『紙の爆弾』11・12月合併号に寄せて

『紙の爆弾』編集長 中川志大

米国産生鮮じゃがいもの輸入解禁問題が大炎上中です。この件は病害虫の問題を中心として語られています。ただし本誌記事の農民連の分析にあるとおり、残留農薬は見逃せません。また、八百屋やスーパーに行けば、じゃがいもに輸入の必要性がないことは誰にでもわかります。「食料自給率100%を目指す」と言っていた高市政権が、日本の農業・農地と国民の健康よりもアメリカを優先している。そのことが、はっきりと可視化されたケースといえ、ゆえに右からも左からも批判の声が挙がっているのだと思います。

農薬問題については、9月号で山田正彦元農水相が、具体的な危険性と「有機農業でやっていける」ことを解説しました。少なくともポストハーベストからなくしていくことが、第一の手順だと考えています。生産と消費を近づけること、つまり食料自給率を上げていくことです。エネルギー問題もそうで、まず送電ロスを減らすのが、もっともシンプルで有効であり、今月号の平宮康広氏の提案は明快です。さらに本誌校了直前には、千葉県で太陽光発電設備のショートによる火災が発生。まさに記事の指摘が現実化しました。報道では「発火と自然鎮火を繰り返し、十回以上の爆発音」とあります。記事にある「東京大火災」の警告を直視しなければなりません。

沖縄県知事選は、沖縄が押し付けられた問題が、沖縄以外によって「沖縄の問題」に固定化されてきたことが根本的な敗因ではないかと思います。「SNSのせい」では何も変えられません。今月号で、アメリカのシンクタンクが新たに提案した在外米軍戦略について解説しました。在日米軍の撤退にまで言及した抜本的転換といえるものですが、読むほどに、現実に即した内容であることがわかります。仮にこの提案どおりになった場合、沖縄の沖縄以外に対する地位が逆転することになるでしょう。まさに“必読”の内容です。

大阪・関西万博の閉幕から1年。想定された以上の“闇”の深さを示しているのが11カ国のパビリオンで発生した「建設費未払い問題」です。万博協会と吉村洋文・大阪府知事は「民・民の問題」として被害企業の救済に動きませんが、本誌記事にあるとおり、大手ゼネコンがパビリオン建設から逃げたために、吉村知事が関西の中小建設業者・設備業者に協力要請をした経緯を考えれば、知事らに責任がないとは絶対にいえず、それどころか、彼らは問題が生じることを、ある程度認識していたのではないかと思われます。さらに経緯を見ていくと、この問題が「事前に仕組まれていた」可能性を指摘せざるをえません。

また、今月号では駐日イラン大使が行なった講演を収録。「アメリカがなぜ“戦争国家”なのか」を具体的に説明しています。一水会代表・木村三浩氏と、実業家として外交に携わるNGOレインボーブリッヂ・小坂浩彰氏の対談は、展望の見えない中でも時代を打開するアイディアの詰まった内容です。ほか、赤根智子ICC所長への“制裁”に関するマスコミが取り上げない事実、小川敏夫・元立憲民主党参院議員は検察・法務省の問題とともに、7月号で指摘した中道問題についても再び触れています。

なお、制作上の事情により、今月号は合併号とさせていただきました。次号は12月7日発売となります。盛りだくさんの内容を詰め込んだ11・12月号を、ぜひご一読ください。全国書店で発売中です。

『紙の爆弾』編集長 中川志大

『紙の爆弾』11・12月合併号
A5判 130頁 定価800円(税込み)
2026年10月7日発売

米国の目標は「日本の消費量の半分」病害虫と残留農薬を運ぶ米国産生ジャガイモ輸入 八田純人(農民連食品分析センター所長)
閉幕から一年、底の見えない闇 仕組まれていた万博未払い問題 西谷文和
駐日イラン大使講演 アメリカの戦略的敗北と日本国民の役割
中道分裂と沖縄県知事選で創価学会・公明党は何をしたのか 大山友樹
【対談】小坂浩彰(NGOレインボーブリッヂ)× 木村三浩(一水会代表)
低迷する日本が活路を見出す自主独立の極東地政学
クレジットカードを止めたのは誰か? ICC裁判所長“制裁”の「本当の問題」昼間たかし
国民の存在を無視した改憲「緊急事態条項イメージ案」の欺瞞 足立昌勝
特捜検事が捜査対象女性と交際 法務省が事実隠蔽する理由 小川敏夫
「人手が足りない」のに「仕事がない」理由 労働の貧困化と「人手不足社会」の実態 片岡亮
成年後見制度という宿痾7 突然、行方不明になった妻を返せ!鈴木愼哉
シリーズ 日本の冤罪 栃木・今市事件 尾崎美代子
LGBT問題の現在 性自認という「内心」なりすましという「故意」三浦俊彦
アメリカの戦略シンクタンクが提起した米軍アジア戦略の抜本的転換 佐藤雅彦
原発も太陽光パネルもいらない 東京23区の電力自給自足は可能である 平宮康広

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