ。筆者も十数年前にタバコをやめ、マンション暮らしゆえにベランダでの喫煙で隣人と軋轢があった(話し合いで解決)。集合住宅での喫煙・副流煙問題は当事者(喫煙者にも、非喫煙者にも)には深刻な問題だ。

今回のレポートでは、日本禁煙学会の理事長が関与した杜撰な提訴に、裁判所が被告(喫煙者)と原告の被害に関連性なしと判決。それを受けて、被告側が訴訟による被害を反訴したものだ。隣人訴訟に圧力団体が関与した例として、今後の展開が注目される。

近藤真彦への不倫処分と紅白私物化の、ジャニーズ事務所の実態を暴露するのは、本誌芸能取材班。NHK「あさイチ」とジャニーズの関係(ネックは視聴率)が興味ぶかい。

◆拙稿、朝田理論の検証について

手前みそだが、紙爆9月号の「士農工商ルポライター稼業」について、わたしの意見を掲載していただいたので紹介しよう。

本通信(11月12日および11月17日)では、井上清の『部落の歴史と解放理論』の検証、とりわけ部落差別の三位一体論(部落差別の存在・地域差別・職業差別)の妥当性を論じてみた。

歴史検証としては、井上清の論考が果たした役割が大きく、その検証が今日的にふさわしいからだ。

紙爆1月号の記事では、黒薮哲哉さんの12月号の論考に対する見解、および解放同盟の朝田善之助さんの「朝田理論」を検証してみた。

論点はいくつかあるが、まずは現在の日本社会が差別社会かどうか、差別の存否から議論しなければならないであろうこと。そのうえで、差別かどうかは部落民が決めるという朝田理論の時代性、糾弾権の問題などである。このあたりは、本通信の松岡利康の経験的な見解も併せてお読みいただきたい。時代とともに。解放同盟も変っているはずなのだから。

いずれの拙論においても、結婚差別が現代に残された最も深刻で、かつ「解消」という新たな問題をはらんだものと考えている。鹿砦社が解放同盟中央本部と議論する過程で、この論点をともに検証したいと考えている。それが70年代の苛烈な部落解放運動を、その末端で支持・共闘してきた者としての役割だと考えるからである。
ほかにも興味を惹かれる記事満載、買って損はしない「紙爆」年末号である。

▼横山茂彦(よこやま・しげひこ)

編集者・著述業・歴史研究家。歴史関連の著書・共著に『合戦場の女たち』(情況新書)『軍師・官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)『闇の後醍醐銭』(叢文社)『真田丸のナゾ』(サイゾー)『日本史の新常識』(文春新書)『天皇125代全史』(スタンダーズ)『世にも奇妙な日本史』(宙出版)など。医科学系の著書・共著に『「買ってはいけない」は買ってはいけない』(夏目書房)『ホントに効くのかアガリスク』(鹿砦社)『走って直すガン』(徳間書店)『新ガン治療のウソと10年寿命を長くする本当の癌治療』(双葉社)『ガンになりにくい食生活』(鹿砦社ライブラリー)など。

月刊『紙の爆弾』2021年1月号 菅首相を動かす「影の総理大臣」他

3回にわたって新型コロナウイルスに関し、検査数の増加は可能であり、治療薬やワクチンというものは利権構造にまみれやすいということを述べたうえで、この社会ならではといえる「強制」と「任意」についても考察してきた。ワクチンについては2020年11月25日、アメリカのアザー厚生長官が、早ければ12月10日以降に供給が始まるとする見通しを示している。11月20日、「ファイザー」はFDA(アメリカ食品医薬品局)に緊急使用を申請しており、許可がおりれば米国内で640万回分が配布され、12月半ばから接種が開始されるそうだ。「モデルナ」も申請の方針を明らかにしているという。


◎[参考動画]米ファイザー コロナワクチンの使用許可を申請(TV東京 2020年11月21日)

今回は特に、現在大きな問題となっている医療崩壊について取り上げたい。

◆「安全な国・地域」という評価の背景にあるもの

11月24日、『Bloomberg(ブルームバーグ)』で、「コロナ時代、世界で最も安全・危険な国・地域-レジリエンス(耐性)ランキング」が発表された。このランキングでは、「経済規模が2000億ドル(約20兆9100億円)を超える53の国・地域を10の主要指標に基づいて点数化した。その基準は症例数の伸びや全体の致死率、検査能力、ワクチン供給契約の確保状況などだ。国内医療体制の能力、ロックダウン(都市封鎖)などコロナ関連の行動制限が経済にもたらす影響、市民の移動の自由も考慮した」そうだ。

結果は、ニュージーランドに次いで、日本が2位となっている。「ロックダウンを強制する法的手段がないが、別の強みを素早く発揮した。過去に結核が流行した日本は保健所制度を維持しており、追跡調査が新型コロナでも迅速に採用された。高いレベルの社会的信頼やコンプライアンス(法令順守)を背景に国民は積極的にマスクを着用し、人混みを避けた」と評価されているのだ。3位は台湾、4位は勧告、5位はフィンランド、6位はノルウェー、7位はオーストラリア、8位は中国、9位はデンマーク、10位はベトナムなどとなっている。

「コロナ時代、世界で最も安全・危険な国・地域-レジリエンス(耐性)ランキング」(2020年11月24日付けBloomberg)より

この記事に対し、「元の英語記事見ると(略)日本が台湾越えなのは、全10項目中2項目のみで『ワクチンへのアクセス数』と『皆保険制度(これが世界1位)』の数値のみ。医療機関様様」というコメントがつけられていた。そこで、元となった10項目を確認してみよう。原文、さらに背後にある方法論にまで翻る。

1番目は「過去1カ月間の10万人あたりのコロナ症例」。2番目は「過去1カ月間のコロナの死亡率」。3番目は「パンデミックの開始以来、100万人あたりの死者数」。4番目は「最新の入手可能なデータに基づき、コロナ・テストで再び陽性と判定された割合」。5番目は「フェーズIII(第III相)ワクチン候補の供給契約の数」。6番目は「社会的・経済的活動が政策によって制限されている度合い(高いほど混乱した生活を経験していることとなり、ランクが下がる)」。7番目は「パンデミック前の基準値と比較した、オフィスや店舗への人々の移動」。8番目は「2020年の前年比GDP変化予測」。9番目は「小児期の予防接種のような予防措置から癌のような深刻な病気の治療にいたるまで、健康保険の23の側面の有効性から導き出された医療制度の強さ」。10番目が「平均余命・教育へのアクセス・1人あたりの収入という3つの指標によって定義される『幸福』な人の数」だ。

そして実際、日本が台湾を上回るのは確かに、5番目「フェーズIII(第III相)ワクチン候補の供給契約の数」つまり「ワクチンへのアクセス数」と、9番目「小児期の予防接種のような予防措置から癌のような深刻な病気の治療にいたるまで、健康保険の23の側面の有効性から導き出された医療制度の強さ」つまり「皆保険制度」の2点のみだ。

だが、ワクチンは開発競争に破れた。『ニューズウィーク日本版』の「世界のワクチン開発競争に日本が「負けた」理由」の記事によれば、この背景が挙げられている。ワクチンの開発は、軍事以上に国際政治に影響し、そこには安全保障投資の意味もある。だが、日本ではウイルスに対する警戒心が薄く、政府の資金的支援も不十分だという。なるほど、戦争への備えとウイルスへの備えには共通点があり、いずれも日本ではアメリカなどの海外頼みで金を払わされて解決させられるという仕組みがあるのかもしれない。ただし、単純にワクチン開発の予算を拡大することにも、慎重になったほうがよさそうだ。

◆皆保険制度と保健所の歴史

では、日本が台湾以上の評価を受けた皆保険制度は、どのようにつくられたのだろうか。東京都保健福祉局のサイト内にある「◆1.国民健康保険制度の創設」によると、1938年までに健康保険制度は制定されていたが、当時、対象は一部の工場などの労働者に限られていた。そこで、「農村等の窮状に対応するため、国民健康保険制度は創設され」たが、それでも加入は任意だったという。戦後、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)の勧奨などを受け、強制加入とされた。59年には新国民健康保険法が施行され、61年に皆保険が達成されたそうだ。

また、社会にとって、保健所の存在も大きい。『47NEWS』の「新型コロナ、日本独自戦略の背景に結核との闘い 対策の要『保健所』の歴史から見えるもの」によれば、関西大の高鳥毛敏雄(たかとりげ としお)教授(公衆衛生学)は「日本は遅れて産業化を進めたために、近代国家の建設時期と結核の流行拡大が密接な関係にありました」「結核の罹患者は青年層であり、国の重要な労働力と兵力の生命を失うことにつながります。その結果、国家、社会をあげて取り組むことが必要となりました」「高度経済成長後、結核患者や死亡者が減少してきたことで、保健所数は減らされ、弱体化していましたが、それに歯止めをかけたのも結核でした。90年代に結核の再流行があったことにより、保健所が再強化されたのです」と説明している(この記事の内容は、全体的に大変興味深い)。

結局、この社会で新型コロナウイルスに関して優れている点は、医療制度や医療機関、医療にかかわる手配ということだろう。

◆「医療現場ひっ迫」の深刻化

先出の高鳥毛教授は、1897年に制定された「伝染病予防法は、患者の人権を無視する『社会防衛』の考えが根幹にあります」、「感染症の指定医療機関が整備されはじめたのは、99年に『感染症法』が施行されてからの話。新型コロナウイルスの感染拡大時に病床数の不足が問題となった理由がここにあります」ともいう。改正(「感染症法」施行)も、薬害エイズ訴訟や「らい予防法」違憲訴訟の影響でようやく重い腰を上げたような形だ。

また、2008年夏季オリンピック誘致の影響で、02年に大阪市が市立十三市民病院(淀川区)に西成区の結核対策として結核病床を設置した。ここが現在、新型コロナ専門病院として活用されているとも語る。「感染症の流行監視・制御する部門の設置が一部にとどまって」おり、「保健所が間に入り、〝門番〟として病院の機能を守ることが大切とされてい」ると言う。だが、この保健所が都市で減らされているため、増える医療機関での対応を拡大することが現実的だそうだ。

ちなみに、「欧米先進国の多くは、第二次世界大戦の戦勝国であることから、戦前の感染症対策のフレームワークをベースにした体制を維持しています」と添えるが、敗戦国である日本ではコロナ対策として市民を取り締まることは難しいという。そして、日本の目指すべき方向として、「地方自治体と国民とが主体的に関わり、協働して進めていく仕組みを進化させるしかありません」「自治体と国民の感染症のリテラシーを高めていけるかどうかにかかっています」とも語る。

ところが、冒頭に伝えたように現在、医療機関が悲鳴を上げている。

NHKは11月24日、都内の医療機関では重傷者向けの病床が埋まり始め、危機感を募らせていると報道。例えば東京医科歯科大学病院の場合、「重症患者のベッドは、8床あるものの、治療には医師や看護師などの一定の人手を要するため、現在使用しているのは7床。そのすべてが埋まっていて、それ以上の受け入れは断らざるをえない」とのことだ。加藤勝信内閣官房長官は、「各都道府県では、地域の感染状況に応じ、計画に沿って病床の確保を進め、医療提供体制の整備に努めていただきたい。政府としては、引き続き、自治体と緊密に連携し、自治体の感染拡大防止に向けた取り組みをしっかりと支援していく」と述べるにとどまる。

以降、NHKでは「医療現場のひっ迫」が全国で深刻化していることを報道。また、個人やメディアを問わず、医療現場の現在の状況が伝えられ始めた。さまざまな医師が感染拡大の現実や警告をインターネット上に書きこみ、感染症専門医の忽那賢志氏は医療従事者の精神的な負荷を訴えて、医療法人社団 慶友会 吉田病院(北海道旭川市)は市や医大病院の対応に疑問を投げかけている。大阪市立十三(じゅうそう)市民病院(同市淀川区)では医師や看護師が次々と退職した。


◎[参考動画]コロナ専門病院、職員の負担増、外来は戻らず 十三市民病院のいま(朝日新聞社 2020年12月2日)

多くの医療機関が人とベッドとを限界まで稼働させているにもかかわらず、政府は経済や、憲法改正の手続きを定めた国民投票法の改正案などを優先させている。たとえ、立派な医療制度や医療人がそろっていても、それに頼りきりでは、すぐに限界は露呈する。

わたしは月刊誌『紙の爆弾』12月号の誌面上で、菅政権の「自助・共助・公助」発言を批判した。民間の努力は限界に達し、地方自治体や地域の大病院も対応しきれていない。政府が本当に「自治体と緊密に連携」したら、経団連のほうばかり見ていられないはずだ。現場の努力頼みであるこの国の「お家芸」を放置していたら、医療従事者は心身共に疲弊し、医療崩壊も間違いなく進む。だが、いろいろな背景はあろうとも、皆保険制度や保健所はつくられた。

次回以降も引き続き、医療従事者の感染、問題の深刻度、併発と原発被害との比較、対策と公衆衛生学、情報開示、補償と財政などについて触れていきたい。そして、原発、台風、コロナなどの問題を総合的に考えた際、導き出される人類の次の生き方についてまで、書き進めていきたいと考えている。

◎新型コロナウイルスの問題から、次の生き方を再考する
〈1〉 〈2〉 〈3〉 〈4〉

▼小林 蓮実(こばやし・はすみ)

フリーライター、労働・女性運動等アクティビスト。月刊誌『紙の爆弾』12月号「『自助・共助・公助』から見える菅政権の新自由主義路線」寄稿。医療・看護・介護に関連した出版・ウェブ媒体の取材・執筆・編集も手がけてきた。

月刊『紙の爆弾』12月号

関西電力は、運転開始から40年足った老朽原発3基について、来年1月美浜3号機、3月には高浜1号機の再稼働を目論み、準備を進めている。

福島県浪江町から兵庫に移住した菅野みずえさん(写真提供=EijiEtohさん)

3基については、すでに原子力規制委委員会の安全審査で最長で20年の延長運転が認められており、焦点は地元同意に移っている。

高浜町では、11月12日町議会の臨時本会議で、高浜原発1、2号機の再稼働を求める請願を賛成多数で採択したが、「立地地域の振興や原発の安全管理の徹底を求める」意見書を議決し、経産省などに提出、25日議会全員協議会で高浜原発1、2号機の再稼働について同意すると表明、野瀬豊町長に伝えられた。

一方、美浜町は、12月9日に原子力安全特別委員会を開き、11月30日開会の議会本会議の最終日(12月15日)に、美浜3号機の再稼動への同意を強行しようとしている。

この12月9日に向け、大阪市内から美浜町まで200キロのリレーデモを行い、沿道の住民たちに「危険な老朽原発動かすな」と訴えるとともに、ルート途中の自治体に申し入れを行っていく予定である。

11月23日、大阪市内の関西電力本社ビル前でリレーデモの出発式を兼ねた集会が開催され、約550人が参集、市民団体、労働組合、全国各地で闘う仲間、そして福島県浪江町から兵庫県に避難する菅野みずえさんからアピールがなされた。

その中から今回は、福井県地元からかけつけたお二人の発言をご紹介したい。

◆中嶌哲演さん(「原発に反対する福井県民会議」)

中嶌哲演さん(筆者撮影)

私は若狭と関西周辺の肩を結ぶ立場から、あまり皆さんが触れられていない2つの問題点に絞ってお話します。

1つは実質的に3基の老朽炉を止めていく上での問題です。昨年私は9月末から12日間断食抗議をしましたが、2つの目的をもっていました。1つは高浜1、2号機に2160億円、美浜3号機に1650円の巨費を投じて安全対策工事を強行していました。私はその工事の中止を求めました。当時工事の進捗率19%ないし20%に過ぎませんでした。一方、廃炉費用は高浜で450億円、美浜で490億円見込んでいますから、工事を中止して残った予算を廃炉の準備費用にまわすべきと訴えました。残念ながら工事は、コロナの影響のある今年のような様子を見せていませんでした。

コロナを通じて皆さんどうでしたか? 国民の命を守ること、そのために経済活動を控えなくてはいけなくなった、しかしそれによって生じる損失は、国の責任で補填するとなった。あれやこれやではなく、両方をむすびつけてやっていく、そういうことが国民の意識に浸透してきた。原発政策も同じではないですか? 原発を止めることによって、まず国民の命と安全を守る。しかしそれによって原子力ムラや地元の経済界が「経済が止めるのでは」と不安を抱える。しかしそうではないということを、昨年の断食の2つめの目的に掲げました。それは国会に上程されている「原発セロ法案」です。それを実質的に審議していけば、老朽炉を廃炉にすることなど実質的に審議していくなかで、様々な問題も十分解決できるという確信があったので、私は断食をやりました。当時すでに2000~3000人の人が高浜、美浜で働いていました。私が抗議の断食をやることが、彼らの生活の糧を奪うのではないかというジレンマを持ったわけですが、「ゼロ法案」の問題があるから私は確信をもって断食をしました。

2つめは、どんなに無茶なことでも横車を押して原子力ムラと行政はゴリ押しをしていました。地元高浜、美浜など立地自治体の議会の承認を得れば大丈夫ということでしゃにむになってやってきた。しかしその土俵の外におかれてきたのが私たち小浜市民や若狭町の自治体、嶺北の自治体です。知事には発言権はありますが。よもや関西の皆さんは全く土俵の外、単なる観客にすぎない。そういう土俵の外に除外された私たちが団結して迫っていく必要があると考えています。最後に私がずっと詠み続けてきた坂村真民の「あとから来る者のために」という詩を読み上げます。

あとからくる者のために
苦労をするのだ
我慢をするのだ
田を耕し
種を用意しておくのだ

あとからくる者のために
しんみんよ お前は詩を書いておくのだ
あとからくる者のために
山を川を海を きれいにしておくのだ

ああ あとからくる者のために
みなそれぞれの力を傾けるのだ
あとからあとから続いてくる
あの可愛い者たちのために
未来を受け継ぐ者たちのために
みな夫々自分で出来る何かをしてゆくのだ

山本雅彦さん(筆者撮影)

◆山本雅彦さん(「原発住民運動福井・嶺南センター/事務局長」)

報道されているように、美浜原発で関電の社員らがコロナに感染するという事態になっています。もし稼働している最中に運転員や機械などの保守にあたっている労働者の方がかかったら、原発は本当に安全に運転できるのか?もうこんな危険な綱渡りの運転はやめるべきではないか、そのことをまずお伝えしたいと思います

40年超えの老朽原発の危険性は皆さんが指摘するとおりです。しかし地元美浜・高浜町議会では、請願を採択するという形で同意しようとしています。まだ同意はしていません。これからもまだ止めることができます。

これまでの経過では、高浜町の商工会議所、自民党高浜支部が推進の請願をだし、これを採択するという形で再稼働を進めようとしています。高浜町議会に原子力政策委員会があり、ここで委員長を務めている元高浜町職員の松岡さんという方がいます。

山崎さんの話の途中「この関電です」のあとに。関電本社ビルに向かって「老朽原発うごかすな!」と訴える参加者(写真提供=EijiEtohさん)

彼は「私は再稼働の是非の議論はしたくない。高浜町に住む多くの人たちがどう思っているか、大方の人は賛成はしていない。また、私は継続審議をしたいといったが、関電の元社員である井上(井上順也)や小幡(小幡憲仁)議員らが『どうしても再稼働する。そしてその意見書をもって国にいき、経済的支援をしてもらうということで進められているのだから、絶対再稼働しないと困る』という圧力をかけてきたそうです。

松岡委員長は『それだったらあなたたちが意見書をつくればいい。私はやらない』と返事をしたそうです。その結果、高浜町の職員や関電の元社員の議員など少数の人たちによって意見書がまとめられ、再稼働の採択がなされたのです。こうしたことが、この間皆さんが抗議や要請行動をしてくださるなかでわかったことです。

皆さん、高浜町や美浜町の町民でさえ再稼働を認めていない、危険な原発は運転しないでと願っている。これに対して再稼働をしゃにむに進めようとしているのが、目の前の関西電力です!!

意見書を見ますと、高浜町の皆さんも本当に悩んでいるのがわかります。最後に再稼働をするにあたって、高浜町民が国民から非難されることがないようにということが書いてある。

再稼働に多くの国民が反対している。高浜町民の多くも止めて欲しいと願っている。賛成すれば国民に批判されるとわかっている。そういう再稼働は本当に止めにしなければいけません!皆さん、ともに頑張りましょう!

★リレーデモ最終日 12/9(水)の行動予定★
13:00 美浜駅前集合 → 美浜町内デモ行進
→ 美浜町役場まえでアピール行動および美浜町長議会へ申入れ → 美浜町内デモ行進
→ 関西電力 原子力事業本部 包囲 抗議行動 16:00 現地解散 
のぼり、旗、パネル、鳴り物など持ってご参加ください

★リレーデモへご支援のお願い★
郵便振替からのご入金
加入者名 : 老朽原発うごかすな!実行委員会
口座記号・番号:00990-4-334563
通信欄に「老朽原発うごかすな!行動へのカンパ」とお書きください

▼尾崎美代子(おざき みよこ)

新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者ツイッター(はなままさん)https://twitter.com/hanamama58

NO NUKES voice Vol.25

私たちは唯一の脱原発雑誌『NO NUKES voice』を応援しています!

10月22日の当欄では、私が8月に立ち上げた“一人出版社”から発行した書籍『もう一つの重罪 桶川ストーカー殺人事件「実行犯」の告白』(著者・久保田祥史、発行元・リミアンドテッド)について紹介させて頂いた。同書はおかげさまで、Amazonの裁判関連部門で売れ筋ランキング1位になるなど好調な売れ行きだ。

我が田に水を引くような言い方で恐縮だが、同書は平成の大事件の知られざる加害者側の内実について、実行犯が綴った手記により明るみに出した内容だ。それゆえに多くの人に関心を持ってもらえたのだろう。

私が現在取材中の事件の中には、このほかにもう1件、映画になるほど有名な事件でありながら加害者側の内実がほとんど知られていない事件がある。今回はその事件について紹介したい。

◆手紙で取材依頼をしたら、丁寧な返事の手紙が届き……

〈此の度は、私の事件に於いて、関心を抱き、御丁寧に手紙を頂いたことに感謝申し上げます〉

これは、2014年2月中旬のある日、山形刑務所から私のもとに届いた手紙の一節だ。丁寧な礼の言葉を綴っている差出人の名は、三上静男(71)。山田孝之主演の映画『凶悪』(2013年公開)でリリー・フランキーが演じた殺人犯“先生”のモデルになった男だ。

三上は茨城県で不動産業を営んでいた男だが、その疑惑が表面化したのは2005年のことだった。殺人罪などで死刑判決を受けた元暴力団組長の後藤良治(62)が月刊誌『新潮45』に対し、「三上という男と一緒に金目的で人を殺した余罪が3件ある」と告白。これが同誌で記事になったのを機に警察も動き、検挙された三上は2010年に裁判で無期懲役刑が確定したのだ。

そんな事件が題材の『凶悪』は公開時、“先生”役のリリーの怪演が話題になった。とくに保険金目当てに初老の男を殺す場面では、笑いながら被害者に何度もスタンガンをあて、いたぶる演技が圧巻だった。こんな冷酷な男なら、いくらでも金目的で人を殺すだろうと観客の誰もが思ったことだろう。

だが、実は三上本人は取り調べや裁判で、「後藤の告白はデタラメだ」と訴えていた。私がその主張を聞きたく思い、三上に取材依頼の手紙を出したところ、冒頭のような返事の手紙が届いたのだ。

三上から届いた手紙

◆自分について書かれた雑誌の記事を「真実がない」と主張

三上の手紙には、『新潮45』の記事について、こう書かれていた。

〈読みましたが、真実がないので、笑ってしまいました。私は現在まで新潮45の記者から取材を受けたことはありません〉

要するに、三上は「自分は無実なのに、『新潮45』は自分に取材もせず、いい加減な記事を書いたのだ」と言いたいわけだ。さらに手紙には、こんなことも書かれていた。

〈当時、証拠開示された調書が2m程の高さになりましたが、何度も読みましたが、司法取引がされている調書が散見されております〉

三上と後藤が主犯格として罪に問われた保険金殺人事件では、実は共犯者とされた後藤の舎弟たちが検察に起訴されていなかった。弁護側はその点を問題視し、「検察は後藤の舎弟たちと違法な司法取引をし、罪を見逃す代わりに無実の三上に罪を押しつける証言をさせたのだ」などと主張していた。三上は手紙で、改めてそのことを私に主張したわけだ。

弁護側の主張によると、「そもそも、後藤は自分の死刑を先延ばしにするために事件をでっち上げ、無実の三上を巻き込んだのだ」というのが事件の真相だとのことだった。

◆不自然な内容だった死刑囚の告白

実際、三上の周辺を取材してみると、三上の評判は意外に悪くなかった。

「いい人そうに見えたけどね。魚やワカメを持ってきてくれたこともあったしね(笑)」と話してくれたのは、茨城県にある三上の自宅近くで小さなストアを営む店主の男性だ。また、山形刑務所で以前服役し、獄中で三上と親しくしていた男性もこんな話を聞かせてくれた

「三上さんは面倒見がよく、僕も服役中は親切にしてもらいました。刑務所で知り合った者同士は出所後、手紙のやりとりや面会を禁じられているのですが、また三上さんに会えるものなら会いたいですよ」

さらに取材を進めたところ、裁判で三上の弁護を手がけた弁護士から興味深い話を聞かせてもらえた。三上は今も無実を訴えており、再審請求を考えているというのだ。

「後藤の供述の内容は、三上さんが妻子と一緒に暮らす自宅で被害者を何日も軟禁し、その挙げ句にリンチをして殺害したという不自然なものでした。妻子と暮らす自宅で普通そんなことはしませんよ」

言われてみればその通りで、たしかに後藤が供述する殺人の筋書きは違和感がある。

三上は私にくれた手紙で、冤罪を訴える冊子を自費出版する意向も明かしていた。私はこの事件の取材を今も続けているので、何かめぼしい新事実が見つかれば、当欄でも報告させてもらうつもりだ。


◎[参考動画]三上がモデルの役を怪演したリリー・フランキー。『凶悪』予告編動画より

▼片岡健(かたおか けん)
全国各地で新旧様々な事件を取材している。創業した一人出版社リミアンドテッドから新刊『もう一つの重罪 桶川ストーカー殺人事件「実行犯」告白手記』(著者・久保田祥史)を発行。

最新刊『紙の爆弾』12月号!

「絶望の牢獄から無実を叫ぶ ―冤罪死刑囚八人の書画集―」(片岡健編/鹿砦社)

◆大阪府敗訴!! ──ホームレスの占有を認めて勝たせた初の事例!!

日雇い労働者の町・釜ヶ崎(大阪市西成区)の「あいりん総合センター」(以下、センター)の建て替え問題を巡って大きな動きがあった。建て替え工事を進めるため、周辺の野宿者を強制立ち退きさせようとした大阪府の仮処分の訴え(土地明渡断交仮処分命令申立事件)が、12月1日、大阪地裁(内藤裕之裁判長)で却下されたのだ。弁護団(武村二三夫、遠藤比呂通、牧野幸子)の遠藤弁護士によれば「ホームレスの占有を認めて勝たせた事例は初めてのこと」だそうだ。

◆「耐震性に問題がある」と始まった建て替えだが……

昨年センター閉鎖後も、上で営業を続けていた「医療センター」は、11月末閉鎖され、昨日フェンスで囲われた

2019年4月24日、強制的に閉鎖されたセンターの周辺には、それ以降も多くの野宿者が生活していた。閉鎖されたセンターは、閉鎖後も上で営業を続けていた「医療センター」が移転したのち解体をはじめ、2025年新センターを完成する予定だという。

大阪府は4月22日野宿者らに対して「立ち退き訴訟」の本裁判を提訴したが、これが長引いた場合、解体や業者の入札などに遅れが生じるためと、一気に仮処分を断行し、強制立ち退きしようと目論んできた。仮処分裁判は10月末までに2度の審尋(非公開)を終え、裁判所は11月以降決定を下すとしていた。そこで出された決定が「債権者(大阪府)の申し立てを却下する」であった。敗訴した大阪府(債権者)の主張について、大阪地裁がどう判断したか見てみよう。

大阪府はセンター建て替えの最大の理由を「耐震性に問題がある」としてきた。これに対して決定文は「本件建物の耐震性に問題があるとの指摘は平成20年(2008年)になされたところ、それにもかかわらず債権者(大阪府)及び大阪市は本件建物について、その後10年以上も補修を重ねながら利用を維持してきたこと、令和2年12月に終了予定であるとはいえ、同建物内において本件医療施設が稼働している状態にあること、本件建物の建て替えなどにあたって、本件建物の耐震性を喫緊の課題であると認識していたとはうかがわれない」と大阪府の主張を否定した。

◆「西成特区構想」を進めるまちづくり会議

確かに、耐震診断を行った2008年から13年も経過しているが、大阪府が「一刻も早く建て替えを」などと動いた形跡はない。じつは耐震診断後、建て替えだけでなく、耐震補強工事案も出ていたが、「建て替えを」に一挙に変わったのは、2012年、当時大阪市長だった大阪維新の橋下徹氏が「西成特区構想」を打ち出してからだ。大阪維新の西成特区構想を進める形でセンターをどうするかが話し合われてきたことは、解体後の跡地をなるべく広い、使い勝手の良い跡地にするため、耐震性に問題のない第二市営住宅まで解体・建替えすることからも明らかだ。

しかしまちづくり会議において、センター解体後の広大な空き地の南側に「新労働施設」(西成労働福祉センターとあいりん職安)を新設することは決まったものの、跡地全体をどうするかの具体例は示されていない。それについて決定文は「おおまかな方針(利用イメージ案)は示されたものの、その内容は、概略的なものにとどまっており、同施設自体の規模や機能といった基本的な計画さえもいまだ定まっていないこと、本件敷地全体については、利用イメージ案が示されているにすぎず、個々具体的な利用計画に関しては,未だまちづくり会議において検討の基礎とされる案が行政機関からも示されていない段階にある」として、「債権者がその遅れを懸念する本件建物の建て替え計画について、それ自体が将来にわたる不確定要素を多く含むものといわざるをえない」と批判的に捉えている。

さらに大阪府は、建て替え計画が遅れることで、大阪府とまちづくり会議に参加する委員との信頼関係が損なわれると主張していたが、決定文は「会議の経過やその内容等によると、そもそも、まちづくり会議の参加団体などと債権者の間の信頼関係なるものは、きわめて抽象的かつ主観的なものにすぎないといわざるをえない」「これまでも会議を開催するたびに、スケジュールが度々変更されていること、まちづくり会議の委員の中には、本件建物の解体工事に伴う野宿生活者の排除について懸念を示す者もいたこと」などから「本訴訟の帰趨によって再びスケジュールが変更されても、大阪府とまちづくり会議の委員らとの信頼関係に悪影響がおよぶとは考え難い」として、大阪府の主張を退けている。

広大な跡地を確保するため、耐震性に問題ない第二市営住宅(右)まで解体され、隣(左)に新設中だ

◆センターより耐震性に問題がある南海電鉄高架下の仮庁舎

非破壊検査で鉄骨が入っていないことがわかった南海電鉄高架下の仮庁舎の橋脚。大勢の労働者が出入りする

「耐震性に問題がある」として、センターの建て替えと仮移転先を南海電鉄高架下に決めたのはまちづくり会議の場であり、反対したのは稲垣浩(釜ケ崎地域合同労組委員長)委員たった一人だった。

7億5千万円の血税をつぎこんで造った仮庁舎の建設費用を巡っては、住民訴訟が提訴され、なぜ入札ではなく、南海電鉄傘下の南海辰村組に随意契約したか、操業から80年以上経つ南海電鉄高架下が安全であるかなどを争っている。後者の南海電鉄高架下の安全性について、先日大事件が発覚した。原告の一人が、専門業者に依頼し、高架下に入る西成労働福祉センター仮庁舎の橋脚6本の非破壊検査を行ってもらったところ、南海辰村組と大阪府が「入っている」と何度も主張した鉄骨が入っていないことが判明した。住民訴訟の弁護団(武村二三夫、遠藤比呂通、牧野幸子)は、調査結果を大阪地裁に証拠提出し、裁判長は大阪府に事実を明らかにするよう求めている。

次回裁判は12月18日。南海電鉄はこれまで「仮庁舎の入る場所は耐震補強工事をしなくていい場所だ、何故ならRC柱(鉄筋コンクリート造り)ではなくSRC柱(鉄筋鉄骨コンクリート造り)だからだ」と主張し、裁判所にイラストまで証拠提出していたが、あれは嘘の証拠だったのか?仮庁舎を使用する労働者や職員の命だけではなく、上を走行する南海電車を利用する1日何十万人もの利用者の命がかかっているのだぞ!

◆「死ぬのは嫌だ」

先日、センター裏で野宿していた男性が亡くなった。時々弁当を届けていた男性だ。痩せてがりがり、最後は米粒どころか飲み物も受け付けなくなっていた。先週、救急隊員と役所の職員らに「救急車に乗って病院に行こう」と2時間近く説得されたが「病院にはいかない」と頑なに断っていた。

救急隊員が帰ったあと、職員に「どうしたらいいか?」と尋ねると「意識がなくなったら(交通事故のように)救急車を呼べる」と聞き、翌日朝と昼に声をかけた。しかし男性は、やせ細った身体を震わせ「嫌だ」と拒否した。施設や病院、あるいは行政の世話になることを拒否しているようだ。職員に「このままだと死ぬよ」と言われ「死ぬのは嫌だ」と答えていたという。死ぬのは嫌だが、それと同じくらい病院に行くのも嫌だと野宿を続けた男性。野宿がいいか悪いかの問題だけではない。冷たいコンクリに直接敷いた布団の上で、自分の吐しゃ物にまみれた頭を震わせ「嫌だ」と振り絞るように上げた男性の声が忘れられない。(※この詳細は尾崎美代子のFacebookを参照ください)

搬送された病院で死亡が確認された野宿の男性が住んでいた場所。コンクリートに布団を直に敷いた寝床でも、男性は「離れたくない」と訴えていた

▼尾崎美代子(おざき みよこ)

新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者ツイッター(はなままさん)https://twitter.com/hanamama58

月刊『紙の爆弾』12月号

NO NUKES voice Vol.25

新自由主義のミスリーダー、竹中平蔵の利益供与、脱税疑惑が再燃している。

竹中は小渕内閣の経済戦略会議に参画して以降、森内閣でのIT戦略会議、小泉政権では経済財政政策担当大臣と金融担当大臣兼任するなど、いわゆる構造改革・新自由主義の旗振り役として政権の一端をになってきた。安倍政権下においても、ブレーンとして重きをなしてきた。その「業績」は郵政民営化、および格差を拡大した「労働ビックバン」であった。

あの郵政民営化の成果は、違法な保険商品勧誘やマスクも満足に届けられない配達システムの崩壊であった。労働ビックバンにおいては、満足な保証のない派遣労働者の増加をもたらしただけである。国民にふたつの不満をもたらしたのだ。

とりわけ労働ビックバンは、「金持ちを貧乏人にしたところで、貧乏人が金持ちになるわけではない」というマーガレット・サッチャーの思想を援用して「高い所得を得ている人がいること自体は解決すべき問題ではなく、努力しても貧しい人たちに社会的救済が必要である」と言いながら雇用問題にすり替えたのである。そこで示した「正社員をなくせばいい」という発言は、わが国の経済不況の核心部、購買力の低下・消費の低迷をもたらした。


◎[参考動画]”日本版オランダ革命”に取り組め/同一労働同一賃金(竹中平蔵のポリシー・スクール 日本経済研究センター2009年)

◆浅薄な経済理解による経済崩壊

 

堀江貴文+竹中平蔵『竹中先生、「お金」について本音を話していいですか?』(ワニブックス 2015/2/27)

「格差が問題なのではなく、貧困論を政策の対象にすべき」としてきた結果は、中間層までも不安定な雇用関係に陥らせる格差の拡大、大企業の内部留保(500兆円)だった。いまや、消費の低下が国民経済を最悪のところまで至らせている元凶となるものが、この竹中による構造改革・労働政策だったというほかにない。

その竹中平蔵がいままた、菅政権の中心的なブレーンとして成長戦略会議に参画している。社会保障を切り捨てる、一知半解のベーシックインカムを提言して反発を買ったのは既報のとおりだ。「とんでもないことをするかも内閣 菅政権の発想が浅薄すぎる件について」(本通信2020年10月27日)を参照。

上記のような雇用の構造改革、派遣労働の法的整備のなかで、ほかならぬ推進役の竹中平蔵が、派遣会社パソナグループ(傘下に70社をかかえる)に天下ったのは、自民党内からも激しい批判が上がったものだ。低賃金の派遣労働者から、みずから経営陣になることで、その血と汗を搾取するという立場に君臨してきたのだ。

そしていままた竹中平蔵は、持続化給付金という政策利権に手を染めているのだ。

◆持続化給付金を吸い取ったのは、竹中平蔵だったのか

持続化給付金の業務が、サービスデザイン推進協議会に769億円で委託され、そこから電通に749億円で再委託されていたこと。その段階で約20億円を中抜きし、電通からはさらに下請け孫請けで実務が行なわれていた。あまりにも複雑怪奇な外注に、自民党の政策担当者も驚かざるをえなかった。

そして、この持続化給付金の業務委託を実質的に請け負った主要企業の一角が、竹中平蔵が会長を務めるパソナだったのである。いや、一次請けの「サービスデザイン推進協議会」それ自体が、元電通社員・パソナの現役社員が名を連ねる、最初から最後まで、税金を中抜きする構造だったのだ。

立憲民主党の川内博史議員は、国会においてこう指摘している。

「社団法人を通じて、電通をはじめとする一部の企業が税金を食い物にしていたわけです。持続化給付金事業に限らず、経産省の事業ではそうしたビジネスモデルが出来上がっている」と。

元国税庁職員だった大村大次郎(経営コンサルタント、フリーライター)は、2020年10月1日付けのメルマガで、以下のように指摘する。

「サービスデザイン推進協議会の中心企業であるパソナは人材派遣企業の最大手の企業です。このパソナは創業以来、大々的に官僚の天下りを受け入れており、典型的な政官癒着型の企業なのです。」

ジャーナリストの佐々木実による竹中氏の評伝『竹中平蔵 市場と権力』は、次のように指摘する。竹中平蔵の本業は慶應義塾大学総合政策学部教授だったが、副業を本格的に始めるために〈ヘイズリサーチセンター〉という有限会社を設立した。法人登記の「会社設立の目的」欄には次のように記されている。
「国、地方公共団体、公益法人、その他の企業、団体の依頼により対価を得て行う経済政策、経済開発の調査研究、立案及びコンサルティング」

フジタ未来経営研究所の理事長、国際研究奨学財団の理事というふたつのポストを射止めた段階で、副業はすでに成功していたといえる。竹中個人の1997年の申告納税額は1958万円で、高額納税者の仲間入りを果たしている。総収入は6000万円をこえていただろう。

小泉政権の閣僚となる前年の2000年の納税額は、じつに3359万円に達している。所得はおよそ1億円程度と推測される。ほかにヘイズリサーチセンターや家族などに分配された利益があるので、政策コンサルタントとして稼いだ収入は莫大なものだ。

そしていまや公然と、派遣最王手パソナグループの会長として、政治を操りつつ蓄財する、いわば政商である。企業人・経済人になるのならそれでもいい。だが、彼の蓄財の源泉は税金なのだ。


◎[参考動画]竹中平蔵 【菅政権の経済ブレーン語る!日本経済復活の処方箋】報道(BS-TBS公式チャンネル 2020/9/23放送)

 

竹中平蔵『この制御不能な時代を生き抜く経済学』(講談社プラスアルファ新書 2018/6/21)

◆看過できない竹中の脱税疑惑

こうしてみると、竹中平蔵は政界と大企業、および学界にまたがり、国民の血税をかすめ取る吸血鬼のような男ではないだろうか。その竹中平蔵の脱税疑惑は、小泉政権当時から指摘されていた。

前出の大村大次郎は、こう批判する。

「竹中平蔵氏が慶応大学教授をしていたころのことです。彼は住民票をアメリカに移し日本では住民税を払っていなかったのです。住民税というのは、住民票を置いている市町村からかかってくるものです。だから、住民票を日本に置いてなければ、住民税はかかってこないのです。
 もちろん、彼が本当にアメリカに移住していたのなら、問題はありません。しかし、どうやらそうではなかったのです。彼はこの当時、アメリカでも研究活動をしていたので、住民票をアメリカに移しても不思議ではありません。でもアメリカで実際にやっていたのは研究だけであり、仕事は日本でしていたのです。竹中平蔵氏は当時慶応大学教授であり、実際にちゃんと教授として働いていたのです。」

ようするに、日本で仕事をしながらアメリカに住人票を置いて、竹中は「節税」をしていたのだ。つまり脱税である。

「竹中平蔵氏は、住民税の仕組みの盲点をついていたのです。住民税は、1月1日に住民票のある市町村に納付する仕組みになっています。1月1日に住民票がなければ、どこかの市町村がそれを知ることはないので、どの市町村も納税の督促をすることはありません。だから、1月1日をはさんで住民票をアメリカに移せば、住民税は逃れられるのです。」「しかし、これは明らかな違法であり、脱税なのです。」

国会でこの件を批判された竹中は、「住民税は日本では払っていないがアメリカで払った」と国会で主張している。しかし、最後まで納税証明書を国会に提出しなかったという。
いた、提出できなったというのが正確なところだ。なぜならば、アメリカにおいても住民税は所得税に連動している。

したがって、「内で所得が発生している人にだけ住民税がかかるようになっているので、アメリカで所得が発生していない竹中氏が、住民税だけを払ったとは考えにくいのです。」(大村氏)

さらに引用しよう。

「当時、税制の専門家たちの多くも、竹中氏は「ほぼ黒」だと主張をしていました。日本大学の名誉教授の故北野弘久氏もその一人です。北野教授は国税庁出身であり、彼の著作は、国税の現場の職員も教科書代わりに使っている税法の権威者です。左翼系の学者ではありません。その北野教授が、竹中平蔵氏は黒に近いと言われているのです。」(前出)

もはや疑惑はかぎりなく黒に近い。脱税をしている人間が、わが国の経済政策を任せられているのだ。しかも血税の使用方法を差配しようとしているのだ。

「泥棒に警察庁長官をさせるのと同じことです。そのことに、マスコミも世間も気づいていなかったのです。そして、結局、このことをうやむやにしてしまったことが、その後の日本に大きな災いをもたらすことになるのです。今回の持続化給付金問題なども竹中氏につながっているのです。」(前出)

諸々の批判に、竹中は「成功者の足を引っ張る」などとうそぶいてきた。いまこそ、あの尊大なまでに柔和な表情が引きつる批判に晒さねばならないだろう。


◎[参考動画]竹中平蔵氏【後編】アフター・コロナに勝ち残るために Part2. 2020年9月17日(木)放送分 日経CNBC「GINZA CROSSING Talk」(ソニー銀行)

▼横山茂彦(よこやま・しげひこ)

編集者・著述業・歴史研究家。歴史関連の著書・共著に『合戦場の女たち』(情況新書)『軍師・官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)『闇の後醍醐銭』(叢文社)『真田丸のナゾ』(サイゾー)『日本史の新常識』(文春新書)『天皇125代全史』(スタンダーズ)『世にも奇妙な日本史』(宙出版)など。医科学系の著書・共著に『「買ってはいけない」は買ってはいけない』(夏目書房)『ホントに効くのかアガリスク』(鹿砦社)『走って直すガン』(徳間書店)『新ガン治療のウソと10年寿命を長くする本当の癌治療』(双葉社)『ガンになりにくい食生活』(鹿砦社ライブラリー)など。

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