NO NUKES! NO WAR! 板坂剛と松岡社長がデモの先頭で「反原発×反戦」を叫ぶ!

すっかり秋真っ盛り。TPPは妥結、23人目のノーベル賞受賞者誕生、ラグビーはW杯で未曾有の2勝、阪神は終盤で例年通り凋落と目出度いのやら、怪しいのやら見極めにくい日替わりの新聞の見出しは横目で眺めていればよい。

今、あまり知られてはいないかもしれないけれども、書店では1つの「事件」が進行している。何を隠そう、鹿砦社が全力を傾注し季刊で発行している『NO NUKES voice』5号が俄然注目を浴び読者が拡大しているのだ。

例えば、さる9月23日代々木公園で「さようなら原発 さようなら戦争全国集会」が数万人の結集で行われたが、鹿砦社は盟友「たんぽぽ舎」ブースを拠点に『NO NUKES voice』宣伝チラシ配り闘争を貫徹した。その数1500枚。集会参加者のほとんどが快く受け取って下さり、「知ってますよ!買ってるよ」との声も多数頂いた。

◆デモの先頭で横断幕を持った板坂氏と松岡社長が渋谷の街を練り歩く!

松岡社長以下鹿砦社の街宣行動はチラシ配り闘争貫徹で勝利を見たのだが、状況はそれだけでは許してはくれなかった。なんとデモのほとんど先頭で横断幕を持って歩いてくれとの要請が!

勿論デモ程度に怯えるヤワな我々ではない。しかも何故か「あの」板坂剛氏が赤い心に赤いシャツを纏い隊列に加るのだという。板坂氏はデモ開始前に「渋谷で大暴動を引き起こす!」と不敵な宣言を小声で発する。皇室ポルノ事件で『噂の真相』を震撼させて以来、この人行くところにはなにかが起きる。果たしてどんなデモになるのだろうか・・・。



(渋谷は大混乱に陥った。数万の人民がデモ隊に合流し「安倍打倒」を連呼し、スクランブル交差点では渦巻きデモが唸りをあげ、渋谷界隈は完全な「解放区」となった)

という夢を見たが、どこまでが事実でどこからが妄想か区別がつかない。そうだ写真が残っている。どうやら「渋谷大暴動」は夢の中だけだったようだ。デモは成功裏に無事終了した。しかしデモの先頭で横断幕を持つ松岡社長の姿に違和感を覚えるのは私だけであろうか(これって彼の言う『焼香デモ』じゃないの・・・?)。

◆沖縄の書店では岩波『世界』の横に『NO NUKES voice』が並べられていた!

しかしもう一つの写真がある。読者から提供を受けたこの写真は、先月沖縄の大手書店で撮影されたものだ。

よく見てほしい。岩波の『世界』の横に『NO NUKES voice』が並べられている。この事実に「ヤマトンチュ」は震撼しなければならない。反原発の視座から「福島―沖縄犠牲のシステム」を特集した同号が、このように闘いの最前線、沖縄で「世界」の隣に平積みされているのだ。私は「『世界』の横に並んでるぞ!」と浮かれているのではない。戦いにおいて「権威」など何の役にも立ちはしない。最前線に位置する人びとが持ち合わせる繊細な感性こそが本質を射抜くのだ。それを証明しているのが沖縄における『NO NUKES voice』5号に向けられる視線である。

反原発を語るにあたり、反戦争、反差別は当然すぎる前提であって、それらを排除したいわゆる「シングルイシュー」的取り組みなど何の力も持ちえないことは、賢明な読者諸氏には語るまでもないだろう。

単視座に陥ることなく、そして「タブーなき」視点から『NO NUKES voice』は問いを、戦線拡大を訴え続ける。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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「裸の王様」安倍晋三!安保法成立でさらに高まる批判
環境省の犯罪を黙認 福島・放射性廃棄物施設で「最悪の判決」
「原発稼働ゼロ」を取り戻す!川内原発ゲート前で菅直人元首相が訴え
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《ウィークリー理央眼024》戦争法案に反対する若者たち VOL.18 郡山

8月23日(日)、福島県郡山市で安保関連法案(戦争法案)に反対するデモが行われた。
主催したのは「戦争法案に反対する福島県若者有志の会」だ。デモ出発前の郡山駅前集会では、共産党県議、社民党市議、虹とみどりの会市議、そして「安全保障法案に反対する福島県大学・短期大学研究者の会」の大学教授がマイクを握った。デモ行進は西口から奥州街道まで行って帰ってくる約40分ほどのコースだ。


[動画]戦争法案に反対するデモ@郡山 – 2015.8.23 福島県郡山市(7分58秒)

映像の冒頭、出発したデモ隊がアーケードに入ると次のカットではもうアーケードを抜けているが、これは楽器の音が大きくてスピーチの声が聞き取れず、やむなくアーケードでのスピーチを編集で削った。録音した音声だけでなく、実際の現場でも話が聞き取れなかった。私のようなカメラマンはスピーチを意識的に聞いている。そのような人間でも聞き取れないということは、街の人には届いていない可能性が高いだろう。
楽器はデモを盛り上げるのに非常に役立っていると思うが、時に主張を音量で妨害してしまうことがあるので注意した方が良い。特にスピーチを行なっている時、思い切って楽器は完全にミュート(無音化)してみてはどうだろうか。デモが作り出すサウンドにメリハリがないと街の人は聞き流してしまう。今までしていた楽器の音が止まることにより街の人の耳目を引くことができるし、スピーチの声だけを聞かせることができる。気にし過ぎると何もできなくなってしまうが、少しの工夫や配慮で効果が上がるはずだ。

郡山のデモで特徴的だったのは小気味良いドラムのリズムとクラリネットの旋律に乗ったシュプレヒコールだ。独自に考案されたと思しきものもいくつかあった。語尾に「だばい」をつけた方言コールや、プラカードではよく目にする「アベ政治を許さない」というフレーズも耳にするのは初めてのことだ。中でもハッとしたのは「歴史に向き合え」というコールだった。これは政府与党に対してというより、安倍晋三個人に向けられたもののように聞こえた。
それはスピーチも同様で、スピーチを行なった三人全員が「安倍総理なんかに私の大切な人の命も未来も絶対に渡しません」「この国の主権者は安倍総理ではない」「安倍さんの独裁政治に付き合うのはもうコリゴリです」と言及しており、怒りの的が安倍首相に絞られていた。法案も提出されていない、ましてや国会審議も行われていないことを米国議会で勝手に約束したり、アジア諸国との和解は無視し、米国の政策関係者だけに歓迎されるような70年談話を発表した「歴史修正主義者」の安倍首相を国民はちゃんと見ている。



[2015年8月23日(日)・福島県]

▼秋山理央(あきやま りお)
1984年、神奈川県生まれ。映像ディレクター/フォトジャーナリスト。
ウェブCM制作会社で働く傍ら、年間100回以上全国各地のデモや抗議を撮影している現場の鬼。
人々の様々な抗議の様子を伝える写真ルポ「理央眼」を『紙の爆弾』(鹿砦社)で、
全国の反原発デモを撮影したフォトエッセイ「ALL STOOD STILL」を『NO NUKES voice』(鹿砦社)にて連載中。

《ウィークリー理央眼》
◎《023》戦争法案に反対する若者たち VOL.17 弘前
◎《022》戦争法案に反対する若者たち VOL.16 仙台
◎《021》戦争法案に反対する若者たち VOL.15 秋田
◎《020》戦争法案に反対する若者たち VOL.14 渋谷
◎《019》戦争法案に反対する若者たち VOL.13 福岡

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福祉を切り捨て徹底徴税!悪意しか見えないマイナンバーの際限なき管理社会化

頼みもしないのに、またしても私たちにまとわりつく腹黒い網が一斉に投げ掛けられた。政府に言わせるとこの投網は「マイナンバー」と呼ばれるらしい。

税金、年金から預金や保険に至るまでを包括してひとくくりに掌握し「セーフティーネット」の強化を図って下さる由。結構、結構御同慶の至りである。

◆受給資格者が順次「死んでくれるのを待っている」日本年金機構

「消えた年金記録は最後の一件まで解決する」と当時の舛添要一厚労大臣は大見栄を切ったけども、看板だけかけ変えた旧社会保険庁(現日本年金機構)はとうの昔に照合作業に見切りをつけ、あとは受給資格者が順次「死んでくれるのを待っているようだ」と、派遣で照合作業を請け負っている知人は語っている。ところが当の知人も契約満了で間もなく職を失うという。

「消えた年金記録」のあと今年に入り120万件の個人記録が外部に流出した。

ボロボロである。

年金記録だけでも、ろくに適正運用出来ない行政が税金や、貯金の情報まで一元管理するのだ。

この制度は必ず破綻する。否、破綻してもらうべきである。

◆欠陥だらけの「マイナンバー」行政よりも庶民の方がしっかりしている

「住基ネット」でハコモノではない巨額の公共事業のモデルケースを確立した官僚と企業にとって「マイナンバー」は格好の錦の御旗、あちこち穴だらけの欠陥システムはすぐにボロが噴出するであろうと予言しておこう。

そして何よりも「マイナンバー」が正常に機能し出せば、悪夢のような管理社会の完成だ。

「セーフティーネット」の強化などという、子供騙しを信じている人はさすがに少ないようだ。「戦争推進法案」なみに庶民には何がなんだかサッパリ意味がわからず、自宅近所の金融機関に聞いたところ、9月末個人口座からの引き出しが相次ぎ、一時窓口での待ち時間が二時間を超えたそうだ。

案外庶民はしっかりしている。

この町では一度も「マイナンバー反対」の署名活動やチラシを見たことはないが、庶民は物言わずにそれなりの自衛(抵抗)をしているのかもしれない。

こと、この腹黒投網、国民総背番号制度を私たちは一度も要請したことはないのだから、せめて名称を”Their Number”(奴等が勝手に割り振る番組)と改称させようではないか。

どこをどう読んでも国民、特に社会的弱者への視点が皆無であるのに、「セーフティーネット」に役立つ道理は1%もない。

言わずもがな、連中の真意は徹底した徴税と福祉の切り捨て、そして際限なき管理社会の実現だ。

敵による、敵の為の制度を「マイナンバー」などと私は承認しない。

「奴等による強制的国民総背番号制度」、本質はあくまで“Their Number”だ。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

◎3.11以後の世界──日本で具現化された「ニュースピーク」の時代に抗す
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◎見せしめ逮捕のハンスト学生勾留理由開示公判──大荒れながらも全員釈放!
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山口組が分裂した本当の理由──マスコミが注目する「内部抗争」の真実

読者から、山口組の分裂について書いてくれとリクエストがきたので「筆芸者」としてはすぐ書きたいが、いかんせん情報がない。

9月上旬、山口組から山健組や宅見組など13団体が分離独立して、「神戸山口組」ができた。

ヤクザの論理から言えば、あくまでも山口組本家目線から言えば、飛び出た山健組や宅見組ら5団体は「絶縁」という処分だから、ヤクザの世界に「存在」しないということだ。そして「破門」されたのは毛利組や松下組など8団体。「破門」はかろうじて元の団体に戻る道が残されている。

◆すべてが水面下で極秘裏に進んでいたという点に注目すべし

多くのヤクザが、現状分析や未来予測をしているが、まずは分裂した理由を検証したい。これは、現在、山口組を仕切る六代目組長の司忍が出身母体となる弘道会と、前の組長の五代目、故・渡辺芳則が出身母体の山健組との覇権争いからきているのは否定のしようがない。

「神戸山口組には、かなりのキレ者が参謀としてついていますね」(関東広域暴力団幹部)

その理由とは、山口組が分裂した当初を振り返ると、あれだけの大所帯なのにリークされることなく、すべてが水面下で極秘裏に進んでいたという点に注目すべきだ。

自己主張の強いヤクザを束ねることは難しい。
「でも、今回の分裂騒動でも、みごとなまでの結束力と行動力。また風説等を利用し、マスコミだけでなく警察までも煙に巻いています」(同)

参謀、あるいは軍師的な存在が、初動段階から分裂の絵図を描く。また参謀の手腕で、関東最大の暴力団の会長までが、激励の慰問にまで訪れている。このようなことは、過去の任侠史上類を見ない。

この映像が全国ネットで流れ、驚愕の事実に山口組本家は震撼したという。
「山一抗争の例もありますから、当分は両組動かないでしょうね」(同)

動かなければ逮捕者は出ない。つまり、情報収集に行き詰まるのである。
「情報を集めるため、事務所にガサを入れます。警察のガサの手口で多いのは、建築基準法違反。だが参謀はすべて見とおしていたのです」

◆神戸山口組が本家を淡路島に置いた理由

神戸山口組の本部事務所を、淡路島に置いたのも参謀の案だという。
「あの事務所付近には教育施設、とくに小学校がない。これを一番に考えての本家設立だ、と言われています」(同)

確かに、近くに小学校などの教育施設がなければ、まだ幼い小学生児童に抗争の災渦が及ぶことはない。
「もちろん、山口組初代の墓前の地を本家に構えたのも大きいでしょう。大義云々より、世間に対するインパクトですよね」(同)

日本のシチリア島と呼ばれる、淡路島に本家を構えた神戸山口組。彼らは、世界を席巻したイタリアンマフィアのように、日本のヤクザ界を牛耳ることができるのだろうか。

◆警察の「山口組切り崩し作戦」が成功しつつある

さて、分裂のいまひとつの原因と理由、僕は「高山清司」若頭の長期不在だとみている。旧知のノンフィクション作家も同じ見方をする。
「山口組の組長、司忍が銃刀法違反で2005年12月から2011年4月まで収監されていた不在の間、山口組内の統制が保たれていたのは、高山若頭がにらみを利かせていたから。暴力団排除条例が整備され始めたころ、後藤組の組長、後藤忠政が芸能 人とゴルフコンペを行い、NHKが細川たかしや小林旭、中条きよしなどの出演を数か月も見合わせた件で、後藤を除籍し引退させたのも高山だし、水や歯ブラシを大量に買わせるシステムについて古株の幹部や重鎮から文句が出てきてもなんとかして抑えこんだ。クーデーターを計画しても、情報が事前に漏れ伝わってきて、実行を回避してきた。そうした手練手管を使える高山若頭が2010年11月に恐喝容疑で逮捕され、 昨年の6月に実刑が確定し、府中刑務所に収監されている。その間、司忍組長と司組長の出身母体であり、つぎの山口七代目組長の最右翼候補である弘道会会長・竹内照明が中心になって組織を引き締めるべきだったが、要するに高山若頭のように抑えがきかなかったわけです」

まったくその通りで、もし加えていうなら、警察の「山口組切り崩し作戦」が成功しつつあるとみることができる。

もし山口組を疲弊させるなら、内部抗争が一番てっとり早い。新聞などでは「司忍組長に国税が入るのではないか」と騒がれているが、これは、工藤会の野村悟総裁のところに、税務調査が入り、脱税容疑で逮捕されたのをモデルケースにしているに過ぎない。

◆巷で流れているヤクザ関連の情報は99%、疑ったほうがいい

僕に言わせれば、今、巷で流れているヤクザ関連の情報は99%、疑ったほうがいい。山口組本家にせよ、神戸山口組にせよ、「自分たちの立場を有利に運ぶ」ための誘導弾をまいている可能性がおおいにあるからだ。

そして、自分の幼馴染のヤクザも、取材で知り合ったヤクザも組がどこであろうと、今は口が重く、会うのも難しい。

ヤクザ事情に詳しい影野臣直氏は、山口組が分裂した9月初旬以降、ヤクザが、このところ一律に口が堅くなっ た本当の理由について語る。
「それはそうですよ。何が火種になるかわからないし、どこで飛び火して戦争になるかわからない。今、沈黙は金ですよ」

たとえば、今まで山健組にみかじめを払っていた風俗店が「おい、この際、うちに払え」と弘道会が店長に対してシノギを引きはがしにかかってもなんの不思議もない。

名古屋の一部や北海道の一部では、そうした動きが始まっているという報道もある。

が、前出の影野氏は「そんなのが全国のそこかしこで行われるなんてマスコミの妄想です」と言い切る。
「シマの取り合いなんて、仮にもめるとしても表に出ないようにやりますよ。マスコミが(抗争を)煽りすぎです。ましてや、音が鳴る(拳銃で撃たれる)なんていうのは、よっぽど組どうしの話がつかなったときでしょう」

性風俗の広告代理店によると、たとえば山健組系が運営している風俗店が弘道会系の風俗案内ホームページに掲載している場合、「この際、別れましょう」と山健組系も店がホームページから引き上げたりしてもめたりするのではないかとささやかれているようだ。

「それは裏側をつぶさに見れば対立しているように見えますが、企業舎弟どうしは、うまく共存を図るはず。そんなに簡単にもめるようにはできていません」(影野氏)

そんなわけで、僕の友人のヤクザは9月1日から「しばらく電話には出れない」と言いつつ、フェイスブックも閉じた。

彼が電話に出る時が、「任侠界」が落ち着いたときとなるのだろうか。
その日が1日でも早ければと思う。そして、大阪府警の樋口真人本部長も、工藤会の捜査で実績をあげて大阪府警にやってきたキャリア組で、これでもか、と山健組や宅見組に家宅捜査をしているようだが、いまさらヤクザの事務所にヤバいものが隠されているわけがなく、これはパフォーマンスに等しい。これらの警察のわざとらしいふるまいは次回以降に暴きたい。

そして、今、山口組本家にさまざまな組が訪問しに来ているが、これは「ヤクザが顔を売る絶好のチャンス」だということだ。この「友好団体」の訪問の意義も、近く触れたいと思う。

(小林俊之)

◎警察が「ぼったくり」を刑事事件化したことでヤクザのさらなる地下潜行が始まる
◎「工藤會壊滅ありき」で福岡県警が強引に人権を無視し続ける邪な理由
◎塩見孝也『革命バカ一代』で思い出したベテラン警備員『ゲンさん』たちの物語

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日本のキックボクシングが情熱と音楽の大国アルゼンチンと繋がった日

リングでは、ワセリンと汗の強烈な匂いは男臭さの象徴だ。
キックボクシングの会場ではなおさら飛び散る血しぶきが、「泥臭く、男臭い」環境を演出する、しかし、この日のキックボクシング興行では、アルゼンチンの華やかな美女や紳士がリングサイドを彩り、いつもとはちがったグローバルな雰囲気を漂わせていた。社交パーティのような雰囲気もかもしだしていた。それもそのはず、アルゼンチンのラウル・ギジェルモ・デジャン・ロドリゲス全権特命大使とその仲間たちが「賓客」として招待されていたのだ。

9月20日、後楽園ホールで行われた「TITANS NEOS 18」(主催/TITANS事務局、認定/新日本キックボクシング協会)では、日本ミドル級王者を決める「斗吾(伊原)VS今野明(市原)」とWKBA世界バンタム級王座決定戦の「江幡睦(伊原)VSモンコンチャイ・ソー・ミージャン(元タイ北部フライ級王者)」のダブルメインイベントのアンダーカードながら、第7試合の日本ヘビー級3回戦「マウロ・エレーラ(アルゼンチン/世界極真空手連盟ワールドカップ2013 世界3位)vs山崎泰意(宮川/ザ・マーシャルアーツドリーム2012国際大会スペシャルグローブマッチ優勝)」が、大勢詰めかめたラテンのノリのアルゼンチンの大声援を受けて、マウロは1R1分11秒、左フックでノックアウト勝ちした。

新日本キックボクシング協会代表の伊原信一氏がマイクをとって何度もアルゼンチン大使に拍手を促す。「忙しい中、アルゼンチン大使に来ていただきました。これからもアルゼンチンとは友好を深めたいと思います」とアナウンスするとラウル大使は、リングにあがり「ここに呼ばれて素晴らしい試合と選手のファイトが見られて光栄だ」と興奮気味に話した。

◆伊原会長がアルゼンチンに肩入れするのはワケ

伊原会長が鼻息荒くアルゼンチンに肩入れするのはワケがある。
「一昨年の夏、伊原道場はアルゼンチン支部を立ち上げました。アルゼンチンに太い人脈のパイプがあり、サッカーのアルゼンチン1部リーグClub Estudiantes de La Plataでプレー経験を持つ川久保悠氏が、大使関係を結んだのでしょう。実際、これからアルゼンチンの有力選手をたくさん呼べるはずで、日本のキックボクシングをアルゼンチンに逆輸出することも視野に入ります」(ベテランのキックボクシングライター)

しかしこれはウラを返せば、もはや国内ではキックボクシングの集客は期待できない証明でもある。

「確かに客の年齢層は毎年、あがっていく。30近くキックの団体が乱立しているが、お客は基本的にはリピーターで、タイのムエタイ選手や団体と日本のキックボクシング団体が交流しているように、今後は南米やアジア地域にも広げていかないといずれキックの団体は滅びる運命となる」(同)

ただし、アルゼンチンではキックボクシングはまだまだ盛んではない。だがこの日、多くの南米人を会場で見た。「オーレ~・オレオレオレ~♪」と勝った日本人にエールを送る独特のノリ。これは今までのキックボクシング会場とは異質な、そして新しい空間だ。この日のマウロ・エレーラのように、呼べる選手は空手の実績がある重量級選手となるであろう。今後、南米やアジアの国と交流していくにしても、ムエタイとは違う「日本式キックボクシングルール」で世界に拡大していくのは、茨の道のりとなるだろう。老舗WKBAの活発化も大きな武器となるかもしれない。

この日の江幡睦は、3月15日にムエタイ殿堂王座にトライして惜敗した無念を晴らした。東京・後楽園ホールで開催された前回のメインイベントではラジャダムナン・バンタム級&WKBA世界バンタム級ダブルタイトルマッチが行われ、WKBA世界王者・江幡睦が、悲願のラジャダムナン王座を狙い、過去に勝利しているフォンペート・チューワッタナと対戦したが、強打を打ちこむもムエタイのリズムに決定打を殺され判定負け。また無冠からの出直しなったが今回は危なげなく、1R1分53秒、右フックでKO勝利、また斗吾(伊原)は、細かいパンチを出して、徐々に今野明(伊原)のリズムを狂わせスタミナを奪い、捨て身でくる打ち合いを捻じ伏せ、3R2分59秒でノックアウト勝ち。リング上にて「お母ちゃん、ありがとう」と呼びかけて、母親がリングにあがり、一同にお礼をする温かいシーンがくり広げられた。

[文]ハイセーヤスダ [写真・監修]堀田春樹

▼ハイセーヤスダ(編集者&ライター)
テレビ製作会社、編集プロダクション、出版社勤務を経て、現在に至る。週刊誌のデータマン、コンテンツ制作、著述業、落語の原作、官能小説、AV寸評、広告製作とマルチに活躍。座右の銘は「思いたったが吉日」。格闘技通信ブログ「拳論!」の管理人。

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《ウィークリー理央眼023》戦争法案に反対する若者たち VOL.17 弘前

8月22日(土)、青森県弘前市で安保関連法案(戦争法案)に反対するデモが行われた。
弘前市の中心部に位置する中三デパート横の広場を出発し、弘前公園方面へ進み、市役所前~弘前大学前を通過して青森銀行隣の広場まで約2kmを行進した。


[動画]青森デモ!戦争法案反対!@弘前 – 2015.8.22 青森県弘前市(3分48秒)

青森県内で戦争法案に反対する若者グループが、青森市に続き弘前市でデモを行なった。国会前だけでなく、自分たちの街からも声をあげようと青森でも若者主体のデモが企画されている。
デモ出発前の集会では、「青森は経済的理由で自衛隊に行く人が多い」「経済的にも戦争が起れば大変なことになる」「経済的徴兵制ができたら貧しい人が戦争の犠牲になる」という経済の話が多く出た。若者たちも青森の厳しい経済状況を意識せざるをえないのだろう。戦争に使う金があったら貧しい人や被災者に回せというのはもっともだ。

映像には警察官の姿が映っていないが、デモの警備にはちゃんと来ていて、隊列の最後尾にパトカー1台がついてきていた。基本的に警官は車から降りてくることはなく、直接デモを警備せず、信号操作も誘導も何もしてくれない。この警備方式は、私が知るだけで青森県弘前市(弘前警察署)と岡山県津山市(津山警察署)で採られている。
一番後ろにパトカーがいるので、後方から来る車はデモを避けてくれ、一応は警官がそばにいるので、何か起きたらすぐに対応してくれる。しかし、何か起きてからでは遅いので、デモではきちんと自分たちで警備を行なわなければいけない。
車道を通行する際は交通法規に則り、赤信号では止まらないといけないのだが、デモ行進中はその事を忘れがちな参加者が多い。今回も赤信号を無視しそうになったデモ参加者がいたので「信号が赤なので止まってください」と注意した。警察官がデモ警備を行なっている場合、赤信号でも通行できるが、それは警察官の指示が信号機より優先されているから赤信号を無視できるだけだ。「標識・標示によって示された交通の規制と違っていた場合、警察官の指示が優先される」というのが交通ルールなので、警察官が指示を出していない場合は、デモ行進中だろうと赤信号で止まらなければならない。デモでも交通ルールには十分気をつけて欲しい。

また、今回は戦隊ヒーローのピンク&グリーンレンジャー、そしてスーパーマンのコスチュームをした参加者がいた。
まず最初に言っておくと、私はコスプレや着ぐるみ等でのデモ参加に否定的だ。それは、デモを目撃した人々に、「主張と関係ないところで拒絶されたらもったいない」というシンプルな理由が一番大きい。デモ撮影をしていると通行人の声がよく聞こえてきて、コスプレや仮装に対してかなり反発が強いと痛切に感じているのだ。
もちろん、服装なんて各々の自由であるし、様々な表現や考え方はあって良いと思う。だが、耳付きのカチューシャ等の控えめな仮装、パーティーグッズ類を身に付けただけでも反発があるという事実は、頭の片隅に置いておく必要があるだろう。
街の人にどう思われようと関係ないというのは一つの考えだし、それはそれで良いと思う。そもそも「一般人」や「普通の人」なんていうものは幻想であるとも言えるし、ターゲットとしている一部の人に届けば良いという考えもあるだろう。しかし、コスプレをしてデモに参加している方の中には、それが街の人々に対して有効なアピール方法であるとむしろ積極的に考えているか、あるいは誰を対象にコスプレで訴えるかなど考えることもなくそれを行っているケースも少なくないように見受けられる。

デモで意思表示をする際は、なるべく「ノイズ」が少なくなるようにアピールを行なうのが最善の方法だと思う。要するに、そこからメッセージが汲み取れないから街行く人々がコスプレに対して否定的な意見を持ってしまっているということだ。
悲しいことに、街からの評価は「減点方式」だと思ったほうが良いだろう。これをしたからプラスになるというのではなく、これがあるからマイナスと、そのように評価されていると私は感じる。より多くの人に主張を伝達するための妨げ=ノイズとなる行為はしない方が得策だ。
当然ながら、絶対的な評価基準というものは存在するはずもなく、デモの格好に正解も不正解もない。同じ主張を共有する者同士であれば、あとは個人が自由で好き勝手にやるのが理想だろう。
しかし、まだまだ日本にデモが根付いていない事を考えてみると、コスプレはデモに対する偏見を助長させてしまう可能性があるように思えてならない。

とはいえ、コスプレや仮装が全て悪いというわけではなく、時間・場所・目的によっては有効な場合もあるはずだ。
例えば、団体のノボリだらけ、ロングシュプレヒコールで堅苦しい団体主催のデモ等の中にコスプレや着ぐるみがあると、それはそれで場を和ませる効果もあるだろう。あるいは、そういうオールドスクールのデモしか行なわれていない街では、差別化を意識して行なうのは意味があるのかもしれない。
それは、「デモ」は怖いから「パレード」という名称にする感覚と近く、その土地ではそれが最適なのだろう。あくまで主催や現場の人の主体性、そして何よりもセンスは重視、尊重されてしかるべきだ。
なぜ、今これほどまで「若者デモ」が広がりを見せ、社会にインパクトを与えているのか。恐らく、かつてのデモのイメージを払拭したからだろう。デモは民主主義における正当な行為であり、そこに疑う余地はない。にも関わらず、今まではデモに対して良いイメージがなかった人が多かった。現代の若者のセンスが日本を変えたとも言えるかもしれない。

その街の雰囲気や参加者のノリ、TPOを考えてこれからも思い思いのデモを行なっていくことが必要だ。日本にデモ文化を根付かせるのは、もう難しいとは思わない。
ここ青森でも若者たちが自分たちの考えでデモが行なわれている。


[2015年8月22日(土)・青森県]

▼秋山理央(あきやま りお)
1984年、神奈川県生まれ。映像ディレクター/フォトジャーナリスト。
ウェブCM制作会社で働く傍ら、年間100回以上全国各地のデモや抗議を撮影している現場の鬼。
人々の様々な抗議の様子を伝える写真ルポ「理央眼」を『紙の爆弾』(鹿砦社)で、
全国の反原発デモを撮影したフォトエッセイ「ALL STOOD STILL」を『NO NUKES voice』(鹿砦社)にて連載中。

《ウィークリー理央眼》
◎《022》戦争法案に反対する若者たち VOL.16 仙台
◎《021》戦争法案に反対する若者たち VOL.15 秋田
◎《020》戦争法案に反対する若者たち VOL.14 渋谷
◎《019》戦争法案に反対する若者たち VOL.13 福岡
◎《018》戦争法案に反対する若者たち VOL.12 福島

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国勢調査の裏で跋扈する名簿屋ビジネス──芸能人の個人情報を高値で売買?

「平成27年国勢調査」で、個人情報が売買されているという情報があがってきた。とりわけ「芸能人の個人データを集めるのは今しかない」と裏社会系の情報系探偵会社スタッフが言う。
「一番、金になるのが財界人や芸能人のデータですよ。財界人のデータは、家族構成などが帝国データバンクなどでも知られていますが、芸能人の個人データは、5年に一回しか調査がなされないから、売買するビッグチャンスで価値がある。実は、芸能人の自宅が多い、渋谷や目黒の高級マンション周辺や、原宿界隈の国勢調査員を買収して、個人情報を買っている裏名簿図書館があります」

なにしろ芸能人の個人データが労せずにして入手できる。同居人までもが記載事項だ。前出の情報系探偵会社スタッフは言う。
「仮に、国勢調査に応じなくても、『ここ、タレントの●●がいますね』などと言えば、たいていの近隣はこたえてくれる。今、日本でもっとも価値がある情報をもっているのが国勢調査員です。言える範囲では、前に滝川クリステルや、長澤まさみの国勢調査データを金で買ったことがあります。だいたい、芸能人の名簿は100人くらいまとまれば、携帯電話つきながら、100万円くらいで買うクライアントは山ほどいます」

◆『AKB48』や『ももクロ』の個人情報が「ひとり20万円」で売買される?

果たして、本当にこっそりと金で国勢調査のデータを買うことはできるのだろうか。
「近所を回っている国勢調査員を、人目がつかない箇所に連れ込んで現金入り封筒をポケットにねじ込むタイミングが大事。そして耳もとで『3万円入っています』と囁く。断られたことはありません」(同)

腕章と顔写真が入った調査証をひっさげてはいるものの、やはり国勢調査員とて役人とはいっても人のコ。現ナマには弱いようだ。とくに「おいしい」、つまり高く売れるのがアイドルの住所。
「はっきりいって、アイドルの個人住所は高く売れる。もちろん『AKB48』や『ももいろクローバーZ』なんていうのは『ひとり20万円』なんて「賞金」がかけられたほどです」(同)

◆国勢調査の期間に跋扈する偽調査員や代理業詐欺

「国勢調査スタッフの一部が金で買収されて、裏名簿屋に流れているというが知っているのか」と尋ねると国勢調査コールセンターの係員はハンコで押したようにこう繰り返す。
「今回の国勢調査で得た情報は、総務省の国民統計以外に使うようなことはありません。また、情報漏れにも留意しています」

そうはいっても、「なりすまし」て個人情報をビシバシとっていく「ニセ国勢調査員」が全国各地に出現したのは確か。
「老人向け世代を狙い、『これからは国勢調査もネットでしかできません。5000円払えば、代理でインターネットで申告してあげます』という代理業者も跋扈していました。どんなに気をつけても便乗する輩はいるものです」(総務省関係者)

次回から、「個人情報で売買」する連中が誰かを調べる国勢調査を、徹底的にやっていただきたいものだ。

▼ハイセーヤスダ(編集者&ライター)
テレビ製作会社、編集プロダクション、出版社勤務を経て、現在に至る。週刊誌のデータマン、コンテンツ制作、著述業、落語の原作、官能小説、AV寸評、広告製作とマルチに活躍。座右の銘は「思いたったが吉日」。格闘技通信ブログ「拳論!」の管理人。

◎混沌に風穴を空ける新日本キックボクシング!──WINNERS 2015 3rd 報告
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《ウィークリー理央眼022》戦争法案に反対する若者たち VOL.16 仙台

8月9日(日)、宮城県仙台市青葉区で安全保障関連法案に反対するデモが行われた。
このデモを呼びかけたのは仙台市内の大学生約20名からなる「SEALDs TOHOKU(自由と民主主義のための学生緊急行動 – 東北)」だ。毎週金曜に国会前で巨大抗議行動を行う学生団体SEALDsの動きに呼応し、東北の学生らによって7月に結成された。この日は東京からSEALDsのメンバーや近隣県からの学生、宮城県内で法案に反対する人々などが参加し、総勢500人が仙台の街で反対の声をあげた。


[動画]戦争法案ヤバいっしょ!学生デモパレードin宮城/SEALDs TOHOKU – 2015.8.9 仙台市(13分39秒)

できれば映像を視聴し、デモの雰囲気を感じ、コールやスピーチを聞いてもらいたいのだが、時間がない場合は以下のスピーチの書き起こしだけでも読んでもらいたい。

大学生(女性)
「初めてひとりぼっちで東京の学生デモに参加してから一年。まさか自分たちでデモをおこす日が来るなんて夢にも思っていませんでした。でも『一緒にデモ行くよ』っていう友達がいたから、『宮城でデモあるなら行く』っていう友達がいたから、だから学生が自分たちの声を上げる場所を作りたいと思って今日こうやってみんなで集まってます。『デモなんて意味ない』っていう人もいるけど私はそうは思いません。民意と事実を目に見えるようにする、訴えが広がれば広がるほどメディアを通して必ず政治家も無視できない存在になります。それと同時に私はデモができる時代に生きていきたいと思っています。嫌なことに『嫌だ』ってきちんと言える国で生きていきたいからこうやって声を上げています。いろんな意見がありますが、それでも私は今回の法案や決め方に絶対納得いきません」

大学生(女性)
「私たちは目立ちたい訳でも、パフォーマンスがしたい訳でもありません。政治がもっと日常的なものであるべきだと、社会の意思決定は偉そうな政治家ではなく、私たちがするんだということを自分たちの姿で示したいんです。だって民主主義です。みなさん、一緒にこの社会について、自分たちの生きる社会について真剣に考えましょう。血に染まった歴史を繰り返すのはもうやめましょう。国民が国の駒になる時代には終止符を打ちましょう。そして全ての個人が一人の人間として尊重される社会を共に作りましょう。今日は図らずも、原子爆弾が長崎に落とされてから70年の日です。悲しみの記憶を希望の明日の為の力にしましょう。人間は歴史に学ぶことができます。8月9日、私は戦争法案に反対します」

高校生(女性)
「政治のことを学校で話すことがタブーだというこの時代、覆してやりませんか。『子供だから黙ってろ』って言われるかもしれません。実際何度も言われてきています。でも黙ってたら賛成だと思われてしまいます。私たちはただ見世物の為にこのデモパレードをしているわけではありません。自分たちの未来は自分たちで作っていきたいじゃありませんか。本当はこんなことしたくない、こんなところに身を削ってまで声を上げたくない、でもこんな時代だから、こんな時代に生れたから、自分は黙って見てて決まったことに『そうなんだ』って軽い言葉で収めてしまう傍観者にはなりたくない。原発問題を含め、私たち若者の未来は私達が声を上げないと、とんでもないことになります。だからみなさん、声を上げてみることからしてみませんか」

SEALDs TOHOKUも、単に戦争法への反対だけでなく、『民主主義』や『人権』を守るという意思があり、SEALDsの主張する『フルスペックの民主主義』の考えも共有しているのだと感じた。
女性のスピーチにあった『国民が国の駒になる時代には終止符を打ちましょう』という言葉は、東京ではおなじみのコールである『言うこと聞かせる番だ俺たちが』を東北の人が奥ゆかしく言うとそうなるのかもしれない。『東北だって黙ってないさ』というプラカードも象徴的だ。

全体的にスピーチからデモへの偏見の強さというか、デモ参加のハードルが高いという認識があることが伝わってきた。確かに東北では、まだまだデモが一般的・普通なことではないと私も感じている。
聞いてみると、「デモに行ってる人」として狭いコミュニティの中で思われてしまうのが嫌だとか、「デモはダサい」というイメージが参加の妨げになっているようだ。東日本大震災直後から比べると、デモを取り巻く状況は改善されてきているものの、それでも「デモに参加している人は特殊な人だ」という認識の人がまだまだ少なくない。
今回のデモの名称が「デモ”パレード”」となっていることに気付いただろうか。このデモに限らず、デモのマイナスイメージの払拭の為に「デモパレード」という名称を用いることがある。「デモ」だと怖かったり堅かったりするからパレードの明るいイメージを足したい、「パレード」だと祝祭あるいは遊んでいるイメージがあるから真面目なイメージを足したい、などの意図があってのことだ。

そんな仙台に若者をこんなに集めたデモが行なわれた。
デモの前日まで「七夕まつり」が行われていた仙台らしく、サウンドカーに七夕飾りのくす玉吹流しが付けられていた。荷台に人が乗らず、飾りが乗っているサウンドカーは初めて見た。リズミカルなコールや色鮮やかなプラカードが、今までなかった街の風景を作り出している。
若者が行けるデモがここにはある。もう一人ではない。



[2015年8月9日(日)・宮城県]

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1984年、神奈川県生まれ。映像ディレクター/フォトジャーナリスト。
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◎《020》戦争法案に反対する若者たち VOL.14 渋谷
◎《019》戦争法案に反対する若者たち VOL.13 福岡
◎《018》戦争法案に反対する若者たち VOL.12 福島
◎《017》戦争法案に反対する若者たち VOL.11 長崎

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動画公開!ハンスト学生らのシェアハウス「りべるたん」不当ガサ入れ現場!

本コラムで先日来、お伝えしていたハンスト学生関係者が暮らすシェアハウス「りべるたん」に警察が暴力的に押し入った動画が公開された。
この動画は現場で撮影を敢行したジャーナリスト藤倉善郎さん撮影によるものだ。この動画を見た方々はどうお感じになるだろうか。
私は敢えて多くをコメントしない。ご感想と判断は読者の皆さんの判断に委ねたい。


◎[参考動画]「りべるたん」家宅捜索(藤倉善郎さん2015年9月26日公開)

シェアハウス「りべるたん」に押し入る警官(写真提供=藤倉善郎さん他)
真ん中の男が辻則夫=警視庁公安部公安1課警部補(写真提供=藤倉善郎さん他)

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

◎見せしめ逮捕のハンスト学生勾留理由開示公判──大荒れながらも全員釈放!
◎安保法採決直後に若者弾圧!ハンスト学生への「不当ガサ入れ」現場報告
◎快挙は国会前デモだけじゃない!──6日目124時間を越えた学生ハンスト闘争
◎8.27反安倍ハンストの大きな意味──開始直後の学生4人に決起理由を聞いてみた!
◎3.11以後の世界──日本で具現化された「ニュースピーク」の時代に抗す

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墓参りでの違和感──今年は誰も「戦争」の思い出を語らなかった

1年ぶりに墓参に出かけた。市営墓地は歴史が古く、昨年までは無縁仏の墓石のほとんどが一か所に集められピラミッド状に積み上げられていた。どなたのお墓か存じ上げない数々の戒名を刻んだ墓石のピラミッドは、ちょとした異様ではあった。今年になって無縁仏のピラミッドは跡形もなくきれいさっぱり撤去されていた。誰に充てるともなく記された「市」による無縁墓石撤去の「公報」は、すでに雨水が沁みて読みづらくなっている。

88歳を筆頭に墓参に参加する私たちの一団。年のわりには元気というべきだろう。相応にあちこちガタがきているけれども口数の元気さだけは変わらない。ともあれここ数年身内から葬式を出すことはなかった。身内にとってはありがたい数年間だったというべきだろう。

◆22歳ニューギニアで戦死した叔父の墓

先祖代々の墓の隣に、ひときわ背が高く先端が四角碓の墓石がたっている。22歳ニューギニアで戦死した私の叔父の墓だ。叔父は送られたニューギニアに到着直後に戦死している。1942年戦死の叔父は不幸中の幸いか、遺骨となって帰国を果たし、祖父や親戚が高知港まで出迎えに赴いたと聞いている。

叔父の戦死を知らせる新聞記事が残っている。「お国のために命を捧げた息子を誇りに思もふ」と、気丈に語ったとされる私の祖母は、叔父の遺骨を受け取った駅でただただ泣き崩れ、言葉を発することなどできなかったそうだ。新聞記事はまったくの嘘を書いている。

墓参後の食事の話題は、毎年もっぱら昔話である。傍で聞いていると、何年も同じような話をしているように聞こえる。でもみな楽しそうで嬉しそうだから結構なことだ。連休中で道が混んではいたけども、例年と何変わらぬ墓参の1日が無事過ぎた。

◆誰も「戦争」の思い出を語らなかった

でも思い返せば今年、年長者たちは直接、間接に「戦争中」の思い出を語らなかったことに気が付いた。保守的な土地柄に長らく商売を営む本家の主は、温厚で教養にもあふれる優しい人柄だけれども、こと国防や戦争に関する考え方は私と全く異なる。不義理な私は年に1度平均でしか顔を合わせない叔父と、意味のないいさかいを起こしたくないから、もちろん微妙な話題は避ける。

今年春先からやや体調を崩したためであろうか、昨年よりも叔父はすいぶんと小さくなったように見えた。食事の席で酒が入ると叔父の元気が戻ってきた。あれこれ亡き親戚の思い出話や、近隣住民の悪口、と話しは尽きない。

でも、やはり今年は誰も「戦争」の思い出を語らなかった。かといって「戦争推進法案」の成立が話題になることはない。

私の思い違いでなければ例年と異なっていたのは高齢者の誰もが「戦争」を語らなかったことと、市営墓地のそこここに満開の曼珠沙華の花弁が去年より薄く感じられたことだけだ。ひやっとさせられるほどの毒にさえ近いあの鮮明な曼珠沙華の血色の花が、柄にもなく遠慮深そうに何かを恥じているように色を控えていた。私の錯覚だろうか。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

◎原発・基地・戦争=「犠牲のシステム」を解体せよ!「NO NUKES voice」05号発売!
◎「戦争法案」阻止で街頭の前衛に躍り出た若者たちが「安保闘争」を越える時
◎愛国者たちはなぜ「対米売国」血脈の安倍政権にNOと言えないのか?
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