黒薮哲哉

2026年6月度のABC部数が明らかになった。それによると、読売新聞は500万部の大台を割り込み、約499万8,000部となった。この1年間で約44万5,000部を減らした。
朝日新聞は約306万部で、現在の減少傾向が続けば、年内にも300万部の大台を割り込む可能性が高い。この1年間だけで約17万5,000部を減らした。
詳細は次の通りである。カッコ内は前年同月からの減少部数。
朝日新聞:3,059,598部(174,715部減)
毎日新聞:1,054,237部(157,335部減)
読売新聞:4,997,651部(444,899部減)
日経新聞:1,173,206部(115,233部減)
産経新聞:740,939部(57,313部減)
なお、ABC部数には、いわゆる「押し紙」が含まれている。そのため、ABC部数として公表された数字が、そのまま読者に配達・販売された実配部数を示しているとは限らない。
「押し紙」とは、新聞社が販売店に対し、実際の販売部数を上回る新聞を供給する行為を指す。この問題については海外でも言及されており、英語版Wikipediaは、日本の新聞発行部数をめぐる事情について、次のように説明している。
Oshigami (押し紙) is a practice in the Japanese newspaper industry which describes the deliberate oversupply of newspapers to suppliers and businesses for the profit of the wholesaler. Along with the older age of the Japanese population (younger people are less likely to read newspapers),[1] oshigami is one component of the apparent endurance of print circulation in Japan while printed media has seen rapid decline elsewhere with the rising popularity of online media.
【訳】「押し紙」とは、日本の新聞業界における慣行の一つで、卸売業者側(黒薮注:新聞社のこと)が利益を得るために、販売店や企業に対して意図的に新聞を過剰供給することを指す。
日本の人口の高齢化(若年層は新聞を読む傾向が低い)と相まって、オンラインメディアの台頭によって他国では印刷媒体の発行部数が急速に減少している一方、日本では印刷媒体の発行部数が比較的堅調に推移している。その背景を構成する一因として、「押し紙」が挙げられる。
※本稿は黒薮哲哉氏主宰のHP『メディア黒書』(2026年8月17日)掲載の同名記事を本通信用に再編集したものです。
▼黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
ジャーナリスト。著書に、『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島新書)、『ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線』(花伝社)、『名医の追放-滋賀医科大病院事件の記録』(緑風出版)、『禁煙ファシズム』(鹿砦社)他。
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