堀田春樹
赤平大治が瀬戸口勝也を返り討ち。初防衛成る。
ジョニー・オリベイラは3度目となるライト級王座挑戦
イタリアのマルコ、新設のスーパーミドル級王座獲得。
大岩竜世、バックハンドブローで中島凜太郎を倒し王座獲得。
◎MAGNUM.63 / 3月8日(日)後楽園ホール17:15~21:32
主催:伊原プロモーション / 認定:新日本キックボクシング協会、WKBA
前日計量は7日14時より伊原ジムにて行われ、2名がリミットオーバーも2時間以内にパス。戦績はプログラムを参照にこの日の結果を加えています。
◆第14試合 WKBA世界フェザー級タイトルマッチ 5回戦
チャンピオン初防衛戦.赤平大治(VERTEX/2001.10.31栃木県出身/ 57.05kg)
12戦8勝(5KO)3敗1分
VS
瀬戸口勝也(元・日本フェザー級Champ/横須賀太賀/1983.8.1鹿児島県出身/ 57.05kg)
46戦31勝(14KO)12敗3分
勝者:赤平大治 / TKO 3ラウンド 2分10秒
主審:椎名利一
昨年3月の対戦で赤平大治が初回早々に先手を打ったパンチでノックアウトしたインパクトが残る中、瀬戸口勝也は二の舞は踏まない覚悟と戦略は有る様子で、初回、赤平は左ジャブで自分の距離を維持し主導権支配に掛かる。瀬戸口勝也の距離を詰めて来るプレッシャーは赤平も警戒。赤平はジャブからカーフキックで瀬戸口の脚を殺して勢いを潰していく流れに乗った感じだった。
しかし瀬戸口も強打を狙って出て来る為、赤平は打ち終わりを狙ったカウンターや距離を取ったり掻い潜って躱すディフェンスも上手かった。
第2ラウンドは瀬戸口が自分のリズムを引き寄せようとパンチを狙って出て来た。打ち合えば瀬戸口が有利と見られるが、赤平のローキックが効いてきた瀬戸口は脚を引き摺りだし、大きくバランスを崩したところを蹴られるとついにノックダウンを喫してしまった。まだ余力はあるもラウンド終了。

第3ラウンド、右脚をかばう瀬戸口はサウスポーに構え、強打を狙って来るが、脚が効いてスピード無いパンチでは脅威ではない。赤平の更なるカーフキックが効いて、ノックダウンした瀬戸口にセコンドからタオルが投げられ棄権となって。赤平がノックアウト勝利となった。

赤平大治は試合について、「今回、瀬戸口選手の引退試合ということで、自分を対戦相手に選んで頂いてとても光栄です。そして3ラウンドKO出来てとても嬉しいです。瀬戸口選手が引退試合ということもあり、自分はいつもより少し気が張っていたのかな?と感じます。瀬戸口さんがガードを上げて攻めて来ることは分かっていたので、初回はジャブから脚を攻めることで、自分の距離感がしっかり取れていました。」としっかり振り返り、第2ラウンドについて、「瀬戸口さんがペースを上げてパンチで出てきましたが、しっかり見極め避けれたと思います。パンチに合わせて踏み込んで来た左脚カーフキックを狙い、効かせることが出来、ノックダウンを奪えました。」
第3ラウンドに入る前には、瀬戸口の脚が効いていることが確実と分析。
「パンチより脚を攻めて倒すことを決め、ゴングが鳴ると瀬戸口さんがサウスポーになり、カーフキックが効いていると確信しました。パンチをしっかり見て、カーフキックを打ち込み、TKOすることが出来ました。」と展開を語った。
反省点については「ミドルキックと前蹴りが少なかったことや、パンチが大振りで纏められなかったのかなと思います。今回の試合の経験を活かして次に向けてまた頑張りたいと思います。」と丁寧に語ってくれました。

瀬戸口勝也は帰り際に応援団に囲まれる中、「近い距離でバチバチ打ち合おうと思ったんですけど、赤平選手が遠い距離でパンチ当てて、距離を詰める段階で前足に体重乗った時にカーフを蹴られて、そこは赤平選手が上手かったですね。倒れた時はまだ立てたんですけど、たぶんもう一発貰ったら倒れて終わったでしょう。鹿児島ではチームはもうあるので、良い選手いっぱい育てて試合組んで貰って連れて来ます」と清々しく語られました。

◆第13試合 日本ライト級王座決定戦 5回戦
ジョニー・オリベイラ(元・日本スーパーフェザー級Champ/トーエル/ブラジル出身47歳/61.2kg)67戦16勝(1KO)32敗19分
VS
NJKFスーパーフェザー級6位.細川裕人(VALLELY/北海道出身24歳/ 61.15kg)
12戦8勝(1KO)3敗1分
勝者:細川裕人 / 判定0-3
主審:中山宏美
副審:椎名46-50. ノッパデーソン46-50. ナルンチョン47-50
ジャブからローキックの探り合いは細川裕人の前後のフットワークが優勢に傾いていく。先手を打つジャブの距離から首相撲とヒザ蹴りへ繋ぐ技で主導権支配した。

ジョニー・オリベイラは蹴り返すも距離を詰められず、細川裕人は攻勢を維持しながら見てしまい、次に繋ぐ技が出ず攻め倦む。パンチ打っても攻めるところを攻められない消極的な展開も、ローキックやパンチの的確なヒットの積み重ねで大差判定勝利し王座獲得となった。ジョニー・オリベイラは第3ラウンドに蹴りを空振りして肉離れを起こしたようだが、帰りはしっかり歩いて会場を出た模様。

細川裕人はセコンドの「もっと行け!もっと蹴れ!」の指示に行かなかったことについては、「ちょっと当たらないだけで、蹴って出てもまた当たらないと感じてしまった迷いですね」と反省の念が残った様子。今後はもっと練習して強くなって防衛や更なる上位を目指したいです」と語られました。

◆第12試合 日本スーパーミドル級王座決定戦 5回戦
マルコ(伊原/イタリア出身35歳/ 76.35→75.85kg)15戦9勝(3KO)3敗3分
VS
翁長リバウンドマン将健(真樹ジム糸満/ 76.05kg)11戦5勝(4KO)5敗1NC
勝者:マルコ / 判定3-0
主審:宮沢誠
副審:椎名50-45. 中山50-46. ナルンチョン50-45
計量はマルコがリミットの確認ミスがあったようでしたが、1時間で余裕のパス。
初回、両者のパンチとローキックの攻防は翁長将健の好戦的なヒットも目立ったが、徐々にマルコのパンチからローキックのリズムが活きだした。翁長より手数と的確差増して行ったマルコは首相撲でのヒザ蹴りもヒット。翁長はパンチでやや攻勢を見せてもすぐマルコの圧し返される流れ。マルコはほぼフルマークの展開で攻め優った。
マルコはリング上で「4年前に初めて新日本キックの試合に出て、今日チャンピオンになりました。いつも一緒に練習してくれた伊原会長、選手やコーチ、対戦相手の翁長さん。有難うございます。また更なる上を目指します!」と語った。

◆第11試合 WKBA日本スーパーバンタム級王座決定戦 5回戦
大岩竜世(KANALOA/2000.7.10岐阜県出身/ 55.15kg)9戦5勝(1KO)3敗1分
VS
中島凛太郎(京都野口/兵庫県出身26歳/ 55.3kg)14戦6勝5敗2分1NC
勝者:大岩竜世 / KO 4ラウンド 1分47秒
主審:ノッパデーソン・チューワタナ
初回、パンチと蹴り多彩に鬩ぎ合う両者。やや大岩の前進が目立った。大岩の左頬がやや腫れているのが確認できたが、偶然のバッティングと見られる。
第2ラウンドも攻防の差は変わらずも首相撲からの崩し合い、ヒザ蹴りが増え、第4ラウンドに大岩の右ハイキックを躱した中島が右ストレート打ったところに大岩の左バックハンドブローがヒット。ノックダウンした中島は一旦立ち上がろうとするも崩れ落ち、カウント中のレフェリーストップとなって、大岩竜世が王座獲得。

大岩竜世はリング上で「中島凜太郎選手とは9月に戦って引分けだったんですけど、今日はこんな形で勝てて嬉しいです。皆さんの御陰だと思っています。ここからがスタートでまた戻って来たいので皆さん宜しくお願い致します。」と語った。

◆エキシビジョンマッチ2回戦(2分制)
ISKA世界スーパーフェザー級チャンピオン.軍司泰斗(TEAM SUERTE)
Exhibition
ISKA世界フェザー級チャンピオン龍聖(TEAM SUERTE)
同門による顔合わせの両者、手数と多彩な技をスピーディーに披露し盛り上げてくれた2ラウンドでした。両者、エキシビジョンマッチながら新日本キックボクシング協会のリングに上がれたことに感謝を述べていました。
◆第10試合 62.0kg契約3回戦
翔吾(DENGER/千葉県出身29歳/ 62.55→61.95kg)6戦2勝(1KO)3敗1NC
VS
平田康輔(平田道場/ 60.8kg)5戦4勝(2KO)1敗
勝者:平田康輔 / 判定0-3
主審:椎名利一
副審:宮沢誠29-30. ナルンチョン28-29. ノッパデーソン29-30
前日計量で翔吾は550グラムオーバー。落ちるか周囲は心配したが、規定内にクリアー。試合は平田康輔がスピードでやや優る展開。翔吾は減量の影響があったか、やや出遅れるもローキックの攻防に互角に蹴り合うが、徐々に平田が攻勢を強め僅差ながら判定勝利。
◆第9試合 フライ級3回戦
西田蓮斗(伊原越谷/2009.12.6埼玉県出身/ 50.75kg)6戦6勝(2KO)
VS
林・さん(GRABS/2001.8.27北海道出身/ 50.5kg)4戦2勝2敗
勝者:西田蓮斗 / 判定3-0
主審:中山宏美
副審:椎名30-28. ナルンチョン30-28. ノッパデーソン30-28
西田蓮斗の技では多彩に上手く攻めるが、林の蹴りパンチ首相撲も負けずに繰り出した。技の上手さ的確差で西田が第2ラウンド以降を制し判定勝利。
◆第8試合 フライ級3回戦
NJKFフライ級4位.愁斗(Bombo Freely/2001.11.24茨城県出身/ 50.75kg)
14戦7勝(3KO)4敗3分
VS
煌(KANALOA/岐阜県出身21歳/ 50.7kg)7戦3勝(1KO)3敗1分
引分け 1-0
主審:宮沢誠
副審:椎名29-28. ナルンチョン29-29. 中山29-29
愁斗の素早い動きに対し、煌も互角に対抗。テクニックある両者の攻防は第2ラウンドは煌がやや攻勢で、第3ラウンドは愁斗が巻き返す形となったが、ほぼ差は無い展開で引分けとなった。
◆第7試合 スーパーライト級3回戦
NJKFスーパーライト級4位. TAKUYA(K-CRONY/1993.12.31茨城県出身/ 63.25kg)
19戦8勝(1KO)9敗2分
VS
中泉翔(TEAM EIGHTSENDAI/宮城県出身36歳/ 63.3kg)18戦5勝(3KO)12敗1分
勝者:TAKUYA / 判定3-0
主審:ノッパデーソン・チューワタナ
副審:椎名30-27. 宮沢29-27. 中山30-27
初回は様子見も中泉翔の勢いがやや圧す流れも、第2ラウンドには徐々にTAKUYAが蹴りからパンチの攻勢を強め、第3ラウンドにはより勢い増して行く中、中泉は表情に余裕は無くなる中、TAKUYAはタイミング見てパンチでノックダウンを奪って判定勝利。
◆第6試合 68.0kg契約2回戦
琉聖(平田道場/ 66.4kg)2戦1勝(1KO)1敗
VS
田中稜(トーエル/神奈川県出身22歳/ 67.85kg)1戦1勝
勝者:田中稜 / 判定0-3 (17-20. 17-20. 17-20)
主審:ナルンチョン
◆第5試合 58.5kg契約3回戦(2分制)
谷岡雄生(GRABS/北海道出身32歳/ 58.2kg)2戦2勝(1KO)
VS
神谷晟丸(伊原越谷/ 58.35kg)1戦1敗
勝者:谷岡雄生 / 判定2-1 (19-20. 20-19. 20-19)
主審:椎名利一
◆第4試合からプロ 59.0kg契約2回戦
オスカル・カサド(カタルーニャ/ 58.25kg)16戦9勝7敗
VS
希祈(京都野口/京都府出身20歳/ 58.85kg)4戦3勝1分
勝者:希祈 / 判定0-2 (19-19. 19-20. 19-20)
主審:中山宏美
他、アマチュア3試合。
《取材戦記》
World KickBoxing Association(WKBA)は2009年10月に創始者の野口修氏より伊原信一氏が任命され、その後の世界戦運営を担いました。
2014年には江幡塁・睦のツインズ(伊原)と蘇我英樹(市原)がWKBA世界王座戴冠し、2019年に緑川創(藤本)、高橋勝次(藤本)が戴冠。1981年の世界戦初開催から世界的には活動は乏しいものの、日本国内のここまでは富山勝治、千葉昌要をはじめ錚々たるメンバーが揃っていました。
昨年3月2日に瀬戸口勝也vs赤平大治でWKBA世界フェザー級王座決定戦が行われ、赤平がKO勝利し王座戴冠。実績の無い日本人同士の、ニュージャパンキックボクシング連盟からの協力を得ての開催と苦しい運営ではあるものの、今回引退試合となる瀬戸口勝也は、赤平大治との因縁を以ての雪辱戦として見どころ大きい展開となりました。
赤平大治は初防衛成功し、大岩竜世がバックハンドブロー一発による衝撃のTKO勝利でWKBA版日本スーパーバンタム級王座獲得。
細川裕人は新日本キックボクシング協会制定の日本国王座という、加盟していない外部団体の選手が挑戦する異例の形でジョニー・オリベイラとの王座決定戦を制し獲得。今後このタイトルの条件・規定はどうなるのか。疑問点は残りますが、ニュージャパンキックボクシング連盟と友好関係が続いているところは今後の交流が大きく育つ展開に期待したいところであります。
選手層薄い中でも何か華がある新日本キックボクシング協会の次回興行は5月10日(日)に後楽園ホールに於いてTITANS NEOS.36が開催されます。
▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」
