山下教介著『ドキュメント タカラヅカいじめ裁判―乙女の花園の今―』(鹿砦社)が2010年11月にリリースされたトピックスは、かなりのインパクトを関係者に与えた。なにしろ、伝統の宝塚音楽学校でいじめられて退学に追い込まれたと元学生が宝塚を提訴、夢破れた元生徒は、入学して以来、いじめを受けており、してもいない万引きをしたとされた上、宝塚大劇場で拾った財布を届けずに9日間放置していたとして退学処分を受けた。元学生は事実無根と主張し、退学の取り消しを申し立てたが、話し合いは平行線を辿り、2009年11月に退学処分取り消しと1000万円の慰謝料を求める裁判を起こしたのだった。

子供は、4番打者から転落した選手には興味を失う
プロ野球はオフシーズンでも注目注目の話題が多数出てくる。メジャー移籍問題、ドラフト、契約更改と、寂しくなりがちなスポーツ紙を彩る。
その中で毎年、この時期に最も心にくるものは引退報道だ。往年のベテランからまだできるだろうという中堅、一瞬しか活躍できなかった若手など野球選手とひとくくりにしても、様々な人生がある。
2200試合出場、1800安打、400本塁打と華々しく活躍した楽天の山崎武司も今年で現役生活を終えた。通算180勝、日米での活躍のみならずユニークなキャラクターでテレビ出演も多かった石井一久も今年でユニフォームを脱いだ。巨人のレギュラーとして2000年代を彩った二岡智宏も、怪我に泣かされ今年で引退を決意した。
警察のやっかいになった、活字中毒患者
「東京空港警察署から連絡があったのですが……」
電話の向こうで、角筈図書館の職員が言った。確かに若い頃、空港反対運動をやっていて警察とは敵対関係にあった。だが、なぜ図書館がそれに関係するんだ!? 私は色めきだった。
「あの貸し出している本、紛失していませんか?」
図書館員は、続けて言った。
「え? 紛失ですか?」
熊本でのイベント『琉球の風』に参加して帰ってきて、まだバッグを開けていなかった。
探ってみたが、あるはずの本が1冊無かった。
「あっ、飛行機で読んでいて、座席ポケットにそのまま置いて来ちゃったようです」
「ニセ皇族」を笑えない、小林よしのり及び小学館の見識
歌手の華原朋美が、熱烈な求愛を受けてきた竹田恒泰を、公衆の面前でフッたとして話題になったが、その竹田という人は、元皇族の家系というのを売りにして話題になっているが、実はもともと「山本七平賞」の受賞者として論壇の一部で注目されていたことを、前回に紹介した。
この賞に名を冠した山本七平といえば、イザヤ・ベンダサンという架空のユダヤ人を騙って「日本人とユダヤ人」という本を書いてベストセラーになったが、外国語の翻訳は滅茶苦茶だし、比較文化論や宗教学や民俗学の見地からも、こじつけやデタラメばかり。
こんな人を賞賛して『山本七平の知恵』という駄文を書いていたのが、あの渡部昇一上智大学教授というのだから、もうお笑いの域である。これは知恵の前に「悪」が欠落した誤植ではないかといわれたものだ。
検察庁が現役検事の取調べ中のヘイトスピーチ疑惑を隠蔽か
筆者はこれまでに当欄で、東京法務局訟務部付けの保木本正樹検事が山口地検の三席検事だった2001年5月、在日韓国人の男性被疑者に対する取調べ中に、卑劣な民族差別発言を浴びせたという疑惑について、繰り返しレポートしてきた。10月1日付けの当欄では、筆者がこの疑惑について、最高検の監察指導部に情報提供し、調査することなどを求めたところ、受理されたことも報告した。
筆者はその後、「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」に基づき、小津博司検事総長(担当課は最高検企画調査課)に対し、筆者が保木本検事の民族差別発言疑惑に関する情報提供をした件について、検察庁内でいかなる処理がなされたがわかる文書の開示請求を行った。筆者の情報提供をうけ、最高検の監察指導部がちゃんと適切な調査などを行ったかを確認するためである。これに対し、小津検事総長(同前)が先月19日、一部の文書を開示することを決定し、筆者に通知してきたのだが、その内容は大変腹立たしいものだった。
大王製紙の井川意高元会長が自叙伝で語った、一緒にプールに入った女優とは?
大王製紙の井川意高元会長が、マカオやシンガポールのカジノにはまって106億8千万円もの金を子会社から調達。一部は現金やファミリー企業にが保有する株式売却などで返済したものカジノでの使用目的で55億3千万円に会社法違反(特別背任)で11年11月22日に東京地検特捜部に逮捕され、今は、喜連川社会復帰促進センター(栃木県)で受刑者として過ごしている。その井川が懺悔告白をしている書籍「溶ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録」(双葉社)が話題を呼んでいる。連結売上が4千億円もの企業の会長がバクチで100億円を失い、自らが会長を務める会社に刑事告発されるなど前代未聞である。
「この井川の自叙伝は、肝心なことは何ひとつ書いていないね。唯一、複数の友達と旅行に出かけた時に、大物女優とプールに入ったことが書かれているが、これが藤原紀香だとされます。問題は、芸能人とのつきあいを人に指摘されるのが嫌いな井川が、どうして自叙伝でタレントとのつきあいをひけらかしているのか、という点です」(元大王製紙関係者)
広島の元アナウンサー窃盗事件で冤罪判決
「被告人を懲役1年に処する……」
裁判官が主文をここまで読み上げた時、傍聴席で複数の人が「ええっ」と驚きの声を上げた。この裁判では公判のたびに被告人の支援者が多数傍聴に来ていたが、この日もそうだった。声を上げたのは、審理を見てきて、「無罪判決」を確信していた被告人の支援者たちだと思われる。冤罪がこの世に存在することは知りつつも、それはマレなことだと信じていたのだろう善良な人たちに「刑事裁判の現実」が突きつけられた瞬間だった。
9月20日付けの当欄で紹介した広島の放送局、中国放送の元アナウンサー・煙石博氏(67)が窃盗罪に問われた裁判の判決言い渡しが去る11月27日、広島地裁であった。一貫して無実を訴えていた煙石氏に対し、三芳純平裁判官が宣告したのは、懲役1年・執行猶予3年の有罪判決。煙石氏は「一言で言えば、不当な判決。絶対許せない判決です」などと述べ、即日控訴した。
『三島由紀夫と全共闘の時代』【ブックレビュー】
若松監督を撥ねたタクシー運転手の刑が、罰金70万円の謎
昨年10月12日の夜に新宿区の外苑西通りでタクシーに撥ねられ、同月の17日で搬送された病院で死亡した映画監督の故若松孝二氏の交通事故裁判が、11月12日に東京地裁で開かれた。
被告のタクシー運転手は、検察の起訴状を認めて公判は1回で終了し、11月20日の判決では、求刑通りに罰金70万円が言い渡されている。
若松監督の交通事故死は、脱原発運動の参加者からも注目されていた。
監督は事故の一月前のベネチア国際映画祭の記者会見で、次の作品は東電を題材にすることを宣言していたからだ。反骨精神の塊のような監督のことだから、大手メディアがタブー視して報道してこなかった白川司郎氏や竹内陽一氏といった原発マフィアと政治家やメディアの関係など、国や政府が隠してきた闇の部分にも、大胆に斬り込むことが想像され、原発マフィアにとっても、看過できない話だった。
政治家の街頭演説はよくて、市民の意思表示はテロ?
自民党の石破茂幹事長が、11月29日の自身のブログで、議員会館の外での「特定機密保護法絶対阻止!」のデモンストレーションに対して、「単なる絶叫戦術はテロ行為とその本質においてあまり変わらない」と記して批判を受け、テロの部分を撤回した。
「お詫びと訂正」を12月2日に出しているのだが、これもまたおかしい。
以下の内容だ。
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整然と行われるデモや集会は、いかなる主張であっても民主主義にとって望ましいものです。
一方で、一般の人々に畏怖の念を与え、市民の平穏を妨げるような大音量で自己の主張を述べるような手法は、本来あるべき民主主義とは相容れないものであるように思います。
「一般市民に畏怖の念を与えるような手法」に民主主義とは相容れないテロとの共通性を感じて、「テロと本質的に変わらない」と記しましたが、この部分を撤回し、「本来あるべき民主主義の手法とは異なるように思います」と改めます。
自民党の責任者として、行き届かなかった点がありましたことをお詫び申し上げます。
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駅頭などで行われる政治家の街頭演説も、かなりの大音量で行われている。
確かに、スローガンをただ繰り返すだけのデモンストレーションはあまり効果がないのでは? と思いもする。だがそれを言うなら、選挙運動の際の宣伝カーのスピーカーからの名前の連呼は、ただ迷惑なだけだ。