資料で見る「カウンター大学院生リンチ事件(別称『しばき隊リンチ事件』)」〈3〉村八分、セカンド・リンチ、支援者への恫喝・誹謗中傷

鹿砦社代表 松岡利康

この大学院生リンチ事件の推移を見てくると、いろいろなことが感じられます。社会運動とか反差別運動といわれる運動の内部における暴力の問題は、かつて内ゲバとか内部粛清で多数の死者をも出し、運動は解体状態に陥り、私たちは痛苦な反省をしたはずでした。よって、運動内部の暴力は、ほとんどなくなっていたと思い込んでいましたが、とんだ思い違いでした。このリンチ事件を知った時、水面下では「まだこんなことをやっているのか」と時代が逆戻りしたと思いました。

これに対して、「反差別」や「人権」など耳障りのいい言葉を遣い、マスコミも持て囃し、その裏ではこんな凄惨な集団リンチなどやっているとは……。それも、著名な作家やジャーナリストらは知っていて隠蔽に加担していました。この中には、私たちが講演に呼んだ安田浩一、池田香代子らもいました。

これは「知らなかった」ではすまされないと思いました。すぐに被害者支援、真相究明にあたることにしました。それが、加害者につながる者らが言うように「デマ」だったら、すぐに自己批判、謝罪し撤退するつもりでした。

しかし、リンチは事実でした。そして、こぞって被害者M君に対する村八分(排除)とセカンド・リンチを浴びせていました。私たちの元に被害者が駆け込んでくるまで1年余り、彼は心ある少数の支援者と共に激しい攻撃を浴び続け孤立していました。趙博や阿久沢悦子(当時、大阪朝日社会部記者)ら裏切者も現れ、精神的にもかなりきつかったと推認できました。おそらく、僭越ながら私たちが支援‐反撃しなければ、この事件は「十三ベース事件」などという都市伝説として語られるにとどまり世間に明るみに出なかったでしょう。

私たちがこの件に関わり始めてちょうど10年、最後の訴訟(対リンチの主要実行犯エル金こと金良平との訴訟上告審)が最終局面にある現在、この事件を整理─総括する作業の一環として、この連載を始めましたが、振り返れば振り返るほど酷い話です。

この事件に対し、私たちは複数回、多くの「知識人」といわれる作家、メディア人、ジャーナリスト、弁護士らに質問書を送りましたが、それなりに回答してきた者はわずかで、ほとんどが〈見ざる、言わざる、聞かざる〉の態度に終始しました。いつも言っている「暴力反対」とは何ですか? 私たちが地を這うような調査・取材を元に編集・発行した6冊のムック本、さらに一時は私たちと共同歩調を取りながらも義絶した田中宏和の2冊の著書(『SEALsの真実──SEALDsとしばき隊の分析と解剖』『しばき隊の真実──左翼の劣化と暴力化』。両書共絶版)、その都度その都度私たちの意見や主張を申し述べて来た「デジタル鹿砦社通信」などで可能な限り発信してきました。こうしたことによって、それまで闇の中にあったリンチ事件の真実への針の一穴、二穴が開けてきたと認識しています。僭越ながら、このような私たちの言論・出版活動によって、少なくとも我が国の社会運動、反差別運動の最大の汚点となった大学院生リンチ事件が、隠蔽から解き放たれたと考えています。リンチの最中の音声データや直後の被害者の変形した顔写真、この連載でも掲載しているような数々の資料などによって、いまだに「デマ」だと言うしか能がない者らの、人間としての良心を疑わざるを得ません。

私たちが当初から何度も言っているように、事実は事実と認め、きちんと社会的に謝罪し、被害者への最低限の保障をすべきで、そうであれば、将来への糧になると考えてきました。特に在日コリアンの連絡組織「コリアNGOセンター」が絡み、本来ならこれがヘゲモニーを持って責任ある対処をすべきなのに、この体たらく、こうした非常事態に何の役に立たないことが証明されました。

前置きが長くなりましたが、このまで2回の連載で、リンチ発生からの混乱、「謝罪」、活動自粛を経て、被害者を無視しての突然の「活動再開」後、加害者と、これに繋がる者らは、被害者側の支援者の力が弱く、マスメディアも抑え込んだ自信からか、被害者への村八分(村八分は差別です!)、セカンド・リンチ、支援者(鹿砦社含む)への恫喝や誹謗中傷を、四方八方から行います。これを見てM君に同情的だった人たちも沈黙を強いられ、表だって加害者らに心ある忠告も批判も抑え込まれます。

表立って、名を出して異議を申し立てた人は、山口正紀(元読売社会部記者。故人)、黒薮哲哉(ジャーナリスト)、寺澤有(ジャーナリスト)、尾﨑美代子(西成で居酒屋経営の傍ら冤罪問題に取り組む)、森奈津子(作家)、合田夏樹(会社経営者)ら少数でした。特に合田に対する攻撃は激しく、会社経営と障害児を持つという弱みを衝いて会社や自宅への直接的攻撃の的となりました。それも現職の国会議員の車を使ってです。

以下、代表的なものとして挙げておきます。  (敬称略)

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【18】「エル金は友達」祭り

【18】「エル金は友達」祭り-1
【18】「エル金は友達」祭り-2
【18】「エル金は友達」祭り-3

まず村八分として挙げられるもので、M君もこれには精神的にかなり参ったと言っていました。開始の音頭を執ったのは、当時「カウンター」「しばき隊」のたむろ場所になっていた「あらい商店」(その後閉店。現ピンナ食堂)の朴敏用です。まさに寄ってたかってМ君を排除し村八分にするという作戦です。ここに名が出ている者らに対しては、今でもこのリンチ事件について問い質していきたいぐらいです。

【19】リンチ被害者M君へのセカンド・リンチ

【19】リンチ被害者M君へのセカンド・リンチ-1
【19】リンチ被害者M君へのセカンド・リンチ-2
【19】リンチ被害者M君へのセカンド・リンチ-3

幾つか挙げておきます。いちいち解説は不要でしょう。
なお、金明秀は関西学院大学教授で、他にも暴力事件を起こしています(和解)。このツイートもあって、M君の彼女は去っていきました。

【20】加害者・李信恵、金良平によるM君に同情的な者や支援者に対する攻撃

【20】加害者・李信恵、金良平によるM君に同情的な者や支援者に対する攻撃

凄いの一言です。これも解説不要。

【21】リンチの場に連座した伊藤大介によるM君支援者・合田夏樹への攻撃

【21】リンチの場に連座した伊藤大介によるM君支援者・合田夏樹への攻撃

これも解説不要でしょうが、重要なのは、現職の国会議員(有田芳生)の車を使って攻撃を行ったということでしょう。リンチ本第2弾『反差別と暴力の正体』に寺澤有が詳しくレポートしていますので、ぜひご一読ください。

【22】同じく伊藤大介による鹿砦社への恫喝、誹謗中傷

【22】同じく伊藤大介による鹿砦社への恫喝、誹謗中傷

私(松岡)が「諸悪の根源」だって! 伊藤はその後、深夜右翼活動家を呼び出し襲撃し、傷害事件を起こし有罪判決が確定しますが、M君リンチ事件と併せ、この男こそ、反差別運動、社会運動にとって「諸悪の根源」でしょう。

【23】呉光現による鹿砦社への誹謗

【23】呉光現による鹿砦社への誹謗

当時、鹿砦社は創業50周年を前にしていましたが、それなりの歴史を持つ出版社に対する許しがたい発言です。「文句あったら言ってこいやあ」なんて言うから、当然、私たちは直接本人を問い質し、しどろもどろし、根性なしの彼はすぐ撤回、おそらく我が身が可愛かったということでしょう。撤回しなければ、次は彼が所属する聖公会に取材に行こうと思ったほどです。

呉光現という人物は、「在日本済州四・三犠牲者遺族会会長」「聖公会生野センター総主事」の肩書を持ち、韓国政府から勲章までもらっています。在日コリアンの中でも、それなりの位置に在る人物です。

また、彼はキリスト教徒ということですが、ならば、人ひとりが傷つき苦しんでいるわけですから、もっと人間らしい対応ができなかったのでしょうか。

【24】lenyこと鈴木伸哉による日々膨大な誹謗中傷

【24】lenyこと鈴木伸哉による日々膨大な誹謗中傷-1
【24】lenyこと鈴木伸哉による日々膨大な誹謗中傷-2
【24】lenyこと鈴木伸哉による日々膨大な誹謗中傷-3

鈴木は、ビアンコジャパン(本社・京都)という優良企業に所属し役員でもありましたが、加害者らと昵懇の関係ということからか、被害者や支援者らに口汚い誹謗中傷を浴びせています。ここではリンチ本第5弾『真実と暴力の隠蔽』に掲載されたものを転載させていただきます。

あまりにも取材対象者が膨大だったこともあって、鈴木への取材が後回しになっていましたが、ようやく2022年になって取材の機会を得ました。これは「デジタル鹿砦社通信」2022年6月7日号6月9日号6月14日号をご参照ください。

鈴木によれば鹿砦社は「極左崩れの企業ゴロ」「反社出版社」ということらしいですが、現代社会において、はっきりした証拠もなしに「反社」を規定するのは明確な名誉毀損です。「反社」という言葉の持つ意味を考えろ!

今鈴木は、あれだけ頻繁に行っていたSNSでの発信がここ1年以上休止し、またビアンコジャパンの役員欄からも名が消えました。同社のHPを見ると立派な会社です。彼は、誰憚ることなく堂々と日々名誉毀損、人格破壊のSNSを発信していましたので、経営陣からすれば、会社が立派であればあるほど、目障りだったはずです。おそらく解任されたのではないでしょうか。どなたか鈴木の消息をご存知の方はお知らせください。

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今回挙げた資料(村八分、セカンド・リンチ、恫喝・誹謗中傷)は、ほんの一部ですが、採り上げた人物の言動は、どこか倒錯していると思います。人としていかがでしょうか? みなさんはどう思われますか? 本来なら、人間的に優れた人物がヘゲモニーを持って事態の収拾、解決にあたるべきところ、そうした人物がいなかったことは悲劇でした。

この意味で、特にコリアNGOセンターの当時の事務局長・金光敏や、「李信恵さんの裁判を支援する会」事務局長の岸政彦(当時龍谷大学教授。その後、立命館大学教授を経て現京都大学教授。岸は、加害者・李信恵、金良平、凡に対するコリアNGOセンターの事情聴取に立ち会っているが、私たちの直撃取材後同会事務局長を辞し、うまく立ち振る舞い現在の地位を獲得、一方のМ君はいまだPTSDに苦しみ研究活動を再開できずにいることに反省はないのか!?)、野間易通(しばき隊ボス)、中沢けい(作家)、辛淑玉(コンサルタント)、上瀧浩子(弁護士)、師岡康子(同)らの責任は極めて重いと言わざるをえません。彼らが、事件の隠蔽や被害者、支援者らに対するセカンド・リンチ、恫喝、誹謗中傷を行ったエネルギーを、人間の心を持って被害者を慮り、事件の本質的解決に向けておれば、もっと良い方向に進んだのではないかと思いますし、彼らの社会的評価も格段にアップしたでしょう。事件直後の対応に、どこかで“ボタンの掛け違え”があったのではないですか? その“ボタンの掛け違え”によって、在日コリアンに対する悪化が悪化したのではないですか? 

思うに、人間、ここぞという時に、どういう態度をとるのかに、その人の人間性が現れます。このリンチ事件では、普段立派なことを口にする者が、集団リンチという場面に直面し、これを知っておきながら、日和見的な態度をとり逃げたり沈黙に終始したりしました。呆れ果てます。M君の無念を顧みると満腔の怒りを禁じえません。

今回、資料を整理していく過程で、ますます怒りが込み上げてきましたので、今回はこれでひとまずお終いにいたします。(了)

リンチ被害者М君の心情に寄り添い、地を這う取材を元に編纂、出版したリンチ関連本。【第一弾】鹿砦社特別取材班編著『ヘイトと暴力の連鎖 反原連‐SEALDs-しばき隊-カウンター』/【第二弾】同『反差別と暴力の正体 暴力カルト化したカウンター-しばき隊の実態』/【第三弾】同『人権と暴力の深層 カウンター内大学院生リンチ事件真相究明、偽善者との闘い』/【第四弾】同『カウンターと暴力の病理 反差別、人権、そして大学院生リンチ事件』/【第五弾】同『暴力・暴言型社会運動の終焉 検証 カウンター大学院生リンチ事件』/【第六弾】同『真実の暴力の隠蔽 カウンター大学院生リンチ事件の闇を解明する!』

《しばき隊リンチ事件》https://www.rokusaisha.com/wp/?cat=62