元・ラジャダムナン系ウェルター級チャンピオン、K-1でも活躍した武田幸三氏がニュージャパンキックボクシング連盟に加盟。今迄に無い緊張感があった今回の興行。武田幸三氏の存在感が大きかった。

前日計量にて、YouTube配信での武田幸三氏の御挨拶(抜粋)。

「私がNJKFに入らせて頂きまして、プロモートされて頂く第一回目の興行です。めちゃめちゃ、一番気合い入っている自信あります。どれだけプロモーターが頑張ろうが最後は試合、選手の頑張りに尽きると思います。それをどう私が導き出せるかこれからの課題だと思います。本気でトップ狙って本気でトップの団体にしようと思っています。
 大田拓真選手を映像で観たことありますが、生で観たことはありません。本当のエースなのか、本当にエースになってくれるのか、本当のエースの試合が出来るのか、メインイベンターがその大会の印象全てを決めると私は思っています。それを彼に出来るのか、明日はそれを見極めたいと思います。タイの選手には一切忖度しませんので、「勝ったら賞金出す」と言いました。その辺は強い奴が勝つ。本当にチャンピオン成りたい者が上に、自己主張しっかり出来る人間、目標が明確な人間、本気でキックに命を懸けている人間が勝ち残るリングにしていきたいと思います。お客様ファーストで会場をドッカンドッカン揺らすことが出来る人間がエースだと思っています。本当に彼が成れるのか、明日、しっかり見させて頂きたいと思います。温い奴は一人もいません。温い奴は使いません。」

選手だけでなく、各運営スタッフも緊張が走る語りだった。

そして試合は、大田拓真はメインイベンターの責任を果たす完封TKO勝利。5回戦制の上手い戦い方を見せた。

龍旺もデビューから2年5ヶ月で9戦目、狙っていたノックアウト勝利(TKO)で王座獲得。

興行MVPはインパクト強かった大田拓真と龍旺が受賞した。

波賀宙也は主導権奪えない苦戦も、終盤になって盛り返しての引分け。ジワジワ攻めるには3回戦制では足りない勿体無い展開。

◎NJKF 2023.5th CHALLENGER -Reborn- / 11月12日(日)後楽園ホール17:20~20:44
主催:Yashiroジム / 認定:ニュージャパンキックボクシング連盟

※戦績はプログラムより、本日の結果を含んでいます。第7~10試合は、NJKFアマチュア枠のEXPLOSION提供試合。

左瞼を切られた後、大田拓真もヒジ打ちで返す

◆第13試合 58.0kg契約 5回戦

大田拓真(新興ムエタイ/神奈川県出身24歳/ 58.0kg)35戦26勝(8KO)7敗2分 
       VS
ルークワン・スーチーバァーミキョ(タイ出身23歳/ 56.75kg)68戦52勝(18KO)15敗1分
勝者:大田拓真 / TKO 4R 1:50
主審:多賀谷敏朗

大田拓真は元・WBCムエタイ日本フェザー級チャンピオン
ルークワンはノンタブリー県ジットムアンノンスタジアム・フェザー級1位

大田拓真はローキックからパンチへ繋ぐ距離感を図る。更にヒザ蹴り。ルークワンも蹴りからパンチを返して来る探り合いの攻防は互角。

第3ラウンドまで大田のパンチ連打と時折のボディーブローから徐々に攻勢を増して行く中、ルークワンのヒジ打ちで大田の左瞼がカットされ、流血するちょっとマズい展開も、第4ラウンドには大田がより勢い増してのパンチからローキック、ボディーブローが徐々に効いてきたルークワンは表情がこわ張りはじめ、大田拓真はパンチ連打で2度のノックダウンを奪ってレフェリーは若干様子見もほぼノーカウントで試合を止めるレフェリーストップとなった。

大田拓真は「倒すということを目標に練習して来て、今年は自分の苦手だったパンチの工夫を結構練習して来たので、それが毎試合出していって、今回の今年最後の締め括りで、パンチを強く当てれたなと思います。」と語った。

切られた左眉は「何がいつ当たったか分からなかった」と言い、更に「第1ラウンド目は“大丈夫か俺”って、ちょっと焦りました」と言う。ルークワンの強さ、圧力に攻め難さがあった様子。それを攻略し、第4ラウンドに仕留めたことは5回戦の戦い方が活かされていただろう。

磨いて来たパンチ、大田拓真の左フックがヒット

9戦目でチャンピオンとなった龍旺、来年は常連メインイベンターとなるか

◆第12試合 第11代NJKFスーパーフェザー級王座決定戦 5回戦

2位.龍旺(Bombo Freely/茨城県出身21歳/ 58.95kg)9戦7勝(3KO)1敗1分
        VS
3位.佐藤亮(健心塾/大阪府出身25歳/ 58.75kg)29戦14勝(2KO)13敗2分
勝者:龍旺 / TKO 2R 3:06
主審:中山宏美 

龍旺のローキックからパンチ。対抗する佐藤亮は互角の展開も、早くも第2ラウンドには倒す気満々の龍旺の蹴りとパンチで勢いが増して行く。

佐藤亮は険しい表情で下がり、龍旺が豪快にパンチ連打でノックダウンに繋げ、佐藤亮は立ち上がるもダメージの深さからレフェリーが試合をストップした。

龍旺は「倒せて良かったです。武田幸三さんの言葉が後押しになってKO出来て良かったです。」と語り、桜井洋平会長は「最後の打ち合いはどっちがどうなるか、ちょっと危なかったけど、そこを打ち勝つのがチャンピオンに成る者の強さでした。」

ちょっと早いが防衛戦について振ると、「やらなきゃいけない。防衛してこそチャンピオンですから。」とすぐの返上や、すぐのWBCムエタイへの挑戦は無く、段階を踏んでいく様子だった。

KOへの意欲が表れた試合、龍旺の右フックで牽制

勢い付いていく龍旺の左ハイキック

◆第11試合 57.0kg契約3回戦

波賀宙也(立川KBA/東京都出身34歳/ 56.95kg)47戦27勝(4KO)15敗5分 
      VS
サクレック・ゲッソンリット(タイ出身22歳/ 56.4kg)70戦46勝(14KO)21敗3分
引分け 0-0
主審:少白竜
副審:竹村29-29. 多賀谷29-29. 中山29-29

波賀宙也は元・IBFムエタイ世界Jrフェザー級チャンピオン
サクレックはジットムアンノンスタジアム・バンタム級チャンピオン

ムエタイ技の交錯、サクレックの右ヒザ蹴りが波賀宙也にヒット

波賀宙也はローキックとミドルキック、接近戦でのヒジ打ち、組み合って首相撲からの崩しと一連のムエタイリズムで進む。

第2ラウンドにサクレックのパンチで出て来るしつこさでやや劣勢の流れも、第3ラウンド終盤には逆に波賀宙也がパンチでラッシュをかけると、サクレックは鼻血を流す失速も首相撲で凌いで終了。

終盤ラッシュした波賀宙也、時間が足りなかった

◆第10試合 EXPLOSION 60kg級 2回戦(2分制)

EXPLOSION60kg級覇者.藤倉祢虎(KIKUCHI/ 57.5kg)
         VS
ポテワオ・タウィゲット(タイ/ 59.45kg)
勝者:藤倉祢虎 / 判定3-0 (20-18. 20-18. 20-18)

◆第9試合 女子EXPLOSION 45kg級 1ラウンド(2分制)

竹井もも(エス/ 44.8kg)vsポンワリー・ソー・ジッサノンチャー(タイ/ 43.65kg)
勝者:竹井もも / 判定3-0 (10-9. 10-9. 10-9)

◆第8試合 EXPLOSION 28kg級 1ラウンド(2分制)

EXPLOSION28kg級覇者.武内太陽(D-BLAZE/ 27.85kg)
        VS
ジムサヤーム・ソー・ジッサノンチャ(タイ/ 29.1kg)ウェイトオーバーで減点1
勝者:武内太陽 / 判定3-0 (10-8. 10-8. 10-8/減点1含む)

◆第7試合 EXPLOSION 45kg級 1ラウンド(2分制)

能登龍大(VALELLY/ 43.9kg)vs堀口遥輝(TAKEDA/ 43.95kg)
勝者:堀口遥輝 / 判定0-3 (9-10. 9-10. 9-10)

◆第6試合 56.0kg契約3回戦

赤平大治(VERTEX/栃木県出身22歳/ 55.95kg)5戦3勝(2KO)1敗1分
        VS
蹴橙(クローバー/栃木県出身23歳/ 55.8kg)2戦2勝(2KO)
勝者:蹴橙 / TKO 3R 0:38 / 赤平が優勢も蹴橙の有効打で負傷逆転、ドクターの勧告を受入れレフェリーストップ
主審:中山宏美

◆第5試合 女子(ミネルヴァ)40.0kg契約3回戦(2分制)

ミネルヴァ・ピン級7位.AIKO(AX/埼玉県出身36歳/ 40.35→40.0kg)13戦5勝7敗1分
        VS
江口紗季(笹羅/広島県出身32歳/ 37.75kg)3戦1勝2敗
勝者:AIKO(赤コーナー) / 判定3-0
主審:岡田敦子
副審:竹村30-29. 児島30-28. 中山30-28

◆第4試合 60.0kg契約3回戦 ※池田航太(拳粋会宮越)負傷欠場、裕次郎に変更

裕次郎(拳伸/千葉県出身15歳/ 59.55kg)6戦3勝2敗1分
        VS
竹内悠真(TAKEDA/愛知県出身26歳/ 59.85kg)2戦2勝
勝者:竹内悠真(青コーナー) / 判定0-3 (28-30. 29-30. 28-29)

◆第3試合 ライト級3回戦

須貝孔喜(VALELLY/岩手県出身22歳/ 61.23kg)4戦2勝(1KO)2敗
        VS
渡部瞬弥(エス/神奈川県出身29歳/ 60.95kg)7戦1勝6敗
勝者:須貝孔喜(赤コーナー) / KO 1R 2:48 / テンカウント

◆第2試合 S-1レディース 48.0kg契約3回戦(2分制)

Marina(健心塾/三重県出身16歳/ 47.45kg)7戦3勝(1KO)4敗
        VS
ミナミ(アント/千葉県出身37歳/ 47.95kg)3戦1勝2敗
勝者:Marina(赤コーナー) / TKO 2R 2:06 / カウント中のレフェリーストップ

◆第1試合 52.0kg契約3回戦

永井雷智(VALELLY/東京都出身15歳/ 52.0kg)2戦2勝(1KO)
        VS
TAKUMI(Bushi-Doo/新潟県出身33歳 51.65kg)5戦5敗
勝者:永井雷智(赤コーナー) / TKO 2R 0:32 / 有効打で負傷、ドクターの勧告を受入れレフェリーストップ

EXPLOSION出場したジュニア選手達、数年後には龍旺のような存在になる可能性は高い

前日計量にてめちゃめちゃ気合いが入った武田幸三氏がYouTube生配信で熱く語った

《取材戦記》

興行後の帰り際、短めながら武田幸三氏のコメントを頂く。

「興行第一発目として僕の想いは伝わったかなと思います。現状の混沌とした中、跳び抜けて行くには、お客さんのハート掴む為にも皆で、ちょっとずつでもやって行かなきゃならない。来年は更に盛り上げて行きます。」

前日計量で宣材写真を撮影するスペースに現れて、選手に注文を付けた武田幸三氏。戦績の負け越している前座出場選手にも、「この試合に勝って上を目指す気あるの?その得意技を出してみて! その気合いの顔作って!」など注文を付けて、「せっかく撮るなら観る者に印象に残る勢い有る写真を!」といった気合いが表れる撮影だった(撮影はNJKFオフィシャルカメラマン)。

今年1月はジャパンキックボクシング協会でのCHALLENGER.7興行だった。いつも武田幸三氏の気合いが目立つ興行でしたが、10月にニュージャパンキックボクシング連盟にTAKEDAジムとして移籍加盟。その存在感は健在。周囲のメンバーが違うだけで、気合いの入り方は以前どおり。ニュージャパンキックボクシング連盟が乗っ取られたような興行の変わりよう。創設以来、比較的穏やかだったNJKFが今後、より面白くなっていきそうである。

武田幸三氏は来年初回興行もプロモーターとして活動します。
NJKF東西対抗戦 / 2024年2月11日(日)後楽園ホール

◆先に発表の5試合

NJKFフェザー級暫定王座決定戦
1位.大田拓真(新興ムエタイ)vs3位.笹木一磨(理心塾)

NJKFスーパーバンタム級王座決定戦
大田一航(新興ムエタイ)vs真琴(誠輪)

NJKFチャンピオン対決
スーパーライト級C.吉田凛太郎(VERTEX)vsウェルター級C.青木洋輔(大和)

バンタム級3位.嵐(キング)vs2位.甲斐元太郎(理心塾)

ウェルター級7位.亜維ニ(=小林亜維ニ/新興ムエタイ)vs同級6位.悠YAMATO(大和)

期待に応えた龍旺と大田拓真がKO賞とMVPを同時受賞

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2023年12月号