《脱法芸能07》小栗旬は「タレント労働組合の結成」を実現できるか?

私は拙著『芸能人はなぜ干されるのか? 芸能界独占禁止法違反』では、様々な資料を駆使して、あらゆる角度から日本の芸能界を検証しその問題点を浮き彫りにすることを目指した。

日本の芸能界の問題は、構造的なものであり、連綿と続く歴史的背景がある。では、どうすれば解決できるのか。私はそのモデルを求めて、世界屈指の市場規模を誇るアメリカのエンターテインメント産業の歴史と構造を調べた。

日本と比べ、アメリカのタレントが主体的にパフォーマンスに取り組め、報酬面でも権利面でも擁護されているのは、3つの柱がある。すなわち、①「タレントによる労働組合の結成」、②「反トラスト法(独占禁止法)による芸能資本の独占排除」、③「専門法によるエージェントの規制」だ。

歴史的経緯を調べると、まず、最初に出てきて、なおかつ重要度が高いのが①の「タレントによる労働組合の結成」だ。私は『芸能人はなぜ干されるのか?』を出版すれば、いずれタレントから労働組合結成の声が上がってくるはずだと思っていたが、遂にその時がやってきた。

8月に出版された『クイック・ジャパン115』(太田出版)で売れっ子の若手俳優、小栗旬が友人の俳優、鈴木亮平との対談で労組結成への思いを打ち明け、「ぼちぼち本格的にやるべきだなと思っています」と語っているのだ。

◆「巨大組織」に抗する覚悟はあるか?

労働組合の結成の目的は、優れた作品をつくり、俳優の労働条件を改善することが目的で小栗が旗振り役になるつもりだという。

小栗のその決意の背景にあるのは、芸能界の現状に対するいらだちだ。たとえば、「アメリカなんかは、メジャー作品にこの前まで無名だった俳優が、ある日突然主役に抜擢されることがあるのに、日本ではそういうことはほとんどないという現状がある。それを起こすためには、大前提としてスキルを持っていないとできないので、その力をみんなでつける場所を作りたいということですね」」として、自ら借金をして、俳優が自分たちを向上させるための稽古場を建てているという。

日本の芸能界では大手芸能事務所によるパワーゲームでキャスティングが決まる。その悪習を打破して、真の実力主義を導入すべきだというのである。

その先には、俳優による本格的な労働組合の結成という目標があるが、「みんなけっこう、いざとなると乗ってくれないんですよ」「ここのところはちょっとね、負け始めてます」と言っている。その理由は、「組織に。やっぱり組織ってとてつもなくでかいから、『自分は誰かに殺されるかもしれない』くらいの覚悟で戦わないと、日本の芸能界を変えるのは相当難しいっすね」と述べている。

小栗が言うところの「組織」とは、「芸能界のドン」と呼ばれる、バーニングプロダクションの周防郁雄社長を盟主として仰ぐ、業界団体、日本音楽事業者協会(音事協)のことだろう。

小栗が所属する芸能事務所は、トライストーン・エンタテイメント。あまり知名度はないが、音事協に加盟している。また、小栗の対談相手の鈴木亮平は、音事協加盟で老舗のホリプロに所属している。タレントの生殺与奪の権利を握る「組織」に所属し、多くのメジャー作品に出演している2人による労働組合構想はきわめてリスクが高い。

◆業界権力者の意向を恐れず、闘い続けた米国タレント労組の歴史

アメリカのエンターテインメント産業においてもタレントの労働組合の結成は難事業だった。

アメリカの演劇界では1913年に労働条件の改善を訴えて俳優が労働組合、アクターズ・エクイティ・アソシエーション(AEA)を結成したが、劇場マネージャーの連合体である劇場シンジケート側は、AEAの有力メンバーを買収し第2組合を設立させたり、AEAに加盟していない地方の俳優を使って公演をしたりして、AEAの活動を妨害した。

この動きに対抗するべく、AEAは日本の連合(日本労働組合連合会)にあたるアメリカ労働総同盟に加盟し、他のタレントの組合と連携して組織力を強め、大々的なストライキを実施し、チャリティ公演を行ない資金不足を補った。そうした努力を積み重ね、最終的に劇場シンジケート側は、白旗を揚げ、俳優たちの要求を飲んだ。

ハリウッドの映画俳優たちは1933年に「スクリーン・アクターズ・ギルド」という労働組合を立ち上げた。

ハリウッド・スターといえば、今でこそ莫大な報酬を得ることで知られるが、当時の労働環境は劣悪だった。当時のハリウッドは「スタジオ」と呼ばれるメジャー映画会社が牛耳り、俳優たちはスタジオの裁量で自動更新される長期契約を強いられ、朝8時から深夜まで及ぶ長時間労働を余儀なくされた。

SAGが設立された直接のきっかけは、映画会社による大幅な賃下げの実施だった。当初、SAG加盟社は少数だったが、プロデューサー同士が俳優の競争入札をしないという、日本の五社協定のような申し合わせが成立したことがきっかけとなり、SAGの加入者は3週間で80人から4000人まで膨れあがった。

1935年5月9日、数千人の俳優たちがハリウッドのリージョン・スタジアムに集まり、ストライキの実施を支持した。これ以降、SAGと映画会社が交渉し、映画界のルールを決める習慣が定着するようになった。

アメリカのタレントたちが業界の権力者の意向を恐れず、パフォーマンスに専念でき、なおかつ高収入を得られるのは、そうした努力の積み重ねによるものだ。

そして、ようやく日本の芸能界にも、団結して立ち上がることを主張する俳優が現れた。今、日本の芸能界は歴史的な曲がり角を迎えているのかもしれない。

(星野陽平)

《脱法芸能01》私が『芸能人はなぜ干されるのか?』を書いた理由

《脱法芸能02》安室奈美恵「独立騒動」──なぜ、メディアは安室を叩くのか?

《脱法芸能03》安室奈美恵の「奴隷契約」発言は音事協「統一契約書」批判である

《脱法芸能04》安室「奴隷契約」問題が突きつける日米アーティストの印税格差

《脱法芸能05》江角マキコ騒動──独立直後の芸能人を襲う「暴露報道」の法則

《脱法芸能06》安室奈美恵は干されるのか?──「骨肉の独立戦争」の勝機

業界水面下で話題沸騰6刷目!

『芸能人はなぜ干されるのか? 芸能界独占禁止法違反』

高市・稲田ネオナチ写真騒動──2年前の茶番写真を欧米メディアが報じた理由

9月3日、安倍晋三首相は内閣改造に踏み切った。話題となっているのは、女性の起用が目立つこと。女性閣僚の数は、過去最多の5人。党三役の政調会長を加えれば、6名が女性だ。

内閣改造後、支持率も上昇し、国民からの期待も高まっているが、思わぬ横やりが入った。

総務相に就任した高市早苗氏と自民党政務調査会長となった稲田朋美氏が、ネオナチを標榜する極右団体代表とともにツーショットで収まった写真がネット上で公開されていることが発覚し、国際問題となっているのだ。

写真が公開されていたのは、「国家社会主義日本労働者党」を名乗る右翼団体のウェブサイトで、高市総務相、稲田政調会長とともに写っているのは、同団体代表の山田一成氏。

この問題は、英紙ガーディアンなど海外の主要メディアが日本の右傾化と絡めて報じ、さらに世界的に有名なユダヤ系団体の「サイモン・ウィーゼンタール・センター」(本部・米ロサンゼルス)が「議員らは(同団体が掲げる)ネオナチの思想を明確に非難すべきだ」と声名をだすなど、世界中に波紋を呼んでいる。

なぜ、このような写真が撮影されたのか。

事情を知る関係者は、「写真が掲載されたのは、2年前のこと。これまでずっと掲載されていたのに、なぜ今ごろ問題になったのか」と首をかしげる。関係者が続ける。

「高市氏も稲田氏も山田氏の素性を知らないで写真を撮影したのでしょう。もともとこの写真は、オークラ出版が刊行していた『撃論』という保守系の雑誌の企画で山田氏がインタビュアーとして面談した際に撮影されたものです」

では、なぜ山田氏は写真を公開したのか。

「もともと山田氏は『撃論』の仕事をフリー編集者のI氏から受けていましたが、2011年に版元のオークラ出版が『撃論』を休刊にするという方針を出しました。仕事がなくなることを恐れたI氏は、山田氏に『オークラ出版の社長を脅して、休刊の決定を覆して下さい』と依頼。それを受けて、山田氏はオークラ出版の社長と交渉し、休刊を思いとどまるよう説得しました」

それが功を奏したのか、『撃論』の休刊は撤回されたという。

「ところが、I氏は義理のある山田氏を『撃論』から排除してしまったのです。山田氏は自分が切られたのは、『撃論』にの編集方針に影響力を持っていた筑波大学名誉教授の中川八洋氏がI氏を操っているためだと考えていたようです。ともかく、右翼としてのメンツを潰された格好の山田氏は、ただちにI氏を追い込もうと行動を開始し、I氏や『撃論』を中傷するネット記事を公開したり、新聞を作ったり、I氏が過去に関わった事件を問題にしてI氏の取引先に質問状を提出して、警察沙汰になったりしました」

その活動の一環として、山田氏は取材の際に撮影した高市議員、稲田議員の写真をネットに公開したのだという。

「極右活動家の自分とのツーショット写真が公開されたら、『撃論』を出版しているオークラ出版も困るだろう」というのが山田氏の考えのようだったが、写真は世間からは注目されず、山田氏の思惑は不発に終わった。

高市、稲田両議員がたまたま今回の内閣改造人事で出世したのを機に写真の存在が注目されるに至ったが、問題の写真には政治的な背景などないというのが結論だ。

2年前に話題にならなかった写真が今になって注目された理由には、これまでになかった本格的な保守政権である第2次安倍政権の誕生と在特会のようなネオナチを彷彿とさせる市民団体の跋扈していることも。バカバカしい話が発端の今回の騒動が国際ニュースとして大々的に採り上げられたのは、「日本の右傾化」が現実的なものとして語られるようになったことを示している。

(星野陽平)

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《書評》訴訟顛末も暴露した宝塚カゲキ100周年記念本!

タカラヅカ スキャンダルの中の百周年

 

宝塚歌劇100周年ということで、久しぶりに鹿砦社から宝塚に関する書籍『タカラヅカ スキャンダルの中の百周年』が上梓された。鹿砦社では、過去に多くの宝塚書籍を出版してきたが、本書は、宝塚の歴史が通観できるよう、それらをわかりやすくまとめたものである。

百周年ということで、テレビや雑誌などでも、宝塚に関する明るく華やかな話題には事欠かないが、それは宝塚の一面に過ぎない。

何事も、表があれば裏があり、宝塚もその例外ではない。しかし、宝塚の裏の部分は、90年代に鹿砦社が書籍を通じて報じるまでは、ほとんど表立って語れられることはなかった。それは、宝塚歌劇団が阪急という大資本の傘下にあったからだ。

首都圏在住者には実感しづらいかもしれないが、関西圏での阪急資本の力は絶大で、阪急に睨まれるようなことは絶対的なタブーなのである。

そのタブーを侵した鹿砦社は、当然ながら無傷ではいられず、出版差し止め訴訟を争うことになる。その経緯は、本書補章「『タカラヅカおっかけマップ』出版差し止め始末記」に詳しい。ネズミが象に挑むような厳しい戦いの中で一矢報いたことで、鹿砦社は、宝塚の批判書を出しても阪急に見て見ぬフリをされるという「特権」を手に入れ、今日もこういった書籍を出すことができている次第である。

◆「清く正しく美しく」の裏側を真っ当に検証した独自情報も満載!

本書は以下のような構成となっている。

まず、一章「タカラヅカのオモテとウラ」では、宝塚の全体イメージがつかめるように、宝塚とはどんなところかということを記している。

鹿砦社の出版物というと、批判ばかりと誤解されがちだが、決してそんなことはない。他がアゲ記事ばかりに著しく偏向しているのでそのように見えてしまうだけであり、ここでは、問題点は提起しつつも評価すべき点は評価し、いたって中立の立場で宝塚を論じている。宝塚の歩みから、お金のかかり続ける構造、特異なファンクラブの実態など、宝塚を理解する上で欠くことのできない基本事項が一通り網羅され、バランスの取れた「宝塚観」を得ることができるであろう。

第二章「タカラヅカいじめ裁判」は、2008年に起こった、音楽学校でのいじめ事件をたどったものである。これに関しては2010年、鹿砦社が出版した『ドキュメント タカラヅカいじめ裁判─乙女の花園の今─』(山下教介)に詳しいが、本書では、事件の経緯を簡潔にまとめ、事実関係だけなら、こちらよりもシンプルに把握しやすくなっている。

この事件では、いじめ事件の当事者たちもさることながら、一番の元凶は、適切な対処を講じるどころかむしろいじめの加担に回った音楽学校職員の大人たちであったことが良くわかる。一番弱い被害者にすべてを押し付けてやり過ごした彼らは、公務員も顔負けの、無責任と事無かれ主義に徹した、悪い意味でのサラリーマン根性丸出しの人種だ。これはおそらく、阪急という企業の体質と社員のレベルを端的に示すものであろう。

事件の概要を頭に入れた上で、ぜひより詳細な『ドキュメント タカラヅカいじめ裁判─乙女の花園の今─』も併せて一読することをおすすめする。

第三章「ジェンヌの金にまつわる事件」、第四章「ジェンヌの受難」では、ジェンヌや元ジェンヌにまつわる、過去の様々な事件や事故を具体的に網羅している。特に古い事件・事故に関しては、今となっては掘り起こしの難しいものも多く、貴重な記録となっている。「自治労横領金でタカラジェンヌが接待!?」「福知山線脱線事故に遭遇したサラブレッドジェンヌ」など、時代を反映した騒動にジェンヌたちが巻き込まれる様が生々しく伝わってくる。

また、宝塚のみならず、舞台エンターテインメントの歴史の中でも最悪の事故といわれる、ジェンヌが胴体を切断されて亡くなった「宝塚を震撼させたあまりにも悲惨な事故」は、長年語られることなく埋もれていた話が、90年代の鹿砦社の書籍を通じて、広く知られるところとなったものである。

第5章「ジェンヌの結婚・家庭・家族」では、ジェンヌや元ジェンヌのプライベートな人間関係に迫っている。スターであり、人気芸能人である彼女たちもまた、一人の人間であり女性である。華やかな生活の裏に、一般人にも通じる喜びや苦悩を秘めて生々しく生きる姿は、特に女性にとっては、共感が持てる興味深いものであろう。

情報化社会にあって、宝塚が標傍する「清く正しく美しく」を真に受けている人は、もはやファンを含めてもそんなにいるものではないだろう。本書は、そんな現代人の常識にかなった、きわめてまっとうな宝塚書なのである。

(斉藤 香)

タカラヅカ スキャンダルの中の百周年

 

新聞協会賞「和歌山カレー事件報道」も実は誤報まみれだった朝日新聞

慰安婦問題に関する誤報を長年放置したうえ、いざ誤報を認めても謝罪をせずに大バッシングにさらされている朝日新聞。実は同紙には、他にも長年に渡って放置し続けている重大誤報がある。それは、あの和歌山カレー事件に関することである。

何者かが夏祭りのカレーにヒ素を混入し、60人以上が死傷した大事件をめぐり、朝日新聞が「大スクープ」を飛ばしたのは1998年8月25日のこと。事件発生から1カ月になるこの日、同紙の朝刊一面には次のような見出しが大々的に踊った。

《事件前にもヒ素中毒 和歌山毒物混入 地区の民家で飲食の2人》(大阪本社版)

この「大スクープ」は、のちに死刑判決を受けた林眞須美(一貫して無実を訴え、現在も再審請求中)に対するマスコミ総出の犯人視報道を誘発。朝日新聞自身もこの日以降、眞須美らが人にヒ素を飲ませる手口で保険金詐欺を繰り返していた疑惑を連日大々的に報じた。その結果、同紙は1999年度の新聞協会賞を受賞しているが――。実はその報道はおびただしい誤報の連続だったのである。

「架空のヒ素中毒」を連日報じるなど、誤報まみれだった朝日新聞のカレー事件報道

◆実は「大スクープ」も誤報

たとえば、上記の「大スクープ」もそうだ。この記事では、事件前に林眞須美宅を訪ねた2人の男性がヒ素中毒に陥っていたように報じられていた。さらに朝日新聞はこの「大スクープ」以降も大阪本社版だけでゆうに10回以上、同様の情報を伝える記事を掲載している。しかし、のちに林眞須美の裁判で明らかになったところでは、この2人のうち、本当にヒ素中毒に陥っていたのは1人だけだった。しかもヒ素中毒に陥っていた1人についても、保険金を詐取するために自らヒ素を飲んでいた疑惑が公判で浮上しているのである。

マスコミはほとんど報じていないが、実はこの2人の男性は林眞須美やその夫・健治と保険金詐欺の共犯関係にあったことが裁判で判明済みだ。しかし事件発生当時、朝日新聞はそのことに一切触れず、他にも以下のような誤報を連日飛ばし、林眞須美がカレー事件の犯人だと世間に印象づけていったのである。

【1】上記2人の男性が3年間に少なくともそれぞれ10数回にわたって救急車で運ばれていたと報道(大阪本社版1998年8月26日朝刊)→証拠上、そんな事実は存在しない。

【2】上記2人の男性のうち、本当はヒ素中毒に陥っていなかったほうの男性について、林眞須美夫婦が詐取した保険金の受取人だった法人の「従業員」だったと報道(大阪本社版1998年8月26日夕刊)→正しくは、この男性は法人の「代表取締役」で、保険金詐欺に使われていると知りながら法人の名義を林夫婦に貸していた。

【3】上記の2人の男性以外にも事件の数年前から林眞須美宅をたびたび訪れ、手足のしびれや吐き気を訴えていた30代の男性が存在し、その男性が受取人は第三者とする複数の生命保険を契約していたかのように報道(大阪本社版1998年8月31日朝刊)→証拠上、そんな人物は存在しない。

……とまあ、朝日新聞のカレー事件報道はまさに誤報、誤報の連続だった。しかし、同紙がひた隠しにしているため、この誤報問題を知る人は世の中にほとんどいないだろう。

◆誤報を認めない朝日新聞

筆者は2008年ごろ、この誤報問題に関する考えなどを聞こうと、同紙を代表して新聞協会賞を受賞した大阪本社編集局地域報道部長(受賞当時)の法花敏郎氏に取材を申し込んだことがある。しかし、折り返しで電話をかけてきた法花氏は「『朝日』では、記者個人が記事に関する問い合わせには応じない。大阪本社の広報部に電話してくれ」という旨を一方的にまくし立て、話の途中で電話を切ってしまうような人だった。そこで筆者は大阪本社の広報部に対し、書面で同紙のカレー事件関連の誤報を26点指摘したうえ、訂正記事を掲載したか否かなどを質問したのだが、「弊社としましては、何もお答えすることはありません」という回答が返ってきただけだった。つまり朝日新聞はよほど切羽詰った状態にならないと、決して誤報を認めたりしないということである。

公平のために記しておくが、和歌山カレー事件の発生当時、林眞須美を犯人視した誤報を連日飛ばしていたのは朝日新聞だけではない。筆者が検証した限り、新聞や週刊誌はどこも当時、朝日新聞と同次元の誤報を連発させている。それでも、マスコミ総出の犯人視報道を誘発する誤報を飛ばした朝日新聞の罪が一番重いことは間違いない。林眞須美については近年、冤罪を疑う声が急速に増えている。慰安婦問題の誤報同様、この事件に関して飛ばした膨大な誤報についても、朝日新聞が言い逃れできなくなる日はきっとくるはずだ。

(片岡 健)

《脱法芸能06》安室奈美恵は干されるのか?──「骨肉の独立戦争」の勝機

「骨肉の独立戦争」を所属するライジングプロダクションに仕掛けた安室奈美恵。過去、独立問題がこじれて、芸能界から姿を消したタレントは少なくない。では、安室は干されるのだろうか。

まず、契約の問題がある。報道によれば、安室とライジングプロは5年ごとに契約を更新しており、現在の契約が切れるのは2017年2月末。2年以上の残余期間を残して、契約を破棄することはできるのか。

結論を先に言えば、法的にはできる、ということになる。

労働基準法の規定によれば、1年を超える期間の雇用契約は申し出をすればいつでも退職できることになっている。安室とライジングプロが交わしている契約書は、事務所が安室に対し一方的に指示・命令することにより芸能活動をすることになっているから、法的には雇用契約であり、契約を結んでから1年が過ぎれば、安室の意志で解除できる。仮に訴訟沙汰になったとしても、安室の勝訴は間違いない。過去の判例でも、それは明らかだ。

◆NHKで進行する「バーニング排除」の動き

ただ、タレントの独立騒動で、法律の話はあまり意味がない。タレントの独立が成功するかどうかは、業界の力関係で決まるからだ。

安室が所属するライジングプロは、業界でも大手だ。では、安室は潰されてしまうのかというと、そうとも言い切れない。

まず、ライジングプロが大手と言っても、最大の稼ぎ頭は安室だ。安室が抜けてしまえば、経営の弱体化は否めない。

そんなときの保険として、多くの芸能事務所は「後ろ盾」と呼ばれる業界の実力者とのパイプを持っている。ライジングプロの場合は、以前から「芸能界のドン」と呼ばれるバーニングプロダクションの系列事務所だと指摘されてきた。ただ、バーニングプロとの関係はすでに切れているという噂もある。仮にまだ関係が深いとしても、芸能界におけるバーニングプロ自体の影響力低下を指摘する向きもある。

バーニングプロといえば、90年代末までは小室哲哉の楽曲の権利を支配していたことで巨額の利益を得てきたとされるが、そのビジネスモデルも崩壊してしまった。近年はNHKの幹部を接待漬けにして徹底的に食い込んで、『紅白歌合戦』や大河ドラマ、朝の連続テレビ小説などに支配下のタレントを大量に出演させ、ハクを付けさせ、それから民放に降ろして稼ぐという手法を採ってきた。

ところが、今年1月、NHK会長に就任した籾井勝人氏が幹部社員とバーニングとの癒着を問題視しているという。昨年末の『紅白』は、放送直前にバーニングの横やりでキャスティングが大幅に入れ替わったと言われているが、最近になって『紅白』を担当するエンタテインメント番組部長が長崎支局長に異動となった。

バーニングプロが台頭するまで芸能界を支配していた渡辺プロダクションは、70年代に入ってから日本テレビから排除されたことで、その地位を大きく低下させるということがあった。

日本テレビとの戦争のきっかけとなったのは、『紅白歌のベストテン』という番組だった。渡辺プロは、その裏番組に大量にタレントを出演させる予定になっており、『ベストテン』への出演を渋っていた。そこで、日本テレビのプロデューサー、井原高忠が渡辺プロ社長、渡辺晋に『ベストテン』へのタレント供給を頼み込んだところ、晋は「そんなにウチのタレントが欲しいんなら、『紅白歌のベストテン』の放送日を変えたら……」と言った。井原はこの発言に激怒し、局内のすべての番組で渡辺プロを締め出すことを宣言。それと同時にオーディション番組の『スター誕生!』で輩出したタレントを渡辺プロ以外の事務所に振り分け、芸能界の勢力図を大きく塗り替えた。

それと同じことが現在の芸能界でも起こるかもしれないのだ。仮にNHKからバーニングが排除され、威光に陰りが見えてくるとすると、芸能界はどうなるだろうか。

芸能界には、タレントの引き抜き禁止という掟がある。だが、個々のプロダクションの事情を考えた場合、有力タレントを他の事務所から引き抜けば儲かるのは確実だ。「芸能界の掟」をどの事務所も守っているのは、談合を主導するリーダーであるバーニングプロの影響力が強いからだ。そのバーニングプロの実力が低下してゆくと、談合破り、すなわちタレントの引き抜きが活発化する恐れがある。つまり、バーニングプロの凋落は、芸能界の液状化現象をもたらす可能性がある。

◆地上波テレビの時代が終われば芸能界の構造は変わる

また、業界の構造変化という事情も考慮しなければならない。従来、日本のエンターテインメント産業は、テレビに依存してきたが、この10年ほどインターネットがテレビの地位を脅かしてきた。

大量の視聴者を抱える地上波テレビ局は、数が少なく、芸能事務所にとってはコントロールしやすい。だが、参入障壁が低く、誰でも情報を発信できるネットはそうもゆかない。
2010年に東方神起から分裂してできた韓流アイドルグループ、JYJは、それまで所属していた日韓の芸能事務所からの妨害でテレビには出演できない。だが、ネットのプロモーションだけで、CDをリリースしたり、大規模なコンサートを行うには支障がなく、売上も大きいという。

安室も近年はほとんどテレビに出演せず、CDリリースとライブ公演を中心とした芸能活動をしている。仮に独立してテレビに出れないとしても、それほど大きな影響はないのだ。安室の独立騒動の黒幕とされる西茂弘は、長年、音楽プロモーターとして活動し、実績がある人物だ。思いつきで独立騒動を仕掛けてきたとは到底思えない。勝算があってのことではないだろうか。

(星野陽平)

《脱法芸能01》私が『芸能人はなぜ干されるのか?』を書いた理由
《脱法芸能02》安室奈美恵「独立騒動」──なぜ、メディアは安室を叩くのか?
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『芸能人はなぜ干されるのか? 芸能界独占禁止法違反』

《屁世滑稽新聞04》風刺歌伝~あらたなフォークソングのために~

(屁世26年9月7日付)

 

全国の大きなお友だちの方々、ごきげんよう。
屁世滑稽新聞のお時間です。

本紙ではきょうから、浮き世の皆さまが、ふと思いついて、勝手に歌詞をつけて唄っているような鼻歌、ざれ歌、替え歌を紹介していこうと思います。題して「風刺歌伝」。

「ふうしかでん」といえば、学校の国語の授業にでてきた「風姿花伝」を連想するかたもいらっしゃるでしょう。
それは六〇〇年まえの今ごろ、室町時代が始まったばかりの頃ですが、当時の演芸(猿楽と呼ばれていた)の人気芸人で、俳優で劇作家でもあった世阿弥(ぜあみ)さんが書いた“芸道の理論書”でした。

でも『屁世滑稽新聞』で行なおうとしているのは、能や狂言でもないし、その理論的ウンチクでもありません。
ふつうの人たちが作って唄うような鼻歌・ざれ歌・替え歌、とりわけ世間を風刺した、よみ人しらずの“落書き”のような歌を、世に伝えようとするものです。

鼻歌やざれ歌、替え歌は、すべての唄の基本です。人間というのは、何とはナシに唄をを生み出し、何とはナシに歌ってしまう本能があります。楽譜とか器楽演奏なんかは、それを保存したり記録したり再生するために、あとから考え出された道具にすぎません。鼻歌こそ音楽の本質、歌曲の基本なのです。

そういう意味では、鼻歌・ざれ歌・替え歌こそ、民謡やフォークソングの根源であり、本質なのです。
そういうわけですから、ここで高らかに「風刺歌伝」の開会宣言をいたしましょう。

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風刺歌伝 ~あらたなフォークソングのために~

フォークソングは、日本語でいえば民衆歌謡、もっと約(つづ)めていえば「民謡」に他ならない。人々の日常生活のなかでの喜怒哀楽、なかでも労働のつらさを嘆き、社会悪への怒りを叫び、愛する人への気持ちを歌ってきたのがフォークソングであった。

日本では、明治時代の自由民権運動のころに、「市民の自由」と「民権の獲得」をもとめる若者たち、いわゆる壮士や書生が街頭で歌った「壮士節」や「書生節」がフォークソングのルーツである。彼らは革命を訴えて街頭でアジテーション演説を行なったが、官憲に弾圧されたので、「演説の代わりとしての歌」を唄ったのだ。だから社会批判を歌にこめたこれらの歌は、当時、「演歌」と呼ばれた。

アメリカでは移民たちが祖国から民謡を持ち込み、それが現在の「カントリー音楽」に発展したが、アメリカで生まれたフォークソングの最大最強のルーツは、なんといっても黒人奴隷の労働歌に端を発するブルースである。

ところがレコード産業の登場で、「著作権」ビジネスが増長し、フォークソングは、歌の作り手……いや、何よりもレコード会社の独占的財産に変質してしまった。一九六〇年代、ボブ・ディランの登場以降に爆発的に流行し、増長した若者音楽としての「フォークソング」は、じつは民衆から金をくすねる“商材”だったのである。「フォークソング」が「著作権」最優先の財物と化し、民衆が自由に唄うのを阻んできた……。これほど馬鹿馬鹿しい皮肉はない。

本当のフォークソングを産み出し、発展させねばならない。だれでも自由に唄い、自由に作り変えて楽しむことができる歌。それこそが民衆の歌。フォークソングなのだから。

そういうわけで、この『屁世滑稽新聞』では、だれもが自由に歌えることを大前提にした「あたらしいフォークソング」を提案したい。ここに紹介する唄は、メロディも歌詞も、歌い手が自由に変えて歌ってほしい。民衆の創意と工夫こそが、ゆたかな文化を創っていくのだから。
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……さて今回は手始めに、福島原発災害を嘆く唄です。
(歌詞の上に記したアルファベットは、ギターのコードです)

*:-.,_,.-:*’“’*:-.,_,.-:*’“’*:-.,_,.-:*’“’*:-.,_,.-:*

雨を見たかい

G       G
ヒロシマの雨、ナガサキの雨。
D   D   G
雨! 原爆の、黒い雨
G       G
ビキニの島々、マーシャル群島。
D   D   G
雨! 水爆の、黒い雨
★———————————-
C  D     G   D  Em
雨を見たかい? 放射能の黒い雨
C  D     G   D  Em
雨を見たかい? 放射能の黒い雨
C    D    G
いのち むしばむ 雨
———————————————-★

G        G
ユーゴスラビア、ボスニア、コソボ。
D   D     G
雨! 劣化ウランの黒い雨
G         G
イラクをむしばみ、アフガンをころす。
D   D     G
雨! 劣化ウランの黒い雨

(★をくりかえす)

G        G
スリーマイルの、不気味なきざし。
D   D    G
雨! 原発事故の黒い雨
G         G
チェルノブイリの、こどもをころす。
D   D    G
雨! 原発事故の黒い雨

(★をくりかえす)

G     G
福島の雨、茨城の雨。
D   D    G
雨! 原発事故の黒い雨
G     G
東京の雨、仙台の雨。
D   D    G
雨! 原発事故の黒い雨

C  D     G  D  Em
雨を見たかい? 黒い死の灰の雨
C  D     G  D  Em
雨を見たかい? 黒い死の灰の雨
C      D   G
おれたちの、あびる雨

*:-.,_,.-:*’“’*:-.,_,.-:*’“’*:-.,_,.-:*’“’*:-.,_,.-:*

おそうじオジチャン
(原発リクビダートルに捧げる歌)

A
おいらは 原発 おそうじ おじちゃん
D7(またはD)  A
ふくしま 原発 おそうじ おじちゃん
E        A
被曝 しながら 仕事 する

A
朝から 死ぬほど 放射線あびて
D7(またはD)    A
いのちを かけての 汚れ仕事
E        A
被曝で死んでも 使い捨て
★——————————————–
【1】
A
1日はたらいて 8千円
A
今日もはたらいて 8千円
D7(またはD)
明日もはたらいて 8千円
A
放射能にまみれて 8千円
E          A
死ぬまで はたらく お国のために
——————————–
【2】
A
放射線あびたら どーなんの?
A
はかっとらんから わからへん
D7(またはD)
たくさんあびたら どーんなんの?
A
バッチもつけへん わからへん
E        A
天国いったら おしえてもらおう
——————————————–★
A
そんな おいらも 夢がある
D7(またはD) A
でっかい 借金 かえしたい
E         A
家族と ふたたび くらしたい

(★をくりかえす、一番は【1】、二番は【2】)
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きょうはこれでおしまい。
また今度、お話しましょうね。
では皆さん、ごきげんよう。 さようなら。

◎無断引用・転載を大歓迎◎
ただし《屁世滑稽新聞(http://www.rokusaisha.com/wp/?p=4433)から引用》と明記して下さい

《屁世滑稽新聞03》【祝】阿米「敗戦処理」内閣発足!

heisei-kokkei

《祝:阿米「敗戦処理」内閣発足》
(屁世26年9月6日付)

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屁世26年9月3日、阿米晋三首相は、対日戦勝記念日にタイミングをあわせて
「敗戦処理」内閣を発足させました。進駐軍の要請にこたえて、貞操の防波堤
として、勇気ある5人のご婦人も参加することになりました。また、大臣たち
の集合写真には写っていませんが、安晋会の理事として活躍した野口英昭さん
も沖縄安心大臣として入閣しています。
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 全国の大きなお友だちのかたがた、ごきげんよう。 屁世滑稽新聞のお時間です。

 さて、きょうは、お目出たいニュースをお伝えしましょうね。
 天皇陛下が、玉音放送で、ポツダム宣言を全面的にうけいれて連合国に無条件降伏しますよと、国民のかたがたに説明されたのは、8月15日のことでしたよね。それから半月後の9月2日には、東京湾に停まっているアメリカ海軍の戦艦ミズーリの甲板上で、日本側の全権代表団が降伏文書に署名調印し、これでようやく戦争は終わったのでした。
 さてその翌日、9月3日のことですが、阿米総理ひきいる敗戦処理内閣が、さっそく発足いたしました。

 ニッポンのお住まいの、大きなお友だちの方々はほとんどご存じないかと思うのですが、この国が戦争を終えたのは、8月15日でなく、じつは9月2日でした。なぜなら8月15日は、天皇陛下が無条件降伏の決断を、世間におおやけにした日にすぎなかったからです。でも戦争は相手があって行なうものですから、一方的に「もうや~めた!」といっても、それで終わるものでもありません。戦争の終結をケンカ相手と文書を交わして約束する、という手続きが必要なわけです。それを実際に行なって、戦争が正式に終わったのが、1945(昭和20)年の9月2日だったのです。

 そういうわけで、ニッポンを負かした戦勝国では、日本が降伏文書に調印した9月2日か、その翌日を「対日戦勝記念日」としてお祝いしてきました。たとえば米国やフランスは、2005年9月2日に戦争終結60周年の記念行事を祝いました。ロシアは、第二次世界大戦の終結当時はソヴィエト連邦でしたが。日本の降伏文書調印をうけてその翌日に戦勝のお祝いをしたことから、9月3日を「対日戦勝記念日」と定めて長年、お祝いをしてきたのです。その後、ソ連が崩壊してロシアに変わり、2010年になって「9月2日を対日戦勝記念日にする」と改めています。やっぱり戦艦ミズーリ上の降伏文書調印が「対日戦勝」の決め手になっているわけです。
 第二次世界大戦が終わった当時、中国は「中華民国」でした。現在の「中華人民共和国」が生まれるのは、それから4年後のことです。さてその「中華民国」は、今や「台湾」に追いやられてしまいましたが、対日戦勝記念日はやっぱり9月3日と定め、この日から三日間は休日にしてきました。のちに生まれ、いまや東アジア大陸を広く支配している中華人民共和国、通称「中共」も、ことし2014年から9月3日を「抗日戦争勝利記念日」と定めてお祝いするようになりました。

 阿米晋三さんは、なにもこんな因縁めいた日に、新内閣を発足させる義理はなかったはずなのですが、きっと「米国に阿(おもね)る」動物的本能がはたらいたのでしょうね。みごとに「対日戦勝記念日」に合わせて、改造内閣をスタートさせたのです。いまだに隠然たる宗主国でありつづけているアメリカへの、恭順(きょうじゅん)と服従の証しを、態度でしめしたのでしょう。こういう愛犬をもてば、飼い主冥利に尽きますわね。

 おまけに、まあ阿米総理ときたらなんと気が利くおヒトなのでしょう! 進駐軍に心づくしの便宜をはかるために、ニッポン婦女子の貞操の防波堤となる覚悟を固めた勇気ある5人のご婦人を、内閣に参加させました。「努力」の「努」という字は、「おんなのマタにチカラ」と書きますよね。いまの日本に必要なのは、そういう意味の「努力」だということを、さすがに阿米総理はよくわかっておられるのね。

 戦艦ミズーリでの記念写真には写っておりませんでしたが、この新内閣には最年少の野口英昭さんが、沖縄安心担当大臣として参加しています。彼は阿米首相の後援組織「安晋会(あんしんかい)」の理事として活躍していた人物です。きっと命がけの執念で、沖縄を喰いものにするヤクザたちを、闇の彼方から成敗してくれるでしょう。そのご活躍に期待いたしましょう。

 きょうはこれでおしまい。
 また今度、お話しましょうね。
 では皆さん、ごきげんよう。 さようなら。

 

◎無断引用・転載を大歓迎◎
ただし《屁世滑稽新聞(http://www.rokusaisha.com/wp/?p=4389)から引用》と明記して下さい

 

《脱法芸能05》江角マキコ騒動──独立直後の芸能人を襲う「暴露報道」の法則

所属する芸能プロダクションに反旗を翻したタレントには、苛烈な報復が待ち受けている。

安室奈美恵独立騒動と少し遅れて江角マキコのスキャンダルが持ち上がったが、こちらも元所属事務所からの報復ではないかと囁かれている。

『週刊文春』(2014年9月4日号)の報じるところによると、2012年12月30日、新築同前の長嶋一茂邸の真っ白な壁が「バカ」「アホ」「バカ息子」などと赤いラッカースプレーで落書きされるという事件が起きたが、その犯人は大手芸能事務所、研音に勤務する江角のマネージャー、A氏だったという。

江角は娘が学校で長島一茂の子からイジメにあっていることに憤り、信頼しているマネージャーに一茂邸に「バカ息子」と書くよう依頼。実際に依頼が実行されると江角は、マネージャーに「スプレー代」として10万円を支払ったという。

落書きは器物損壊罪という犯罪であり、5年以下の懲役が下る。一茂邸への落書きを指示したという報道が事実とすれば、江角は重大な罪を問われることになるが、報道に対して堅く口を閉ざし、「女優生命の危機」という言葉も囁かれている。

◆スキャンダル暴露でタレントを潰す芸能事務所

では、なぜこのような騒動が持ち上がったのだろうか。

そのことを考える上で重要なのは、今年3月に江角は長年所属していた芸能事務所、研音を退社し、新たにインクワイヤーという個人事務所を立ち上げ、独立していたという事実だ。問題のマネージャーは、江角と一緒に後を追うことも考えたそうだが、結局、思いとどまって研音に残った。

研音は唐沢寿明や天海祐希などが所属する大手事務所。江角が研音を離れた理由の1つには天海祐希に対する江角のライバル心があるという説もあるが、研音にとって『ショムニ』などの代表作を持つ江角が抜ければ、その分、売上は落ちる。また、独立の動きが他の所属タレントにまで伝染する事態は何としても避けたいところだろう。

人は誰でも人に知られたくない弱みを持っている。特にイメージが売りのタレントにとって、スキャンダルの暴露は死活問題だ。日本の芸能事務所は、所属するタレントを公私ともに監視できる立場にあり、その気になればスキャンダルの暴露でタレントを潰すことは難しいことではない。

◆沢尻エリカ、セイン・カミュでも「法則」発動?

事務所からの独立を機にタレントがスキャンダルをぶつけられたケースは、これまでにも何度もあった。

2009年9月にスターダストプロモーションから契約を解除された女優の沢尻エリカは、2010年、当時、夫の高城剛とともにスペインに個人事務所を設立し、芸能活動の道を模索したが、あらゆるメディアから、バッシングされ、立ち往生を余儀なくされた。

沢尻がスターダストから契約解除された直後から、芸能界復帰の条件として高城との離婚が取り沙汰されていた。その理由は、「女性タレントや女優に、仕事に口を出すようなオトコがつくと面倒が起きるというのは定説」(『週刊ポスト』2009年10月30日号)だからだという。

後の報道で分かったことだが、沢尻は薬物検査で大麻の陽性反応が出たことがきっかけとなり、スターダストから契約を解除されたという。その情報は、スターダストからエイベックスに伝えられ、2010年4月中旬、スターダスト、エイベックス、バーニングの各プロダクション首脳による会談で、沢尻がエイベックスに移籍した上で芸能活動に復帰させ、利益の一部をスターダストにキックバックするという合意ができたという。

その後、沢尻は高城と離婚し、エイベックスに移籍し、芸能界復帰を許された。

2005年に事務所を移籍したセイン・カミュも、旧所属事務所から大麻スキャンダルをぶつけられ、大きくイメージを悪化させた。

セイン・カミュはギャラの配分をめぐる対立から14年間所属した事務所を辞め、友人らとともに芸能事務所を設立したが、旧事務所は「本来入るべき収入がなくなった」としてセインに1億円を求める訴訟を提起した。

一審で敗訴した旧所属事務所は、控訴し、その判決がでる直前の2007年12月、週刊誌でセインの大麻疑惑が報じられた。記事の内容は、セインがテレビデビューしたNHKの『やさしい英会話』で大麻使用疑惑が持ち上がり、番組を降板させられてというもの。控訴審判決でも敗訴が予想されていた旧所属事務所による意趣返しとして記事が出た可能性がある。

そうしたスキャンダルを正当化するわけではないが、事務所がタレントの私生活を監視し、スキャンダルを握って支配することは重大な人権侵害を生む危険性がある。

アメリカでは、タレントに仕事を斡旋するエージェントを取り締まる「タレント・エージェンシー法」があり、法律によってエージェントがマネジメントやレッスンなど雇用の斡旋目的以外の名目でサービスを提供し、対価を得ることが禁じられている。そのため、アメリカのタレントは個人でマネージャーを雇う。

日本の芸能界では、時々、マネージャーがタレントの弱みを握って金銭を要求する事件が起きるが、本来、タレントの私生活の秘密を知りうる立場にあるマネージャーは、よほど信頼出来る人物でなければ任せられるものではないのではないだろうか。

(星野陽平)

《脱法芸能01》私が『芸能人はなぜ干されるのか?』を書いた理由

《脱法芸能02》安室奈美恵「独立騒動」──なぜ、メディアは安室を叩くのか?

《脱法芸能03》安室奈美恵の「奴隷契約」発言は音事協「統一契約書」批判である

《脱法芸能04》安室「奴隷契約」問題が突きつける日米アーティストの印税格差

 

業界水面下で話題沸騰6刷目!『芸能人はなぜ干されるのか? 芸能界独占禁止法違反』

 

《大学異論08》5年も経てば激変する大学の内実

前回は、選り好みさえしなければ大学に入学することは極めて簡単な時代になっている(数字的には大学受験者よりも大学の入学定員の方が多く実質的には既に「希望者全入」状態なのだ)ことを述べた。

他方、学校教育への不信感からか、小学生で猛烈な塾通いをする児童が増加している現象にも言及した。どちらにせよかつてのように東大を頂点とする「超硬化した学歴社会」は、かなり緩和されたものの、未だに学歴(大学名)への信仰は揺るぎのないものとして、保護者や社会に依然共有されている。

その学歴(大学名)信仰は、大学の入試難易度(偏差値)にほぼ並行し信頼度が上がり、そこにこれまでのイメージが加わり総合評価が構成される。実際偏差値の高い大学にはよく勉強のできる学生が集まり入試倍率も高く、偏差値の低い大学には定員割れを起こしているところが多い。

ただし、大学は生き物だ。各大学を取り巻く状況や教鞭を取る専任教員の力量、経営方針などによって5年も経てば、内実が激変する。

◆同志社大学社会学部メディア学科は教授陣の質に疑問あり!

例えば、同志社大学社会学部メディア学科は、かつての文学部新聞専攻を出自としており、西日本の私学の中でもトップクラスの偏差値の高さである。

だが、在籍している専任教員はとてもではないが、学生のレベルにふさわしい人材とは言い難い。メディア学とは何の関係もない江戸時代の遊女の研究を主としている者、メディア学を教えていながら本人がメディアを悪用し、名誉棄損で2度も民事裁判で敗訴している者、単著が一本も無い者、強制的に学生を割り振らないと一人もゼミ生が集まらないほど人格自体が嫌悪されている者……。

このような内実は受験生が知る由もない。大学難易度を示す偏差値の数字と、過去に多くの有名教員が在籍していたことや「同志社大学」というブランドで入学してくるのだ。大学業界を長年ウオッチしている者からすると、現在の在学生には気の毒だが、決して受験生にはお勧めできない受験先である。

◆他大買収で凋落した南山大学のブランドイメージ

逆もまた真である。愛知県にある中京大学と言えば、言葉は悪いがかつては決して学業面で評価の高い大学ではなかった。スポーツでのみ全国区に名前の知れた大学であったと言っても過言ではない。

愛知県には多数の大学が乱立していることと、この地域の特性として、成績上位生徒以外が県外の大学に進学することは珍しい。公立高校で平均以下のレベルの学校からは大学進学で県外進学者がゼロという学校も珍しくない。

そんな愛知県で長年私学のトップに君臨していたのは南山大学だった。しかし、南山大学は瀬戸市にある聖霊大学を1995年に買収したあと、急激な凋落に陥る。

それまで決して競争の相手にすらならなかった中京大学とさえ、現在では学部により偏差値で肩を並べるというところまで下降している。偏差値以上に南山大学のイメージ低下は愛知県の中で顕著だ。

こうやって見てくると、大学選択の意味がさらに困難に感じられてくる。学歴を重視する向きには尚更だろう。今、好評を得ている大学が将来もその「誇り」を保持させてくれる保証はないのだ。

「学歴を将来のステータスに」と考えている方には、このような変動が(良い方向にも、悪い方向にも)生じる可能性があることを知っておいて損はない。

(田所敏夫)

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《脱法芸能04》安室「奴隷契約」問題が突きつける日米アーティストの印税格差

前回の記事で述べたように独立騒動で揺れる安室奈美恵は、日本音楽事業者協会の統一契約書を「奴隷契約」と批判し、芸能界に波紋を投げかけた。

音事協の統一契約書は、1968年に出版された『タレント帝国』(竹中労著)で紹介されているが、著者の竹中は、肖像権(パブリシティ権)や出演を選択する権利などがタレントにではなく、所属する芸能事務所に帰属することになっていることについて、「これは、まことに恐るべき“奴隷契約”である。タレントはすべての自由を奪われ、義務だけを負わされている」と断じている。

沖縄県出身の安室は、デビューするまで沖縄アクターズスクールに所属していた。当初は女優を目指し芝居の稽古をしていたが、ビデオで観たジャネット・ジャクソンのパフォーマンスに感化されてから、歌とダンスに没頭するようになり、その後、歌手として頭角を現していったという。

では、安室に影響を与えたジャネット・ジャクソンは、どんな環境で芸能活動をしているのだろうか。ここでは、アメリカで活躍する歌手の活動の実態について解説したい。

◆日本の歌手の歌唱印税はCD売上の1%

日本の歌手がCDをリリースすることで得られる歌唱印税は、通常、CDの売上の1%と言われる。一方、アメリカの歌手の歌唱印税は最低でも10%だという。この違いは、どこから来るのか、アメリカの音楽業界事情に詳しい関係者は次のように語る。

「日本とアメリカでは、音楽ビジネスの仕組みが根本的に異なります。日本のアーティストは、契約上、実演の権利をすべて所属する事務所に譲渡する格好となりますが、アメリカはアーティストが権利を握っている。CDのつくりかたも、アメリカと日本ではまったく違います。アメリカでは、CDをつくる場合、アーティストが予算も確保します。
たとえば、アルバムを1枚つくるということになったら、アーティストは弁護士を雇って契約書をつくります。そして、アーティストはレコード会社から予算を与えられ、自分がプロデューサーとなって、ミュージシャンを雇って、スタジオも抑える。予算が1000万円で、制作費が500万円だったら、残りの500万円は、アーティストのものとなります。CD販売の利益が初期投資の費用を超えることをリクープと言うのですが、リクープしない場合は、アーティストに対する印税は発生しません。とはいえ、印税10%ですから、ヒットすると、アーティストに支払われる印税は巨額のものになります。
日本の場合は、すべてをプロダクションが行ないますから、アーティストの持ち出しはありませんが、報酬も低い水準となります」

日本においてはアーティストは、所属する芸能事務所の「所有物」であり、事務所の指示を受けて、芸能活動を行い、報酬も事務所が決める。それに異を唱えて、他の事務所に移籍したり、独立することは基本的にはできない。一方、アメリカのアーティストは、予算権も握って主体的に芸能活動に取り組み、報酬の配分も大きい。

◆米国芸能界「権利のための闘争」の歴史

日本と比べ、アメリカのアーティストの立場が強い大きな理由は、アーティストの労働組合が強いことがある。

たとえば、アメリカの演劇界で俳優の労働組合が設立されたのは、1913年のことだった。19世紀末のアメリカの演劇界は、「劇場シンジケート」と呼ばれる、全国各地の劇場マネージャーの連合体があり、業界に独占的な支配力を持ち、俳優の権利は抑圧されていた。

これに対抗するべく俳優たちは団結して労働組合を結成し、劇場側に要求項目を掲げて何度もストライキを行い、交渉を重ね、労働条件の改善を図ったのである。

映画界でも1933年に俳優たちによる労働組合、スクリーン・アクターズ・ギルド(SAG)が設立され、音楽界では1896年にアメリカ音楽家連盟が設立され、それぞれ大きな影響力を持つようになった。

アメリカのエンターテインメント産業の労働組合は、労働者全員の参加が前提の「ユニオン・ショップ」と呼ばれる仕組みであり、労働組合に入っていなければ、満足のゆく芸能活動はできない。そのため、タレントの労働組合は、組織率が高いため、強い交渉力があり、タレントに仕事を斡旋するタレント・エージェンシーの取り分は、タレントの稼ぎの10~20%だ。

また、アメリカのタレント・エージェンシーは、反トラスト法(独占禁止法)の規制で、制作業務を行なうことが禁じられている。日本の有力芸能事務所の多くは、タレントの斡旋だけでなく、番組などの制作業務も請け負っている。

特に有名なのは、お笑い業界ナンバーワンの吉本興業だろう。吉本は多数の人気芸人を擁し、さらに番組制作のほか、多数の劇場を所有し、業界を完全に牛耳っている。2001年から2010年までかつて『M-1グランプリ』という漫才コンテストをテレビ朝日系で放送されていたが、主催は吉本興業だった。当然、番組への吉本の影響力は強く、出演芸人の8割が吉本所属だったが、これに疑念を差し挟むことは許されなかった。

制作業務も兼ねていることで、吉本のお笑い業界支配力はダントツだ。吉本所属の芸人のギャラの安さは有名だが、吉本に逆らうことはできない。業界を支配する吉本に反旗を翻せば、干されるのは目に見えている。[つづく]

(星野陽平)

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