今こそ同志社を<反戦の砦>に!教職員有志「安保法制を考える緊急集会」開催

同志社大学で7月25日、「安保法制を考える緊急集会」が行われ250名以上が集まった。「同志社平和の会」が主催し、「安保法制に反対する同志社大学教職員有志」、「村田学長の公聴会発言に対して抗議する同志社学生有志の会」が共催し学生さんが司会を務める中、会はほぼ予定通り17:00から始まった。

◆鶴見俊輔さんへの黙祷で始まった良心の集会

会の冒頭主催者の出原政雄教授から、20日に逝去した元同志社大学教員でもあった鶴見俊輔さんへの黙祷が呼び掛けられ参加者は起立して黙祷を捧げた。個人的にもお宅に何度も伺った鶴見さんの逝去がこのタイミングに重なったことは、あの穏やかな語り口から「同志社は一体どうなっているんですかね。もう良心は死んだのですか?」との声が聞こえて来そうだった。

会の前半は既に声明を出している同志社大学教職員、学生代表、同志社中学の先生、京大・立命館の先生方からそれぞれお話があった。出色だったのは、言葉は穏やかだったが怒りを含んだ学生代表と中学の先生方のお話だった。学生代表は「教職員よりも先に声明を出そうと思ったが間に合わなかった」と述べながらも、村田発言の問題点を正確に抽出、指摘していた。

◆同志社にはまだまだ真っ当な教師たちがいる

同志社中学の先生方は「13日の村田学長の発言を聞いて、学年末の忙しい時期だったが何としても早く声明を出すべきだと思い翌日には声明をまとめた。学長に手渡そうと出向いたが受け取りを拒否され、その場に抗議声明を置いてきた。生徒は毎朝の集会で不安になっている『僕ら戦争に行かんとあかんの?』と聞いてくる生徒もいる。私達は中学が職場だが学長を辞任させるまで大学の人を応援するので頑張って欲しい」と語った。真っ当な教師の姿ここにあり、との印象を受けた。

だが、一部の教員の発言は時間だけがやたらに長く、内容的には「緊急集会」の名に値しない間延びしたものだった。あたかも通常の講義を行っているかのようで概して「緊張感」がない。そして何よりも「怒り」が感じられない。

◆鹿砦社松岡社長も緊急アピール! 「同志社を<反戦の砦>に!」ビラを配布!

前後するがこの日の集会には松岡社長が「緊急アピール! 稀代のファシスト=村田晃嗣学長を退陣に追い込み 同志社を〈反戦の砦に!〉」と銘打ったビラを持参し会場前、参加者に配布していたが、そこへ出原政雄教授がやってきて「人格を誹謗中傷するのはこの集会の趣旨ではないのでこのビラを回収してくれ」と要求してきた。なに? 戦争推進法案に賛成した村田を批判するビラが「人格攻撃」だからそれを巻くな、回収しろと?

出原氏が問題視したのは、「学生を戦場に送るのに熱心な学長」など殺人者と変わりません。私達は同志社を卒業して何十年かぶりに、体の奥底からの怒りを抑えることが出来ません。村田学長は政治学者ですが、人間性を持ち合わせない〈悪魔〉であることが明らかになりました」の部分だ。

この指摘には呆れるほかなかった。戦前を通じて初めて国会の場で「戦争法案賛成」を表明した私立大学学長への、筋違いな過剰なまでの配慮。戦争を牽引することは「個人研究者の意見」として許される、戦争を誘引する発言は「穏やかな表現であれば」許される。逆に直接的な表現を用いると「人格批判」として排除しようとする。

村田が極悪・史上最悪の国会内での発言を行い、それを問題にする集会でもこのような「言葉狩り」が行われている現実こそが村田のような人間を学長に押し上げ、その暴言を放置する遠因になっているのではないか。そんな的外れな「品性」や「体裁」ばかりに気を回しているからこそ村田の暴走を許したのだという反省が、概して同志社大学には欠如していると感じた。

このビラについては、実質的な教職員有志のまとめ役である板垣竜太先生に相談し「この表現問題ありますか」と伺ったところ、「いや私は問題を感じませんが」とご了承頂いたので、結局無事に配布することが出来たが、村田が調子に乗る学内的要因を図らずも垣間見る機会とはなった。

同志社OB鹿砦社松岡社長もリレートークで緊急アピールを行った

◆同志社はなぜ村田のような超ファシストを大学長にまでしてしまったのか?

主催関連団体の挨拶に次いで「リレートーク」が行われた。合計16名の発言者が5分の時間制限時間内で意見を述べた。松岡社長も発言に立ち「昔は良かったという言い方はしたくないが、同志社の空気は変わったと思う。なぜ村田のような超ファシストを学長にまでしてしまったのか。はっきり言うが教職員の方々にも責任はあると思う。これまで卒業以来大学内の問題に関わることがなかったが、同志社が私にも母校愛がある。今日はチラシを配らせてもらったが主催の先生から『人格攻撃』しているから配布するな、回収しろとまで言われた。そんなケツの穴の小さいことを言っているから村田のような人間がのし上がって来るのではないか。そんなことを言っている場合か。もっと体を張って、村田退陣、安保法案阻止の闘いを期待したい。主体は学生、教職員だから我々は後方支援をしてゆきたい」と語った。

次いで私の発言となり思いの一部を述べた。

この日の集会はたぶん主催者も予想以上の人数が集まり3時間を超える会となったが、様々な立場から多くの人の発言があり大変意義深い集会だったと言えよう。とりわけ短時間でこの集会を準備した関係者の方々のご苦労には敬意を表したい。

◆250名もの良心が集まった理由──村田に辞任を求めない集会に意味があるのか?

だが、残念だが何かが欠けていたように感じる。大学では講演会やシンポジウムが頻繁に行われるが、その空気感と大差がなかったように感じたのは私だけであろうか。

私はこの会を実質的に運営した板垣竜太先生と学生諸君には特に再度深い敬意を払う。同志社中学の先生方の熱意も実感した。

だが、最後に再び登壇した出原教授は「この会は議論を目的にしている、村田学長への批判は予想されていたが『人格攻撃』はならないと考える」と再び述べたにとどまらず「会の目的は『村田学長に辞任を迫るものではない』」とまで言及した。

では、この「緊急集会」の意味は一体何なのだ。参加者の少なくない人々が村田許せぬ。即時退陣を願っているからこそ250名を超える人数が集まったのではないか。この発言は決定的に問題の本質を捉えていない。許せないと感じた私を含めた多くの人から声が上がった。

「村田に辞任を求めない集会に意味があるのか?」

こう発言した私に出原教授は「集会の趣旨と違うから出て行ってください」と言い放った。更にその発言を糾弾すると私の前に座っていた教員が「静かにしろ!黙って聞け!」と立ち上って迫ってきた。

何を考えているのだ、あなた達は。私に向ける「言論弾圧」のエネルギーがあればそれをすべて「村田打倒」に向けたらいいではないか。近年アカデミズムの世界でも「回りくどい」言い回しで煙に巻く話法が流行している。その意味が戦争賛成である「回りくどい言い回し」は「直接的な反論言語」よりも高尚とされる。表現の細かな部分の揚げ足取りで発言を封じ、あからさま悪意が「修辞」を纏って闊歩することは往々にして問題にされない。

ここだ。ここに「知」の退行がある。そして人間として当たり前に感じ、表現すべき「怒り」への抑制と蔑みがファシズムを下支えしている。

身近なファシズムを打破するところから始めなければ、と再度痛感した1日でもあった。

当日、配布禁止回収を求められた緊急アピールチラシ(表面)
当日、配布禁止回収を求められた緊急アピールチラシ(裏面)

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

◎《大学異論40》同志社大学長発言を「個人の意見」と容認した理事会に反省なし!
◎《大学異論39》同志社の「良心」は「安保法案」賛成の村田晃嗣学長を許すのか?
◎なぜ安倍政権には「正論」が通じないのか?──加速度を増す日本の転落

自粛無用のタブーなき月刊誌『紙の爆弾』!

《韓国特派員・ウナの留学日記》「ゆとり」は世界の共通語!?

現在、私は韓国の某地方都市にある大学に語学留学をしています。世界中から同じ目的の仲間が集まっています。が、これがまたドイヒーな状態です。

「先生、おしっこ!」

「先生、水!」

そう言って授業中にすっくと席を立ち、教室から出て行こうとするのはアメリカ人やカザフスタン人。恰幅のよさがマツコ似のウクライナ人女性と、お付きの者にしか見えないほど激ヤセしているキルギスタン人の青年は、ほぼ毎日「歯が痛い」「お腹が痛い」と言って授業を休んでは、ランチタイムになると絶好調の姿を見せて談笑しています。そんな彼らを先生は目撃してしまい、「あの子たちは歯が痛い、お腹が痛いと言うけれど、私は頭と心が痛いわよ」と、ため息をついてました……。元気出して……。

また私の答案をちょいちょいチラ見する中国人の男性は、ある時先生が「じゃあ今説明したところで文章を作って、発表しましょう~」と言った瞬間、机の上に置いてあった私のカバンを払いのけてまで急接近! ノートを覗き込んで答えを写そうとするものの、訳文を日本語で書いてあるのを見て、すごすご引き下がることもありました(中国語で書くわけがない)。またハングルがひとつもわからない状態で来てしまった別の中国人男性は、毎日机の下にスマホを隠し、勉強そっちのけでゲームに興じておられます。

そして私自身、下宿よりも安いという理由で学生寮に入ってしまったのですが、これも大失敗。深夜までロシア語による「ダバーイ!」などの雄叫びが響いて、正直寝るどころではありません。まさに世界中から、『ゆとり』が集まったと言える環境です。

ただそんな中でも日本の皆さんは、比較的真面目に勉強している姿が目につきます。中国やロシアの留学生の中には応じたら負けだと思っているのか、こちらがにこやかに挨拶してもガン無視するのも結構いるのに、彼ら彼女らは自分から挨拶する人も。

しかしいつも同じ仲間と一緒にいて「それ以外とは絶対関わらない!」といった空気を醸し出している集団もいるし、わからないと思っているのか、でかい声で「ちんちん!」と日本語で叫んでいる青年もいるので、「日本サイコー!」とは、間違っても言えない状況です……。

日本にいた数か月前まで、いわゆる『ゆとり」』は日本固有のものだと思っていました。世界の若者はもっとしっかりしていて、自分を持っていて、真面目に日々を生きている。

しかしそれは思い込みでしかないということを学んだのが、一番の成果かもしれません(嬉しくない)。

この先、『ゆとり』君たちは変わっていくのか、それとも『ゆとってる』まま本国に戻るのか。勉強がてら観察することにしたいと思います。

▼サ・ウナ
韓国の地方都市にある某大学に留学中の女子大生。世界中から来ている学生たちによる、ミックス言語で繰り広げられている「かわいい~」「○○さんかっこいい~」「○○が××のことを好きだって言ってたよ~」などの会話に、日夜イライラしながら学業に勤しむ25歳。

◎《韓国特派員・ウナの留学日記》MERSアタック!? in ソウル
◎《ウィークリー理央眼006》戦争法案に反対する若者たち vol.2 札幌
◎〈生きた現実〉の直撃弾──鹿砦社松岡社長が自身の逮捕経験を「告白」講義
◎《大学異論37》沈黙する大学の大罪──なぜこんな時代に声を上げないのか?

タブーなきスキャンダルマガジン!月刊『紙の爆弾』話題の8月号絶賛発売中!

 

《ウィークリー理央眼011》戦争法案に反対する若者たち VOL.6 国会前








「戦争法案」が衆議院の特別委員会で強行採決された7月15日、それに反対する市民10万人が国会議事堂前に大集結した。
19時半、SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動)が主導した抗議時間になると、「安全保障関連法案に反対する学者の会」からは発起人の上野千鶴子・東京大学名誉教授、同会呼びかけ人の山口二郎・法政大学教授が登壇。学生を鼓舞するスピーチに国会前は一気に怒りのピークタイムを迎えた。野党からは民主党・枝野幸男幹事長、共産党・志位和夫委員長、社民党・吉田忠智党首といった党幹部らも続々と駆けつけ、学生らに囲まれながらマイクを握り、共に怒りの声をあげた。
国会前にはこのようにスピーカーや参加者として学生を支える「大人」の他に、抗議を無事に終えられるよう、抗議に慣れていない参加者でも安心して来ることができるようにと、自主的にガードをして見守る「大人」や、ボランティアの給水所や救護所を作り、抗議の場を支える「大人」が学生と「共闘」している。

今や、世代、立場、党派を超えた人々の抗議の「器」となったSEALDsの国会前抗議ではその夜、歩道から溢れ出した人々が国会正門前の車道上にまで広がり、若者たちの怒号のようなコールが深夜まで鳴り響いた。

SEALDs:サイト / Twitter / Facebook

[2015年7月15日(水)・東京都]

▼秋山理央(あきやま りお)
1984年、神奈川県生まれ。映像ディレクター/フォトジャーナリスト。
ウェブCM制作会社で働く傍ら、年間100回以上全国各地のデモや抗議を撮影している現場の鬼。
人々の様々な抗議の様子を伝える写真ルポ「理央眼」を『紙の爆弾』(鹿砦社)で、
全国の反原発デモを撮影したフォトエッセイ「ALL STOOD STILL」を『NO NUKES voice』(鹿砦社)にて連載中。

《ウィークリー理央眼》
◎《010》戦争法案に反対する若者たち VOL.5 鳥取
◎《009》戦争法案に反対する若者たち VOL.4 新潟
◎《008》札幌攻防戦!ヘイトスピーチを撮影せよ!
◎《007》戦争法案に反対する若者たち VOL.3 渋谷
◎《006》戦争法案に反対する若者たち VOL.2 札幌
◎《005》戦争法案に反対する若者たち VOL.1 京都

世代、地域を超えて「新たな脱原発情報ネットワーク」の構築を試みる『NO NUKES voice』

 

和歌山カレー事件発生17年、直接取材に逃げ回った「疑惑の主任検事」

当時の捜査関係者たちはいま、再審請求審の行方が気になって仕方ないだろう。もうすぐ発生から17年になる、和歌山カレー事件のことである。

札幌地検のホームページで検事正としてあいさつする小寺氏

1998年7月25日、和歌山市園部の夏祭りで何者かがカレーに猛毒のヒ素を混入し、60人以上が死傷した。捜査の結果、現場近くに住む主婦の林眞須美(当時37)が殺人などの容疑で検挙され、2009年に死刑確定したが、一貫して無実を訴える眞須美には冤罪の疑いが根強く指摘されてきた。そして今年、和歌山地裁の再審請求審で弁護側が「眞須美の周辺で見つかったヒ素」と「現場で見つかったヒ素」が異なるという京都大学・河合潤教授の意見書を提出。これに対し、地裁がどんな判断を下すかが注目されている。

そんな状況の中、今年の7月25日をいつも以上に特別な思いで迎えるに違いない捜査関係者がいる。小寺哲夫という。この事件の主任検事として捜査、公判を担当した人物だ。現在は札幌地検の検事正に出世しているが、今年3月で62歳になった。検察官の定年は63歳(検事総長のみ65歳)だから、小寺が現職の検察官として7月25日を迎えるのは今年が最後になる見通しだ。

そこで、筆者は今年の3月から小寺に対し、繰り返し手紙や電話で取材を申し入れた。検察を去る前に、和歌山カレー事件の捜査、公判で警察、検察が行った不正を洗いざらい打ち明けてもらうためである。

◆疑われているのは冤罪だけではない

というのも、この事件はかねてより冤罪の疑いのみならず、捜査、公判を通じて警察、検察が数々の不正を行った疑いも指摘されてきた。

たとえば、眞須美宅の台所で見つかったとされる「ヒ素の付着したプラスチック容器」はこの事件の最重要物証だが、捜査員によるねつ造説が根強い。事件発生から2カ月以上経ち、眞須美が逮捕されてから行われた家宅捜索で発見されたうえ、表面にヒ素を意味する「白アリ薬剤」という言葉が大きく書かれているという不自然なシロモノだからである。

また、眞須美は事件以前から夫の健治や知人の男らにヒ素や睡眠薬を飲ませ、保険金詐欺を繰り返していたとされ、この「事実」が裁判ではカレー事件の有罪の状況証拠とされている。しかし、これも実際には、保険金をだまし取るために詐病で入院を繰り返していた健治や知人の男らを警察、検察が「被害者」にでっち上げた疑いが指摘されている。そもそも健治は公判で「ヒ素は自分で飲んでいた」と告白しているし、知人の男らは捜査段階に警察官宿舎で数カ月に渡って捜査員らと寝食を共にしていたことなど不審な点が多いためである。

和歌山カレー事件の捜査、公判でこのような不正が行われた疑惑の真相について、捜査、公判共に担当した検事である小寺が何も知らないことはありえない。だからこそ筆者は小寺に取材を申し入れたのだ。

◆繰り返された場当たり的な回答

取材依頼の手紙は5回に渡り返送されてきた

結論から言うと、小寺は筆者の取材依頼に対し、逃げ回るような対応に終始した。筆者は3月から6月にかけて5回に渡り、小寺に手紙で取材を申し入れたのだが、そのたびに同封しておいた切手やテレフォンカードと一緒に手紙がそのまま送り返されてきた。筆者もそのたびに札幌地検に電話し、小寺に取り次ぐよう求めたが、小寺は広報担当者に対応を任せ、自分は一度も電話に出ないという姑息な態度を繰り返したのだ。

もっとも、こうしたやり取りの中で興味深かったことがある。小寺は筆者の手紙を返送してくるたび、広報担当者に指示し、取材を断るコメントをワープロ打ちした紙切れを同封してきたのだが、そのコメントがいつも場当たり的なごまかしの内容だったのだ。

まず、最初の2回の取材依頼の手紙に対し、小寺が返送する際に同封してきた紙切れのコメントは次のようなものだった。

〈具体的な事件の捜査、証拠関係についての取材には応じられません。〉

まさに木で鼻をくくったような回答だ。ただ、札幌地検の広報担当者に電話で確認したところ、筆者の取材依頼の手紙は地検に到着後、小寺本人に渡る前に他の職員が開封していたという。それでは小寺も部下の手前、このような取り繕ったコメントしかできないだろう。

そこで、小寺に対する3回目の取材依頼の手紙は、札幌地検の職員を使わずに自分自身で対応するようにしたため、封筒に「親展」と朱書きして送付したところ、返送されてきた手紙に同封された紙切れのコメントは次のようなものだった。

〈事件の取材は、検察庁の広報を通じて対応致します。
検察官には守秘義務があり、検察官が個別の事件について、個人として取材を受けることはありません。〉

小寺は個人として取材を受けないことを正当化すべく、このような弁明をしてきたのだ。しかし筆者は手紙で小寺に対し、取材を依頼する趣旨は和歌山カレー事件の捜査、公判で警察、検察が不正を行った疑惑に関する事実確認だと伝えてある。検察官が個人的に捜査、公判で行った不正を取材者に明かしても、それは通常、「正当な内部告発」や「犯行の自白」と認められ、守秘義務違反に問われることはない。小寺の弁明は明らかに失当だ。

4回目の手紙でそのことを伝えつつ、改めて取材を申し入れると、今度は返送されてきた手紙に次のようなコメントが書かれた紙切れが同封されていた。

〈捜査・公判において不正を行った事実はありません。
検察官には守秘義務があり、検察官が個別の事件について、個人として取材を受けることはありません。〉

要するに、小寺も捜査、公判での不正に関する取材依頼については、「守秘義務違反になるから個人で取材には応じられない」という弁明が通用しないことは理解したらしい。そこで今度は「不正を行った事実はない」と言い張って取材を受けずに済まそうとしたわけだ。

そこで筆者は小寺に対し、今度は取材で掴んだ事実をあててみた。それは、和歌山カレー事件の捜査、公判において、警察、検察が不正を行っていたことを裏づける次のような2点の事実である。

1、眞須美や健治と一緒に保険金詐欺をしていた人物の1人が検察官たちからその弱みにつけこまれ、眞須美に殺されかけた被害を訴えるように強要されていたことがこの人物の兄の証言により判明していること

2、眞須美が知人の男たちに睡眠薬を飲ませた現場とされる岸和田競輪場、近畿大学付属病院内の喫茶店、和歌山市内の喫茶店などにおいて、警察、検察が現場検証や目撃者探しなどの捜査をまったく行っていないことが現場関係者の証言などで判明していること

◆不正を認めたに等しい対応

5回目の手紙では、これらの事実を示したうえ、捜査、公判を担当した検事である小寺もこれらの事実を知らないはずはなく、小寺は本来なら証拠隠滅罪や犯人蔵匿罪などで処罰されるべきであることを指摘。そのうえで「反論したいことがあれば、反論するように」と求めた。すると、今度は返送されてきた手紙に次のようなコメントをしたためた紙切れが同封されていた。

〈検察官が個別の事件について、個人として取材を受けることはありません。〉

要するに決定的な事実を示され、小寺は不正を行っていないなどと言い張ることができなくなってしまったのだ。つまり小寺は事実上、和歌山カレー事件の捜査、公判において警察、検察が不正をはたらいていたことを認めたのである。

筆者はこの事件を長く取材し、林眞須美は冤罪だと確信しているが、今後、眞須美が冤罪であることが明らかにされる過程では警察、検察がはたらいた数々の不正も一緒に明らかにされなければならないと考えている。小寺ら捜査関係者に対する追及は今後も続けていく。

場当たり的なごまかしのコメントを繰り返した小寺氏

▼片岡健(かたおか けん)
1971年、広島市生まれ。早稲田大学商学部卒業後、フリーのライターに。新旧様々な事件の知られざる事実や冤罪、捜査機関の不正を独自取材で発掘している。広島市在住。

◎3月に引退した和歌山カレー被害者支援の元刑事、「美談」の裏の疑惑
◎「絶歌」で市民に「配慮」求めた明石市、不明瞭なアウト・セーフの線引き
◎発生から15年、語られてこなかった関東連合「トーヨーボール事件」凄惨な全容
◎国松警察庁長官狙撃事件発生20年、今年こそ「真犯人」の悲願は叶うか

「出所者が語る全面リニューアルの大阪拘置所」など話題満載『紙の爆弾』8月号絶賛発売中!

 

《格闘技“裏”通信04》BLADE.2 JC-55kg──優勝候補は16歳の那須川天心!

8月1日(土)東京・大田区総合体育館で開催される『BLADE.2 JAPAN CUP -55kg』の記者会見が、6月8日(月)都内にて行われたのでいってきた。

概要と一部対戦カードが発表された。 注目の55kg級トーナメント、REBELSの山口元気代表によれば、「誰が天心選手を止めるのか、止められる存在になれるのか」と、天才にして、優勝候補である16歳高校生キックボクサー、6戦無敗のRISEバンタム級王者・那須川天心(TARGET)をメインファイターとして指名。テーマを「ストップ・ザ・天心」とした。那須川は「中心選手と思われて光栄です。誰が来ても勝てるように練習したい」と強気に発言をしていた。

中央が那須川選手(グレーのスーツ)
6戦無敗のRISEバンタム級王者、那須川天心選手は16歳の高校生

WBCムエタイ日本・INNOVATIONの2冠王・宮元啓介、UKF世界スーパーバンタム級王者ユウ・ウォーワンチャイ(大田原友亮/ウォーワンチャイムエタイジム)、REBELS王者工藤政英、REBELS推薦・小笠原裕典の5選手出場が発表、他は調整中としている。

とりわけ城戸康裕がペトロシアン弟に挑むが、アウェイの外国で「わけがわからない、自転車をこぐ健康診断をやらされて疲弊した」とぼやいていたが、リベンジなるか。

本格的なキックを見たいなら、今現在は、見るイベントは限られる。なにしろキックボクシングは、それぞれの団体が仲がよろしくなく、ひじ打ちがあったりなかったりするのでルールも統一されていない。くわえて、誰もがキックのムエタイの王者になりたがるので、さっぱり意味がわからない。そもそもキックとムエタイは別物で、ムエタイは技を競うスポーツ。ムエタイは、キックとちがってノックアウトを美しいものだとはみなさない。相手の攻撃をうまくかわして勝利することが「もっとも美しい勝利」とされているからだ。

また、このところ「キックボクシングエクササイズ」なるものもできた。音楽に合わせてエアロビのようにパンチやキックを繰り出す。これは全身運動なので、かなり引き締まる。

かくいう僕も月に2、3度行くが、ひとりでやる気にはなれない。周囲には二十代、三十代の男女が踊ってパンチを繰り出しているが、やはりみんなで楽しむものなのだろうと思う。市の、もしくは区のスポーツジムでもクラスとしてやっているので、運動不足のむきは、探してみるのもいいだろう。

◆元K-1世界王者ピーター・アーツ、またもや正式引退を発表

またもか、という気がするがこの会見では、昨年12月29日に開催された『BLADE.1』のリング上で、次回大会に出場することを表明していた元K-1世界王者ピーター・アーツ(オランダ)だが、負傷の回復が思わしくなく正式に引退することが発表されていた。

アーツはビデオレターの中で、「ケガの回復が思わしくなく自分は引退することを決めました。もう試合は出来ません。今後は指導者として選手を育てていきます」と語っている。

「いったい、何度目の引退なのか。大会のたびに目玉として呼ぶのはいいが、客寄せ選手としては、疲れたのではないか」と関係者はささやいている。

2013年12月、東京・有明コロシアムにて開催された『GLORY 13 TOKYO』で引退試合を行ったアーツだが、その後、引退を否定。数試合を行ったが今回は本当に現役引退のようだ。

とにかく5月に村越優汰(湘南格闘クラブ/RISEバンタム級王者)をKOで倒した那須川の俊敏な動きとハードなパンチ、キックに注目したい。ドラマは8月1日に必ず起きるであろう。

[BLADE] http://blade.jp.net/

■BLADE.2 JAPAN CUP -55kg
日時:8月1日(土)開場13:30 本戦開始15:00
会場:大田区総合体育館 最寄り駅京急線「京急蒲田」駅・「梅屋敷」駅
中継:ニコニコ生放送で生中継 7時間全試合CS放送「Sky・A sports+」8/4(火)18時~25時(9月に選手インタビュー・バックステージを網羅した完全版放送)
チケット料金:SRS席 (1~3列)  20,000円、RS席 (アリーナ指定)  12,000円、S席 (1指定席)  8,000円、A席 (2自由席) 5,000円

●主なカード
<ISKA世界スーパーウェルター級(70kg級)タイトルマッチ 3分5R>
アルメン・ペトロシアン(イタリア/チーム・レオネ・ペトロシアン/王者)vs.城戸康裕(谷山ジム/挑戦者、WBKF世界70kg級王者、元Krush -70kg級王者)
<61kg契約 3分3R(延長1R)>
SHIGERU(新宿レフティージム/BLADE FC JAPAN CUP 2014 -61kg準優勝)vs.花田元誓(リアルディール/RISEフェザー級(57.5kg)王者)

▼ハイセーヤスダ(編集者&ライター)
テレビ製作会社、編集プロダクション、出版社勤務を経て、現在に至る。週刊誌のデータマン、コンテンツ制作、著述業、落語の原作、官能小説、AV寸評、広告製作とマルチに活躍。座右の銘は「思いたったが吉日」。格闘技通信ブログ「拳論!」の管理人。

◎「THE OUTSIDER 第35戦」観戦記──朝倉海の強さと佐野哲也の安定感に注目
◎格闘技にエロスと笑いを共存させた美戦士達のCPE「キャットファイト」が凄かった!
◎川崎中1殺害事件の基層──関東連合を彷彿させる首都圏郊外「半グレ」文化

『紙の爆弾』──タブーなきスキャンダルマガジン

《ウィークリー理央眼010》戦争法案に反対する若者たち VOL.5 鳥取

7月12日(日)、鳥取県鳥取市で安保関連法案(戦争法案)に反対するデモが行われた。県内や島根県、兵庫県北部から集まった若者が安倍政権に対し反対の声をあげた。総勢30名ほどのデモ隊であったが、約15名の若者がおり全体の半数を占めていた。少ないと言われてしまえばそれまでだが、この一団が踏み出した一歩は決して小さいものではない。


[動画]7.12戦争法案反対デモ@鳥取 – 2015.7.12 鳥取市(3分26秒

この中にはデモに参加することに強い抵抗があり不安を抱きながら歩いていた若者もいて、本当に凄い勇気を出してデモに来ていたのだ。そんな想いを考えてしまい撮影している最中に泣きそうになってしまった。
山陰ではそもそもデモが頻繁には無いし、無党派デモは成熟していない。きっと孤独な想いをしている人が多くいるはずだ。

だからこそ、この鳥取の若者デモは山陰の希望に見えた。
デモは単なる示威行為ではなく、同じ考えを持つ人々の集まる場所でもあるので、人数が少なかろうが大きな一歩を踏み出した若者たちがそこにいたことは事実だ。

話は変わり、ここでご当地ネタを挟んでおく。デモが通った、人通りのない商店街にスイカが植えてあった。鳥取県はスイカ国内生産4位なので、鳥取の誇り(あるいは単にポピュラーな植物なのだろうか…)として商店街でも育てているのだろう。ちゃんと手入れがされていたので、平日はもしかしたら人がそれなりにいるのかもしれない。
そして、デモを撮影して気になったのは、映像2分35秒に写る「鳥取カレー」のノボリだ。鳥取市は1世帯あたりのカレールー消費量が全国1位らしく、住んでる人みんなカレーが大好きらしい。しかしそんな売り出し方をされても「だから何なんだ」と思ってしまう。とは言いつつも鳥取グルメには魅力的なものが多く、私は鳥取カレーは後回しにし「牛骨ラーメン」を選んだ。どうしても気になっていたので、デモ後、汗だくにも関わらずラーメンを食べてきた。これがさっぱりしていて非常に美味しい。もっと時間があったら話題の「すなば珈琲」にも寄ったり、美味しい物をもっとたくさん食べてきたかったのだが、鳥取駅から自宅まで電車で7時間もかかるので、16時50分にはもう出なくてはならなかった。
毎週のように全国を旅しているので、名残惜しさにはもう慣れてはいるのだが、それでも「また来れるよね」と思いながら私は帰路につく。

もう一つ名残惜しい、というか心残りだったのが、鳥取大学3年生の実行委員長が都合で来れず会えなかったことだ。
代表が欠席というのは、忙しい大学生らしく、リアルな生活が透けて見えるのでそれはそれで良いと思う。
デモをやるような人も何ら普通の人と変わりない単なる生活者で、当然自身の生活がある。
自分の都合を優先するのは信頼できる仲間がいるからできることで、主催したデモを欠席したことで彼の評価が下がることもない。

そんな彼、実行委員長の堺泰樹さんからのメッセージがデモ出発前の集会時に読み上げられたのだが、以下に一部を抜粋する。

「戦争で待っているのは罪無き人間の死ではないでしょうか。
自衛隊員が死に、他国の兵士が死に、民間人が死にます。
テロが起これば日本国内で戦死者が出ます。
そんな愚かな国、そしてそれを認めた愚かな国民になりたくありません。
僕は僕達の声でこの命を守りたいと思います。」

そう、私たちは今ならまだ「声で守る」ことができるのだ。
だから、鳥取から、各地から、私たちはもっともっと声をあげていかなければならない。
鳥取で再び若者が声をあげる時、彼らをまた撮りに来ようと思う。



[2015年7月12日(日)・鳥取県]

▼秋山理央(あきやま りお)
1984年、神奈川県生まれ。映像ディレクター/フォトジャーナリスト。
ウェブCM制作会社で働く傍ら、年間100回以上全国各地のデモや抗議を撮影している現場の鬼。
人々の様々な抗議の様子を伝える写真ルポ「理央眼」を『紙の爆弾』(鹿砦社)で、
全国の反原発デモを撮影したフォトエッセイ「ALL STOOD STILL」を『NO NUKES voice』(鹿砦社)にて連載中。

世代、地域を超えて「新たな脱原発情報ネットワーク」の構築を試みる『NO NUKES voice』

 

元「オセロ」中島知子は期待を裏切らないトラブルメーカー?

中島知子が、また問題を起こして対立している報道が出た。

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元「オセロ」の中島知子(43)が14日、自身のブログを更新。出演映画の完成披露試写会“無断欠席騒動”について「今回の報道では監督をはじめ、関係各位様に大変ご心配をお掛けしました」と謝罪し「でも大丈夫です。無断欠席や許可のない早退はありえません」と報道を否定した。続けて「何かの行き違いでこのようになってしまい、とても残念ですが、本当に映画の成功をお祈りします」とした。中島は11日、都内で行われた映画「新宿ミッドナイトベイビー」の完成披露試写会を欠席。翌12日付の一部スポーツ紙で「無断欠席」と報じられた。12日、スタッフが更新したブログで「事実無根」と報道に反論。この日は中島が自らの言葉でつづった。

寺西一浩監督(35)は12日、ブログを更新。「どんなに有名人であろうと、立派な人であろうと、そういう人こそ、自分を支えてくれる人たち、例えば芸能人であれば事務所の社長、マネージャー、スタッフに日々感謝し、意見を聞いて活動しなければ、人としてダメだと思います。わがまま放題、やりたい放題では…。人は1人では何もできないと思いますから」と名指しはしていないものの、中島への批判と思われる言葉を並べた。 (2015年7月14日付スポニチアネックスより)
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しかし、実際はどうなのだろうか。業界関係者の見方はおおむね“中島不利”といった感じだ。いったい何が起きたのか。

報道されているように、7月11日、都内で今秋公開される中島出演の映画『新宿ミッドナイトベイビー』の試写会があった。これは寺西一浩監督や出演者の久保田秀敏、浜田ブリトニー、矢吹春奈らとともに中島も出席が予定されていたが、当日になってもその姿はなく、主催者が「中島サイドから欠席の連絡もなかった」としたため、一部で「中島無断欠席」と伝えられた。

しかし、当の中島はブログで「事実無根」と反論。出席依頼があった際は「連絡が遅くすでに別の仕事があり残念ながら関係各位様には丁重にお断りしたのが事実でございます」とドタキャン話を否定した。

ただ、これを聞いた業界内の反応はでは「中島が悪いと思う」という声が圧倒的だ。あるメディア関係者は「主催者が中島の出席をリリースしたのは4月下旬のことで、7月11日という日程もそのときすでに決まっていた。中島に連絡が遅かったというのはおかしい」とする。真矢ミキが出ている朝の情報番組では、「映画の試写会関連の仕事は前事務所がとった仕事で、現在の事務所への連絡が悪かったのではないか」とされたが、憶測が今もなお飛んでいる。

ある映画関係者も「試写会での舞台挨拶は作品宣伝の重要な仕上げで、出演者は通常、撮影だけでなくこうしたイベントへの協力をすることが契約に盛り込まれている。試写会日程は2ヶ月前には決まっているので、どんな大物俳優でもちゃんと日を空けておくのが常識」とした。

「中島にそれができないなら女優の自覚に欠ける話。こういう人間は2度と起用しない方がいい」(同)

さらに、あるテレビディレクターも「事情は知らないから断言まではできないけど、もともと無責任な人なので、中島さんに非がありそう」と言う。

「あの洗脳騒動から明けてメディアに登場した際、中島さんはテレビ朝日の情報番組で独占インタビューを受けている収録中に姿を消したと聞きました。十分にコメントを収録していてオンエア上は問題なかったところ、挨拶もなく突然、消えて現場はビックリ。あのときのインタビューで本人は洗脳ではないと正当化をしていましたが、本人の行動がやっぱりおかしいって話にはなてましたよ。おそらく今回もそういう感じなのでは」

中島は洗脳騒動の際、自身が企画立案し、レギュラー出演していた番組『くだまき八兵衛』(テレビ東京系)を突如降板。名倉潤、河本準一ら残された共演者が露骨に不快感を示したことがあった。今回この番組スタッフに聞いてみても「2度と中島さんに関わりたくないのが本音」という返答がった。

さらに昨年、CS放送局の公開収録に参加した際は、記者に収録後の囲み会見が予定されていたところドタキャン。中島本人は「担当者が話を断っていたみたい」と無責任に弁明したが、取材記者たちは「いいかげんしろ!」と中島に激怒したこともあった。

いずれにせよ、今回の作品はイケメン俳優の久保田秀敏を主演にした同性愛ラブストーリーで、中島は同性婚の法改正を進める母親の少子化担当大臣役で出演。日本では東京・渋谷区で同性婚相当を認める条例案が可決した中で、これを全国区にしたいとする向きから中島のコメント期待されていた。というのも、中島には女性占い師との同性愛疑惑があったため、それに引っかけて記者が記事を書こうという狙いもあったからだ。

もっとも、同日はビートたけし・西島秀俊・忽那汐里が共演の注目作『女が眠るとき』の製作発表ほか、役所広司・宮崎あおい主演の『バケモノの子』、イケメン俳優・桐山漣主演の『群青色の、とおり道』、DAIGOがナレーションを務めた『アリのままでいたい』の初日舞台挨拶、さらに池脇千鶴による『きみはいい子』トークイベントなど、映画関連のイベントが集中しており、記者不評の大きい中島出演の『新宿ミッドナイトベイビー』には取材者が少なかった。

これには「むしろ中島の欠席で話題性が出た」なんていう映画ライターもいる始末で、その意味では期待を裏切らないトラブルメーカーだといえる。

(鈴木雅久)

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《大学異論40》同志社大学長発言を「個人の意見」と容認した理事会に反省なし!

先の国会衆議院特別委員会で「戦争推進法制」賛成意見を述べた村田学長の発言をめぐって7月16日、同志社大学の理事会が審議を行った。その場で村田氏から国会での発言は「あくまで学者個人としてのもの」であったことについて弁明がなされ、いくつかの疑問意見は呈されたものの、理事会としては「村田発言」を「納得する」との結論に至ったと同大学広報課の高阪氏は述べた。

◆「公序良俗に反しない限り、各教員の考えに介入することはない」(高阪=同志社大学広報課)

「村田発言」についてはいち早く「同志社中学校教職員有志」から発言内容を厳しく批判する声明が出されたほか、「同志社大学教職員有志」、「同志社大学学生有志」らから非難の声明が相次いでいる。私の取材に同志社中学の先生は「教職員全員というわけではないが、ほとんどの教職員は怒り心頭です。毎日生徒を目の前にしている私たちは村田氏の発言を絶対に許すことはできず、辞任させるまで頑張ります」と語っていた。(安保法案の成立に反対する同志社大学教職員有志の声明)

同志社中学校の先生たちの真っ当さに比べて、同大学理事会の例えようなき愚劣振りはどうだ。「村田発言」を不問にするという、大学としては「自殺行為」に等しい愚かな判断だ。理事会に限れば、もうこの大学は「戦争翼賛大学」と言われても仕方がないだろう。

◆「戦争推進」は「公序良俗」に反しないという同志社大学理事会の総意

広報課の高阪氏は「本学は各教員の考え方を尊重するという基本姿勢なので、公序良俗に反しない限り、各教員の考えに介入することはない、というのが基本姿勢です」と語ったが、同志社大学において「戦争推進」は「公序良俗」に反しないということらしい。何たる想像力の欠如と、「知」の摩耗であろうか。

いったい同志社大学における「公序良俗」とは何を意味するのか。同志社大学は学生のバイク通学を禁止しているが違反学生は小さいけれども「公序良俗」の違反者とされるのだろう。数年前同じ学校法人である同志社女子大学に勤務する職員が同僚を殺すという事件があった。これは間違いなく「公序良俗」違反だろう。

◆「集団的自衛権」行使で日本に戦火が及んだら、その有責者には「外患誘致罪」を問えないか?

なら戦争はどうなんだ。刑法には「外患誘致罪」という罪がある。

「外国と通謀して日本国に対し武力を行使させ、又は、日本国に対して外国から武力の行使があったときに加担するなど軍事上の利益を与える犯罪である。現在、外患誘致罪(刑法81条)や外患援助罪(刑法82条)などが定められており、刑法第2編第3章に外患に関する罪として規定されている」

この罪に問われると誰一人殺していなくても最高刑は「死刑」である。「外患誘致罪」は外国の軍隊や武装組織を日本に招き入れることを前提とした刑罰だが、この条文だけ読めば「集団的自衛権」行使だって結局同じ結果を招くのではないか。「外国」を「米国」と置き換えれば日本に戦火が及んだ時の有責者は同様に罰せられないとおかしくはないか。

近代の戦争で「侵略」を旗頭に行われた戦争などない。戦争は常に「解放」や「自由を守る」、「自衛」といった一見理のありそうな「美名」のもとに口火が切られる。大学で国際関係・国際政治を教えている教員ならばこの程度のことは最低レベルの人間でも知っている。

そんな最悪事態をわざわざ招き入れようとする与党の「戦争推進法案」に賛成することを、しかも学長が国会で「あくまで個人的な意見だが」といえば免罪されるとする同志社大学の「個人の自由」概念には論理や理性のかけらもない。あるのはこの時代にまったく抗おうとせず,諾々とルーチンワークをこなし「善良な教職員」を演じ切りたいとする、人間として最低の自己保身だけだ。

この惨憺たる事実を見つめながら、同志社内部で声を上げる良心的な人々を精一杯応援してゆきたい。


◎[参考動画]頭脳警察-世界革命戦争宣言~銃を取れ!(1990年11月12日同志社大学「超非国民集会」)

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

◎《大学異論39》同志社の「良心」は「安保法案」賛成の村田晃嗣学長を許すのか?
◎《大学異論18》「過激派」は学生でなく今の日本・安倍政権!──京大集会見聞記
◎なぜ安倍政権には「正論」が通じないのか?──加速度を増す日本の転落

失われつつある民主主義を日本に取り戻す「慨世の遠吠え」を聞け!

「絶歌」で市民に「配慮」求めた明石市、不明瞭なアウト・セーフの線引き

神戸連続児童殺傷事件の酒鬼薔薇聖斗こと元少年Aの著書「絶歌」(太田出版)が発売されてから1カ月が過ぎた。この間、本は25万部を発行するベストセラーとなったが、被害者遺族が強く反発し、出版中止や回収を求めたのをはじめ、各方面から著者や出版社への批判が相次いだ。

市民に向け、市長が「絶歌」に関する「配慮」を呼びかけた明石市のホームページ

中でも同書に対し、とりわけ厳しい対応をしたのが、被害者の土師淳くんの墓がある明石市だ。泉房穂市長は出版について、「遺族を傷つける許されない行為」と批判し、市立図書館で同書を購入しないことを明言。さらに「売らないでほしいし、買わないでほしい」とコメントしたうえ、二次被害の防止を定めた犯罪被害者支援条例に基づき、市民や書店に「配慮」を要請する徹底ぶりだった。

そんな明石市や泉市長の対応には、好意的に評価する声が多い。しかし冷静に考えれば、違法性が認められたわけでもない特定の出版物について、権力者がここまで踏み込んだ対応をするのは異常である。表現の自由が無制限に認められないのは当然だが、今回の明石市や泉市長の対応は表現の自由の観点から問題はなかったろうか。

筆者はそのことを検証すべく、「絶歌」以前に犯罪被害者らの人権が問題になった出版物について、明石市にある公立図書館での取り扱い状況を調べてみた。すると、以下のような本が所蔵され、閲覧、貸し出し共に可能な状態にされていることがわかった。

* * * *

 

東電OL殺人事件(著・佐野眞一、新潮社から2000年5月発売)

(1)東電OL殺人事件(著・佐野眞一、新潮社から2000年5月発売)
仕事帰りに売春をしていた被害女性のプライバシーに関する報道合戦が加熱し、遺族がマスコミ各社に抗議した事件が題材のノンフィクション。被害女性の実名を表記し、そのプライバシーを改めて赤裸々に綴っている。

 

文藝春秋 2015年 5 月号(文藝春秋から2015年4月発売)

(2)文藝春秋2015年5月号(文藝春秋から2015年4月発売)
神戸連続児童殺傷事件の少年審判の決定全文を掲載。猟奇的な犯行状況が詳しく綴られており、遺族が「絶歌」の時と同じように二次被害を訴え、強く反発した。

 

僕はパパを殺すことに決めた(著・草薙厚子、講談社から2007年5月発売)

(3)僕はパパを殺すことに決めた(著・草薙厚子、講談社から2007年5月発売)
2006年に奈良で16歳の少年が自宅に放火、継母と弟、妹を焼死させた事件に関するノンフィクション。少年の供述調書が大量に引用されており、調書や鑑定書を著者に見せた精神鑑定医が秘密漏示罪で検挙される事態に。遺族も著者や鑑定医を強く批判した。

 

神戸酒鬼薔薇事件にこだわる理由―「A少年」は犯人か(著・後藤昌次郎、現代人文社から2005年2月発売)

(4)神戸酒鬼薔薇事件にこだわる理由―「A少年」は犯人か(著・後藤昌次郎、現代人文社から2005年2月発売)
松川事件や八海事件などの歴史的な冤罪事件の弁護を手がけた著名弁護士である著者が、神戸連続児童殺傷事件の犯人として検挙された少年Aの冤罪を訴えている。

 

捜査一課長(著・清水一行、集英社から1978年2月発売)

(5)捜査一課長(著・清水一行、集英社から1978年2月発売)
1974年に西宮市の知的障害児施設で園児2人が水死した通称「甲山事件」を題材にした小説。殺人罪に問われながら無罪判決を勝ち取った女性について、犯人扱いした内容になっており、女性に起こされた名誉毀損訴訟で著者側が敗訴した。

* * * *

以上の5冊のうち、(1)~(4)の4冊は「絶歌」同様、犯罪被害者や遺族が報道による二次被害を訴えているか、そうでなくとも読めば確実に気分を害する本だ。しかし、いずれも明石市の市立図書館で閲覧、貸し出し共に認められている。一方、(5)は神戸連続児童殺傷事件と同じ兵庫県で起きた事件が題材の本で、冤罪被害者の女性に対する名誉毀損が認定されている。「冤罪」は法的に犯罪ではないが、権力による犯罪とみる意見は少なくない。この本は明石市の市立図書館では所蔵されていないが、市内にある兵庫県立図書館で閲覧、貸し出し共に可能な状態だ。

ここで一応、誤解なきようにことわっておくが、筆者はこれらの本が公立図書館で所蔵され、閲覧、貸し出し共に可能な状態であることが許されないことだとは思っていない。しかし、「絶歌」にあれほど敏感に反応した明石市や泉市長がこれらの本について、何も対処せずに放置していることには違和感を覚えた。ありていに言えば、「絶歌」に対しては世間の雰囲気に流され、短絡的に規制するような対応をしたのではないかという疑念を抱かざるをえなかった。

そこで筆者は、明石市に対し、(1)~(5)の5冊についても今後、「絶歌」と同じように図書館から排除したり、貸し出しや閲覧を制限したり、市民に「配慮」を呼びかけるなど何らかの対応をする予定があるのか否かを質した。すると、市民相談室の担当者は「ありません」とのことだった。理由を質したところ、次のように答えた。

「『絶歌』については、ご遺族から市に対し、何とかできないかという申し入れがあったため、犯罪被害者支援条例に基づく対応をしました。(1)~(5)の本については、現時点で市に対して何も申し入れがありませんので、何か対応をする予定もありません」

「絶歌」に対する明石市や泉市長の一連の対応が、被害者遺族の申し入れを受けてのものだったという話は初耳だった。担当者によると、同市の犯罪被害者支援条例は第16条の規定に基づき、犯罪被害者らから申し入れがあった場合に限り、適用するか否かが検討されているという。要するに「個別具体的に判断している」ということであろうが、厳しい見方をすれば、アウト・セーフの線引きが曖昧な印象を受ける。これでは、たとえば痴漢の容疑で検挙された男性が無実を訴えるために出版した告発本が自称「被害者」の女性の要望により図書館から排除されるような事態もありえそうだ。

明石市でこの条例が適切に運用されているか否は注視されるべきだと思う。

▼片岡健(かたおか けん)
1971年、広島市生まれ。早稲田大学商学部卒業後、フリーのライターに。新旧様々な事件の知られざる事実や冤罪、捜査機関の不正を独自取材で発掘している。広島市在住。

◎「絶歌」騒動で見過ごされている問題
◎発生から15年、語られてこなかった関東連合「トーヨーボール事件」凄惨な全容
◎献花が絶えない川崎中1殺害事件と対照的すぎる西新宿未解決殺人事件の現場
◎国松警察庁長官狙撃事件発生20年、今年こそ「真犯人」の悲願は叶うか

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《ウィークリー理央眼009》戦争法案に反対する若者たち VOL.4 新潟

小雨が降り、風が吹きすさぶ新潟市で戦争法案(安保関連法案)に反対するデモが行なわれた。
出発前にはもう先導車に施された装飾は全て吹き飛んでしまい、ただの軽トラックになっていた。
コーラーも今回が初めてだと言っていたが、慣れていない人々が動き出しているという良い例である。


[動画]若者憲法デモin新潟 – 2015.6.28(4分13秒)

新潟駅前を北西へ向けて出発したデモ隊は、萬代橋で強風に煽られながら信濃川を渡り、白山公園前まで約1時間の行進を行なった。
雨ということもあって街にそんなに多くの人が歩いていなかったのだが、それでもデモ隊を応援してくれる人は何人もいた。
デモを見た女子高校生達からも「集団的自衛権」「安保」「自衛隊」などの単語を使っての会話が聞こえてきた。

国民の「戦争法案」への関心は高いだけでなく、こうして「若者デモ」という新たな現象が発生してきている。
この新潟のデモに関して言えば、若者は10名程度で全体としては「大人」の方が多かった。
しかし、主催したのは若者で、普段の新潟市のデモには若者はほぼいないため凄い変化だと私は感じた。


ところで、私は全国各地のデモを撮影して回っているのだが、なるべくその地域の特色を出すように心がけている。
新潟は酒どころだけあって、街に日本酒の看板や酒瓶の展示があったので動画や写真に入れ込んでみた。
各地の人々の想いは、その土地の風景とセットで届けるべきもので、街の記録と共にデモを撮影し広めることに努めている。
その場所でデモをすることを選んだ人々を全面的に肯定したいと思ってのことだ。



ローカル・ムーブメントは確実に起こっている。
今、多くの大人たち、そして若者たちが彼らの街で声を上げている。

[2015年6月28日(日)・新潟県]

▼秋山理央(あきやま りお)
1984年、神奈川県生まれ。映像ディレクター/フォトジャーナリスト。
ウェブCM制作会社で働く傍ら、年間100回以上全国各地のデモや抗議を撮影している現場の鬼。
人々の様々な抗議の様子を伝える写真ルポ「理央眼」を『紙の爆弾』(鹿砦社)で、
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《ウィークリー理央眼》
◎《008》札幌攻防戦!ヘイトスピーチを撮影せよ!
◎《007》戦争法案に反対する若者たち VOL.3 渋谷
◎《006》戦争法案に反対する若者たち VOL.2 札幌
◎《005》戦争法案に反対する若者たち VOL.1 京都
◎《004》若者に影響された沼津の戦争法案反対デモ
◎《003》自民党街宣へのカウンターin福岡・天神
◎《002》福島/名古屋ヘイトデモ反対行動
◎《001》150回目の首相官邸前抗議

巻頭グラビアは「理央眼」!話題の『紙の爆弾』8月号発売中!