このところの浅野健一さんの言動には、長い付き合いの私でさえ違和感、いや不快感を覚えます。3点ほど挙げ、苦言を呈しておきます。浅野さんがこれをどう受け取られるかはご本人の判断に任せますが、私としては真摯に受け止められ、反省すべきは反省され軌道修正されることを願うばかりです。
また、私の言っていることが間違っているかどうか、読者の皆様のご意見も俟ちたいと思います。
◆《1》伊藤詩織監督映画問題と、浅野健一さんの『紙の爆弾』5月号掲載記事について
浅野健一さんは、『紙の爆弾』5月号(4月7日発売)に、『週刊金曜日』3月21日号の伊藤詩織監督の映画『Black Box Diaries』特集に因み、これに連携するかのように「伊藤詩織監督映画上映妨害は言論弾圧だ!」なる記事を8ページにわたり寄稿されています。
今は削除されていますが、4・8の浅野さんのFBに「石橋学神奈川新聞記者のジャーナリズム論に、全面的に賛同します。」とし「必読」とまで持ち上げておられました。石橋学記者は、知る人ぞ知る、いわゆる「しばき隊」界隈の中心人物で、あろうことか『紙爆』の浅野さんの記事でも好意的に名が出ています。
また、伊藤監督の新代理人は神原元、師岡康子弁護士で、これまたしばき隊界隈の中心人物です。『金曜日』の特集にも両弁護士のコメント(要約)が掲載されています。
鹿砦社は長年同誌に広告(ウラ表紙1ページ)を出広してきましたが、一昨年、この一部に森奈津子さんの『人権と利権 「多様性」と排他性』の案内が出ていたことで、『人権と利権』を「差別本」と見なし、これをいいことに取引そのものを絶たれました。この時のやり取りを記憶されている方もおられるでしょう。以降、『金曜日』は“しばき隊色”が濃くなっていったように感じられます。神原、師岡、石橋らしばき隊界隈の者らと、しばき隊色が濃くなった『金曜日』がなぜ、こぞって伊藤詩織監督映画問題に雪崩れ込んでいるのか? 彼らのこと、なんらかの“思惑”があってのことだと推察しています。
浅野さんはいつからしばき隊支持者になったのかと、私たちが「カウンター大学院生リンチ事件」と呼び2016年以来、被害者救済、裁判支援、真相究明に当たり、多くの訴訟を争い、まさに死闘を繰り広げてきた(いまだに1件係争中)中で、非常に不快感を覚えました。
こうしたことについては私もFBで激しく批判しました。
そうこうしていると、伊藤詩織監督の元弁護団を代表し佃克彦弁護士から抗議の「通知書」が届きました。私たちなりに真正面から受け止め、その内容を吟味、検討いたしました。
こういう中で浅野さんは4月23日のご自身のFBにて、次のように記されています。
〈伊藤氏の前代理人弁護士たちの代理人、佃克彦弁護士から、鹿砦社気付で私にも、訂正要求の内容証明郵便が届き、同社から自宅に届いています。
今回の映画上映妨害事件の真実を解明するために、この文書は貴重な歴史的文書になるでしょう。
私は「訂正」は不要と考えています。
「紙の爆弾」の中川志大編集長(鹿砦社社長)に対応を一任しています。〉
この「中川志大編集長(鹿砦社社長)に対応を一任しています。」という事実はありません。なぜ、こんなことを仰るのか? 中川に「対応を一任しています」と、浅野さんが意図的に事実でないことを記述されているのか、「対応を一任」したと勝手に誤認されているのかはわかりませんが、事実でないことだけは確かなことです。
私は4月11日付けの浅野さん宛てのメールにて、
〈佃弁護士からの「通知書」について、鹿砦社と浅野さんとでは立ち位置が異なりますので、鹿砦社は鹿砦社で対応しますが、浅野さんは浅野さんで別個に対応し回答してください。共同歩調は取りません。〉
と申し述べさせていただきました。実際に佃弁護士には4月14日(月)に、鹿砦社としての「回答書」を送り(ファックスしたのち原本郵送)、全文の提示は今は差し控えますが、次のように回答、提案しています。
〈一 先生方(注:佃弁護士ら)の反論を『紙の爆弾』次号(6月号。5月7日発売)に掲載する。すでに他に決まっている原稿もありますので、4ページぐらいが希望ですが、公平性を保つ意味で言えば、どうしても、ということであれば、浅野氏の記事と同ページの8ページでも構いません。思う存分反論してください。ただし、GW進行のため4月18日原稿締め切りでお願いいたします。4月21日校了ですので。
二 浅野健一氏とは、立ち位置や見解が異なりますので、別々の対応でお願いいたします。浅野氏にも、必要に応じ氏は氏で対応し回答するように伝えています。
三 当分の間、本件(伊藤詩織監督映画問題)のみならずすべてにわたり『紙の爆弾』への浅野氏の寄稿は差し控えることを、同誌中川編集長には指示しています。〉
なので、連休明け5月7日発売の『紙の爆弾』6月号に佃弁護士名の反論が掲載されます。
佃弁護士より指摘されている箇所は、浅野さんが事実確認されて記述されたのかどうか、浅野さんは浅野さんで、「中川志大編集長(鹿砦社社長)に対応を一任しています。」などと逃げないで、自分が蒔いた種ですから、今からでも佃弁護士ら伊藤監督元弁護団に真摯に答えてあげて欲しいと切に願っています。佃弁護士からいちいち指摘されていることが事実か事実でないか、事実でなかったら潔く「訂正」すべきではないでしょうか。
◆《2》金正則について
浅野さんが先ごろ、その訴訟判決をFBで採り上げ、次いでたんぽぽ舎(鹿砦社東京編集室の2軒隣)での講座に招いた金正則は、いわゆる「しばき隊」界隈の人物で、大学院生М君リンチ事件においても加害者側を積極的に擁護した人物でもあり、6月の都議選に出るということからか、最近、SNSでも採り上げられています。
特に、リンチ被害者М君を精神的に追い詰めた「エル金は友達」という村八分運動でも賛意を示し投稿もしています(別途画像参照)。



また、彼の訴訟の代理人は、しばき隊の守護神といわれる神原元弁護士で、金正則を原告とし神原を代理人とする訴訟の勝訴判決では浅野さんのFBでも金、神原両人の画像が掲載され、私たちに不快感を与えています。神原弁護士は、今でもエル金こと金(本田)良平の代理人として鹿砦社と係争中ですし、私たちは2016年以来ずっと今に至るまで何件も訴訟を争っています。ほとんどの訴訟に神原弁護士が噛んでいますが、まさに死闘です。
金正則は6月の都議選に立候補するとのことですが、推薦人に大学院生リンチ事件で積極的に加害者側に立って動いた中沢けい、安田浩一らが名を連ねています。選挙が近づけば、浅野さんも名を連ねられるのでしょうか。
こういう人物を浅野さんは、たんぽぽ舎での講演に招いておられるのです。
先の伊藤詩織監督映画問題と併せ、傍から見れば、浅野さんがしばき隊に擦り寄っているように感じられます。

◆《3》故・山口正紀さんへの誹謗について
ジャーナリストの山口正紀さんの生前、山口さんと浅野さんが義絶され、両氏と共通して交流のあった方々を悩ませて来ました。私もその一人ですが、お二人の間の確執について詳しい内容は置いておくとして、あろうことか、浅野さんは、先ごろ亡くなられた山際永三さんの追悼記事で山口さんを誹謗されています。いくらなんでもこれはご法度です。人として死者に鞭打つことはおやめになったほうがいいでしょう。浅野さんの人間性が疑われます。私に山口さんが長年寄り添ってくれたことと同様、浅野さんにも、例えば「文春報道」の際には、ショックの浅野さんに親身になって寄り添ってくださったんじゃなかったんですか。山際さんは、浅野さんと山口さんとの確執には直接関係ないでしょう。故人を追悼するという厳かな記事にて山口さんを誹謗されるとは……私ならずとも、まともな感性を持った人なら不快感を覚えるはずです。
山口さんは、20年前の「名誉毀損」逮捕事件の公判を毎回東京から神戸地裁→大阪高裁までお越しになり傍聴され、この的確な報告レポートをその都度『金曜日』(当時は私と同学年で懇意にさせていただいた北村肇さんが発行人としていらっしゃって、まだまともでした)に寄稿いただきました。
そして、大学院生リンチ事件にも、私たちの問題提起に途中から事の重大さに気づかれ、山口さんなりに調査され、気骨のある真のジャーナリストとして長大な「意見書」を裁判所に提出いただきました。これは名文で『暴力・暴言型社会運動の終焉 ──検証 カウンター大学院生リンチ事件』に収録されています。末期ガンで病床にあっても、亡くなる直前まで準備書面や陳述書作成を手伝っていただきました。私(たち)にとっては恩人です。
そうした山口さんに対し、直接関係のない山際さんの追悼記事の中で誹謗するというのはいかがなものでしょうか? まったく不快感を覚えます。おそらく不快感を持つのは、口にして言わないだけで私だけではないと思います。
以上のようなことは、年少者の中川が大先輩の浅野さんに言えないでしょうから、浅野さんとの長年の関係から忸怩たる想いですが、私の独断で、あえて苦言を呈させていただきました。決して放置しておけることではありませんから。
はっきり申し上げて、特にこのかんの浅野さんの言動は、現在の私や鹿砦社の立場とは相容れません。20年前の「名誉毀損」逮捕事件ですぐに駆け付けていただいた恩義もあり、これまでは「浅野を切れ」といった周囲の“雑音”があろうが、「一つぐらいは浅野さんの原稿を載せる雑誌があってもいいんじゃないか」と、いわば仏心で浅野さんの寄稿を認めてきました。浅野さんがほぼ毎号『紙爆』に寄稿されるようになり、『紙爆』や鹿砦社から離れていった方々もいます。ある方など、かつて『紙爆』創刊10周年にあたり、わざわざ東京から西宮での集会に来てくださいましたが、先の20周年の4・5の集いには返事さえくれませんでした。
浅野さんは、私たち鹿砦社が、大学院生リンチ事件に長年関わり、しばき隊界隈とされる者らと何件も裁判闘争を闘ってきたことをご存知だったはずで、親しばき隊化され、まさに背後から殴られたような気持ちです。
今や、私や鹿砦社とスタンスの違いが明確になった以上、この期に及んでは、なにも『紙爆』に寄稿しないでも、金正則と懇意であれば、彼を通じ、西宮ゼミでも一緒した安田浩一らに頼み、『金曜日』と関係を修復し、こちらにシフトされたり他の雑誌を紹介してもらったほうがいいんじゃないでしょうか。
佃弁護士ら伊藤監督元弁護団への提案を俟つまでもなく、長年鹿砦社と対立関係にある、いわゆる「しばき隊」系の人たちとの諸々の関係などを考慮すると、当分の間、『紙の爆弾』への寄稿は差し控えていただくほうがお互いにとってもいいんじゃないかと考えています。
特段回答を求めてはいませんが、5月2日に以上のような内容を盛り込んだメールを浅野さんに送りました。真摯に受け止めていただければいいのですが……。 以前にも2度(4月11日)抗議のメールを送りましたが、なんのリアクションもありませんでした。先の《1》に挙げた4月23日付けの浅野さんのFBの記事が、そのリアクションだとすれば遺憾なことと言わざるを得ません。なにかしら開き直ったように感じられるのは私だけでしょうか。(本文中一部敬称略)
(松岡利康)
◎しばき隊リンチ事件 https://www.rokusaisha.com/wp/?cat=62