世の中が完全にインターネットの時代になり久しい。誰でも気軽にネットでニュースも観れるし映画も観れる。本も買えればCDも買える。尤も紙媒体やCDすら必要もなく、電子書籍に音楽データで済んでしまう。

町の書店は減り、CDショップも減少傾向にある。商店街の店が一件潰れる度、失業者が増えたのだろうなと思う一方で、ネットワークシステムを構築するような仕事は常に人手不足で、少ない技術者を取り合う状況になっている。

ネットビジネスは今やアマチュアからでも始められるほど簡単になっている。成功するかは別だが、ちょっと勉強すれば誰でも手が出せるほどだ。その裏では、ネットショップのサービスを提供するシステムやソフトがあり、当然それを開発する人が必要になる。携帯ゲームが一時期繁盛していたが、あれは少ない投資と多少の開発技術でゲーム一本作ることができたため、無数の無料ゲーム(完全に無料ではないが)が作られた。GREEやモバゲーという会社は、それを自社のシステム上から提供することで爆発的な利益を生み出した。既にブームは去り落ち目となってきているが、同じようなシステムを作り、保守していくことができれば、似たようなブームはまた起こる可能性はある。

しかしそれができるのはそのシステムを作ることができる、あるいは理解している人だ。実際にネットワークを構築し、システムを開発し、アプリケーションのプログラムを作り、サーバの保守管理ができる。そういうことができる人は、圧倒的に少ない。常に人手不足だから、労働者の環境も苛酷だ。24時間昼夜の区別なく働く人もザラにいるし、休日も電話一本で会社に駆けつける姿も珍しくない。システムは24時間365日稼働していなければならないからだ。プログラム言語一つとっても、常に新しい言語に対応できなければ、時代遅れの開発者になってしまう。

それだけに、現場にいる開発者の給料は軒並み高い。20代30代でも年収1000万越えは普通にいる。以前いた会社で開発者を募集したことがあるが、実務経験1年程度で学生気分が抜けない20代前半の若者がきた。人材会社から紹介された人物だったが、それでも開発者と名乗らせて月給60万を要求されたことがある。さすがに断ったがそれぐらい売り手市場なのだ。

駅の切符切りは居なくなり、自動改札になりSuikaになった。店で買い物する際はNanacoやEdyだ。元より電球1個買うにもネットショップでカード払いができる。駅や商店で目に見える仕事をする人は減っていき、同じ仕事は電子カードを通して決算システムに乗り、顧客データはネットを通じて集計される。もし国が本格的に雇用問題を考えるなら、ネットワークシステムに関する技術支援をして、誰でもそういう仕事に就けるようにする必要があるのかもしれない。もう年齢的にインターネットの勉強なんて、とは言ってられない時代が来ている。

(戸次義継)