TITANS NEOS 37は2026年を占う闘い絵巻、未来を照らす後楽園決戦!

堀田春樹

メインイベンターはジョニー・オリベイラ。期待の新星、西田蓮斗はカーフキックで勝利。
前日計量は25日、14時より伊原ジムにて行われ、3名を除いて一回でパス。
山浦俊一は1時間遅れの来場後、3.4kgオーバーで再計量無く計量失格。
伊達は航空便遅延で計量も遅延。ウェジー・チョルは30分後に2回目でパス。
(※記事タイトルはプログラムからそのまま転載です。)

◎TITANS NEOS 37 / 10月26日(日)後楽園ホール17:15~21:27
主催:伊原プロモーション
認定:Woman Muaythai Association、新日本キックボクシング協会

WMA世界戦2試合のスーパーバイザーはアティコム・ポーター(タイ)
戦績経歴は当日プログラム、公式記録、過去データを参照しています。

◆第15試合 62.0kg契約3回戦

ジョニー・オリベイラ(前・日本Fe級Champ/トーエル/ブラジル出身47歳/ 61.8kg)
67戦16勝(1KO)32敗19分
VS
NJKFライト級1位.山浦俊一(新興ムエタイ/神奈川県出身28歳/ 65.4kg)+3.4kg、計量失格
36戦18勝(3KO)16敗2分
勝者:山浦俊一 / TKO 1ラウンド 2分30秒
主審:ノッパデーソン・チューワタナ

両者のローキックの交錯から山浦俊一の右カーフキックが襲うとジョニーはバランスを崩し、更にカーフキックを貰うとノックダウンしてしまった。ジョニーの左脹脛はすでに蹴られたところが真っ赤。更に蹴りの攻防から山浦のカーフキックを受けたジョニーは2度目のノックダウンを喫し、カウント中にレフェリーがストップした。

ジョニーの蹴り足を掴み、足払いで引っくり返す山浦俊一のテクニック

ジョニーは過去、木下竜輔には2度失神ノックアウト負けしているが、今回は意識がハッキリある中での倒されたTKO負け。悔しい負け方だっただろう。

山浦俊一のカーフキックを受けてバランス崩したジョニー・オリベイラ

◆第14試合 ライト級3回戦

NJKFライト級2位.岩橋伸太郎(エス/1987.6.4神奈川県出身/ 61.1kg)28戦10勝14敗4分
VS
岡田彬宏(クボジム・リレイズ東京/1994.7.15東京都出身/ 61.9kg)12戦5勝(1KO)7敗
勝者:岩橋伸太郎 / 判定3-0
主審:椎名利一
副審:宮沢30-29. ランボー30-29. ノッパデーソン29-28

初回から蹴りからパンチ、組み合うとヒザ蹴りと互角の攻防が続いた。両者ともパンチの交錯で顔面ヒットするも大きな差は無い。どちらがよりインパクトあるヒットを見せるかの鬩ぎ合いは第3ラウンドに岩橋の勢いが優り、岡田が下がり手数が減った流れで終了。

岩橋伸太郎は試合後、「取り敢えずホッとしています。最近ドローとか判定負けとか微妙な結果が続いていたので、今日はノックダウンは取って無いですけど、さすがにポイント取ったという感触はあったので勝てて良かったです。」とコメント。

徐々に岩橋伸太郎の圧力が優っていった攻防

◆第13試合 WMA世界女子スーパーフライ級王座決定戦 5回戦(2分制)

ミネルヴァ・スーパーフライ級チャンピオン.NANA(エス/1990.6.10北海道出身/ 52.0kg)
26戦17勝7敗2分
      VS
ジェンディー・モー・ラッソパコーラ(タイ/ 52.05kg)27戦9勝15敗3分
勝者:NANA / 判定3-0
主審:スイット・サエリム・ランボー(タイ)
副審:宮沢49-47. 中山49-46. ノッパデーソン(タイ)49-48

両者の蹴りの攻防はNANAがジェンディーの蹴り足を掴まえたり蹴り終わりを攻めたりと先読みする攻めが優った。ジェンディーは組み合った際のヒザ蹴りはバランス良く上手い攻め。パンチの攻防はNANAが優った。

第2ラウンド終了した時点でNANAが主導権支配した流れを掴んでいた。NANAはジェンディーのムエタイスタイルを殺してしまう勢いがあり、組まれても負けない体勢を作った。ジェンディーは諦めず蹴り返し組み合うとヒザ蹴りは出して来るがNANAを後退させるには至らない。ラストラウンド終了間際にはジェンディーの右ミドルキックにNANAが右ストレートカウンターヒットさせ終了。

ジェンディーに打ち負けない圧力を掛け続けたNANA

NANAは第2ラウンドに転ばされた際、マットに後頭部打ち付けて、そこから展開はあまり覚えていないという。更にヒジ打ち合わせて行ったらバッティングが起こり、左瞼が腫れていった様子。リング下りるまではちょっと腫れていた程度だったが、帰り際は青く充血し腫れ上がっていた。後楽園ホールのエレベーターを下りる際、チャンピオンベルトを指し、「カッコイイです!」と語ったNANAだった。

NANAが終盤には右ストレートでジェンディーを仰け反らせて圧倒の印象を残した

◆第12試合 WMA女子世界ライトフライ級王座決定戦 5回戦(2分制)

佐藤“魔王”応紀(PCK連闘会/1979.1.24宮城県出身/ 48.5kg)26戦14勝(7KO)10敗2分
      VS
マフィアペット・モンコンディー(タイ/ 48.05kg)19戦6勝12敗1分
勝者:マフィアペット・モンコンディー / 判定0-3
主審:ノッパデーソン・チューワタナ(タイ)
副審:宮沢47-49. 中山46-49. ランボー(タイ)46-50

初回の攻防から、マフィアペットの蹴りの間合いと首相撲でのウェイトの掛け方がバランス良い流れを汲む動き。佐藤はマフィアペットに蹴られても強く返せないのが主導権を奪えない印象。

第4ラウンドには前に出る佐藤にマフィアペットの前蹴りが顔面にヒット。調子付いたマフィアペットのリズムが増し、ラストラウンドもマフィアペットの前蹴りが突き刺すようにヒットし調子付かせてしまった。マフィアペットが圧倒の判定勝利で新チャンピオンとなった。

佐藤“魔王”応紀はマフィアペットの前蹴りで仰け反らされてしまった
勝利したマフアペットと無念の佐藤“魔王”応紀の明暗

◆第11試合 75.0kg契約3回戦

マルコ(伊原/イタリア出身34歳/ 74.9kg)14戦8勝(3KO)3敗3分
        VS
白岩昭人(GRABS/埼玉県出身19歳/ 74.9kg)7戦3勝(2KO)4敗
勝者:マルコ / KO 1ラウンド 2分33秒
主審:ノッパデーソン・チューワタナ

白岩昭人の蹴りに対し、パンチで前進するマルコ。対抗した白岩だがパンチではマルコが圧力で優った。蹴り合いから接近する中、マルコが右ストレートでノックダウンを奪い、更にマルコが組み合った中でのヒジ打ちを連打すると、ノックダウンとなった白岩にカウント中のタオル投入による棄権で、マルコのノックアウト勝利となった。

◆第10試合 女子ミネルヴァ・ペーパー級(95LBS)王座決定戦3回戦

2位.Uver-miyU(=高橋美結/T-KIX/静岡県出身25歳/ 43.05kg)20戦7勝12敗1分
        VS
3位.AIKO(=深田愛子/AX/1987.2.10埼玉県出身/ 42.95kg)22戦10勝11敗1分
勝者:Uver-miyU / 判定2-1
主審:スイット・サエリム・ランボー
副審:椎名28-29. 中山29-28. 宮沢30-28

両者の懸命の激しい攻防だが、強いヒットは無く、どちらが優勢とは言い難い展開が続いた。パンチ中心から蹴り、首相撲でのヒザ蹴りの鬩ぎ合いが続く。AIKOは攻め倦んでいるのか、インターバルでは険しい表情。ウーバーは打たれても前進する圧力が感じられた。

第3ラウンドはより激しさ増し、AIKOのパンチや前蹴り顔面ヒットもあるが、ウーバーの蹴り返しもしっかりあり、一つのラウンドでもスプリット採点となる見極め難しい展開となった末、Uver-miyUが2-1判定勝利で新チャンピオンとなった。

差は付き難い展開だったが、僅かに優ったUver-miyUの蹴りと前進力
認定証を受けるUver-miyUと泣き崩れるAIKO

◆第9試合 女子ミネルヴァ・ピン級(100LBS)王座決定戦3回戦

1位.上真(ROAD MMA/ 1985.10.16石川県出身/ 44.4kg)20戦6勝12敗2分
        VS
3位.杉田風夏(谷山・小田原/神奈川県出身29歳/ 45.1kg)7戦5勝(1KO)1敗1分
勝者:杉田風夏 / 判定0-3
主審:スイット・サエリム・ランボー
副審:椎名27-30. 中山27-30. 宮沢27-30

開始から杉田風夏がプレッシャーを与えた展開。杉田の前蹴りが上真の顔面ヒット。首相撲からヒザ蹴りの展開になっても常に杉田の圧力が優った流れでも、ポイント引き寄せる大きな攻防は無いが、微妙ながら各ラウンドを抑えた杉田がフルマークの判定勝利で新チャンピオンとなった。

主導権支配した杉田風夏の攻めの中、前蹴りが上真の顔面にヒット

◆第8試合 68.0kg契約3回戦

ヴェジー・チョル(伊原/中国出身21歳/ 68.15→67.85kg)8戦3勝3敗2分
      VS
風成(エス/東京都出身28歳/ 67.55kg)6戦3勝(1KO)1敗1分1NC
勝者:風成 / 判定0-3
主審:宮沢誠
副審:椎名26-30. 中山27-30. ノッパデーソン27-29

初回、蹴りの攻防の中、前進していたヴェジー・チョルに風成が右ストレートでノックダウンを奪った。ダメージ少ないヴェジーは構わず打ち合いに臨むが、風成も打ち合いに応じて打って出た。ヴェジーのアグレッシブなパンチの前進は続くが、風成が蹴りを加えた返しで凌ぎ切った。勝利した風成は号泣してリングを下りた。

◆第7試合 59.0kg契約3回戦

アルナウ・コルドバ(スペイン、ナショナルK-1Champ/スペイン出身24歳/ 58.55kg)
12戦11勝1敗
        VS
伊達(GRABS/北海道出身22歳/ 58.25kg)5戦4勝(2KO)1敗
勝者:アルナウ・コルドバ / TKO 1ラウンド 1分51秒
主審:中山宏美

パンチから蹴りの攻防。アルナウ・コルドバのパワフルな蹴りが伊達を襲ったが、伊達の蹴り返しも強くヒット。コルドバが伊達をロープ際に詰めたところでパンチ連打し、ノックダウンを奪い、更に蹴りの攻防からバランス崩した伊達のボディーに右ミドルキックがヒットしカウント中のレフェリーストップとなった。

◆第6試合 60.0kg契約3回戦

オスカル・カサド(スペイン出身17歳/ 59.3kg)14戦8勝6敗
       VS
篤志(バトルフィールドチームJSA/千葉県出身16歳/59.45kg)5戦3勝2敗
勝者:篤志 / 判定0-3
主審:椎名利一
副審:宮沢29-30. 中山28-29. ランボー28-30

両者アグレッシブな攻防の中、オスカル・カサドの飛び蹴りや右ストレートヒットがインパクトを与えたが、篤志も徐々に打ち優っていく中で僅差判定勝利を導いた。

◆第5試合 フライ級3回戦

西田蓮斗(現・タイ国南部3冠王者/伊原越谷/東京都出身15歳/ 50.8kg)
タイ3戦3勝(1KO)、日本1戦1勝(1KO)
VS
RIKIYA T-KIX(T-KIX/静岡県出身28歳/ 50.6kg)2戦1敗1分
勝者:西田蓮斗 / KO 2ラウンド 2分30秒
主審:宮沢誠

西田蓮斗は日本デビュー戦ながら、アマチュアで五つの王座を獲得し、タイでプロ3連勝の経験が試合運びに表れた流れ。初回、RIKIYAにプレッシャーを与えカーフローキックで2度ノックダウンを奪い、第2ラウンドにもカーフキックでノックダウンを奪うとRIKIYA陣営からカウント中のタオル投入による棄権となって西田がノックアウト勝利となった。

来月、スペインで行われるWKN(World Kickboxing Network)タイトル挑戦の宣言。勝利を誓った。

◆第4試合 女子アマチュア45.0kg契約2回戦(2分制)

西田結菜(伊原越谷/13歳/ 43.5kg)vs工藤優菜(GRABS/13歳/ 44.75kg)
引分け 1-0
主審:中山宏美
副審:椎名19-19. 宮沢20-19. ノッパデーソン20-20

◆第3試合 女子ミネルヴァ・スーパーフライ級3回戦(2分制)

スーパーフライ級6位.紗耶香(/格闘技スタジオBLOOM/静岡県出身/ 51.9kg)
20戦8勝(1KO)11敗1分
        VS
スーパーフライ級10位.松藤麻衣(クロスポイント吉祥寺/長崎県出身/ 51.8kg)9戦3勝6敗
勝者:紗耶香 / 判定3-0
主審:椎名利一
副審:中山30-29. 宮沢30-29. ノッパデーソン29-28

◆第2試合 女子ミネルヴァ55.0kg契約3回戦(2分制)

MEGU(KICK-SPARK/大阪府出身45歳/ 54.9kg)11戦2勝9敗
      VS
朱乃(CORE/ 54.7kg)3戦2勝1敗
勝者:朱乃 / 判定0-3
主審:宮沢誠
副審:椎名27-30. 中山27-30. ランボー27-30

◆第1試合 アマチュア49.0kg契約2回戦(2分制)

ツカサ(伊原越谷/15歳/ 49.1kg)
       VS
ディエゴ・アンビテ(スペイン/14歳/ 48.9kg)
勝者:ツカサ / TKO 2ラウンド 1分14秒
主審:中山宏美

《取材戦記》

今回から登場したWMAは“ワールドムエタイ”ではなく、“ウーマンムエタイ” である。Battle of MuayThaiイベントから始まったという女子のタイトル認定団体の模様。

WMA世界女子スーパーフライ級王座決定戦に出場したジェンディーはトランクスに縫い取りされている名前が正式なリングネーム。ローマ字発音で言うと“Yenlii(เยลลี่)”。YはJに近い発音になるので“ジェンリー”が最も近い発音と表記になります。

前日計量でスーパーバイザーのアティコム・ポーター氏とLINE交換をしたところに女性がやって来て「私も撮らせて!」とQRコードを撮られてしまった。試合後連絡が来たが、マフィアペットかジェンディーが解らなかった。

「あなた誰?」と返したら「私の名前はゼリーです!」と来た。この子のLINEプロフィールと試合画像を確認して解った。Yenliiである。“ゼリー”は自動翻訳が出した文字だろう。

私が何が言いたいかは、プログラムに書かれるタイ人の名前やタイトルは、タイ文字から読み取って欲しいのである。今時はタイ語を勉強した選手やコーチ、スタッフ等は多いのですから。

以前あった“ムエタイワリア(Warriors)”や“パーカン(Park・klang)”もタイ人が言った言葉をそのままカタカナ書きしているから誤った文言になっているのである。

山浦はお子さんから移ったというインフルエンザに罹った為のコンディション調整が間に合わず、大幅ウェイトオーバーとなってしまった。今回の契約上のペナルティーは規約や両陣営と協会の協議によるが、試合ペナルティーは減点2点のみだった。

プロボクシングルールを参照すれば、超過3%以上は試合中止となるが(3%未満は契約ウェイトから超過8%以内での当日再計量を経ての試合は可能。いずれも一定期間ライセンス停止)、キックボクシングは興行の都合が優先される場合が多く試合は強行された。

ジョニーは試合後、控室では陣営に謝っていたという。セコンド陣営は「ジョニーはスーパーフェザー級の時も結構カーフキックは貰っていたけど大丈夫だった。山浦はいい狙い目見てるんで、最初の一発で効いてしまった感じ。山浦はスタミナ無いと聞いていたので、プレッシャーを掛けて行こうと思ったけど、その前にカーフ貰って効いてしまいましたね。左脹脛の横、一番筋肉の薄い辺り、一番痛いところ!」という。

山浦のウェイトオーバーについては何も問題視しなかったジョニー。カーフキックもウェイトの影響より、山浦のピンポイントのヒットが大きかったという。

山浦俊一が大幅ウェイトオーバーしたことについて、新興ムエタイジム坂上顕二会長(NJKF代表)は試合前、今回の事態に申し訳なさそうな立ち回りだった、
「山浦はコンディション調整不足でスタミナは無いから一層のこと、ジョニー・オリベイラが山浦を倒してくれれば、その方がスッキリしますけどね。」と本音を漏らしていた。

7月27日興行で、木下竜輔(伊原)がガン・エスジム(タイ)との試合を欠場した為、代打出場となった山浦俊一だったが、鳶職の現場での足場転落事故で大事には至らなかったが負傷し欠場となった。その為今回も欠場とはいかない責任を感じ強行出場したが、コンディション調整成らなかった山浦俊一だった。

「こんな事態の末にセコイ勝ち方ですみません。」とは試合後、ジョニー陣営に申し訳なさそうに語っていた坂上顕二会長だった。

新日本キックボクシング協会は2026年も後楽園ホールで4回の興行を予定。3月8日、5月10日、7月19日、10月18日のいずれも日曜日に開催です。

木下竜輔は3月に復活出場予定。期待の新星・西田蓮斗は来年はどのような活躍を見せるか。低迷する新日本キックを救うのはこの二人だろう。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

《11月のことば》人生に夢や希望を持つ者は誇り高く生きてゆける

鹿砦社代表 松岡利康

《11月のことば》人生に夢や希望を持つ者は誇り高く生きてゆける(鹿砦社カレンダー2025より。龍一郎揮毫)

あれだけ記録的な猛暑が嘘のように秋深き季節になってまいりました。今年のカレンダーもあと2枚となりました。

魂の書家・龍一郎の書には、苦難の「人生に夢や希望」を持てという、シンプルながらも熱い想いが力強い筆致の中に込められています。多くの方々が感動する所以です。

ようやく来年のカレンダーを書き終え、印刷所に回っていますが、この制作の過程で、龍一郎に肺ガンが発見され左肺の半分を取る手術をし、現在抗がん剤治療に入ろうとしています。彼は若き教師の頃「ゲルニカ事件」に巻き込まれ全国の教師、父兄の支持を得て闘いましたが、このストレスで重度の糖尿病、大動脈解離などを経験し、不屈の精神で病を乗り越えてまいりました。今回もおそらく乗り越えることでしょう。このカレンダーに心打たれた心ある皆様方のご支援(闘病資金)をお願いする次第です。

振込先:郵便振替 01760-0-130407 口座名:井上龍一郎
空欄に激励のメッセージなどお書きください。

来年3月11日で東日本大震災-原発爆発から15年になります。被災地フクシマに寄り添って行こうという決意で始めた、このカレンダーも、満身創痍の龍一郎の体力を鑑み、ひとつの区切りとして今回(2026年版)でいったん終了することになりました。龍一郎も私たちも頑張りました。今は清々しい気分です。機会あれば、再び龍一郎とタッグを組み、なんらかの形で登場できれば、と願っています。

「パレスチナ国家承認」の真実

広岡裕児(紙の爆弾2025年11月号掲載)

タブーなき月刊誌『紙の爆弾』の最新号記事がnoteで一部公開・購読可能となりました。独自視点のレポートや人気連載の詰まった「紙の爆弾」は全国書店で発売中です(毎月7日発売。定価700円)。書店でもぜひチェックしてください。

◆「二国共存」とは何か

漆黒の闇にそびえたつエッフェル塔に、平和の鳩を真ん中にパレスチナとイスラエルの国旗が映し出された。ニューヨークの国連本部でのマクロン大統領のパレスチナ承認演説へのパリ市のエールだ。もっとも、イダルゴ市長が土壇場になってマクロンがビビらないように釘を刺したともいえる。

この9月21・22日、新たに、フランス・英国・ポルトガル・アンドラ・オーストラリア・ベルギー・カナダ・ルクセンブルグ・マルタ・サンマリノがパレスチナ国家を承認した。日本は、承認を見送った。

岩屋毅外相は9月19日の記者会見で、日本が「二国家解決」を一貫して支持するとの姿勢を改めて強調した。そのうえで、今はそのタイミングではない、と判断したのだという。

1988年11月15日、パレスチナ独立宣言が亡命先のアルジェで出されたが、そこには「この決議こそが、依然としてパレスチナのアラブ人民の主権と国家独立の権利を保証する国際的な正当性の条件を提供している」と記されている。「この決議」とは、1947年11月29日に国連総会で採択された、英国の委任統治領だったパレスチナを分割しユダヤ人国家とアラブ人国家をつくるという決議181号(Ⅱ)である。

承認されたパレスチナは、一部でプロパガンダされているような、イスラエルをこの世から抹消しようとするものではない。二国共存である。

ユダヤ人にとってイスラエルの地はユダヤ民族の揺籃の地である。だが、そこには、昔から別の人たちが生活していた。ユダヤ人がそこに戻るということは、彼らを追い出すということだった。そこで、イスラエルが建国されると何度も戦争が起きた。そして40年、おそらく世代交代もあるだろう、ついに、追放されたパレスチナ人は故郷の半分以上を諦めることに同意した。

一方、イスラエルも独立の時からこの決議181号(Ⅱ)によって建国が可能になったことを認めていた。1948年には、パレスチナ難民の帰還や補償について定めた決議194号(Ⅲ)が出されたが、イスラエルは国連に加盟する際、この両方を実行すると約束している。ところが、これを守らず、これ以降に出された国連決議もことごとく無視した。戦争に勝ったという事実だけをもって本来パレスチナ国家となるべき地域を占拠した。

しかし、パレスチナ人の二国共存受諾に引き続いて、イスラエルでも二国共存を認める勢力が政権をとった。アメリカも後押しした。こうして1993年にオスロ合意が成立したのである。

ところが、この動きはイスラエルの内部から崩壊し、パレスチナ国家を認めない連中が政権を牛耳るようになった。パレスチナ国家となるべき地域に植民が続き、パレスチナ人の反抗を理由に自治政府の長も軟禁された。そして、いつのまにか国連決議によってイスラエルは建国されたのではなく、近隣アラブ諸国との苦しい独立戦争によって建国されたのだというストーリーに替わっていった。現在では、イスラエルはパレスチナのテロの犠牲者で、ガザの連中はその代償を払っているにすぎないという言論がまかり通っている。

パレスチナ人の間でも、外部の支援もあって、イスラエル国家を認めない勢力が台頭した。それがハマスである。現在のイスラエル・ハマス戦争はともに、両国の二国間共存を認めない勢力同士の争いである。

国際社会は、パレスチナを承認して二国の並立を事実とすることでこの勢力に対抗するのである。パレスチナ国家承認は、強烈なハマス攻撃でもある。

9月19日の会見で、岩屋外相は「国際社会が直面しているパレスチナの情勢は、『二国家解決』の前提を崩しかねないものになっております」という。だからこそ、今なのである。

◆フランスが動いた意図

パレスチナ自治政府は、発言もできる国際連合総会オブザーバーの資格を持っている。だが、アメリカ政府は、マフムード・アッバス大統領らの総会出席を阻止するために、ビザを発給しなかった。ルビオ国務長官は、和平努力を妨害し、「仮定上のパレスチナ国家の一方的な承認」を求めていると非難して正当化した。嘘だ。今回パレスチナ承認に踏み切った国々はイスラエルも承認している。この承認によって「二国間解決」しかないと内外に示したのである。

岩屋外相は「イスラエルが『二国家解決』実現への道を閉ざすさらなる行動をとる場合には、我が国として、新たな対応をとることになります」ともいう。

9月11日、ネタニヤフ首相は、ヨルダン川西岸地区の大規模入植地建設計画E1の調印式で、「我々は約束を守る。パレスチナ国家は存在せず、この地は我々のものとなる」と演説した。スモトリッチ財務兼国防省付大臣は「パレスチナ国家は、スローガンではなく行動によって消滅させられつつあるのだ」と述べた(ル・パリジャン9月11日付)。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/n5f1ebe9f2ee2

「万博成功」のはずが離党ドミノ 維新「副首都構想」の目的 

吉富有治(紙の爆弾2025年11月号掲載)

タブーなき月刊誌『紙の爆弾』の最新号記事がnoteで一部公開・購読可能となりました。独自視点のレポートや人気連載の詰まった「紙の爆弾」は全国書店で発売中です(毎月7日発売。定価700円)。書店でもぜひチェックしてください。

◆万博成功アピールの裏

激動が続く2025年。昨年10月に石破茂政権が誕生してわずか1年の間に、自民党は衆院選と参院選で大敗。その責任をとる形で石破首相は退陣に追い込まれた。もっとも、首相に辞任を迫ったのは旧安倍派の裏金議員たちだ。石破政権で冷や飯を食わされた政治家たちが、自分たちの利権を取り戻そうと“石破おろし”に躍起となったのは間違いない。この原稿を書いている時点で新首相の顔は不明だが、誰になっても日本はしばらく、混沌とした政治状況は続くだろう。

私が住む大阪もまた、激動と混乱の年だった。4月には「2025大阪・関西万博」が開催され、10月13日に閉幕した。

大阪は万博で悲喜こもごもの年だった。万博効果で大阪がお祭りムードに酔っている印象を受けるかもしれないが、それは一面的な見方にすぎない。すべての大阪人が両手を挙げて万博を賛美しているわけではない。白けた目で眺めている人も少なくなかった。

人々の間でも万博が話題になることはあまり多くない。はしゃいでいるのは吉村洋文大阪府知事と大阪維新の政治家、そしてマスコミくらいではなかったか。これまで私が会った人の中で、「万博、行った?」「あのパビリオン、良かったね」と熱く語る人は不思議とお目にかかったことがない。逆に「つまらなかった」「二度と行かない」と文句を言う人は何人かいた。

ちなみに、私は取材を兼ねて万博へは2度行った。ただ、1970年の「大阪万博」を知っている私にすれば、まるで物足りない。まず、入場には予約が必要で、これがあまりにも雑なシステムだった。前回の万博では、米国館が「月の石」や「アポロ宇宙船」を展示し、ソ連館では「ソユーズ宇宙船」を来場者に見せて国力を誇示した。民間パビリオンでも、当時は珍しかった大型コンピューターや、また携帯電話の元祖となる無線式の電話を展示し、見る者が度肝を抜かれた。だが、今回の万博では各国のパビリオンにしても映像が主体の展示ばかりで、驚嘆するものは少ない。小国が集まるパビリオンなどは、地方の物産展かと目を疑うような内容ばかりだった。1970年の万博以降、私は国内で開かれる国際博や国内博を数多く取材してきたが、今回ほどショボいと落胆したものはなかった。

開幕前から疑問視されていた収支はどうか。目標とする入場者数に達したとして、万博協会は一応「大成功」をアピールするだろう。チケット販売も採算ラインをクリアしたようで、なんとか運営費は黒字になりそうである。だが、パビリオンの建設工事に参加した下請け業者に工事代金が支払われていないなど、裏に回れば胡散臭い話ばかりが聞こえてくる。代金の踏み倒し問題を含めて、閉幕後に、これまでのツケが回ってきそうだ。

まず交通。万博会場で2030年代に開業予定の統合型リゾート(カジノ・IR)までは、莫大な予算を投資した地下鉄は空気を運ぶことになりそうである。万博のシンボルである全長20キロの「大屋根リング」については、その一部分を大阪市が「市営公園」として整備することが、9月16日に関係者の検討会で正式決定された。だが、大阪市が管理するなら新たな税負担を強いられる。これでは市民の反発を受けるだろう。万博後に残るものは「レガシー」ではなく、虚しさと税負担の二重苦だと予想している。

◆維新を襲う自業自得の離党ドミノ

その万博を推進した大阪維新も新勢力の参政党にお株を奪われて、これまでの勢いは見られない。昨年の衆院選で、小選挙区で当選したのは大阪・京都・広島・福岡の西日本だけで、東京をはじめとする東日本は全滅という有り様だ。7月の参院選にしても、選挙区の当選者は大阪(定数4で2議席)と京都の3人だけ。全国政党を掲げても、実態は大阪のローカル政党のままである。

維新から抜け出す議員も後を絶たない。大半は地方議員だが、維新の地元である大阪市議会でも今年に入って3人が離れ、それぞれが1人会派として活動を続けている。各市議が離党した理由は不明だが、聞くところでは維新に愛想が尽きたか、嫌気が差したのは間違いなさそうだ。この離党ドミノは、おそらく今後も続くだろう。
同じ離党でもインパクトがあったのは、日本維新の守島正衆院議員(大阪2区)だ。守島氏は9月8日、党本部にほかの2人と離党届を提出した。離党の理由について本人は、「結党当初の理念との乖離が大きくなった。今の国会議員団に同調できない」と話しているという。やや漠然とした言い方だが、維新の国会議員団は与党病や大臣病を患っていると言いたいのだろう。

守島氏は2011年4月の統一地方選挙で大阪市議に初当選した、いわゆる「橋下チルドレン」の1期生である。同期に吉村知事らがおり、大阪都構想の制度設計を担うなど、維新内部でも若手のホープと見られていた。国政に転身してからは日本維新の執行部で活動し、それだけに同氏の離党は党内外に大きな波紋を広げた。守島氏に対して吉村代表は「彼らしくない」と首を傾げ、党に残るよう説得した。それでも本人の意思は変わらないと見たのか、その後は「離党ではなく議員辞職が筋」と強硬な態度に出て、9月17日付で除名処分を下した。

守島氏が離党した理由については様々な憶測が飛び交っている。彼は、ときどき突拍子もないことをやらかして周囲を慌てさせるとの噂があって、そのキャラクターが原因だという意見もあるが、たぶん違う。原因は、連立与党に加わりたい維新議員と、それに反対する議員との確執である。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/ne13b2005e92f

公取委、「押し紙」の謎、1999年「新聞特殊指定」改定をめぐる交渉記録の存在を認める

黒薮哲哉

公正取引委員会は、1999年の新聞特殊指定の改定をめぐって、公正取引協議会(日本新聞協会の新聞販売担当部門)との間で行った新聞特殊指定(「押し紙」や新聞拡販に関する法律)に関する交渉記録が、多数存在することを認めた。

既報したように筆者は、1999年の新聞特殊指定の改定に関する交渉記録の全部を開示することを求めて、情報公開請求を行った。ところが公正取引委員会が公開したのは、1998年10年3月 3日付け「新聞業の景品規制の見直しについて」と、それに付随した「(新聞協作成記録用メモ)」の1件だった。

※だたし、開示された文書の大半は黒塗りになっていた。

そこで筆者は、公正取引委員会に対して異議を申し立てた。公正取引員会と新聞公正取引協議会が交渉を行った日付けを具体的に明記して、全部を公表するように求めたのである。具体的な日付けは、次の通りである。

1998年:10月8日、12月1日

1999年:2月9日、3月5日、3月18日、4月21日、4月28日、5月12日、5月13日、5月17日、5月27日、8月9日

なぜ、これらの日付けを特定できたかと言えば、新聞公正取引協議会の事務局が置かれている日本新聞協会の雑誌『新聞経営』に、交渉の経緯が記録されているからだ。当時、交渉のリーダーを務めていた読売新聞の滝鼻太郎氏らが、この件に関して記事を投稿している。

筆者からの異議申し立てを受けて、公正取引委員会は、9月22日付けの文書、「行政文書開示決定通知書(公取取第60号)に対する異議申立てについて」で、情報を開示を検討する旨を通知してきた。

なぜ、最初から全文書の開示に応じなかったのかについては、次のように説明している。

(わたしが情報公開請求の際に提出した)開示請求書には「……公取委と新聞公正取引協議会の間で……」と記載されており、「日本新聞協会」との文言はありませんでした。

新聞公正取引協議会と日本新聞協会は別の組織であるから、「公取委と新聞公正取引協議会の間で」行われた話し合いは、限定的であるというのだ。たしかに厳密な法律的観点からいえばその通りだが、新聞公正取引協議会と日本新聞協会は、一体化しているというのが、通念となっているのだから、最初に筆者が情報公開請求を行った段階で、補正することはできたはずだ。公正取引委員会からの回答は、次の通りである。

◎公正取引委員会からの回答
https://www.kokusyo.jp/wp-content/uploads/2025/09/250926a.pdf

今後、筆者は1999年の新聞特殊指定における「押し紙」関連の全文書を開示させるための諸手続きに入る。

【参考記事】読売の滝鼻広報部長からの抗議文に対する反論、真村訴訟の福岡高裁判決が「押し紙」を認定したと判例解釈した理由
 

※本稿は黒薮哲哉氏主宰のHP『メディア黒書』(2025年9月26日)掲載の同名記事
を本通信用に再編集したものです。

▼黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
ジャーナリスト。著書に、『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島新書)、『ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線』(花伝社)、『名医の追放-滋賀医科大病院事件の記録』(緑風出版)、『禁煙ファシズム』(鹿砦社)他。
◎メディア黒書:http://www.kokusyo.jp/
◎twitter https://twitter.com/kuroyabu

NKB爆発シリーズvol.5は期待の勇志がメインイベンター!

堀田春樹

勇志はムエタイの壁を破れずも成長見せた攻防の技。
どん冷え貴哉が挑戦権獲得。チャンピオンのカズ・ジャンジラと真摯に対峙。
小磯哲史が52歳でTKO勝利。大月慎也を圧倒。

◎爆発シリーズvol.5 / 10月18日(土)後楽園ホール17:15~20:50
主催:日本キックボクシング連盟 / 認定:NKB実行委員会

戦績はプログラムを参照し、この日の結果を加えています(オート以外)。

◆第12試合 58.0kg契約3回戦

NKBフェザー級チャンピオン.勇志(テツ/2000.4.28大阪府出身/ 57.9kg)
16戦11勝(5KO)3敗2分
        VS
オート・ノーナクシン(元・ラジャダムナン系バンタム級5位/2001.3.28タイ国出身/ 57.85kg)
100戦70勝25敗5分(推定)
勝者:オート・ノーナクシン / 判定0-2
主審:前田仁
副審:高谷30-30. 鈴木29-30. 笹谷27-30

メインイベンター勇志は去年12月、NKBフェザー級王座決定戦で、鎌田政興(ケーアクティブ)に判定勝利し王座獲得。オート・ノーナクシンは右ミドルキック、右ストレートが得意で日本トップクラスの選手と多く対戦しており、勇志にとってはなかなかの強敵となった。

初回、ミドルキック中心の蹴りの攻防は、勇志が強く蹴ると、オートが上回るスピードとしなやかさで圧力掛けて来た。互角の蹴り合いと言いたいところだが、ややオートの返しが優る攻防となった。

蹴りで対抗した勇志。ムエタイの壁は厚かったか

第2ラウンドもより攻防が激しくなり、勇志が左ストレート打っても躱したオートがヒザ蹴りに出てニュートラルコーナーに追い詰めると勇志がバランス崩してしゃがみ込み、ノックダウンかと思われたがスリップ扱いで救われた。勇志は左ハイキック出してもブロック。全く怯まず直ぐ蹴り返す落ち着きのオート。勇志は強く蹴り返す勢いでは意地を見せて攻めて出た。

スリーパーホールドから後頭部へのヒジ打ちは反則。流れの中の一瞬のシーン

第3ラウンドはその勢いでややオートを下がらせたが、主導権奪うに至らない展開の勇志だった。見方によって失点無しの引分けからオートのフルマークとなる大差まで、差が開く判定となった。勇志は悔しい判定負け。

オートが判定勝利。勇志は悔しい結果の瞬間

勇志は喋りたくないであろう言葉を振り絞って出してくれた声は、「オートは強かった。負けは負けです。また頑張ります。」とだけ応えた。

テツジム大阪の一生(=イッセイ)会長は「ジャッジ一人はフルマークだったから納得いかないですね!」と不満な言葉。

広報担当している木村充利氏は、「勇志はパンチで行くのかなと思っていたら、蹴りで対抗したのでオートの術中に嵌ったのかなと。でも惜しかったですね。勇志も強い蹴り出していたし良い試合でした。ジャッジはオートの蹴りのインパクトが印象に残ったんでしょうね」という回答をされました。

◆第11試合 NKBウェルター級次期挑戦者決定戦3回戦

NKBウェルター級3位.どん冷え貴哉(TOKYO KICK WORKS/1988.10.15滋賀県出/ 66.4kg)
50戦27勝(6KO)21敗2分
        VS
NKBウェルター級5位.健吾(BIG MOOSE/1993.10.10千葉県出身/ 66.15kg)
8戦5勝(1KO)2敗1分
勝者:どん冷え貴哉 / 判定3-0
主審:笹谷淳
副審:高谷30-29. 鈴木30-29. 前田30-29

来年2月21日での、チャンピオンCAZ JANJIRA(Team JANJIRA)への挑戦権を懸けた、どん冷え貴哉vs健吾戦。

パンチと蹴りの様子見からすぐ組み合う展開へ移り、ヒザ蹴りの互角の攻防が続く。第3ラウンドにどん冷え貴哉がヒジ打ちで健吾の右眉尻をカットし、リズム掴んだ貴哉が首相撲で攻勢を維持。時間の無い中、健吾もパンチで倒しに掛かる猛攻を見せるが、冷静に躱し切った貴哉が判定勝利した。

どん冷え貴哉の蹴りと健吾のバックハンドブローが交錯。健吾の流血が円を描く

試合後、リングに現れたチャンピオンのカズ・ジャンジラが「来年4月に引退します。」と宣言し、どん冷え貴哉に対し、「今回勝てないともうリベンジ出来ないですよ!」と促した。

どん冷え貴哉は、「カズさんとは3回目の試合で、しかもタイトルマッチという最高の舞台となりました。前回は今年の2月に僕が喧嘩売っといて負けたんですけど、また精一杯頑張ってカズ選手の目の前まで辿り着きました。今度は絶対勝つんで有終の美は飾らせないと思ってます。」と宣言した。

カズ・ジャンジラと対峙して健闘を誓い合う。有終の美を飾らせない。いや飾る!

◆第10試合 59.0kg契約3回戦

NKBフェザー級3位.矢吹翔太(team BRAVE FIST/1986.8.2沖縄県出身/ 58.5kg)
18戦11勝4敗3分
        VS
NKBフェザー級5位.半澤信也(Team arco iris/1981.4.28長野県出身/ 59.0kg)
35戦11勝(4KO)19敗5分
勝者:矢吹翔太 / 負傷判定3-0 / テクニカルデジションタイム 第3ラウンド 58秒
主審:鈴木義和
副審:前田30-28. 関30-29. 笹谷30-29

39歳と44歳の戦い。矢吹翔太がローキックから首相撲。離れても矢吹が先手打って蹴りからパンチ、そして首相撲に掴まえる。

第2ラウンド以降も首相撲に繋がる展開が続き、第3ラウンドに矢吹のパンチヒットでフラ付いた半澤信也を追って倒しに掛かったところで偶然のバッティングが起こった。負傷したのは矢吹の方。左瞼がパックリと割れ、ドクター勧告で試合はストップ。攻めて出たところでのアクシデントで負傷判定となって矢吹翔太が勝利した。

矢吹翔太のパンチヒットでグラついたが追って出てバッティングが起きてしまう

◆第9試合 66.0kg契約3回戦

小磯哲史(元・J-NETWORKライト級Champ/テッサイ/1973.8.8神奈川県出身/ 65.85kg)
55戦20勝(7KO)30敗5分
           VS
大月慎也(Team arco iris/1986.6.19埼玉県出身/ 66.0kg)27戦11勝(5KO)12敗4分
勝者:小磯哲史 / TKO 2ラウンド 2分7秒
主審:高谷秀幸

初回か先手打つ小礒哲史が蹴りからパンチ、ハイキックと繋げ、大月慎也を後退させた。大月はミドルキックを返しても流れを変えられない。

第2ラウンドも小礒がペース崩さず前進。右ハイキックでコーナーに追い詰め、更に右ハイキックでアゴを打ち抜きノックダウンを奪った。大月は立ち上がるも効いている様子で、小礒がパンチラッシュで大月をコーナーに追い込み、連打したところでレフェリーストップとなった。

小磯哲史の右ハイキックが大月慎也を襲った

◆第8試合 バンタム級3回戦

NKBバンタム級5位.兵庫志門(テツ/1996.4.14兵庫県出身/ 53.3kg)20戦8勝(2KO)9敗3分
          VS
涌井大嵩(アルン/1997.3.2新潟県出身/ 53.3kg)5戦3勝(1KO)2敗
勝者:兵庫志門 / TKO 2ラウンド 2分29秒
主審:鈴木義和

パンチと蹴りのスピーディーな攻防。涌井大嵩の前蹴り躱した兵庫志門が右フックか、ノックダウンを奪った。第2ラウンドに入ってもダメージ回復には至らない涌井だったが、ローキックで踏ん張って時間稼ぐも、兵庫志門が右ストレートで2度のノックダウン奪ったところでレフェリーストップが掛かった。

兵庫志門の右フックが涌井大嵩にヒット。勝利を大きく導いた

◆第7試合 63.0kg契約3回戦

利根川仁(TOKYO KICK WORKS/2003.1.24東京都出身/ 62.7kg)8戦7勝(1KO)1敗
          VS
ちさとkiss Me!!(安曇野キックの会/1983.1.8長野県出身/ 62.9kg)44戦7勝(3KO)33敗4分
勝者:利根川仁 / 判定3-0
主審:高谷秀幸
副審:関30-28. 前田29-28. 鈴木30-28

利根川仁が蹴りとパンチの圧力で優るが、ちさとはまともに食わないのが上手さか。攻勢続ける利根川だが、ラストラウンド残り30秒でラッシュ掛けたちさとはパンチで圧し、ロープ際でヒザ蹴り、上からヒジ落とす技も使ってコーナーに追い詰めたところで終了。利根川がこの終盤以外に終始攻勢を続けた結果の判定勝利。

利根川仁の右ストレートと、ちさとのローキックの交錯。勝てないが倒されないちさと

◆第6試合 フェザー級3回戦

JKIフェザー8位.仁虎(BOXFIGHT/2009.4.1富山県出身/ 56.65kg)7戦4勝(1KO)3敗
          VS
シオチャイ・FJ KICK ASS(FJ KICK ASS/2007.11.13神奈川県出身/ 56.7kg)
6戦3勝(1KO)3敗
勝者:シオチャイ・FJ KICK ASS / 判定0-2
主審:笹谷淳
副審:鈴木29-29. 前田29-30. 高谷29-30

シオチャイがパンチと蹴りから組み付きに行きヒザ蹴りが徐々に攻勢維持した流れ。両者の蹴りと打ち合いもアグレッシブで、仁虎もフック系パンチがあったが、巻き返すには至らず終了。僅差ながらシオチャイが判定勝利。

シオチャイが首相撲からのヒザ蹴りで主導権支配。僅差となったがヒザ蹴りはインパクトがあった

◆第5試合 ライト級3回戦

リョウヤ・ハリケーン(テツ/2002.10.20兵庫県出身/ 60.9kg)5戦3勝(2KO)2分
          VS
魔娑屋(SLACK/1991.2.4岩手県出身/ 61.05kg)8戦3勝(3KO)5敗
勝者:リョウヤ・ハリケーン / 判定3-0
主審:関勝
副審:高谷30-28. 鈴木30-28. 笹谷30-28

リョウヤは二度の股間ローブローを受けてインターバルが与えられた。魔娑屋に注意警告。更に偶然のバッティングも起こり、リョウヤの戦力落ち気味も、ラストラウンド残り10秒で右ストレートヒットし魔娑屋がノックダウン。大きなポイントを拾ったリョウヤが判定勝利。

◆第4試合 女子50.5kg契約3回戦(2分制)

みずほ有刺鉄線(テツ/1989.5.24東京都出身/ 50.4kg)1戦1敗
          VS
実穂(クロスポイント大泉/1985.3.25静岡県出身/ 50.05kg)2戦1勝1敗
勝者:実穂 / 判定0-3
主審:前田仁
副審:高谷28-30. 鈴木29-30. 笹谷28-30

アグレッシブに蹴りとパンチで打ち合う中、実穂が徐々に打ち優る勢いが目立った。みずほも手を休めず攻め返し好ファイトとなった。

◆第3試合 ライト級3回戦

猪ノ川海(大塚道場/2005.9.30茨城県出身/ 61.1kg)6戦3勝(2KO)2敗1分
          VS
津田宗弥(クロスポイント吉祥寺/1980.1.8神奈川県出身/ 60.75kg)4戦1勝(1KO)3敗
勝者:猪ノ川海 / 判定3-0
主審:関勝
副審:笹谷30-28. 鈴木30-28. 前田30-27

蹴りからパンチの多彩な攻防は猪ノ川海のヒットが優っていく展開。津田宗弥も踏ん張って打ち返し、見極め難い中、ジャッジ三者が揃ったのは第1ラウンドのみだったが、猪ノ川海が順当に判定勝利した。

◆第2試合 フェザー級3回戦

岡部惇(アント/1993.10.20岡山県出身/ 56.95kg)5戦1勝(1KO)4敗
          VS
加藤宙(神武館/2008.11.26埼玉県出身/ 56.75kg)1戦1勝(1KO)
勝者:加藤宙 / TKO 1ラウンド 1分0秒
主審:高谷秀幸

加藤宙が接近戦で振り回した左ヒジ打ちヒットで岡部惇の右眉尻をカットし、ドクターの勧告を受入れレフェリーストップ。

◆プロ第1試合 ライト級3回戦

大森利己(T-GYM/1998.11.30山梨県出身/ 60.15kg)3戦2勝1敗
          VS
小池奨太(Bushi-Do~武士道~/1988.7.14新潟県出身/ 59.75kg)3戦2敗1分
勝者:大森利己 / 判定2-0
主審:前田仁     
副審:鈴木29-29. 笹谷30-28. 関30-27

両者の蹴りとパンチの攻防の中、大森利己のカーフキックが効果を現し判定勝利。

◆アマチュア第3試合 『問答無用』東西対抗戦41.0kg契約 2回戦(2分制/延長1R)

41kg関東王者.田中春翔(WIVERN/ 40.75kg)vs41kg関西王者.高橋海翔(NK/ 40.8kg)
勝者:高橋海翔 / 判定1-2 (20-19. 19-20. 18-20)

◆アマチュア第2試合 『問答無用』東西対抗戦37.0kg契約2回戦(2分制/延長1R)

37kg関東王者.太陽(D-BLAZE/ 36.75kg)vs37kg中四国王者.北山義(岡山/ 36.25kg)
勝者:太陽 / 判定2-0 (20-18. 20-19. 20-20)

◆アマチュア第1試合 『問答無用』東西対抗戦35.0kg契約2回戦(2分制/延長1R)

DBS、UIZIN35kg王者.KANON(問答無用 関東推薦選手/ 35.0kg)
        VS
中四国33kg王者.滑飛夢乃(テツジム滑飛一家/ 34.95kg)
勝者:滑飛夢乃 / 判定0-3 (18-20. 18-20. 19-20)

《取材戦記》

あるジム関係者の声。「挑戦者決定戦は5回戦にすべきですね。タイトルマッチに準ずる試合が3回戦はおかしい!」。

3回戦とは本来キャリアの浅い新人戦の枠組みである。「本来の5回戦に戻る日は来るのだろうか」という意見は一定数有るのも事実である。

勇志の試合については、「勇志の試合は30-27が物語っているんじゃないですかね」とフルマークも妥当と見た意見だった。試合終了した時点で、忖度があるならば引分けかという空気が流れたのも事実だろう。勇志も攻め倦む中、全力で向かった強い蹴りも多かったので、巻き返したとも見れる流れ。でも僅差判定負けが妥当なところだろう。団体の代表的エース格として、また成長を見せねばならない課題多き勇志である。

今年のメインイベンターは、2月に棚橋賢二郎vs乱牙(=蘭賀大介)に始まり、4月、皆川裕哉vs山本太一、6月、釼田昌弘vs TOMO・JANJIRA、そして勇志vsオート・ノーナクシンと繋がって来ました。乱牙はチャンピオンとなった次戦で敗れ、山本太一も皆川裕哉に倒され、剱田昌弘は勝ったが引退。期待の勇志もムエタイに跳ね返された。そんな中での次回、日本キックボクシング連盟爆発シリーズvol.6は、12月13日(土)に後楽園ホールに於いて開催予定です。不振を覆す締め括りに期待したいものですが、メインカードが決まっていないのも寂しいところです。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

同志社大学学友会倶楽部より皆様へ

同志社大学学友会倶楽部 ホームカミングデーの集い実行委員会 松岡利康

ご存知の方もおありかと察しますが、私たちは同志社大学の学生時代、全学自治会「学友会」、及びこの傘下の各学部自治会、また学術団、文連に属する各サークル、放送局、新聞局などで活動し、大学を離れ、特に21世紀に入り学友会が解散して以降、当時の志を忘れず、また親睦を図る目的で「学友会倶楽部」を作り、時に親睦を深める集まりや資料集編纂などに取り組んできました、

特に2013年からは大学のホームカミングデーの日に講演会やライブを行ってまいりました。昨年で当初の予定の10回となり、本年から新たに出発することになりました。

その第1回目として、今回は、かつて1960年代から70年代はじめにかけて、<二つの安保闘争>をメルクマールとして、その戦闘性で全国の学生運動を領導した学生運動を中心に語り合いたいと考え、「1960年代 同志社ラジカリズムとは何だったのか?」というテーマを設定いたしました。

当時学生運動に、サークル活動に活発に活動された皆様にぜひともご参加いただきたくご案内させていただきました。

ところで今夏私たちは、猛暑のさなか、当時活動された前田良典(1962年同大入学)さんの小論選集『野の人』を編集、製作いたしました(非売品)。生き証人として60年代から70年代にかけての当時の学内外の様子やみずからの活動などが記述されています。その製作過程で前田さんは病に倒れ現在闘病中ですが、体調の許す限りご参加、ご発言をいただきたいと思っています。(同書は11.9ホームカミングデーの集いに参加された方には参考資料として無料で贈呈いたします。また、すでにお持ちの方には本企画の担当者・松岡が経営する出版社が発行する雑誌・書籍から1冊を贈呈いたします)

当時同志社大学で学生時代を過ごされ活発に活動された皆様にもぜひご参加いただき、あの熱かった時代のことを忌憚なく発言していただきたく希望いたします。もちろん京都、関西の他大学ОBの方々、あるいは若いみなさんのご参加も大歓迎です。当時私たちは悲惨なベトナム戦争に対して異議申し立てをしましたが、老いても私たちは、半世紀余り経った現在もパレスチナ、ウクライナでの戦火に対し異議申し立てをしなければなりません。

毎年行ってきたホームカミングデーの集い(講演会、ライブなど)ですが、本年から私松岡が担当することになりました。まだ態勢が固まらず人手不足で、当日お手伝いいただける方を募集しています。お手伝いいただける方は松岡までご連絡をお願いいたします。さらには今後も積極的に関わっていきたいという方も大募集いたしますので、よろしくお願いいたします。

では、11・9ホームカミングデーの集いにぜひご参集を!

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【応援ミニライブ】カオリンズ
夫婦デュオ。主に中川五郎(2018年ゲスト)らと共に釜ヶ崎を中心にライブ活動をしている。メンバーのうっちいこと内村育弘は同志社大学文学部社会学科産業関係学専攻(当時)1984年入学。「先輩の松岡さんを応援したく駆け付けます」との言。

◆刊行された前田良典小論選集『野の人』
(四六判、上製、本文240ページ 非売品)
【主な内容】
第一章 友人・先輩への追悼集  
    個と共同(藤本敏夫追悼) 
    同大の先輩たち(中島鎮夫さんら)
    「境毅(バラ均)さん追悼」走り書き
第二章 同志社ブント・関西ブント記  
    六〇年代同志社学生運動私記 
    「同志社学生運動」編纂について(コメントひとつ) 
    一九六九年ブントに何があったのか 
第三章 同志社此春寮(砂野文枝寮母と寮生)  
    砂野寮母の生誕と葬送 
    同志社リベラル 
第四章 洛南反戦と地域労組
第五章 書 評  
第六章 時代論評  
第七章 古代史  

前田良典(まえだ・よしのり)
1962年同志社大学入学。在学中、同大学友会書記長、京都府学連副委員長を歴任。故・塩見孝也氏とは同期、故・藤本敏夫氏は寮の1年後輩。
※本書は「非売品」で書店では発売しておりません。

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メキシコの主要紙、ノーベル平和賞受賞者マリア・コリーナ・マチャドがネタニアフ首相に送付した書簡を公開、自国への軍事介入を要請

黒薮哲哉

メキシコの主要紙 EL Univarsalが、今月ノーベル平和賞を受賞したベネズエラの政治家、マリア・コリーナ・マチャドがイスラエルのネタニアフ首相とアルゼンチンのマウリシオ・マクリ前大統領に送付していた書簡を公開した。記事のタイトルは、「マチャドがネタニヤフにベネズエラへの軍事介入を要請」。自国への内政干渉を要請し、それを「力と影響力」の行使と位置付けるマチャドのスタンスを暴露した。

書簡の日付けは、2018年12月4日。「力」とは軍事介入を意味し、「影響力」とは、イスラエルとアルゼンチンの国際的な影響力を意味する。 以下、書簡の全文である。

◇    ◇    ◇    ◇    ◇

ベンジャミン・ネタニヤフ閣下
イスラエル国首相
3 Kaplan St. Hakirya
91950 エルサレム、イスラエル

ベネズエラ国民は、現政権によって加えられている広範かつ体系的な攻撃から国際的保護を必要としています。このことは、2018年5月29日に米州機構が国際刑事裁判所に提出した報告書によっても示されています。これは、アルゼンチンを含む9か国が同じ国際機関において同政権を告発する根拠となりました。私たちはこの取り組みに深く感謝しており、それが悲劇を終わらせる決定的要素になると信じています。

ここで強調すべきは、この広範かつ体系的な攻撃に苦しんでいるのは私たちの国民だけではないという点です。その犯罪的な性質は麻薬取引やテロリズムと密接に結びついており、他国、特にイスラエルにとって現実的な脅威となっています。現政権はベネズエラ国民の自由を奪い、イランや過激派組織と密接な協力関係を示しており、これはイスラエルに対して存在的な脅威をもたらし、アルゼンチン国内にまで広がっています。1994年にAMIAで起きた反ユダヤ主義による悲劇は今もなお大陸全体にこだまし、その影響は私たちの国にまで及んでいます。

私は国際社会が「保護する責任」の原則に基づき、ベネズエラ国民に対して必要な支援を提供し、政権交代を促すべきであると強く確信しています。これにより国家的・国際的安全保障が回復されるからです。このため私は、世界の主要国の指導者たちに働きかけ、国連安全保障理事会においてベネズエラ国民を保護するための有効な措置を採択するよう求めました。これは必然的に国際安全保障の強化を伴います。本日、イスラエルとアルゼンチンに、専門知識と影響力を活用して、安保理において迅速かつ緊急の決定が下されるよう尽力していただきたいのです。

これらの措置は不可欠です。なぜなら、現政権がもたらすものは大陸規模の安全保障上の焦点であり、難民問題を引き起こしているからです。国連難民高等弁務官事務所や国際移住機関は、現在のベネズエラからの難民危機がアメリカ大陸史上最大であることを確認しています。数百万の人々が避難し、その大部分が近隣諸国に押し寄せています。私たちは彼らを常に受け入れ、支援していますが、政権交代が実現しない限り、地域的・大陸的・世界的な安全は危機にさらされ続けます。

さらに重要なのは、イスラエルとの長年にわたる関係です。私たちはその協力、同盟、貢献に深い感謝と尊敬を抱いています。イスラエルは最近、数多くの国際的支援活動において特別な役割を果たしました。ベネズエラは、イスラエル建国決議(国連総会決議181号、1947年11月29日)に賛成した国の一つでした。1948年5月14日のイスラエル独立後、私たちは誇りをもってその友好関係を維持してきました。

この困難な時期を乗り越え、自由、民主主義、そして繁栄を取り戻すことができれば、イスラエルとの歴史的な関係はさらに強化されることでしょう。

◇    ◇    ◇    ◇    ◇

※本稿は黒薮哲哉氏主宰のHP『メディア黒書』(2025年10月14日)掲載の同名記事を本通信用に再編集したものです。

▼黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
ジャーナリスト。著書に、『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島新書)、『ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線』(花伝社)、『名医の追放-滋賀医科大病院事件の記録』(緑風出版)、『禁煙ファシズム』(鹿砦社)他。
◎メディア黒書:http://www.kokusyo.jp/
◎twitter https://twitter.com/kuroyabu

なぜ福島県知事が狙われたのか?──「『知事抹殺』の真実」と東京地検特捜部の犯罪

尾﨑美代子

10月11日、茨木市で「『知事抹殺』の真実」を鑑賞した。2000年、福島県佐藤栄佐久知事(当時)と実弟が、収賄罪で逮捕・起訴され、有罪判決を受けた事件が何だったか検証した映画だ。結論からいうと、この事件は冤罪だった。しかし、知事は辞職に追い込まれた。

私は次の用事があったので途中で席を立った。ちょうどその時、何かのトラブルで上映が止まっており、後で聞けば最後の20分位が上映できなかったという。とはいえ、私が最後に見た段階でも、あの事件が十分冤罪であることは明確だった。

この事件は、東京地検特捜部が担当した。収賄事件とは、政治家らが社会的・政治的な地位を利用して、他者から特別な便宜を受ける汚職だ。佐藤知事が違法に賄賂を受け取ったということだが、一審有罪判決後、控訴した東京高裁・二審で、控訴棄却で知事と実弟との収賄罪は認めたものの、追徴金はゼロ、つまり「賄賂の金額はゼロ」と認定したのだ。「だったら賄賂は何だったんだ」と誰でも不思議に思うだろう。痴漢で逮捕されたが、痴漢された人はいません、みたいなものだ。映画の中にでてくるが、知事はとにかく企業や市民の贈り物などについて、賄賂と受け取られかねないものは決して受け取らないように注意してきた。ある時高級な鮮魚を貰った知事は、その日のうちに相手に返してきなさいと秘書に頼んだという。

だから、逮捕は晴天の霹靂だった。その後、関係者が多数逮捕されたり、事情聴取を受けた。関係者も全く身に覚えがないのに、東京地検特捜部の取り調べは犯罪者扱いだ。関係者は、福島から特捜部のある東京に呼ばれ、慣れない、きつい取り調べをうけ、へとへとで帰ってくる。その間、自殺(未遂)者が何人もでた。ある関係者は、東京から福島に帰る新幹線から飛び降り自殺しようと考えた人もいた。そんな状況を知った知事は「嘘の供述をして早くこの事件を終わらせなくては……」と考えた。しかし、裁判が始まると、特捜部の酷い取り調べの実態が明らかになった。ある建設会社の社長Mさんは「知事への賄賂で弟の会社の土地を買った」と虚偽供述をさせられていた。

特捜部の仕事は東京でも名古屋でも大阪でも同じで、警察を介さず、贈収賄や脱税、企業犯罪など、政治家や企業が関わるような重大事件を独自に捜査する。政治家や大企業の社長が逮捕される日、段ボールを抱えて颯爽とビルに入っていく連中、どいつもこいつも「ザ・エリート」という面構えで、テレビに映るため、髪から靴の先まで整えてきました、みたいな顔をしている。

しかし、東京地検特捜部は、大阪の村木事件、プレサンス元社長事件と同じで、実際は大失敗だった。しかも知事の事件に、村木事件で、フロッピーディスクのプロパティを改ざんし、逮捕・起訴され、有罪判決を受けた大阪地検特捜部・前田恒彦検事が関わっていた。前田は、知事の事件で先のMさんを取り調べ、取り引きをもちかけ、嘘の供述をとった人物だ。Mさんは裁判で「(前田)検事との取り引きでそう証言したが、事実は違う。知事は潔白だ」と証言した。(ちなみの先週この前田の事件を暴いた『証拠改竄 特捜検事の犯罪」』(朝日新聞出版)を2日で読み終えたところだ)。 

しかし、なぜ知事が狙われたのか? 知事は在任中、東電福島第一原発、第二原発の事故やトラブル隠しや、国や電力会社のそうした体質に厳しく対峙していたという。福島県民を守るためだ。それが国や東電には気に食わなかったのだろう。実際、実弟を取り調べた検事がこう言ったそうだ。「知事はなぜ原発が嫌いなのか。知事は日本にとってよろしくない。いずれ抹殺する」と。

似たような事件が過去に福井県高浜原発のある高浜町でも起こった。高浜原発では日本で初めて獰猛犬を「警備犬」として使っていた警備会社「ダイニチ」があった。関電の幹部K(本では実名が出ていたような)が ダイニチの男性2人に、高浜町の今井理一町長の喉を警備犬に噛み切らせ、殺害しろと持ちかけた。「犬に殺らせたら証拠は残らん」と。今井町長は当時高浜で進められたプルサーマル計画に反対していたからだ。計画は実際のところは頓挫した。その後、男性2人は、Kとトラブったかで怖くなり、自ら顔出し・本名で、ある週刊誌に殺害計画の全貌を告白した。それを一冊にまとめたのが、ジャーナリスト・斎藤真氏の「関西電力 反原発町長暗殺指令」だ。告白した男性2人は、その後恐喝か何かで逮捕された。どの程度か知らないが、恐喝事件は実際あったようだ。やつらは「悪事を働いたような奴の言うことを信用できるか」といつもの手を使いたいのだろうが、そういう悪事を働いたからと言って、2人の告白が虚偽だったとはいえない。

それにしても、関電、東電、政府ら原発を動かしたい連中は、人を殺害してまで、あるいは逮捕、取り調べで多くの人たちを苦しませ、自殺(未遂)に追い込ませても平気だ。「知事抹殺の真実」、私が見た最後のシーン、知事がある集会で支援者の前で、事件当時を思い出し、嗚咽がとまらないシーンだった。私も泣けた。

尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者X(はなままさん)https://x.com/hanamama58

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