翌日、出社すると社長の姿が無い。遅刻も多い人なのでさほど気にしないでいると、社長からメールが一通届いている。
「一週間ほど、タイに行ってきます」
仕事が遅れに遅れているのに、一週間のバカンスへ行ってしまった。現実逃避も甚だしい。無駄と思いつつ電話をかけるが、やはり繋がらない。メールも返事がない。
土方さんは猛烈に怒るかと思ったが、逆に笑っている。
「ありえへんわ。しょうもない男やな」
と言って、社長の居ない間に開発ソースを全部引っ張り出して、セントラルの社員で修正作業に着手する。今まで社長一人でやっていたので、大変な手間がかかる。それでも全部書き直すぐらいの事をした方が、まだ完成の見込みが立つと思ったのだろう。それは実質、イーダを切り捨てることを意味する。
筆者が冤罪の疑いを抱き、取材していた事件の被告人の男性が先月4日、最高裁に上告を棄却され、有罪が確定した。その男性は、森田繁成氏(44)。発生当初に大きく報じられた事件の被告人だから、名前をご記憶の方も少なくないだろう。
広島県の呉市で体を切断されるなどした猫の無残な死骸が公園や河川敷、路上などで見つかる事件が約1年に渡り、延々と発生し続けている。昨年3月に西惣付町で上半身だけの姿になった猫の死骸が見つかったのを皮切りに、同8月に1件、同10月に6件、同11月に2件、同12月に4件、今年1月に2件、同2月に5件……と遂に20件を突破。この間、この連続猫虐殺事件は地元マスコミのみならず、週刊誌やスポーツ紙でも次々に報じられ、全国的に関心を集める事案となっている。
「どうかマスコミの皆さん、皆さんも何度も過ちを犯してきたわけです、足利事件を含めて。報道のあり方も問われているんだから。警察がこれからも拘束したら犯罪だと言いましたが、いいですか、これから皆さんも同じように警察情報を垂れ流したら、皆さん自身の犯罪です! 犯罪報道の犯罪だと思う。だからどうか皆さん、自分の胸に手を当てて、自分はいったいどういうことでペンをにぎっているのか、考えてもらいたい」