次の月曜日。
先のことを考えては憂鬱になり家を出るのも億劫だったが、落ち込んでばかりはいられない。気分一新、今日から気合を入れていこう、と自分に鞭打って出社する。
「おはようございます」
社内は騒然としている。電話がジャンジャンと鳴り響く。
「お世話になっております。株式会社△△ですが、お宅のシステムに昨日から繋がらないんですけれども」
月曜の朝からサーバートラブルか。やれやれだなあ。回線の不調等でサーバーが止まってしまうことは稀にある。
「申し訳ありません。すぐ調査しますので、また折り返します」
と電話している間にまた別の電話が鳴る。みると何人もずっと電話の対応ばかりしている。どうなってるんだと思っているところに、尚坂が声をかけてくる。
「サーバーがね、殆どなくなってんのよ」
なくなってる、とはなんだ。
高田馬場に「ルビー」というビルマ(ミャンマー)料理店があり、たまに食べに行くのだが、店の主人夫婦を追ったドキュメンタリー映画が公開されるというので、見に行った。
昨年8月、鑑定結果を繰り返し捏造していた疑惑が発覚し、12月に証拠隠滅、有印公文書偽造・同行使の疑いで書類送検されると共に依願退職していた和歌山県警科学捜査研究所(科捜研)の元研究員(50)がこの3月28日、ついに在宅起訴されたという。起訴をうけ、新聞各社もこの元研究員の実名をようやく報じるに至ったが、この機会に何はさておき触れておかねばならないのが、この「能阿弥昌昭」元研究員と和歌山カレー事件の関わりだろう。