まず冒頭に、雑多な情報提供になるのをご了承願いたい。日々刻刻とふえる、新型コロナウイルスに関する情報の中で、いくつか注目しておくべきことがあるので、以下のようなものとなった。まず最初は、結果的にはメディアの過剰報道が防疫になっているとはいえ、いま世界を覆っている感染病死は新型コロナだけではないということだ。

◆アメリカで感染者21万、死者6万人の衝撃

新型コロナウイルス[SARS-CoV-2(国際ウイルス分類委員会=ICTVによる分類)2019-nCoV(世界保健機関=WHOによる名称)]の感染拡大を、日本のメディアは「戦争」と呼んでいる。

「戦争」だから小・中・高校・支援学校の休校は当然であるとして、あまりにも騒ぎすぎではないだろうか。というのも、メディアが新型コロナ騒動に明け暮れるいっぽうで、別の疾病が世界を覆っているからだ。

新型コロナウイルスは、中国の感染者が8万人、死者が3000人ほど。韓国で2000人の感染者、死者十数人。日本は感染者1000人、死者10人ほど(3月2日現在)である。

すさまじい勢いとか、世界的な集団感染との発言も出ているが、つぎの数字を見て欲しい。

年間の感染者数が1000万人、死者は3000人、関連死7000人前後。これは全世界のではなく、日本の数字である(死者以外は推定数)。

アメリカではさらに凄い。年間感染者数数千万人、重篤な感染者(入院)はじつに21万人。そして死者(関連死)は、6万人だ。※死因診断書ありは15000人。

ちなみに、これを新型コロナウイルスの中国人データと比較してみよう。

            重篤感染者数     関連死者数
アメリカ(インフル)   210000        60000
中国(コロナ)       80000         3000

数字だけ並べてみるとわかりやすい。じつはここに比較した病名は、われわれの耳に慣れきった流行性感冒、いわゆるインフルエンザなのである。過去の数字でも何でもない。いま現在、2019年から2020年にかけての、同時期の数字である。

世界は死に慣れてしまったのだろうか。死者の数だけを比べれば、たとえば小児肺炎は毎年世界中で90万人が死亡している。交通事故死は130万人(日本は3000人ほど=70年代は1万人だった)である。

新型コロナが怖い理由は、その正体(感染形態・死亡率)がまだ不明だからだが、インフルに特効薬があるといっても、現実に膨大な死者が出ている。他の疾病でもすべて同じ理由、すなわち罹患による免疫低下が死をもたらすからだ。医薬品は人間の免疫による疾病克服を手助けするにすぎないのだ。

インフルエンザ死者数の推移

アメリカのインフルエンザ死者

◆パフォーマンスは必要である

さて、安倍総理は小・中・高等学校の休校を要請した。この判断をどう評価するべきかは、学童の自宅待機によって生じる母親の休職までふくめて、国がどこまで補償できるのかによる。あるいは手続きを無視した政策決定が、政局に軋みを生じさせかねない。

にもかかわらず、「戦争」なのだから判断を要したのは理解せざるをえない。ところで、この安倍総理のパフォーマンスはしかし、安倍自身の発想ではないとわたしは思う。鈴木直道北海道知事の全道休校の決定、および緊急事態宣言の手際の良さ「この前例のない措置は、わたしが責任をとる」という潔さが、風雲急を告げるパフォーマンスとなったがゆえに、安倍総理は後追い的に乗っかったにすぎない。

とはいえ、それまで対策会議をなおざりに行ない(森法相・小泉環境相は他のイベントで欠席)、安倍応援団(百田尚樹ら)との会食など、新型コロナの動静に背を向けてきた安倍政権において、ようやく本腰になったかと思わせる(遅すぎる)。政府による初動の遅さは、このウイルスの感染力の速さにくらべて、あまりにも後手に過ぎた。

本欄でも指摘してきたとおり、ダイヤモンドプリンセス号の乗客・乗員たちは、狭い部屋の中に監禁されるストレスで免疫力を低減させられ、あるいは「不潔地帯」と「清潔地帯」の入り口が同じという杜撰な防疫の結果、3700人のうち700人が感染するなど「隔離棄民」されたのである。


◎[参考動画]クルーズ船乗船者の英国籍男性が死亡 外国籍は初(2020/2/28)

◆国立感染研究所のOBとは、誰なのか?

もうひとつ、感染の疑いを感じている国民が、PCR検査を受けられないという事態がつづいている。かかりつけの医院から検査機関に連絡をしても、中国武漢・湖北省の旅行歴がなければ受けられない。民間に検査をさせないから、旅行歴の基準を充たさない感染者が重篤に陥っているのだ。

そしてこの事態に危機感をもった、元感染研の岡田晴恵教授が悲痛な告発をしたことが話題になっている。「これはテリトリー争い」「感染研のOBの一部が、自分たちのデータにしたいから、民間での検査をさせないんです」(テレビ朝日羽鳥慎一モーニングショー)というものだ。本稿の冒頭に、ICTVとWHOが新型コロナの学名を、それぞれ独自に発表しているように、医科学界は縄張り主義が」つよい。かれらの功名(権威の獲得)や利権(予算の獲得)が国にとって、何の益をもたらさないのは言うまでもない。


◎[参考動画]元国立感染症研究所員の岡田晴恵教授PCR検査が一般病院に広がらない理由を告発

▼横山茂彦(よこやま・しげひこ)
編集者・著述業。「アウトロージャパン」(太田出版)「情況」(情況出版)編集長、医科学系の著書・共著に『「買ってはいけない」は買ってはいけない』『ホントに効くのかアガリスク』『走って直すガン』『新ガン治療のウソと10年寿命を長くする本当の癌治療』『ガンになりにくい食生活』など多数。

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