円満退社はいいことか?

エン・ジャパンの調査によると、退職時に本当の理由を伝えなかった割合が45%となっている。あえて隠す必要のない理由で退職する人のことも考えたら、会社に何らかの不満があって辞める人が、建前の理由を伝える割合はもっと上がるだろう。

建前として伝えた退職理由は「家庭の事情」「仕事内容」「体調」の合計で68%にもなるが、本当の理由は「社風や風土」「人間関係」「給与」「待遇」の合計で66%となる。いかに本音を隠して円満退社をしているかが伺える。

生活術や仕事術といった書籍でも「会社の不満を言ってキャリアに傷をつけるよりは、円満に退社するべき」といった意見が書かれている。私が20代の頃に買った仕事術の本にも同じようなことが書かれていた。確かに自分のことだけを考えれば当然のことだ。円満退職していれば、仲の良かった元職場の人とも交流が続くこともあるし、コネやパイプも残せる可能性がある。しかし会社と喧嘩して辞めてしまえば、それらを失うばかりか、元職場から悪評が流される恐れもあり、同じ業界に転職する場合は大きな足かせになる。

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猪瀬直樹5000万円“借金”問題に見る、元“革命家”の地金

普通なら返済が終われば破棄してしまう借用書が、今さら出てくるとは、「エビデンスが大事」と言ってきた、猪瀬直樹ならでは、といったところか。
猪瀬直樹知事が、「徳洲会」グループから選挙前に5000万円を受け取っていた件。11月29日からの都議会定例会で、追及を受けるのは必至であろう。

人間というものは、知識や経験によって変わってくるものだが、基本的な行動様式は変わらないものなのだな、としみじみと感ずる。
猪瀬知事はノンフィクションライターであった。権力の闇を突いてきた彼が、なぜ自分のことになると曖昧模糊とした説明しかできないのか? といった、疑問や批判が巻き起こっている。
だが忘れてはならないのは、猪瀬はノンフィクションライターになる前は、革命家だったことだ。

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宮古口(ミャークフツ)で歌う、下地勇の魅力

熊本で行われたフェスティバル『琉球の風2013』に参加してから、下地勇というアーチストにはまっている。沖縄の宮古島のことば、宮古口(ミャークフツ)で、彼は歌う。
『島唄よ、風になれ! 「琉球の風」と東濱弘憲』でインタビューに応えてくれた宇崎竜童は、下地勇の歌は、最初聴くと、シャンソンみたいに聞こえる、と言っていた。

ヒット曲『おばぁ』を聴くと、確かにシャンソンみたいだ。
『おばぁ』の歌詞の一部を文字にすると、「ヴ’ ヴぁが つ^ふい^ い^ずぬ まあすにぬ いつ^ばん む’ まむぬてぃ」となる。
標準語にはない、Vの音があるのだ。「つ^」などと表記されている文字は、zzzzやssssの発音を伴う。

宮古口で、神や蟹は仮名で書くと「かん」だが、神はkam?で、蟹はkanだ。
標準語にはない発音が宮古口には多く、その連なりはフランス語の音によく似ている。
なにしろ、「畑」は「パリ」というのだ。

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書店とエロ本の衰退に見る、知の格差の始まり

うちの近くの小さな書店がつぶれた。すぐそばに大型書店があるのだから、よく今まで頑張っていたと思うが、とうとう力尽きた。
1999年に全国で22296軒あった書店は、2013年の5月には14241軒になった。8055軒の減少。1年に537軒が無くなっている。

出版不況の中でも、エロ業界の苦境は際だっている。サン出版は、子会社のマガジン・マガジンに社員を移して解散。竹書房はエロ本から撤退。東京三世社や英知出版、平和出版は倒産した。
KKベストセラーズの『ザ・ベスト』本誌が廃刊になったのは、2011年の夏だった。
かつては隆盛を極め、『ザ・ベスト スペシャル』『ザ・ベスト オリジナル』などたくさんの姉妹誌が出ていた。『ザ・ベスト』廃刊の時に打ち合わせに行くと、だだっ広いフロアにたった一つだけになった机の島に、姉妹紙の編集長だった者が、一編集者として肩を寄せ合っていた。まるで冬山で、1つのたき火に集まって、なんとか暖を取っているように。

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ポール・マッカートニーに覚えて欲しくない日本語 その2

今回の来日に際し「年齢的に最後だ」「今後ポールを観ることはできないだろう」とあちこちで言われ、書かれていた。ステージを観る限り、そんな心配は不要だ。ポールの敬愛するチャック・ベリーだって80歳を越えてまだライブをこなしている。きっと10年経っても、ポールは同じようにステージに立っているだろう。むしろ、20曲2時間程度でステージを終わらせる若手ミュージシャンに言いたい。ポールは70歳を越えて40曲弱、3時間近いライブをやっていると。

曲目も圧巻だ。ビートルズ時代からウィングス、ソロ作品とヒット作、有名作、多くの記録を打ち立てた曲の数々をこれだけ披露できる人物は、他にはいない。

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武装革命路線に進む中国民主化運動

中国では、北京の天安門前に続いて、山西省の共産党ビルに対する爆破テロ事件が生じた。
実はこうしたテロ事件は氷山の一角で、ここ20年間、開放改革によって著しく拡大した貧富格差によって、貧しい農民たちによる武装叛乱事件が続発している。その数は、年間大小の叛乱は数万件にも及んでいる。
1989年6月4日の天安門では、学生、学者などの知識人を中心とした蜂起であった。
その後、中共政府は知識人の不満を緩和するために、一層開放改革の速度を速めた。
その結果、知識人たちは事業を興し、金と名誉と安定した生活を獲得した。
その一方、開放改革に取り残された農民たちは著しく貧しくなり、喰うや喰わずという情況に陥った。

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田中将大投手の大リーグ入りを阻む、わけのわからないポスティング制度

メジャーリーグ機構(MLB)と日本野球機構(NPB)の間で、合意寸前までいったのに、白紙に戻った新ポスティング制度。年末までに合意するはずなのだが、いったいなにがどうなっているのか、本当にわかりにくい。

「新制度は、かつての制度の最高金額を、日本の球団がそのまま受け取るシステムから、最高額と二番目の中間に金額を減らすとしたもので、十月末にはほぼ合意。ところが、11月1日に日本プロ野球選手会の嶋会長(楽天)がストップをかけた。結果、11月14日に『2年間、限定とする』としたものの、MLBはおかんむりに。アメリカ側でくすぶっていたポスティングシステムの制度そのものの反対論を再燃させたのです」(スポーツ紙関係者)

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ポール・マッカートニーに覚えて欲しくない日本語 その1

11月18日、東京ドームにポール・マッカートニーが「Get Back」帰ってきた。11年振りの日本公演は「Eight Days A Week」で幕を開ける。ビートルズ時代には演奏されなかった曲が、今回のワールドツアー「Out There」で披露されることとなった。

2曲目は先月発売されたばかりのニューアルバムから「Save Us」を熱唱。たった2曲で、50年にも渡るポールの長い歴史を感じさせてくれる。アップテンポで激しいロックナンバーを歌うポールから、トップスターであり続けている貫録が感じられる。

ブラジルから始まった今回のワールドツアーでは、ビートルズの曲目が多いことが話題になっていた。演奏曲の半分以上がビートルズ時代のものだ。私がオールド・ロックンロールに興味を持ったのも、ビートルズからだ。1970年代に生まれた私は、エルヴィス・プレスリーに間に合わなかった。バディ・ホリーもエディ・コクランも既に亡く、ジョン・レノンは私が3歳の時に亡くなった。当然ビートルズにも間に合わなかった。

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電子書籍による個人出版はどうなんだ!? 企業と揉めたライター奮戦記25 最終回

その電話以来、榛野氏とは全く連絡はとっていない。
今は契約解除の方向でいろいろなところに話を聞いているが、なかなかスムーズに行かないのが実情だ。今すぐに契約を解除する場合は榛野氏から言われた通りの額を払うのが早いのかもしれない。しかし、発売当初は印税が入ったものの時間が経つと全く売れないため、売れないもののためにお金を払う気は今のところない。3年経てば契約解除できるのだからそれまで待つ方向で考えている。個人出版は作品内容に関わらずまだまだ儲からない。新しい作品を次々と出し、人目に触れ続けることでファンが付く、その流れで前作を買ってもらうというのが今のところ利益が出る方法かもしれない。

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相変わらず頓珍漢な「評論家」呉智英

何年も前に一度だけ『紙の爆弾』に登場して部落差別について述べ、それっきり再登場は無い「評論家」の呉智英は、かつて『宝島』で可笑しな発言をし、続けてあの『朝まで生テレビ』という番組に出るようになって奇妙なことを言い出した人だ。その当時、彼の変な言動は『噂の真相』によく揶揄されたものだ。

特に呆れたのは部落差別についての発言だった。呉はスタジオで「天皇がいるから差別があると言った人がいるけれど、南アフリカ共和国には天皇がいないけど差別があるじゃないか」と興奮した調子で喚いていた。

人種差別のように外見が異なるわけでもないのに、同じ人種と民族で差別があるから、そういう説がある。これをどう考えるかはともかく、前提を知らずに人種差別の問題を引き合いに出すとは、無知どころでは済まないお粗末さだ。
ところが、こんな人がまだ評論家として活動しており、では少しは進歩したのかというと、相変わらずであった。

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