「フタを開けてみて、もし会場がガラガラだったら、どうしようか」
スタッフたちが不安でしかたがなかったのは「ムエタイ・オープン32」(9月27日午後4時30分開始・新宿FACEセンチャイムエタイジム主催)だ。

この興行を、明るい女子選手のファイトが救った。
9月27日は、ただでさえ少ないキックボクシングの観客が3つの興行に分かれ、観客が激減することが予測された。この日、開催された興行のひとつは後楽園ホールで行われたニュージャパンキックボクシング連盟とJAPAN KICKBOXING INNOVATIONの共催(午後5時開始)による「NJKF 2015 6th」で、いまひとつはディファ有明で行われたウィラサクレックジム主催による「SUK WEERASAKRECK X」(午後4時開始)

「とくにムエタイ・オープンのほうは、ムエタイの本場、タイで修行を積み、15歳で突如として現国内プロデビュー戦で今年6月、WMC世界スーパーフライ級王者の貴・センチャイジムと対戦し、ドローにもちこんだ佐々木雄汰(尚武会)や、元NJKFスーパーバンタム級王者の裕・センチャイジム(センチャイ)らスターはいるものの、興行としてNJKFやウィラサクレックジムの興行と張り合うには役者が足りないのはムエタイ・オープンのほうなのは明らかです」(格闘技雑誌記者)

ど根性ファイトが人気のリカ・トングライセーン(センチャイムエタイジム)

だが、アイドル顔と根性まる出しのファイトが人気のリカ・トングライセーン(センチャイムエタイジム)が集客の杞憂を吹き飛ばした。
リカは、セミファイナルに登場。49キロ契約で、2015全国ムエタイアマチュア2位の猛者、ションプー・ソー・ポーロースパンブリー(タイ)を相手に、一歩も引かない蹴り合いを演じ、相手が得意な首相撲に何度も持ち込まれるが、逆に相手の挑発に乗りつつ首相撲で勝負する。そして首相撲でダウンを奪う気の強さを見せて、5ラウンドでTKO勝利してやんやの喝采を浴びた。

キックで応戦していると「行け行け、リカ! 恐がるな!」と男性ファンが絶叫に近い声援を送る。

リカの父親で、センチャイムエタイジムの会長のセンチャイ氏は、ニュートラルであるべき運営中心者でありながら、娘のリカのセコンドで助言を送るという微妙な立場だが「考えすぎるな。いつもの通り積極的に行けばいいから」と檄を飛ばしていた。

「前回は負けたので、応援してくれるみなさんのためにも勝ちたかったです」とマイクパフォーマンスで会場をさらに沸かせた。
普段は13人くらい集まる取材カメラマンは、ムエタイ・オープンでは4人。
「NJKF」の取材をした記者は言う。
「こちらも客の入りはいつもの8割くらいでしたね。同じ日に3つキックの興業がぶつかるなんて、ファンはどの会場に行こうか迷ったでしょうね」(同)

ただでさえ少ないキックのファンを取り合う興業主たち。さて、格闘技イベントが乱立する年末に向けて「客の取り合い」はさらにヒートアップしそうだ。

[文]ハイセーヤスダ
[写真・監修]堀田春樹

▼ハイセーヤスダ(編集者&ライター)
テレビ製作会社、編集プロダクション、出版社勤務を経て、現在に至る。週刊誌のデータマン、コンテンツ制作、著述業、落語の原作、官能小説、AV寸評、広告製作とマルチに活躍。座右の銘は「思いたったが吉日」。格闘技通信ブログ「拳論!」の管理人。

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9月27日(日)に後楽園ホールで行われたニュージャパンキックボクシング連盟(NJKF)とジャパンキックボクシングイノベーション(JKI)共催による「NJKF.2015.6th」は、WBCムエタイ・バンコク本部の認定を受けた世界タイトル戦とインターナショナルタイトル戦、日本タイトル戦のメインクラスの5回戦が計5試合(他、ノンタイトル戦、アンダーカード3回戦)行われた。

WBCムエタイ日本バンタム級王座決定戦は攻防が少ない中、JKI同級チャンピオンの知花デビッド(ワイルドシーサー群馬/53.5kg)がNJKF同級チャンピオンの前田浩喜(CORE/53.45kg)を3-0(50-49、49-48、49-47)の僅差判定で破り第5代チャンピオンとなった。

WBCムエタイ日本スーパーフェザー級王座決定戦は、NJKF同級チャンピオンの悠矢(大和/58.97kg)がHEATライト級チャンピオン皇治(SFK/58.97kg)に3-0(50-47、49-47、49-48)の判定で破り第5代チャンピオン。パンチで優る皇治を悠矢が蹴りで盛り返した。

MOMOTARO(右)VS笹羅歩戦

WBCムエタイ日本フェザー級タイトルマッチは、挑戦者でNJKF同級チャンピオンのMOMOTARO(OGUNI/56.9kg)が、初防衛戦の笹羅歩(笹羅/57.15kg)の額を5ラウンド1分10秒、ヒジ打ち一発でカット、ドクターの勧告を受入れレフェリーストップでTKO勝利、第5代チャンピオンとなった。

宮元啓介VS アレクシス戦

WBCムエタイ・インターナショナル・スーパーバンタム級王座決定戦は、日本同級チャンピオンの宮元啓介(橋本/55.34kg)が、WBCムエタイ世界同級16位のアレクシス・バラテウ(フランス/55.15kg)に、2ラウンド3分04秒、ボディブローで計3度のダウンを奪ってレフェリーが止めTKO勝利。新チャンピオンとなった。

◆大和哲也、初防衛ならず!

メインイベントのWBCムエタイ世界スーパーライト級王座統一戦は、チャンピオンの大和哲也(大和/63.1kg)が、暫定チャンピオンのアランチャイ・ギャットパッタラパン(タイ/63.0kg)を初防衛戦の相手として迎えた。「WBCは世界にネットワーク広がる権威あるボクシングの世界機構のタイトル。そのWBCにはムエタイもあってこんな強いチャンピオンが揃っているというWBCムエタイの名前を世界に知らしめたい」と昨年11月、王座に就いた大和哲也が宣言した。

大和哲也(左)VSアランチャイ戦

しかし今年5月にはノンタイトル戦ながらウェイトオーバーの失態を起こした上、元ルンピニーチャンピオン.ゴーンサック・シップンミー(タイ)に判定負け。汚名返上となるはずの今回の試合は「大和哲也が勝つだろう」という予想が大半だったと思われるが、試合は初回の様子見の中、アランチャイの右ストレートが大和のアゴを捕らえノックダウン。あっけないダウンに場内がどよめく。足がフラつきながら立ち上がり、再開もゴングに救われた。あと10秒あったら危なかった展開だった。幸いムエタイルールによる2分のインターバルがダメージ回復に味方した。再びグロッキーになるようなことはなかったが、本調子には戻らない動きと調子付かせたアランチャイを崩すような強打をヒットさせることはできなかった。判定はアランチャイの3-0(49-46、50-45、49-47)で王座統一し、正規チャンピオンとなる。大和哲也は統一と初防衛成らず。

大和哲也(左)VSアランチャイ戦

大和哲也は王座陥落となったが、本物の強豪と対戦を続けてトップを競い続ける価値はWBCムエタイの権威を上げていると言えるだろう。また名誉挽回への再起に立ち上がらなければならない大和哲也である。

今回のような興行、出場選手の持つキックボクシング界の王座の多さに「訳わからん」と言う声も聞かれる。また他興行においても似たような状況。国内王座の多さは説明難解と言えるほど、プロレスの王座のように多い。そんな中、WBCムエタイ日本の傘下にはアマチュアとして小中学生から始められるジュニアリーグからプロの世界王座まで、まだ選手層は薄いが構築された立構造が出来上がっている。権威を築き始めた他組織も存在する為、キック業界すべてがここに集約している訳ではないが、ここに出場する大和哲也や現世界スーパーフェザー級チャンピオン.梅野源治(PHOENIX)の日本のトップクラスの活躍は今後、世間にWBCムエタイへの知名度を広げることにまた一歩近づくだろう。

[撮影・文]堀田春樹

▼堀田春樹(ほった・はるき)
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない。」

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福山雅治(46)が吹石一恵(33)との結婚を発表した影響が芸能界をいまだに震撼させている。

「実は、『独身最後の大物を射止めたということで、女性ファッション雑誌から『恋愛がらみ』つまり恋愛相談や恋のしかたのノウハウについて語るの企画のオファーが次々と来ています。あまり報道されていませんが、確実に『どうしたらあのような男を射止めることができるのか」という観点でアラサー女子の関心を集めはじめているのです」(女性ファッション雑誌ライター)

福山雅治『想 new love new world』(UNIVERSAL J 2008年10月22日)

福山と吹石は、もはやお祝いムード一色だといっていい。
もともと30代女性からの好感度が高く、出演したテレビ・映画の「S-最後の警官-」シリーズでも「主演の向井理のファンからブーイングが出ないように、慎重に選んだ結果、恋人役が吹石になった」(芸能ライター)とも言われている。

このビッグカップルは、芸能界のみならず、世間では「景気がいい」話のようだ。
「情報ライブ ミヤネ屋!」(日本テレビ)で宮根誠司が「この二人の結婚式、中継せんかな。みたいわ?」と叫んだほど、情報番組のキャスターやパネラーも浮き足立っていたが福山は意外に冷静のようだ。

「結婚については、福山本人は騒ぎになるのを嫌っている。『結婚式をビジネスにつなげるのはやめよう』と吹石と話をしていて、吹石は、女性ファッション雑誌からのオファーは断る模様です。二人は、芸能記者に絶対に見つからないように、居場所を伝える携帯メールでさえ、ホテルの頭文字イニシャルで『Hホテルにいる』などと連絡をとっていました。また、会う場所も車の中がほとんどで、同時に車から降りることはなく、必ず、記者が張り込みにくい地下の駐車場がある場所で逢瀬を繰り返していましたから、『プライベートを切り売りする』のが嫌いな福山の意向が二人の間で徹底されているのです」(同)

吹石一恵『anan』04/30・05/07日合併特大号表紙(マガジンハウス2008年4月25日)

結婚式をテレビ局に中継させてギャラを稼ぐえげつないタレントに聞かせたい話だ。

また、必死に福山を車で追跡しては、捲かれたまぬけな芸能記者たちよりも福山のほうが数枚、上手だったのが明確になってきている。福山は、同じ車種をマネージャーなどに運転させて、ダミー車を記者に追跡させるなどマスコミを煙にまくのが天才的に上手なのだ。

吹石がデビューしたての頃に、雑誌のグラビアで撮影に立ち会った写真コーディネータが言う。
「理想の男性として、『プライベートを家庭に持ちこまない人』とはっきり言い切っていました。
プライベートを切り売りしない福山に惹かれたのは、当然だと言えるでしょう」

さて、ふたりの結婚で福山が所属するアミューズの株価が下がったという意地悪な報道もあるが、「性格がよくて巨乳で、福山の下ネタも笑って受け入れる」とされる吹石が「人妻」となったときに、またちがうファン層が拡大しそうな、そんな予感がする。

(鈴木雅久)

 

 

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内閣が改造された。だが安倍自公政権が続く限り、何度内閣が改造されようと、党役員人事がどうなろうと、些細な変化すらない。微塵の期待や希望があるとすれば、その全ては的外れである。

「自民党は変わった」との分析を耳にすることがある。そうだろうか。大派閥による党内の権力闘争が姿を消し何でもかんでも右から左へ党内の軋轢なく、諸事つらつらとつつがなく処理される様子は伺えるが、それはプロセスの話しであって、この政党に集まる人種の本質や政策は何一つ変わりはないのではないか。

◆宏池会=「リベラル」の幻想

リベラルを伝統としていると自称する「宏池会」系議員の誰がこの数年安倍の暴走に歯止めをかけようと行動や発言をしただろうか。

谷垣禎一は法務大臣就任中にいったい何人の死刑を執行したか。

河野談話を出した河野洋平元衆議院議長は謝罪の意を表すのであれば、何故強く求められた国による賠償に尽力しなかったのだ。

その息子、今回入閣を果たした河野太郎は「脱原発」を売りにしていたけれども、国家公安委員長に就任したのだから、反原発集会やデモにおける、警察の暴力や警備を止めさせるか。

◆公明党=「平和の党」の幻想

さらにこの期に及んで派手な旗を引っ提げて国会前に登場した公明党を支持する宗教団体の方々「我々は平和を求めていたのに騙された!裏切られた!」と叫び、集会参加者からはたいそうな歓迎を受けていたが、あの方々は解釈改憲や秘密保護法、マイナンバーや派遣法、刑事訴訟法改悪にはいかなる見解をお持ちなのだろか。騙されていた? 笑わせるな。選挙になれば上からの命令を忠実に履行し、毎回約800万票を自民党政権延命の為に提供する集票マシーンが今さら「騙された」だと?

新聞紙上で内閣改造のたびにはあれこれ論評が飛び交う。意味のないニュースとはわかりつつも新聞人は紙面を埋めるのが仕事だから的外れな識者談話などを飾りにして紙の無駄遣いを止めることが出来ない。

冒頭でも述べたが、私が簡潔に解説する。

内閣が改造された。だが安倍自公政権が続く限り、何度内閣が改造されようと、党役員人事がどうなろうと、些細な変化すらない。微塵の期待や希望があるとすれば、その全ては的外れである。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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粋なはからい、とは言うまい。彼にとっては当然に準備されるべき舞台だったと思うし、私が監督や球団オーナーでも同様の判断をしただろう。御年50歳球界最高齢投手、中日の山本昌が10月7日、対広島の最終戦に先発登板した。

山本昌は天敵だった。甲子園やナゴヤドームで彼のスローボールに手も足も出ない阪神打線に何回やきもきさせられたことだろう。20年前、彼(いや、私か)の全盛時代、素人の私はどういうわけか135キロ位のストレートを投げることが出来た。他方、山本昌の投球を球場で見ていると、なぁんであんなに遅い球が打てないのか、不思議で仕方がなかった。確かに豊富な変化球と球の出どころが見にくいのは判る。しかしあのスローストレートは打てるだろう、と苦々しい思いを何度したことだろう。

だらしない阪神打線を散々ヤジり倒したことは言うまでもない。

挙句の果て阪神は、山本昌41歳時にノーヒットノーランまで食らっているのだ。この記録は最高齢のノーヒットノーランとして今日まで破られてない。

阪神は山本昌に完膚なきまでにカモにされていたわけだ。これがもし巨人所属の投手ならば、単なる嫌悪の対象にしかならないだろう(否殺意の対象かもしれない)。

しかし、あれほど偏向していて読む場所のなかった中日新聞の紙面が「何故か」まともになりだしたからではないだろうが、私の山本昌に対する感情はむしろ好感へと変化してきた。まずこの男、性格がいい。威張らないし腰が低い。阪神戦にめっぽう強かった悪癖を除けば憎むべき点はない。

さらに、わたしくしごとながら彼は私と同世代だ。今年50を超えた1965年生まれの人間の落胆を笑い飛ばすように、はつらつと今日まで現役投手を続けてくれた。寄るとたかると「腰痛がね」、「膝が痛くて」、「痛風の薬が手放せない」と病気の品評会が専らの私の世代にあってプロ野球の現役投手なんだから、恐れ入るほかない。

「中年の星」とかお気軽な呼称で山本昌を呼ぶ人もいるけれども、私たちに「希望」なんてないんだから「星」だってありはしない。山本昌に自分を重ねるわけでもない。ただ20年前のストレート勝負なら負けなかったのにとは思う。

プロ野球に限らず科学的なトレーニングや体のメインテナンス法の向上により選手寿命は伸びている。結構なことだ。しかし、重ね重ね20年前が悔やまれる。板東英二に「君ぃプロ級やで」と言われた時に山本昌には真剣勝負を申し込んでおくべきだった。勝負を取り持ってくれるはずの板東英二も失脚してしまったし。

今日の登板は打者僅か1人相手とあらかじめ伝えられていた。マウンドに上がる前に軽く頭を下げた山本昌には少し力が入っている。広島の先頭打者丸にボールを続けるが最後は見事にセカンドゴロに打ち取った。中日ナインがマウンドに駆け寄った。最初は笑顔だった山本昌の目から涙が流れだす。予定通り一人を打ち取り役者はベンチへ下がった。まだ試合は始まったばかりなのに、中日だけでなく広島ベンチからも拍手が鳴りやまなかった。

試合の結果なんかどうでもいい。この試合で中日が勝てば阪神がクライマックスシリースに出場できることは勿論知ってはいたけれども、降板が決まった和田監督の下、今年の状態で勝ち進める可能性は低いだろう。マートンだって真面目だけれども、もう気持ちは米国に帰ってしまっているだろう。

だから、私は安居酒屋のテレビで山本昌の投球を見終えると家路についた。

あーあ、またひとつ消えたなぁ。騒がしかったバブル時代に「青年期」を過ごした我が世代。バブルなんかの恩恵は何1つ受けなかった私だし、大嫌いだったけども、昨今頻繁に感じるこの「うら寂しさ」は何なんだ。我が世代は無意味バブルの代償として、寂寥にさいなまれているのだろうか。ただ私だけの思い込みや勘違いか。年を取っただけか。

空洞だった「戦後民主主義」がいよいよ完全終焉を迎えるこの時代に、山本昌の降板は何の関係もないだろう。でもなぜか虚しさを募らせてくれる。

ありがとうね。マサ。


◎[参考動画]中日ドラゴンズ山本昌投手 #34 現役最終登板(2015年10月7日baka6 baka6公開)

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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すっかり秋真っ盛り。TPPは妥結、23人目のノーベル賞受賞者誕生、ラグビーはW杯で未曾有の2勝、阪神は終盤で例年通り凋落と目出度いのやら、怪しいのやら見極めにくい日替わりの新聞の見出しは横目で眺めていればよい。

今、あまり知られてはいないかもしれないけれども、書店では1つの「事件」が進行している。何を隠そう、鹿砦社が全力を傾注し季刊で発行している『NO NUKES voice』5号が俄然注目を浴び読者が拡大しているのだ。

例えば、さる9月23日代々木公園で「さようなら原発 さようなら戦争全国集会」が数万人の結集で行われたが、鹿砦社は盟友「たんぽぽ舎」ブースを拠点に『NO NUKES voice』宣伝チラシ配り闘争を貫徹した。その数1500枚。集会参加者のほとんどが快く受け取って下さり、「知ってますよ!買ってるよ」との声も多数頂いた。

◆デモの先頭で横断幕を持った板坂氏と松岡社長が渋谷の街を練り歩く!

松岡社長以下鹿砦社の街宣行動はチラシ配り闘争貫徹で勝利を見たのだが、状況はそれだけでは許してはくれなかった。なんとデモのほとんど先頭で横断幕を持って歩いてくれとの要請が!

勿論デモ程度に怯えるヤワな我々ではない。しかも何故か「あの」板坂剛氏が赤い心に赤いシャツを纏い隊列に加るのだという。板坂氏はデモ開始前に「渋谷で大暴動を引き起こす!」と不敵な宣言を小声で発する。皇室ポルノ事件で『噂の真相』を震撼させて以来、この人行くところにはなにかが起きる。果たしてどんなデモになるのだろうか・・・。



(渋谷は大混乱に陥った。数万の人民がデモ隊に合流し「安倍打倒」を連呼し、スクランブル交差点では渦巻きデモが唸りをあげ、渋谷界隈は完全な「解放区」となった)

という夢を見たが、どこまでが事実でどこからが妄想か区別がつかない。そうだ写真が残っている。どうやら「渋谷大暴動」は夢の中だけだったようだ。デモは成功裏に無事終了した。しかしデモの先頭で横断幕を持つ松岡社長の姿に違和感を覚えるのは私だけであろうか(これって彼の言う『焼香デモ』じゃないの・・・?)。

◆沖縄の書店では岩波『世界』の横に『NO NUKES voice』が並べられていた!

しかしもう一つの写真がある。読者から提供を受けたこの写真は、先月沖縄の大手書店で撮影されたものだ。

よく見てほしい。岩波の『世界』の横に『NO NUKES voice』が並べられている。この事実に「ヤマトンチュ」は震撼しなければならない。反原発の視座から「福島―沖縄犠牲のシステム」を特集した同号が、このように闘いの最前線、沖縄で「世界」の隣に平積みされているのだ。私は「『世界』の横に並んでるぞ!」と浮かれているのではない。戦いにおいて「権威」など何の役にも立ちはしない。最前線に位置する人びとが持ち合わせる繊細な感性こそが本質を射抜くのだ。それを証明しているのが沖縄における『NO NUKES voice』5号に向けられる視線である。

反原発を語るにあたり、反戦争、反差別は当然すぎる前提であって、それらを排除したいわゆる「シングルイシュー」的取り組みなど何の力も持ちえないことは、賢明な読者諸氏には語るまでもないだろう。

単視座に陥ることなく、そして「タブーなき」視点から『NO NUKES voice』は問いを、戦線拡大を訴え続ける。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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◎橋下「維新の党」離党の茶番──マスコミが取り上げなければ橋下は終わる

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8月23日(日)、福島県郡山市で安保関連法案(戦争法案)に反対するデモが行われた。
主催したのは「戦争法案に反対する福島県若者有志の会」だ。デモ出発前の郡山駅前集会では、共産党県議、社民党市議、虹とみどりの会市議、そして「安全保障法案に反対する福島県大学・短期大学研究者の会」の大学教授がマイクを握った。デモ行進は西口から奥州街道まで行って帰ってくる約40分ほどのコースだ。


[動画]戦争法案に反対するデモ@郡山 – 2015.8.23 福島県郡山市(7分58秒)

映像の冒頭、出発したデモ隊がアーケードに入ると次のカットではもうアーケードを抜けているが、これは楽器の音が大きくてスピーチの声が聞き取れず、やむなくアーケードでのスピーチを編集で削った。録音した音声だけでなく、実際の現場でも話が聞き取れなかった。私のようなカメラマンはスピーチを意識的に聞いている。そのような人間でも聞き取れないということは、街の人には届いていない可能性が高いだろう。
楽器はデモを盛り上げるのに非常に役立っていると思うが、時に主張を音量で妨害してしまうことがあるので注意した方が良い。特にスピーチを行なっている時、思い切って楽器は完全にミュート(無音化)してみてはどうだろうか。デモが作り出すサウンドにメリハリがないと街の人は聞き流してしまう。今までしていた楽器の音が止まることにより街の人の耳目を引くことができるし、スピーチの声だけを聞かせることができる。気にし過ぎると何もできなくなってしまうが、少しの工夫や配慮で効果が上がるはずだ。

郡山のデモで特徴的だったのは小気味良いドラムのリズムとクラリネットの旋律に乗ったシュプレヒコールだ。独自に考案されたと思しきものもいくつかあった。語尾に「だばい」をつけた方言コールや、プラカードではよく目にする「アベ政治を許さない」というフレーズも耳にするのは初めてのことだ。中でもハッとしたのは「歴史に向き合え」というコールだった。これは政府与党に対してというより、安倍晋三個人に向けられたもののように聞こえた。
それはスピーチも同様で、スピーチを行なった三人全員が「安倍総理なんかに私の大切な人の命も未来も絶対に渡しません」「この国の主権者は安倍総理ではない」「安倍さんの独裁政治に付き合うのはもうコリゴリです」と言及しており、怒りの的が安倍首相に絞られていた。法案も提出されていない、ましてや国会審議も行われていないことを米国議会で勝手に約束したり、アジア諸国との和解は無視し、米国の政策関係者だけに歓迎されるような70年談話を発表した「歴史修正主義者」の安倍首相を国民はちゃんと見ている。



[2015年8月23日(日)・福島県]

▼秋山理央(あきやま りお)
1984年、神奈川県生まれ。映像ディレクター/フォトジャーナリスト。
ウェブCM制作会社で働く傍ら、年間100回以上全国各地のデモや抗議を撮影している現場の鬼。
人々の様々な抗議の様子を伝える写真ルポ「理央眼」を『紙の爆弾』(鹿砦社)で、
全国の反原発デモを撮影したフォトエッセイ「ALL STOOD STILL」を『NO NUKES voice』(鹿砦社)にて連載中。

《ウィークリー理央眼》
◎《023》戦争法案に反対する若者たち VOL.17 弘前
◎《022》戦争法案に反対する若者たち VOL.16 仙台
◎《021》戦争法案に反対する若者たち VOL.15 秋田
◎《020》戦争法案に反対する若者たち VOL.14 渋谷
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頼みもしないのに、またしても私たちにまとわりつく腹黒い網が一斉に投げ掛けられた。政府に言わせるとこの投網は「マイナンバー」と呼ばれるらしい。

税金、年金から預金や保険に至るまでを包括してひとくくりに掌握し「セーフティーネット」の強化を図って下さる由。結構、結構御同慶の至りである。

◆受給資格者が順次「死んでくれるのを待っている」日本年金機構

「消えた年金記録は最後の一件まで解決する」と当時の舛添要一厚労大臣は大見栄を切ったけども、看板だけかけ変えた旧社会保険庁(現日本年金機構)はとうの昔に照合作業に見切りをつけ、あとは受給資格者が順次「死んでくれるのを待っているようだ」と、派遣で照合作業を請け負っている知人は語っている。ところが当の知人も契約満了で間もなく職を失うという。

「消えた年金記録」のあと今年に入り120万件の個人記録が外部に流出した。

ボロボロである。

年金記録だけでも、ろくに適正運用出来ない行政が税金や、貯金の情報まで一元管理するのだ。

この制度は必ず破綻する。否、破綻してもらうべきである。

◆欠陥だらけの「マイナンバー」行政よりも庶民の方がしっかりしている

「住基ネット」でハコモノではない巨額の公共事業のモデルケースを確立した官僚と企業にとって「マイナンバー」は格好の錦の御旗、あちこち穴だらけの欠陥システムはすぐにボロが噴出するであろうと予言しておこう。

そして何よりも「マイナンバー」が正常に機能し出せば、悪夢のような管理社会の完成だ。

「セーフティーネット」の強化などという、子供騙しを信じている人はさすがに少ないようだ。「戦争推進法案」なみに庶民には何がなんだかサッパリ意味がわからず、自宅近所の金融機関に聞いたところ、9月末個人口座からの引き出しが相次ぎ、一時窓口での待ち時間が二時間を超えたそうだ。

案外庶民はしっかりしている。

この町では一度も「マイナンバー反対」の署名活動やチラシを見たことはないが、庶民は物言わずにそれなりの自衛(抵抗)をしているのかもしれない。

こと、この腹黒投網、国民総背番号制度を私たちは一度も要請したことはないのだから、せめて名称を”Their Number”(奴等が勝手に割り振る番組)と改称させようではないか。

どこをどう読んでも国民、特に社会的弱者への視点が皆無であるのに、「セーフティーネット」に役立つ道理は1%もない。

言わずもがな、連中の真意は徹底した徴税と福祉の切り捨て、そして際限なき管理社会の実現だ。

敵による、敵の為の制度を「マイナンバー」などと私は承認しない。

「奴等による強制的国民総背番号制度」、本質はあくまで“Their Number”だ。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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読者から、山口組の分裂について書いてくれとリクエストがきたので「筆芸者」としてはすぐ書きたいが、いかんせん情報がない。

9月上旬、山口組から山健組や宅見組など13団体が分離独立して、「神戸山口組」ができた。

ヤクザの論理から言えば、あくまでも山口組本家目線から言えば、飛び出た山健組や宅見組ら5団体は「絶縁」という処分だから、ヤクザの世界に「存在」しないということだ。そして「破門」されたのは毛利組や松下組など8団体。「破門」はかろうじて元の団体に戻る道が残されている。

◆すべてが水面下で極秘裏に進んでいたという点に注目すべし

多くのヤクザが、現状分析や未来予測をしているが、まずは分裂した理由を検証したい。これは、現在、山口組を仕切る六代目組長の司忍が出身母体となる弘道会と、前の組長の五代目、故・渡辺芳則が出身母体の山健組との覇権争いからきているのは否定のしようがない。

「神戸山口組には、かなりのキレ者が参謀としてついていますね」(関東広域暴力団幹部)

その理由とは、山口組が分裂した当初を振り返ると、あれだけの大所帯なのにリークされることなく、すべてが水面下で極秘裏に進んでいたという点に注目すべきだ。

自己主張の強いヤクザを束ねることは難しい。
「でも、今回の分裂騒動でも、みごとなまでの結束力と行動力。また風説等を利用し、マスコミだけでなく警察までも煙に巻いています」(同)

参謀、あるいは軍師的な存在が、初動段階から分裂の絵図を描く。また参謀の手腕で、関東最大の暴力団の会長までが、激励の慰問にまで訪れている。このようなことは、過去の任侠史上類を見ない。

この映像が全国ネットで流れ、驚愕の事実に山口組本家は震撼したという。
「山一抗争の例もありますから、当分は両組動かないでしょうね」(同)

動かなければ逮捕者は出ない。つまり、情報収集に行き詰まるのである。
「情報を集めるため、事務所にガサを入れます。警察のガサの手口で多いのは、建築基準法違反。だが参謀はすべて見とおしていたのです」

◆神戸山口組が本家を淡路島に置いた理由

神戸山口組の本部事務所を、淡路島に置いたのも参謀の案だという。
「あの事務所付近には教育施設、とくに小学校がない。これを一番に考えての本家設立だ、と言われています」(同)

確かに、近くに小学校などの教育施設がなければ、まだ幼い小学生児童に抗争の災渦が及ぶことはない。
「もちろん、山口組初代の墓前の地を本家に構えたのも大きいでしょう。大義云々より、世間に対するインパクトですよね」(同)

日本のシチリア島と呼ばれる、淡路島に本家を構えた神戸山口組。彼らは、世界を席巻したイタリアンマフィアのように、日本のヤクザ界を牛耳ることができるのだろうか。

◆警察の「山口組切り崩し作戦」が成功しつつある

さて、分裂のいまひとつの原因と理由、僕は「高山清司」若頭の長期不在だとみている。旧知のノンフィクション作家も同じ見方をする。
「山口組の組長、司忍が銃刀法違反で2005年12月から2011年4月まで収監されていた不在の間、山口組内の統制が保たれていたのは、高山若頭がにらみを利かせていたから。暴力団排除条例が整備され始めたころ、後藤組の組長、後藤忠政が芸能 人とゴルフコンペを行い、NHKが細川たかしや小林旭、中条きよしなどの出演を数か月も見合わせた件で、後藤を除籍し引退させたのも高山だし、水や歯ブラシを大量に買わせるシステムについて古株の幹部や重鎮から文句が出てきてもなんとかして抑えこんだ。クーデーターを計画しても、情報が事前に漏れ伝わってきて、実行を回避してきた。そうした手練手管を使える高山若頭が2010年11月に恐喝容疑で逮捕され、 昨年の6月に実刑が確定し、府中刑務所に収監されている。その間、司忍組長と司組長の出身母体であり、つぎの山口七代目組長の最右翼候補である弘道会会長・竹内照明が中心になって組織を引き締めるべきだったが、要するに高山若頭のように抑えがきかなかったわけです」

まったくその通りで、もし加えていうなら、警察の「山口組切り崩し作戦」が成功しつつあるとみることができる。

もし山口組を疲弊させるなら、内部抗争が一番てっとり早い。新聞などでは「司忍組長に国税が入るのではないか」と騒がれているが、これは、工藤会の野村悟総裁のところに、税務調査が入り、脱税容疑で逮捕されたのをモデルケースにしているに過ぎない。

◆巷で流れているヤクザ関連の情報は99%、疑ったほうがいい

僕に言わせれば、今、巷で流れているヤクザ関連の情報は99%、疑ったほうがいい。山口組本家にせよ、神戸山口組にせよ、「自分たちの立場を有利に運ぶ」ための誘導弾をまいている可能性がおおいにあるからだ。

そして、自分の幼馴染のヤクザも、取材で知り合ったヤクザも組がどこであろうと、今は口が重く、会うのも難しい。

ヤクザ事情に詳しい影野臣直氏は、山口組が分裂した9月初旬以降、ヤクザが、このところ一律に口が堅くなっ た本当の理由について語る。
「それはそうですよ。何が火種になるかわからないし、どこで飛び火して戦争になるかわからない。今、沈黙は金ですよ」

たとえば、今まで山健組にみかじめを払っていた風俗店が「おい、この際、うちに払え」と弘道会が店長に対してシノギを引きはがしにかかってもなんの不思議もない。

名古屋の一部や北海道の一部では、そうした動きが始まっているという報道もある。

が、前出の影野氏は「そんなのが全国のそこかしこで行われるなんてマスコミの妄想です」と言い切る。
「シマの取り合いなんて、仮にもめるとしても表に出ないようにやりますよ。マスコミが(抗争を)煽りすぎです。ましてや、音が鳴る(拳銃で撃たれる)なんていうのは、よっぽど組どうしの話がつかなったときでしょう」

性風俗の広告代理店によると、たとえば山健組系が運営している風俗店が弘道会系の風俗案内ホームページに掲載している場合、「この際、別れましょう」と山健組系も店がホームページから引き上げたりしてもめたりするのではないかとささやかれているようだ。

「それは裏側をつぶさに見れば対立しているように見えますが、企業舎弟どうしは、うまく共存を図るはず。そんなに簡単にもめるようにはできていません」(影野氏)

そんなわけで、僕の友人のヤクザは9月1日から「しばらく電話には出れない」と言いつつ、フェイスブックも閉じた。

彼が電話に出る時が、「任侠界」が落ち着いたときとなるのだろうか。
その日が1日でも早ければと思う。そして、大阪府警の樋口真人本部長も、工藤会の捜査で実績をあげて大阪府警にやってきたキャリア組で、これでもか、と山健組や宅見組に家宅捜査をしているようだが、いまさらヤクザの事務所にヤバいものが隠されているわけがなく、これはパフォーマンスに等しい。これらの警察のわざとらしいふるまいは次回以降に暴きたい。

そして、今、山口組本家にさまざまな組が訪問しに来ているが、これは「ヤクザが顔を売る絶好のチャンス」だということだ。この「友好団体」の訪問の意義も、近く触れたいと思う。

(小林俊之)

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リングでは、ワセリンと汗の強烈な匂いは男臭さの象徴だ。
キックボクシングの会場ではなおさら飛び散る血しぶきが、「泥臭く、男臭い」環境を演出する、しかし、この日のキックボクシング興行では、アルゼンチンの華やかな美女や紳士がリングサイドを彩り、いつもとはちがったグローバルな雰囲気を漂わせていた。社交パーティのような雰囲気もかもしだしていた。それもそのはず、アルゼンチンのラウル・ギジェルモ・デジャン・ロドリゲス全権特命大使とその仲間たちが「賓客」として招待されていたのだ。

9月20日、後楽園ホールで行われた「TITANS NEOS 18」(主催/TITANS事務局、認定/新日本キックボクシング協会)では、日本ミドル級王者を決める「斗吾(伊原)VS今野明(市原)」とWKBA世界バンタム級王座決定戦の「江幡睦(伊原)VSモンコンチャイ・ソー・ミージャン(元タイ北部フライ級王者)」のダブルメインイベントのアンダーカードながら、第7試合の日本ヘビー級3回戦「マウロ・エレーラ(アルゼンチン/世界極真空手連盟ワールドカップ2013 世界3位)vs山崎泰意(宮川/ザ・マーシャルアーツドリーム2012国際大会スペシャルグローブマッチ優勝)」が、大勢詰めかめたラテンのノリのアルゼンチンの大声援を受けて、マウロは1R1分11秒、左フックでノックアウト勝ちした。

新日本キックボクシング協会代表の伊原信一氏がマイクをとって何度もアルゼンチン大使に拍手を促す。「忙しい中、アルゼンチン大使に来ていただきました。これからもアルゼンチンとは友好を深めたいと思います」とアナウンスするとラウル大使は、リングにあがり「ここに呼ばれて素晴らしい試合と選手のファイトが見られて光栄だ」と興奮気味に話した。

◆伊原会長がアルゼンチンに肩入れするのはワケ

伊原会長が鼻息荒くアルゼンチンに肩入れするのはワケがある。
「一昨年の夏、伊原道場はアルゼンチン支部を立ち上げました。アルゼンチンに太い人脈のパイプがあり、サッカーのアルゼンチン1部リーグClub Estudiantes de La Plataでプレー経験を持つ川久保悠氏が、大使関係を結んだのでしょう。実際、これからアルゼンチンの有力選手をたくさん呼べるはずで、日本のキックボクシングをアルゼンチンに逆輸出することも視野に入ります」(ベテランのキックボクシングライター)

しかしこれはウラを返せば、もはや国内ではキックボクシングの集客は期待できない証明でもある。

「確かに客の年齢層は毎年、あがっていく。30近くキックの団体が乱立しているが、お客は基本的にはリピーターで、タイのムエタイ選手や団体と日本のキックボクシング団体が交流しているように、今後は南米やアジア地域にも広げていかないといずれキックの団体は滅びる運命となる」(同)

ただし、アルゼンチンではキックボクシングはまだまだ盛んではない。だがこの日、多くの南米人を会場で見た。「オーレ~・オレオレオレ~♪」と勝った日本人にエールを送る独特のノリ。これは今までのキックボクシング会場とは異質な、そして新しい空間だ。この日のマウロ・エレーラのように、呼べる選手は空手の実績がある重量級選手となるであろう。今後、南米やアジアの国と交流していくにしても、ムエタイとは違う「日本式キックボクシングルール」で世界に拡大していくのは、茨の道のりとなるだろう。老舗WKBAの活発化も大きな武器となるかもしれない。

この日の江幡睦は、3月15日にムエタイ殿堂王座にトライして惜敗した無念を晴らした。東京・後楽園ホールで開催された前回のメインイベントではラジャダムナン・バンタム級&WKBA世界バンタム級ダブルタイトルマッチが行われ、WKBA世界王者・江幡睦が、悲願のラジャダムナン王座を狙い、過去に勝利しているフォンペート・チューワッタナと対戦したが、強打を打ちこむもムエタイのリズムに決定打を殺され判定負け。また無冠からの出直しなったが今回は危なげなく、1R1分53秒、右フックでKO勝利、また斗吾(伊原)は、細かいパンチを出して、徐々に今野明(伊原)のリズムを狂わせスタミナを奪い、捨て身でくる打ち合いを捻じ伏せ、3R2分59秒でノックアウト勝ち。リング上にて「お母ちゃん、ありがとう」と呼びかけて、母親がリングにあがり、一同にお礼をする温かいシーンがくり広げられた。

[文]ハイセーヤスダ [写真・監修]堀田春樹

▼ハイセーヤスダ(編集者&ライター)
テレビ製作会社、編集プロダクション、出版社勤務を経て、現在に至る。週刊誌のデータマン、コンテンツ制作、著述業、落語の原作、官能小説、AV寸評、広告製作とマルチに活躍。座右の銘は「思いたったが吉日」。格闘技通信ブログ「拳論!」の管理人。

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