メリー喜多川氏が中島裕翔熱愛報道に激怒した本当の理由はSMAP干しの頓挫?

女優、吉田羊(年齢非公表)とジャニーズ事務所のアイドルグループ「Hey!Say!JUMP」の中島裕翔が「7連泊愛」として週刊誌に仲睦まじい様子をスクープされた一件がジャニーズ事務所のメリー喜多川(藤島メリー泰子)副社長の耳に入って怒り心頭だ。

[増補新版]ジャニーズ50年史

「冗談じゃない。Hey!Say!JUMPは売れてきたから、せっかく新番組に押し込もうとしていたのに」と激怒が収まらない。既報のように吉田は3月下旬、都内のアジア料理店でイケメンと食事後、そのまま自宅に中島を“お持ち帰り”。中島は吉田の自宅に約1週間にわたり連泊したというのがスクープの中身だ。

ジャニーズのグループは恋愛はもちろん御法度だが、それ以上にメリーを怒らせているのが「1月に独立を画策したSMAPを外し、冷や飯を食わす算段」が狂ったからと言われている。

もはや過去のお宝映像を流すばかりで、5人そろった企画がなかなか撮影すらもままらないほど番組作りがギクシャクしている「SMAP×SMAP」 (フジテレビ)の放映枠である月曜の22時を「Hey !Say!JUMP」がメインの番組にとって替えよ うと根回している最中だった。メリーの算段が成功し、次のクールでの「交替劇」はかなりの話題になるはずだったが…。その番組内容は、「Hey!Say!JUMP」をメインにして、スポーツやゲーム、もしくはダンスコンテンスなど盛りだくさんのイベントテイストのもの ったとか。

「中島はメリーのお気にいりで、年始やメリーの誕生日には、LINEでやりとりをするほどだと聞いています。ところが今回、中島からの弁解のLINEはいっさい無視。「SMAP×SMAP」を「Hey!Say!JUMP」に引き渡す話は、白紙に戻してちょうだい」とフジテレビ上層部に即刻、連絡を入れたそうです」(スポーツ紙記者)

ところで「Hey!Say!JUMP」の中でナンバー3くらいの位置にいる中島が意識しているのは、実は演技一本で活動している同じジャニーズの生田斗真だ。演技に海岸したのは、2013年夏に放映された「半沢直樹」で、境雅人の演技をまのあたりにして、さらに演技を磨きたくなったとか。

「中島君は、俳優としてかなり演技がうまいほうですよ。それに仕事に対して真面目な性格です。メリーも中島が役者志向があるということを知っているから、うすうす『吉田に演技を教わっているのだろうな』と察していて、事情を理解しているのでおおっぴらに中島を叱れない。だからなおさらやり場のない怒りを抱えていると思います」(同)

中島、吉田とも交際は否定しているが、少なくとも中島が吉田へ役者として相談したいことが山ほどあったはずだと話すドラマ製作関係者も少なくない。

「実は吉田は男っぽい気質で、『ジャニーズがなんぼのもん? 別に独身どうしが恋愛して何が悪いの?』と酔って劇団関係者に当たり散らしたというから、そうした開きなおった態度も情報通のメリーに入って、さらに態度を硬化させたという話も出ています」(同)

ジャニーズ事務所に「メリーはどれくらい怒っているのか」と聞いたが「担当者は不在」とした。また 吉田の事務所はメールも電話もつながらず。

とはいっても、昨年の大晦日、大阪でカウントダウンライブが超満員の「Hey!Say!JUMPはジャニーズ事務所の稼ぎ頭で「写真集は 10万部以上見込める」(出版社社員)

という日の出の勢い。

メリーの中で「鶴の一声」で完全にメイン番組を外される「SMAP」のメンバーたちの番組がことごとく外されるもの時間の問題のようだ。

(伊東北斗)

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日本国憲法はいま、本当に〈在る〉のか?

本日は1947年5月3日「日本国憲法」が施行された「憲法記念日」である。施行から69年目となるが、2016年の今日にいたり、成文憲法たる「日本国憲法」(以下「憲法」)は本当に「在るのか、もう無いのか」、私にはかなり怪しく思えて仕方がない。形式的にも外形上も「憲法」は存在しているけれども、その重要な柱とされたはずの「国民主権」、「基本的人権の尊重」、「平和主義」は文字通りの内容を伴い、下位法で定められ、行政の場で「憲法」が規定する運用がなされているであろうか。

◆条文と現実の間の乖離

「憲法」は前文以下第一章から第十一章補足の第百三章までで構成されている。その中で以下の文言は「在る」には「在る」が実態はどうだろう。カッコ内太字が私の疑問である。

第九条  日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。 (集団的自衛権容認)

2  前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。(自衛隊の存在)

第十三条  すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。(近年3万人を前後する自殺者)

第十四条  すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。(各種差別の放置)

第十九条  思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。(大学による思想弾圧)

第二十条  信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。(神社本庁の政治介入)

2  何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。 (国家神道に由来する「君が代」斉唱の強制)

3  国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。(官僚の靖国神社参拝、首相の伊勢神宮参拝)

第二十一条  集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。 (鹿砦社が襲われた言論弾圧事件)

2  検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。 (盗聴法の成立)

第二十三条  学問の自由は、これを保障する。(文科省による「文系学部統廃合」)

第二十五条  すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。(ワーキングプア・生活保護支給拒否)

第二十八条  勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。(労組への不理解・労組の弱体化)

第三十三条  何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となつてゐる犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。 (現行犯以外での令状なし逮捕の横行)

第三十四条  何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない。又、何人も、正当な理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。(不当逮捕・拘禁の横行)

第三十六条  公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。(警察・検察・海上保安庁などによる暴力の常態化)

第三十八条  何人も、自己に不利益な供述を強要されない。(自白の強要)

2  強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。(不当長期勾留により相次ぐ冤罪)

3  何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。 (自白のみでの死刑判決)

第四十四条  両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない。(人種による差別)

第九十九条  天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。(憲法改正を公言して憚らない首相以下国務大臣)

◆「改憲」だけが「憲法の死」を意味するわけではない

素人目でざっと見渡しても現実と条文の間には、相当な乖離があり、乖離の幅は権力者の意図によりどんどん拡大され、かつ固定化を図られている。今、自衛隊が既に定着しているのはその好例だ。これだけ解かりやすい文言でも曲解すれば何でもできる。「学問の自由はこれを保障する」など文科省の官僚や、大学に批判的な「学生狩り」に血道をあげる多くの大学関係者には「冗談」にしか聞こえないだろう。

文言、条文はある。よく読めば所々に少しおかしな部分もあるけれども、ある種の思想と理念を総合的に包含した「憲法」を有機体ととらえれば、外見上の体裁は整ってはいる。まだ生きていそうだ。問題は「憲法」の内臓を喰いつくしつつある「悪性新生物」が既に有機体としての生命を奪う(あるいは既に奪われた?)ところまで拡大していることだ。

毎年のように5月3日に、私は「護憲」(条件付きながら)の意見を表明する発言や行動をしてきた。けれども今年は現実を直視しようと思う。極めて重篤で危篤状態にある「憲法」。おそらくは蘇生不可能な有機体としての「憲法」。

「改憲」だけが「憲法の死」を意味するわけではないことを、私(たち)は徐々に学ばされ、「解釈改憲」という「殺憲法術」をも目の当たりにした。「憲法」はこれからどうのように最期を迎えるだろうか。「明文改憲」がなされるのか、それとも「悪性新生物」が臓物を食い尽くし、内部は完全な変容を遂げても、表皮だけは「憲法」のままの体裁を取り続けるのだろうか。「憲法」はまだ「在る」。死んではいない。でも意識はあるか? 余命は幾ばくか。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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〈T-ns SOWL〉国会議事堂前抗議行動──10代の熱に詰め寄るメディアの欲

4月29日(金)、国会議事堂前にて〈T-ns SOWL〉(Teens Stand up to Oppose War Law)が安倍政権の退陣を求める抗議行動を行った。同グループは安保法制に反対することを目的として立ち上げられたもので、高校生や10代の若者が主なメンバーだ。首相官邸前で行われている反原発連合の活動を取材した筆者は、少し遅れて国会議事堂前に到着。国会議事堂と警察、大勢(30名超)の取材陣を前にした〈T-ns SOWL〉が、一見して熱のこもった声を上げていた。

「集団的自衛権はいらない」「戦争反対」などという聞きなれたシュプレヒコールに加え、あるいは練習を重ねたのではと思われるような、新鮮でリズミカルなオリジナルコール。それに答えるメンバーは、白色に統一された拡声器を握り締め、しっかりと声を出していた。

暴力性を帯びがちなかつてのデモ活動に比し、〈T-ns SOWL〉の活動からは「フラットな民主性」が感じられた。それは、彼らの用いる言葉やその服装が「社会的一般」を外れていないという事実に依るところが大きいと思う。

より多くの社会構成員に働きかけることを目的のひとつとして認めるのであれば、一般的な言葉で語りかけるというのは非常に重要なことである。この観点からすると、彼らの態度はメンバーの若年性を考慮せずとも評価さるべきものである。

もうひとつ感じたことを述べる。これは〈SEALDs〉についても言えることなのだが〈T-ns SOWL〉のデモ活動からは、浮き足立っているような、言わば「部活動」的な印象を受けた。これはそのメンバーの多くが生活を持たないという点に起因するものであろうが、あるいは不可避的なものだとも言えよう。重要なのは、そういった印象を与えるということを自覚しているかということと、その自覚を持った上で為すべき仕事を追求しているか、ということである。これは私見だが、彼らの仕事は「半ばほども社会参与していない高校生ですら問題意識を持つ安保法制とはいったいなんだろう」といった手順で問題意識を惹起させることだと思う。

大学生主体の〈SEALDs〉に次いで現れた〈T-ns SOWL〉は、メンバーが高校生であるという点が最も特徴的であり、その特徴はメディアにとって格好の要素である。先述した通り、現場にはその「ネタ性」を証明するように筆者を含めた報道関係者が詰めかけている。メディアは〈T-ns SOWL〉とその活動を資本に変換すべく様々な調理を試みるだろう。そういった社会の利害関係に絡め捕られることなく、自分たちの立場と為すべき仕事を認識し、主体的に行動できればと願うが、非常な困難が伴うであろう。まずは今後の動向を眺めようと思う。

[撮影・文]大宮浩平

▼大宮浩平(写真家)
1986年東京生まれ。
Facebook : https://m.facebook.com/omiyakohei
twitter : https://twitter.com/OMIYA_KOHEI
Instagram : http://instagram.com/omiya_kohei

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驚きの「メーデー」──5月1日は畑仕事のプロ、高田さんを思い出す

高田さん(仮名)はまだご存命でしょうか。高田さんに農作業のイロハを教えて頂いたのはもうだいぶ前のことです。あの頃、僕は関西の田舎に住んでいて、職場の近くに畑を借りていました。その畑は持ち主の方が忙しくて、使えなくなっているからと好意で貸してくれていました。

高田さんは、僕が借りていた畑の隣に、自分の畑を持っていました。高田さんは、畑と、小さな雑貨屋さんを持っていました。雑貨屋さんは、コンビニが増えたので売り上げが上がらなくなって、その頃は畑仕事に出る時間が増えていたみたいでした。高田さんは口数が少ないおじいさんだから、最初のうちは挨拶を交わすくらいでした。

高田さんは野菜作りの名人で、そのうち僕に色々な智恵を教えてくれるようになりました。疲れない鍬の使い方、用水からの水の引き方、雑草引きのコツ、作物ごとの育て方、肥料の選び方と施肥の妙、連作しても平気な野菜とダメな野菜。高田さんは、野菜作りのことは何でも知っていました。おかげで僕は、素人にしては立派な収穫を得ることが出来ました。翌日の天気を、空や雲を見ながら教えてくれることもありました。高田さんの天気予報が外れることはなかったです。

高田さんは、野良仕事の話以外の話題を、自分から切り出すことはありませんでした。だから、いつも僕から話しかけないと始まりません。ゴールデンウイーク合間のある日(5月1日でした)、仕事が早く終わった僕は、畑に向かいました。

高田さんは、夏野菜の苗をうえる仕事で忙しそう。高田さんは僕を見つけると仕事の手をとめて、あぜ道に腰を下ろし、煙草を吸い始めました。高田さんのタバコはハイライトです。珍しく高田さんから話しかけて来ました。だからよく覚えています。
「あれにはいかんのかい?」
「あれ、ってなんですか?」と僕が聞き返すと、
「今日はメーデーやろ。組合のあつまりがあるんやろ。若い者はいかなあかんのちゃうんか?」
「僕の仕事場には組合はないからメーデーにいくことはないんです」
「あーそうか」。
高田さんからメーデーを話題にされてちょっとびっくりしました。

それから、僕が聞いたわけでもないのに高田さんは、珍しく野良仕事とは関係ない、自分の話をはじめました。雑貨屋さんを始めた理由(ちょっと気の毒な話でした)や、奧さんとの縁談。それから驚いたのは僕らの畑から、京都や、大阪へは電車で1時間半もあれば十分行ける場所でしたし、高田さんの家もそのそばだったのに、高田さんは京都にも、大阪にも「生まれてから一回も行ったことがない」と言われたことです。電車に乗ることはあるそうですが、「京都や、大阪は知らん。行ったことがない」。別に偉そうにするわけでもなく、秘密の話を打ち明けるようでもなく、高田さんは僕にそう話しました。

70代だった高田さんには、京都や、大阪に出かける必要がなかったのかなぁと不思議でした。高田さんはテレビが好きで、物知りというか、頭のいい人でした。だから畑仕事とは関係ない話をしていても、僕が知らない事件や、考えを教えてくれるので「京都や、大阪は知らん。行ったことがない」はびっくりでした。電車には乗るけど、新幹線や飛行機は高田さんには無縁の乗り物です。

僕の畑で、まだ実を付けてたエンドウをむしりながら、高田さんに、僕の畑から聞いてみました。「京都や大阪に行こうと思ったことはないんですか?」、「あらへん。行くことあらへんから」雑草を抜きながら、田中さんは少し楽しそうな声で答えてくれました。

あちこちに出かけて、世界をたくさん旅行すればするほど、知識が増えて世の中がわかる、と思っていた僕には驚きの「メーデー」でした。畑仕事のプロは、どこに行かなくても世界を知っている賢人でした。

今日は「メーデー」です。高田さんはまだ元気にしているかな。僕も最近、京都や大阪に出かけるのが億劫になってきました。

なんでだろう。

でも、高田さんみたいな「仙人」にはなれそうもありません。
さて、地域のメーデー集会に行って来ます。

(伊藤太郎)

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江幡睦、腐れ縁ともなる因縁のライバルに勝ち越し!

江幡睦は過去、フォンペートとは4戦してキックルールで2勝。ムエタイのラジャダムナンタイトルマッチで2敗となった因縁の対戦。この日の決着戦となる5戦目ではキックルールで江幡睦の判定勝利で3勝2敗と勝ち越しました。また互いにラジャダムナン王座を争う立場になればわかりませんが、おそらくこれ以上再戦することは無いでしょう。

KOへの切っ掛けを探りたい江幡睦、フォンペートも倒されない自信を持つ攻め

フォンペートが江幡睦の手を上げる姿を見て、そんな安堵感ある表情に見えました。もし第6戦目があっても、たぶんこの二人が引退後、歳取って再会し、酒を酌み交わす日が来るでしょう。そんな腐れ縁ともなる忘れ得ぬ因縁を引きずったような気がします。

先日の市原臨海体育館で行われた蘇我英樹の引退興行で、大月晴明と2度戦い2度とも激戦を経て敗れた蘇我も、大月とは忘れ得ぬライバルとなり、この二人は何年経っても忘れ得ぬ想い出を語り合うことでしょう。

「腐れ縁ともなる忘れ得ぬ因縁を引きずった年月」は激戦を繰り返したり、不可解な判定やアクシデントに見舞われたり、敗れてもしつこく挑戦を繰り返す対戦で、これが最後の再戦となる試合の後は因縁を忘れ、本音の笑顔で握手する、そんな微笑ましいシーンは多く見られます。過去、有馬敏(大拳)VS須田康徳(市原)や、飛鳥信也(目黒)VS山崎道明(東金)など、好ファイトでしたが判定では因縁を引きずりました。

TITANS NEOS 19 / 2016.4.17後楽園ホール(17:05~20:55)
主催:TITANS事務局 / 認定:新日本キックボクシング協会

◆54.5kg契約 5回戦

WKBA世界バンタム級チャンピオン.江幡睦(伊原/54.5kg)
       VS
フォンペート・ チューワタナ(元ラジャダムナン系バンタム級C/タイ/54.4kg)
勝者:江幡睦 / 2-1 (49-48. 48-49. 50-47)

江幡は勝手知ったる相手にKOに結び付けたいところ、速く鋭く積極的に強く蹴り攻め続けるも、フォンペートもカマセのつもりで来てはいない。しなやかな左右のミドルキックは鋭く重く、江幡睦を苦しめました。また組み合えば得意のヒザ蹴りがボディ周りを襲う。キックルールだけにその組合いは短め。打ち合い激しく5ラウンドを戦い抜き、また観る側からすれば好ファイトとなった展開に拍手が湧きました。

これで再度、ムエタイラジャダムナン王座に手を掛けるかと言えば疑問符が付く内容ながら、フォンペートとの5戦で学んだ、特にこのムエタイ王座絡みの3年間での成長は大きい。新たなチャンピオンが君臨するラジャダムナン・バンタム級王座に挑戦する日も近いかもしれません。チャンスが来れば今度は負けられない崖っぷちでもあります。

政斗が攻めれば渡辺健司も応戦。キャリアの差が出た試合

◆日本ウェルター級タイトルマッチ 5回戦

チャンピオン.渡辺健司(伊原稲城/66.0kg)VS 2位.政斗(治政館/66.2kg)
勝者:渡辺健司 / 3-0 (50-48. 50.48. 49-48)
政斗の積極性が圧力となって、しぶとい渡辺健司もいつもより激しく応戦し、手数多い好ファイトとなった試合。渡辺は初防衛に成功。

対戦相手、練習相手が不足するヘビー級だが、柴田春樹には日本を代表する自覚を持って踏ん張って欲しい

◆日本ヘビー級王座決定戦 5回戦

1位.柴田春樹(ビクトリー/94.0kg)VS 2位.嚴士鎔(伊原/94.0kg)
勝者:柴田春樹 / TKO 3R 0:37 / ヒジによる頭部カットでドクターの勧告を受入れレフェリーストップ

昨年、松本哉朗(藤本)が引退し、日本ヘビー級王座決定戦となった試合。ランカーが4人しかいない中、柴田春樹(ビクトリー)が第3代チャンピオンとなりました(新日本キック制定)。頻度は低くてもヘビー級を存続して来たのが、元々の創生期からの日本キックボクシング協会からでした。古くは、ジミー・ジョンソン(横須賀中央)や斉藤天心(目黒)、池野興信(目黒)、渡貢二(東京)らがいました。他団体にも国内ヘビー級チャンピオンは存在しますが、ブランクがあまり空かないのは新日本キックだけでしょう。

終盤に入り、攻めに威力が増した勝次が勝利を導く

◆63.0㎏契約3回戦

日本ライト級チャンピオン.勝次(藤本/63.0kg)VS加藤剛士(前WPMF日本スーパーライト級C/WSR・F)
勝者:勝次 / 3-0 (30-29. 30-29. 30-28)

互いに負けられない立場であるせいか、レフェリーから注意を受けるほど打ち合いが少ない展開。

◆63.6㎏契約3回戦

ジョニー(左)の積極果敢な攻めも、ゴンナパー(右)は冷静に隙を狙う眼

WPMF 世界スーパーライト級チャンピオン.ゴンナパー・ウィラサクレック(タイ/63.6kg)
            VS
日本ライト級4位.ジョニー・オリベイラ(トーエル/ブラジル/62.8kg)
勝者:ゴンナパー・ウィラサクレック / TKO 3R 1:05 / 右フックでカウント中のレフェリーストップ

石井達也(藤本)が負傷により出場辞退し、代打出場に誰も手を挙げない中、ジョニー・オリベイラが「軽くOKした」というのは噂の便り。この情報は勿論正確ではありませんが、「相手が誰か訳わからない中でもジョニーならOKしてくれるだろう」的な流れで、異色のカードが実現しました。

ブラジルから日本に来日し、12年のキャリアを持つジョニーも負けが込む中堅クラスながら、でも「ジョニーならゴンナパーを慌てさせる展開に持っていくかも」という期待がありました。ゴンナパーは日本人相手に10連勝。先月の健太(ESG)には初黒星を付けられましたが、経験値から試合運びの上手く蹴りも強いチャンピオン。それに挑むジョニーは臆することない、いつも以上の積極性。ゴンナパーが慌てることはないものの、打ち合いの展開はジョニーに応援の声も多く、2Rにゴンナパーのボディブローでダウンし、最後は3Rに右フックのカウンターで倒されましたが、力を出し切り、また声援を多く受けた試合でした。

若い渡辺涼介(右)に押されていく山本ノボル、しかしリングの感触は心地良さそう

◆その他8試合

他8試合の中、ライト級3回戦で渡邉涼介(4戦4勝/昨年1月デビュー/伊原新潟)VS山本ノボル(元MA日本バンタム級チャンピオン)のカードもあり、山本ノボルも平成初期にデビューしチャンピオンになった選手。引退することなくブランクを作りながら、長く現役を続けていますが、今回はさすがにスタミナ切れの苦しい表情を浮かべつつ判定で敗れました。

先日の市原興行でも15年前までバンタム級とフェザー級で王座挑戦経験を持つ、真鍋英治(市原)がライト級でカムバック。KO負けしましたが、明るい表情で戦い終えました。40歳を過ぎても現役だったり、カムバックしたり、第二の人生を歩みながらちょっとカムバックする、太らずそんな体格も維持して頑張る中年選手は多そうです。

実力を認める勝者への敬意、ムエタイでは負けないプライドもあるフォンペート

▼堀田春樹(ほった・はるき)
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない。」

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ヒロヒト没後27年の「昭和の日」に、かからなかった虹をまた思い描く

記事をスクラップしてノートを作成したり、ニュースや情報を整理することが非常に苦手で、整理整頓が身についていない私が、この新聞だけは「残しておくべきだろう」と直感し適当な封筒に入れて押入れの奥に放り込んでいた。その後、幾たび転居したのか数えるのも億劫だ。転居ごとに蔵書や資料を処分し、私物は衣装ケース数箱になったのだが、この新聞は処分されずに残っていた。

この男が死亡した日1989年1月7日の夕刊は、新聞社の有料過去記事検索サービスや、大きな図書館に行けばどなたでも見ることができるだろう。保存にさしたる配慮もしなかったため、折り目がつき、全体が黄ばんでいる私の持ち物からは、言葉を慎重に選ばねば感想を述べるのを躊躇わせる「凶相」が滲み出ている。

今日は「昭和の日」だ。正直でよろしい。4月29日は昭和天皇ヒロヒトの誕生日で、この男が死亡する1989年以前はやはり休日「天皇誕生日」だった。週休2日制がまだ定着していない時代にこの時期の「ゴールデンウイーク」は勤労者にとっては貴重だったと想像できる。だからだろうか、現金なものでこの休日の恩恵に比すると、この日が持つ罪の側面はお疎かにしか意識されていない。

1989年ヒロヒトが死亡すると4月29日は「みどりの日」となった。現天皇アキヒトの誕生日(12月23日)が新たな「天皇誕生日」として休日になったが、「ヒロヒト天皇誕生日」を廃止することは、天皇主義者にとって(あるいは無意識な休日恩恵享受者にとって)は許されざることだった。だから4月29日は1989年から2006年までは「みどりの日」の名称で休日とされた。

その理由を「昭和の日普及委員会」(設立発起人:財団法人国民精神財団、現在は活動休止の模様)は、 「昭和天皇が自然を愛したことにちなんで、平成元年から『みどりの日』と名称を変えて祝日として存続しました。自然をこよなく愛された昭和天皇は、『全国植樹祭』にも必ずご臨席になり、ご自身の手により植樹をされてきました」と解説している。

ヒロヒトが戦後、戦争責任を一切不問にされ、「全国植樹祭」に参加していたことはその通りだけれども、ヒロヒトの評価を戦後の行為に限定するのは乱暴に過ぎる。ヒロヒトは敗戦までは「大元帥陛下」(日本軍の最高指揮官)であり「現人神」であった。人間ではなく「神」として、日本国民に対しては徹底的かつ絶対的な存在だった。敗戦までのヒロヒトの行為はアジアを中心に3千万人の他国人を殺し、300万人の日本人も死に導いた「最高指揮官」だ。1945年までのヒロヒトは自身が手を下しはしなくとも、洪水のような「血」を流させた責任者なのだから、ヒロヒトを象徴する色は「みどり」ではなく「赤」ではないのか。「赤の日」では具合が悪いか。

1975年10月31日、有名な話ではあるがヒロヒトは初の訪米から帰国後、皇居「石橋の間」で戦後初めてにして最後の記者会見に臨む。記者が「また陛下はいわゆる戦争責任についてはどのようにお考えになりますか」と質問するとヒロヒトは、
「そういう言葉のあやについては文学はあまり研究していないのでよくわかりませんから、そういう問題についてはお答えできかねます」
と答えた。

数々の詔や難渋な勅旨を戦争中に連発していたのは誰だ。いわゆる「玉音放送」にしたところで、棒読みの様子は明らかではあるが、あの文章は多少「文学的」ではないのか。ヒロヒトの言い分には幾ばくかの推測の余地(詔や勅旨、玉音放送の文章は誰か他人が書いていた、それだけでなく大元帥陛下の地位自体が祭り上げられ、虚構であった)が含まれるとの斜に構えた解釈が成立しなくもない。

しかし、この開き直りこそが裁かれるべくして裁かれず、あろうことか「国民統合の象徴」として生涯を終えたヒロヒト大罪の真骨頂である。

黄ばんだ新聞の活字はリードの部分だけは意識的に大く書かれているが、本文は現在の3分の2ほどの大きさだ。新聞の文字は当時この大きさが標準だった。2016年の新聞と比較すると随分小さい活字で埋められた紙面16頁はヒロヒト賛美で埋め尽くされているがその中にこんな文章がある。

「天皇裕仁は侵略戦争の最大かつ最高の責任者であった。絶対主義的天皇制は、暗黒支配を維持し、侵略戦争と他民族抑圧を遂行するため、国内にあっては徹底した人権抑圧をおこなった。今日、天皇は憲法によって国政に関与することを禁止されているにもかかわらず、しばしば反動的な立場から国政に関与してきた。本来、天皇制は廃止されるべきものであるが、今日の憲法のもとで政府に課せられた厳粛な責務は、憲法の平和的民主条項をきびしく遵守することである」

随分過激なことを言う奴がいるじゃないか、と読者には感じられるかもしれないこのコメントはヒロヒトの死に関しての「共産党中央委員会声明」だ。この誌面には自民党、社会党、公明党、民社党、共産党、社民連の順で各党のメッセージが掲載されている。共産党以外は話にならない。馬鹿らしいと感じた。共産党のコメントだって後半部分が気弱じゃないかと訝ったものだが、2016年の「昭和の日」共産党の方々はどうお感じになるだろう。

1989年1月7日、朝日新聞夕刊の紙面を眺めて「結局こうなるんじゃないか、マスコミは」と予想にたがわぬ翼賛報道に暗い未来を想起するしかなかった。敗戦から1989年へ、まだ雨上がり間もない空だったのだから、虹が現れても不思議ではなかったが、虹はかからなかった。ヒロヒト没後27年「昭和の日」に、かからなかった虹をまた思い描く。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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猪木vsアリ格闘技世界一決定戦40周年大イベントが6月26日マカオで開催!

IGF(イノキ・ゲノム・フェデレーション 株式会社)がぶちあげた「国際的展開」への第一弾、「マカオ大会」は、マスコミ約50人を集めて4月4日に大々的に発表された。
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これは、6月26日 (日)中国・マカオにて、『アントニオ猪木vsモハメド・アリ格闘技世界一決定戦40周年イベント』と銘うって「INOKI・ALI BOM-BA-YE in Macau」が開催される予定。アリ氏は体調不良のため、娘さんで元プロボクサーのレイラ・アリら家族の招聘を交渉中だという。レイラの妹の夫がMMA(総 合格闘技)ファイターであるため、今大会への出場を希望しているというが、これは「ちょっと小粒」の声も聞かれる。

「会場のパイとしては7000人なんで、なんとかして埋まりそうです。だがいかんせん、マカオでも人気のアントニオ猪木がこの7月に行われる予定の参議院選挙の準備で駆けつけるのが難しそうなんです。ヘリコプターでとんぼ帰りするという荒技も考えたのですが、そんなに金を使えるわけもないし、困ったものです」(IGF関係者)

主催したIGF側の発表によると 「プレ大会を5月29日に大阪府立体育館でやるので、ここで活躍した選手がマカオ大会に出る」ということだ。タイトルは『アントニオ猪木vsモハメド・アリ格闘技世界一決定戦40周年記念プレ大会 GENOME36』となる。

「しかしどうだろうね。アリVS猪 木戦を記念するのは意味あることだけど、MMA(総合格闘技)をやるのかキックをやるのか、プロレスをやるのか決め兼ねているようだが、アリVS猪木戦とはいかないまでも、インパクトがある異種格闘技戦をカードとして組んだりして、創意工夫しないと話題が集まらないだろうな」(格闘技ライター)

それにしても、小川直也やザ・グレート・サスケなどはマカオに馳せ参じるのだろうか。サイモン・ケリー・猪木取締役は「IGFでの世界大会。アントニオ猪木vsモハメド・アリ。世界最初の異種格闘技戦。MMAでの試合から40年の記念のイヤーに、凄い、でもあの(1976年6月26日)試合を超える試合はほぼ不可能と思いますが、それに少しでも近づけるような試合、大会をこのマカオでの試合で見せていければと思います。マカオでのスポーツビジネス、ギャンブルの街のイメージはありますが、エンターテインメントの街でもありますし、そのマカオでこのような格闘技、プロレスのイベントを成功させていきたいと思っています」と語る。

いずれにせよ、マカオ大会は「マカオTV」(MASTV=Macau Asian Satellite Television)が放送を開始しているが、これに続いて、世界に同時発信するのがIGFの「成功形」のようだ。

「アリvs猪木戦」の燃える遺伝子をもつ選手がどくらいいるかは不明だが、奇しくも、この日に呼ばれていた市会議員の格闘家、澤田 敦士が「IGFは一寸先は闇。何が起こるかわからない」とつぶやいた 台詞が不気味に会場に響いていたように奇抜な新顔が登場するのを期待したい。

(伊東北斗)

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黄昏の出版業界──「あいつに書かせるな」と編集部に差し込む輩たち

このところ、本当に「あいつは本当にダメだね」とほかのライターのダメなところを編集者にタレこむ話をする輩が多い。この連中は『自称・大物』という自覚があるのかないのかよくわからないが、自分が編集長よりも偉いと思っているのか、それともことさらに能力が低下したのをカバーしたのを隠すためか「あいつは取材していない」などと言い出す始末。てめえはどうなのか、と問いたくなるような連中だ。

「まあ、タレコミは偽計業務妨害に当たるんだろうが、それにしてもそういう話を聞くと、本当に出版は不況のような気がするね。もう昨年、出版社に入社した新人のうち4割が辞めたなんていう話が聞こえてきますし」(都内の私立大学の就職課)

◆猪瀬直樹がノンフィクション作家だった頃の悪評

こうした輩は昔からいたが、例外なく消えている。
「古くは猪瀬直樹がそうだね。すぐに他のライターの悪口を編集者に吹き込む。で、自分の自慢話を展開するんだ。昔の週刊誌は競争が激しくて、誌面の取り合いから殴りあいに発展することも少なくなかった。だが今の誌面の取り合いは、出版不況の下、もう生活がかかっている状況だからね」(出版社社員)

ある週刊誌のデスクによると「×のネタはこのライターには書かすな」と具体的に恫喝してくる連中もいるという。

「まあ、実力がないから、他人の悪口を吹聴して仕事を増やしたいんだろう。こういうライターに、万が一『編集者に金を借りた』なんてしゃべったらたいへんだ。2チャンネルあたりで『借金を返さないライター』として名前があがり、二度と編集からは声がかからなくなる」(同)

もはや40歳をすぎると「引退して故郷に帰る」という類のライター仲間が増えてくる。
「あと10年で書店が4000店舗になると言われている状況のもと、今『ライターをやめます』とか『編集をやめます』といわれても別に負け組とは思わない。むしろ、ちがう才能があれば、そちらを活かしたほうがいいのではないかと思います」(中堅週刊誌記者)

ただし、今年、大学を卒業した新社会人に聞くと、「出版社に入った同級生たちは、希望に満ちていた」というから、まだまだ「若者たち」がマスコミで実力を発揮するチャンスはあるのかもしれない。
「まあ、それにしてももう60歳すぎたら、後進のために引退したほうがいいのではないか。そうじゃないと編集もライターもちっとも育たないと思いますよ」(フリー編集者)

◆出版界でも「ダメな日本人よりも有能なアジア人を」の波

確かに、アベノなんたらかは不発らしいが、出版社の求人広告など新聞に掲載されていても数件だ。しかも、業界紙ばかりときている。いったいこの状況でどの党に入れれば、景気がよくなるというのか。民進党は「政権交代」を叫ぶが、よく考えれば経済の停滞をまねいたのは、直近ではほかでもない、民主党政権だろう(長いスパンでは自民党の責任だが)。

はてさて、失礼ながら、このところ中国人や韓国人のデザイナーやカメラマンを現場ではよく見る。もちろん有能だから版元は使うのだろうが、要するに「ダメな日本人よりも有能なアジア人を」というのが出版社や編集プロダクションのコンセンサスとして出てきたのだろう。もう有能なクリエイターは日本からは出ない。少なくとも出版の世界では、だ。

話を戻す。「あいつを使うな」と言われたライターは、きっと勝ち組だが、いよいよ世の中的にたとえばほかの業界で人材が枯渇しても「元出版関係者は使うな」と言われるほど、業界は凋落しているのかもしれない。

(伊東北斗)

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チェルノブイリ30年──国家の狂信、現実の忘却

1986年4月26日から30年目を迎える。あの事故は近隣住民以外の世界の人々の頭の中では「歴史」になってしまっているのではないだろうか。旧ソ連、現在のウクライナで発生した「チェルノブイリ原発事故」である。

◆「原発=核発電」は狂信的な国家意思の象徴

Fukushima2016

記憶の中では「歴史」となっても、事故地では今日にいたるも放射能漏れを防ぐ作業が継続している。事故後原子炉を封じ込める為に作られた「石棺」と呼ばれる構造物が内部からの強力な放射線によりボロボロに劣化し各所にひびが入り危険な状態となったので、ウクライナ政府は巨大な「第二石棺」を建設中だ。

思い起こせば爆発したチェルノブイリ原発4号機は「運転中」ではなかった。しかも福島の様に地震や津波と言った自然災害が原因でもなかった。運転停止中に外部電源喪失に対応する非常時用発電系の実験を行っている際に、原子炉出力管理のコントロールミスから事故が発生したと言われている。つまり「人災」であったわけだ。

Fukushima2016

つい最近、事故後に現地を取材したジャーナリストは「事故直後ソ連の政府は何をやったと思いますか。なんと兵士にソ連の国旗を持って原子炉の上に行かせ立てさせたというのです」と俄かには信じがたいエピソードを教えてくれた。それほどどの国にあろうと原発=核発電は狂信的な国家意思の象徴であることの現れであろう。

◆1975年の戦後日本を思い出してみる

30年経過すれば、たいがいの事は「歴史」になる。本当はその事件や事故が終わらずに不可視な形で継続していても体に痛みを伴う直接被害者や、事故により生活全体を破壊された人びと以外は容易に「現実」を「歴史」と見まがう。

Fukushima2016

私は1975年を思い出している。言うまでもなく敗戦後30年目の年だ。戦地に赴いた元兵士や銃後を支えた明治生まれ、大正生まれの人びとがまだ多く生きていた。皇国史観で教育を受けながらいきなり「民主教育」への転換を経験した人々が丁度子供を産み育てている頃だった。「戦争」が話題になることは私の周りでも、珍しいことではなかった。でも「戦争反対」を語る人も「戦時中の苦労」を語る人、または懐古的に「日本軍の雄姿」を語る人、いずれもそれは「思い出物語」としてであって「今は違う」が無言の枕詞になっていたように思う。

◆「ソビエト」の消滅──原発事故は国を亡ぼす

チェルノブイリ原発事故は、2016年の日本から回想すれば2つの事を示唆したいたのだと今更ながらに思う。

Fukushima2016

1つは「原発事故を一度起こせば人間の力では対応が出来ないことだ。そのことは、事故後30年経過するも「第二石棺桶」建設を余儀なくされているウクライナの姿が事実をもって示している。あの巨大なドーム状の構造物さえ、また何十年かすれば劣化を余儀なくされ、「第三石棺」、「第四石棺」の建設が行われることになるだろう。

そしてもう1つの重大な示唆は「原発事故は国を亡ぼす」ことだ。これは文字通り「国が無くなる」、「国が崩壊」することを意味する。1986年4月「ウクライナ共和国」は「ソビエト社会主義共和国連邦」を構成するひとつの「共和国」と称されていたが実態は「ソビエト」の中の一地域である。

Fukushima2016

「ソビエト」は当時、米国と世界を二分する東陣営の巨大な指導国であり、モスクワやクレムリンが陰に陽に世界に発する力は絶大であった。「東西冷戦構造」は西側のNATOと東側のワルシャワ条約国機構が特に欧州では隣接し合いながら、「核戦争」の危機を抱え、日々緊張の壁を境につばぜり合いを続けていた。

その価値判断は横に置くとして、時代は「東西」という相いれない二極が不思議な均衡を保ちながら世界を支配していたのだ。ところが「東側」の親玉「ソビエト」は崩壊してしまった。1991年、チェルノブイリ原発事故から5年後のことだ。この事実を福島第一原発事故発生から5年後の今日、私たちは極めて重大に受け止める必要があるのではないか。

Fukushima2016

「ソビエト」崩壊の序章を、ミハエル・ゴルバチョフが大統領に就任後打ち出した「ペレストロイカ」・「グラスノスチ」などの「開放・改革路線」、「新思考外交」との見立てるのはおそらく間違いではあるまい。

しかし「東側世界連鎖崩壊ドミノパズル」には「チェルノブイリ原発事故」のピースを欠くことは出来ない。ゴルバチョフは確かにホーネッカー率いる東ドイツの崩壊(=東西ドイツの統合)へ内々に「許諾」を与え「ソビエト」以外の国への支配を急激に弱めていったが、「そうせざるを得なかった」事情のひとつが「チェルノブイリ原発事故」だったのではないかと指摘する専門家は少なくないし、私も同意する。

歴史の「教示」や「示唆」は事後になれば解読がいともたやすいが、同時間にあって正確な解析は困難を極める。そして歴史はそれ自体が教訓化されることを望んでもいる。

◆フクシマ以後──この国を待ち受けているもの

私(たち)は今どこへ向かっているのだろうか。世界を二分する勢力の頭目、政治力と軍事力、総合的な影響力と「何があっても壊れることはないだろう」と思われていた巨大国家「ソビエト」を消滅せしめた一因のチェルノブイリ原発事故。

そして4機の原発爆発を起こした、福島第一原発事故を当時「ソビエト」の領土の約60分の1で受け止めている日本はどうなるのだろうか。ゴルバチョフはチェルノブイリを隠蔽しようと画策したが無駄だった。民主党から自民党へと続く日本の政権は「事故収束宣言」(野田)「アンダーコントロール」(安倍)と平然といいのける。4年後には東京でオリンピックを開くという。日本には当時「ソビエト」が従えていたような経済ブロックも実質上の従属国もない。日本はひたすら米国に隷属するのみだ。

歴史を「ソビエト」の先例にあてはめてみよう。日本を待ち受けているのは「さらなる繁栄」や「より幸せな生活」だろうか。「祝賀に沸く東京オリンピック」は現実のものとなり得るのか。残念ながら私にはそのイメージを描くことが出来ない。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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ヤクザの被災地救援は「反社会的」行為なのか?──「夕刊フジ」報道の傲慢

重い筆をとるときが来たようだ。ヤクザを擁護し、知り合いのいる「夕刊フジ」を攻撃しなくてはならない。

4月21日の「夕刊フジ」には、神戸山口組系暴力団が救援物資を配り始めたことが「復興利権」を狙うものだと書いてあった。この傲慢な記事は、斬りようがいくらでもあるが、まずは昨年の年末に北九州の小倉、つまり工藤會の足元に行ったときのレポートから展開しようと思う。

小倉の街並み

小倉は、いうまでもなく工藤會が支配してきた町だ。この町では工藤會をターゲットにまずは警察が徹底的に組員をマークし、特定危険指定暴力団として認定された。僕に言わせれば、これは後に山口組を切り崩したいがために試験的に「与しやすい」暴力団を狙ったにすぎない。つまり工藤會を攻めたのは、山口組を切り崩すためのモデルケース作りだ。

事実、福岡県警なんて警察庁には信頼されていない。だから警察庁は、多くの人員をこの小さな小倉に送り込んだ。僕はヤクザとも警察のエリートとも同等につきあうが、どうひいきめにみても、福岡県警とヤクザの癒着ぶりは目にあまる。腐っているといってもいいが、これは尊敬すべき先輩の宮﨑学氏の領域なので深くは追わない。

また、警察の警戒が強化する中で、工藤會は飲食店からみかじめが取れず、スナックなどは警察が来るときには「暴力団排除」標章のシールをドアに張り、工藤會組員が来るときはそっと外すして店内に張るというわけのわからない行動をとらざるえなくなった。

「かなり平和になった」といわれているが……

小倉では、バスに乗っても「暴力団は予告なくやってきます」と注意勧告のアナウンスが流れてくる。そんな街中でスナックで、ホステスのA子さん(仮名)は言う。

「本音と建て前はうまく使いわけないといけない。暴力団は確かに悪いと思うけれど、それを理由にヤクザにたかりすぎた福岡県警はやりすぎた。なにしろ好き勝手に飲んで喰って、工藤會のツケにして帰っていく。これでは町はいつになってもヤクザか警察、両方の支配下に置かれることになるわ」

人々は工藤會を恐れて小倉への旅行をパスする。だが僕にとっては古いつきあいのある組員がいる小倉は落ち着く。熱海は、稲川会に知己があるのでさらに落ち着く。新宿・歌舞伎町は極東会の知人が多いので安心は安心だが、いつ何時、トラブルに見舞われて力関係が変わるとも限らない。
「それじゃ密接交際者じゃないの」と揶揄するなかれ。警察ともヤクザとも仲良くするのがジャーナリストの生きる道なのだ。

そして今、小倉のカメラ店の店主の言葉を借りれば「かなり平和になった」という。だが警察が力を誇示してかろうじて成り立っている平和など、クソくらえである。事実、刑事が無料でスナックで飲んでいるのを目撃した。金を払うそぶりすらない。
「俺が来てるから、工藤會が来れない。用心棒代をくれ」と彼ら刑事は臆面もなく言ってのける。
これこそ「利権」じゃないのか、ええ?

小倉のスナックで話を聞いた

本題に戻す。震災だ。緊急事態なのだ。政治が悪いなどといっているときではない。国民がひとつにならないといけないときに、神戸山口組系組員が被災者に食料や水を配って何が悪い?!

たとえば衆議院議員の先生がたたちが何人、熊本に入って食料を配ったのか? 日ごろから耳ざわりのいいことばかり言っている地震学者たちが「当たりませんでした」と熊本まで土下座に来たのか? 偉そうに講釈をたれる僧侶が何人、車を飛ばして熊本に入ったのか? そんな中、ひとまず民衆のために食料を配るヤクザは、行為自体を評価すべきである。

いうまでもなく、戦後、不良の在日朝鮮人や中国人から国民を守ったのは、今は嫌われまくっているヤクザたちだ。ヤクザたちが原点に返って、食料支援をしている。これは、義侠心からなせることだ。復興利権だなんだという前に、マスコミはおにぎりのひとつでも配りに来たほうがいいんじゃないのか? 恥を知るべき腐れ右翼メディア、汝の名は「夕刊フジ」である。

▼小林俊之(こばやし・としゆき)
裏社会、事件、政治に精通。自称「ペンのテロリスト」の末筆にして松岡イズム最後の後継者。師匠は「自分以外すべて」で座右の銘は「肉を斬らせて骨を断つ」。

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